議会報告

【質問項目】

・教員の処遇改善

・ハラスメントへの対応

・就農者支援施策について

 

●中根議員 日本共産党の中根佐知です。

お許しいただきましたので、早速、質問に入っていきたいと思います。

 

【教員の処遇改善】

●中根議員 教員の処遇改善について お聞きをいたします。

2021年公務員法の一部を改正する法律が改定されまして、2023年4月から実施をされました。その中身は、定年延長を2年ごとに行い、2023年から2024年には61歳、25年から26年には 62歳、2027年から28年には 63歳、2029年から30年には 64歳、31年から32年には65歳に退職年齢を引き延ばすことと、在職中であっても60歳を超えると60歳時の賃金の70%の賃金になるというものです。

◆令和14年度 2032年末までの毎年、定年延長に係る定年退職者数は何人になるのか、教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 はい、定年年齢の段階的引き上げに伴い、今後 2年ごとに定年退職が発生する形となります。

仮に現在の教員が定年まで勤務を続ける前提で試算しますと、小中学校、義務教育学校、そして高等学校、特別支援学校を合わせまして、令和6年度末に61歳で定年退職となる教員は203名、令和8年度末に定年年齢が62歳に伸び 252名、令和10年度末には 63歳で251名、令和12年度末には 64歳で158名、令和14年度末には65歳で218名が定年退職となる見込みであります。

 

●中根議員 ◆昨年3月に令和5年度末に 61歳の定年延長者でありながら、1年早く退職をした教員は何人いるのか、教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 はい、定年引き上げの対象者であって、令和5年度末に、60歳で退職した教員は52名となっております。

 

●中根議員 ◆また、今伺った以外に、令和5年度末に中途退職をされた先生は何人いるのか 教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 はい、先ほど申し上げました60歳で退職した方以外に、令和5年度末に退職した教員は、人事交流によるものを除きまして、全校種で156名となっております。

 

●中根議員 教員不足の上に、様々な点で危機的な数字が飛び出したという風に、認識をします。これが高知県だけではなくて、全国的な課題であることにも深刻さを感じています。

子どもたちの前に必要な先生がいない現実を変えるために、これまでも色々と提案をしてきました。しかし、危機的状況が続くならば、さらに他の対策も考えていかなければなりません。定年延長制度が導入された中で該当する教員にこれまでどおり、職責を果たしていこうと思ってもらえる条件を、今、整えなければならないと思います。

教員採用人数は多くしていますが、学校現場に若い先生が急増する中で、出産育児などに追われる日々を、チームとして支える役割はベテランの先生方に課せられています。また、残念なことに、病気休暇を取らざるを得ない先生方もいらっしゃいます。子どもの見方や関わり方、熟練した経験から若い先生方に伝える役割など、ベテランの先生の果たす仕事はここでも山のようにあります。仕事量は変わらないのに60歳になれば給与は7割で、ボーナスも7割、これで本当にモチベーションが上がるのでしょうか。

今や宝のようなベテランの教員をもっと大事にすべきだと考えます。

◆中途退職などの事態が起こらないように、教員確保のためには60歳以上の教員の処遇の改善が重要だと考えます。60歳以上の教員の働き方について、教育現場の該当者の声を、教育長はどのように聞いておられるでしょうか。お聞きいたします。

 

○教育長 毎年度再任用を含む59歳以上の教員の方に対しては、60歳以降の働き方について、意向調査を実施しております。

調査では60歳で退職を選ぶ理由として、体力や気力の低下、また介護などの家庭を優先したいといった理由がございます。その他、今おっしゃられたように給与が減額されるからという声があることも承知をしているところでございます。

その一方で、60歳を超えて働いている教員からは、若年教員に教え、成長する姿が見られることが嬉しい。また、子どもたちの頑張りが生きる活力になる、そして教えることが好きだから続けている、などの声も聞かせていただいておるところでございます。

 

●中根議員 本当に、先生方の努力の上に、そして、忍耐の上に、我慢の上に、教育現場が成り立っていくのではないか、そういう意味での危機感も、これからさらに持つ必要があるのではないかと思っています。

令和3年の地方公務員法の改定で、知事部局では再任用の職員は短時間勤務となりえ、職員の必要定数の定数外にカウントされているんです。しかし、教員は国庫負担金を受けているからという理由で、再任用教員も定数内にカウントをされています。すると、現場では短時間勤務の再任用教員のいない時間を埋める教員を配置することができません。正規教員と同じ時間働く再任用教員もいますけれども、学校現場に様々な働き方、給与の格差が 持ち込まれている、これが現状です。

