議会報告

【質問テーマ】

・震災関連死・孤独死防止のための仮設住宅のありかた

・南海トラフ地震臨時注意発令への対応

・教育・長浜小児童死亡事故

・教育・余剰時数削減

・教育・教員不足

・人口減少対策総合交付金

 

【震災関連死・孤独死防止のための仮設住宅のありかた】

●細木議員 日本共産党、細木りょうです。通告に従い順次質問をいたします。

今年の元旦に発生した能登半島地震から9か月が経過しました。9月21日に発生した豪雨被害は、復興に立ち上がっておられた皆さんが「心が折れた」と話されるたび胸がつぶれるようで、かける言葉もない思いです。お亡くなりになった皆様、被害に遭われた皆様に衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

今回の豪雨被害は線状降水帯による記録的な降水量がもたらしたものですが、これまでの地震による影響が河川決壊、土砂崩れを発生させたとも指摘されています。地震被害と同様、こうした複合被害も南海トラフ地震対策として想定しなければなりません。

7月下旬、被災地を訪れました。珠洲市はじめ被災地は、倒壊した家屋や押しつぶされた車など放置され、復興の槌音は響かず復旧の遅れを目の当たりにしました。大阪万博への人材資材流出やボランティア不足、復旧に携わる関係者の宿泊施設の不足など要因との声も聞きましたが、高齢者が被災した自宅を離れ、故郷に戻り再建できるめどが立てにくいこともあるようです。 

 倒壊した家屋は雪の多い地域のため、黒光りのする瓦屋根がそのままの状態で1階部分を押しつぶした状況を多く目にしました。一方、その隣では2000年以降の新々耐震基準である家屋は無傷で残っているといった状況もありました。今議会で提案されている耐震改修のための予算拡充は評価でき、県内の耐震化率も90%以上を超えるだろうと期待しています。今回の地震でも倒壊や損壊の被害が発生した1981年以降2000年までの家屋について耐震改修が必要です。以前の議会で指摘しましたが次のステージに向け、来年度予算編成での耐震改修制度のさらなる拡充を求めておきます。

 

輪島市の仮設住宅で聴き取り活動も行いました。96歳女性は道路寸断により、12日間集落が孤立、4月にやっと仮設住宅に入居できたとのこと。故郷を離れ大変なくらしの中、明るく対応していただいたことが今も心に残っています。

私が訪問した輪島市はじめ石川県内の仮設住宅では孤独死が発生、日を追うごとに震災関連死も増加しており(9月末現在181名)、仮設内のコミュニティや見守り機能の充実など被災者に寄り添った支援施策が必要と感じました。石川県では従来型のプレハブ中心の仮設住宅のほか、市街地や近郊の空き地に1か所当たり10~50戸の長屋型木造(県産材活用)を建設し新たな街を整備する「まちづくり型」仮設住宅や、みなし仮設で地元を離れた被災者が地元に戻り居住できるよう、もともと住んでいた集落内の空き地や倒壊した自宅を撤去した後に木造戸建ての「ふるさと回帰型」仮設住宅が建設されています。それぞれ市営住宅として利用できるようです。前回の質問でも取り上げましたが、こうした取り組みは重要ですのでぜひ参考にしていただきたいと思います。

訪問した輪島市の仮設住宅は一定規模の戸数がありますが、見守り機能などを持つサポート拠点施設が整備されておらず、整備してほしいとの要望を現地でお聞きしました。

 国交省仮設住宅建設必携中間とりまとめ「応急仮設住宅建設の留意点」(H24)では、応急仮設住宅に入居する高齢者・障害者等に配慮し、一定規模以上の応急仮設住宅地には、地域拠点としてサポート拠点を整備することは必要である。 必要と考えられる機能例として、総合相談機能、デイサービス、居宅サービス等(居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、診療機能等)、配食サービス等の生活支援サービス・ボランティア等の活動拠点、高齢者、障害者や子ども達が集う地域交流スペース等あげられています。

あわせて保健福祉部局との連携が強調され、一定規模以上の応急仮設住宅地の場合には、配置計画の段階から集会所と併設したサポート拠点とするなど建設を前提に計画を進める。など記されています。

