議会報告

  • 2024年12月27日
    2024年12月議会 塚地佐智議員の請願賛成討論 特定利用港湾撤回、教育請願(2024.12.20)

私は日本共産党を代表し、議案第13号高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案に反対、請第2−1.2号「すべての子どもに行き届いた教育をすすめるための請願」、請第3−1.2号「教育負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成の請願」、請第4号「『特定利用港湾』指定同意の撤回を高知県に求める請願」については、不採択とした委員長報告に反対し、それぞれの請願に賛成の立場で討論を行います。

まず、議案第13号高知県警察手数料徴収条例について申し上げます。この条例案は、運転免許証をマイナンバーカードと一体化できることとなったことに関連して、発行や講習などにかかる手数料を変更するために改正を行うものです。現行の運転免許証を存続させてはいますが、政府が進める危険なマイナンバーカードの利用拡大を狙い導入されるものであり、さらに運転免許更新とマイナカードの更新時期との混乱や書き換え手続きの煩雑さの増大も懸念をされ、反対です。

次に、「すべての子どもたちに行き届いた教育をすすめるための請願」「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成の請願」について申し上げます。この請願は、それぞれ4886人、12078人の請願者が名を連ね、県議会に提出されました。教育委員会に対しては、ブラックと言われるまでになっている学校現場での働き方の改善、複雑化している教育課題に向き合うための少人数学級の拡大、産休の代替えも見つからず「先生のいない学級」が続出する非常事態の改善、義務教育でありながら年々増加する保護者負担、例えば、教材費や制服、部活動費、通学費用などが家計を圧迫しているため、その軽減を求めるなど緊急で切実な要望項目が記されていますし、知事部局に対する私学助成については、全国的には半数以上の都県で行われている入学金への助成や他県では年収910万円まで対象になっている修学援助金、いわゆる授業料補助の県単独助成が、高知県では700万円で切られており、この間の努力もありながら、なお、一層の公私間格差の解消を求めるもので、県としての努力方向に反するものでなく、より推進することを求めるものでその願意は、不採択とすべきものではありません。この10年間、本県の教育の充実と子育て支援の当初予算は200から250億円程度で推移しています。全国で最も出生者数が少なく、更なる子育て支援と教育環境の充実は、移住促進の上でも重要課題です。国においても「子ども真ん中社会の実現」が提唱されています。抜本的な教育予算の拡充で、請願項目を実施されるよう求めるものです。是非とも、賛同いただきたいと思います。

最後に、「『特定利用港湾』指定同意の撤回を求める請願について申し上げます。

特定利用港湾とは何か、それは紛れもなくこれまでの民生利用の商業港に新たな位置付けを行い一般の港と差別化を図るための指定に他なりません。

どういう差別化か、県が政府と交わした確認文書には「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合であって合理的な理由が認められるときには、民生利用に配慮しつつ、自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるように努める」と書かれており、政府の判断で武器・弾薬の輸送、部隊の展開にも「柔軟かつ迅速に」使用できる港、つまり準軍港としての位置付けを持つと港という差別化が行われたのです。高知港、須崎港、宿毛湾港という県内の3つの重要港湾が「特定利用港湾」に選定されたことにより、県民に重大な危険性がもたらされることとなりました。その危険性については、坂本県議の討論で解明されると思いますので、私は、このような重要な決定を、国との間で法的な問題の解明もせず、県民に周知や説明の機会も設けず、国の要請を優先し、2023年度内に結論ありきで進めてきたことを問題視し、白紙撤回を求めている点について申し上げます。

「特定利用港湾」の指定について、内閣官房、防衛省、国土交通省などから県に要請があったのは、昨年の10月23日、この時は「特定利用」ではなく特定重要拠点という名称でした。知事は、直後の記者会見で「国、県双方にメリットがある」と早々に前のめりのコメントを出されました。その後、県も国に対して情報公開も求められた経過はありますが、国との直接の説明を受けたのは、本年2月13日、港がある高知市、須崎市、宿毛市担当者へのオンラインによる非公開の説明にとどまっています。3月5日になって国は内閣官房のホームページにやっと26問のQ &Aをアップしましたが、それ以外は、今もって、国から県民への直接の説明は行われていませんし、知事もそれで良しとし、国に直接の説明を求めることを頑なに拒否をされました。

3月22日に、国に受け入れを表明をいたしました。国からの直接の説明もないままの強行に、県民の納得が得られないのは当然であり、撤回を求める声となっています。

さらに重大なのは、特定利用港湾の運用の枠組みについて意図的か認識不足かは図ることができませんが、県民への説明に重大な齟齬があった点です。2月29日の本会議での中根議員の質問に対し、知事は国からの説明として、「平時の際に港湾法などの既存の制度に則り、民生利用を主として自衛隊などの円滑な利用を調整するものであり武力攻撃事態といった有事を対象としていない。有事にはその時の状況に応じて必要な港湾施設を利用することになるため特定利用港湾の今回の位置付けと有事の際に使用されることの間に直接的な関係はない。新たな部隊配置などはないと聞いており軍事利用化につながることはないというふうに認識している」旨を答弁されました。この答弁を聞く限りでは、平時の利用の枠組みで、軍事行動と一線を画しているというメッセージとなります。

しかし、国は、有事とはまさに日本が直接武力攻撃を受けている事態を指し、平時の枠の中には、自衛隊が米軍への後方支援や日本以外で米軍と共に武力行使ができる重要影響事態、存立危機事態が含まれていることを明らかにしてきませんでした。特定利用港湾は、こうした事態に、訓練ではなく、柔軟で迅速な利用で武器・弾薬を含む物資の輸送や部隊の展開を行うことを含んだ指定なのであり、軍事利用の枠組みに組み込まれることになるものといえます。

知事が、この点を認識され国に確認をとり、国から「相違ありません」との回答がきたのは、2月議会の閉会日の3月21日、県が作成したQ &Aで公表したのは、国に受け入れ表明を行った当日3月22日です。

知事は、先日の本会議で、2月議会の私の質問の仕方に注文をつけられましたので、あえて言わせていただくなら、平時という言葉の法的な内容と本質を見抜くこともなく、受け入れありきで進んでいた無責任さこそ反省をしていただきたいと思います。平時という言葉の隠れ蓑で、本当の狙いが県民にも、県議会にも伝えられず、議論されないまま受け入れ表明を交わした確認書は撤回すべきとの請願は、県議会に寄せられた県民の付託に応えるものだと思います。同僚議員の皆さんの、ご賛同を心から呼びかけて、私の討論とします。