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- 2024年03月01日
- 議会(質問・討論)
- 2024年2月議会 中根佐知議員の代表質問(2024.02.29)
【質問項目】
・知事の政治姿勢・政治資金パーティー
・知事の政治姿勢・機構改革
・知事の政治姿勢・ジェンダー平等・男女共同参画
・特定利用港湾
・能登半島地震を受けた防災対策徹底
・産業振興と地域循環型経済
・不登校対策
●中根議員 私は、日本共産党を代表して以下質問をいたします。
【知事の政治姿勢・政治資金パーティー券】
●中根議員 まず知事の政治姿勢について、政治資金パーティー券問題についてお伺いいたします。
日本共産党の「しんぶん赤旗」の報道をきっかけとして自民党の政治資金パーティー券をめぐる裏金問題は、安倍派で6億7500万円以上、二階派で2億6400万円、岸田派でも3000万円の違法収入が明らかになり、さらに事態の発覚をうけた安倍派議員らが訂正した政治資金収支報告書には「不明」とする記述が相次ぐ事態となっています。しかし、裏金が何につかわれたのか、また誰が裏金処理を指示したのか、など肝心の問題はいっこうに明らかになっていません。
あわせて、政党が政治家個人に支出する「政策活動費」にも焦点があたっています。
自民党二階幹事長時代は5年間で50億円、22年の自民党茂木幹事長の9億7150万円など巨額の資金が、使途不明のまま、非課税扱いで使われてきました。
これらの問題は、脱税にあたるのではないか、公正な税務行政をゆがめるものだと、強い批判が上がっています。現行法では政党本部から政治家個人に政策活動費の名目で支給されたものは「領収書不要」です。二階氏にわたった50億円の政策活動費を雑所得として試算すると課税額は35億円ともされます。自民党裏金事件の解明と税逃れを許さない国税当局の徹底調査が不可欠です。
確定申告の時期を迎え、1円の支出にいたるまで領収書をそろえ、さらにはインボイスの導入で、実質的な増税を押し付けられている一方で、法律を作る側の与党自民党議員のあまりにひどい政治資金の状況、そして問題解決への熱意のなさに国民は怒っています。
◆今回の事態は、公正であるべき税務行政の信頼を損なうものであり、県民に県税納入をお願いする知事の立場としても、あいまいにできない問題だと思いますが、国税庁等に徹底調査を求める考えはないかお聞きします。
○県知事 中根議員のご質問にお答えします。
まず、政治資金に関する税務調査について、お尋ねがございました。政治資金は収支を届け出て公開をするということで、非課税という恩恵を受けられるという制度になっております。
このため、今回、報じられておりますように、収支の一部について故意に届けを行わないといった事案は全く論外な行いだという風に考えます。もとより、税制は国民の理解と信頼の上に成り立っておりまして、特に政治資金と税にまつわる問題について国民の目も極めて厳しくなっているという風に考えます。
こうした中で鈴木財務大臣は先日の国会答弁の中で、課税上の問題があれば税務調査などを行い、追徴課税する必要があれば、国会議員を特別扱いしないとそうした考え方を示されております。
従いまして、私からことさらに税務調査について国税当局などに要請をする必要はないと考えております。いずれにいたしましても、国会における徹底した議論を通じまして、効果的な再発防止策を講じまして早急に国民の政治への信頼回復を図っていただくことが不可欠だという風に考えております。
●中根議員 多くの政党が、企業・団体へのパーティー券販売禁止、政策活動の使途公開などで一致しています。日本共産党は、他の野党と力をあわせ、問題を徹底解明し、国民の声が通る政治のため力をつくす決意です。
●中根議員 浜田知事は、政治資金パーティーについて、引き続き開催する旨の発言をされていますが、そもそも国民が1票を投じて政治に参加する、これが議会制民主主義の大原則です。政治資金規正法は、政治資金について「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」であるとしています。主権者である国民一人ひとりの自覚的な献金を政治資金としてこそ、健全な民主政治の発達がもたらされます。
◆企業に一票を投じる権利はありません。経済的に圧倒的な力のある企業が政治資金を提供することは、金の力で政治をゆがめ、一人一人の国民の参政権を侵害することになることは明らかですが、知事にそうした認識はありますか、お聞きいたします。
