議会報告

●塚地議員 日本共産党の塚地佐智です。まず、震災復興もままならない上に、この度の豪雨災害で大変な被害を受けられた能登地域の皆さんに心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

【公益通報者保護法制度】
●塚地議員 それでは、日本共産党を代表いたしまして、以下質問をいたします。
まず、公益通報者保護法について伺います。企業や観光庁などの不正を告発する公益通報は被害の拡大を防ぎ、社会の安全や組織自体を健全に守る重要な仕組みです。内部告発を契機に、昨年来、自動車メーカーなどの不正が次々に発覚し、大きく波紋が広がりました。
ダイハツ工業の品質不正は内部通報を受けた第三者委員会の調査で30数年にわたる64車種での不正が判明、京都・滋賀など4工場で最長4か月半の操業停止に追い込まれ、地域経済にも大きな影響を与えました。中古車販売大手だったビッグモーターの保険金不正請求問題では内部告発があったにもかかわらず、会社は対応を怠り、信用の失墜を招き、会社は存続することができず、社名を変え、新たな会社として出直すことになりました。
一方、勇気を振るって不正を告発した人は賞賛されることなく、守られるどころか裏切り者と敵視をされ、不当な配置転換や情報漏洩で処分されるなどの報復が問題になっています。兵庫県知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を、報道機関などに配布した元県幹部は懲戒処分を受けた後、死に追い込まれました。(兵庫)県は、県窓口に連絡前の文書配布は公益通報ではないと説明をしましたが、保護法は報道機関など外部への通報も認めており、認識が間違っています。また、(兵庫県)知事は、告発内容に真実相当性がないと、繰り返し述べていますが、2022年の法改定では、新たに公益通報を保護する措置について、事業者の義務も規定をされています。その内容を示した内閣府指針は、やむを得ない場合を除いて通報者の探索を行うことを防ぐための措置を取るとしており、通報者探し禁止となる通報の範囲について、兵庫県議会の百条委員会で消費者庁公益通報者保護制度検討会の委員である山口利昭弁護士は、公益通報者保護法2条は金儲けや私怨などの不正の目的ではない限り、広く公益通報に当たるとして、そこに真実相当性という条件はないと指摘しています。真実相当性は同法の3条に登場するもので、2条には出てこず、通報者探しは真実相当性がない通報の場合まで含めて禁止をされています。(兵庫県)知事が一方的に嘘八百、公務員失格と断罪した違法性と責任が厳しく問われなくてはなりません。
また、鹿児島県警では警察官の犯罪を本部長が隠蔽しようとしたと、報道関係者に告発した元(鹿児島)県警幹部を情報漏えいの疑いで逮捕をしました。告発を受けとったメディアを家宅捜索し、取材データを押収しています。これは公益通報として扱うべきものとの専門家の指摘もあり、日本ペンクラブ、新聞労連が抗議声明を出しています。
京都市では、2015年に事件告発のため、児童相談所の記録を持ち出した職員に対し、(京都)市が行った懲戒処分は違法として取り消す最高裁判決が確定をしています。公益通報のためには、内部情報の持ち出しも許される場合があるということです。
23年秋の消費者庁調査で内部通報、相談した人の3割が後悔を抱いており、理由は、調査・是正されなかったが6割弱、不利益を受けたが4割を超えています。公益通報者保護法の目的は、公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止、並びに公益通報に関し、事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとされていますが、告発の相手が組織のトップに係る内容であればあるほど、第三者委員会の関与など取り扱いの明確化が求められてきます。
◆公益通報者が守られる仕組み、その内容を組織構成員に徹底することについて、知事、教育長、県警本部長にそれぞれお伺いをいたします。

○県知事 塚地議員のご質問にお答えいたします。
まず、いわゆる公益通報者が守られる仕組みと、その内容の徹底についてお尋ねがございました。本県の知事部局におきましては、通報者を守る仕組みといたしまして、法の趣旨を踏まえまして、高知県職員公益通報処理要領におきまして、調査にあたって通報者が特定されないよう配慮をするという方針を明記いたしております。
また、仮に特定をされた場合でも、公益通報、または相談をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこと、また、不利益な取扱いを行った者に対しては行為の内容を考慮して懲戒処分、その他の適切な措置をすること、さらに不利益な取扱いや、職場内での嫌がらせなどが行われていないことかを確認をすることなどを定めておりまして、通報者の保護を図るという仕組みといたしております。
その上で、通報者の心理的負担を軽くし、制度をより有効に機能させるという考え方から、公益通報に関する事務を第三者的立場にあります監査委員に委任するという形をとっております。監査委員におきましては、公益通報に係る事務を処理するため、公益通報事務処理マニュアルを策定し、通報者保護の観点に十分留意の上、対応しているという風に伺っております。また、知事部局の職員に対しましては、職位ごとの研修で通報者保護も含めました公益通報の仕組みを 説明をするということ と併せまして、職員向けウェブサイトでも、この旨の周知徹底を図っております。
法令違反などが発生しないように取り組むことはもちろんのことでありますが、公益通報につきましても、職員が安心して通報できる仕組みの確保と周知に引き続き努めてまいります。

〇教育長 まず、公益通報者が守られる仕組みと、その内容の徹底について、お尋ねがございました。
公益通報者については、先ほど知事からもお話のあったとおり、公益通報者保護法において通報したことによる不利益取扱いの禁止等が定められており、その保護が図られているところでございます。
教育委員会事務局及び県立学校におきましても、公益通報者保護法に基づき、平成18年4月に公益通報事務処理要綱を制定し、職員等が公益通報を行う際の手続きを定めております。この要綱では、法で規定されている通報者への不利益取扱いの禁止等を重ねて明記するとともに、通報者に対して不利益が取扱いを行った者については、懲戒処分、その他の適切な措置の対象とするなどの罰則を規定しております。
さらに通報者が所属等で不利益を受けていないか、適宜確認する規定を設けるなど、通報者の保護を図るとした法の趣旨を踏まえた。対応をとっているところであります。
これらの制度内容は毎年度の管理職員の対象とした説明会の場で周知するとともに、職員向けのウェブサイトに要項を掲載し、職員一人一人に制度が浸透するようにしております。また、相談を行う場合の窓口につきましても、毎年度周知を行っております。こうした取り組みにより、仮に組織内の不正を職員が知った場合であっても躊躇することなく通報できる体制が整っているものと考えております。今後も、引き続き職員に対して制度内容の周知徹底を図るとともに、公益通報者保護法の趣旨に趣旨を踏まえた適切な制度運用を行ってまいります。

〇警察本部長 公益通報者が守られる仕組みと、その内容を組織構成員に徹底することについてお尋ねがございました。
県警察においては 高知県警察公益通報処理規定を制定し、組織の健全な発展を促進するため、適切な運用を行っております。当該規定において、公益通報に関する秘密の保持のほか、職員は内部通報、または内部通報に関連した相談をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないと明記されており、この規定に基づき、職員の保護を徹底しております。
また、公益通報の解釈や運用上の留意事項に加え、通報窓口等に関する執務資料を発出するなど、職員に対する周知を行っております。
今後とも、各種会議や研修等の機会を通じ、これら公益通報制度の趣旨の周知徹底を図り、職員に公益通報の重要性をさらに浸透させるとともに職員が公益通報を躊躇することがないような職場環境づくりに努めてまいります。

●塚地議員 現在、公益通報者保護法の改定に向けた議論がされています。法律違反組織による報復に対し、罰則はないという点の改善が強く求められていると考えます。
◆通報者を確実に保護するための法改正を急ぐべきだと思いますが、知事にお伺いをいたします。

○県知事 次にこうした通報者を確実に保護するための法改正が必要ではないかという お尋ねがございました。
現在、公益通報者保護法の施行状況などを踏まえた課題を検討するため、所管の消費者庁におきまして、公益通報者保護制度検討会を設置し、年内をめどに意見を取りまとめる段取りだという風に伺っております。
この検討会におきましては、公益通報者を探索する行為の禁止、いわゆる「犯人探し」を禁止するということ、それですとか、不利益扱いの抑制・救済などについても検討されています。具体的な論点として挙げられておりますのは、公益通報者の探索行為の禁止について、法律に明文化をする、あるいは行政措置、または刑事罰を規定するというようなこと、また不利益取扱いがあった場合の罰則を新たに規定するということ、更には、現在は通報者が負っております不利益取扱いの立証責任を事業者に転換をするということが必要ではないか、こうした論点について検討されているという風に承知しております。
通報者保護の観点からも大変重要な見直しであると考えますので、この検討会においてしっかりと議論をしていただきまして、必要な法改正の措置を講じていただきたいという風に 私としても考えております。

