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- 2025年03月05日
- 議会(質問・討論)
- 2025年2月議会 はた愛議員の代表質問(2025.02.28)
【質問項目】
・政治姿勢 (国政問題)
・人口減少 (スマートシュリンク)
・物価高騰 (中小企業支援と賃上げ政策)
・経済対策 (地消地産推進と点検、地消の条例化)
・消防広域化 (人員確保、広域化リスク、広域化ありきを問う)
・香美市風力問題(県の見解、環境守る規制)
・PFAS対策 (認識、住民管理型水道の検査費用支援)
・教育 (教員不足解消)
●はた議員 日本共産党のはた愛でございます。会派を代表いたしまして、代表質問を行います。
【政治姿勢・国の予算編成について】
●はた議員 まず、はじめに、知事の政治姿勢について、国の予算編成についてから、お伺いをいたします。
アベノミクスの異次元の金融緩和により、円の供給過多による円安を主要因とした、物価高騰が国民の暮らしと営業を直撃しています。しかし、2025年度の政府予算案は、社会保障関係費、文教費、中小企業対策費など、暮らしの予算はどれも、物価上昇に追いつかない実質マイナスです。
食料安定供給費は、米の価格も高騰して対策が求められているにもかかわらず実額でもマイナスです。その中で、防衛関係費だけは前年度比9.5%増という、異常な突出をしています。
2022年12月に閣議決定された「安保3文書」にもとづき、5年間で43兆円にプラス16.5兆円の後年度負担があり、実質は60兆円もの大軍拡計画です。2022年度に当初予算ベースで5・4兆円だったものが、わずか3年間で3.3兆円も増加し、2025年の防衛費は8.7兆円と、異常な増加となっています。大軍拡が暮らしの予算を圧迫していることは明白です。
地方の一般財源も1兆円増えましたが、物価高騰に追い付いていません。
◆防衛費のみが異常に増加し、国が守るべき暮らしや商売、教育などの予算が実質削減されていることに、知事として国に言うべきことがあるのではないでしょうか。お聞きをいたします。
○県知事 はた議員のご質問にお答えいたします。
まず、国の防衛費の増を受けまして、国に言うべきことはないかとお尋ねはございました。ロシアのウクライナ侵攻の継続、中国の軍事力の急速な増強、北朝鮮の核ミサイル開発の進展など我が国を取り巻く、安全保障環境は大変厳しく、また複雑になっております。こうした環境下で、国として最も重要であり、責任を持つべき、国民の生命と財産を守るという任務を果たすために、財源の確保も含めて防衛費について、必要な予算が確保されたものという風に受け止めております。
他方で待ったなしの人口減少対策や国土強靱化、社会保障、教育など我が国が直面する様々な財政上の政策課題にもしっかりと対応していく必要があります。そのため、本県では 全国知事会と連携して積極的に国に対する政策提言を実施してまいりました。こうした結果もあり、今回の国の予算案におきましては、例えば地方創生交付金の倍増、こども未来戦略の本格実施、災害に強いインフラ整備の加速化、こういった点に補正予算も含めまして、十分な措置が行われたものと評価を致しております。
今後も、地方に必要な予算がしっかりと確保されますように、積極的に政策提言を行ってまいります。
【高額療養費制度の改悪について】
●はた議員 次に高額療養費制度の改悪について伺います。
国は、患者が支払う医療費負担限度額(高額療養費)を、今年8月から段階的に引き上げる「見直し」について、国会審議を行っています。
今回の負担限度額引き上げは、すべての年代、すべての所得階層が対象とされており、文字通り高額療養費制度を利用する1250万人全員に大打撃となります。その引き上げ額も、70歳未満の現役世代で年収650万円から770万円の階層では、最終的に1.7倍(2027年8月から)5万円もの負担が増えます。
全国保険医協会連合会が子どもをもつがん患者の団体の有志と共同で行った調査では、半数が病気で収入が減る上に、治療と子育てにお金がかかり、現状でも家計は厳しい。これ以上、医療費の負担が増えれば5割が「治療中断」、6割が「治療回数減」を考えると回答、子どもの進路変更も検討しなければならない状況に追い込まれているとの回答も5割に及んでいます。
高額療養費制度は、がん患者をはじめ重篤な患者にとってまさに命綱であり、今回の制度「見直し」は、それを断ち切るに等しいものです。
今回の制度「見直し」を決定するにあたって、厚労省は、制度利用者の収入減少、医療費の支出、受診抑制を含む影響など、実態調査をまったく実施していません。また、日本障害者協議会は緊急声明で、障害者権利条約では、政策決定過程で障害のある人たちの声を聴き、決定に参画させることを、国や自治体に求めており、本人不在の決定は障害者権利条約にも反しています。
政府は、患者団体などの声に押され、2月4日大臣会見では、高額療養費制度の一部修正を検討していると報じられていましたが、昨日のニュースでは、政府が、修正ではなく「凍結する」と判断したようです。国民の怒りの大きさを表していると思います。
そもそも重篤な疾患で治療を継続している患者に、さらなる負担を強いて、財源を捻出するという手法そのものが、社会保障の概念とは相いれないものであり、公的医療保険の仕組みを根幹から突き崩すものです。政府は、2270億円分の受診抑制が発生することをわかったうえで、提案しています。
◆負担額引上げを決定する過程のずさんさは、国民の命など眼中にない対応だと思います。
がん患者、難病や障害のある方をはじめとした県民の代表として、負担増の撤回を求める時ではないでしょうか。知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、いわゆる高額療養費制度の見直しについてお尋ねがございました。
高額療養費制度につきましては、ここ10年程度、大きな見直しが行われておりません。自己負担限度額の上限額も10年程度据え置かれたままになっているという状況でございます。一方で、この高額療養費は、ここ数年で見ましても国民医療費に比べまして、2倍のペースで伸びておりまして、これが国民が負担する保険料の水準を押し上げるという結果になっているとこでございます。
こうした状況を踏まえまして、現役世代のさらなる保険料負担の増加を回避しながら、将来にわたって制度を維持するためには自己負担限度額の上限額の見直しは避けて通れない課題であるという風に考えております。
また、今回の見直しなどによりまして、保険料の軽減効果が期待をされますが、これは実質的に今進めようとしております少子化対策の財源確保を支える役割も期待されているという点には留意する必要があるのではないかという風に考えます。
具体的に申しますと、岸田内閣の下で、「次元の異なる少子化対策」といたしまして、昨年秋から児童手当の抜本的な拡充など年間 3兆円規模の対策が行われております。この財源の一部として、医療保険料に子ども子育て支援金を上乗せをするという形で、国民負担が増加をするという形になるところでございますけれど、これは現役世代の負担軽減を図る という少子化対策の趣旨とも相容れないのではないかと、こういったご意見もありまして、この議論の過程の中で別途社会保障について改革をして、別途、保険料の負担の軽減効果を得るとした設計が行われたわけでございまして、そうした 保険料の引き上げ効果をま相殺するような効果が、今回の高額療養費の見直しにおいても想定をされているという点は、留意が必要ではないかという風に思っております。
また、他方で制度の見直しに当たりましては、議員からご指摘ございましたように、がん患者の皆さんをはじめとして、継続的に制度を利用する方々を中心に、この負担増の回避を求める切実な声が上がっております。
そのため、報道によりますと国におきましては、今回の制度の見直し案の一時凍結、そして、与野党で新たな協議体を設置して、制度の在り方を検討すると言った方向で検討・調整が行われているという風なことも伝えられているところでございます。
こうした情勢が流動的なえ中でもございますので、この問題に関しましては、今後、国政の場において、丁寧な議論が行われまして、次世代をはじめとする医療保険を支えます被保険者の方々のご意見、そして制度利用者の方々のご意見、その双方の理解と納得が得られるような成案が見出されることを期待いたしたいという風に考えます。
【人口減少対策としてのスマートシュリンクについて】
●はた議員 次に、人口減少対策としてのスマートシュリンクについてお伺いします。
人口減少社会に対応するとして、県はスマートシュリンク、“賢く縮む”を大きく打ち出していますが、地方の人口減少は自然現象ではありません。
まず、農業など第一次産業で、安定な暮らしや希望のある生活を保障できなくした、政治の責任があります。
また、社会保障をコストとみなし、抑制してきたことです。地域経済の2割を支えている年金を、12年間で、8%も実質削減し、経済を縮小させてきました。低すぎる公定価格や、配置基準による介護や保育など安定した雇用の場を削られてきました。こうした地域を疲弊させる政策の転換こそが求められています。