○県知事 次に企業による政治資金の提供について考え方はどうかということでございました。
政治資金は政治家や政党などが政治活動を行うための資金でありまして、いわば民主主義のコストとして必要なものだという風に考えております。また、企業や団体も現実に社会経済活動の1つを単位として機能しておりまして、政治活動も現に行っているわけでありますので、その一環として、法令の定めに基づいて資金を提供するそのこと自身は何ら否定されるべきではないという風に考えます。
一方、特定の企業や団体などからの多額の資金提供によって政治、あるいは行政の公平性が歪められるということは政治への信頼を大きく損なうものでありまして当然あってはならないと考えております。もう、このことについては、政治家 1人1人が肝に銘じた上で 政治活動を行うべきものだという風に考えております。
●中根議員 また、同法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」ため、政治資金の流れを透明化し、「民主政治の健全な発達に寄与する」ことを目的とすると明記しています。しかし、パーティー券は、購入者の名前はパーティーごとに20万円を超す場合に限定されています。政治献金に比べても匿名性が高い資金です。
◆公共工事など行政の仕事を請け負っている企業団体からのパーティー券購入はないのか。どう証明するつもりか。パーティー券の販売先は、企業団体は対象としない、個人に限ることを県民に約束すべきではないか、知事にお伺いいたします。
○県知事 次に私自身の政治資金パーティーに関しまして、行政の仕事を請け負っている企業団体からのパーティー券購入はないのか。また、パーティー券の販売先を個人に限るべきではないかというお考えについて意見はどうかというお尋ねがございました。
私が代表者となっております政治団体がこれまでに開催をいたしました政治資金パーティーではその開催に関する収支は帳簿作成をして、しっかりと管理をいたしております。
その中で 議員のお話になりました行政の仕事を請け負っている企業や団体にパーティー券を購入いただいたケースもありますけれども、それによって県行政の運営がゆがめられたというようなことは一切ございません。
そもそも、政治資金パーティーにつきましては、その収入は政治資金規正法上パーティーへの参加の対価として支払われるものでありまして、寄付とは性質が異なるという風にされております。加えまして現行法では会社などの団体につきましても、パーティー券の購入は参加の対価の支払いとして認められておりますし、政治団体としては寄付ではなく事業収入として受け入れるということになると考えております。
実際に、政治活動あるいは選挙運動などを行っていく上におきましては、例えば、事務所に要する経費、人件費、印刷代などがかかってまいります。こうした必要経費を賄うためには寄付や政治資金パーティーなどによりまして収入を確保する必要が現実にはどうしてもあるわけでございまして、それを仮に個人の寄付だけに頼るという風にいたしますと、自己資金が豊富な、例えば会社経営などをしているような方以外はなかなか公職にチャレンジをするということができなくなるのではないかという危惧を私としては思っております。
私が政治資金パーティーを開催いたしますのはこうした資金を必要以上に集めるのが目的ということではありません。必要な政治活動あるいは選挙運動を賄うのに足りるような規模あるいは頻度で政治資金の調達手段の1つとして、ルールに沿って開催をしているものであります。
また、政治資金パーティーの開催を通じまして 多くの方々から薄く広く資金を募るという方法の方が特定の大口寄付者からの寄付に依存するというよりも行政運営を歪める懸念を払拭するという観点で見ますと、より望ましいそういった面もあるのではないかという風に考えております。
今後の開催につきましても、しっかりと節度を持ちまして、透明性を保った上で個人に限らず会社などの団体も含めてこの趣旨に賛同いただける方々に対しては幅広く参加を呼びかけてまいりたいと考えております。
【知事の政治姿勢・機構改革】
●中根議員 次に、機構改革についてお伺いします。
今回、時代の大きな変化をあげ、「これまで以上の斬新で柔軟な発想が求められる」との「理由」で、「政策立案能力と統合調整機能を発揮する」ための知事直結の筆頭部局である「総合企画部」を創設するとの議案が提出されています。
