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- 2025年03月13日
- 議会(質問・討論)
- 2025年2月議会 岡田芳秀議員の一問一答質問(2025.03.07)
【質問項目】
・地消地産
・小水力発電
・農業政策
●岡田議員 日本共産党の岡田芳秀でございます。本日最後の質問者となります。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の質問は、地域コミュニティをいかに持続可能なものにしていくか、を主なテーマとしております。大きくは3点、地消地産、小水力発電、そして農業政策について、順次お聞きをしてまいります。
【地消地産】
●岡田議員 まず、産業振興計画の地消地産について、知事に伺います。
私は昨年の6月定例会でスマートテロワールについて質問をいたしました。つまり、循環型農村経済圏の構築です。その延長線上の質問となります。改めて申し上げますと、テロワールとは、それぞれの地域や気候や地形、土壌を含めた風土、自然環境そのもののことであり、洗練された意味のスマートを付けた造語です。
地域の自然環境の上に、農業技術や加工技術を含めた生産技術を、消費者のニーズをつかんだ上で、それに応えられるように磨き上げて、地域の量販店や小売店などとも連携して、全員参加型で取り組んで、地域循環型の経済圏を作っていこうと、そして、そのことによって地域の活性化を図ろうというものです。
知事は、私の質問に地産外商、海外に売り込むことで外貨を獲得すると、この考えを柱に据えて本県経済の活性化をはかり、成果を上げつつあるとしつつも、一方で、「県外から調達をしてきた財やサービスを県内産に置き換えていくと、いわゆる地消地産を進めることにより、県内生産をボリュームとして押し上げることができますと、県の経済成長率にとっては成長にとっては、さらにプラスになると、そういう意味で、この取り組みは私どもとしても進めていきたい」という風に答えられました。
具体的には、エネルギーを太陽光など再生エネルギーに置き換えること。県外産の酒米、これを県産の酒米に変えていくこと。そして、県内産の飼料稲を増やすこと、こうした事例を示されました。高知で作れるものは、高知のものに置き換えていくということは大いに評価をしたいと思います。それは、雇用の拡大にもつながっていくと思います。是非、こうした方向で、地消地産を拡大していっていただきたいと思います。
◆そこで改めてと言いますか、少し角度を変えて、地消地産による経済効果、特に波及効果について、知事の所見をお聞かせください。
○県知事 今回新しく、産振計画に掲げます地消地産の取り組みは、地消の拡大そのものではございませんで、それによる地産の強化こそが目的であります。
従いまして、県産品の県内需要の喚起だけではなくて、そのための県内におきます供給力の強化、これを一体的に行うべきものと考えております。
この経済波及効果でございますが、いわゆる直接効果といたしまして、事業者の利益が拡大をし、雇用者の報酬の増加につながるという効果が期待できると思います。また、間接効果といたしまして、これを背景として事業者の利益が増えますので、地産の強化のための設備投資が波及・間接効果としては増加が見込めるであろうと、また、雇用者の報酬が増加をするということによります間接効果として、県民の皆さんの消費の拡大が期待されるんではないか、というような波及効果が見込めると考えております。
さらに別の切り口から見ますと、マクロのいわゆる県民経済計算の効果としてみますと、県内で消費されます財やサービスを可能な限り、県外産から県内産に置き換えるということによりまして、いわゆる移輸入を縮小させ、県際収支の改善を図ることができるということでございますので、これはGDPなどでいう輸出による黒字化ということと同じでありまして、県民経済の中で、この県際収支の改善分だけ、県内総生産が押し上げられるという、統計的にはそうした効果が生じるという風に考えております。
こうした効果の最大化を図ることによりまして、最終的には1人当たり県民所得の増加を図るというのが、産振計画の目標でございます。これを通じまして豊かな県民生活の実現につなげてまいりたいと考えております。
●岡田議員 ありがとうございます。
