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- 2024年12月16日
- 議会(質問・討論)
- 2024年12月議会 岡本和也議員の代表質問(2024.12.11)
【質問項目】
・知事の政治姿勢・石破政権への評価
・核兵器廃絶と核被災者支援
・マイナ保険証
・脱原発と自然エネルギーへの転換
・大規模風力発電所建設について
・地震及び災害対策
・農政について
・民生委員、児童委員について
●岡本議員 日本共産党の岡本かずやです。日本共産党を代表して、質問をさせていただきます。
【知事の政治姿勢・石破政権への評価】
●岡本議員 知事の政治姿勢について、石破政権への評価をお聞きします。
先の総選挙での国民の審判により、「少数与党」の状況が生み出されました。衆院に17ある常任委員長のポストは、与党の独占状態が崩れ、政府予算案を含む国政全般を全閣僚出席のもとで審議する予算委員長を含む七つのポストが自公以外の政党に割り振られました。また、改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2以上の議席を占める状況も衆院で瓦解し、憲法審査会長も野党がとりました。
これまで、小選挙区制が作り出した「自民1強」のもとで国会審議を軽視し、数の力で法案を押し通す政治が横行しましたが、同じやり方は通用しなくなりました。新しい国会では、徹底した審議を通じて、国民の意見や要求を反映した政治を進めるという、国会の本来の役割を果たすため、すべての政党がその姿勢を問われています。
今回の審判は、裏金政治への怒りですが、国民の暮らしの大変さ、それに対する政治の無為無策への怒りが結びついた深く広いものです。新しい国会の景色を生み出すことに、日本共産党と「赤旗」が、裏金問題、非公認候補への2000万円振込問題などのスクープで貢献できたことは私達の大きな喜びと確信です。
同時に、新しい国会では、国民の願いを実現できる新たな可能性が生まれていることは重要です。
政治資金の問題では、自民党の裏金問題の全容がその改革の前提となりますが、改革の本丸は企業団体献金の禁止です。個人では不可能な金額の献金を営利企業が行い、政治に影響力を行使することは、個人の参政権を侵害するものです。日本共産党は一貫して企業・団体献金禁止を訴え、自らも実行してきましたが、今回の総選挙では自民党以外の各党が企業・団体献金禁止を公約しています。総選挙後に自民党が出してきた「改革」案は企業・団体献金を存続させ、企業・団体による政治資金パーティー券の購入と政党支部を通じての献金という二つの「抜け穴」を残すもので、まったく無反省な態度です。しかし、これまでのように採決強行で逃げることはできません。
◆企業・団体献金禁止の選挙公約を守り、実現させることが、政治の信頼回復にとって重要と思うが知事にお聞きします。
○県知事 岡本議員のご質問にお答えいたします。
まず、企業・団体献金の禁止について、お尋ねがございました。企業といえども、政治活動の自由があるというのが最高裁の判例となっておりますし、また、事業を営む個人からの政治献金に対する規制をどうするかということのバランスを考えますと、企業・団体献金を一概に否定すべきものではないというふうに考えております。
大切なことは事業活動を営む者からの献金によりまして、政策や行政運営がゆがめられることを防ぐということだと考えます。この観点からします と、法人、個人を問わず、政治資金を薄く広く募っていくという方向性が望ましいものと考えます。従いまして、私といたしましては、企業・団体献金については一律に禁止をするというのではなく、量的な制限、あるいは透明性の向上、こういった点を議論の俎上に載せるというのが適当ではないかと考えております。
いずれにいたしましても、政治規制法は民主主義のコストを賄うためのものでございますので、各党、各会派共通のルールということにもなります。従いまして、政治活動の実態を踏まえ、できるだけ、幅広い合意を得ることが必要だと考えております。その上で、国民の皆さんの理解が得られる内容となるように、国政の場でしっかりと議論をしていただきたいというふうに考えます。
●岡本議員 10月29日、国連の女性差別撤廃委員会は日本政府に対する「総括所見」を出し、選択的夫婦別姓の早期導入を求める4度目となる勧告を行いました。委員会は「これまでの勧告に対し何らの行動もとられていない」と指弾し、2年以内の追加報告を求めました。
日本がいまや世界で唯一の“夫婦同姓強制の国”であることは法務省自身が認めるところです。経済界も早期実現を提言しています。朝日新聞7月実施の世論調査で賛成が7割と反対の2割を大きく上回っています。政治がこの声に応える番です。「選択的夫婦別姓」と「同性婚」を進めない政治家を落選させる「ヤシノミ作戦」に取り組んでいるIT企業・サイボウズ社長の青野慶久(よしひさ)さんの集計によれば、今回当選した衆院議員のうち「選択的夫婦別姓」賛成65%、反対13%となっています。参院議員は、賛成53%、反対17%です。主要政党で反対しているのは自民党や維新の会です。
◆選択的夫婦別姓の実現に踏み出すべきです。政治への諦めを打ち破り、信頼を取り戻すうえでも大きな意義があると考えます。知事の認識をお聞きします。
○県知事 次に、いわゆる選択的夫婦別姓制度の導入について、お尋ねがございました。
女性の社会進出が進む中で、結婚した後も結婚前の姓を使用したいという要望にしっかりと応えますためには、現行制度の不便さ、あるいは不利益を解消することが不可欠だと考えます。選択的夫婦別姓の導入はそうした面で女性のニーズを、端的に実現をする1つの手段であるという風に考えますが、片方では伝統的な家族間を尊重する立場から、依然として 根強い反対意見があるというのも、実情だと考えます。
このため、私自身はこれまでも、例えば 旧姓の通称使用の範囲を究極まで拡大するといった手法も含めて二者択一の議論ではなく、具体的な制度設計案に基づいて議論を深めるべきではないかという風に申し上げてまいりました。
一方、最近では自民党の総裁選挙で選択的夫婦別姓制度の導入が争点の1つとなりましたり、先の総選挙の結果、衆議院では導入に賛成する党派の議員が過半数を占めるに至った といった情勢の変化も見受けられるところであります。
こうした状況も踏まえながら 国政の場におきまして、具体的な制度設計案も含めた議論を、加速をしていただきまして、旧姓使用を望む女性のニーズに応えられますように、しっかりと前に進めていただきたいというふうに考えております。
●岡本議員 高すぎる学費のさらなる値上げが大問題となっています。国立大学では、2019年以降、7大学で、私立大学でも早稲田、慶応、明治、立命館、同志社などで値上げが相次ぎました。9月に東京大学が値上げを発表したことで値上げ連鎖が起きかねない状況です。今でさえ、アルバイトと奨学金や教育ローンの借金なしには大学に通えない学生が多数で、大学に通うためのアルバイトで大学に通えなくなるという悲劇すら起きています。
重要なのは、大学が値上げに踏み切らざるを得ない原因は政治にあることです。日本の高等教育予算はOECDの中でも「最低水準」です。2004年の国立大学法人化後、1600億円も運営費交付金を削減、私学助成も経常費の1割以下に抑制されたままです。物価高騰のもと、値上げを選択せざるを得ない状態に追い込んだのです。この状況が続けば、日本の大学教育、学術研究、科学技術に未来はありません。
総選挙では主要政党のすべてが高等教育の「無償化」「負担軽減」などを公約しました。そのもとで、学費値上げという真逆の事態を許せば、国民は何を信じたらいいのでしょうか。無償化は財源問題もあり、十分な議論と調整が必要ですが、値上げ回避のための緊急の手だてには大きな予算は必要ありません。日本共産党は、1000億円程度で、国公私立大学、専門学校の来年度の値上げを回避できると提案し、各党に協力をよびかけています。東京大学の値上げ計画は、国立大学の授業料標準額からの上限にあたる2割増の10万7千円ですので、提案は、値上げをしていない大学、値上げ計画を撤回した大学に、新入生一人あたり、値上げ額に相当する10万7千円の緊急助成を行うものです。
◆高すぎる学費問題の解消とともに、来年度の値上げ回避は、政治の責任と思うが知事にお聞きします。
○県知事 次に、大学の授業料の値上げについて、お尋ねがございました。
大学の授業料の設定につきましては、各大学法人におきまして、学生の教育・学習環境の改善・充実など様々な事情を考慮して判断されているものという風に考えます。