前県政のもとで、小さな拠点づくりなど、地方切り捨ての流れに抗ってきましたが、私たちは国の政策転換がなければ、限界があると指摘してきました。その通りになっているのではないでしょうか。
この間も、行政サービスを維持するためとして、平成の大合併を推し進めましたが、結果として、地方の人口減少を加速させました。この失敗のもとで「合併」をおしすすめることは不可能だと判断し、広域連携の仕組みがいろいろ提案され、さらには「自治体戦略2040」などが打ちだされてきましたが、それらは地方を切り捨てた政策の本体をあらためず、その失敗を広域化や「選択と集中」、「賢く縮む」などの言葉で続けているわけです。
国民、県民の運動で、3歳から5歳への保育の無償化や自治体での子どもの医療費助成、高校授業料の無償化の流れへと、子育ての負担が軽減されてきました。さらに、学校給食の無償化が進めば、それなりに収入を確保でき、高い収入をもとめて、若者が都会に出ていく必要はなくなります。
地方がなぜ衰退してきたのか、人口減少が、なぜ加速したのか、その真摯な分析と反省なくして、これからの方向性は見えてきません。
◆まず、お聞きしたいのは、全国で地方の衰退、人口減少が進んでいきた原因について、国の政治やその政策に問題があったと考えているかどうか、知事に認識をお聞きします。
○県知事 次に地方の人口減少に対します国の政策の問題点についてお尋ねがございました。
地方の活力低下、人口減少には大きく2つの要因があるという風に指摘をされております。1つ目は、高度経済成長期に産業構造の転換が出されまして、太平洋ベルト地帯を中心に重化学工業化が進んで、それらの地域に人口が集中したという現象が見られました。2つ目は、1980年代半ば以降でありますが、経済のサービス化が進みましたことで、人口の集中した都市部で新しい産業が発展をし、特に東京圏への人口集中が進展したと、こうした 指摘が行われているわけでありまして、私といたしましても、この地方の人口減少、歴史的に見ますと、こうした国内の産業構造の変化が大きく影響した、背景にあるという風に考えております。
国におきましては、こうした地方の人口減少に対応いたしますために、第 5 次に及びます全国総合開発計画によりまして、地域間の均衡ある発展あるいは多極分散型国土の構築を目指してまいりました。また、平成26年には、まち・ひと・しごと創生法を想定されまして、地方創生の取り組みを進めてこられたとこであります。
しかしながら 東京圏を除きます地方の人口は令和5年までの10年間で420万人以上減少しております。本県でも、この間 7万人以上の減少となっておりまして、こうした国の政策にもかかわらず、地方の人口減少に歯止めがかかっていないというのが現状でございます。
こうした状況を踏まえまして、国の方でも人口減少や一局集中などの大きな流れを変えるには至っていないという風に総括をされておりまして、私もこれは同様な認識であります。
こうした中でありますが、石破総理は先日の施政方針演説におきまして、令和の日本列島改造を掲げられました。
一極集中の是正と多極分散型社会の構築を目指すということを表明されたわけでございます。総理ご自身が10年前に志しながらも、必ずしも成果が十分に上がらなかった東京一極集中の是正に向けまして、総理が強いリーダーシップを発揮され、政府を挙げて改めて真剣に取り組んでいただきたいというふうに考えます。
本県といたしましても、国が国土政策として、例えば、政府機関や企業、大学、こういった大都市機能の地方分散などに真摯に取り組まれまして、具体的な成果を上げていかれますように、全国知事会とも連携をし、粘り強く政策提言を行ってまいる考えであります。
●はた議員 このスマートシュリンク“賢く縮む”が、県内で拡大すれば、どんな事態をつくるのか。
このままでは、地方や中山間地域が願う、真の地方創生とかけ離れていくばかりではないでしょうか。
人口減少対策の中で、県は県内市町村に対して、「人口減少対策交付金」を出して、自治体の独自性を活かした人口減少対策を進めていますが、すでに市町村は、人口減少にともない、行政機能や住民サービスの縮小を余儀なくされてきました。今回の県の交付金を力に、県内の市町村は、現場に必要な独自の取組を進めていくことができる流れになりましたが、強く問題を感じるのは、県の少子化対策の元気な未来創造戦略の中に、広域化や再編、財政効率化の面が強いスマートシュリンク「4Sプロジェクト」を新たな視点として入れるとしている事です。これでは、またもや自治体の独自性や存在意義は、後退するのではないかと思います。
市町村の存在意義や地域性を尊重していく人口減少対策と、新たな視点のスマートシュリンク「4Sプロジェクト」は、相いれないと思います。本来、市町村がその特徴を生かし住民に対し、行政責任を果たして行けるよう、県こそが市町村の自治権を保障していく立場ではないでしょうか。
◆スマートシュリンクのあり方について、今一度、見直す必要があると思いますが、知事の見解をお聞きします。
○県知事 次に、いわゆるスマートシュリンクの在り方について、お尋ねがございました。
4Sプロジェクトとして、今回、改正をするプロジェクトにつきましては、人口減少や担い手不足を真正面から受け止めまして、公共サービスなどの持続可能性、そして、県民生活の質を向上させる、こうした目的で行うものであります。
こうした考え方のもとに推進するプロジェクトでございますので、このプロジェクトでは規模の縮小そのものを目的とするものではございません。また、市町村合併、あるいは住民移動を伴う、いわゆるコンパクトシティ化を目指す、そういったプロジェクトでもございません。考え方としましては、必要なサービスをいかにして地域に残していくか、こういう視点での取り組みを進めようというものであります。
例えば消防の広域化でございましたら総務などの間接部門の共通する事務は効率化をする一方で、消防・救急救助といった地域の消防署、分署などの現場力はむしろ強化をし、住民サービスの確保を図ろうという考えでありますし、高等学校の再編につきましても、県全体での想定員は縮減する中にありましても、中山間地域の小規模校では存置の基準を都市部より大幅に緩和すると、それによって地域資源を活かした学校の魅力化、特色化を進めようという考えであります。
また、午前中にも答弁をさせていただきました、私といたしましては、人口減少が究極的に進むそういう将来を展望をしました時に、小規模自体を住民自治の担い手として残していくという選択肢を追及すべきではないかという思いを持っているところでありまして、そうした文脈で捉えていただけますれば、本プロジェクトは、そうした方向性にも沿うものではないかという風に考えております。
従って、本プロジェクトはご懸念がありましたような、市町村の独自性や存在意義を後退をさせるといった事態を避けるためにも、是非、取り組むべき政策であるという風に考えているところであります。
●はた議員 県はこの間、「若い女性の人口流出」を取り上げ、若年層をターゲットとした、人口減少対策を強調してきました。昨年、5月に開かれた元気な未来創造戦略推進委員会で知事は、出生数の低さや若年女性の減少をくい止める為に、あらゆる施策を導入していくと話しています。
結果は、男女の出会い創出事業で結婚を進め、出産を支援して、人口を増やすことを人口減少対策の中心的柱にして取り組んでいます。しかし、これは一部の意見しか届いてないのではないかと思います。
知事が招集した、元気な未来創造戦略推進委員さんたちの中には、大事な意見があります。
例えば、「人口が少ないからこそ、一人一人が大切にされる事が重要」との主旨の意見が複数の委員から出されています。高知県の将来像として必要なのは、単に人口が増えればいいという価値観ではなく、「住民の一人一人が大切にされる」対策が必要ではないでしょうか。
財政効率や競争があおられる中で、全国的な社会問題には、若年層の自殺、不登校やいじめ、過労死や職場でのハラスメントの増加、虐待や貧困の深刻さがあります。精神や肉体が健やかであること自体が、難しい社会になっています。
県は、人口減少対策の一番に若年人口の増を強調していますが、「人口が少なくても一人一人を大切にする」ことが大事だとする推進委員さんの声もありました。この点は、非常に重要だと思います。
◆人口増に力点を置く施策から、県外に出て行かなくても生活ができる施策にもっと力をいれていただきたい。そういった事業が必要ではないでしょうか。人口減少・中山間担当理事にお聞きします。
〇人口減少・中山間担当理事 人口が少なくても1人1人を大切にすることが重要であり、人口増に力点を施策から、県外に行かなくても生活できることに力を入れた施策に転換すべきとのお尋ねがございました。
県民お1人、お1人を大切に思い、広くそのご意見を伺いながら、またそのお気持ちに想像力を働かせながら施策を展開していくことは、県職員の基本的な姿勢として常に意識すべきものと考えております。
高知県では、広域自治体である県のトップ、知事自らが県内全ての市町村の現場を訪れ、地域の事業者や住民の方のご意見を賜り、施策に活かしていくという取り組みを行っております。
また、職員、私も含めまして、住民の方のご要望、お叱りも含めたご意見を直接お聞かせいただくため、地域に足を運ぶことも一再ならずございます。