前回の答弁で私が気になったのは、経済成長にプラスということを非常に強調されたわけですけど、地域の中の地域の持続可能性、そうした地域にしていくと、持続可能な地域にしていくというところの結びつきが今ひとつ不明瞭に感じたものですから、ここでまたお聞きをするんですけども。
そして、スマートテロワールそのものは、地産外商を否定するものでは、もちろんありません。地域の経済の足場を固めるものです。ここには、地域のコミュニティを守るという考えも当然入っております。人口減少と高齢化が進む中で、地域は様々な困難を今抱えております。多くの人が、経済成長と合わせて、持続可能な地域にするにはどうしたらいいのかということを本当に考えているわけです。私は地域にある資源を洗い出して共有し、活用方法を考えて取り組みを交流するなど、地域の将来をどう描いていくのかという話し合いが非常に大事だというふうに思っております。
全員参加型で考えていく機会を設けて、プラットフォームと言ってもいいかもしれませんけども、そうしたものを設けて、具体的に進められるものがあれば、協議会で具体化していく方法もありますし、また小さなまとまりで話し合って事業に結びつけていくということも考えていいと思います。要するに、地域が持続できて、活性化されていける。そうした、内発的な取り組みを、市町村と一緒に県が支援をしていくということが、今、本当に大事だというふうに思っているわけです。
◆これまでにも県も、色々と取り組まれたこととは思うんですけども、知事の言う地消地産にそういう持続可能な地域にしていくという観点がきちんと位置づけられているのかどうか、お聞きをいたします。
○県知事 地消地産の取り組みによりまして、地域の基幹産業におきまして、生産力の強化を図ることによりまして、地域の所得向上、あるいは新たな雇用の創出につながります。ひいては、そのことが地域コミュニティを守ることになるという風に考えます。
お話にございました持続可能性との関係で申しますと、やはり、地域が持続可能であるためには、地域に所得が生まれ、雇用が創出されることが必要不可欠だと考えますので、そうした意味で、この経済成長が強調されているというお話がございましたが、やはり経済が成長しないとこの地域が持続可能にはならないということが、私の思いでございまして、そうした意味で持続可能性というのは当然あの最終的な目指す姿として入っているということでございます。
そうした中で、来年度は産振計画の中では、地産の強化が可能なエネルギー、あるいは土佐黒牛など7つの取り組みを推進していくということとしております。議員から、問題提起 がございました、特に農村型の内発的なプロジェクトということで申しますと、産振計画の中でも、地域アクションプランにおきまして、例えば、日高村のトマト、佐川町の地乳、土佐清水市のメジカ、こうした地元の資源を活かした地域産業の推進に取り組むこととしているところでございます。こうした産業振興の取り組みは、持続可能な地域づくりに直結するというものと考えておりまして、今後も力を尽くしていきたいと考えております。
●岡田議員 それでは、次に進みますけども、本県から県外に出ていく経済で一番大きいのがエネルギーの分野です。次は飲食料品の分野となっています。
これらを県内で、できれば地域が主体で生産ができたら、地域経済の自立と循環にもつながっていくというふうに思います。ただ、再生可能エネルギーにつきましては、いろいろ議論があったように、住民の生活を脅かし、貴重な自然環境を破壊するようなものに対しては、やはり規制が必要だという風に考えます。この有効な規制がないために、地域住民はことあるごとに色々迷惑を被っているというのが現状だと思います。
◆そのことに留意して、県はエネルギーの地消地産についても量的に強化するとしておりますけども、具体的に太陽光発電についてどう具体的に取り組んでいくのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。
○林業振興・環境部長 太陽光発電につきましては、近年、地域と共生をしながら、効率的に事業が実施できる適地が不足している状況にあります。また、再エネの導入拡大に伴いまして、四国内の電力需要量を発電量が上回る状況が発生をし、その際に太陽光発電等の発電量を抑制する、いわゆる出力制御が増加をしています。