【気候危機】
●塚地議員 次に地球温暖化対策について伺います。
日本の7月の平均気温が2年連続で過去最高を更新し、8月も猛暑となるなど地球沸騰化が現実の脅威になっています。ゲリラ豪雨の多発、熱中症での救急搬送の増加、農業水産業での収穫減、品質低下など被害が顕在化しています。炎天下のスポーツ部活動の是正、是非も議論になっています。今まさに全力を挙げての対応が求められています。
昨年末にドバイで開かれた COP 28は地球温暖化を1.5℃未満に抑える目標を改めて確認しました。しかし、2月に発表された2023年の世界の平均気温は産業革命前から1.45℃も上昇、さらに24年5月の平均気温は1.6℃超えました。このまま1.5℃を超える状況が長く続くと地球環境のシステムが、急激かつ不可逆不的に悪化し続けるティッピングポイント転換点を迎える可能性があると指摘をされています。世界のティッピングポイント研究の中心となっているイギリスエクセター大学の研究グループが、昨年グリーンランドの氷床融解、西部南極の氷床融解、北方永久凍土の急速融解、北大西洋の大循環は気温上昇が1.5℃を超えると非常に危ない状態に近づくと指摘をし、熱帯から亜熱帯のサンゴの死滅については、既に転換点を超えているのではないかという非常に厳しい見方を示しています。
同大学の報告書は、負の転換点が現実に起きてしまうと、世界全体が大規模な混乱状態になると見ています。高温・干ばつなどで食料生産が大きく低下、大量の難民が発生し、それに伴う紛争戦争の発生、ファッショ的、専制的な政治の台頭も懸念されると警告をしています。そして、最も被害を受けるのは子ども・若者など、未来の世代や気候危機の原因と無関係な途上国の人々です。大変深刻な事態ですが、これを乗り切る努力は、儲けのためには何でもありのシステムから人間と自然が調和した社会を作る希望に転化できます。
◆現在の地球沸騰化の状況をどう認識をされているか、知事にお伺いをいたします。

○県知事 次に、現在の地球温暖化の状況に対する認識につきまして、お尋ねがございました。
議員の方からは地球沸騰化という話がございましたが、まさしく 国際連合のグテーレス事務総長が地球沸騰化と発言をされましたことは、歯止めのかからない地球温暖化の現状に対する危機感を示されたものであると承知をしております。
地球温暖化によります世界の平均気温の上昇は、我が国を含めまして、極端な高温、大雨の増加をさらに増加をさせ、洪水、暴風などによる被害が一層深刻化するということが懸念をされております。また、本県におきましても、今年は猛暑日が過去10年で最多となりました。熱中症の救急搬送者の増加、新高梨への被害といった形で暮らしや経済活動への影響も拡大をしております。こうした状況を踏まえますと、地球温暖化の対策は、まさに今、対応するべき喫緊の課題だという風に考えます。
地球温暖化の原因となります二酸化炭素などをできるだけ排出しない社会経済への転換に向けまして、1人1人が行動を起こしていく、このことが何よりも重要だと考えております。

●塚地議員 9月10日、県は、2030年度には2013年度と比べて47%以上削減する脱炭素社会推進アクションプランの目標に対して、2022年度までの削減率が、暫定値として41%となり、計画を上回る量を削減できていると明らかにしました。大変うれしいニュースですし、県民、事業者、また職員のみなさんの努力に敬意を表したいと思います。
 同時に、プラン策定時にも指摘しましたが、政府目標の46%は、2010年比で42%であり、国連が示した「2010年比45%減」よりも低く、世界第5位(2021年)の温暖化ガスを排出している国として情けない目標ですので、高知県においては計画を大きく上回る取組を、力をあわせて進めていきたいと思います。
 COP28では、19年度比で、2035年までに温室効果ガスの排出量を60%削減すること、2030年までに再エネ発電容量を3倍、省エネ改善率を2倍にすることが合意されました。
◆県の脱炭素社会推進アクションプランにおいても、新たな国際基準にみあった意欲的な目標の設定が求められていると思いますが、知事にお聞きいたします。

○県知事 次に、本県の脱炭素社会推進アクションプランの目標設定について、お尋ねがございました。
気候変動問題に関します国際的な枠組みでありますパリ協定によりまして、各国は2035年時点の温室効果ガスの排出削減目標を来年2月までに提出するということが求められております。これを受けまして、現在、国におきましては、2030年以降の新たな排出量の削減目標について検討が行われておりまして、今年度内には示されるという段取りで検討が進んでいるという風に理解をいたしております。
また、本県におきましても、来年度は、脱炭素社会推進アクションプランの上位計画にあたります。高知県地球温暖化対策実行計画の改定を予定いたしております。そのため、ただいま申し上げました国におきます動向、そして本県の削減の実績の状況、こういったものなども踏まえまして、有識者の方々などのご意見も伺いながら、本県としての新たな目標設定について議論を深めていきたいと考えております。

●塚地議員 脱炭素の取組をすすめるためには、再生可能エネルギーの普及、とりわけ市民電力の取組が重要です。
市民電力の先進国デンマークでは、再エネ発電所の多くが市民所有となっています。デンマークは70年代の石油危機を契機に、市民による風力発電の取組がすすめられてきました。事業が軌道にのり、風力発電で収益性が見込めるようになると企業が参入してきました。しかし、地域住民の意見が反映されない企業主導の事業は、住民の反対運動に直面。そうした中で、風力発電所の設備容量の20%以上は地域住民所有を義務づける法律が、2008年に制定されました。地域住民が納得する計画、地域住民に売電益が還元される事業しか推進できない枠組みをつくっています。遅れてFITを導入した日本が、この教訓に学んでいないことは大きな失策ではないでしょうか。
デンマークではさらに21年には、出資の有無に関係なく再エネ発電所から一定の距離内の全居住者に売電収入の一部を支給する仕組みが成立しています。出資できない住民にも利益を還元する仕組みで、支給額は平均すると風力発電で年間13万円程度、太陽光発電で5万円程度になり、再エネが低所得者のくらしを底上げする福祉的機能まで担っています。市民と地域主導の再エネ普及は、再エネを通じて地域に利益が還元され、社会や経済にも好影響が生まれています。エネルギーの自給率向上や化石燃料の輸入減少による社会負担の軽減にもつながっています。
◆市民電力を発展させる方向にすすむことが、本県を含む地方を活性化させる大きな力となると思います。よく研究し、国への政策提言、県の取組に活かしていくべきと考えますが、知事にお聞きいたします。

〇県知事 次に、いわゆる 市民電力の取り組みを研究し、国への提言や県の取り組みに生かしてはどうかというお尋ねがございました。
再生可能エネルギーを活用した発電事業が地域に受け入れられまして、さらに広がっていくためには、こうした発電事業が地域の利益、あるいは活性化につながるものであるということが大変重要だと考えます。ご紹介のありました市民電力の取り組みも再エネ発電によります利益などを地域に還元をさせるための手法の1つであるという風に受け止めております。
本県では、これまで県と市町村県県内事業者が事業会社を設立いたしまして、メガソーラー発電の事業を行い、この利益を地域に還流をさせるという高知型地域還流再エネ事業に取り組んでまいりました。
この事業におきましては、平成28年度から令和5年度までに4億3千万円余りが県、市町村に累計で配当されておりまして、発電による収益が地域に還元をされているという形になっているという風に理解をいたしております。
また、現在、国において進められております。脱炭素先行地域の取り組みに、県内では4か所5 市町村が選定をされております。このうちの4市町村では自治体が出資をいたしました。地域新電力会社が設立をされておりまして、将来的にはこの雇用の創出であったり、低廉な電力の供給といった地域に分かりやすい目に見える形での利益につながる、そうした事業の展開も大いに期待をされるところだと考えております。
こうした先行地域におきます。地域貢献の仕組みの構築を後押しいたしますとともに 、これを県内の他の地域への横展開を図ってまいりたいと考えております。
併せまして、ご指摘がありましたような市民電力を含めました。国内外の先導的、あるいは 先駆的な事例につきましても研究を進めまして。ただ今申し上げましたような先行地域の取り組みなどの発展につなげていきたいという風に考えております。

●塚地議員 高知県の脱炭素推進、県経済への貢献、また災害に強いまちづくりにとっても、エネルギーの地産地消の取組が極めて重要です。大手電力会社に売電するだけでなく、県内で作り出された再エネ電力を、直接県内で消費する仕組みの構築です。住宅用太陽光発電では卒FITも増えてきています。卒FITの売電価格は大手電力では7~8円です。これを適切な価格で買い取り、県内で利用すれば、県民のくらしにも経済にも好循環を生み出します。
 全国には、自治体も出資した市民電力が立ち上がっています。政令市の浜松市は、企業との共同出資で、地域新電力を立ち上げ、ウナギの養殖池の跡地を利用した太陽光発電、市内2カ所の清掃工場でのバイオマス発電などで生み出した電力を地域の公共施設、民間企業、市内全ての公立小中学校で活用し、生み出したエネルギーを平均約80%の比率で地産地消しています。地域の金融機関と市が連携して太陽光への低金利融資制度を設けています。また、中小企業を対象とした専門家による省エネ無料相談窓口の設置や直接訪問し相談に応じるなどとしています。経営も順調のようです。
◆高知県のエネルギー地産地消の核となる仕組み、市民電力会社の設立について、林業振興・環境部長に見解をお聞きします。

〇林業振興・環境部長 まず、エネルギーの地産地消に向けた市民電力会社の設立について お尋ねがございました。
再生可能エネルギーで生み出した電力を地域内で有効に活用する観点から、市民や自治体などが参画する電力会社の設立は有効な手法の1つだと考えております。このため、脱炭素社会推進アクションプランなどの取り組みにより、地域新電力会社の設立を後押ししており、本県では3つの地域新電力会社が設立されたところでございます。これらの地域新電力会社は、国の脱炭素先行地域に選定された梼原町などの取り組みにおきまして、再エネ電力の地域内での活用に関して中心的な役割を担うこととなっております。
引き続き、こうした地域新電力会社の設立や安定的な経営に向けた後押しを行い、再生可能エネルギーの地産地消をさらに進めてまいります。