 揺れや津波から助かった命を繋げ、孤独死や関連死をなくすため、こうしたサポート拠点を事前に検討しておくことは大変重要と考えます。

◆本県の応急仮設住宅供給計画において集会所やサポート拠点施設の整備を位置づけしているのか土木部長にお伺いします。

 

○土木部長 本県では、応急仮設住宅供給計画におきまして、集会所やサポート拠点施設の整備を位置づけているところでございます。

具体的には、自治活動やボランティア活動のための事務スペースや多機能便所なども備えた集会所の整備、また必要に応じてデイルーム、生活相談コーナー、静養コーナーなどを備えたサポート拠点施設を整備することを位置づけております。

なお、今般の能登半島地震の教訓も踏まえまして、今後さらに改定すべき点があるかどうか検討を進めてまいりたいと考えております。

 

●細木議員 ◆次に孤独死や震災関連死をなくすため、サポート拠点施設等を活用し、どのように取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 発災後は災害関連死や孤独死を防ぐための見守り活動や相談活動は大変重要と考えております。市町村がそうした活動を行う際には、拠点としてサポート 施設を活用することは有効であると思われます。

また、同様に、現在県内55か所に整備を整備されている、あったかふれあいセンターなども見守り活動や相談活動の拠点として活用することも可能ではないかと考えております。そのため、まずは発災後の見守り活動や相談活動が災害関連死の防止に重要であることを市町村に啓発する中で、こうした拠点の活用の検討も働きかけてまいります。

 

●細木議員 よろしくお願いします。

集会所建設にあたっては復旧作業に従事される方の宿泊場所として優先的に建設計画を策定する自治体もあります。また、今回の能登半島地震、豪雨被害での仮設住宅の浸水被害を受け、改めて建築用地の確保について、非常に悩ましいが、安全な場所の選定を求めておきます。

 

今回の地震でも改めて大きな問題となった上下水道の耐震化促進など「いのちの水」対策、震災関連死に直結するトイレ問題など重要な課題については次回以降、改めて取り上げたいと思っています。

 

【南海トラフ地震臨時注意発令への対応】

●細木議員 ついで、8月8日夕、日向灘を震源とするM7.1の地震があり、気象庁は南海トラフ地震発生の可能性が相対的に高まったとして臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表しました。今回は幸いにも連動しての地震発生はなく、胸をなでおろしました。臨時情報を受け、高齢者等の早期避難も行われましたが、エアコンのない避難所で体調を崩される方や、避難をあきらめ自宅に戻る方もおいでたようです。

臨時情報については、昨年度の県民世論調査では認知率が3割未満、避難所開設など自治体ごとに対応がバラバラとなりました。初めてでもありやむを得ない面もあると思いますが、南海トラフ地震はカウントダウン段階に入っており、具体的な統一基準を設け対応することも必要ではないかと思います。

◆「南海トラフ地震臨時情報」発表について、住民や企業に対し、さらなる周知が必要と考えます。今後の取り組みについて危機管理部長に伺います。

 

○危機管理部長 臨時情報の周知に向けましては、8月に臨時情報が発表されたということもありまして、県民の関心も高まっているものと考えられます。

この機を生かしまして、住民に対してはですね、SNSやテレビを通じた啓発を強化すること。それに加えて、住民が参加する防災訓練を通じて啓発をしていきたいと考えております。

企業に対しましては、これまでも 作成を義務づけられております南海トラフ地震対策計画こちらの方に、臨時情報発表時の対応を位置づけるよう呼びかけてきたところでございます。現在、関心が高くなっておりますので、この機を生かして積極的に働きかけていくことで周知を図ってまいりたいと考えております。

 

●細木議員 続いて、事前避難にあたって統一基準を作成することについて、所見を危機管理部長にお聞きします。

 

○危機管理部長 はい、臨時情報が発表された際の基準、それから対応については国のガイドライン、それから県の手引きを参考に、市町村において避難指示、それから、高齢者等避難を発令するエリアなどを設定しておりますけれども、この設定の考え方には若干違いがあるのが実情でございます。