一方で、教育を受ける権利の確保という観点からいたしますと高等教育にかかります学生の経済的負担はできるだけ軽減されることが望ましいというふうに考えます。
このため、全国知事会を通じまして、国が実施いたします授業料の減免、あるいは給付型奨学金の制度の充実を図りまして、高等教育の授業料の無償化を、実現をするということを提言をいたしているところでございます。
こうした 高等教育に係る教育費の負担軽減につきましては、ただ今申し上げましたような知事会からの提言も踏まえていただきながら、財源の確保も含め、国の責任において実現が図られますように、国政の場で活発に議論 いただくことを期待をいたしております。
●岡本議員 来年度の地方財政計画について、昨今の社会保障費の自然増や子ども子育て支援策の拡充、防災対策やデジタル化推進など行政需要が膨らんでいるにもかかわらず、一般財源総額は、前年度を下回らないという程度に抑制、事実上削減されてきました。この間のアベノミクスの影響による円安・物価高騰が自治体運営を直撃しています。さらに名目賃金の引上げを反映した人事院勧告の実施などもあり、一般財源総額にふさわしい増額がまったなしとなっています。
話題となっている所得税の基礎控除額の引上げは、生計費非課税の原則から日本共産党は以前から縮小に反対し引上げをもとめてきました。問題は財源です。生計費に課税する消費税増税をあてれば低所得者の税負担が逆に大きくなります。社会保険料の発生する「130万円の壁」も含めて、国民的な議論が必要ですが、制度変更により、地方財源に穴が開くことはあってはならないことです。
◆来年度の地方財政の一般財源総額の確保について知事の認識と決意をお聞きします。
○県知事 次に、来年度の地方財政の一般財政財総額の確保について、お尋ねがございました。本県のように人口減少が進みます。地方自治体におきましては、教育福祉など、住民に必要な行政サービスの安定的な確保、地方創生の取り組み、災害への備えといった重要度が増しているところでございます。また、今後も脱炭素化の取り組み、デジタル化の推進といった多くの財政事情が見込まれます。
このため、これまで国に対しましては、全国知事会とも連携をいたしまして、来年度の一般財源総額の安定的な確保を提言をしてまいりました。その結果、骨太方針2024 では、来年度の地方の一般財源総額につきまして、令和6年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することとされました。この考え方に基づきながらも、人件費や社会保障関係費の近年における増加、あるいは物価高騰への対応といった点も含めまして、今後対応が必要となる財政需要について、しっかりと所要額が確保されることが重要だと考えます。このような考え方に立ちまして、引き続き国の動向を踏まえながら必要に応じて国に対しての働きかけも行ってまいる考えであります。
●岡本議員 現在、国会では補正予算案が審議されています。長期にわたる賃金の低迷に物価高騰が加わり、実質賃金が減少し続けるもと、求められているのは国民の暮らしを支え、所得を増やすことですが、今回の経済対策では全く不十分です。しかも補正としては過去最大8268億円もの軍事費まで盛り込まれています。同時に、地方団体からの要望の強かった「重点支援地方交付金」が1兆908億円増額されています。
◆第一次産業、医療・介護・保育施設・学校、中小企業や商店、生活交通事業者などの物価高騰への支援策とともに、県立学校の給食費の無償化や市町村と調整しながら住民税非課税世帯ではない一人親世帯への給付金に取り組むことも考えられます。今年度の重点支援地方交付金をどのように活用するのか知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、今年度の重点支援地方交付金の活用についてお尋ねがございました。
物価高騰の影響を受けました生活者・事業者を支援をいたします重点支援地方交付金につきましては、昨年度分は約35億円が本県に公布をされました。生活者支援に 7億円、事業者支援に28億円を活用をさせていただいたところでございます。
今年度は現時点では本県への交付総額がまだ示されていない中でございますが、例えば訪問介護事業所の負担軽減など、早期の対応が必要と考えられるものにつきましては、交付金を活用した支援策を本日追加提案いたしました。補正予算案に計上させていただいております。
今後、各分野における物価高騰の影響、あるいは、市町村の対応状況も見極めながら国から配分されます配分額を踏まえまして、生産性の向上など構造転換を促す対策も含めて、追加の対応を鋭意検討してまいります。
【核兵器廃絶と核被災者支援】
●岡本議員 次に核兵器廃絶と、核被災者支援について質問します
今年10月11日、ノーベル平和賞を日本被団協が受賞しました。日本被団協は今から70年前、1954年の「ビキニ事件」を機に原水爆禁止の行動に広範な国民とともに立ち上がり、みずからの体験を通して人類の危機を救おうと結成されました。
受賞理由は、「核兵器のない世界の達成への努力と被爆体験の証言を通じ、核兵器の使用を許さない倫理的規範を強めた」ことです。日本共産党県議団はこの受賞を心から歓迎するものです。
ノーベル委員会は、この受賞によって「自らの痛ましい体験と苦痛に満ちた記憶」を伝え平和の希望と運動を育んでいるすべてのヒバクシャを称えたいと言っています。
◆日本被団協のノーベル平和賞受賞に対する知事の思いをお聞かせください。
○県知事 次に日本原水爆被爆者団体協議会、日本被団協のノーベル平和賞受賞に対する思いについて、お尋ねがございました。
まず、今回の日本被団協のノーベル平和賞のご受賞を心から喜びを申し上げたいと存じます。また、これまで被爆の実態の啓発、あるいは被爆者の苦難の道のりへの理解の促進に向けた取り組みを展開してこられたことに敬意を表したいというふうに存じます。
本県におきましては、日本被団協に加盟をいたします。被爆者団体高知県原爆被爆者の会 が活動されておりますが、メンバーの高齢化が進んでおられます。そのため、被爆体験を直接お聞きできる方は少なくなっておりますけれども、その思いを被爆者の2世3世の方々が引き継ぎ活動をしてくださっておられます。
県といたしましても、将来に渡り、原子爆弾による被爆の実態を語り継いでいく必要があると考えます。このため、今後も日本被団協の皆さんのご活躍を大いに期待を申し上げているところであります。
●岡本議員 今回の受賞は、ロシアの核による威嚇など、核兵器使用の「タブー」が深刻な危険にさらされていると強い警告を発している事も忘れてはならない点です。
私は今年8月に広島で開催された原水爆禁止世界大会に、県内の高校生はじめ県民のみなさんと参加しました。改めて原爆資料館で様々な資料を見、又数少ない被爆体験者のお話を聞く中で人間の愚かさを知り二度とこのような惨禍を繰り返してはならないと強く思いました。
世界大会で採択された『広島決議』では、「世界は核破局の瀬戸際ともいえる状況にある。核兵器はいかなる状況においても決して使用してはならない、すべての核兵器を一刻も早く廃絶しなければならない。希望の光である“核兵器禁止条約”を力に核兵器のない平和で公正な世界への道を切りひらくため、ただちに行動するよう」呼び掛けています。
来年は被爆80周年です。被団協のみなさんは、「日本もアメリカといっしょに核兵器禁止条約に署名・批准を」「来年開かれる核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加を」と訴えられています。
◆被爆者のみなさんのこの切実な思いをどう受け止めているのか知事にお聞きします。
○県知事 次に、被爆者の皆さんの核兵器廃絶に向けた 切実な思いをどう受け止めるのかといったお尋ねがございました。核兵器は一瞬のうちに国土と社会、そして人々を灰燼に帰します。その復興に幾多の時間を要することでもありますので、核兵器のない社会の実現は被爆者だけではなく、世界人類共通の願いだというふうに思っております。
我が国は世界で唯一の戦争を被爆国といたしまして、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の核軍縮不拡散の取り組みを主導する必要があると考えます。核兵器禁止条約は核兵器のない世界への出口ともいえる重要な条約でありますが、その一方で、この条約には現在の核兵器保有国は一刻も参加しておらないということでございまして、未だその出口に至る道筋が立っていないというのが現状だと考えます。
核兵器のない世界 の実現に向けまして、我が国の政府には引き続き、核兵器の保有国と被保有国の間の橋渡し役を担っていただきまして、より一層、実効性のある取り組みが積み重なっていくよう期待をいたしております。
