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- 2024年03月29日
- 議会(質問・討論)
- 2024年2月議会 岡田芳秀議員の当初予算反対討論(2024.03.21)
●岡田議員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっています第1号議案「令和6年度高知県一般会計予算」並びに第9号議案、第46号議案に反対の立場から討論を行います。
私たち日本共産党は、当初予算に対する態度として、予算の具体的な中身と同時に予算に反映されていない県民の願い、また知事の政治姿勢による県政の方向性など、その総合的な評価に基づき判断をしてきました。
いま日本は、暮らしや平和をめぐって大きな岐路に立っています。そして県政においては、県民と地方自治の立場に立つのか、国の進める大軍拡路線や社会保障抑制の立場に立つのかが鋭く問われています。
二期目に入った浜田県政は、国言いなりの姿勢が目立ちます。その最たるものが、いま問題となっている「特定利用港湾」に対する対応です。これは、平時から自衛隊・海上保安庁が訓練に利用するため高知港・須崎港・宿毛湾港を「特定利用港湾」に指定して、有事を見据えた「円滑な利用に関する枠組み」をつくっておくものです。
この平時の「枠組み」は、シームレスに有事につながります。私たち日本共産党県議団が3月15日に内閣府に確認したところ、平時とは「日本周辺に限られず、重要な影響を与える事態であれば米軍支援活動が可能になる」重要影響事態や、「第三国への攻撃であっても、それにより日本の存立が脅かされ、…武力行使が可能になる」存立危機事態を含むことが明らかになりました。これらの事態を含む平時にも、港は軍事利用されるということです。つまり特定利用港湾は事実上、軍事利用港湾となります。
内閣官房が作成したQ&A11によると、平素から「自衛隊では、武器・弾薬等を含む物資輸送や部隊の展開のために、…『特定利用空港・港湾』を利用する」と記されています。つまり、平素から護衛艦による離岸・接岸や輸送艦等による部隊や荷物の積みおろし、そして部隊展開などの訓練が行われることになります。
軍事的な位置づけを持った港は、国際法上、攻撃目標にされる恐れがあります。特定利用港湾の指定は、海外・米軍の戦争を、高知へ飛び火させ、県民を戦争へ巻き込む危険性があります。知事は、県民の暮らしや平和にとって極めて重要なこの「枠組み」協定に対して、その内容や国とのやり取りなどを県民や県議会に隠して、3月末までに政府との協定を結ぼうとしております。
知事は国から3月末を期日にと強く言われていると述べましたが、内閣府は、急ぎたいが3月末までに協定が結べなくてもペナルティーは無いと言っております。ことは、高知、須崎、宿毛三市だけの問題ではなく、平和を求めるすべての県民に関わる重大な問題です。拙速な対応でなく、県民の不安や疑問にしっかりと答える姿勢が、知事に強く求められています。
また、国政で大問題となっている政治資金パーティー券について、知事は「企業や団体は現実に社会経済活動のひとつの単位として機能し、政治活動も行っており、その一環で法令の定めに基づいて資金を提供することは何ら否定されるものではない」と答えました。しかし、経済的に圧倒的な力のある企業が政治資金を提供することは、参政権を侵害するものです。知事も県の受注企業からパーティー券収入を得ていますが、県民から疑念を持たれないようにしなければなりません。
以下、令和6年度当初予算に対する主な反対理由を述べます。
第一は、経済・産業政策です。浜田県政の目玉政策は関西戦略ですが、万博・IRだのみの予算は看過できません。「課題解決先進県」高知が進むべき道は、大阪・関西万博頼みや、また根本的な課題解決と向き合うことにならないデジタル化偏重でいいのかが、鋭く問われています。人と地域資源を大事にして、暮らし続けられる高知県にすることが重要です。そのためには、地産外商のみならず、もっと地産地消、地域循環型を重視することが求められます。それでこそ、中山間の振興につながります。
第二は、子育て支援についてです。特に、子どもの医療費無償化に対する県の消極的な姿勢は見直す必要があります。子どもの医療費無償化は、2009年から改善が見られず、全国最低水準となっています。本県の出生数は、2022年に全国最小の3,721人になり、昨年はさらに300以上少ない3,380人になっています。県としてしっかり子どもの医療費無償化の底上げをするよう求めます。
第三は、県としてパートナーシップ制度は実施せず、人口減少問題を若い女性に押し付けるジェンダー平等に反するような施策となっていることです。予算は、若い女性に高知に残ってもらい、結婚、出産、子育てをしてもらいたいとしていますが、人の生き方はそれぞれです。女性が人として尊重される社会であることが、まず重要です。その観点を予算に貫くことを求めます。
第四は、デジタル化の無批判な推進です。デジタル化が社会発展に重要であることは理解できますが、メリットばかりが強調されていて、デメリットは全く触れられていません。
県は、運転免許証とマイナンバーカードの一体化のためのシステム改修費等を計上しています。国がこの統合を加速するのは、国民の多くが保有している運転免許証と一体化をすることで、マイナンバーカードの普及を進める狙いがあります。マイナンバーカードを紛失した場合の再発行には時間がかかり、長期間運転ができず、身分証明もできなくなるなどのデメリットが考えられます。
第五は、教育行政です。教員を目指していた複数の人が、学校でのパワハラ、セクハラにあい、教員への道を断念しています。県教委の無責任な対応にも原因があります。また、学力テスト偏重の教育行政、教員不足といわれながら教壇に立たない教員が多いことなど事態が一向に改まっていません。子どもにも、先生にも、ゆとりと居場所が保障されるよう求めます。
以上が、一般会計予算についての主な反対理由です。
次に、第9号議案の令和6年度高知県国民健康保険事業特別会計予算についてです。
県は2030年度を目標に、県内市町村の国保料水準の統一を目指すために基金を積み上げていますが、こうした基金は高すぎる国保料の引き下げに使うべきです。また、各市町村が、検診の充実や、健康増進に努力してきたことが反映されていないことも問題です。
最後に、第46号議案の高知県部設置条例の一部を改正する条例議案についてです。
知事直轄の筆頭部局としての「総合企画部」は、県民の願い、実態より、知事の思いを貫徹するものであり、県庁組織をボトムアップから知事が司令塔のトップダウンの組織に変えるものであり反対します。
また、中山間を冠する部を無くすことは、中山間振興の後退を印象付けます。スポーツを観光に結び付けることにも違和感を覚えます。
以上の理由から、これら議案に対する反対討論といたします。同僚各位にご賛同を呼びかるものです。どうかよろしくお願いいたします。