今回の発令の際には、一部の市町村については、あらかじめ定めた基準どおり、発令をされたり、あらかじめ基準には定めていなかったけれども、発令したというところもございました。

今後は、こうした対応で良かったのかなどについて、まずは市町村で検証してもらうということを踏まえた上で、国の方でも、市町村へのアンケートを実施されております。それもまた検証もされていくということでございますので、この検証を踏まえて、市町村での検証のもと、必要に応じて、県の手引き等に反映 もさせていきたいと考えております。

 

●細木議員 今回の臨時情報を受け、危機管理部は地元新聞の取材を受け「初めてのことで戸惑いはあっただろうが、やるべき対応はできたのではないか。“空振り”でなく“素振り”ができたと捉えたい。対策の抜けや漏れが一つでもなくなり、結果的に地震への備えが進んで人的物的被害が減れば大きな意味がある」と答えています。素振りというのは良い表現と思うし、今後もしっかりと総括した上で対策を取るよう求めます。

 

【教育・長浜小児童死亡事故】

●細木議員 次に 教育課題についてお伺いします。

今年7月5日、高知市の南海中学校のプールでの水泳授業中、長浜小学校4年生男児が溺れ死亡するという余りにも悲しく痛ましい事故が発生しました。亡くなられた男の子のご冥福と大切な子どもさんを亡くされたご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

亡くなった男児は小柄で水泳が苦手だったそうです。南海中でのプール授業が始まった時、児童から「足がつかなくて怖い」「溺れるか不安」との声があがっていましたが、水深調整や踏み台の設置、監視強化などの手立ては取られず、取り返しのつかない事故を引き起こしました。学校と教育委員会の責任は重大です。

今回の事故の発端は、長浜小のプールのろ過機の故障で、プールが使用できず低学年はバスを活用し近隣の浦戸小で水泳授業を行い、高学年は南海中まで歩いて水泳授業することとなったものです。

◆県教委として今回のプール死亡事故についてどう受け止めているのか。教育長に伺います。

 

○教育長 子どもにとって安心・安全な場所であるべき学校の、しかも授業中に児童がお亡くなりになるという事実は大変重く、このことに深刻に受け止めておるとところでございます。そして、県内の学校でこのような事故が二度と起こることがないよう、市町村教育委員会と連携し、今後さらに水泳授業の安全対策を強化・徹底していかなければならないと考えているところであります。

 

●●細木議員 安全教育学の専門家である横浜大学の井口成明教授は、「小学生のプール水深は一番身長の低い子の半分が基本」と述べ、対策が取られていなかったことについて「命を軽視しているとしか考えられない」と述べられています。教育長は9月の定例記者会見や今議会でも、再発防止について、監視員増員や教員の研修、補助具の活用と併せて水深の調整等挙げられています。命最優先の安全な水泳授業のため不退転の決意を求めるものです。

 

プール含む学校施設は未来を担う子どもたちが集い、生き生きと学び、生活する場であるとともに、地域住民にとっては生涯にわたる学習、文化、スポーツなど活動の場であり、災害時には避難所としての役割を果たす重要な施設です。

公立学校は第2次ベビーブーム世代の増加に伴い、昭和40年代後半から50年代にかけ多く建設され、それらの建物が一斉に更新時期を迎え、老朽化対策が重要な課題となっています。

プール老朽化については、屋外であり風雨や紫外線に曝され、防水塗装やプールサイドのタイル劣化、ろ過設備や配管においても稼働しない期間が長いため劣化が進行しやすいことが指摘されています。

高知市の教育委員会は昨年、高知市立学校のプールの今後のあり方に関する検討会を立ち上げ答申書が提出されています。多くの学校プールで老朽化が進行しており、改修にかかる費用として1校あたり億単位でかかり、改築の場合は2~3億円とも言われており、公立・民間プールの活用も検討されています。

そして今後のプールのあり方として、命を守るための能力を獲得するため水泳授業は重要であり、安心安全な状況下で円滑に水泳授業を実施するため必要な改修工事を行い水泳授業は継続すべきとまとめています。

◆プールの老朽化に対する改修の必要性について教育長に伺います。

 