こうした点を踏まえますれば、当面、建築物の屋根などの有効活用を図りますとともに、発電した電力を自ら消費する自家消費型での導入を進めていくことが重要です。このため、県では、現在、国の財源なども有効に活用し、住宅や事業所への太陽光発電設備と蓄電池の整備に対しまして支援を行っています。
今後もこうした取り組みを通じまして、太陽光発電のさらなる導入促進につなげたいと考えています。
●岡田議員 ◆それでは、木質バイオマス発電についてどう取り組まれていくのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。
○林業振興・環境部長 現在、県内では4ヶ所の木質バイオマス発電所が稼働してございますが、今後複数の新規稼働が予定されており、燃料用チップ材の安定供給が課題となっています。
これらの原料となる枝葉や根株等の低質材につきましては、搬出効率が悪いことから林内に放置されることが多く、再造林の支障にもなっている現状がございます。
そのため、皆伐後の再造林を要件とした低質材の搬出、経費や生産現場で低質材を粉砕できる移動式チッパーの導入への支援などにつきまして、予算案を今議会に上程させていただいておるところでございます。
こうした取り組みによりまして、燃料供給能力の強化を図り、木質バイオマス発電のさらなる推進を図ってまいりたいと考えてございます。
●岡田議員 ありがとうございます。是非、高知の資源を生かしてですね、地域住民ができれば参加をし、地域住民に支持されるエネルギー施策を進めていただくようにお願いいたします。
◆次に、産業振興計画の新規事業である県産和牛肉の地消地産の推進について、具体的にどう取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 本県で生産される黒牛はほぼ全てが県内で消費されているもののシェアは2割程度にとどまっており、消費、生産ともに伸ばせる余地が十分にあると考えています。
このため、今年度土佐和牛ブランド推進協議会において、肉質4等級以上の本県産の黒牛を土佐黒牛と定義し、PR資材を作成するなど、認知度の向上に向けて取り組みをスタートさせたところです。
来年度は、土佐黒牛ブランドの定着を図ることで地消を拡大させ、生産の増加につなげていけるよう、県内需要を高めるための取り組みを大幅に強化いたします。
具体的には、飲食店での土佐黒牛のメニュー開発、量販店での試食販売、PRに協力いただく、土佐黒牛取扱指定点を通じたSNS等での情報発信などを行ってまいります。
こうした取り組みにより、土佐黒牛の需要を高め、枝肉や子牛価格を上昇させることで、農家の生産意欲の高まりに繋げ、さらに畜舎整備の支援などを行い、生産拡大を後押しすることで、県産和牛肉の地消地産を進めてまいります。
●岡田議員 是非、加工の分野でもですね、取り組んでいただければと思います。雇用にもつながりますし、地域の魅力向上にもつながっていくと思います。
次に進みます。
【小水力発電】
●岡田議員 地域循環ということでは、自然再生エネルギーも重要です。
そこで、小水力発電と発電出力は100kw以下のマイクロ小水力発電についてお聞きをいたします。私たち、日本共産党は、会派で1月に鳥取県を視察いたしました日野町の根雨発電所に行きました。
背後の山から引いた長さ約1800m、高低差 66メートルの水路を流れる水を利用して、水車を回して、最大発電力130kwの発電をしていました。費用がかかる建物や水車は千葉県の事業所が建設をしたということですが、日常の補修・管理をしております。一方、同水路の修繕、地権者との同意取り付けは地元に密着したJAが担うということで事業が行われておりました。年間発電量は一般家庭 280戸分にあたる 85万kwh、全て電力会社に売電をし、この売電益は事業者が得た上で水利権を持つJAが発電協力金として受け取っていました。これは、地域密着のJAと事業者が共同で取り組んだ事例でした。
また、大山町の羽田井地区マイクロ小水力発電所、ここは山岳地帯の水資源を活用して最大発電出力 19.9kwのマイクロ水力発電を行っています。一般家庭では40戸余りの発電量 です。集落の稲作に使う農業用の水路を活用した発電です。電力会社の系統電力に接続をして電気を売却して建設費用の返済に充てるほか、集落に委託管理費用を支払っています。これは事業者と集落との共同事業です。シンプルな構造のために、低コスト3ヶ月の短期間で建設できるなど利点があります。
