議会報告

  • 2025年03月25日
    2025年2月議会 はた愛議員の「選択的夫婦別姓の早期導入を求める意見書(案)」賛成討論

議発第6号「選択的夫婦別姓の早期導入を求める意見書(案)」に、賛成の立場から討論をいたします。

国連女性差別撤廃委員会から、4回目の是正勧告を受けているように、夫婦同姓を強制しているのは日本だけであり、日本の民法が、女性活躍や女性の地位向上を、阻害する要因となっていることは、今や社会的認知が広がっています。

一方で、通称使用が拡大されていることをもって、選択的夫婦別姓制度の導入を拒み、否定する意見がありますが、現時点でも、通称使用が認められていないものは多く存在し、精神的苦痛を感じている人が少なくないのが実態です。

例えば、旧姓名義の銀行口座に給与や年金を振り込むことはできませんし、クレジットカードや携帯電話の新規取得も旧姓は使用できず、不動産登記も旧姓ではできません。

他にも、教育現場では、児童生徒の前では旧姓を名乗り、「通知表」でも旧姓を使用していても、転校の際に必要な指導要録や進学・就職に関する文書には、旧姓が使えませんし、さらに、校長が旧姓であった場合は、卒業証書に旧姓は使えず、日頃慣れ親しんだ校長先生の名前と全く別の名前が記載された卒業証書を手渡す事になるのです。

また、知事が旧姓であったとして、許認可等の法令に基づく行政処分に関する文書は、旧姓では出すことができません。

このように制度のはざまで、戸籍名と通称を使い分けて我慢を続けるか、事実婚で別姓を通すかの選択を迫られる人がいるのも事実です。こうした問題を拾い出し一つ一つ解消することよりも、夫婦別姓を名乗りたい人が選択できる、選択的夫婦別姓の制度化が、合理的な解決方法ではないでしょうか。

指摘のように、通称使用の拡大では、根本的解決に至らないことは、すでに社会多数の認識であり、かつ経団連や財界からも繰り返し、指摘がされてきた点でもあります。

 

 先日、石破首相は、参議院予算委員会で、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、旧姓を併記できる現行制度では、不十分だとの認識を示しました。今回のこの意見書は、すべての人が別姓を名乗ることを求めているのではなく、夫婦が同じ姓、家族が同じ姓を名乗ることも是とする人も、旧姓による通称使用で充分であると考えている人も、それでいいのです。

旧姓使用の場を拡大することと、民法改正による選択的夫婦別姓制度は、全く別ものであることは、司法の場でも明らかになってきました。

夫婦が同姓にならなければ婚姻できない、とすることは、憲法第13条の自己決定権として保障される「婚姻の自由」を不当に制限しているとし、1988年2月16日の最高裁判決で、氏名は「人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成する」とされ、「氏名の変更を強制されない自由」もまた、人格権の重要な一内容として、憲法第13条によって保障されると判断しました。

つまり、現行の民法第750条は、婚姻に際し、「氏名の変更を強制されない自由」を不当に制限するものであり、憲法第13条に反するということです。

選択的夫婦別姓制度に関して2015年、2021年と裁判が行われ、最高裁はいずれの判決でも「姓に関する制度は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」だとしています。

最近では、2024年6月14日、日弁連は「誰もが改姓するかどうかを自ら決定して婚姻できるよう、選択的夫婦別姓制度の導入を求める決議」を発表し、その中で、国の責任について次のように述べています。

「国は、この問題が「婚姻の自由」や「氏名の変更を強制されない自由」に関わる人権問題であることを真摯に受け止め、人権侵害を速やかに是正すべきである。それは同時に、婚姻を望む人の選択肢を増やすことであり、多様性が尊重される社会、男女共同参画社会の実現につながり、私たちの社会に活力をもたらすものでもある。」と、法改正の意義を示しています。

 

また、「子どもがかわいそう」という意見が一部にありますが、家族には様々な姿、生き方があります。幸せのカタチも多様です。例えば、夫婦同姓が夫婦円満の条件だとしたら、現実に離婚がこれほど多くはないはずですし、お母さんと子どもの名前が違うから、あるいは、お父さんと子どもの名前が違うからと言って、家族の絆が薄まるかのような意見も憶測であり、根拠のない習俗的価値観です。

実際、夫婦別姓の家庭では、家族で名前が違うことに何の違和感もないという実例も多くあります。どのような家族関係を築くかは、それぞれ個人の人権問題であり、選択的夫婦別性を望む人の選択を、はばむ理由にはなりません。

 家父長制の歴史の中で、作られてきた習俗的価値観から、結婚における氏名の多くが夫の氏を名乗ることが当たり前とされてきましたが、今や選択できないことは、個人の人権侵害だと認識されており、国会における民法改正こそが求められています。

すでに、1979年の国連の女子差別撤廃条約の総会で採択された文書には「女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための(立法を含む)すべての適当な措置をとること」とあります。

日本では、1991年の法務省の法制審議会で、「選択的夫婦別姓制度」の審議が始まり、1996年に「導入」が答申されてから、30年以上経っており、日本社会の世論の醸成も踏まえれば、この課題を引き延ばすのではなく、早期に実現することが国の責任ではないでしょうか。

 

よって、本意見書案への賛同を心から呼びかけまして、議発第6号に賛成の討論といたします。

 

選択的夫婦別姓の早期実現を求める意見書(案)