しかし、政策のコンセプトであるデジタル、グリーン、グローバルが、ほぼ国追随のものであることなど、これまでの浜田県政の姿勢から、高知県の実態にもとづき、県民の力に依拠して課題解決にとりくんできた高知県政の積極面が失われていくのではないかと強く危惧をしています。
「失われた30年」という言葉が象徴するように、一部の大企業・富裕層の利益を優先してきた国の失政により、残念ながら、日本社会は、賃金があがらず成長できない国、若者が希望をもてず急速な人口減が進む国へと突き進んできました。とりわけ高知県は、そうした矛盾の集中点でした。その中で、高知県は、その打開の方向は、国言いなりの政策ではなく、現場で苦闘している県民の生業の中から、課題とともに、宝ともいえる取り組みを見つけ出し、それを県政がしっかり支えることを県政の柱としてきました。橋本県政では、県職員が県民にまっすぐに向き合う気風を確立し、地域支援企画員など「住民力」を発揮する県庁づくりを進めてきました。引き継いた尾崎県政も、「地域の課題を正確に認識」し、「諸課題の解決と県勢の浮揚に向けて」「土佐人の知恵と行動力を活かす」として、ビジネスアカデミー、「アグリスクール」「林業学校」や防災士の養成など人づくりに力を入れてきました。課題解決の最前線である現場の声をもとにしたフォローアップを重視してきたことは大切な取組でした。こうしたボトムアップ型の行政運営にこそ、力を入れるべきだと思います。
◆その点で、知事が司令塔と位置付けた「総合企画部」は、県民の願い、実態より、知事の思いを貫徹する方向、すなわち国の方針を忠実に貫徹する方向へ、ボトムアップからトップダウンの組織へ変えられる危険が大きいと強く危惧しますが、知事の認識をお伺いいたします。
○県知事 次に組織改正におきます総合企画部の設置の意図について、お尋ねがございました。
私は、県政運営に当たりましては、いわゆるトップダウンとボトムアップのベストミックスを目指していくべきと考えております。
具体的には政治的な判断や大きな方針は、トップダウンによって決定をする、各種事業の具体的な進め方あるいは改善方法などは職員からのボトムアップによる形が機能する、こういった形があるべき姿という風に考えております。
その上で、近年、県政課題の複雑化、複合化が進む中で課題解決に向けましては、これまで以上に斬新で柔軟な発想に基づいた政策を立案する必要性が高まっているという風に考えます。このため、今回の組織改変におきまして、県の政策立案機能、そして総合調整機能の強化を図るために総合企画部を設置するということとし、お諮りをいたしております。
また、全庁一丸となって取り組むため県政の最重要課題で人口減少対策はこの総合企画部に所管をさせることとしております。
今回の組織改変は県庁組織が、トップからの指示待ちということではなくて、自律的に新たな政策を生み出す、そのために職員の提案能力の強化を図りたい、そうした意図で行うものであります。その意味で、むしろ新たな政策、事務事業の創造、こういった場面におきますボトムアップをこれまで以上に促進をするものという風に考えております。
●中根議員 さらに具体的に指摘すれは、前県政のもと、「中山間地域が消滅すれば、都市部自体も存続が危ぶまれるのではないか」、「高知県の強みの源泉である中山間地で、若者が働け、安心して住み続けられるようにしなければならない」として、重視してきた「中山間地」を冠した部がなくなり、そのうえ、市街地まで被害が及んできた実態があるにもかかわらず鳥獣対策課を「室」に格下げするとしています。
◆このことは、中山間対策が見えにくくなる、後退するという県民へのメッセージになると思いませんか。そうならないためにも、今からでも再考すべきではないか、知事にお聞きします。
○県知事 次に、中山間対策が今回の組織改変によりまして後退するというメッセージを 県民に与えるのではないかというお尋ねがございました。
まず総合企画部につきましては、ただいま申し上げましたように政策立案機能の強化などとともに、県政の最重要課題として中山間対策を含みます人口減少対策を強力に推進をする、このために新たに設置をするものであります。
総合企画部の設置にあたりまして、中山間振興・交通部を統合したことに伴い中山間の名称は部の名前からはなくなります。しかしながら 中山間対策と少子化対策を一体的に取り組むような人口減少対策を、知事を直接支える組織であります総合企画部に所管をさせるということでありますので 、これまで以上に中山間対策を県政の中心に据えて推進したいとそういう意図を込めたものであります。