●塚地議員 気候変動による異常気象のもと、エアコン利用は命と暮らしを守るための必需品となっています。高知市では8月中旬までの時点で熱中症救急搬送件数は、過去3年平均を大きく超えました。冷房器具の購入ができない、電気代を節約するため、稼働させてないなど、低所得者世帯にとっては文字通り命に係わる問題となっています。
ところが、生活保護制度の運用において、2018年4月以降に保護が開始された世帯については、冷房器具の購入等に要する費用の支給が認められましたが、それ以前に保護を至急した世帯については、毎月の保護費のやりくりで購入費用を賄うことが基本とされています。最低限度の生活をさらに切り縮めよ、という理不尽な運用です。中核市市長会は本年5月の「国の施策及び予算に関する提言」の中で、「生活保護受給者の健康維持及び最低限度の生活維持のために、冷暖房器具の購入費用として、家具什器費の支給要件を緩和すること」、あわせて「冷房に伴う光熱費の増加需要に対応するものとして、夏季加算を新設すること」を求めています。
◆高齢者や障がい者等の熱中症予防が必要な者がいる被保護世帯には、冷房器具の購入費の支給を可能とする。また、生活保護制度に「夏季加算」を創設すること、を国に強く求めるべきではないか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。

〇子ども・福祉政策部長 まず、生活保護世帯における冷房器具の購入費の支給などについてお尋ねがございました。
生活保護世帯における冷房器具の設置については、熱中症予防の観点から平成30年4月以降、保護開始時に冷房器具を持っていない方などについては、その購入費用の支給が認められております。一方で、それ以前から保護受給している世帯については、従来どおり生活保護費のやりくりの中で賄うこととされています。
また、夏季加算については、国から保護基準見直しの基礎の1つである家計調査において、夏季における光熱費は年間平均を下回っている状況が続いており、加算が必要な状況に至っていないと伺っているところです。
しかしながら、今回の猛暑に見られますように、近年は熱中症による健康被害が大変深刻になっております。また、物価高騰の影響により光熱費を気にするあまり冷房器具の使用控えが起こるなど、生命に関わる事態が懸念されます。この件については、令和4年度に県議会において、冷房器具の購入費の支給拡大や夏季加算の創設を求める意見書が、全会一致で可決されており、既に国に提出されているところです。
こうした状況を踏まえまして、県としても来年度に行われる生活保護の実施要領の改正に向け、本年 6月に夏季加算を創設するよう事務的に国に意見を提出しているところです。また、冷房器具の購入費に係る支給要件の緩和などにつきましても、実情を国に伝えてまいります。

●塚地議員 ◆被保護世帯以外の低所得世帯が、冷房器具を購入するための県独自の補助制度創設も真剣に検討すべきではないか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。

〇子ども・福祉政策部長 次に低所得世帯へ冷房器具の購入等を補助する県独自の補助制度創設について、お尋ねがございました。
生活保護に至らない低所得世帯に対しては、生活困窮者自立相談支援機関などが経済的な自立に向けた就労支援や生活の安定に向けた家計改善支援など、お一人お一人に寄り添った支援を行っております。また、経済的な理由から、エアコンなどの冷房器具を購入したくてもできない場合は、県社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付制度が利用できるため、必要に応じて 相談窓口へつなぐなどの対応をとっているところです。
なお、議員のお話にありました冷房器具の購入等への補助につきましては、他の都道府県や県内市町村において制度を創設しているところはなく、他県の一部の自治体が助成している状況となっております。熱中症予防のためのエアコン購入に対しては、今後も県社会福祉協議会等と連携し、生活福祉資金貸付制度の周知・啓発を行うとともに、生活が困窮する方々への経済的な自立に向けて必要な支援につなげてまいります。

●塚地議員 次に、災害時の避難所にその多くが指定されている学校体育館の熱中症対策も喫緊の課題です。エアコンが設置されてない県立校40校については、2月県議会で細木県議の質問に対し、教育長は、22年に計画をたてており、要配慮者の避難施設となる特別支援学校を優先し、順次すすめているところと答弁されています。
体育館へのエアコン設置は、防災面とともに、子どもたちが夏場に、安全快適にスポーツする権利を保障することになります。
◆全県立学校での体育館へのエアコン整備をいつまでに完了させるのか、目標年度を持って取り組むべきではないか。また、市町村立の小中学校の体育館へのエアコン設置の推進について、県としても支援を検討する考えはないか、教育長にお聞きします。

〇教育長 次に 県立学校の体育館へのエアコン整備について、目標年度を定めて取り組むべきではないか、また、市町村立学校の体育館への設置について、県として支援をする考えはないかとのお尋ねがございました。
年々、夏季の暑さが厳しくなる状況を踏まえますと、生徒の健康を守りつつ、体育授業や学校行事などの教育活動を保障するためにも、エアコン設備の必要性は高まっているものと認識をしております。
県立学校体育館へのエアコンの設置については、令和4年度に防災の観点から優先順位を決定し、その整備を進めております。昨年度末時点で43校中5校の体育館にエアコンを設置しており、本年度は2校で実施計画を4校で設置工事を行っているところです。県立学校においては、大規模な施設整備や緊急性が高い改築・改修事業を数多く進めていることもあり、現在のところ、体育館へのエアコン設置について目標年度を定めるには至っておりません。
しかし、今般の気候変動でその必要性が高まっていることから、今まで以上に関係課とも 緊密に連携・協議をしながら整備を進めていきたいと考えております。
なお、当面の対応として学校の意見も聞きながら、取り付け工事が不要で移動が可能なスポットクーラーの導入も検討していきたいと考えます。
一方、市町村学校の施設整備につきましては、一義的には設置者である市町村が判断することでありますが、要件を満たせば国の学校施設環境改善交付金のほか 緊急防災減災事業債の活用が可能となっております。
このため、直ちに県が補助金を支出するのではなく、まずは市町村において国の財政制度を活用することで、学校体育館へのエアコン設置を検討いただきたいと考えております。また、緊急防災減災事業債は、現在のところ令和7年度が期限となっておりますので、その延長などについて、関係部局と連携し、国への提言を行ってまいります。

●塚地議員 ここまで、この夏の異常気象にかかわり、気候変動、気候危機対策について質問させていただきましたが、日本のエネルギー自給率は21年度約13%、食料自給率も38%であり、それも農薬・肥料、野菜の種などの輸入を勘案すると実質10%程度との指摘(鈴木宣弘・東京大学教授)もあり、と先進国の中で極めて低く、災害や紛争などで輸入が途絶えるとたちどころに日常生活が崩壊する極めて脆弱な構造になっています。安全保障の観点からも、自給率の向上は喫緊の課題となっています。
 第二次安倍政権以降の12年間で、集団的自衛権の一部容認、敵基地攻撃能力の保有など歴代自民党政権が平和憲法のもとでは「できない」と言っていたしばりを次々と踏み破り、その結果、防衛費は2012年度の4兆円台から、来年度の概算要求は8.5兆円へ突出した伸びをしめしています。が、「安全保障のジレンマ」と指摘されるように、軍拡競争の悪循環で、危険を増大させることにもなるわけです。しかも、いくら戦闘機やミサイルをそろえて輸入が途絶えるような事態には、まったく無力です。狭い日本に原発を林立させているリスクも直視しなければなりません。
◆国民の日常生活を守る、という安全保障の真の目的達成に、エネルギーと食料の自給率向上を柱とすべきだと思いますが、知事に考えをお聞きします。

〇県知事 次にエネルギーと食料の自給率向上を国における取り組みの柱にするべきではないかとのお尋ねがございました。
近年、ロシアのウクライナ侵攻の影響によりまして、エネルギーや食料の価格が高騰し、家計、企業の大きな負担となっております。今後も同様の事態が生じるリスクがある中で、多くの資源などを国外からの輸入に頼っております我が国のエネルギー、あるいは食料の自給率向上は、国民の生活を守る上で重要なテーマだという風に考えております。
このうち、エネルギーにつきましては、岸田総理が本年3月の会見におきまして、安全保障の確保や脱炭素化などに向けた国家戦略の実行が不可欠との認識を示されました。こうした考え方のもと、現在国のエネルギー政策の中長期的な指針となりますエネルギー基本計画の改定に向けた議論が進められております。
また、食料につきましては、食料農業農村基本法に基づき策定をされました「食料農業農村基本計画」におきまして、自給率の目標が定められているところでございます。
現在、国では今年の5月に改正されましたこの基本法を踏まえました基本計画の改定作業が進められております。この中で、食料自給率を含む食料安全保障の確保に関する事項につきまして、国内外の食料自給動向を踏まえた目標が設定をされる予定であります。まずはこうした一連の計画策定の中で国内の中、長期的な需給見通し、あるいは海外情勢などを踏まえた今後の戦略に関する議論がより一層深まることを期待致しております。その上で 国の責任におきまして、エネルギー、食料の自給率向上、あるいは安全保障に対する対策をしっかりと進めていただきたいというふうに考えております。