規模が小さい県だからこそできるこうした取り組みや対応は、県の政策議論が机上のものにならないようにするためにも大変重要なことだと考えております。
お話にありました人口減少対策におきましても、こうした考えのもと、可能な限り地域住民の皆様や事業者の声をお聞きしながら、また若年女性の多様な意見が反映できるように、工夫をしながら施策を検討しております。
例えば、中山間地域では困っていることとして、人口減少・若者が少ない・担い手が足りないという声が最も多くございました。また、若年女性からはいつかは帰りたい気持ちがあるが、高知ではスキルアップや経験の蓄積が十分にできないという意見のほか、女性の多様な生き方を認めてほしい、結婚、出産、子育てに全てを繋げないでほしいといったご意見もいただきました。
元気な未来創造戦略ではこうした様々なご意見も踏まえ、若者が住み続けられる、帰ってくることができるようにするための取り組みとして、1番目に魅力ある仕事を作り、若者の定着につなげる、を据えました。若者の所得向上や非正規労働者の正規化、加えて、女性活躍の場の拡大や女性のキャリア形成支援も強化しながら取り組むこととしております。
また、県民意識調査によると、県内の未婚者の4分の3 近くが結婚を希望しておりますが、本県の若者の未婚率は 男性で50%、女性でも40%を超えております。理想的な子どもの数と現実的に持ちたい子どもの数に乖離があることも分かっており、多様な価値観の尊重を大前提としながら、県民の皆様の結婚の希望を叶えること、子どもを産み育てたいという希望を叶えることを政策2、3に掲げ、多様な出会いの機会の拡充や不妊治療への支援、子育てしやすい地域づくりなどに取り組むこととしたところでございます。
ご指摘は受け止めさせていただきまして、引き続き県民一人ひとりのご意見やお考えに真摯に耳を傾けながら戦略の施策の立案、実行に取り組んでいきたいと考えております。
【物価高騰対策と賃上げについて】
●はた議員 次に、物価高騰対策と賃上げについて伺います。
物価高騰の影響は凄まじく、県民を苦しめています。高知市では、偶数月の年金支給日の朝に、早くから銀行のATMの前には高齢者が並んでいます。また、70代の女性は、脳梗塞で不自由になった左手をさすりながら、「必死に買い物に行ったら『七草がゆセット』が650円以上で、高くて買うのを諦めた」と話をしてくれました。県内の学生は、食料品やガソリン代、バスやJRの運賃、光熱水費など、あらゆるものが値上がりし、節約のために食費を削り、勉強の時間を削り、時給が高くなる深夜バイトをしてしのぐ状況が生れています。賃金も年金も物価高騰に追いつかず、ついに、国が発表したエンゲル指数は43年ぶりに最高値を更新しました。国民生活も商売も限界になっています。
同調査では「社会基盤の維持の点からも、休廃業の状況は福祉政策とセットで考える時期に差し掛かっている」と指摘しています。
さらに、労働者の賃金状況については、厚生労働省が2月発表した2024年度、毎月の勤労統計調査では、物価高騰を考慮した一人当たりの実質賃金は前年度比で0.2%減り、3年連続のマイナスでした。
労働者側は賃上げを強く求めていますが、経営者側は先に述べたように、物価高騰が追い打ちとなり、特に中小零細事業者の多くは、賃金を上げたくても上げられない、廃業に追い込まれる状況に陥っています。この危機的な状況の中で、林芳正官房長官は記者会見で、「価格転嫁を進め、賃金上昇が物価上昇を上回る経済の実現を目指す」と発言しましたが、2025年度の国の当初予算を見ると、中小企業対策費は1695億円で前年度比では、たった1億円しか増えておらず、その内の地域の中小事業者の後継者支援を重視した「後継者支援ネットワーク事業」は4億円で、前年度比較では4000万円の減少です。
また、中小・小規模事業者の賃上げを支援する「業務改善助成金」は15億円で、前年度比較では6億8000万円の増額とはなりましたが、賃上げと一体で設備投資が支給要件となっており、この制度のままでは、多くの中小事業者に支援が行き届かない状況が続きます。
根本的には、国の責任で支援を拡充すべきところですが、では、自治体が何もできないのかと言うと、そんなことはありません。県レベルで、中小事業者への支援をセットで労働者の賃金を引き上げてきた自治体があります。例えば、岩手県では2023年12月議会に「岩手県物価高騰対策賃上げ支援金」として、事業費21億円が計上されました。その目的は「昨今の物価高騰により、物価上昇に実際の賃金の上昇が追いついていない事を踏まえ、県内の中小企業等の賃上げの加速化を図り、中小企業の必要な人材を確保していくため」と説明しています。支援内容は、時給50円以上の賃上げを1年以上継続実施することを条件に、従業員一人当たり5万円、最大100万円を支給するとしています。岩手県は、4万人分を上限として予算を組みました。支援金を利用した、ある建設会社の方は「ものづくりに重要な現場管理者や若い人に長く働いて欲しい、賃上げ支援金が事業者の賃上げのインセンティブとして機能するようになった」と評価しています。
翌年度、2024年度の全国の最低賃金の目安額は、全国一律50円の引き上げとなりましたが、岩手県では達増知事が岩手労働局長に、最低賃金の引き上げを要請するなどし、9円上乗せする改定を実現しています。最低賃金59円の引き上げは、労働者側にとっては、嬉しいことですが、中小企業や小規模(事業者)にとっては、かつてなく厳しいものとなりました。しかし、県が事業者支援をセットで行ったことが経営側の合意を得る事につながり、賃金引上げへの流れを生み出しました。
また、お隣の徳島県は2024年に中小企業の支援とセットで、全国で過去最大となる84円の最低賃金の引き上げを行いました。背景には、後藤田知事が人材確保のためには、地域間格差の解消が必要だとし、最低賃金1000円以上への引上げを求め、知事自身が最賃審議会の場にも出向いて、県独自の中小企業・小規模事業者への支援を約束し、最賃引き上げを求める異例の意見陳述を行っています。
◆岩手、徳島の両知事とも、地元の最賃審議会に引上げを求める要請を行い、中小企業支援とセットで、独自の賃上げを実現していますが、濵田知事は、両知事の要請や取り組みをどう評価されているのか。
○県知事 次に 最低賃金の引き上げに関しまして、岩手、徳島両県の対応への評価について、お尋ねがございました。地域間の所得格差の是正に向けまして、中小企業などの生産性の向上を図りながら、最低賃金を全国一律の水準に持って行こうという考え方につきましては、私自身も目指すべき方向であるという風に考えております。
一方、今回、両県知事が各県の審議会に要請した中身におきましては、岩手県におきましては、令和5年度の最低賃金が全国で単独の最下位となって、他県との格差が生じているといったような状況、そして、徳島県におきましては、1人当たりの県民所得は、全国9位という上位にあるにもかかわらず、令和5年度の最低賃金に地域の経済状況が十分に反映されていない、最低賃金の方は低いグループのままだと言ったような意見が両県知事から出ているという風に承知をしております。
こういったご紹介いたしましたような事情を背景といたしまして、両県の知事は、国が示した目安額 50円を大きく上回る最低賃金の引き上げを目指そうという考えで、いわば、やむにやまれず、審議会に直接働きかけるといった行動を選択されたのではないかという風な理解をいたしております。
しかしながら、県別の最低賃金を決定する仕組みといたしましては、労働者の生計費や賃金、事業者の支払い能力も考慮した上で、労働者・使用者・公益の代表者、この3者からなります審議会の意見を聞いて、労働局長が決定するとこうした仕組みとなっております。そして、実際問題といたしましては、審議会におきます労働者側、使用者側の意見は往々にして、鋭く対立しがちであるという風に考えます。こうした中でございますので、私としましては地域の審議会におきまして、知事という立場で、どちらか一方に肩入れをし意見を公言するということは差し替えるべきであろうと、そして、中立的な立場で入っておられます公益代表委員などのご尽力によりまして、意見集約がされた答申を知事としては尊重すべきだものではないかという風に考えているところでございます。
◆また、本来、最賃引き上げへの支援は、国が行うべきところですが、しかし、事業者の危機的状況を理解して、激変緩和を考えるならば、高知県も岩手県や徳島県のように、事業者の急激な負担を緩和し、少しでも賃金の引上げに繋がる取り組みを検討してほしいと思います。知事の見解をお聞きいたします。
○県知事 次に、この岩手県や徳島県のような賃上げの経済的な支援策、また財政的な支援策の検討をすべきではないかというお尋ねがございました。両県が実施されました支援金の制度につきましては、いわば緊急避難的な意味を持つ、あるいは激変緩和策といった位置づけで行われるとすれば、施策の選択肢の1つとはなりうるものであろうとは思います。
しかしながら、賃金上昇によります事業者の負担は1回限りではございませんので、将来に渡り続くというものであると考えるべきだと思います。従いまして、一時的な財政支援では、その効果はどうしても限定的なものにとどまってしまいます。また、財政面での制約もございますので、賃上げそのものに対する直接的な支援ということではなくて、その企業が生産的性の向上などによりまして、持続的な賃上げの原資を確保するための、例えば設備投資であったり、新分野進出であったり、そういったものへの支援を優先すべきものだという風に考えております。