教育の現場は、大前提は同一労働同一賃金です。その上で、チーム学校が成り立っています。61歳の定年延長者も、62歳以上の暫定再任用者も60歳までと同じ仕事をしているではありませんか。

今年2月に、日本IBMの分割会社キンドリルジャパンが60歳で従業員の賃金を大幅に下げる再雇用制度をやめて、処遇を下げずに65歳まで雇用継続する定年延長を実施することが、係争中の東京地裁口頭弁論で明らかになりました。この裁判は2020年4月に提訴されています。日本IBMが年収1000万円あった労働者を60歳以降の再雇用で、最低賃金に近い月17万円、年収2百4万円に減額したために不合理な格差を禁止した労働契約法20条に反するとして、賃金差額の損害賠償を原告2人が求めたものです。この裁判の経過の中で、キンドリル社は処遇を下げずに65歳までの定年延長を実施したものです。民間企業の中でも働き手確保のための処遇改善がぐっと進んでいます。教員も見直しをすべき時ではないでしょうか。

現在、教員の中には定年の順次引き上げに伴い、定年延長された方々とは別に、定年引き上げ前に定年を迎えて再任用で働かれている教員がいます。定年延長の教員も、再任用の教員も同様に仕事をしており、担任として仕事をしている人もいます。しかし、給与面ではとんでもない低い処遇となっていて驚かざるを得ません。

◆定年延長者と比較して再任用教員の賃金はどのようになっているのか、教育長に伺います。

 

○教育長 定年引き上げに伴い、60歳を超える教員の給料月額は、該当する給料号級の7割となります。具体的な金額は個人によって異なりますが、例えば 61歳の教員の平均額は 、小中学校等は約29万2千円、高等学校等につきましては、約30万600円でございます。

 一方、再任用教員の給料月額は、給料表で一つの給料月額が定められておりまして、小中学校等は28万100円、高等学校等は28万3600円となっております。

 

●中根議員 ◆定年延長者と再任用教員のボーナスの金額の比較はどのようになっているのか、局長にお伺いします。

 

○教育長 期末手当及び勤勉手当につきまして、本年度の年間を通じた支給月数は、定年引き上げで60歳を超える教員が4.45月、再任用教員が2.325月となっております。

従いまして、先ほど申し上げました給料月額で単純計算をしますと、定年引き上げで60歳を超える教員が小中学校等は約148万6500円、高等学校等は約153万300円でございます。一方、再任用教員につきましては、小中学校等は74万5008円、高等学校等は75万4318円となっております。

 

●中根議員 本当に低いですよね。

同一労働同一賃金の観点から、少なくとも、定年延長者と再任者の処遇の均衡を図ることは必要ではないでしょうか。広島県や鳥取県では、知事の英断で県単で、この差をなくす給与施策が実施されています。広島県、鳥取県ではともに再任用教職員の給与を 7割水準に引き上げています。加えて、鳥取県は期末勤勉手当についても、正規教員や定年延長者と同じ月数を支給しています。

深刻な教員不足の続く中で、可能な限りモチベーションを上げ、そして、職員の方達が頑張っていただけるような待遇改善に努める、こうした鳥取県など、他県の取り組みは高知県も見習うべきです。直ちに、特に大きく引き下がっている再任用教員の期末手当支給月数、これは先ほどお話がありましたが、正規教員の51.6%しかないんですよね。

◆これをせめて定年延長者と同等に引き上げて、処遇の均衡を図る考えはないでしょうか。教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 国家公務員においても、再任用職員の給与水準は民間の再雇用者の給与水準を参考に設定をされ、定年引き上げによる60歳を超える職員と再任用職員には期末手当、支給月数など制度上給与の差がございます。

地方公務員法では、給与等の勤務条件は、国家公務員や民間の勤務条件との均衡を図ることとされております。こうした観点も踏まえ、人事委員会の給与勧告がなされており、県教育委員会としましては、この勧告を尊重して対応をしているところでございます。

なお、本年度は国家公務員の動向及び人事委員会勧告に基づきまして、再任用職員に対して、住居手当や特地勤務手当が支給できるようにしております。

 

●中根議員 住居手当までカットをされているなどということが、大変問題だったという風に考えています。

子ども達の前に先生がいない状況を考えれば、本当にあらゆる手立てを取って、ベテランの先生方に頑張っていただくことが本当に大事な危機的な状況なんです。

また、本来 60歳になれば、給料を3割もカットする国の公務員法の改定は、私は一日も早く見直さなければならないと思っています。

◆先ほどのお話もありましたが、本来、国に向かって、年齢で区切ることなく、同一労働同一賃金を65歳の定年まで貫く提言を直ちに行うべきだと考えますが、教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 国家公務員のこの定年引き上げに際し、給与の7割措置は「当分の間」とされておりまして、人事院におきまして、再任用職員も含めた60歳を超える職員の給与水準について検討を行っているものと承知をしております。よりまして、引き続きその動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