【米不足】
●塚地議員 次に、米不足の問題について伺います。
今、全国的に、米が店頭から消え、深刻な混乱と不安を広げています。すべての国民が米を安心して確保できるようにすることは政治に迫られた緊急課題です。
 農水省の発表では、今年6月末の米の民間在庫は前年比41万トン減で、過去最低です。品不足を反映して、米の業者間の取引価格は前年の2倍近くに高騰しています。
 ところが農水省は「米の需給がひっ迫しているとは考えていない」「新米が出回れば品薄感は解消される」と繰り返し、何の対策も取ろうとしません。現実に店頭から米が消え、多くの国民が悲鳴をあげている事態に目を閉ざしています。
 日本共産党をはじめ、多くの団体が備蓄米の放出を要求してきました。とりわけ、これまで米の無償提供などにたよっていた子ども食堂を米不足が直撃していることから、2020年度からはじめている食育支援の一環として政府備蓄米の無償交付を抜本的に拡充することをもとめてきました。その結果、政府は、全国で10カ所だった申請窓口を全都道府県に設置し、年4回だった申請受け付けを通年受け付けにするよう指示した、と報じられています。これまでの支援実績は140トン、486件にとどまっていたことから、関係者の取組や世論が政府を動かしたものと言えます。
◆そこで、今回の子ども食堂などへの無償交付事業は、高知県において、どのように実施されることになるのか、また、これまでも取り上げてきた学生への食料支援についても支援できないか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

〇子ども・福祉政策部長 次に、子ども食堂などへの政府備蓄米の無償交付事業について お尋ねがございました。この事業は、農林水産省がご飯食を通じた食育の推進を図ることなどを目的に、子ども食堂の取り組みや、子育て家庭に食材を届ける子ども宅食を行う団体に対して政府備蓄米を無償交付するものです。
本年 9月2日以降、備蓄米の交付申請窓口が全国10か所から各都道府県に拡大され、本県においても国の高知地方合同庁舎で申請が可能となるなど運用が改善されました。交付申請手続きは、各団体から直接国に対して行われるため、県は対象となる各子ども食堂や市町村に対して制度の周知を行っているところです。
大学生への食料支援につきましては、この事業の対象は子ども食堂と18歳未満のお子さんがいる子育て家庭に対する子ども宅食に限定されているため、現在は制度の対象と対象外となっております。
県としましては、引き続き、子ども食堂が必要な時に、政府備蓄米の利用ができるよう、しっかりと周知して参ります。

●塚地議員 今回の事態の根本には米の需給と価格の安定に責任を持とうとしない自民党政府の農政があります。
 政府は「需要に応じた生産」の名で、米の消費が毎年減ることを前提に生産量の削減を現場に押し付けたうえで、需給と価格は市場任せにしてきました。
 2021年産はコロナ禍で需要が大幅に減少したため、在庫がだぶつき、生産者米価が大暴落、米農家の1時間当たりの所得が10円という悲惨な事態が広がりました。そのもとで政府は、米が過剰だからと年間20万トン以上の減産を強い、在庫を減らしてきました。この結果が今年の米不足と価格高騰につながったわけです。
 わずかの需給変化で米流通の混乱が発生し、価格が乱高下する現状は、米を市場にゆだねることの危険性を改めて示すものです。
 2024年1-8月に発生した米作農業(米農家)の負債1000万円以上の倒産、休廃業と解散は、計34件で、23年通年の35件を大幅に上回り年間最多が確実となっています。小規模農家では高齢化、後継者不足も深刻な事態がつづいています。将来的に主食の米が安定的に供給できなくなる可能性もあることを直視しなければなりません。
 政府が米の需給と価格安定に責任を持ち、価格保障や所得補償などで農家が安心して米作りに励める条件を整える、多少の不作や需要増でも不足しないようゆとりをもって生産量や備蓄を確保する、豊作などで供給が上回った場合には国が買い上げて食料援助にまわすなど、先進国では当たり前に実施している自国民の主食を安定に確保する政策への転換が必要です。
◆将来にわたって米の安定供給を確保するためには、政府が米の需給と価格安定に責任を持つことが不可欠と思いますが知事にお伺いをいたします。

〇県知事 次に米の安定供給の確保についてお尋ねがございました。
自由経済の考え方のもとで、将来にわたって米の安定供給を確保するためには、需給バランスの取れた生産が行われること、そして価格の安定が図られることがポイントとなるという風に考えます。
国の方では、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律に基づきまして、円滑な生産調整や米が不足する事態に備えました備蓄を行うことで、米の安定供給の確保を図るという考え方に立っておられます。具体的には国は翌年度の米の需給見通しを策定し、生産者が自らの経営判断のもと、需要に応じた生産が行えるよう支援をしております。合わせて10年に1度の不作などにも対処できますように、およそ100万トンの備蓄を行っているという風に伺っております。
一方で、ご指摘もございましたが、今年の6月以降、令和5年産米の品薄感を背景といたしまして、米の価格は急騰し、6年産米が出回り始めた現在も高止まりの傾向にあるという風に受け止めております。この価格表と高騰の急騰の背景につきましては、1つには高温障害による供給量の減少 2つにはインバウンドなどの人流の増加によります。外食需要の回復、3つには物価高で値上がりしたパンや麺類と比べて米の値ごろ感が出ているということ、4つには南海トラフ地震臨時情報、あるいは台風などによります消費者による買いだめが発生をしていること、こういったことなどなど様々な要因が掲げられておりまして、国において十分に検証を行う必要があるという風に考えます。
その上で 国として取るべき対応といたしまして、まずはより的確な需要見通しを策定することにあるのではないかというふうに存じます。そして、必要な場合には、この生産拡大を促すといった対策を講じることも必要な場面もあるのではないかという風に考えておりまして、今後も米の安定供給に向けまして、国においてしっかりと取り組んでいただきたいという風に考えております。

【漁業振興・漁協強化】
●塚地議員 次に、漁業振興、漁業協同組合の強化について伺います。
漁業を取り巻く環境は、昨今の燃油や資材の高騰、漁業資源の減少など厳しさを増しています。県民・国民の食を支えるとともに、インバウンドの土台ともなっている重要産業です。県においても水産業のスマート化など漁業就業人口が減少するもとで漁獲高を維持するなど、漁業者とともに努力をしているところですが、全国的にも海面水温の上昇で、極端な不漁や獲れる魚種が大きく変わる、養殖環境の悪化など温暖化の影響がでてきています。
◆海水温上昇に対応したいっそうの漁業・水産業の支援策が必要と思いますが、水産振興部長にお聞きします。

〇水産振興部長 まず、海水温上昇に対応した漁業水産業の支援策について、お尋ねがございました。
本県においては、現時点では、海水温の上昇と漁獲量の変動に明確な関係は見られておりません。しかし、海水温の上昇が進めば、魚類の生息域が変化する可能性があります。そのため、海水温の上昇などによる魚種の変化や不漁に対応できるよう、単一の魚種に頼らない漁業への転換を進めるため、複数の漁業を営む技術の習得に向けた支援の拡充について検討してまいります。
一方、養殖においては、近年、降水温の影響によりブリやマダイへの被害が発生しております。また、国の報告では海水温の上昇による赤潮の発生の増加が懸念されています。こうしたことから、高知マリンイノベーションで取り組んでいる赤潮発生予測の一層の充実に取り組むとともに、高水温時には、漁業者や漁協に対して餌やりや出荷作業などの中止を促す注意喚起を続け、被害の軽減につなげてまいります。
今後は、これらの対策を進めていくとともに、水産試験場において、海洋環境や漁獲物のデータを収集・分析し、海水温の上昇に対応した支援策を検討してまいります。

●塚地議員 2018年の漁業法改定にあたって日本共産党は、漁業の「成長産業化」の名のもとに、沿岸漁業者や漁協等の養殖・定置漁業の漁業権行使の優先順位の廃止、漁業者や漁協が自主的に取り組んできた資源管理や、自治体などによる共同の取り組みを軽視し、政府が上から漁獲可能数量を割り当てるなど、大企業や大型漁船経営の利益を優先し、圧倒的多数を占める小規模沿岸漁業者の権利や利益を踏みにじる内容だと厳しく批判してきました。漁村を支えている小規模・沿岸漁業の振興を水産政策の中心に据え、漁業者自身による資源管理、環境保護の取り組みを重視することを訴えてきました。
 漁業権を漁民、県民の利益として守り抜くうえで漁協の役割は重要で、民主的運営、世代継承などに県としても汗をかいていただきたいと思います。
 さて、8月7日付け地元紙が「すくも湾漁協 組合員半減か 資格なし多数で県指導」、別の面で「組合員資格問題12漁協で」と報じました。記事は、県が以前から繰り返し指導していたことにふれ、「長年にわたり形式的な指導が行われ、あいまいな組合員審査が実質上黙認されてきたことがうかがえる」と指摘しています。
 今回、問題が表面化したのは、内部からの告発が県に寄せられたことにあります。漁業をとりまくきびしい環境の中、県も移住をふくめた担い手育成に力をいれていますが、そうした新規就漁業者が力を発揮できる環境にすること極めて大切になっています。
 ◆今回の事態の是正には、漁協に対する県としてさらなる支援が必要だと思いますけれども水産振興部長にお聞きいたします。