◆県内にはこうした小水力発電、マイクロ小水力発電の資源がたくさんあると思うんですけれども、こうした小水力発電を進める上でネックになっているような課題は何か、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。
○林業振興・環境部長 小水力発電を進めていく上での課題としましては、大きく2点が考えられます。
1点目は採算性の確保です。小水力発電につきましては、発電機器の設置以外に水路建設などの土木工事が必要となります。そうした建設コスト維持管理費を踏まえた採算性の確保が課題となっています。
2点目ですが、事業推進体制の確保でございます。地元調整や一定の財政負担が必要となる中、事業を主体的に引っ張っていける人材や事業主体の確保が必要と考えてございます。
●岡田議員 市町村への情報提供も、非常に大事だと思います。
◆今後、県として、小水力発電にどう取り組まれるのか、林業振興・環境部長にお聞きします。
○林業振興・環境部長 小水力発電は本県の自然資源を活かすことができる有望な再生可能エネルギーの1つでございます。
一方、導入に向けましては、先ほど申し上げました採算性などの課題をクリアする必要があります。このため、県では電気技術者を多く抱える公営企業局におきまして、市町村などが行う適地調査と事業採算性の検討、事業推進体制の構築などに係る費用を支援しているところでございます。
その結果、国の脱炭素先行地域に採択されました北川村では小水力発電を核として、村全体で脱炭素化を目指す取り組みが進められるなど、好事例も生まれているところでございます。
今後も、県内外の先行事例や国県の支援制度などにつきまして、市町村に情報提供をするとともに、関係部局と連携をしまして、市町村等の事業検討に対する支援を行いますことで、少水力発電の導入拡大を図ってまいります。
●岡田議員 よろしくお願いいたします。
【農業政策】
●岡田議員 次に、農業政策についてお伺いをいたします。
昨年、夏以降の主食米をめぐる異常事態は、食と農のシステムの見直しを迫ってきているという風に思います。
今回の事態の最大の責任は、米の生産や安定供給への責任を投げすててきた歴代政府の農政にあるとも言えます。
今回、政府は備蓄米の放出を決断したわけですけれども、生産者米価、消費者米価が安定するかどうか見通せません。問題はわずかの需給変動で米流通が混乱をし、米国が乱高下すると、そのために消費者や生産現場が振り回されるとこういった事態を解消することです。そのためには、ゆとりのある米生産と備蓄の確保が必要だと思います。米の価格や流通の全面的な市場任せをやめ、供給増、需要減で価格の下落が予測される場合には、国が備蓄米の買い増しをし、不作や消費増など品薄になり、米不足流通の混乱が懸念される場合には、備蓄米を放出すると、このように米の需給と価格の安定に国が責任を持つことが重要だと考えます。
◆農水省は、備蓄米の放出を決めましたが、今回の備蓄米の取扱いについて、知事の所見を伺います。
○県知事 昨年夏に全国的な米の品薄感を背景といたしまして、価格が急騰いたしました。秋以降も 集荷業者等によります買付競争の過熱によりまして、流通に滞りが生じまして、直近の店頭価格は前年の2倍近くまで上昇をいたしております。
政府の備蓄米につきましては、これまで基本的な考え方といたしまして、10年に1度の不作といった供給が不足する場合、あるいは災害発生時といった緊急事態に備えた運用を行ってきたという風に理解をいたしております。
昨今、米の価格高騰が消費者の生活に大きな影響を及ぼしているということから、政府はこうした形で従来想定してきた不作・災害という場合に加えて、今回は円滑な流通に支障が生じた場合にも、備蓄米を放出できるという判断をされたという風に受け止めております。
そうした意味で 今回の備蓄米の取扱い方につきましては、あくまで、価格高騰時におきます緊急的で特例的な対応が行われたものという風に認識をいたしております。
●岡田議員 今年は本県を含めて29道県が米の増産に取り組むということが報じられています。ただ、ゆとりある生産量の確保といっても、生産者米価が下がるようでは、農家は暮らしていけません。
農家が安心して生産に励める条件を整備することが必要です。私たち、日本共産党は、米生産費の平均と当該年度の米販売価格、農家の手取り、この差額を補填する制度の創設が必要だと考えています。地域ごとの生産性の格差を考慮して、加算金を上乗せする仕組みを組み込んだものです。