 

●中根議員 是非、提言の方もよろしくお願いいたします。

本当に皆さんの努力、そして苦難をそのままにして、教育の大きな役割を果たしてほしい、というこういう在り方はやっぱり根本的に見直すべきだと考えています。

 

【ハラスメントへの対応】

●中根議員 次に、ハラスメントへの対応についてお伺いをいたします。

学校現場の中で教員が働き続けていくためには、学校現場の職場環境を改善し、風通し良く、お互いをリスペクトする対策の強化が重要です。

◆今年度のハラスメント事案の相談件数を教育長にお聞きいたします。

 

○教育長 本年度県教育委員会事務局の苦情相談員や外部相談員、人事主管課に寄せられた相談の件数は22件となっております。

 

●中根議員 ◆相談件数を受けて調査対応の件数というのはどうなっていますか。教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 相談のあった22件のうち、相談者が調査を希望せず、相談のみで終了したものが4件、そして、事実関係の調査に移ったものが18件となっており、この調査にあたりましては、昨年4月に定めた対応手順書に沿って対応しておるところでございます。

 

●中根議員 ◆その中で、ハラスメントと認定された件数を教育長にお伺いいたします。

 

○教育長 調査に移った18件のうち、ハラスメントと認定されたものが2件、そして現在調査中のものが7件となっております。

 

●中根議員 ありがとうございました。本当に大変なことだなと思いますけれども、先日 鳥取県に伺いました。調査に協力していただいて、鳥取県の教育委員会のハラスメント対策について学ばせていただきました。

鳥取県では 2019年の4月策定のハラスメント防止要綱に始まって、日本のハラスメント対策の義務化以前に全国に先駆けて取り組みをスタートさせています。で、相談対応の体制について大きな特色がここにありました。鳥取県では、ハラスメント相談窓口を県教育委員会教育総務課内に設置するとともに、各県立学校に管理職ではない男女2名のハラスメント対策担当者を置きまして、被害者が相談しやすい体制を整備しています。

対策担当者については、過度の負担がかからないように、その役割については被害相談を相談窓口に繋ぐことに限って、調査や対応については県教育委員会が行うこととしています。

また、相談対応に必要な知識、技術に関する理解を深めるために、対策対象者用に相談対応マニュアルを定めて、研修会も実施をしています。

鳥取県教育委員会が発行する「ハラスメント防止のしおり」には、ハラスメントの類型や 具体例が詳しく掲載されていて、このことはハラスメントの指摘や管理職に対応を求める際にも有効に活用されているとのことでした。

高知県教育委員会の「ハラスメント対応ガイドブック」も見直しを重ね、具体的事例の紹介も増えましたが、「ハラスメントの防止のしおり」のような体系だった文書も必要です。

昨年、教職員組合の行ったアンケートの自由記述には「校長の思うとおりでない動きや違う考えだと、校長室で叱られる」、「ミスは許さないと威圧する」など悩みが書かれていました。立派なハラスメントですが、管理職にはその自覚がないことが大きな問題です。

高知県教委をはじめ、多くの事例では相談窓口を各学校の副校長、もしくは教頭、または 校長が指示するもの、いわゆる管理職を定めていますが、一般的にハラスメントは上司が加害者となるケースが多く、そのことが相談の妨げになるケースが少なからずあります。実際に本県でも教頭が加害者となる深刻なセクシャルハラスメントが起こり大問題になりました。

職場でお互いを認め合い、リスペクトすることも含めて相談しやすい体制づくりの点で 鳥取県教委の体制は大変注目をされます。

◆鳥取県も参考に、各学校に担当者を男女1人ずつ取るなど、学校でのハラスメントの相談担当者の見直しを行うことが望ましいと思いますが、いかがお考えでしょうか。教育長に伺います。

 

○教育長 本県では、各学校の副校長、または、教頭を苦情相談員としております。

苦情相談員に相談し難い場合などは、教育委員会事務局の事務局内相談窓口に直接相談できるようにしております。また、男性弁護士1名、女性心理士 1名に委託し、外部相談窓口を設定しております。