〇水産振興部長 次に、組合員資格審査の是正に係る漁協への支援について、お尋ねがございました。漁協においては、水産業協同組合法及び定款に基づき、組合員の資格審査を実施することとなっています。特に、正組合員については、総会の議決権などを持ち、漁協の運営に参画することができるため、その資格の有無を適正に審査することが重要です。
これまで、県は水協法に基づく検査において、組合員資格審査に関する指摘を行ってまいりました。その結果、部分的な改善が図られた漁協もありましたが、適正な資格審査には至っていない漁協が多い状況です。
このため、県は今年度、年に1回行う常例検査において、不適正な状況にある漁協に対して改めて指摘を行い、改善に向けた指導を強化しているところです。今後、適正な資格審査が円滑に行われるよう、それぞれの漁協の状況に応じた助言を行うとともに、適正化に向けた課題が生じた場合は必要な支援を検討してまいります。

【土佐市・焼却炉】
●塚地議員 次に、土佐市東鴨地の産業廃棄物中間処理場についてお伺いいたします。
9月17日、土佐市の環境・農業と市民生活を守る会の皆さんが、「東鴨地の焼却炉の処分業不許可を求める請願」を知事に提出いたしました。請願署名はわずか半月ほどで1400名を超え、署名提出に参加された住民からは「土佐市のブランド米や文旦の栽培が盛んに行われている地域への産業廃棄物処理施設設置は、あまりに住民の努力を蔑ろにしている」と怒りを込めて発言。この問題が議論された、この間の土佐市議会は傍聴人が溢れ、ロビーで視聴する人が出るほど大きな問題となっています。
 この問題は、今年の1月、土佐市が特段の配慮をする農用地、減農薬など特別栽培が行われている地域の中に、急遽、煙突のある施設が出現し、一体何ができているのかとの不安から、とりあえず関係住民に説明をしてほしいとの声から始まりました。住民が、気が付いたときには、既に2機の小型焼却炉が完成しており、住民への説明はなされないまま焼却炉が設置されたことに不安が広がるのは当然だと思います。
その経過を確認すると、昨年8月に当事業者が産業廃棄物処分業を行うための焼却炉に対し、県の「高知県新事業チャレンジ支援事業費補助金」を申請し、翌9月には交付決定を受け、3か月後の今年の1月に焼却炉を購入、設置、この3月には、県から「チャレンジ補助金」2500万円が支出されています。県の産業廃棄物処理指導要綱では、小型炉であっても、自家処理ではなく業として運用するなら県との事前協議が必要となり、住民への事前説明も求められます。しかし、今回住民への事前説明は行われる事なく、事業への県の補助金が支出されています。
◆なぜ、事前説明もなく焼却炉が設置されたのかとの住民の質問に対し、環境対策課は「焼却炉の設置について、事業者から『自家処理用として設置する』との申し出があったため指導要綱の対象外となる」と説明したとのことですが、それは事実でしょうか。林業振興・環境部長に伺います。

〇林業振興・環境部長 次に土佐市で計画されている産業廃棄物処分業の許可申請に係る焼却炉の設置に関して、担当課からの住民への説明内容についてお尋ねがございました。
当該焼却炉の設置につきましては、昨年4月から事業者の相談を受けており、9月に事業者からまずは自家処理用として設置し、完成後に産業廃棄物の処分業許可の申請を行う、このことが示されました。
県の産業廃棄物処理の指導要綱では、処分業のために施設を新設する場合と、自家処理用など既存の施設を処分業の用に転用する場合を対象としているところです。今回の事案では、事業者からまずは自家処理用として設置するという申し出があったことから、焼却炉の設置に関しましては、指導要綱の対象外となるため、住民の皆様にもそのように説明したものでございます。
なお、完成後の施設を転用して、産業廃棄物処分業の許可を取得する際には、指導要綱に定める事前の協議の事前協議の手続きを取るよう指導したところでございます。 

●塚地議員 ◆しかし、この業者は、既に昨年8月に申請した「チャレンジ補助金」の事業計画書には「中間処理業」であると書いてあり、明らかに「業」が目的で「産業廃棄物処理指導要綱」に則った対応を指導すべきであったわけで、この情報は共有されていなかったのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。

〇林業振興・環境部長 次に、当該焼却炉の設置に関する補助金を所管する部署、そちらとの情報共有についてお尋ねがございました。
担当課に対して補助金を所管する公益財団法人高知県産業振興センターから昨年9月に事業者に関する産業廃棄物処分業許可の手続き状況について問い合わせがあり、情報は共有されておりました。
なお、同時期に事業者からまずは自家処理用として設置するとの意思が示されていたことから、完成後の施設を転用して 産業廃棄物処分業の許可を取得する際には、事前協議の手続きを取るよう指導をしていたところでございます。

●塚地議員 焼却炉が完成した後、住民の皆さんは、事業者への説明を求め、環境対策課が事業者を指導し現地説明や何度かの住民説明会が開催されました。やっと開かれた説明会で廃プラスチックの焼却事業だとの説明を受け、ダイオキシンの発生や焼却灰の処理はどうかなど関係住民の不安は大きく、さらなる説明を求めると事業者からは、「指導要項など関係ない。裁判にしたら、こっちが勝つ」といった発言など真摯な対応とは言い難い状況に住民の不安は増大しました。そうした中、指導要綱が求めている3名の同意書のうち2名が同意を撤回。しかし、本年5月に事業者は、環境対策課に、産業廃棄物中間処理業の許可を求める申請書を提出しています。
◆指導要綱に定める住民同意の要件を満たせていない状況で業許可を申請していることについて、県はどのように認識されているのか林業振興・環境部長に伺います。

〇林業振興・環境部長 最後に、指導要綱に定める住民同意の要件を満たせていない状況に関して、県の認識についてのお尋ねがございました。
事業者との事前協議では、対象となる3名の住民の同意を確認できる書類が添付されていましたが、その後 2名の方から県に対して不同意の意思表明がありました。これを受けまして、県として同意の再取得を事業者に対して指導をしましたが、事業者から、「丁寧な説明に努めたが、同意が得られなかった」との報告がございました。
県としましては、住民同意は産業廃棄物処分業の許可に際し、法律で定める許可要件ではないこと、そして同意取得が得られていないものの、事業者としては指導要綱に沿った対応をすべく努力を尽くした中にあっては申請を拒むことはできないことから、許可申請を受理したものでございます。

●塚地議員 そうした事態を受け、土佐市市議会では、多くの議員からも事前説明や住民同意がない点での指摘が出され、今年の5月、土佐市は事業者と「環境保全協定」を交わし、住民の声を聞くことや環境悪化をさせない約束を結びました。しかし内容は不十分で、その実効性も懸念されています。この土地はブランド米である「岩戸米」の生産地であり、近隣の12校もの小中学校で、子ども達が毎日食べる学校給食米を栽培していますから、焼却施設によるダイオキシンや排水処理などの影響や農産物への風評被害も心配されています。
◆県の指導要綱を軽視してきた事業者に「産業廃棄物処分業」の許可を出さないよう求めている住民の思いを知事はどのように受け止めているのか、お伺いをいたします。

〇県知事 次に、土佐市内の産業廃棄物処分業の許可申請に対する住民の思いをどう受け止めているかとお尋ねがございました。
住民の皆さんからは、今回の事業実施に対する不安などから、この許可をしないでほしいという請願をいただいております。県といたしましては、こうした住民の方々の不安の解消に向けまして、指導要綱にも定めはございませんが、住民説明会あるいは現地見学会を、この事業者に実施をさせるといった対応をとって参ったところであります。
また、地元の土佐市におきましても、事業者との間で環境保全に関する協定を締結いただきまして、施設が稼働した際には、施設から出される排出ガス、雨水の検査なども法令で定められた以上の対応をしていただくということが取り決められているところでございます。
一方で、お話がありました産業廃棄物処分業の許可申請につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃掃法と言われます国の法律に定める環境保全のための基準などを満たしているか否かによって、この許可申請の可否を判断すると、法律に基づきますと、そういった関係になるという風に理解をしております。
そして、住民の皆さんの安心・安全の確保のためには許可をいたしました事業者に対しましては、県として法令に基づきます定期的な立ち入り検査、あるいは巡回パトロールといった取り組みを通じまして、産業廃棄物の適正な処理が行われるように対応をしてまいる考えであります。