これまでも、物価高騰の状況を見据えまして、省力化投資によりますコスト削減、あるいは新分野進出によります新たな収入源の創出といった構造転換を促す施策を展開してまいっております。また、省力化投資などに対します県単独の補助金におきましては、賃上げが行われます事業者には補助上限額を引き上げる加算措置を設けるということで、賃上げを後押しするということも、行なって参りました。
来年の予算にも、そうした形での各分野におけます生産性向上、賃上げができる環境整備を図るための施策は一層強化をするということといたしております。
これに加えまして、年代別の所得の傾向などを詳細に分析いたしまして、産業分野ごとに若者の所得向上に向けたさらなる取り組みを行うという考えで、これに向けましての検討を進めてまいる考えであります。
【産業振興の「地消」の重点化と担い手確保について】
●はた議員 次に、産業振興政策の「地消」の重点化と担い手確保について、お伺いします。
新年度の当初予算では、産業振興計画に基づき「地消地産」の強化を行うとし、エネルギー分野、飲食分野、木材分野を中心に、取り組むとしています。その目的は、地域経済の好循環を創るためとしていますが、注目するのは、「地産」よりも「地消」を前面に出したという点です。
県の取り組みに変化を感じますが、では、どう確実に県内での県産品の消費を増やすのか。これまでも、学校給食における地元産品の活用や住宅整備における地元木材の活用補助金などなど、「地消」の推進は行われてきました。一定の効果はあったとは思いますが、本格的な「地消」の動きといえるのか、改めて今回の「地消地産」の強化と具体的政策の予算化が問われていると思います。
商工農林水産委員会で視察に行った、大分県の日田市では、森林環境譲与税の活用で地元産木材を活用した住宅の新築やリフォームへの補助。また、市内の全小中学校の子ども達の学習机、約6600セットを制作し活用しています。子ども達は卒業する時、木製の天板を記念に持って帰るため、木製部分の需要は毎年うまれていれます。木材現場にも、教育現場にも活力を与えていました。
地元生産と地元消費を、しっかりと結びつけるには、方針をお願いするだけでは限界があります。
◆県には「地消」の拡大を確実に進めて頂きたい、そのためには、どうしても「地消」の制度化や、それに伴う予算の拡大も必要です。どう進めていくのか、産業振興推進部長のご所見をお聞きします。
〇産業振興推進部長 まず、地消の拡大をどう進めるのかとのお尋ねがありました。
地消の拡大として、例えば、学校給食への地元産品の積極的な活用などは食育の推進や職を通した地域への理解、郷土愛の醸成につながるものと考えます。一方で、県の産業政策として推進する上では、こうした観点のみならず県経済の成長に資することが重要であります。そのためには、県内消費の拡大そのものではなく、それによる県内生産の増加を実現することが不可欠であると考えております。
すなわち、県外に該当していた県産品を県内消費に諸県内消費に回すのではなく、県内生産を増大させることが可能な品目について地消の拡大と県産品の供給力の強化を一体的に推進する地消地産に取り組むことにより、地域経済の好循環を作り出し、県際収支の改善と県民所得の向上を目指して参りたいと考えております。
このため来年度は、入用経産牛やエネルギーなど7つの取り組みにつきまして、地消の拡大のみにとどまらず、県内生産を増加させる KPI を設定した上で、4億9千万円余りの予算を計上させていただいております。
加えて、エネルギーの地消地産につきましては、新たな取り組みに向け、庁内チームを設けて検討を進めたいと考えております。
●はた議員 「地消」が進まなければ、「地産」も成り立たないわけですが、農林漁業の現場はもちろん、建設現場や教育、公務の現場でも人手不足が深刻になっています。だからこそ、産業振興の中で担い手確保は要の政策です。しかし、農業分野で問題だと思うのは、担い手確保が重要といいながら、昨年4月に、県独自で支援してきた、親元就農支援制度の50歳~64歳を対象から外しました。
この問題は、親元で就農の可能性を考えていた50代の女性の相談から、制度打ち切りは中山間で生きていこうと思う選択肢を失うものだとの指摘から、質問として取り上げる事にしました。
農業は経営的に厳しい状況が続き、後を継ぐ判断も簡単ではありませんが、それでも支援を受け、経営を含めて農業を学び、実際体験できる制度として大きな意義を発揮してきた、県が誇れる独自の制度ではないのでしょうか。問題は、中山間で暮らせる高知を目指すと言いながら、利用者が少ない、予算がないという理由で、制度の対象基準を引き下げた事です。このように、県の産業振興計画の目的とも、かけ離れた予算の削減が起きています。
県は、事業の検証を行っているとしていますが、どんな視点で検証するのか、改めて県の考え方が問われていると思います。
◆産業振興計画の中で、担い手確保は重要なテーマですが、農業の後継者確保の制度で、50歳~64歳を親元就農支援制度の対象から外した事について、どうお考えか。産業振興推進部長に見解をお聞きします
〇産業振興推進部長 次に、親元就農支援制度の見直しに関する見解について、お尋ねがございました。
産業振興計画の実行に当たりましては、PDCAサイクルによる点検検証を通じて施策をより実効性の高いものへと、適宜改善を図ることとしております。このため、各部局においては、現場の実態や関係団体のご意見などを十分にお聞きし、必要な見直しや新たな取り組みについて検討を行っております。
その上で、関係部局長会議や産業振興推進本部会議の場などにおいて取り組みの進捗状況や課題、強化の方向性などを確認、協議しながら施策の強化を図っております。
ご質問のございました県独自の親元就農支援制度についてつきましては、より多くの新規就農者の確保を目的に、国の支援策の対象とならない部分を支援するものと承知をしております。その中で近年、若年層の新規就農者が減少していることや同制度の50歳以上の活用実績がなかったことなどを踏まえ、新規就農者・担い手確保に向けて、より効果的な事業となるよう見直しを行い若年層に対する支援を充実させたものと認識をしております。
●はた議員 ◆また、県として、担い手確保策を充実させる意味から、県独自の親元就農支援制度の対象年齢の見直しも含め、担い手支援を再構築して頂きたいですが、農業振興部長の見解をお聞きいたします。
○農業振興部長 県独自の親元就農支援制度の対象年齢の見直しも含めた再構築について お尋ねがございました。
親元就農支援制度は、親や親族の後継者として就農する際に、必要な栽培技術などの習得に向けて、農業担い手育成センター等で研修する研修を受ける期間において、国の支援対象とならない方に給付金を交付するもので、対象年齢は 64歳までとして、平成28年度に創設を致しました。
制度の創設以降、令和5年度までに66名が事業を活用しておりますが、関係者から要件が厳しい、支援が十分でないといったご意見をいただき、今年度から、支給要件の大幅な見直しや支援の拡充を行い、親元就農者の確保に向けて一層の強化を図ったところです。具体的には、要件の見直しでは UI ターン者に限定していた要件の撤廃や研修期間の短縮など、支援の拡充では、営農開始直後の営農確立を支援する給付金制度を創設しました。
また、本県の新規就農者数は、平成28年度の276人をピークに令和2年度以降は210人台で推移し、中でも30歳代以下の就農者数が大きく減少しております。
そのため、農業に興味を持ってもらい仕事としての農業の魅力を知ってもらう取り組みなど、地域就農者確保の取り組み全体として若者の確保に向けた対策を、今年度、大幅に強化しました。
こうした施策を検討する中で、若者の確保対策への重点化やこれまでの事業の活用実績などから勘案し、親元就農支援制度の対象年齢の引き下げを行いました。
令和7年度におきましては、本年度実施した要件の緩和や支援の拡充を継続し、現在のチームで親元就農への支援を行い、その効果等を検証していきたいと考えております。
施策の強化や見直しにあたっては見えてきた課題を踏まえて検討を行っており、新規就農者の確保においても、強化した取り組みの成果や見直しによる影響などを分析するとともに関係者のご意見も伺いながら、限られた予算の中で、より効果的な施策となるよう取り組んでまいります。
【消防広域化について】
●はた議員 次に消防広域化について、お伺いいたします。
県は新年度予算の柱に、スマートシュリンク“賢く縮む”の具体化として「4Sプロジェクト」を掲げ、消防の広域化、県一本化を進めるとし、「消防広域化基本計画のあり方検討会」などの予算を約3千万円計上しています。そもそも、消防の広域化を進めているのは国ですが、総務省の説明は「消防本部の規模を引き上げること等により、行財政上のスケールメリットを活かし、消防力の維持・強化の為の消防体制の構築を図る」と述べています。つまり、広域化による共同運営で財政効率、合理化を進めたいという事です。県が示す広域化基本構想の骨子案では、あり方検討会設置の合意が取れたとして、2025年度には、総務省の消防庁をオブザーバーとして参加させ、「高知県消防広域化基本計画」の策定を行い、2028年には、県一本化をスタートさせるとしています。しかし、県内各消防本部や職員からは、広域化ありきの強引な計画案に対して、県一本化は急ぐべきでないとの声が、数多く寄せられています。
