議会報告

  • 2024年12月27日
    2024年12月議会 はた愛議員の「高額療養費制度の自己負担限度額の引上げに反対する意見書(案)」賛成討論

 日本共産党のはた愛でございます。私は、議発第5号「高額療養費制度の自己負担限度額の引上げに反対する意見書(案)」に賛成する立場で討論を行います。

 

現在、厚生労働省は、高額療養費制度の自己負担限度額の引上げを検討しています。

高額療養費制度は、大きな手術などで高額な医療費がかかった場合に、所得に応じて一定の上限を定める制度で、世代を問わず全ての国民に関わる公的医療保険制度のセーフティネットです。この自己負担上限額が引き上がれば、高額の医療費によって治療を断念せざるを得ないなど、国民の命と健康にとって大きな懸念が生じます。

 現行では、負担限度額を五つの所得区分で定めており、例えば、真ん中の層である70歳未満で年収約370万円~770万円の方の自己負担限度額は、仮に30万円の窓口負担がかかった場合(医療費全体は100万円)には、一ヶ月87,430円となっていますが、厚生労働省案では、この区分で最大、一ヶ月約12,000円もの引き上げが検討されています。

 国は、この高額療養費制度の自己負担限度額の引上げを含め、この間の、一連の社会保障の給付削減を「全世代型社会保障改革」の名で正当化しています。

この「全世代型社会保障改革」には、後期高齢者の保険料の引上げや国民健康保険料の統一による国保料の引上げ、介護保険の利用者負担2割への負担拡大、生活保護の医療扶助費の削減など、高齢者だけでなく全世代に関わる全面的な社会保障費の削減が盛り込まれています。「現役世代の負担軽減のためには、引き上げはやむをえない」などとし、現役世代と高齢者の対立を煽りますが、今回の自己負担限度額の引上げによって、給付費の削減額は6,200億円、保険料の削減が4,300億円とされていますから、その差額となる1,900億円は、国費の削減となります。つまり、国庫負担の削減です。

いずれは誰もが高齢者となり、また世代を問わず高額な医療を受けなければならない可能性が常にある中で、真に必要なのは、高齢者と現役世代の対立を煽り利用して、社会保障費を削減することではなく、国の責任において、財源を確保し、社会保障を抜本的に充実させることです。

 来年度の予算案には、防衛費約8.5兆円が見込まれていますが、他国に届く、複数の長距離ミサイルの取得費や、ミサイル配備に必要な火薬庫の増設費用等が盛り込まれ、憲法違反が強く疑われるものです。これら防衛費の削減と、富裕層・大企業への適切な課税強化で財源をつくり、国庫負担を抜本的に増額することこそ、持続可能な社会保障制度をつくる根本的な手立てだと考えます。

以上、述べたように「全世代型社会保障改革」の一環として狙われている、高額療養費制度の自己負担限度額の引上げは、国民が安心して医療にアクセスする権利を危うくするものです。国民、高知県民の暮らしを守る立場で、本意見書(案)への同僚議員、各位の賛同を心からお願いしまして、賛成の討論といたします。