【介護事業所】
●塚地議員 次に介護事業所支援について、午前中、土居議員への後藤弁もありましたけれど、お伺いさせていただきます。
4月の介護報酬改定は、物価高に見合わず、なおかつ訪問介護の基本報酬が引き下げられましたが、懸念されていたように、深刻な事態を引き起こしています。地元紙が8月終盤から連載した「高知の介護危機」は、厳しい経営状態、人手不足と過酷な労働環境の中で、ぎりぎりのところで訪問介護サービスを支えているヘルパーさんや事業所の姿、そして理不尽な介護報酬引き下げへの怒りの声などを伝えており、多くの県民が私と同様に心を痛め、「何とかならないのか」と思われたのではないでしょうか。
東京商工リサーチは、今年1~8月期の倒産が114件と前年同期の1.44倍に激増し、過去最多である20年の年間倒産件数143件を大幅に超える見通しを発表しました。倒産した114件のうち9割近く(87.7%)が個人企業を含む資本金1000万円未満であり、従業員10人未満が8割(80.7%)と小・零細事業者が大半を占めています。報酬改定の影響が本格的に出る秋以降、事態はいっそう深刻になることが危惧されています。これら事業所は、大手チェーン企業が敬遠する利益の少ない生活援助の訪問介護や1人暮らしの認知症の人など「困難ケース」を引き受け、地域の介護基盤を支えており、特に過疎地、中山間地の介護基盤に崩壊の危険が迫っています。
ヘルパーの処遇や働く環境の抜本的な改善、条件不利地で活動する事業所の財政基盤の強化などはまったなしの課題となっています。一方、介護保険料の負担も限界となっており、これらの改善を保険料に跳ね返らない形で実施するには、国庫負担分を増額する以外にありません。
◆国に強く要望するのは当然ですが、「介護危機突破」の県民的、または国民的な運動を、課題を共有する全国の知事と連帯して進める、そのぐらいの決意が必要ではないか。当然、私たちも力を合わせて頑張りますが、従来の取組の延長線上でない決意・行動が求められていると思いますが、知事にお聞きいたします。

〇県知事 最後に、介護危機突破への決意、行動については、どうかというお尋ねがございました。
今回の訪問介護の基本報酬の引き下げは、県内の訪問介護事業者にとりまして、物価やエネルギー価格が高騰する中で大変厳しいものという風に受け止めております。このため、土居議員への答弁でも申し上げましたけれども、本年8月、全国知事会におきまして、マイナス改定の影響に関する適切な検証、そして必要に応じた臨時改定などを国に対して求めたところであります。
現在、国で行われております影響調査の結果も踏まえまして、引き続き、関係団体、全国、知事会などと連携をしながら国に対してしかるべき対応を行うよう訴えていきたいという風に考えております。
また、特に物価高騰が続きます。現在の経済状況に鑑みますと、今後、遠からず国において新たな経済対策が実施されるということも十分想定されるという風に考えております。県としてもこうした国の動向も見極めながら、例えば、複数年の財源を確保できる基金での支援策といった形で、介護基本報酬の今回の改定のマイナスの影響を緩和する措置、こうしたことを講じてはどうかといった点を国へ提言するといったことも検討してまいりたいと考えております。
一方で、高齢化の進行により、社会保障の財政事情は今後も増加していく見込みであります。このため、介護保険制度の持続可能性を高め、安定して運営をしていくには給付と負担のバランスを図るということが大変重要であると考えます。このため、国におきまして 必要に応じた、制度設計の見直し、あるいは 安定的な財源の確保といった役割をしっかりと 果たしていただくことが肝要だと考えております。
今後、高齢者人口がピークとなると見込まれます2040年頃に向けまして、介護保険制度が果たすべき役割は一層大きくなってまいります。この介護保険制度の持続可能性の確保これを第一義に据えまして、全国知事会などともしっかり連携をし、引き続き、ただいま申し上げましたような取り組みを進めて参りたいという風に考えております。私からは以上であります。

●塚地議員 高知県は、中山間地の訪問介護サービスについて、訪問に要する時間が20分を超えるケースについて、事業所に直接支援するという全国初の事業を導入しました。大変重要な事業として高く評価しています。
 訪問介護は、知事肝入りの施策である介護度が重度であっても自宅で過ごせる仕組みを進める土台となるものです。
◆昨今の物価高騰など訪問介護事業所を取り巻く状況を踏まえ、支援内容の拡充が必要ではないかと思いますが、子ども・福祉政策部長に認識をお伺いいたします。

〇子ども・福祉政策部長 最後に、中山間地の訪問介護サービスへの支援内容の拡充について、お尋ねがございました。
物価やエネルギー価格が高騰する中で訪問介護事業所の運営は厳しさを増しており、サービス提供の効率が悪く、経営面で不利な中山間地域での介護サービスの継続に大きな影響を与えていると認識しています。
加えて、小規模の事業所では、職員の負担軽減業務効率化につながる生産性向上や人材確保の取り組み、さらには 介護報酬体系における加算取得などが思うように進んでいないといった状況にあることもお聞きをしております。
このため、知事から、本日の土居議員への答弁で申し上げましたように、来月1日に開設する「高知介護生産性向上総合支援センター」において、加算取得に向けた取り組みをプッシュ型で行うなど、事業所の伴走支援を行ってまいります。さらに高知県ホームヘルパー連絡協議会と連携しながら、嶺北地域での事業者間の総合応援による新たな訪問介護サービスのモデル実証などに取り組んでまいります。
こうした新たな取り組みを進めながら 課題点の分析を行い、中山間地域における訪問介護サービスの提供体制の強化、訪問介護事業所の経営支援に関係団体と連携し取り組んでまいります。

【高知龍馬空港・国際線ターミナル】
●塚地議員 次に、高知龍馬空港の国際線ターミナルの施設整備についてお聞きいたします。
国際線の就航を図るための高知龍馬空港の新ターミナルビル整備については、高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議(以下、「検討会議」とします)が、新ターミナルビル整備部会の検討を踏まえて、昨年2023年6月に整備の方向性と整備手法を確認しました。
そこで確認された整備の方向性は、「国際線の需要喪失リスクを踏まえて、可能な限り簡素化し、国際線を主としながらも国内線も活用可能な新ターミナルビルを整備」するというものでした。そして、整備手法としては、この方向性を踏まえながら、整備する機能や面積などについて、2019年度に策定した「高知龍馬空港施設基本構想」をベースに、面積の縮小や建築仕様の見直しを検討する、また、万博までの整備完了を目指して、整備する機能や規模を最小限とした現ターミナルビルの改修等について検討する、というものでした。つまり、万博の開催にあわせてインバウンド(訪日客)需要を取り込めるように早く整備しようというものでした。
その後、2023(令和5)年9月に整備部会が開かれ、それを受けて10月に開いた第9回「検討会議」が、事務局である県が検討した具体的な新ターミナルビル整備案で決定することを承認しています。その結果、空港ビルの東側に国際線が使わないときに国内線でも使える、内際供用の施設として整備することとし、具体的には、整備規模は既存改修765㎡、新棟整備2,611㎡、合計3,376㎡を整備する。整備費用は19億4800万円、工期は21ケ月で、2025年10月供用開始をめざすとされました。また、経済波及効果については、国際定期便が年間100往復の場合、4億9400万円と想定されています。この計画案は、昨年の12月県議会に報告され、それに基づく設計委託料約1億4千4百万円の債務負担が提案され全会一致で可決しました。
ところが、本年2月から設計開始して半年余りで、この整備内容を見直し、事業費も倍増するという計画案を、県がネットワーク検討会議に提案し9月9日に了承されました。整備規模は625㎡増の4,001㎡に拡大され、整備費用は17億600万円増の36億5400万円と、従来の計画からはほぼ倍増。完成時期は最大で17カ月延びて2026年度中となっています。そして、この整備費用の増加分を項目別に見てみますと、計画変更に伴う面積増などで2億7300万円、資材・労務費の高騰などで6億5千6百万円、耐震強化で4億5百万円、消費税の追加で3億3200万円、合計17億600万円増となっています。
2023年に「検討会議」で確認された整備計画が変更された理由の説明も明瞭ではなく、この間、二転三転した経過からも県行政に対する信頼に関わります。万博に間に合わせようとして、これまでの計画がずさんだったのかとの不信感もぬぐえません。
以下お聞きいたします。
◆整備規模が約20パーセント拡大しただけで経費が約2倍になることは納得しがたいものです。資材・労務費の高騰といいますが、いつの時点との比較なのでしょうか。

〇総合企画部長 まず、国際線ターミナルビルの整備費用について、お尋ねがございました。
昨年10月のネットワーク成長戦略検討会議での整備案の了承以降、コロナ禍から社会経済活動が大きく回復し、インバウンド需要を取り巻く状況に大きな変化が生じてまいりました。具体的には、台湾の定期チャーター便が就航し、現在までの平均搭乗率は9割を超えるなど、好調に推移していること、また 仮設施設の利用者から様々なお声をいただき、利便性の向上などについて新たな気づきがあったこと、更には国内の地方空港での国際線の新規就航も相次いでおります。
こうしたことから、基本設計を進める中、空港関係者から利用者の更なる利便性の向上や安全性の確保、他の空港と一定競争性を持った施設の充実が、さらに議会からも商用スペースの増加などについてご意見をいただいたところです。
このため、これらも踏まえ設計を進めた結果、昨年の検討会で了承された整備案から面積は625㎡、整備費は現段階の試算で約17億円増加する見込みとなりました。整備費の増加の内訳としましては、面積の増加に伴い約3億5千万円、資材・労務費の高騰により約5億1千万円、エスカレーターなどの設備の追加費用として約1億1千万円、耐震化に要する追加費用として 約4億1千万円、そして消費税額として約3億3千万円を見込んでいるところです。
昨年度の積算は、令和5年度における空港ターミナル整備に係る専門業者の1㎡あたりの単価を参考に積算しておりましたが、今回は来年度の発注を見込んで令和7年度の1㎡あたりの想定単価を基に行っております。