加えまして 人口減少対策と中山間対策を合わせて統括をする理事ポストを新たに置くということで これを担保したいという風に考えております。
一方で、県庁の組織体制はこれまでも、簡素で効率的な組織を基本といたしまして、社会経済構造の変化、県民のニーズなどを踏まえまして、スクラップアンドビルドなどにより 不断の見直しを行ってまいりました。鳥獣対策課につきましては、中山間地域対策課の課内室ということに、今回しようと考えておりますが、これは鳥獣対策業務と中山間対策の一体的な対応とともに効率的かつ弾力的な組織運営が可能となるというメリットを重視したものであります。
改正後の組織におきましても現場で鳥獣対策業務を担う体制につきましては、出先機関 あるいは市町村などとも連携をして、引き続きしっかり確保して参る考えであります。
●中根議員 また、スポーツ振興を、観光振興部に移管するとしていますが、ビジネスや観光にスポットが当てられ、県民のスポーツ権をどう保障するのか、というと本筋から外れたものといわざるをえません。県民のスポーツ権が保障される県づくりが、県民の生きがいや健康増進など幸福追求権の保障とともに、若者の定住・移住などにも資するという視点を欠いているのではないかと思います。
◆そこで、今回のスポーツ行政を観光振興部へ移すことの影響についてどう考えるのか、知事にお聞きします。
○県知事 次にスポーツ行政を観光振興部に移管することによる影響について、お尋ねがございました。
今回のスポーツ行政と観光振興を一体化する組織改編につきましては、1つにはこのスポーツツーリズムの促進がさらなる観光振興に寄与していくという効果を期待しておりますが、これに加えて、スポーツツーリズムが盛り上がりますことで、スポーツ振興という面で見ても、例えば競技力の向上、地域スポーツの活性化、こういったことにもつながっているといった相乗効果を生み出すということを狙いとしております。
具体的に申しますと例えば、プロチームなどのキャンプ誘致によりまして観光客の増加が見込まれ、観光振興に役立つということでございますが、同時に県内のスポーツ競技者との交流機会が増えることなどを通じまして、スポーツ振興という面でもその競技力の向上にもつながるということを期待いたしているところであります。
さらには、スポーツ選手と地域住民との交流などによりまして、地域スポーツが充実をする、これを通じて、お話がありましたように県民の皆さんの生きがいづくり、健康づくりにもつながっていく、こういった効果もあるということを考えております。
また、龍馬マラソンへの参加などスポーツツーリズムの効果といたしまして、交流人口が増加し、さらには移住者数の増加にもつながるといった効果も期待できる、この点はご指摘あった通りだと思っています。なおスポーツ部門は観光振興スポーツ部に移管後、スポーツ課とスポーツツーリズム課の2課の体制としまして、各々の所管業務を明確にすることでより業務推進力の向上を図ってまいります。また地域スポーツ競技スポーツを推進するため、引き続き教育委員会との連携を図ってまいる考えであります。
【知事の政治姿勢・ジェンダー平等・男女共同参画】
●中根議員 次に、ジェンダー平等・男女共同参画社会の前進について伺います。
知事は人口減少対策のマスタープランとして「高知県元気な未来創造戦略」特に若い女性にターゲットを絞りながら、若い女性の仕事作り・若年人口の増加、婚姻の増加、出生率の向上を大きく旗を振る提案をしています。同時に、子どもを産みながらしっかり「共働き・共育て」をオール高知で推進するとしています。しかし、当の女性たちは、都合のいいときだけ女性を持ち上げないでほしい、若い女性は高知県から外に出すなと言わんばかりの人権無視のパワーを感じて、居心地が悪い等、様々な思いを持っています。
この違和感は一体何だろうかと考えると、男女共同参画社会を標榜しながら、女性に対しても、男性に対しても、それぞれの人生を選択する自由と権利に唐突に行政が踏み込み、出生数を増やすなら若い女性の人口を増やそうなど、場当たり的に聞こえる施策展開に共感ができないのだと思うのです。もっと根本的に、ジェンダー平等と男女共同参画社会が前進に向かっているのだという指針を示さなければ、施策への共感を広げることにはなりません。
少子化だからと、若い女性は子どもを産むのは当たり前だという押しつけは、時代に逆行したものです。