◆農家が安心して生産に励むようにするためには、米のほかに生産費用を保障する制度が必要と考えますが、知事の考えをお聞きいたします。
○県知事 国におきましては主食であります米の需給と価格の安定を図りますために、生産者が自らの経営判断のもと、需要に応じた生産が行えるよう支援を行うという政策をとっておられるという風に考えます。
米の生産費を国が直接保障するということは、需要を考慮しない生産に繋がりまして、かえって需給と価格の安定を損なう可能性もあると考えます。
我が国の米生産が持続可能なものとなるためには、消費者の理解のもと、生産コストが 価格に適切に反映されると、こうした手立てを取っていくことが重要であると考えます。この点、ちょうど本日でございますが、国におきまして、農産物の合理的な価格の形成に向けました。法律改正案が閣議決定をされまして、今国会で議論がされる予定だという風にお聞きをしております。この農産物に関しまして、コストの動向が示されまして、関係者が適切に価格交渉を行う、これが行われない場合には、農林水産省が指導勧告を行い、従わない場合には社名を公表する、こういった枠組みの法律案が提案をされるという風にお聞きをしております。
こうした制度を通じまして、消費者・生産者双方が納得をする価格が実現できる、こういった仕組みが構築されますように、国においてしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
●岡田議員 わかりました。
次に地域計画についてお聞きをいたします。期限である 3月末に向けて、地域計画の作成が今進んでおりますが、これまでの農政の中で、農家の戸数も大きく減ってきております。
地域計画では、新たな担い手の確保ができないとか、経営の見通しが立たないとか、検討中というような農地が多く残るのではないかと、私は危惧をするところです。
◆計画づくりには苦労が多いと思いますけども、農業振興の上で、地域計画の有効性について、農業振興部長にお聞きいたします。
○農業振興部長 地域計画では、農地一筆ごとに、将来の耕作者を定める目標地図を作成することとなっております。
計画策定の過程で多くの地区において、将来の担い手を位置づけられない農地が存在することも明らかになってきております。
その主な要因としては農地が不整形、あるいは狭いといったことから作業効率が悪い、あるいは優良農地であるにもかかわらず、高齢化が進む中で次の担い手が見つからないといったことが挙げられております。
こうした農地の担い手の確保に向けては、何より農地の生産効率を高めることが重要であり、今後の基盤整備の必要性や耕作する農地を近場にまとめるといった集約化、こういったことの必要性について、地域内で改めて共有されており、地域計画の策定の効果と考えております。
●岡田議員 地域の話し合いは継続していく必要があると思います。
◆この話し合いの継続に対して、今後 どう支援していくのか、農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 地域計画の策定に向けて、県では市町村が開催する地域の座談会にJAなどの関係機関とともに参画し、話し合いをサポートするなど、本年度末までに全ての地区で計画策定が完了するよう支援を行ってまいりました。
地域計画は作れば終わりではなく、基盤整備や農地の集約化、担い手の確保などのブラッシュアップを行いながら、着実な実行につなげていくことが重要です。そのため計画策定後も地域での話し合いを継続していく必要があります。
県としましては、市町村やJAとともに引き続き座談会の開催を呼びかけ、農地の集約など担い手の確保に向けた条件整備が進められるよう、話し合いをリードするなど、計画の実現に向けた取り組みを支援してまいります。
●岡田議員 よろしくお願いいたします。
私は地域コミュニティを守り、農業を振興していく上には、生産費がまかなえる農産物の価格保障とともに、農業・農村のもつ価値を評価した直接支払いとしての所得補償が重要だと思います。
農業のもつ多面的機能、すなわち、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の継承などについても、正しく評価して条件不利地での営農を保障することが大事だと考えております。
