議会報告

  • 2024年07月08日
    2024年6月議会 細木りょう議員の議発第2号「第1号令和6年度・高知県一般会計補正予算に対する修正案」提案理由説明(2024.07.05)

●細木りょう議員 日本共産党の細木りょうです。

私は今議会に計上されています、議発第2号「第1号令和6年度・高知県一般会計補正予算に対する修正案」について、提案理由説明を行います。

 教育環境の充実や魅力ある学校にしていく取組は多いに賛同するものです。問題点は、その原資がふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングが適当であるのかということです。

 

 今回、県が提案しているクラウドファンディングは、寄付型です。実現したい計画を掲げ、目標金額を設定して、募金を呼び掛けるものですが、ふるさと納税のような返礼品はなく、また全国的に取り組みが急増していることから、目標額の達成はハードルが高くなっていると言われています。様々、苦労して取り組んでも目標額に達しなければ、すべて支援者に返金することになります。また、目標額達成には、必要金額の20.9%という高額の手数料を加えた額の支援金を集めなくてはなりません。最低手数料は、消費税込みで22万円となり、県が示す最少の50万円のプロジェクトでは、72万円を集めなくてはなりません。子どもたちが手数料ビジネスに動員されているとの指摘もあります。

 

 各学校から出された夢のある取り組みを進める事、学校ごとの課題解決に取り組む事は大いに応援したいと思います。それならば、一般会計経常経費の予算として組むべきです。決算カードで見ると、県の教育費は、2010年代半ば県財政の24%に迫る規模でしたが、22年度は19.0%まで低下し、金額で建設事業費を除いても36億円も減少しています。少子化・人口減に直面しているからこそ、教育の充実に力を注ぐべきです。50万円~200万円で解決できるならば、経常経費の予算を組むべきです。

 今、県の教育行政の最大の課題の1つは教員不足です。教職現場の過酷な勤務実態が明らかになるもとで、「先生になる夢」を諦める、また、実際に体験し離脱する若者が増えていることです。そうした現場に、魅力を伝えるためのデザイン、キッャチコピー、映像を活用したウェブページの製作など、新たな業務を持ち込むことになります。また目標が達成できなかった場合、落胆する子どもたちへのフォローも必要です。

 子どもたちの成長を支えるとともに、不登校、いじめなどの対応すべき課題が山積みする教育現場に、こうした新たなプロジェクトを持ち込むべきではありません。

 

 教育の充実をクラウドファンディングに頼るやり方は、「公共」の概念をほりくずす危険性も持っています。

 昨年、豊富な展示物で多くの国民を魅了する国立科学博物館が、コロナ禍での来場者減に光熱費や資材の高騰が重なり財政がひっ迫しているためクラウドファンディングを始めたことが話題になりました。この背景には、運営費について、公費収入に頼らず、自己収入の確保につとめよ、という国の方針がありました。公的施設も自己責任で運営せよ、という流れと軌を一にするものではないか、と強く危惧します。

 今後、教育充実への声が、「自ら資金調達せよ」という声にからめとられ、その結果、「あの学校では、いくらの資金を獲得した」などと、学校や教員の「資金獲得能力」が競わされ、一段と学校が疲弊していくことに結びつくことになるのではないか。大いに危惧するものです。

 クラウドファンディング導入が、学校運営にどのような負の影響を与えることになるのか、どのような検討されたのかも示されていません。この取り組みは、第4期高知県教育振興基本計画にも入っていませんし、県のホームページで確認した範囲では、教育委員会でも議題となっていません。

 

 以上、教育現場に、新たな負担をもたらすとともに、公教育に「自己責任論」と「分断」をもたらすクラウドファンディング導入は、到底承服しかねます。

 県の教育予算のいっそうの充実をもとめ、修正案の提案理由説明といたします。