●塚地議員 ◆また、耐震の見直しで約4億円増との説明ですが、前回の計画では十分でなかったということなのか、さらに、今回、消費税分が追加されたことについては、行政が予算を立てる上でのチェック機能に問題があったとも考えられますが、原因と対策について、総合企画部長に伺います。

〇総合企画部長 次に、耐震性については、昨年の整備案においても、民間の建物に求められるレベルの耐震性は確保しておりましたが、基本設計を進める中で、今後行う構造計算の結果によっては、官庁施設としては、さらなる強化が必要となる可能性が判明したため、最大約 4億1千万円の増額を見込んでいるものです。
これは、今回受注したJVの構成員であり、構造計算を専門とする事業者との協議の中で判明したものであります。また、消費税は 空港整備の工事費について打ち合わせを行ってきた中で、専門業者においては、工事費等、消費税は別物という認識でありました。一方で、県側は、工事費に消費税も当然含まれているものと思い込んでいたことが、その原因であります。今後このようなことがないよう、組織として確認を徹底してまいります。

●塚地議員 国際線は、近隣の空港、つまり松山や高松空港などの国際線との需要獲得競争が生じることも考えられますが、本県への安定的な需要は見通せるのか、仮に運営が赤字となった場合の県民負担はどうかなど経営に対する見通しが今回は、いまだ示されていません。
◆国際線ターミナルの運営体制と、収支見通しをどのように試算されているのか、総合企画部長にお聞きします。

〇総合企画部長 次に、国際線ターミナルビルの運営体制と収支見通しについて、お尋ねがございました。
国際線ターミナルビルは内際共用部分を除きまして、県が所有することとなりますが、その管理運営については空港法に基づき指定された空港機能施設事業者である高知空港ビル株式会社に指定管理委託により、担っていただく予定です。
指定管理料については、最終的には関係者と協議をする中で決定していくことになりますが、現在の国際線の就航状況により試算を行いますと、令和元年度にお示しした年間約5000円から3分の2程度に減少する見込みです。
国際線ターミナルビルの整備には においては、整備費用や一定の運営委託料が必要となりますが、一方で現行の本県の試算では低く見積っても週2 便で年間 5億3千万円という経済波及効果が見込まれます。
経済波及効果が発現され、本県経済の活性化につながりますよう、国際線ターミナルビルの整備にしっかりと取り組んでまいります。

【高校入学試験】
●塚地議員 最後に、高校入試における「定員内不合格」の問題、および「調査書」の扱いについて以下、教育長にお伺いいたします。
文部科学省は「公立高校の入試の実施・改善状況を調べるために」として、2022年から調査を始め、結果を公表しています。
2022年度の調査結果を見ると、高知県の定員内不合格者数は実数において全国トップ、全国の一割を超える数となっています。
2023年度の結果を見ても、生徒数に対する比率では、突出して全国トップとなっています。
◆県教委は、文科省の調査に対して「県立学校長会等を通じて、選考においては、可能な限り定員内不合格を出さないよう周知している」と回答しています。そうであるならば、このような突出した定員内不合格が生じている現状をどう捉えておられるのか、教育長にお伺いします。

〇教育長 次に全国の中でも定員内不合格者が多く生じている現状をどのように捉えているかとのお尋ねはございました。
高等学校においては、社会からの要請や期待などを勘案しながら、それぞれの学校で教育方針や教育目標を定めており、またそれらを達成するために特色ある独自の教育課程を編成しております。
そのため、高等学校の入学者選抜では学校や学科などの特色を踏まえ、その学校で学ぶために必要な能力や適正意欲を適切に判断し、合否を決定しています。中学生やその保護者の方々には、それぞれの学校の教育方針や教育目標などを十分に理解した上で、進学先を選択していただいておりますが、入学後の生徒、保護者の望んだものと学校の取り組みとの間にズレが生じる場合があります。このような、ミスマッチをできる限り少なくするために、各学校の教育活動に見合った力や意欲を持った生徒を受け入れる必要があり、定員内であっても、選抜の結果、不合格となる場合はあるものと考えます。
また、現在本県の入学者選抜は多くの学校で定員割れとなっていることに加え、複数の受験機会を設けて実施をしています。こうした本県特有の入学選抜制度の状況から、結果的に 文部科学省の調査で公表される定員内不合格の人数が多くなってしまうという課題もあります。これらのことからも、入学者選抜は定員内不合格の多寡のみをもって評価できるものではないと捉えておりますが、しかし、多様な教育方針や教育内容を持つ高等学校がありながら、学ぶ意欲のある生徒に対して、学びの場が確保できない状況は望ましいことではありません。それぞれの生徒の能力や適性などに応じて 公教育を担う県立高等学校がしっかりと引き受けていくことは極めて大切なことと考えております。

●塚地議員 2023年2月、当時の永岡桂子文科相は、障害理由の定員内不合格は「あってはならない」と述べました。
◆県教委は、文科省の調査に対して、「定員内不合格を出す場合には、教育委員会との協議の中で、その理由が真にやむを得ない理由であるか詳細に聞き取っている」と回答しています。障害に基づく定員内不合格が生じていないのか、また県教委の認めた「真にやむを得ない理由」とは何なのか、をお伺いいたします。

〇教育長 次に障害を理由とした不合格が生じていないか、また、定員内不合格のやむを得ない理由とは何かとのお尋ねがございました。
入学定員を満たしている、満たしていないにかかわらず、障害があることを理由として、不合格とすることは私もあってはならないと考えております。公立高等学校の入学者選抜においては、障害などにより、学力検査や面接などで特別な措置を必要とする生徒に対して、例えば、検査問題のルビふりや検査時間の延長 といった特別措置による配慮を行っております。
その上で、定員内不合格を出す場合は、県教育委員会事務局が事前に、学校からその理由を聞き取っており、障害を理由に不合格とした事例がないことを確認しております。
また、定員内であっても不合格と判断される理由としては、中学校からの調査書や学力検査、面接などの結果、志望する学校の学習内容や教育活動に見合った学力が十分ではない場合、あるいは志望する学校で学びたいという意欲に欠けるといったケースに限られます。

●塚地議員 2022年度の結果報道を受け、2023年度には多少縮小した高知県の定員内不合格ですが、2024年度には、再び2022年度同等の定員内不合格を出しています。
高等学校への進学率は99%に達しており、今や希望者に対して高校教育の機会を保障することは教育行政の責務です。実際、定員内不合格ゼロの都道府県も少なくありません。
文部科学省は、調査結果を踏まえ、「域内の学ぶ意欲を有する中学生の進学先が確保されているかを改めて分析するとともに、今後の域内の高校政策の検討につなげ」るよう求めています。
◆かつて県教委は、県民からの批判に応え、「定員内不合格」の縮小に努めてきました。しかし現在は、大幅に定員割れしながら多数の定員内不合格を出している学校、わずか数名の受験者しかいない中で複数の定員内不合格を出している課程があるのが現状です。こうした現状をどう見直していくのか、教育長に伺います。

〇教育長 次に、定員内不合格が多い現状を、どう見直していくのかとのお尋ねがございました。高等学校は、大学などの高等教育機関や実社会へ接続する最後の教育機関であることから、生徒たちが社会の中で自己実現を図っていく力を補完し、育んでいく大きな責任があると考えております。
このため、学びたいという意欲を持つ、生徒については高等学校でしっかりと引き受け 育てていかなければなりません。このことを改めて県教育委員会事務局内に、また各高等学校に徹底してまいります。その上で、各学校には、社会や県民の方々からの期待や要請なども再確認しながら、今後の選考のあり方について検討するよう促して参ります。
また、県教育委員会としましては、高等学校のさらなる魅力化・特色化に向けて、入試制度の見直しを検討しております。その中で、入学定員や入学者選抜の時期、内容なども見直し、定員内不合格の構造的な課題の解消も測っていきたいと考えております。

●塚地議員 続いて、高校入試における「調査書」いわゆる内申書の扱いに関して伺います。
岐阜県教育委員会は、不登校の生徒が不利にならないよう、2025年度の高校入試の調査書から欠席日数を記載する欄を廃止するとしています。長野県教委も、生徒らの不安解消のために「出欠・健康の記録」欄を削除する方針です。
不登校であることが不利益に扱われることがあってはなりませんが、私たちのもとには、不登校生やその家族から、調査書における「出欠の記録」や「各教科の学習の記録」等の扱いについての不安の声が多数寄せられています。中学校により対応が異なっているのではないかとの懸念の声も上がっています。
◆こうした不安を解消するためには、調査書の記載内容の見直しを行うと共に、不登校生徒に対する「各教科の学習の記録」の扱いの基準を明確にすることが必要だと考えますが、教育長にお伺いいたしまして、私の第一問といたします。