○教育長 児童生徒の安心・安全な学習を保障するために学校のプールにつきましても必要な修繕・改修は適切に行っていかなければならないと考えております。

一方で、プールを含む多くの学校施設の老朽化が進み、かつ児童生徒が減少していく中において、児童生徒にとって安全でかつ不利益にならないことを前提として、全ての学校で施設整備を行うのか、あるいは公立・民間のプールの活用や近隣の学校と共同で利用を行う方法を取るのか、そういった多様な選択肢の中から、プール整備のあり方を検討することが必要になってくると考えております。

 

●細木議員 プールの改修については不具合を解消することはもちろんのこと、耐震化、省エネ化やバリアフリー化などの機能向上、予防的な修繕など予防保全へ移行することが求められています。

県内では義務教育学校の設立事例も増えており、小中学生がひとつのプールで水泳授業することも想定されます。小プールの設置、水深調整が可能な踏み台設置や県内でも導入事例のある稼働床タイプの機器導入など検討が必要ではない加戸思います。

県教委に確認しましたが、県内の市町村立学校のプール老朽化対策や更新に係る費用について県の支援はゼロ、いっさいありません。国からは学校水泳プール新改築事業として1/3の補助が受けられますが、残りは市町村負担となっています。

◆子どもの命を守るため、県として各市町村のプール新改築について支援できないか、知事に伺います。

 

○県知事 ご指摘のありました公立学校の施設の整備改修につきましては、プールも含めまして設置者の負担において行うというのが、県、市町村を貫いた大原則になっております。市町村立の小中学校は市町村が負担をする。また、県立の中高につきましては多くの施設 老朽化が進んでいる中でありますが、この県立学校について、市町村に費用負担を求めることはございません。設置者である県が負担をして改修を実施しているということであります。

そういった意味で、この経費負担の大原則があるわけでございますので、県が新たに市町村立学校のプールの新改築に対する財政支援を行うということは、よほどの特別な事情がある場合は別として、そういう事情がない限りは、一般的には難しいのではないかというふうに考えております。

このプールなどの学校施設の老朽化は、本県だけではございませんので、全国的な課題でもあります。国におきましては、学校プールの新改築に加えまして、改修についても今回国の交付金の対象とするという方向で、来年度の予算の概算要求も行い、検討が行われているという風にお聞きをいたしております。

県としましては、引き続き国の動向についてしっかり情報収集もいたしまして、全国の関係団体とも連携をし、プールの新改築、あるいは改修に対する財政支援の拡充を提言していきたいと考えております。

 

●細木議員 是非、全国の知事会、また、教育長の全国の会もあると思いますので、強く求めていって欲しいと思います。本当にゼロ回答が残念ですけれども、スポーツ庁では地震防災緊急5か年計画に基づき浄水型プールを新改築する際は、「地域水泳プール新改築事業」ということで1/2の補助があります。導入が進んでいる学校などでのマンホールトイレでもプールの水が活用されますし、消防用水利含め防災関連の予算なども引っ張りながら、できるだけ市町村のプールの改築についても、県も知恵もだしながら支援してほしいと思いますし、今回の濾過器の故障などは、補助の対象にはなっていないんです。そういった補助の対象の拡充についても、知事会通じてお願いしたいと思います。

 

 【教育・余剰時数削減】

●細木議員 前回の質問で子どもの学習環境改善、教職員の働き方改革のため余剰時数削減の取り組みを進めるよう求めました。年間の授業計画が確定する今年5月時点にお伺いし たところ、標準時数を大幅に超えた学校はないとのことでした。

中教審通達「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」では授業時数の見直しについて4つの観点に基づいて改善するよう示されていますが、

◆県内の学校における授業時数見直しについて、どのような取り組みで見直しされ改善されたのか。教育長に伺います。

 

○教育長 はい。県教育委員会として、昨年9月の文部科学省からの通知を受けまして、それ以降 10月から順次市町村の教育長会や指導事務担当者会において、教育課程の編成において、大幅に標準授業時数を超えることがないように注意喚起を行ってまいりました。市町村教育委員会におきましては、館内の学校の教育課程の編成状況の確認とその見直しに向けた指導を実施しております。