◆農家の持つ多面的機能への支援の必要性について、農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 農業・農村は食を支えているだけでなく、洪水や土砂崩れを防ぐ、地下水を涵養する、多様な生物を保全するといった人々の暮らしに大きな恵みをもたらす役割を担っております。こうした価値ある多面的機能を維持し、後世に引き継いでいくことが大変重要です。
そのため、地域で取り組まれる保全活動に対して日本型直接支払い制度により、国・県・市町村が一体となって支援をしているところです。
具体的には、高齢化、人口減少等により、継続が困難となりつつある生産条件が不利な中山間地域等における農業生産活動や、地域が協働して行う農地・水路等の保全管理などへの支援を行っています。今後も、各地域でこうした活動が支援継続されるよう、市町村と連携して取り組んでまいります。
●岡田議員 よろしくお願いいたします。
あと、農家からお聞きする具体的なことをお聞きします。経営上も地球温暖化対策としても、必然への省エネ化も大事だと思います。化石燃料を燃やさない方法も電気代が上がって節約効果が少なく薄くなってきたと言われています。
◆園芸農家からはボイラーについて、あの燃費の効率の良い焚口に改良できないかということもお聞きをしましたけども、県としてメーカーとも協議して施設園芸のボイラーの改良に取り組む考えはないか、農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 省エネ化に向けまして、ボイラーの改良というお話でございますが、本県の園芸用ハウスで使用されている燃油ボイラーの主な製造メーカーにお聞きしたところ、熱効率を上げるために、既存のボイラーを改良することは安全性が懸念されると共に、故障の恐れが高まるといったお話をいただきました。
このことから、県としましても改良は難しいものと考えております。
その一方で 園芸用ハウスの省エネ対策といたしましては、これまでも保温効果の高い資材による保温力の向上や、ハウス内の空気を対流させる温度ムラの抑制、さらには、「SAWACHI」のデータ活用など効率的な加温対策を推進してきました。
また、熱効率の高いLPガスボイラーやヒートポンプの開発も進んでおり、メーカーと連携した実証や効果が確認された加温機の普及にも取り組みます。
これらの取り組みにより 施設園芸の省エネ対策を進めてまいります。
●岡田議員 わかりました。
あと、諸物価高騰でくらしもほんと大変なんですけども、高騰した電気代や燃油代の経費の負担増に対して、農家から支援を求める声が、引き続き寄せられております。
◆県として、何らかの支援ができないのか、農業振興局長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 ウクライナ情勢などの影響により、エネルギー価格が高騰する前の令和3年度と令和6年11月の価格を比較いたしまして、上昇幅の大きかった重油や木質ペレットについて、昨年12月から本年 2月までを対象期間として農家の負担を軽減する予算を、今 議会に提案させていただいております。引き続き、エネルギー価格の動向や農家の経営状況を踏まえながら、必要な対策を検討していきたいと考えております。
●岡田議員 わかりました。経費節減に繋がるような研究、よろしくお願いいたします。さて、地域では耕作放棄地が多く目に付くようになっております。
◆農業委員会の皆さんも大変苦労されているとは思うんですけども、県として、この耕作放棄地の解消に向けてどう取り組むのか、農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 今回の地域計画策定に向けた取り組みを通じまして、計画区域内の優良農地であっても耕作されていない農地が多くの地域で存在していることが見えてまいりました。
このため、来年度は、地域計画の実行を支援するため、計画区域内の耕作放棄地を活用し、新たな担い手が耕作を開始する場合に、農地内の雑木の伐採やその木の根っこまで抜く「抜根」、また、その他の障害物などの撤去に要する費用を支援する新たな補助制度を創設することとしております。
今後はこの制度の周知を図り、利用可能な農地が再生され、耕作放棄地の解消に繋がるよう取り組んでまいります。