例えば、通信指令業務の現場はどうなるのか、新たに必要となる職員の増員は出来るのか、地域消防団との連携はどうなるのか、など重要な点の多くが不透明なままであり、不安と疑問の声が強くあります。
本当に、県一本化の道が、高知県の消防体制にふさわしいのか。また、県は消防現場の声をどう受け止めているのか、などを踏まえ、以下お聞きしたいと思います。
まず、広域化基本構想の骨子案に対する、公募意見に関わって問いたいと思います。
「間接部門のスリム化による直接部門の強化」について、高知市以外の14の消防本部では、すでに必要最小限の「毎日勤務者」と「交代制勤務者」が兼務し、総務事務や火災予防事務などの間接部門を担っています。県内15本部の毎日勤務者を集約したとしても、直接部門である現場に配置できる余剰人員の確保はほぼ見込めず、また、広域連合事務局への人員配置についても、新たな人的支援が必要です。
◆この人員確保について、県はどうするのか。増員にかかる予算の試算についても示して頂きたい、危機管理部長に見解をお聞きします。
○危機管理部長 まず、消防広域化に係る人員確保や増員予算について、お尋ねがございました。これまでに、消防広域化を行った消防本部においては、国の消防の広域化に関する基本指針によりますと、人員配置の効率化と充実といった成果が表れたとされています。
実際に、先行事例となっている奈良県広域消防組合では、消防広域化による余剰人員 115人を現場要員などへ再配置するに至っています。
この先行事例を踏まえ、本県の基本構想の骨子案におきましても、総務業務などの間接部門をスリム化し、生じた余力を現場業務などに振り向けることにしています。
また、広域連合の事務局で議会や監査などの事務を行う人員配置については、例えば、既存の消防事務を担う一部事務組合などにおいて同様の事務を担っている人員を振り向けることなどは考えられます。しかしながら、必要となる人員の具体的な数やその予算については、まだ試算できておりませんので、次年度にシミュレーションを行うこととしております。これらの結果については、消防広域化基本計画在り方検討会などでお示ししていきたいと考えています。
●はた議員 通信指令業務の集約化については、15消防本部を集約するにあたって、規模にみあう通信指令台の整備が必要ですし、地形的に不利がある高知県において、警察無線とは違う、複数の無線を使用している実態から、新たな無線環境の設備についても莫大な費用が想定されます。
◆その試算はあるのか、危機管理部長にお聞きします。
○危機管理部長 次に、無線環境の設備に係る費用の試算について、お尋ねがございました。
現在、各消防本部では119番通報を受信して出動隊を現場に派遣するといった指令業務を行うため、消防指令システムや無線環境をそれぞれが整備し運用しています。
これらの設備は県一の消防広域化に伴って、一元的な指令業務を行うためには改修費用が必要となりますが、その試算はまだできておりません。
一方で、財政面においては県内の設備を一体的に整備することで、市町村がこれまでどおり個別に整備するよりも、費用を削減できるといった大きな効果はあるものと考えています。実際に、昨年全県域で、司令業務の運用を開始した大分県では、削減効果が無線環境では約24億円、消防指令システムでは約70億円、合わせて約94億円であったとされています。
こうしたことを踏まえて、本県における広域化に係る無線環境設備の費用につきましては来年度にシミュレーションを行い、一元化における財政面での効果も含めて在り方検討会などで、お示ししていきたいと考えております。
●はた議員 地域消防団との関係については、公募意見の中で、「高知市においては、消防団事務をはじめ、すべての団員の処遇、屯所などの施設維持管理、車両や資機材の配備について、すべて高知市消防局が担っているため、広域化されることで常備消防との関係が薄れ、消防団運営へのマイナス影響や消防活動における、連携・協力体制への支障など、消防団の消防力低下につながることは、避けなければならない」と、重大な指摘をしています。
◆県は、連携・協力体制への支障をどう防ぐのか、県の方策について、危機管理部長にお聞きします。
○危機管理部長 最後に、常備消防組織と消防団との連携や協力体制についてお尋ねがございました。消防団は消防組織法に基づき、市町村ごとに設置された消防機関として地元の消防署長の所轄の下、消防活動を行うことで双方の緊密な関係が保たれています。
このような、消防団と地元の消防署との関係については消防の広域化後においても維持していかなければなりません。こうした中、公表している消防広域化基本構想の骨子案において、現状の 40 消防署所体制を現行水準としていることからしますと、双方の関係は保たれるものと考えています。
また、消防団事務は、現在、消防本部が担っている場合があることも踏まえまして、骨子案で広域連合に事務を委託することができることとしておりますことから、地域での実情や必要に応じて現状の体制を続けることは可能となっています。
このように、広域化が行われたとしても、消防団と地元の消防署との連携や協力体制は 現在の関係を維持していけるものと考えておりますが、今後も在り方検討会といった協議の場などを通じて、丁寧に議論は行ってまいります。
●はた議員 今回の広域化方針を新聞報道で知ったよする、県内の消防局職員や分団の皆さんの不安は大きく、県の広域化基本計画の動きを危惧しています。消防・救急の現場は、日夜、命を助けるという緊張感が続く業務であり、心理的、肉体的にも負担は非常に大きい任務を担っています。
県内の各消防署の実態は本当に過酷です。例えば、郡部の6人体制の現場では、救急車が高知市内の病院に向かうと、2~3時間は戻れないため、その間に119番コールが鳴れば、近隣市町村の消防に応援を呼ぶしかない、これが常態化しています。そもそも足りない人員体制の上に、システム化の予算はないと言われ、119番コールが入ってもゼンリンの紙の地図を広げ、現場に指令を出しているのが実態です。
また、通信指令業務の間にも、職員給与をエクセルに打ち込む。これを消防隊員や救急隊員が兼務しています。この状況の中、広域化では給与の見直しや人事異動も想定されますが、現状の消防業務や生活の後退につながるリスクも指摘されています。
本来、細部まで調整が必要な問題が多々ありますが、県のスケジュール案では、広域化後に調整を実施するとしており、このままでは不満やあつれきを生み出し、ともすれば消防職員の大量退職に直結するとの強い指摘が、意見公募でも書かれてあります。
今回の広域化の骨子案の内容、そして、このスケジュール感は、あまりにも現場の実態を掴まず、総務省の進める広域化ありきで、県が動いているとしか言いようがありません。
◆2025年度に予定されている、あり方検討会のメンバーには、市町村長や消防長、有識者だけでなく、各消防本部の現場職員も構成員として、発言権を認めるべきではないでしょうか。知事に見解をお聞きいたします。
○県知事 次に、消防広域化基本計画在り方検討会の構成員についてのお尋ねがございました。
昨年11月に、消防広域化基本構想の骨子案を公表いたしました。その中でも、来年度は在り方検討会を設置をいたしまして、基本計画の策定を目指すという風に掲げております。この基本計画策定のための在り方検討会は様々な視点から、多角的に検討をいただくために、その委員につきましては、大きく3つの分野の出身者で構成をするということを考えております。
1つ目は、住民を代表し、また、自治体消防の管理者という立場にあります市町村長ということでございまして、市町村長さんには、消防活動の費用を負担する立場からもご意見が言っていただけるという風に期待をしております。そして、2つ目の分野といたしましては、この常備消防組織の長といたしまして、消防現場の業務遂行を担い、指揮監督を行う、また そうした意味で、全職員の意見を代表して発言をしていただける消防長さん、そして3つ目といたしましては、消防行政をめぐります各分野に知見のある有識者の方々、こういった3つの分野からの構成員で構成をしたいという風に考えております。
また、このあり方検討会の本体に加えまして、専門分野ごとに部会を設ける、あるいは実務者によるワーキンググループを設けて検討の作業を行うことを考えております。こうした中で、ご指摘がありました各消防本部の職員の方々のご意見につきましては、例えば部会審議等の場におきまして、ヒアリングを行う機会を設けるといった対応を考えたいと思っております。加えまして、既に行いました骨子案につきましての意見公募でも、消防職員の方々からいただいたご意見がございますので、こうしたご意見につきましては、県としての考え方を整理した上で Q&Aを策定し、県のホームページなどを通じて、広くお示しをするという対応で、県の考えを明らかにしていきたいという風に考えております。