【マイナ保険証】
●岡本議員 次に、マイナ保険証について質問します。
石破内閣は今年12月2日から健康保険証を廃止しました。今後は原則的にはマイナ保険証を利用するとし健康保険証の新規発行を停止させました。健康保険証が廃止されるとなれば、今1種類で済んでいる資格確認の方法が9種類にも増え、マイナ保険証、資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータルのPDFファイル、マイナポータルのダウンロードなどなどの組み合わせが発生します。命に関わる資格確認の場で、複雑で、利用する国民自身がわかりにくい、使いにくい制度になることは大問題です。今の健康保険証は、1種類の紙のカードというシンプルな形でありながら、大きな不具合がないことが一番のメリットです。本人の写真がないことによる不正利用も、国の公式データでは全国で年間わずか10件程度しかありません。日本が長年かけて作ってきた、国民皆保険を支える極めて優秀なシステムです。
これまで通り、紙の健康保険証を残せば、「資格確認書」も「資格情報のお知らせ」も「マイナポータルのPDF」も、全て、紙の保険証廃止で生じる穴をふさぐために作るものですから不要になります。
◆マイナ保険証と今の保険証の2種類で済むほうが、コストも少なく利便性でも優位であると思いますが知事の認識をお聞きします。
○県知事 次にマイナ保険証の問題に関しまして、マイナ保険証と従来の保険証の2種類を使用できる方がコストも少なく、利便性も有利ではないかといったお尋ねがございました。
医療DXの推進を目的といたしまして、今月2日から、従来の保険証は新たに発行はされなくなりました。マイナ保険証を基本とする仕組みに移行されたところであります。併せまして、マイナ保険証をお持ちでない方には 資格確認書が交付をされるという扱いとなっております。
こうした資格確認書の交付には、一定のコストが生じますけれども、マイナ保険証には過去の病歴に基づく、より質の高い医療が期待できるといった、こうしたコストを大きく上回るメリットがあるというふうに考えております。このようなメリットを考えますと、将来あるべき姿はマイナ保険証への一本化ということではないかと考えておりまして、そうした際には、過渡期において必要であった資格確認書の交付のコストは生じなくなるものというふうに受け止めております。
●岡本議員 2点目に問題となるのが、トラブルの回避が難しくなる点です。マイナ保険証のトラブルは一向に減らず、全国保険医団体連合会のアンケート調査でも、今も6割、7割の医療機関でトラブルが発生しており、その際、83%のケースは保険証を見せて解決しているとの結果となっています。現在10%台の利用率でこれだけのトラブルです。利用率が上がればトラブルも増えるのは自明です。すでにマイナカードの有効期限切れのトラブルも発生しており、現行の保険証のように退職まで使えたり、役所から毎年自動的に送られてくるのではなく、5年ごとに役所や役場にいって更新手続きをしなければならず、超高齢化社会のもとで有効期限切れのトラブルが続出することになります。
また、マイナ保険証は、医療情報などハイレベルの個人情報へのアクセスや銀行口座の開設など、「最高レベルの身元証明書」となるのに、暗証番号が4ケタの数字だけというセキュリティは極めて脆弱なものです。それを常に持ち歩かなければならないものにした事による危険性、高齢者施設などでは預かり管理は責任が持てないとの指摘もあります。
◆こうした危険性を高齢化先行県の知事としてどのように受け止めておられるのか、知事にお聞きします。
○県知事 次にこのマイナ保険証につきまして、高齢化の先行権としてリスクをどのように受け止めているのかとお尋ねがございました。
高知保険医協会の今回のアンケート調査の結果によりましても、システム上で名前が表示されないといったトラブル、あるいはマイナンバーカードの有効期限切れといったトラブルが報告をされております。
こうしたトラブルの解決方法につきましては、以前から国のホームページなどを通じまして、情報提供がされております。例えば、名前が表示されない場合は、医療スタッフが目視で顔認証をするというような方法が助言されております。また、有効期限切れにつきましては、事前に個人ごとに通知が行われておるところでございます。
また、マイナンバーカード自体には医療情報などのプライバシー性の高い情報は入っておらないということでございますので、ご高齢の方でも持ち歩きなどに過度にご心配をいただく必要はないというふうに考えております
●岡本議員 保険証を残すと、マイナ保険証とダブルで交付することになるのでコストが無駄になる、という人がいますが、それは勘違いです。マイナ保険証を使いたい人は使えばいいわけですが、そういう人にも全員に「資格情報のお知らせ」が交付されます。
一方マイナ保険証を持っていない人にも協会けんぽは、全員に「資格情報のおしらせ」を発行しています。国保や後期高齢者医療制度では、「資格確認書」という別の紙が交付されます。これら2つの紙に書かれている内容は、従来の保険証と全く同じです。つまり、保険証を廃止しても結局、保険証と全く同じ内容の2種類の紙が全国民に交付されるわけで、全体数は減らないうえに、2種類に分かれる分だけコストは増えます。さらに「資格確認書」の発行には、マイナカードと保険証の紐づけ情報をチェックするための作業、システム改修費の負担も増えます。
◆従来の紙の健康保険証を存続させる様強く要請すべきと思いますが、知事の対応をお聞きします。
○県知事 次に、従来の紙の保険証を存続させるよう、国に要請すべきではないかという お尋ねがございました。マイナ保険証はただ今も申しましたとおり、質の高い医療の提供を可能とするというメリットのほか、例えば、意識不明の救急患者の既往歴でございますとか、処方の内容が確認ができるといったことから、救命率の向上にもつながってくるという大きなメリットが期待をされます。そのため、ただいま、申し上げましたように、将来的にはマイナ保険証に一本化をしていくということが望ましい方向だと考えますが、まだマイナ保険証をお持ちでない方も、現在多数おられます。そうした方には資格確認書が交付をされまして、その効力は従来の保険証と同等とされているとこでございます。
従いまして、現状全体としますと、私といたしましては、国に対して、これまでの健康保険証を存続させることについて要請する必要はないのではないかというふうに考えております。
●岡本議員 ◆「マイナ保険証でなければ、受診できなくなるのでないか」との不安も広がっています。現在、全国のマイナ保険証の登録件数はどういう状況か健康政策部長にお聞きします。
○健康政策部長 まず、全国のマイナ保険証の登録件数についてお尋ねがございました。本年 10月末の全国のマイナ保険証の登録件数は7747万件で全国民に占める割合は62%とおよそ3人に2人がマイナ保険証の登録をしているところでございます。
◆従来の保険証でも最大1年間有効であり、マイナ保険証を持っていなくても「資格確認書」で今まで通り受診できることの広報が大切です。また、様々な問題が明らかになる中、マイナ保険証の利用登録をしていた人が、「資格確認書」の交付を受けるために登録解除する事例が広がっており、簡単に解除ができることを周知する必要があると思いますが、併せて健康政策部長にお聞きします。
○健康政策部長 次にマイナ保険証を持っていなくても、資格確認書で受診できることや マイナ保険証の登録解除ができることを周知することについてお尋ねがございました。
議員からお話がありましたように、マイナ保険証を持っていなくても、これまでどおり 受診ができることを周知することは大切と考えております。現在、国においては、新聞やWeb リーフレットといった各媒体を通じ、資格確認書で受診ができることや、登録の解除ができることの広報を行っているところでございます。県としましても、こうした広報を市町村とともにしっかりと行ってまいりたいと考えております。
【脱原発と自然エネルギーへの転換】
●岡本議員 次に脱原発自然エネルギーへの転換について質問します。
私は今年2月定例議会でも能登半島地震が原因で志賀原発施設内に危機的状況が発生した事を受けて、今後想定される南海トラフ地震での伊方原発に対する認識と原発から自然エネルギーへの転換を求める質問を行いました。そこで今回は改めて、私が能登半島での被災状況を調査したうえでの質問とさせて頂きます。
私は細木県議と7月22日から4日間、能登半島の被災現場に伺い現地の悲惨な状況を調査してきました。特に原発関連で感じた事を紹介します。それは地表の隆起の大きさについてです。