今、57歳になった子どもを持たない選択をして生きてきた女性は、「出産願望は乏しいのに『産む性』として社会から扱われることにずっと負い目を感じてきた。出産適齢期を過ぎて『まだ生める』と思わなくてもよくなってほっとした」と率直に語っています。
◆「固定的な性別役割分担意識の解消」と言いながら、このような女性は「産む性」であるという押しつけは、「固定的な性別役割」そのものだと多くの女性が受け止めていますが、女性の声を知事はどう受け止めているのか伺います。
○県知事 次に人口減少対策に関連いたしまして自ら出産を望まない女性などの声をどう受け止めるのかといったお尋ねがございました。
人口減少対策を講じるにあたりましては、仕事や結婚出産といった人生の選択は個人の意思が尊重されるべきであるということ、このことは大前提だと考えております。
その上で、人口減少の克服に向けて道筋をつけるためには、特に転出超過が大きい若年女性に高知県を選んでもらう、そうしたための対策を重点的に強化する必要があるという考え方に立っております。
また、単に若年女性を増やすというだけではなく、誰もが夢や希望を持って生き生きと 仕事や生活ができる高知県を目指して取り組む、このことが重要だと考えています。
例えばでありますが、全国の大学生、大学院生の6割以上が地元での就職を希望している、18歳から38歳の未婚者の8割以上が将来的に結婚する意思があるというようなことが意識調査の結果明らかになっております。
この新たな戦略におきましては、こういった若い世代の仕事や暮らしの希望を叶える、そういう観点からの施策を強化しようというものであります。加えて、性別に関わらず誰もが自分らしく仕事でも家庭でも活躍できる社会、そうした社会の実現を目指しまして私自身が先頭に立って、固定的な性別役割分担意識の解消に強力に取り組む考えであります。
今後、県民の皆さんのお声や有識者のご意見もお聞きしながら、戦略的な情報発信のあり方の検討を深めますとともに、 引き続き丁寧な説明に努めてまいります。
●中根議員 知事は、兵庫県豊岡市のジェンダーギャップを取り除きながら、若い女性の人口減少を食い止めてきた中貝市長の実践をご存知でしょうか。
2020年3月、人口およそ8万人、城崎温泉で知られる兵庫県豊岡市の中貝宗治市長は、人口減少を食い止めるための地方創生総合戦略として、昨今はやりの「女性活躍」ではなく、「ジェンダーギャップ(社会的な男女格差)解消」を真正面から打ち出し、全国から注目を集めました。「女性が流出してしまうのは、あまりに豊岡が男社会だったから。本当に申し訳なかった」。「女性の立場に立ったとき、世界は不公平な壁だらけに見えているかもしれません。そのことへの怒りから目をそらしてはなりません」と述べています。
そして、人口減少対策を定めた「地方創生戦略」の改訂に合わせ、2期計画(2020~24年度)にジェンダーギャップ解消を盛り込みました。例えば、賃金格差の解消のためにも、女性の正社員としての就職数目標は2019年の393人から2025年には5倍弱の1900人を目標にしています。
「僕たち男性は、女性にとって世界がどう見えているか、あまりに無関心でした。相手の立場に立ち、壁だらけだと分かれば、『そういう気持ちになるよね』と会話のキャッチボールが始まる。そういう『共感力』が差別を解消するスタートになると、地道に市民に訴えかけていきたいと思います。」と述べています。そして女性人口が増える土台が作られています。
◆このジェンダーギャップを解消していくことによって女性人口を増やしていく視点をどう捉えるのか知事にお聞きします。
○県知事 次に、社会的な男女格差の解消により女性人口を増やす視点についてのお尋ね がございました。
社会的な男女格差を解消し、性別にかかわらず誰もが自分らしく活躍できる社会の実現を目指す、そうしたことは女性の人口を増やす上でも大変重要な視点という風に考えております。
元気な未来の創造戦略におきましても、固定的な性別役割分担意識の解消を目指すこと、このことが子育て支援の意味のみならず、若者を増やす対策としても必要だという風に考えておりまして、特に男性の育休取得の促進を原動力として共働き共育ての意識改革を推進することとしております。
今後は、私自身が民間企業などで活躍する女性たちの生の声も直接お聞きいたしまして 、先進事例も参考にしながら女性の共感が得られるような効果的な施策を検討してまいります。
●中根議員 高知県は男女共同参画プランのモニタリング指標を持っています。ぐいぐいと推進することで、ジェンダー平等と男女共同参画の土台を推し進めることが今だからより必要ではありませんか。