●岡田議員 ありがとうございます。私もいろいろ調べてみましたけども、例えばNPO法人を作って、丸ごと農地を管理していくというようなやり方をしているところもあるようです。草を生やさないようですね、少なくとも管理ですかね、そういうところまでは、是非やっていけたらという風に思いますけども、市町村や農業委員会の皆さんとも協議しながらですね。やっぱり地域の耕作放棄地が出ないようにですね、是非、取り組みを進めていただきたいと思います。
そして、最近は、鳥獣被害を受けたという声も多く寄せられております。特にイノシシとかヒヨドリによる被害が広がっているようです。農家の皆さんが生産意欲を失うことのないように、こうした対策、鳥獣対策が必要だと思いますが、人口減少・中山間担当理事にお聞きをいたします。
○人口減少・中山間担当理事 ご指摘のように、近年、イノシシやシカなど加害鳥獣の生息域が拡大しております。これまで被害がなかった地域でも被害が発生しておりますし、ヒヨドリなどの鳥類による新たな農業被害も聞かれるようになっております。
こうした地域は古くから鳥獣対策を進めている地域と異なりまして、県の防除への取り組みの周知、これが十分なされてないと考えられます。まず、それぞれの地域のJAに配置しました鳥獣被害対策専門員を通じまして、防護柵の設置や捕獲の支援等、県の被害対策支援事業の周知を図りまして、対策への関心を高めて集落ぐるみでの防除の取り組みにつなげたいと考えております。
●岡田議員 ヒヨドリ被害が広がっていることをたくさん聞いています。是非、実態調査をしていただいて、必要な対策を講じていただきますように、重ねてお願いをいたします。
今、農業には本当に大きな課題があります。インフラの問題でも長年使ってきた用排水路がもう老朽化してきたという問題だとか、また、組織の面でも土地改良区、どうしても高齢化も進んでおりまして、事務局をどう支えていくのかということも課題にもなってきているところです。また、最後の質問になりますけれども、人口減少と高齢化が進んでいる状況の中で、農家が仕事をしやすいようにするためにも、また農業の担い手づくりを進める上でも、私は特に小規模の基盤整備部は非常に大事だなということを考えております。
実際そうした希望もありますし、基盤整備が済んだところで担い手が入っているということもあります。
◆県は独自の小規模の基盤整備事業も取り組んでおられるんですけども、今後も取り組みを継続し、拡大していく考えがあるのかどうか、農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 農地が引き継がれ、そこに担い手を確保していくためには、地域のニーズに応じた迅速かつきめ細かな基盤整備の推進が重要であると考えています。このため、県では小規模な基盤整備に対応するため、本年度から「県営農地耕作条件改善事業」の面積要件を施設栽培の場合は1ヘクタール以上であったものを0.3ヘクタール以上に、露地栽培の場合は2ヘクタール以上であったものを0.5ヘクタール以上に大幅に緩和しました。
本事業では、本年度、香南市、山北など3地区で工事に着手しており、令和7年度には新たに10地区での着手を予定しております。
引き続き地域の声をしっかりと聞きながら、本年度から令和9年度までの4年間で40地区の新規着手を目標に小規模な基盤整備に積極的に取り組んでまいります。
●岡田議員 はい、どうぞよろしくお願いします。私にも非常に大事な取り組みだというふうに思っております。知事は今議会に、「賢く縮む」ということを提起されましたけども、私は行政の思い切った効率化ではなくて、地域づくりをサポートする機能をもっと強化していただきたいということを求めておきたいと思います。それが、今、県政にも要請されているんじゃないかという風に考えているところでございます。
農業は地域の経済、そして、社会や環境に貢献をしております。特に、中山間では、その社会や環境を支えると守っていくということで大きな役割を果たしています。また、多面的機能についての評価ということも十分しながらですね。やっぱり、しっかりと支援をしていくということが、中山間の持続可能な地域を作っていくということにつながっているといくと思います。そして、農業は、なによりも食べる人の健康を支えています。その農業が大事にされるということを訴えて、一切の質問を終わります。ありがとうございました。