具体的な隆起について、2003年に断念された原発予定地の珠洲市高屋で1メートル。同じく寺家(じけ)では2メートルの隆起が起こっていました。地元の話では「原発を断念させて良かった。今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に陥った。もし原発が実現していたら、重大事故が起きて住民の避難がより困難になった可能性もあった」と切実な声でした。又、志賀原発では隣接する輪島市鹿磯(かいそ)漁港で4メートル近い隆起が起こり、志賀町の風無(かざなし)漁港・西海(さいかい)漁港・福浦(ふくら)漁港でも60ないし70センチの隆起が起こり。志賀原発の敷地内でも79か所もの隆起が起こっていました。
志賀原発内部はまだ深刻で「2号機の外部電源を取り入れる主変圧器は一式取り換え、復旧に2年かかる」「止まっていたタービンはボロボロ」「2号機は止まっていてよかった」との声です。伊方原発が設置されている佐田岬半島は国も認める日本有数の地滑り多発地帯です。能登半島と同じ様なことが伊方原発で起こった場合にどうなるのか。伊方原発では11月9日夜に四国で発生した大規模停電の影響により外部電源回線の一部が停止し「保安規定に定める運転上の制限から逸脱した」と発表しました。この停電を受け「伊方から原発をなくす会」の原発廃炉を求める要請書には「過酷な原発事故の原因になるもので深刻」などと指摘されています。
◆この停電のことも含めて伊方原発への知事の認識をお聞かせください。
○県知事 次に脱原発、自然エネルギーのへの転換に関連いたしまして、四国での大規模停電の影響を含めました。
伊方発電所の安全性に対する認識について、お尋ねがございました。11月に発生をいたしました四国の大規模停電におきましては、伊方発電所に電源を供給している複数のルートのうち、1つから受電ができない状態が約40分間継続したというふうにお聞きをしております。
しかしながら、この間も、他のルートから電源供給は行われておりまして、四国電力によりますと、この原発の安全運転への影響はなかったということでございます。また、伊方発電所は福島第一原発の事故後に定められました国の厳しい新規制基準に基づきます安全対策が講じられております。
具体的には外部からの電源供給がなくなった場合に備えまして、非常用電源を敷地内の高台に複数確保するといった対策がとられておりまして、安全性は確保されているものと理解をいたしております。
四国電力には、今回の大規模停電や本年1月の能登半島地震で新たな知見が得られた場合には、その内容も踏まえて、引き続き、安全対策に万全を期していただきたいというふうに考えております。
●岡本議員 私が原発問題でもう一つ言いたいのは使用済み核燃料への処理方法が行き詰っていることです。貯蔵されている使用済み核燃料は、伊方原発では2028年には満杯になることが予想されています。核燃料サイクルはすでに破綻しています。核ゴミ最終処分で全国初、4年に及んだ文献調査の報告書を提出した北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かみえない)村は概要調査を進めるとしました。しかし北海道鈴木知事は核ごみ受け入れの「反対は変わらない」との対応です。日本共産党の不破哲三さんが「原発はトイレのないマンション」だと指摘した状況のままです。
◆この様な状況下では伊方原発3号機の運転には未来が有りません知事の見解をお聞かせください。
○県知事 次に使用済み、核燃料の処理方法が確立しない状況下での伊方原発3号機の運転への見解がどうか、というお尋ねがございました。
伊方発電所におきましては、現在使用済み、燃料を一時保管する新たな貯蔵施設の建設が進められておりまして、これの完成を見込みますと、直ちに保管場所が満杯になるという状況ではないというふうに考えております。
他方でこうした一次保管には限界がございますので、原子力発電所から発生をいたします使用済み燃料の処理方法の確立は、我が国のエネルギー政策において避けては通れない課題だという認識を致しております。このため、国の責任におきまして、使用済み核燃料を再利用します。いわゆる核燃料サイクル、あるいは最終処分場の確保の取り組みを着実に進めていただく必要があるというふうに考えております。
●岡本議員 この間、国の原発への対応も変化しています。2011年福島第一原発事故後「可能な限り原発依存度を低減する」として来ました、それが今回の衆議院選挙では「原発依存度の文字は消え」「新たな制度に基づく運転などに取り組み既存の原子力発電所を最大限活用する」など福島第一原発の大惨事でいまだに4万人が避難生活を送っている事や880トンもあるデブリの撤去等、忘れたような政策変更です。
この様な「原発回帰」の背景には現在国会でも大きな議論になっている企業からの政治献金が存在するのではないでしょうか。2021年政治資金を見るとその事が想像できます。具体的には原子炉メーカーでは「革新軽水炉」の開発を手掛けている日立製作所は4000万円。同三菱重工業は3300万円。原発建設に使われる鉄鋼を供給する日本製鉄は前年度より700万円増の2700万円、同JFEスチールも250万円増の750万円。核燃料を調達する三井物産、三菱商事、丸紅が各2800万円。経財産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の原子力小委員会の「革新炉ワーキンググループ」に役員を送っている、みずほ銀行2000万円。原発を建設する、鹿島建設、大林組、清水建設は各1800万円など、会員企業の献金総額は6億3794万2000円に上っています。
◆この様な原発関連の企業献金について知事の認識をお聞かせください。
○県知事 次に、原発関連の企業献金への認識について、お尋ねがございました。
企業献金につきましては、先ほどもお答えいたしました通り、私自身は、企業といえども 政治活動の自由がある、そして、薄く広く政治資金を募るという意味におきましては、一概に否定すべきものではないというふうに考えております。
また、お話のありましたような企業からの献金が自民党の政治資金団体に対して行われたということは、報道を通じて承知をいたしておりますけれども、国のエネルギー政策はその時々の社会経済情勢、あるいは国民、各界、各層の意見などを踏まえて決定をされてきたものであるというふうに考えております。
●岡本議員 地震大国日本での原発事故の危険性や使用済み核燃料の処分などを見る限り、原発の稼働は行き詰まりを見せています。地球温暖化が加速し自然エネルギーへの依存度を高める事は喫緊の課題です。
国際再生可能エネルギー機関のデータによる再生エネルギー比率はアイスランド100に対して日本はたった22です、日本の比率は低すぎます。しかし、日本は2004年までは太陽光発電の導入量が世界トップで、その7、8割は住宅用でした。採算が取れないところでも市民が中心となって再生エネルギーの普及に取り組んできた実績があります。
高知県は日本でも有数の自然エネルギー資源を有しています。11月26日の地方紙にも掲載されていた次世代太陽電池ぺロブスカイト型について、是まで開発も進められていました、それを経済産業省が2040年度に累計20ギガワット、原発20基分の発電容量を導入目標に掲げ、次期エネルギー基本計画に反映していくとの報道がなされました。
◆この様な動きを後押しする為にも脱原発、自然エネルギーへの転換を国にも提言し、県としても独自に推進するべきだと思いますが知事の見解をお聞かせ下さい。
○県知事 次に脱原発、自然エネルギーへの転換に向けました国への提言、あるいは、県独自での取り組みについて、お尋ねがございました。再生可能エネルギーの主力電源化に向けました様々な課題の解決には、一定の期間が必要になると見込まれております。
このため、現状におきまして、全てを再生可能エネルギーに直ちに転換するということは困難でありまして、その意味で、当面の間、繋ぎとして原子力発電も一定程度活用せざるを得ないというのが現実であるというふうに考えております。
こうした中、本県では脱炭素社会推進アクションプランに基づきまして、太陽光発電をはじめといたします再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいりました。
また、再生可能エネルギーを最大限活用するための送電網の増強、あるいは需要に応じた 調整力の確保などについて、国への政策提言も行ってまいったところでございます。今後も再生可能エネルギーの更なる拡大に向けまして、必要な国への提言を行いますとともに県のアクションプランにおきます関連施策のバージョンアップを図ってまいる考えであります。