そして、各学校におきましては、カリキュラムマネジメントによる時間割の見直しや学校行事の準備時間の削減などの工夫を行っております。そして、本年 5月に、各学校の授業時数について報告を挙げてもらい、県教育委員会において再チェックを実施し、現状に至っておるものでございます。

 

【教育・教員不足】

●細木議員 次に、教員不足解消と教育事務所のあり方についてお伺いします。

8月末に出た中教審の質の高い業種の確保に関する答申は、教員不足を憂慮すべき状況だとし、教師を取り巻く環境整備を抜本的に改革する必要があるとしています。教員の長時間労働を解消するために、先ほどの授業時数の削減と合わせえ、教員の持ちコマ数の上限の設定、全国学テや行政研修の見直し、部活動に必要な人員を確保、残業代不支給の改善などが求められていると思います。

県内自治体の9月定例議会において、教員配置の在り方を見直し、学校現場への配置を優先するよう求める意見書がいくつか審議をされているようです。この意見書には 今年発表された土佐経済同友会が行った教員アンケートで約6割の教員が子どもや知人に 教職を勧めたくないとの結果だったことが紹介され、産休病休の代替教員が長期間未配置である、厳しい現状、教員の負担軽減のため、教員免除を持ちながら教壇に立たない指導主事の教員配置の在り方を早急に見直すことを求める内容となっています。

県内の学校での深刻な教員不足の現状を解消してほしい、子どもの学習権を保障してほしいとの思いが込められた意見書ではないでしょうか。

充て指導主事の定数は 文科省と財務省が決めたものですが、2023年度の高知県の指導、主事定数は 23人ですが、県単独で指導主103人これは一昨年2022年度から2名増配置し、126人となっています。県内の教員数に占める指導主事の割合が2.55%であり、全国でも突出し、ダントツ1位となっています。日本共産党県議団はこれまでも 教職員の不足解消のため、重ねて充て指導主事を現場に返すよう求めてきましたが、増加の一途をたどっています。

県内には3か所の教育事務所がありますが、戦後教育事務所を設置してこなかったのは、志賀、奈良、徳島の3県、近年では山口、 長崎が廃止しています。また、文科省は令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた調査協力者会議が設置され、教育事務所の今後の在り方について検討されています。学校支援の在り方など教育事務所の今後の方向性について、様々な角度から検討すべき時期ではないかと考えます。教育長、所見を伺います。

 

○教育長 はい、文部科学省の、この調査研究協力者会議におきまして、教育事務所は域内の市町村教育委員会に対する、重要な支援機関であると評価されているものと承知をしております。

本県におきましても、教育事務所は学校や市町村教育委員会に、より近い県教育委員会として、学校現場と教育行政双方の思いや考えをつなぐ重要な役割を担っているものと考えております。

現在授業づくりや若年教員への指導・支援などについて、学校等からの訪問指導等の要請も増加している状況にあり、現体制を維持し、取り組んでいくことが必要と考えております。

 

●細木議員 廃止した山口県の事例ですが、山口は移動式教育事務所、市町の指導主事が一人当たり5校担当する学校担当指導主事制度で、協働型の支援。県内どこの市町に住んでもどこの学校に通っても同じように質の高い教育が受けられるような体制づくりを心掛けているようです。組織体制のスリム化で人件費も2.4億円削減しているという報告もあります。

教育事務所の役割を見直すとともに、充て指導主事の配置数の減少などを見直しすることについて、教育長の所見を伺います。

 

○教育長 はい。

教育事務所につきましては、学校等に対する支援機関として重要な役割を担っておるため、現状において、見直すことは考えておりません。

そして、指導主事は学力課題や不登校と県や市町村の喫緊の教育課題の解決を図り、また県の教育振興基本計画を着実に推進するため、各学校等に対し指導支援を実施しております。そして、この指導主事の働きによって、各学校の取り組みや着実に前進している状況がございます。そして、指導主事の配置体制及びその課す数量につきましては、現在の本県の教育課題の解決には、現体制を維持する必要があると考えております。