【嶺北地域及び香美市での大規模な風力発電について】
●はた議員 嶺北地域及び紙垂の大規模な風力発電についてお聞きします。
高知県国見山周辺で計画されている、株式会社・ジェイウインドによる事業と、嶺北・香美で計画されている株式会社GFによる、(仮称)嶺北香美ウィンドファーム事業があります。
計画が進められている国見山エリアでの風力発電計画は、最大出力5万600kwを予定し、風車の高さは143mと大規模で、4,000kw級を12基、建設するとしています。
2018年12月から風況観測がスタートし、2024年5月には環境影響評価書の縦覧が終了し、2028年には、運転開始の予定とされています。地元では、多くの住民が知らないままに、計画が進められており、生活用水、農業用水や低周波被害についても事業者からは「影響ありません」というだけで、納得できる状況ではないとの意見が寄せられています。
問題なのは、この間、環境影響評価技術審査会が開かれ、大事な意見や指摘が出されていますが、住民生活や生態系、自然環境に配慮していると判断し、結局、大規模な開発事業が進められている点です。
2022年11月の審査会で会長が答申をまとめる中で次のように、述べています。「この勢いで、高知県の尾根筋に風力発電機ができていくと、個々の対応では済まない。総量規制みたいなものを、県でガイドラインをもっておかないといけない。一つ一つは問題ないかもしれないが、総体的に高知の山の尾根筋に、自然の山ではなく、全て風力発電機があるのはどうかと思う。子孫に残せる風景なのか、県には長期的な視点で検討をお願いしたい」と発言していました。
しかし、結果は規制の動きはないままに、嶺北香美での株式会社GFによる大規模な風力発電事業に繋がっています。このウィンドファーム事業は、風車の高さ180mで4300kw級が36基も建設される事業です。計画が示されたばかりの段階ですが、地元住民からは事業は認められないと署名が県に出されていますし、香美市議会は調査を求める請願を採択しています。住民、市議会の動きを踏まえ、昨年12月20日付で、香美市長からも計画に対する意見書が出されました。その中で土砂災害の危険性、水環境、生態系、景観、環境対策の責任、市民への説明と理解を得ることを求めています。
県は今年の2月13日に、株式会社GFに対し、「計画段階環境配慮書」に対する、知事の意見を発表しました。事業計画の見直しについて、「重大な影響の回避もしくは低減できない場合又は、回避・低減を裏付ける科学的な根拠を示すことができない場合は、事業実施区域の見直し」を求めるとしました。
さらに、国見山での株式会社・ジェイウインドの風力発電計画を踏まえて、その他事項の中では、「事業実施想定区域の近隣には既設の風力発電が存在し、また他事業者による風力発電の施設が計画されている事から、本事業との累積的な環境影響が懸念される」として、「累積的な影響について適切に調査、予測及び評価を行い、その結果を踏まえ風力発電施設の配置を検討すること」としています。
事業者にとっては、ハードルが高くなったとは思いますが、実態は事業者へのお願いの範囲です。
このままだと、高知県の尾根筋は大規模開発による風車が立ち並び、各河川流域への影響や土砂崩れのリスク、生物の多様性が後退するのは明らかです。このままで、いいわけがありません。
埼玉県では、小川町のメガソーラー発電開発に対し、住民の署名や町議会の調査を求める請願採択の結果を受け、知事が準備書に対する意見書の中で、「環境への影響が改善されなければ、中止も含めて検討を」と述べ、環境大臣からも「地域からの懸念や不信感がある、計画の見直しを求める」との意見が出され、さらに経済産業大臣からも「計画について抜本的な見直しを求める」との勧告が出されました。
結果、事業者のFIT認定が失効し、事実上、メガソーラー発電所の建設は中止となっています。
県の嶺北エリアで拡大している、自然破壊的な大規模な風力発電に対する、濵田知事の姿勢が改めて問われています。
◆嶺北・香美エリアでの風力発電計画について、環境への影響が回避されない場合、「中止も含めた検討」を求めるつもりがあるのか、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、風力発電計画における環境への影響が回避されない場合の対応について お尋ねがございました。まず、大豊町の国見山周辺におきます風力発電事業につきましては、環境影響評価書が最終的に確定をされまして、工事着工前の環境アセスメント手続きは終了しているという段階にあります。現在、事業者におきましては、風力発電所の建設に向けまして、電気事業法に基づく申請を準備中という風に伺っております。
この件に関しましては、「環境保全措置を適切に実施し、環境影響への回避、又は軽減に十分配慮することを求める」という意見を知事として提出をいたしました。このため、事業の実施にあたりまして、評価書に従わず、環境に影響を与えるような事態が認められる場合には、事業者などに対応を求めて参ります。
次に、香美市におきます仮称でありますが、嶺北・香美ウィンドファーム事業につきましては、環境アセスメント手続きにおきます初回の意見を、今月13日に知事として提出をいたしました。
本事業によります環境に与える影響にかかります調査・予測および評価などにつきましては、今後、事業者から案が示される予定でございまして、その手続きの中で 知事として意見を述べる機会があと2回残されております。その手続きの中で、市町村や専門家の方々などの意見も踏まえまして、環境への影響を回避、または極力低減する計画となっているかどうかという観点から 意見を述べてまいる考えであります。その際に、事業者の計画が環境への影響を回避、また低減することができないものとなっていると認められる場合には、事業の中止を含めた検討を求めることもありうる、という風に考えております。
◆また、国見山での株式会社・ジェイウインドの計画に対する、「環境影響評価技術審査会」で出された意見である、風力発電の総量などの規制について、県は早急に検討へ進むべきではないでしょうか。林業振興・環境部長にお聞きいたします。
○林業振興・環境部長 まず、風力発電の総量などの規制について、早急に検討するべきではないかとのお尋ねがございました。
令和4年11月の環境影響評価技術審査会では、「風力発電の総量規制のようなものについて、県として長期的な視点での検討を」とのご意見をいただいています。
風力発電施設の建設にあたりまして 事業者は国が定める事業計画策定ガイドラインを遵守するとともに開発行為に係る様々な法令の許認可等を受ける必要がございます。また、一定規模以上の施設につきましては、環境アセスメント手続きが行われ、特定の地域において風力発電事業が集中する場合の影響についても考慮されるべき事項となっています。
事業の実施にあたり、評価書に従わず工事を進めた場合は電気事業法に基づく罰則等が措置されており、現状でも一定の規制がなされていると考えています。
一方、審査会でご意見をいただいて以降、県独自のガイドライン的な規制について研究を行っているところでございますが、例えば、県内の風力発現の総量に上限値を設けた場合、地域と調和し環境への負荷が少ない計画についても認められなくなるといったことも想定されます。
また、上限値を設定するためには県内全域を様々な観点から調査をし、非常に高度な技術的判断や知見に基づいた合理的な基準を設けることが必要となってまいります。このように 総量規制のようなものにつきましては、大変ハードルが高い課題だと捉えておりまして、慎重に、その必要性について研究を重ねていきたいと考えてございます。
【PFASについて】
●はた議員 次にPFASについて質問いたします。
環境省は2月6日、発がん性があり、消えない有毒物質とされている有機フッ素化合物、PFASについて、水質検査と基準値を超えた場合の改善を、水道法で義務付ける内容の報告書案を取りまとめ、2026年4月から施行するとしています。
水質基準値は、食品安全委員会が昨年6月に示した、1リットルあたり50ナノグラムで、現在の暫定目標値と同じとし、3か月に1回の定期検査を基本に、小規模な簡易水道や社宅、病院、専用水道も対象に検査を義務にするとしました。
国は2024年5月に全国の水道事業者に対し、水道におけるPFASの検査結果について報告を依頼しています。その結果について、国の公表資料によると、県内の水道事業所15カ所の内、2024年9月末時点で、調査を行っていない自治体は3市町あります。また県内の簡易水道22カ所の内、13カ所で検査が未実施。また、専用水道35カ所の内、検査未実施は28カ所もありました。
現時点では検査は義務ではありませんが、水道法改正によって、2026年4月からは義務となります。
それを受け、専用水道の中でも特に、住民が管理費を負担し、運営している現場では、PFAS検査の調査費用が約6万円~10万円以上かかるとし、行政の支援を求める声が寄せられています。
飲み水を管理する現場では、すでに施設の老朽化にともなう更新の工事費用がかさみ、今後もさらなる値上げを検討せざるえない状態だとお聞きしています。