〇教育長 最後に、調査書の記載内容の見直し、及び不登校、生徒に関する各教科の学習の記録の扱いの基準を明確にすることについて、お尋ねがございました。
本県の入学者選抜において、調査書に記載された各教科の学習の記録や、出欠の記録、行動の記録などは選考の資料としております。ただし、不登校など特別の事情がある場合には、中学校からの副申書や受験者本人からの自己申告書によりまして、その内容や理由を高等学校に申告できる仕組みをとっております。特に調査書中の各教科の学習の記録に空欄が生じる場合には、中学校から必ず副申書を提出することとしております。
こうしたことについては、現在中学校に配布している入試事務の手引きに明記をしているところであります。そして、不登校などを理由とする副申書や自己申告書が提出される場合には、各高等学校は選考において、その事情を配慮することとしており、欠席の多さのみをもって不合格と判定されることはございません。
これらのことは、県教育委員会として各高等学校に徹底するとともに、中学校と高等学校が合同で行う校長会などにおいても説明を行い、中学校側にも周知をしております。
なお、調査書の記載内容につきましては、生徒の学習状況などを評価する重要な選考資料であることから、現時点で直ちに記載項目を変更する予定はございませんが、今後の身内制度の見直しと合わせて検討したいと考えております。

【第2問】
●塚地議員 それぞれ、ご答弁いただきましてありがとうございました。
時間がちょっと少なくなっておりますけれども、再質問を何点か、させていただきたいと思います。
まず、1点目は、教育長。定員内不合格の問題で大変あの大事なご答弁を私はいただいたという風に思いました。
学ぶ意欲を持って県立学校を受審して、これからの希望を託そうとした受験生に対してですね。その意欲を最大限に生かしていく、そういう取り組みをしていきたいというお話だったというふうに受け取りました。今、やっぱり、その子どもたちの進路がどうなっていくか っていうのはすごく大事なことで、希望したにもかかわらず、最終的にですね、どこの県立学校にも行けなかったという、子どもたちの進路というのは本当に心配されている状態です。そういった子どもたちを作らないっていうことでいきますと、受け取っていただく側の高校の方にも一定の体制の整備というものが必要だったりすると思うんですね。
もうすでに、9都道府県は定員内不合格がゼロっていうのが、今の日本の現状になっていて、やっぱそういう子どもたちを、大事に公立高校が受け取るって言うことになっていると思うんですね。そういうためにはやっぱり、県としてのそれなりの体制がないと、そういう定員内 不合格を出さないという取り組みは、現場に負担をかけることにもなってしまうので、教育長の思いを実現する上で、ですね、そういう現場の体制整備のことも含めて、是非そういう方向で進んでいただきたいと思うので、その決意みたいなものをお構いなければお聞かせいただきたいと思います。

2点目はですね。時間がないですね。すいません。あの、土佐市のことなんですけれども、林業振興・環境部長の方に。
先ほどおっしゃいましたが、当初9月には、林業振興・環境部の方には自家処理用として申請してきたということで、ただ産業振興センターの方には8月の段階でもう「業」として、補助金を受けるための申請を出しているんですね。
このダブルスタンダードというのが、住民の皆さんの中にも大変不審になっているわけです。で、この「業」として、申請をする場合は前もってきちんとやっぱり住民の皆さんの合意を取る、そして、説明会もするという手順を踏んでいただくということがあるんですけれども、自家処理となった場合には、その指導要綱の対象外になるというこのダブルスタンダードをやってきたことで、住民の皆さんには不審と混乱っていうのがやっぱり広がってると思うんです。
そういう状況のままですね。まだ、住民の皆さんが、納得が得られていないという中で、許可を下ろすっていう県の判断っていうのは、私はいかがなものかという風に思っているんですけれど。その点はどうなのか。住民の皆さんの思いと、そのダブルスタンダードのやり方をやってきたっていう事業者のやり方について、本当に許可をしていいという風に思っておられるかということを、もう1度お伺いしたいと思います。

3点目はですね。介護保険の問題なんです。知事に、私は是非、県民運動をやっていただきたいというお話もさせていただいたんですけど、プッシュ型の加算をするための支援をするとか言って、もう、でも事業所なくなってるわけですよね、現場では。もう既に、訪問介護事業所がゼロというところが 、1町4村、県内にはあります。あと1ケ所っていう風になってるところも、もうすでに 9以上の町村になっていると思うんですよ。もう現場はギリギリの状態になっていて、あの多少のプッシュ型の支援をして加算を取りましたとかいうようなレベルで、今の介護危機が私は解決するとはやっぱり思えませんので、是非、抜本的な、国の予算の拡充を含めた介護の現場の人たちの意見を聞いたシンポジウムなり、道路のように決起大会をやるような、やっぱり、介護危機突破のこの危機感っていうのを、県民の皆さんと共有する、そういう場面をシンポジウムでも作っていただきたいなという風にちょっと思うので、そういう取り組みはできないかということを 3点目でお伺いをしておきたいと、3点お伺いをしたいと思います。

〇教育長 え、まず、どの生徒さんも望めば高等学校へ行って学ぶことができる、そのためには、まず義務教育段階で学ぶ意義や、学びの楽しさを児童・生徒に実感させる。そういったことが大切であって、基礎学力の定着とともにですね、学ぶ意欲を高めるキャリア教育の充実、そういった取り組みも進めていかなければならないと思います。
併せて、現在残念ながら、中学校を卒業時に学ぶ意欲等を育てることができずに就職あるいは進学も希望しなかった。あるいは希望が叶わなかった生徒さんがいることも承知をしております。そのような生徒さんについては、例えば、市町村教育委員会とも連携を図りながら、就学・就職支援を行う若者サポートステーションステーションをはじめとする関係機関へつなぐなどを社会で孤立することがないよう努めていく、そういうことが必要であると考えております。そして、子どもを取り巻く関係機関も含めえ、そういった連携を強化することで、子ども達の中にチャレンジ意識、そういったものを運んでいきたい。そういう風に思います。
合わせて、先ほどおっしゃっていただいたように、引き受ける高等学校についても ですね。やはり、その体制整備っていうのは必要になってくるだろうと思います。そのような意味で 高等学校とこの点については十分に話し合ってですね、どういう体制が必要なのか、何が今求められるのか、そういったことを十分に話し合って、今後体制の整備についても検討していきたいと思います。

〇林業振興・環境部長 まず、あのダブルスタンダードというお話があったと思いますけれども、実はこの施設の規模というものはですね、全体的に言うと小規模のものでございまして、自家処理としてですね、行う場合には届け出だけで済むという風なものでございます。
そういった観点でですね、本来「業」をやるということになればですね、よそから物が入ってくるという風なこともございますので、どうしても、地域の皆様にですね、きちんと同意を取って欲しいとかですね、説明をして欲しいという風なことになっている、そういう建てりになっているということを、まず、ご理解いただきたいのと、その中で、今回は、最初は、自家処理をするとおっしゃっていましたけれども、ついで、「業」としてやりたいということで、その際にはきちんと事前手続きをですね、取る努力をされているという状況でございます。
そして、土佐市におかれてもですねえ。地域の皆様のご不安とか、そういったことをご心配もいただきましてですね、土佐市と事業者の方で協定も結ばれて、色々と、その例えば、現在の計画を変更する場合にも、事前に住民の皆様に説明をしましょう、とかですね。そういったことも協定を締結していただいてやっておられるという風な状況でございますので、そういった違いがあるという風なことでございまして、しっかりと「業」をやる場合には、ですね、地域にも説明をしていただきながら進めていただいている、そういう風な手順になっている状況でございます。

〇県知事 介護保険者に対します支援と言いますか、運動をというお話でございました。
お話ございましたように、今回の介護基本報酬の引き下げということの影響は大変大きく、特に中山間地域の事業者の皆様には大きな影響が出ているという認識でございます。
この点は本県に限らず、全国の同じような状況にある県も共通していると認識がございましたので、全国知事会とも相談をいたしまして、8月に全国知事会の名義で、対策についてですね、繰り返して申し入れをしたというところでございます。
そうは言いましても、この影響は今現在進行形ということでありますから、当面は、ただいま、お話もありましたプッシュ型の支援ということで、今の体系の中でも取れる加算を取るということを支援するということが大きなポイントだと思っておりますので、まず、これを取り組んでいただきたいと思います。
さらに、県民運動のようなことを考えられないかということでございますけれど、この点につきましては、まずは、介護の事業者の方々の事情をよくお聞きするところからスタートではないかという風に思っております。
最近、介護関係の事業者の方、新たな組織化もされておって、私自身もご挨拶を受けたりしたこともございますので、特に今回の報酬改定の中身について、国なり関係団体で調査を行われておりますけども、我々としても、まず事業者の方々から直接意見を聞くというところからスタートさせていただきたいと思います。

●塚地議員 ありがとうございました。介護の現場のお話は、地元紙にも出されておりましたけれども、本当に切実で、大学の専門家の先生たちとも合わせてですね、ぜひ、そういう現場をしっかり知事の方も引き取っていただいて改善を進める先頭に立っていただきたいということで、これはお願いをしておきたいと思います。
で、先ほど林業振興・環境部長、ダブルスタンダードと言ったのは、当然、小規模な場合、自家処理は事前説明も必要ないですよ。要綱の対象にないです。だから、自家処理っていうことを9月に県の方には言ってきている。でも、8月に産業振興センターの方には「業」としてやろうという申請が出され、2500万円交付されているわけですよね。そこの問題を、私は問題視しています。(〇議長 質問を終了してください)ぜひ、検討してください、ということで、以上で終わりたいと思います。