【大規模風力発電所建設について】
●岡本議員 次に、大規模風力発電所建設計画(仮称)嶺北香美ウィンドファーム事業について質問します
この計画は香美市・大豊町間の奥神賀山(おくじんがやま)・大ボシ山、鉢ヶ森(はちがもり)一帯の稜線部に株式会社GF(徳島県阿南市)が出力15万4800キロワット(四国最大級)で、4300キロワット級の巨大風車(最大高180メートル)を最大36基建てる計画のものです。
現在、環境アセスメントの配慮書手続きが始まり、12月20日まで計画段階環境配慮書の縦覧が行われています。風車が立つ稜線は1400メートルから1100メートルの高標高地域で、貴重なブナ林が残り、近接する御在所山(ございしょやま)や高板山(こうのいたやま)、神賀山(じんがやま)、計画地内の奥神賀山(おくじんがやま)には安徳天皇伝説、又、いざなぎ流とも結びつきがあるなど地元集落が営々と守ってきた文化的な遺産の多い地域です。
さらに重大なのは計画地の下流域にあたる旧香北町、物部川北岸の住民にとって、計画地南面の広範な山々は、各集落の飲料水、農業用水の貴重な水源であり、「命の水」の源であるということです。
この山を大規模に削って巨大風車を林立させ、山腹では、重機や風車搬入路として大規模な道路の拡幅が考えられます。
物部川北岸の住民からは「物部川北岸で懸命に暮らす人たちの『命の水』の水源を大規模に壊すもので、地域の将来にとって大変な問題だ」という悲痛な声があがっています。
さらに「物部川の治水や濁水問題は高知県あげての課題だが、山を壊すことで悪化させるおそれがある」、「風車に使われるPFASが水源に与える影響が心配」、「梶ヶ森山頂からの南面の眺望が一面の風車になる。景観が大無し」などの懸念も出されています。
これだけの大問題があるにもかかわらず、配慮書縦覧に先立ち開催された企業による説明会は、香美市5箇所、大豊町3個所。旧香北町内では永野、谷相(たにあい)、猪野々の3集落だけ。参加者も僅かな人数で、大多数の住民は説明をまったく受けていないのが実態です。そこで知事に3点の確認をします。
◆1つ目、経済産業省の風力ガイドラインは、事業にあたっては住民への説明を強く求めています。しかし住民不在、形式的で限定的な説明会のみでアセスメント手続きがすすみ住民の不安が高まっています。この状況についての認識をお聞きします。
◆2つ目、アセスメント手続きでは知事意見を付す機会が数回ありますが、どのようなスタンスで臨むのか、お聞きします。
○県知事 次に、大規模風力発電所の計画に対します住民の皆さんの不安とアセスメント手続きへのスタンスにつきまして、お尋ねがございました。関連をいたしますので、2つ合わせてお答えをいたします。
一定規模以上の出力となります風力発電所の設置につきましては、環境影響評価法に基づきます、いわゆる環境アセスメント制度の対象になります。この制度に基づきまして、事業者は広く意見を聞くために事業計画を公表し、手続きを進める中で説明会を開催することが義務付けられております。
また、県からは市町村や専門家のご意見も踏まえまして、アセスメント手続きの各段階に応じまして、事業者あるいは国に対しまして、事業計画に係る意見を述べることとなっております。今般、手続きが開始をされました風力発電所につきましては、地域の皆様への説明を具体的かつ丁寧に行い、計画に対する理解を得た上で進めることを事業者に求めたいというふうに考えております。併せましてご指摘がありました水源や環境などへの影響につきまして、地域の皆様の懸念が生じないように適切な調査、予測評価を行い、影響を回避、または極力低減することも求めたいというふうに考えております。
今後も 事業者が地域の皆さんのご意見をお聞き、地域に十分配慮した計画が立てられますように、アセスメント手続きの各段階において、適切に県としての意見を述べてまいる 考えであります。
●岡本議員 ◆3つ目に県のガイドラインは太陽光のみで風力に関してはないため、県としての関与がアセスメント以外になく極めて限定的です。高知県がめざす地域と調和した再生可能エネルギーを推進していくためにガイドラインを風力にも拡大し住民の不安に寄り添う対応をとるべきではないかお聞きします。
○県知事 次に県のガイドラインを風力発電にも拡大をしてはどうかとお尋ねがございました。県におきましては、平成28年の3月に太陽光の発電施設の設置運営などに関しまして、ガイドラインを策定をいたしております。
この背景には、当時は太陽光発電施設の設置運営に関するガイドラインがなく、地域住民と事業者との間でトラブルが発生したといった事情がありまして、県独自に策定をしたということであります。
その後、平成29年3月には国におきまして、太陽光や風力など事業ごとの事業計画策定ガイドラインが定められておりまして、事業者はこの国のガイドラインの遵守が求められるという状況に至っているところでございます。国の風力発電にかかりますガイドラインでは、環境・景観への影響等について、地域住民への説明会を開催するなど、事業について理解を得られるように努めることとされております。
県といたしましては、風力発電事業の計画に当たりましては、この国のガイドラインに則って進め、発電事業が地域と調和したものとなりますように、事業者に求めて参りたいと考えております。
【地震及び災害対策】
●岡本議員 次に地震及び災害対策について質問します
国土交通省は11月1日、能登半島地震を受けて実施した上下水道施設の耐震状況に関する緊急調査結果を公表しました。避難所や病院など災害時に拠点となる「重要施設」のうち、施設につながる管路の耐震化が上下水道とも完了していたのは14.6%にとどまり、災害発生時の安定的な水道供給に課題があることが分かったと11月3日の時事通信で報道されました。
高知県の対象施設は16市町村175カ所で、耐震化完了は16カ所、9%にとどまっています。とりわけ高知市が105カ所と過半をしめ、工事完了は6か所と大変遅れています。
◆市町村事業ではありますが、県として水道施設の耐震化について必要な支援策を検討すべきではないか土木部長にお聞きします。
○土木部長 まず、水道施設の耐震化について、お尋ねがございました。
水道事業については、水道管の老朽化対策や給水人口減による料金収入の減少、職員の不足などにより小規模な市町村であるほど、耐震化対策が進んでいない傾向にあります。1月の能登半島地震では、断水が長期化したことを受け、国から全市町村に対し、上下水道システムの耐震状況に関する調査依頼があったところです。
この調査結果を踏まえ、国から新たに上下水道耐震化計画を、令和7年1月末までに策定するよう、全市町村に対し依頼がございましたが、中小規模の市町村では策定に関する技術力や体制が不十分なのが実情であります。そのため、それらの中小規模の市町村に対し、県の関係各課及び高知市の協力のもと、制度面、経営面、技術面での助言を行い、計画策定の支援を行っているところでございます。
さらに、耐震工事の実施にあたりましては、市町村の技術者不足をカバーする取り組みといたしまして、本年度開始した高知県建設技術公社による積算、現場監督などの発注者支援体制を活用いたします。
なお、市町村の財政負担の軽減を図るため、耐震化に必要な予算への国の補助金交付金の交付率引き上げや要件の緩和などにつきましても、本年 5月に政策提言を行ったところでございます。県といたしましては、これらの取り組みによりまして、各市町村の水道施設の耐震化が一層進みますよう、引き続き支援してまいります。
●岡本議員 南海トラフ地震は、被害想定地域が広範囲に及ぶ事から、支援が滞ってしまったり、通常の3日間の備蓄では対応できないのでないか危惧します。とりわけ飲料水については、川・池の水、あるいは海水もろ過できる逆浸透膜による浄水装置を、それも太陽光などとバッテリーで運用できるような装置を構える必要があるのではないか。黒潮町では、そうした整備を行っていますが
◆現状と、浄水装置を整備する事について危機管理部長に見解をお聞きします。
○危機管理部長 まず、浄水装置の整備の現状と見解についてお尋ねがございました。
県では 南海トラフ地震の発生に備えて、水や食料などの備蓄方針を定めています。この中で、備蓄は個人で行うことを原則としつつ、家屋の倒壊や流出などやむを得ない事情により、備蓄物資が不足する方に対しては、公的備蓄や流通備蓄により対応することにしています。
浄水装置については、公的備蓄の手段の一つとして、これまで訓練や研修会などを通じて、市町村に浄水装置の機能や使い方について情報提供を行ってまいりました。
また、浄水装置の整備に対する財源については、国の交付税により措置されていることも 周知して参りました。これらの取り組みを通じて、現在は 26市町村で120台整備されている状況です。