その他、昨年度に各学校等に通知しました「ハラスメント事案等への対応マニュアル」では、例えば女性の相談者が相談しやすいよう、苦情相談員以外に校内で相談を受ける女性職員を定めることなども促しているところであります。引き続き相談しやすい窓口となるよう、この鳥取県も含めまして、他県の取り組みも参考にしながら検討していきたいと考えます。

 

●中根議員 是非、本当にハラスメントが起こらない、そして、いろんな注意をするにしても、それぞれをリスペクトすることが大事なんだということが、お互い学び合えるような、そんな中身を作るためにもご検討よろしくお願いいたします。

 

【就農者支援施策について】

●中根議員 次に、農業公社の土地付きレンタルハウス事業についてお伺いをいたします。

高知県の基幹産業である農業は食料自給率の低い日本の中でもしっかりと、基幹産業に位置づけて発展させなければならないものです。そのため、県はこれまでも様々な農業に対する補助事業に取り組んできました。その1つであります高知県農業公社土地付きレンタルハウス事業についてお伺いをいたします。

この事業は平成5年から12年度に実施されたと聞いています。

◆どのような目的で実施されたものか、農業振興部長にお伺いいたします。

 

○農業振興部長 土地付きレンタルハウス事業は本県の園芸農業を振興するため、新規就農者や既に農業されていて、新たに施設園芸を始められる方が、実際に栽培を行いながら、農業経営や栽培技術等を身に付け、産地における中核的な園芸農家としての自立を支援することで、施設園芸農家の確保・育成を図ることを目的に実施をしたものです。

 

●中根議員 ありがとうございました。

◆高知県農業公社の土地付きレンタルハウス事業というのは様々な条件の方々が利用されたと思いますけれど、どのように参加者を募ったのでしょうか。農業振興部長にお伺いいたします。

 

○農業振興部長 少し古い事業でございますので、募集についての資料は残っておりませんが、利用者の募集は、新規就農者には市町村などの支援機関が日頃行っている就農支援の際に、新たに施設園芸を始める農業者には、JAや市町村がハウス整備への支援について相談を受ける際に、この事業の補助率や事業要件、賃貸方法など事業内容を説明して利用者を募ったものと考えております。

 

●中根議員 ◆また、何人の方たちが実際に参加をしていたのか、これもわかる範囲を教えてください。農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 平成5年度から平成12年度までの8年間で36人の方が利用をされております。

 

●中根議員 ありがとうございました。この授業に参加したあのある方からご相談を受けました。5年間の施設賃貸借契約書が交わしたが、農業経験も十分ではなく、参加したものの、みょうが、ししとう、花、全てうまくいかずに、農業公社に借金だけが残って現在に至っています。

他の仕事をしながら、何とか土地貸付料とハウスや灌漑設備費用などの利用料還元金371万円については、今年、残金がゼロになりました。しかし、1年に1度11月30日までに その年の利用料元金が支払えなかった場合には年12.5%の延滞金が納入期日の翌日から、日割り計算で発生することになっていて、元金が終わったと喜んだものの、まだ、延滞金が490万円もあることに愕然としています。何の希望も持てず、あるのは生活不安だけだとのお話でした。そのご近所にもサラリーマンを辞めて同じ事業に参加した方がいて、お話を聞くことができました。最初はミョウガが良かったが、3、4年で病気が入って支払いが遅れ、延滞金がこの頃から生まれた。天候や土地の形状などでうまくいかず、子育てをしながら必死に働いてきた。食べることができないので、大型免許を活かして仕事をしてしのぎ 5年目に、ししとうに変えた。たけのこ、四方竹、ゆずなども作っている。規模を大きくすると 人手が足りなくなるので 息子も含めて家族でできる規模にしている。レンタルハウスは木が茂り、日当たりが良くないのでパイプを残したまま、夏場は畑として作っている。昨年、元金の支払いは終わり、今年1月から延滞金の支払いが残っているとのお話でした。

条件の良くない土地付きレンタルハウス 事業に参加をして、必死で頑張ってきたということが伝わってきました。事業に参加した方のレンタルハウス事業融資返済については、親が変わって支払ったケースやIターンで取り組んだがうまくいかず、農業をやめて別の仕事をしながら 融資の返済を受け、苦労されている状況も聞きます。

◆この事業の参加者のうち、返済しきれずに今も返済を続けているのは何件いるのか、農業振興部長にお伺いいたします。

 

○農業振興部長 現在も、施設レンタル料や延滞金の支払いを続けられている方は 6名いらっしゃいます。

 

●中根議員 ◆返済している中で何件が農業を続けているのでしょうか。実態について農業振興部長にお聞きします。

 