一方で、教育課題の改善状況等により、適時適切に見直しを図っていくことも必要であると考えております。

 

●細木議員 この調査の県内の教職員の数、割合については、データをお渡ししていますが、これは2022年度ですが、廃止した山口県の事例ですが、山口は移動式教育事務所、市町の指導主事が一人当たり5校担当する学校担当指導主事制度で、協働型の支援。県内どこの市町に住んでもどこの学校に通っても同じように質の高い教育が受けられるような体制づくりを心掛けているようです。組織体制のスリム化で人件費も2.4億円削減しているという報告もあります。

教育事務所の役割を見直すとともに、充て指導主事の教員に占める割合 資料はお渡ししていますが、2022年度1位高知2.47%、2位秋田1.33%、3位鳥取0.97%、3位の島根県以下は1%以下なんですね、大阪は0.03%ということで、異常な指導主事の多さをしっていただきたいですし、何らかの改善が必要だということを指摘しておきます。

 

【人口減少対策総合交付金】

●細木議員 え、次に人口減少対策総合交付金についてお伺いします。

共同通信社が全国の自治体に実施したアンケート結果が公表されました。結果は約7割の自治体が、この10年間、国の地方創生の取り組みが不十分であること、自治体単独での対応対策は限界があり、国は人口減少対策を地方任せにしていること、女性流出に雇用などの男女格差が影響しているなどの回答でした。

そんな中、今年度から4年間の事業として、県がこの交付金を使って支援することになりました。高知市は配分された基本配分の交付金を子育て支援のうち、医療費助成にあて、この10月から、待望の中学校卒業までの医療費無償化が実現しました。

県内の市長は、アンケートで、このような医療費助成や広がり始めた給食費無償化については、国が全国一律の制度にするよう求める意見も出されています。

さて、この交付金の連携加算型について、現在10市町村から事業が提案され、審査の結果、交付決定されています。連携加算型で採択された各市町村の特徴的な取り組みについて、人口減少・中山間担当理事にお伺いします。

 

○人口減少・中山間担当理事 これまでに採択された市町村の特徴的な取り組みとしましては、まず出会いや結婚の取り組みとしまして、佐川町が行う同窓会の開催支援を通じた若者の出会いの場づくりやUターン促進の取り組み、大川村が単独で行ってまいりましたマッチングアプリへの登録補助と連携して行う成婚率の非常に高い、本県出身カリスマ婚活アドバイザーによる若者の結婚支援の取り組み。

共働き共育ての取り組みとしましては、宿毛市が行う民間企業の男性育休取得者の業務をカバーする職員に対する手当への助成。

移住の取り組みとしましては、馬路村が行うシングルペアレントに特化して同村に短期間 居住しながら仕事や暮らしを経験してもらう取り組み。

地元就職の促進に関する取り組みとしては、土佐市が新たに実施した市内企業 109 社を対象としたアンケートに基づき行う若手従業員の定着のための住宅手当や社宅の借り上げ支援など、それぞれ地域の若年人口の減少の課題、要因に対応した特徴的な取り組みを提案いただいております。

 

●細木議員 現段階で連携加算型の取り組みが10市町村にとどまっている要因について、知事に伺います。

 

○県知事 この交付金につきましては、私自身も市長会、町村会の場などを通じまして、積極的な活用を呼びかけて参りましたし、担当部局の方も全市町村を訪問し、この活用について、早期の検討を促してまいりました。

ただ、一方で、この交付金は4年間で上限ですが5000万円、あるいは1億円という、かなりの規模の額の事業でもありますし、この人口減少対策は各市町村におきましても、多部局にまたがるような横断的な課題であるということがあるかと思います。

そうしたことから、各市町村におきましては、職員からなりますプロジェクトチームなどを設けまして、時間をかけて検討を行っているというケースが多いのではないかという風に考えております。

こうした中で、この10市町村は、早い段階から熟度の高いアイデアを温めておられたということはございますので、限られた時間の中でも計画策定に精力的に取り組んでいただきまして、一歩先行して、この計画を提出していただいたそうしたものだと受け止めております。