◆住民の命と健康を守るのは自治体の原点であり、少なくとも飲み水については、PFAS検査が国によって、負担なく保障される必要があると思いますが、土木部長の認識をお聞きします。
○土木部長 飲料水におけるPFAS検査の国による補償についてお尋ねがございました。
水道事業におきましては、独立採算制を原則としつつも耐震化や老朽化対策といった施設の整備改修に関する経費につきましては、国による補助金交付金や地方財政措置が講じられております。
しかしながら、日常の水道事業の運用に関する経費につきましては、基本的には補助等の対象とはなっておらず水質管理は、水道事業者の責務であり、検査に必要な経費につきましては、これまでも各事業者の水道事業会計から捻出をいただいているところでございます。
このことから、PFASの検査につきましても、国の補助の対象とすることは困難であると考えております。
●はた議員 また、地元新聞の報道では、共同通信社が全国の都道府県に対して行ったアンケートで、PFASが検出された場合、「汚染源の特定を調査しているか」との問いに、すでに実施しているが17道府県。検討の意向があるが5県。未定・検討していないが24県でした。高知県は、未定・検討していないと回答したと報道されています。さらに、「PFASの健康被害への懸念があるか」との問いでは、「ある・どちらかと言えばある」がたった5県、「分からない」との回答は26府県。「懸念はない・どちらかと言えばない」が11府県という結果です。
◆そもそも県は、消えない有害物質とされているPFASの健康被害をどう認識されているのか、その上でアンケートには、どう回答されたのか、林業振興・環境部長にお聞きします。
○林業振興・環境部長 次に、PFASの健康被害への認識とアンケートへの回答内容について、お尋ねがありました。PFASのうち、PFOS、PFOAについてはコレステロール値の上昇や、発癌、感染さらには病気から体を守る免疫系などとの関連が報告されています。
しかしながら、どの程度の量が体に入ると影響が生じるのかについては国においても十分な知見を持ち合わせていない状況でございます。そのため、現在も国際的に様々な知見に基づく基準値等の検討が進められているものと認識しています。
共同通信社が昨年実施をしましたアンケートでは、河川等の環境中のPFASに関し、自治体としてPFASの健康被害への懸念はありますか、もしくは、今後生じうると考えますか との設問がございました。
これに対し、本県では、現在まで国の基準を超過した地点はないこと、また国において人の健康への影響については十分な知見がなく検討中であることからわからないと回答したところでございます。
●はた議員 ◆また、県内の河川調査の結果からは、基準値以下ではありますがPFASが検出されています。汚染源を特定する調査を行う考えはあるのか、林業振興・環境部長にお聞きします。
○林業振興・環境部長 最後に、河川でのPFASの汚染源の特定について、お尋ねがございました。国の1Lあたり50ng という基準は、人が一生涯にわたって、毎日2 Lの水を飲み続けても、健康への悪影響が生じないと考えられるレベルとしまして、安全側に立った考え方をもとに設定されたものと伺っております。本県の河川に含まれる、PFASに関しましては、令和3年度から主要河川の調査を行ってまいりました。
これまでの全ての調査地点では、国の基準を大きく下回る結果となっており、現時点では 汚染源を特定する調査が必要な状況ではないと考えています。
県としましては、今後も定期的なモニタリングを続け、状況の把握に努めてまいります。
なお、今後のモニタリングで河川水のPFAS濃度が国の基準を超えた場合には、国の技術的助言に基づき汚染範囲や周辺状況などを確認し、汚染源の特定につなげて参りたいと考えています。
【教員不足の解消について】
●はた議員 最後に、教員不足の解消について、お聞きします。
日本共産党県議団は、教員の充足率、公立小・中学校等の教員定数の標準に占める、配置された教員数の割合に注目し、充足率1位である鳥取県教育委員会を視察調査しました。
2024年度の教員充足率は、鳥取県は110.6%に対し、高知県は98.1%と大きな開きがあります。
鳥取県の教育委員会にお話をお聞きすると、充足率を引上げている主な要因は、手厚い少人数学級の実施とそれに伴う県単費での教員確保です。
特に小学校での少人数学級が本県と比べても手厚く、小学1~5年生で30人学級、2025年度からは6年生も30人学級へ拡大する予定とのことです。高知県は、小学1~2年生は30人学級ですが、3~6年生は35人学級と、鳥取県が一歩進んでいます。鳥取県では、少人数学級に伴う県単配置は、小学校で120~130名、中学校では100名弱となっているとのことです。
文科省も少人数学級の効果を認め、来年度には、中学校にも35人学級を導入します。それによって確保できる県予算を、さらなる少人数学級の推進にあて、学習環境の保障、教員の負担軽減につなげることが、教員志望者を増やし、教員不足を解消する好循環の要です。
先の鳥取県の例でも、また公立小学校で、2学級以上の学年の場合に25人学級を進めるとしている、山梨県でも、知事のリーダーシップの発揮が大きいと指摘されています。
◆少人数学級のさらなる推進を知事に求めるものですが、所見をお聞きいたします。
○県知事 最後に、少人数学級編成の推進についてお尋ねがございました。本県は、国の標準を下回ります独自の学級編成につきまして、平成16年度から小学校1年生の30人学級編成を皮切りに取り組んでまいっております。そして、現在は公立小学校1、2年生では30人学級編成、そして、小学校3年生から中学校3年生におきましては、35人学級編成が行われております。少人数学級編成は、学級規模は小さくなりますことで、教員が1人1人の児童生徒に向き合う時間が確保され、よりきめ細かな指導が可能となります。併せまして、担任業務の軽減も見込まれまして、教員の働き方改革という観点からも一定の効果があるという風に考えております。
こうしたこともありますので、これまでも 全国知事会を通じまして、国に対して少人数学級編成の導入について提言を行って参っております。そうした結果、国において、累次の法改正が行われまして、令和3年度から、段階的に小学校の35人学級編成が実施されております。さらに、中学校につきましても、令和8年度から35人学級編成を導入する方針が示されているところでございます。
また、ご紹介もありましたように、現在いくつかの県で、さらなる、少人数学級編成の取り組みが進められているということも承知をいたしております。しかし、少人数学級化が各自治体独自で進められるような場合には、その財政力によって、教育環境に格差が生じる可能性もあると考えます。全国どの地域におきましても、質の高い教育環境が整えられるということが大原則であると考えておりまして、国の責任のもとに少人数によるきめ細かな指導体制が整えられるこれが本筋であろうという風に考えております。このため、今後も引きつづきでありますが、少人数学級編成の推進につきまして、国に対して要望・提言を固めてまいりたいと考えております。私からは以上であります。
●はた議員 また、代替教員の長期未着任などが発生し、子どもたちの学習権が保障されない緊急事態への対策として、学校に籍を置きながら教育委員会等で勤務する教員=「充て指導主事」を、現場に戻すことを一貫して求めてきました。
来年度の教育委員会の組織改編では、充て指導主事が170人から165人に、5人削減をされました。
この方向性は歓迎するものですが、あまりに規模が小さいといわざるを得ません。
12月議会での中根県議の質問に対し、行政職の教員は90人との答弁でしたが、充て指導主事の170人と合わせると、県教育委員会事務局の職員424人の6割を超える260人が教員免許を持っています。
その一方で、繰り返し教員の未配置が起きる状況は、非常事態だと指摘し、教育長も「重く受け止める」と答弁しました。
◆充て指導主事などの教員を現場に戻し、教員不足を解消する、さらなる県教委の体制の見直しを求めるものです。また、今回、削減された「充て指導主事」の人数分は、学校現場に配置されるのか、教育長にお聞きいたします。以上で、第一問といたします。
○教育長 充て指導主事の体制の見直しと削減見込みの充て指導主事の配置について、お尋ねがございました。
充て指導主事などの県教育委員会事務局職員は本県の学力課題や不登校等の喫緊の教育課題の解決を図るなど、県の教育振興基本計画を着実に推進するために配置をしております。
これらの職員が各学校や市町村教育委員会に対し指導・支援を行うことによって、各校の教育の質が高まり、学力の向上やまた不登校の早期把握対応等に、一定の成果が見られるようになってきていると考えております。
ただ、充て指導主事等の配置数については、固定的に考えるのではなく、教育施策の進行や教育課題の改善の状況により適時適切に見直しを図っていくことが必要であると考えております。そのため、令和7年度につきましては例えば ICT の普及により、オンライン研修が可能となったことから教員研修の在り方を見直すこととしました。また、各学校の授業改善の状況が一定進んできたことから、指導方法に関する研究指定についての学校数の削減を図りました。