こうした中、能登半島地震では、浄水装置が、断水となった地域への給水活動として活用されたこともあり、被災地における水の確保において、有効な手段になりうるということを改めて認識いたしました。
一方で、給水活動で活用されている浄水装置は高額でランニングコストも必要となりますので、導入にあたっては十分な検討も必要だと考えられます。このため、今後は市町村が導入する際に、十分に検討がなされるよう、これまで提供してきた情報に加え、能登半島地震での活用状況や、収集できた価格面での情報なども紹介して参りたいと考えています。
また、市町村における財源の確保に向けては、引き続き10県知事会議(南海トラフ地震による超広域災害への備えを強力に進める10県知事会議)などと連携しながら、財政政支援の拡充を国に求めてまいります。
●岡本議員 避難生活では、水とトイレの確保が極めて重要です。
NPO法人日本トイレ研究所が、この9月、地方自治体の取り組みやトイレ衛生に関する意識状況の調査結果を発表しています。同調査では、想定避難者数に応じた災害用トイレの必要数を試算しているか、との問いに対して、「試算がある」と回答した自治体は61.2%、「試算がない」と回答した自治体は37.2%、「その他」が1.1%となっています。一方で、地域防災計画で想定する最大規模の災害が発生した際、発生後3日間、想定避難者に対して災害用トイレが足りる見込みか、との問いに対して、「足りる見込み」と回答した自治体は27.2%、「不足する見込み」と回答した自治体は53.6%、「分からない」と回答した自治体は18.2%となっています。災害用トイレの中でも、例えば、マンホールトイレは、災害直後に上部構造物として、便座や囲いを設置するだけで使用が可能です。さらには段差がなくて車椅子や高齢者も使いやすく、し尿はそのまま下水に流せるものもあります。
◆そこで、県内の市町村におけるマンホールトイレや簡易トイレなど、災害用トイレの整備状況と課題について、危機管理部長にお聞きします。
○危機管理部長 次に、市町村における災害用トイレの整備状況と課題についてお尋ねがございました。本県では、南海トラフ地震の発生当初に想定される約30万人分の避難者のトイレを確保するため、備蓄方針においてトイレの必要数を50人当たり1基と定め、市町村で簡易トイレなどの整備が進められているところです。
県では、この整備が進むように補助金により支援をしております。市町村では、この補助金を活用するなどして、整備を進められ、現在24市町村で整備が完了し、残る10市町村についても令和9年度末までの完了を目指して取り組まれています。一方、課題としては、整備される災害のトイレには 携帯トイレや簡易トイレなど比較的安価なタイプもありますが、中にはマンホールトイレなどその整備費用が高額なものもございます。
また、市町村での備蓄については、災害用トイレのほかに水や食料、毛布など多くの品目の備蓄が必要であり、財政負担が大きいともお聞きをしております。このため、市町村に対しては国による新たな交付金の活用を促すなど、災害用トイレの整備が加速されるよう取り組んでまいります。
●岡本議員 国土交通省は11月1日、能登半島地震による建物の被害状況に関する中間取りまとめを公表しています。
1981年以前の旧耐震基準で造られた木造建築物は19.4%が倒壊、81年の新基準では5.4%、2000年基準では0.7%。1981年以前の建物は39.3%が倒壊か大破し、被害がなかった割合は12.5%。被害がなかった割合は、1981年基準は26.5%、2000年基準では65.5%と顕著に差が出ています。現在の住宅耐震化助成は、津波から逃げる前提として家が一気に倒壊しないためのものです。
それとは並行して、住宅の事前復興の考え方にそった2000年基準の耐震化助成は、発災後の改修・建替え、避難所や仮設のコスト削減にもつながるものと考えます。
すでに東京都などが2000年基準の耐震改修の支援を始めています。
◆県としても、まず耐震診断士の派遣とその診断への助成など一歩ずつでも進めていくことを検討すべきではないか。土木部長にお聞きします。
○土木部長 次に住宅の耐震化への支援を進めていくことについてお尋ねがございました。能登半島地震による建物の被害状況に関する国土交通省の中間取りまとめでは、建築時期別の被害状況が報告されております。
それによりますと、1981年以前の旧耐震基準の木造建築物は、いわゆる2000年基準までのものより、倒壊または崩壊した割合が3倍以上も高く、旧耐震基準の木造住宅の危険性が再確認されたところでございます。現在、県の耐震改修助成制度は、倒壊する危険性の高い、旧耐震基準の木造住宅を対象に進めております。この制度には耐震診断士の派遣及びその診断への助成を含んでおります。なお、本年度は能登半島地震などによる防災意識の高まりを受けまして、この助成制度に当初の想定を大幅に超えた申し込みがございます。9月議会で予算を増額したところでございます。
今後も県といたしましては、こうした助成制度を活用して 耐震診断士による耐震診断、並びに耐震改修を積極的に推進して参りたいと考えております。
【農政について】
●岡本議員 次に、農政について質問します。
先ず、「中山間地域等直接支払制度」の中で本体交付金とは別に設けられた加算措置の一つである「集落機能強化加算」について2020年度から2024年度までの第5期対策だけで廃止され、来年度の第6期対策からなくなる問題です。この問題は、来年度の農水省予算概算要求が公表されたのを機に、全国各地からこの加算を残してほしいとの声が上がっています。
農水省は、経過措置として第5期対策において集落機能強化加算で生活支援等に取り組んできた集落協定については、新たに創設されるネットワーク化加算で取組を継続できるとしていますが、ネットワーク化加算は複数の集落協定で連携することが要件となっており、さまざまな事情により他の集落協定と連携ができない地域もあります。このことは現場を混乱させ、制度の信頼性を損ねるものとなっています。
集落機能強化加算が廃止になれば、中山間地域の基幹産業である農業の衰退はもとより、場合によっては集落の機能が維持できなくなり、地域全体の衰退につながりかねず、人口減少に歯止めをかけるという県の施策にも逆行する事態となりかねません。食料・農業・農村基本法では、人口減少下における農村の地域コミュニティの維持が明確化されており、集落機能強化加算は重要な役割を果たしています。これに逆行する事実上の加算措置廃止と、小手先の方針転換は農村政策の軽視につながるものであり、同加算の継続は絶対に必要です。
◆農水省は10月から都道府県に対して説明会を開くとしていましたが、この加算の廃止についてどのような説明があったのか。また、廃止による本県への影響と対策について、併せて農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 まず、国の中山間地域等直接支払制度における集落機能強化加算の廃止による影響と対策についてお尋ね がございました。
お話になりました集落機能強化加算は、人口減少と高齢化が進む地域において、集落機能を強化するための生活支援など、営農以外の取り組みを支援することで、集落を維持し、農業生産活動の継続につなげるため、第5期対策で新設をされたものです。
本年 10月に行われました本県に対する国の説明会において、国の担当者からは、この加算について、多くの地域で生活支援サービス等の活動自体を目標に取り組まれており、必ずしも、集落の組織の強化や農業生産活動の継続につながっていないこと、また来年度から始まる6期対策 からはこの加算を廃止する一方で、集落同士がネットワークを結び、お互いの機能を補完して農業生産活動を維持していくネットワーク化加算を導入する方針であるといった廃止の方針に至った経緯の説明がありました。
また、今後の対応といたしまして、これまで集落機能強化加算で活動を行ってきた集落協定については、ネットワーク化で取り組みを継続できることや、今後、新たに生活支援等の活動に取り組む場合は、農村RMO形成推進事業などの活用が可能であることなど、実質的に支援を継続できるとの説明がありました。
本県では、第5期の中山間地域等直接支払い制度の対象となっている545の集落協定のうち、4町村の6つの協定で集落機能強化加算が活用されているところです。この6協定につきましては、国から説明があったように他の集落と連携することなどによって継続した活動が可能であることから4町村と連携し、廃止による影響を最小限に留められるようサポートをしてまいります。