○農業振興部長 先ほど申し上げました6人のうち、お1人の方が農業を継続されております。

 

●中根議員 高知県農業公社土地付きレンタルハウス事業では、農業経験のない人も参加をしていたと聞きます。

◆営農指導や経営支援などフォロー体制はどうだったのでしょうか?農業振興部長にお聞きいたします。

 

○農業振興部長 土地付きレンタルハウス事業の実施にあたりましては、高知県農業公社、市町村、JA、農業振興センター等が市町村ごとに協議会を設置し、栽培技術や経営面での指導を行ってまいりました。

具体的には、新規就農者等の利用者はハウスでの栽培経験が少ないことから、県の普及指導員やJAの営農指導員が定期的に巡回指導を行うことで、早期の栽培技術の習得を支援をしてまいりました。

また、作物への病気の発生による収穫量の減少などによって目標とする所得が確保できないなど、経営上の問題が生じた際には新たな技術の導入や栽培管理方法の見直し、品目の変更、さらには短期借入金の活用による資金繰りの改善提案など、技術面に加えて、経営面からの指導も行ってまいりました。

 

●中根議員 農業というのは、環境やその時々の気候に左右をされ、個人の努力だけでは どうしようもない難しさを持つ産業だと認識をしています。

◆農業公社のレンタルハウス事業は終わっても農業への補助政策は今も作られているものだと考えていますが、そのためにも事業の総括をきちんと行って次に進んでいるという風に思うんですが、事業の総括をどのように今に活かしているでしょうか。農業振興部長にお伺いいたします。

 

○農業振興部長 この事業の利用者の中には、知識や経験不足が原因で経営不振となる新規就農者なども複数見られました。これは就農前に栽培に関する基礎知識や技術を十分習得できないまま、営農を開始したことが大きな要因の1つであったものと考えています。

そのため、収農前にしっかりと研修を受けていただくことが重要と考え、研修期間中の経済面での不安を解消するための給付金制度を平成16年度に創設し、これまでその時々の課題やニーズに応じて制度の充実を図ってまいりました。

合わせて、新規就農者等が県のハウス整備に係る補助事業などを活用する際には、収納 前研修などで知識や技術が習得されているか、実現可能な経営計画が策定されているかといった点について、事前にしっかりと審査を行うなど、この事業の総括を活かして円滑な就農と定着に向けた取り組みを行っております。

 

●中根議員 本当に苦労を背負い込んだような方達に接しまして、気の毒ではあるんだけれど、この体験を何とか次に活かしてほしい、そういう思いで今回の質問に至っています。

また、延滞金の12.5%について、農業を応援するための公的資金を入れての施策で、こんなに高い延滞金を課すのは妥当なのかとの声が上がっています。ある方が相談を受けたところ、県の農業公社に返済しなければと聞いたが、本当に大丈夫なところですか?と心配があり尋ねてきました。この事業に参加した方の中には 現在病気などで農業はできず、年金から支払うしかない方もいます。

賃貸借期間は 平成23年の12月末で切れているのに、元金が5年契約のうち3年目から、滞りがちになり、少しずつ返しているものの、いまだに延滞金、これ債務状況一覧表には違約金と書かれているんですが、この延滞金が未だに増え続けています。

県や自治体の中には不測の事態に、延滞金条例などがありますが、レンタルハウス契約の中に非常事態になった時に延滞料を減額するとか、農業のリスクに対応する軽減を記した 条項がないことも気にかかったところです。

◆この事業で不本意ながら 延滞金に苦しんでいる方達の救済の取り組みを求めるものですが、農業振興部長にお伺いいたします。

○農業振興部長 延滞金につきましては、当該事業の施設管理、運営規定及び高知県農業公社と利用者の双方が合意の上で、締結した賃貸借契約に基づいているものでございます。

厳しい経済状況の中で返済を続けていただいているということは理解をしておりますが、これを免除するといった救済措置を取ることは、制度上困難であると考えております。

なお、それぞれ返済されている方々とは、農業公社の方で返済状況を確認し、現状などを伺いながら対応をさせていただいているところでございます。

 

●中根議員 対応してくださっているのは承知していますが、本当に、うまくいかなかった時の苦労をそのまま背負いこむような形になっている、今のさまざまな契約の中身を、今後とも、しっかりと見つめ直す、こういうことも必要ではないかと思っています。

基幹産業である農業の中でも食料自給率を引き上げ、高知県の中山間地を守る家族農業は地域を守り続ける産業としても、もっと注目をされ、支援されなければと思っています。

しっかりサポートする施策を心から望んで、今回の質問を終わります。ありがとうございました。