今後も残る各市町村でも検討が進められます。今、見通しといたしましては、年末までにはこれに加えまして、さらに16市町村程度から事業計画が提出をされるのではないか、そうしますと累計で年末には 26市町村、全市町村の約8割で策定が進むのではないかという風に見込んでいるところであります。引き続き、各市町村の進捗を踏まえました伴走型の支援を行っていくことによりまして、今年度内には、全ての市町村が事業計画を策定をするということを目標として、この支援に取り組んでいきたいと思っております。

 

●細木議員 先ほども、横断的な、役場内で体制を取られているということで、けど、自治体はギリギリの人員体制ですので、新たな事業を行うためには自治体の特色や知恵を最大限引き出せるように、引き続き伴走型の支援を求めておきたいと思います。

今議会、知事は中期的な財政収支についての試算を行い、今後想定される大規模事業を加味しても、事業の効率化や平準化を図ることで、安定的な財政運営に一定の見直しがついたと報告され、事務事業のスクラップアンドビルドを一層徹底すると説明されました。

この人口減少対策総合交付金は年間10億円 40億円の事業です。この事業費を捻出するため、県は各市町村に対し、子育て支援や移住促進、結婚支援などの県補助金を廃止しています。高知市で読み取ると削減された補助金額は市に聞いたところを2600万円余り、高知市に配分された基本配分型は約7400万円ですので、純粋に増額されたのは4800万円ということになります。人口減少や子育て支援に関連する県補助金について、どのようなものが廃止されたのか、人口減少・中山間担当理事にお伺いします。

 

○人口減少・中山間担当理事 交付金の創設にあたりましては、移住促進事業費補助金や保育サービス等推進総合補助金など目的が総合交付金と整合する市町村向けの7つの補助金交付金を基本配分型に統合しております。

これらの補助金の過去の決算額は合計で約1.3億円なりますが、基本配分型の予算額としましては、その約3倍となる4億円を計上したところでございます。

 

●細木議員 子育てでは、母子保健支援事業、地域子育て支援事業、ファミサポの補助とか、非常に重要なものが廃止をされていますので、この県補助金1.3億円廃止されたことによる市町村の影響は出ていないのか、人口減少・中山間担当理事にお伺いします。

 

○人口減少・中三間担当理事 新たに創設しました人口減少対策総合交付金につきましては、県の制度設計後、今年1月以降でございますけれど、多くの市町村からその目的や交付対象、基本配分型と連携加算型のそれぞれの交付額、交付率などに関するご質問をいただき、また、ちょうど市町村の予算編成時期ということもございまして、統合した補助金に関するご質問、財源の確保という観点からもご質問をいただきました。

例えば、統合した事業を新しい交付金で実施できるのか、これまでどおりの予算規模を確保できるのか。といった質問でございます。こうしたご質問に対しましては、1月に開催した市町村への説明会や市町村長への個別訪問、さらには Q&Aの作成などを通じまして、統合する事業の取り扱いや、基本配分型の予算規模、団体ごとの配分額などを丁寧に説明することにより、ご理解をいただいたと考えております。

これまで市町村さんから影響があったとの声は聞いてはおりません。

 

●細木議員 特に意見は出てなかったということですが、是非引き続いて影響ないのかということを、しっかり調査もして欲しいと思いますし、市町村から4年後この制度どうなるのかという不安の声も出されているようですので、しっかり進捗管理をお願いしたいと思います。

残る時間ですが、昨日あの控え室の私のところに住人の方から、存じ上げない方ですけど、お手紙をいただきました。

2月の議会でこの耐震改修制度の助成の拡充を、私が質問したということで、ぜひ私の家も89年で、今すごく地震の揺れで非常に心配だと、耐震改修の拡充を、というお手紙を頂いたばかりです。こうした耐震改修制度の拡充はじめ、ハード、ソフトしっかり、これからも行っていただいてですね。県民、そして県自治体、みんながさっきの素振りじゃないですけど、しっかり素振りを行いながら、南海トラフ地震対策、しっかりと行って、被害を最小限に行っていかなければならないなと思ったところです。よろしくお願いします。

以上で質問を終わります。