今後も、中山間地域における農業生産活動の継続に不可欠な集落機能の維持が図られるよう、市町村 とともに取り組んでまいります。
●岡本議員 二点目に、オーガニックビレッジとオーガニック給食の推進について伺います。
有機農業の面積拡大に向けて、有機農業の生産から消費まで地域ぐるみで取り組む「オーガニックビレッジ」を宣言する市町村が増えています。農水省によると今年8月時点で全国で129の市町村が宣言しており、本県では現在のところ馬路村だけです。また、農水省によると2022年度末時点で、全国で193の市町村が学校給食に有機食材を使っており、「オーガニックビレッジ」を宣言した市町村のうち9割で「オーガニック給食」を進めています。
11月8日、9日に第2回全国オーガニック給食フォーラムが、茨城県の常陸大宮市(ひたち)で開催されました。常陸大宮市では、鈴木市長が「子どもに最高の給食を届けたい」と23年に「オーガニックビレッジ」を宣言し、28年度までに「100%オーガニック給食」の実現をめざして取り組んでいます。
常陸大宮市はJAとの連携を重視しており、JA常陸は、日本の農業と子どもたちの未来を守るためには有機農業しかないと市に協力しています。気候変動が激しい中、土づくりを基本とした環境に負荷をかけない有機農業の実践拡大は、持続可能な農業を進める上で重要です。
こうした取り組みは、農薬の影響を受けやすい成長過程にある子どもたちの健康を守る社会をめざすものであり、地域の有機農産物を学校給食に活用するのは世界の潮流となっています。食べることを通して生産者と消費者が有機的に結びつき、地域農業の理解と連帯を深めるという意義のある取り組みです。
環境と調和した有機農業を推進するには、学校給食との連携が欠かせません。有機農業の推進に向けて求められるのは、多くの関係者の連携であり、生産と需要をマッチングするシステムの構築です。
県は有機農業推進基本計画で有機農業の取組面積について、2017年の151haから2030年に408haにすることを目標としています。この目標達成のためにも、「オーガニックビレッジ」や「オーガニック給食」の拡大が重要と考えます。
◆そこで、「オーガニックビレッジ」や「オーガニック給食」の拡大にどう取り組むのか、農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 次に、オーガニックビレッジやオーガニック給食の拡大に向けた取り組みについてお尋ねがございました。
オーガニックビレッジとは、有機農業の生産から消費までの取り組みを一貫して、地域ぐるみで進める市町村のことで、国は令和12年までに200の市町村に広げたいとしております。本県におきましては、お話にありましたように、今年の4月に馬路村が県内では初めてとなるオーガニックビレッジの宣言を行い、村の特産品である柚子における有機農業の維持発展や加工品のさらなるPRの強化に取り組まれているところです。
オーガニックビレッジの取り組みを県内で広げていくためには、有機農業に対する地域の理解が深まり、宣言に向けた機運の醸成が図られることが重要であると考えます。このため、まずは有機農業を積極的に推進する市町村に対して、全国の先進事例やオーガニックビレッジの取り組みに対する国の支援策を紹介するなど、オーガニックビレッジの拡大に向けて働きかけを行ってまいります。
また、有機農産物を利用した学校給食、いわゆるオーガニック給食はオーガニックビレッジの宣言を行った市町村の多くで取り組まれており、有機農産物の安定した販路の確保や、給食を通じた地域の農産物の理解につながるといった効果が期待をされます。県では県の教育委員会と連携し、本年度から新たに県立学校 2校の学校給食で有機農産物を試行的に提供しております。
今後、多くの地域での取り組みに広げていくためには、農産物の安定的な供給が課題となってきます。このため、まずは一定量の確保を見込むことができる米について、有機栽培マニュアルに基づく栽培指導の強化や除草機器等の導入への支援などにより、有機栽培への転換を促すことで生産量を増やし、安定供給を図ってまいります。
こうした取り組みにより、オーガニックビレッジやオーガニック給食の拡大を図り、有機農業の面積拡大につなげてまいります。
【民生委員、児童委員について】
●岡本議員 最後に社会的弱者を支える民生委員、児童委員の役割について質問します。
2007年4月7日地元紙の紙面に「安心・安全も配達へ」の見出しで、「高齢者、児童見守り」地域の安全度をアップしようと高知新聞の全139販売所で組織する高新会と県民生委員・児童委員協議会連合会、高知県、高知新聞社の4社が地域見守り活動に関する協定書を結んだ。そして「県域では全国初」と掲載されました。この様に高知県としても民生委員・児童委員の活動については当初から先進的な取り組みを行っていました。この事をきっかけとして現在では「高齢者、児童見守り」の活動が県下に広がり今年11月段階で28社と協定を結んでいます。
◆協定の概要にある様に「少子高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるため」にも協定締結先を増やす必要があると思いますが、子ども福祉政策部長にお聞きします。
○子ども・福祉政策部長 まず、地域の見守り活動に関する協定締結を増やすことについて お尋ねがございました。議員のお話のとおり、平成19年度から事業者、高知県民生委員・児童委員協議会連合会及び県の3者による高知県における地域の見守り活動に関する協定の締結を進めております。
この協定は地域で活動する民生委員、児童委員と地域住民と接する機会の多い事業者が連携することで、重層的な見守りネットワークを築くためのものとなっています。
実際の事例では、新聞が溜まっている状況を見て異変を感じた事業者が、近隣の親族に連絡し、状況を確認してもらったところ、ご本人が倒れており、救急搬送された例もあります。今後、独居高齢者世帯が増加することを考えますと、こうした協定締結先の事業者が増えていくことがますます重要になってまいります。
また、こうして地域の見守り体制が強化をされると、民生委員、児童委員の皆さんに係る負担の軽減にもつながるものと考えます。このため、県では協定締結先事業者の拡大に向けて、県民の皆さんや事業者にこの協定を知っていただけるよう協定そのものの普及啓発のほか協定締結先、事業者の活動や協定締結の効果などをホームページ等で紹介してまいります。
●岡本議員 そこで、この様な活動を担っている民生委員・児童委員の活動について、2023年度四万十市中村地区民生委員・児童委員協議会の活動報告を読ませていただきました。
それによると、概要として少子化の進行と高齢化が進み、核家族化や地域の繋がりの希薄化などにより、孤立した子育て世帯や高齢者世帯・貧困世帯など、深刻かつ複合的な課題を抱えた世帯が増加する中、その課題解決に対応するため、国・県・市は地域共生社会の実現に向けて取り組んでいく。
民生委員は地域住民の身近な相談相手として、住民の立場で相談や支援などを行い、必要に応じて関係機関との連携を図り、重点活動計画により活動を行った。として、研修会への参加や視察研修の実施。民生委員と保護者との顔の見える関係づくりを目的に、就学時検診にて保護者や教員へ民生委員のリーフレットの配布。各地区で登下校時の交通指導や要保護児童対策地域協議会、学校支援地域本部等への参加。社協と協働し事業の運営に掛かり、見守り活動で住民と連携を行う。見守り協定締結事業者への訪問。社協が実施する安否確認を目的とした配食サービスの共同や共同募金活動への参加協力の実施・情報交換や活動報告の発行・民生委員についての理解や活動を市民に周知するため懸垂幕の掲示、社協だよりへ記事の掲載等が行われていました。
ある民生委員さんにお話を伺うと「地区の中で不登校児や無職の青年が居られた、そんな状況に民生委員が関り、又色々機関もかかわって定期的な会議を年間27回も実施しその子ども達に変化があった事が非常にうれしかった」と申されていました。この様に民生委員・児童委員さんは大変複雑な活動をされております。さらに別に仕事を持って活動している方もおります。大変だろうと活動報告を読んだ中での感想です。
◆この様な民生委員・児童委員の状況をどの様に捉えているのか子ども福祉政策部長にお聞きします。
○子ども・福祉政策部長 次に、民生委員、児童委員の状況をどのようにとらえているか、お尋ねがございました。
民生委員は民生委員法に基づく非常勤の地方公務員であり、児童福祉法に基づく児童委員を兼ねることとなっています。また、その活動は全てボランティアとして無報酬で行われています。