◆まず、「隗より始めよ」の精神で、庁議メンバーに女性が一人しかいない現状の改善に大幅に取り組む等、女性の参画として管理職登用を県庁内でもすすめ、男女共同参画の目標に沿って取り組みを飛躍させていくべきだと考えます。決意を知事にお聞きいたします。
○県知事 次に庁議メンバーを始めといたしました県庁における女性の管理職への登用についてお尋ねがございました。
知事部局におきます女性の管理職登用につきましては、令和7年度までに18%以上にするという高い目標を掲げまして、積極的に取り組んでまいりました。その結果、令和5年度で17.9%に達しておりまして、都道府県47県の中で10位という水準にあります。
全国的に女性登用が進む中で本県が少なくとも遅れを取っているというような状況にはないと考えます。一方、庁議メンバーに女性職員をさらに加えていくということにつきましては、県庁という組織が社会の多様性に対応し活力を高めていく、そのためにも有意義なことだという風に考えております。
ご指摘がありましたように、庁議メンバーに現在女性が1人しかいないとこうした現状はしっかり心に留めております。その上で、適材適所を基本としながら、「隗より始めよ」の考え方のもと、率先して女性管理職の登用を進めてまいる考えであります。
●中根議員 ◆県庁の機構改革が提案されています。これだけ全庁的に取り組むべき課題をもつ人権・男女共同参画課が今回も子ども・福祉政策部内の一つの課に組み込まれたままになっています。こうした位置づけが推進のブレーキになっていると考えますが、知事のご所見を伺います。
○県知事 次に人権男女共同参画課を子ども・福祉部に置くことの考え方について、お尋ね がございました。
この点は令和3年度の組織改変におきまして、子ども・福祉政策部を設置するに際しまして、文化生活スポーツ部から人権関係の業務、そして女性活躍推進関係の業務、これを移管をいたしまして、新たに人権・男女共同参画課を新設したというところに立ち返るわけであります。
これは、地域共生社会の実現を目指していく中で人権や女性活躍の施策が子どもや女性 、高齢者、障がい者施策といった福祉分野との関連性が強く一層の連携や実効性を高めようという意図で行ったものであります。
人権・男女共同参画課は、子ども福祉部が主となりまして、新たに県民運動として進めます共働き共育ての中で、中心的な役割を担うことを予定しております。また、県議会には子ども・福祉政策部が所管をします「障害のある人もない人も共に安心して豊かに暮らせる 高知県づくり条例」を提案いたしております。これを踏まえまして、来年度は、この子ども・福祉政策部に内におきまして、障がい者関連施策を強化いたしますとともに、子育て支援を推進する施策も大幅に充実を図ろうというふうにしているところであります。これらの障害者施策、あるいは子育て支援施策は人権・男女共同参画課の業務と強く関連をいたしますことから、この各施策を点検いたします上で同じ部内で連携を図ることが効果的であると考えているところであります。
【特定利用港湾】
●中根議員 次に、特定利用港湾について伺います。
新港を含む高知港、須崎港、宿毛湾港の3港が候補となっている特定利用港湾は、今年度末をめどに「円滑な利用に関する枠組み」で管理者らと調整が整った施設から指定されると報道されています。
この間、累次にわたり、日本共産党高知県議団としても、知事へ、県政の主権者である県民に向けての情報公開を徹底するよう申し入れてきました。年度末に指定が迫る中で、この間の政府による説明は、自衛隊等のどのような部隊・艦船が使用するのか、どのような訓練を年間何回実施するのか、その規模はどうかなどの具体的情報を欠いています。
問題点なのは、県としての情報公開の姿勢です。
2月9日、日本共産党高知県議団は申入れを行い井上副知事と懇談、2月13日に開かれる対象3市への国からのオンライン説明会の内容を広く県民に伝える要請を行いました。
その中で、井上副知事は、2月13日の説明会は「国主催ですから、(県として)公開で、という考えはない。(国へ公開を)申し入れる考えもない」と発言されました。
2月13日のオンライン説明会の存在も、宿毛市議会での答弁であきらかとなったものです。この間、一貫して国との協議内容、プロセスが不透明であり、マスコミへの公開はもとより、県民の負託を受ける県議会議員への情報提供も十分ではありません。
この協議過程の不透明さが、県民の不安、不信感につながっています。