そうしたことにより、充て指導主事の配置減を図ることとしております。
一方で、増加する不登校児童生徒の教育機会の確保に関する研究を進めることが急務であることから、この分野での充て指導主事の増加を図ったところもございます。
トータルの結果として、充て指導主事につきましては 5名の配置減を計画しております。今後も、各年度年度において、教育課題の解決状況や新たな課題への対応の必要度合いに応じて指導主事の画像を精査し、適正配置に努めてまいります。なお、今回見直しを図った充て指導主事の人数分については、学校に配置することとなります。
【第二問】
●はた議員、一問への答弁ありがとうございました。
二問を行いたいと思います。
特に、地方の暮らしに関わる行政に関わる財源・予算の面で、国が地方に対する手当を十分しているかということを問いましたけれども、知事は大軍拡が必要な予算なんだというような答弁でした。暮らしの予算も十分あるという答弁でしたけれども、今回の国の予算というのは、軍事費だけが突出をしていると、この点について、異常だという風に思わないのかどうか。暮らしの予算が今までと同じぐらいあるという風に言いますけれども、構成比 で見た時に、軍事予算が突出をしている、こういう予算立て、構成費に対して、地方からおかしいという声が答弁になかったので、再度お聞きをしたいと思います。
もう1つ、スマートシュリンクの問題ですけれども、地方創生をどうしていくかと、町を残すという風に知事言われましたけれども、人が住んでこその町だと思うんです。子ども達が生まれないから出産を支援するという取り組みされてきましたけど、今も子ども達が生まれていても、育っても県外に出ていく、その流れが止まってないんです。
なので、出産を促して人口増を図るという取り組みをするのと合わせて、やっぱり、住み続けられるような地域をどう作っていくか、とそういう意味では広域化ということで、市町村が今までやってきたサービスを薄めるような、今までやってきた流れをさらに続けるようなやり方はおかしいと、つまり、そのスマートシュリンクを人口減少対策の中に持ち込んで一緒にやるって言うところが、私は問題だと思っております。前県政が、地方の小さな拠点づくりというのをされましたけれども、本来はそういう拠点、住める拠点をどう作っていくかという独自の施策がないと改善しないのではないかと思います。
特に、この問題では、地方自治体がその役割を本当に果たせていけるのかどうかっていうことが問われていますので、この点で問いたいのは、市町村行政が果たす役割について、コストでは測れない広域化とか財政コストでは測れない意義があると思いますが、その点について、中山間理事にお聞きをしたいと思います。
もう1点、質問したいのは、自然破壊型の大規模な風力発電についてです。総量規制について、審議会から指摘をされて、執行部としても必要性について検討するという風に言われましたけど、その前段で、今の制度の中でも、規制ができているんだという見解がありましたが、今の法律や規制の中でも不十分な点があるんです。例えば、こういう風に事業者が変われば、同じ地域で大規模開発が重なって広がっていくということで、今の規制でも、止められない 大規模化していくという抜け穴があります。やっぱり、そこを規制せよというのが、審議会の会長の意見だったんではないか総量規制の必要性だったんではないかと思いますので、そこをどういう風に再度審議会に、図りながら進めていくのか、部内だけの研究ではなくて、再度その点を議題とした審議会への提起というのも必要じゃないかと思いますので、その点は、森林環境部長にお聞きをいたします。
○県知事 はた議員の再質問にお答えをいたします。
国の防衛費予算が突出しているのではないかという点でございます。ただいま、ご答弁申し上げましたウクライナ侵攻3年になりましたけれども、このウクライナ侵攻というのが 我が国の安全保障に関しまして、非常に大きな在り方について影響を与えたというのは言をまたないところだと思います。また、北朝鮮のミサイルの問題等々、安全保障環境は、ここ3年間の中で大きく変わっているという風に思います。
そうした中で、岸田内閣において防衛費について抜本的な強化を図るという方針が先般決められまして、その財源として各種の剰余金・基金等々を、いわばかき集めて、この5年間の計画を作ると、それのみでは足りないということがございまして、今回、法案が出されておりますけれども、法人税あるいはたばこ税について1兆円近い規模の増税もやるとそういった財源の確保もした上で、 今回、我が国の安全、国民の生命と財産を守っていくという使命を果たすために、この防衛費の抜本的な強化を図っていくという流れで、予算措置がされたというふうに考えております。
そうした意味で、国民の生活を守って、これもちろん内政の面で守っていくのも大事でありますけども、やはり、国際的な安全保障という面からその土台の部分をしっかりと国がになっていくということは、これは国にしかできない責務だと思いますので財源の確保も含めて、措置がされたという風に、私としては評価をしているという風に申し上げたということであります。
○中山間担当理事 市町村の経済的価値等で測れない役割ということだったと思いますが え、午前中にあの知事も、知事は思いとして申し上げましたが、基礎的自治体としての市町村が残す道もあるのではないかというようなことを知事は思いとしておっしゃったかと思います。私も、基礎的自治体が果たす役割というのは非常に大きいものがあると思っておりまして、時間軸のスパンは別としましてですね、経済効率だけで、例えば、あの合併していくとかいう方法は、そうそういう方法もあり得るのかもしれませんけれど、そうではない方法もあり得るのではないかという風に考えております。
○林業振興・環境部長 ご意見はですね。高知県環境影響評価技術審査会で出されたものでございますので、事務局の方からですね、会長ともご相談をしながらですね、研究を進めていきたいと考えております。
●はた議員 再度お聞きをします。
本当に予算がない地方にとって、国のこの予算の在り方っていうのは異常としか言いようがありません。知事は、その点について問題認識ないようでしたけれども、軍拡増税というものが必要だというお考えなのか、その点 1点お聞きをします。
あと最後に、消防広域化の問題ですけれども、消防現場の方が知らないまま、こういう 骨子案が報道されるということは本当におかしいと思わないのでしょうか。この点も、知事にお聞きしますけれども、知事は、2019年に知事に就任した時に、調和型に転換していくんだと、ボトムアップ型の県政をつくっていくんだと言われましたが、それとこの消防広域化の進め方っていうのは、現場が知らない、現場が求めていない そういう中で進められています。どこが、調和型でボトムアップ型かと思いますけれども 知事の見解をお聞きして全ての質問といたします。
○県知事 第1点目の国の予算に関しての重ねてのご質問でありますけれども、ウクライナ侵攻という事態を見た時に、例えば、場合によっては、全県避難ということをしないといけないというのが、私は今のこの世の中でも、絵空事の話ではないということを再認識いたしました。
そうしたことを考えました時に、防衛費もずっと 5兆円ぐらいの水準で10年20年続いてきておると思いますが、色々お聞きする中で様々な装備の経費等々も不足をしているというような話も聞かされました。そうした中で必要な経費として、装備の整備費として積み上げをし、先ほども申し上げましたように、国民に税負担の増を求めるというところまで含めて計上されたということでありますから、国が国として必要な国民の生命・財産を守るって最も基本的な任務を、責任を持って果たそうという決意が表れているものという風に、私としては理解をしているところでございます。
もう1点、消防の広域化について申しますと、お言葉ではありますが、ご議論のような話になりますと、県として何らの提案も全くできないというのは、私はおかしいと思います。元々、私は、この話を消防政策課の方から報告を受けました時に、現場を預かる消防長さん方がもう高知県の現状を考えるときに消防の広域化、これを県一で考えるということを真剣にやっていかないと、もうだめな時期なんだということで、おおむね消防長さん方の意見も集約されているという風な報告を受けましたので、そういうことであれば、県として具体案をたたき台として示して議論を始めなければ、これは始まりようがないという思いで提案をさせていただいた。そして、これはあくまで スタートの議論の土台がないと私は進められないということで、県として最善と考える叩き台を提示をさせていただいた。これが、強権的とかトップダウンと言われるんでは、私は甚だ残念でございます。
こうした形で今から、具体的な現場の皆さん含む意見の聴取も含めて、パブリックコメントも頂いておりますから意見も伺いながら、丁寧に進めていくという考えであることはかねて申し上げているとおりでございまして、その問題提起ないし、叩き台の提示をしたということが、今回の骨子案の提示ということでありまして、このパブリックコメントで頂いた消防の職員の皆さんから見て、県としてこの今の時点でどう考えるかということはしっかりと Q & Aの形でまとめて、お返しをしたいという風に思っております。