民生委員、児童委員の活動内容は、地域住民の生活や福祉全般に関する相談や援助活動支援を必要とする人への福祉サービスに関する情報の提供など、地域福祉の増進に資するものです。
具体的には、独居高齢者や障害のある人の身を守り、活動や子育て世帯への相談対応、地域の学校行事への参加協力、災害時要配慮者の避難対策などが挙げられます。議員のお話にありましたように、委員の皆さんの活動範囲は幅広く多忙であるにもかかわらず、中には仕事をしながらも精力的に活動されている方もいらっしゃいます。
県としましては、本県の地域福祉はこうした委員の皆さんの善意と熱意により支えられていると認識しています。今後とも、各地域において、地域福祉の推進役として活躍いただけるよう、研修の実施や活動をしていただくための広報を行うなど、活動しやすい環境づくりや担い手の確保に向け、市町村とともに取り組んでまいります。
●岡本議員 そこで、民生委員・児童委員の活動について県としても大変重要な少子高齢化への対応として考えるべきです。地域の中では一人暮らしの高齢者が増えています。不登校児童も増加傾向にあります。助け合って暮らしていく環境をつくる事は喫緊の課題です。
◆来年12月に民生委員、児童委員の改選が行われることを契機に県としても民生委員・児童委員の置かれている状況をしっかりつかみ、皆さんの要望や苦労を聞き取り負担軽減を行い活動しやすい状況をつくる事。又、必要な予算も確保する事が求められますが、知事の考え方をお聞ききいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。
○県知事 最後に、民生委員、児童委員の活動しやすい状況 づくり、必要な予算の確保について、お尋ねがございました。民生委員、児童委員の皆様は、地域住民に寄り添いサポートする重要な役割を担っていただいております。
各地域で日々献身的にご活動をいただいておりますこと、心より感謝を申し上げたいと存じます。近年、いわゆる8050問題などの複雑化する課題や高齢世帯の増加が、委員の皆さんのご負担となっておりますことから、これらに対しましては、多機関が一体となって取り組む必要があると考えます。
このため、県におきましては市町村におきます包括的な支援体制の整備、あるいは人と人とのつながりの再生に向けた支援ネットワークづくり、こうしたことによりまして、いわゆる 高知型の地域共生社会の実現に向け取り組んでいるところであります。
また、毎年、委員の皆さんと意見交換などの場を検討して設けまして、直接委員の皆さんのご意見などもお伺いをいたしますことで、委員の皆さんの負担軽減につなげております。こうした機会にいただきました貴重なご意見は必要な予算の確保も含めまして、引き続き 市町村と連携して施策に反映をしてまいる考えであります。
県といたしましては、今後も委員の皆さんが高い使命感とやりがいを持って取り組んでいただけますように、その活動を全力でサポートをいたしまして、委員の皆様方の負担軽減を図って参る考えであります。私からは以上であります。
【第2問】
●岡本議員 それぞれの答弁ありがとうございました。2回目の質問をさせていただきます。2点ほど質問をさせていただきます。
まず、大規模風力発電について、計画についてです。知事から答弁がありました。それでですね。知事自身は、住民の立場に寄り添って、今から取り組みをしていただけるものと思っています。
文書の中にも、最初の1回目の質問にもありましたように、事業者のですね、説明会があまりにも少ないと、住民があまりにも知らないでいるという状況があるわけですけれども、この問題については、どのようにお考えなのかをお聞かせをいただきたいことと、それと昨日ですね、この風力発電計画を考える会がですね、学習会を行っています。
香北の山に風車ができたらどうなるの、ということで、チラシも頂いていますけれども、100人近い方が集まったそうです。若い方が多くて、参加した人に聞くところによると、若い移住者もおられたということで、高知県がですね、暮らしやすい地域であるということで、居住者が来られている中で、こういう事業が起こって、私も質問の中で紹介しましたけれど、飲み水であるとか農業用水であるとか、この水がどうなるのか、大変心配しておられるんですよね。
大規模ですから、とにかく 36基も大きな風車ができるわけですから。この方達への不安をですね。不安を取り除いたら、作ったらええとかそういうものでもないかとも思いますけれども、実際に、水の問題、命の水ですよね。これを守るということが知事の、私は役目だと思うんですけれども、その辺りどういう認識、昨日の学習会も含めてですね。それと業者の説明会の不足、この辺りについては、どのように認識されているのかお聞きしたいと思います。
それと、もう1つ、民生委員のことで3点目にですねえ。必要な予算を確保するということで、市町村と連携して予算を作っていきたいというふうに言われていました。いや、本当にですね、民生委員の方、大変です。大変な中で、ボランティアでやっています。で、運営費なんかをですね、削られるということは、民生委員の活動を否定しているというふうに取られるというふうに、言われておる方もおりましたのでですね。ぜひ、減らすことなく、増やすという方向で取り組むべきだと思いますけれども、その点について、知事のお考えをお聞かせください。2回目の質問をおわります。
○県知事 岡本議員の再質問にお答えいたします。
1点目が、大規模風力発電の環境アセスに関しての問題でございます。
ご指摘が、事業者の説明会が不十分なのではないかというご指摘がございました。この点が、私自身は担当課の方からまだ詳細聞いておりませんので、改めて確認をいたしますとともに、この環境アセスメントの趣旨が住民の皆さん、関心を持たれる方々にですね、広く理解をいただけるように、誠実に説明をすべしということだと思いますので、そういった趣旨に沿って行う必要があるという認識でございます。
事業者の方の言い分もあるかもしれませんので、その点も含めて事実関係を確認した上で、いずれにいたしましても、住民の皆さんに実質的な説明がしっかり行われるという状況を目指して参りたいと思いますし、また、飲み水、農業用水など、環境、水源の問題に関しましてのご心配もあるということでございます。
ただいまこれも答弁いたしましたように、この環境アセスの過程で、何回か知事として専門家の皆さんですとか、市町村の方々のご意見も伺って、事業者あるいは国に対して意見を述べる機会がありますので、そうした過程を通じて、住民の皆さんがしっかり安心いただけるような環境の手当を取らせるということに関しまして、万全を期していきたいと思っております。
それから、民生委員の皆様のご意見ということでございまして、私どもで報告を受けておりますのは、例えば最近ですと、民生委員の皆さんから活動に関するハンドブックのようなものがないと、現実に活動しにくいというご意見もいただいて、早速、予算も確保してですね、作成をして、活用いただいていると、配布をして活用いただいているということはございますので、民生委員の皆様のまさしく生の声をお聞きをして、すぐできること、時間がかかることはあるかとは思いますけれども、できる限り、我々としての対応はしていくというスタンスで臨みたいと思っております。
●岡本議員 ありがとうございます。
環境アセスメントの場で、知事がね、これから何度か意見を言う場面が出てくると思いますので、是非、県民の命の立場で、私は意見を言っていただきたいということを強く言っておきたいと思います。
そのことに対して、知事からのお答えがあればあの答弁をいただきたいと思います。
それと、民生委員についてもですね。是非、様々な要望があろうと思いますので、迅速な対応を本当に大変な中でやっておられますし、高知県の課題であります少子高齢化に対してもですね、迅速に動く組織ですので、そういう人たちをしっかりと支える県政であってほしいと思いますので、その辺りの決意も含めて、答弁を求めまして、私の質問を終わります。
○県知事 環境アセスメントは、県民の皆さんの健康、そして生命を守っていくということも含めまして、事業によります環境の変化、しっかり評価をして、対策を講じていくということが目的でございますので、この目的に沿った対応ができますように、万全を期してまいりたいというふうに思っております。
また、民生委員の皆様方には、ただ今申し上げましたような、いわゆる高知型地域共生社会の取り組み等を、最も現場で支えていただいているというふうに思っておりますし、私自身も民生委員大会には年1回はお招きいただきまして、県の施策なども説明をさせていただいております。そういったことを通じまして、民生委員さんの活動をしっかりサポートさせていただきたいと思っております。