2月16日には、宿毛市の市民有志が、特定利用港湾(特定重要拠点)が「有事の際のミサイル攻撃を呼び込み、住民の犠牲を拡大する懸念がある」と県内湾港の特定重要拠点化に反対する署名を宿毛市に提出したと報道されました。近く、知事にも署名を提出するとしています。
◆知事は、このような住民の不安の声をどう受け止めているのか、お聞きします。
2014年の日米共同統合防災訓練で、米軍オスプレイの参加に関し、県として高度、進入コース等に極めて厳格な運用、安全確認を求めました。こういった対応を引き継いで、県民への説明責任を果たす姿勢が今、県に求められています。
現状、県の姿勢は、以前と比較しても、県民の「知る権利」を軽んじていると批判せざるを得ません。県の権限は、県政の主権者たる県民が付託したものであり、県民の「知る権利」の保障は、県が施策の是非を判断する上での大前提です。
◆特定利用港湾を巡り、県民に情報提供が十分でない現状で指定を受け入れるなら、あまりに拙速であり「職権の濫用」に当たるといわざるを得ませんが、知事の認識をお聞きします。
○県知事 次に、いわゆる特定利用港湾につきまして、住民の不安の声をどう受け止めているのか。また、現状では、県民への情報提供が十分ではないのではないかといったお尋ねがございました。関連をいたしますので 併せてお答えをいたします。
いわゆる、特定利用港湾につきましては、自衛隊などが平時から円滑に利用できる枠組みを設けようというものであります。その指定によりまして、地域の安全安心が脅かされるのではないかといった不安・懸念を感じておられる方がおられます。そのことは私としても理解をいたしているところでございます。
そのため、県といたしましては、これまで国に対しまして、広く情報の公開、そして港湾所在地の首長をはじめといたしました県民の皆さんに対しまして、取り組み内容の説明を行っていただきたいという旨の要請を行って参ったところであります。
こうした県の要請も踏まえまして、国の方では2月13日に関係3 市を対象とした説明会を開催され、これにより今回の取り組みへの理解は3市においても進んだものという風に認識をしております。
また、これまでの国とのやり取りの中で 今後は、県民の皆さんが不安に感じますような 疑問点について、国の考え方を示しましたいわゆるQ & Aを作成し、公表をしていただくと、これを国において作成公表していただくという風に聞いているところでございます 。県といたしましては、この国のQ & A が公表されました後、3氏との意見交換会を改めて開催をいたしまして、この中で、県としての考え方をお伝えするとともに3市のご意見もお伺いしたいという風に考えております。
このようなプロセスを経まして、県民の皆さんへの情報提供もさらに行った上で受け入れの可否を適切に判断してまいる考えであります。
●中根議員 内閣官房による「空港・港湾施設の整備及び利用のイメージ」で示されているおおすみ型輸送艦は、90式戦車18両、陸自隊員300人などを搭載できる揚陸(ようりく)艦、また、あたご型護衛艦はミサイル搭載型のイージス艦。F-2戦闘機は、超音速空対艦ミサイルを装備できる攻撃機、C2輸送機には現在長射程ミサイルの搭載が計画されています。これらは明らかに戦闘を主目的とした装備です。
◆国家安全保障戦略上の位置づけ、また明らかとなっている艦船・航空機を見ても、特定利用空港・港湾の指定は、空港・港湾の「軍事利用化」、あるいは「軍民共用化」ではないか、知事としての認識をお聞きします。
○県知事 次に特定利用港湾に関して、いわゆる軍事利用化、軍民共用化にあたるのではないかということでございました。
今回の枠組みにつきまして、国の方からは1点目といたしまして、平時の際に港湾法などの既存の制度にのっとり、民生利用を主として自衛隊などの円滑な利用を調整するものであり武力攻撃事態といった有事を対象としたものではないということ。
2点目といたしまして、特定利用港湾は新たに基地や駐屯地を設置するといった自衛隊の部隊の配備を目的とするものではないということ。
3点目といたしまして、有事にはその時の状況に応じて必要な港湾施設を利用することになるため特定利用港湾の今回の位置づけと有事の際に使用されることにとの間に直接的な関係はないということ。こういった説明を受けております
こうした国の説明を踏まえますと、特定利用港湾の位置付けが行われるということが、港湾の、おっしゃりましたような軍事利用化あるいは軍民共用化につながることはないという風に認識をいたしております。
●中根議員 特定利用港湾指定が「災害時にも資する」との主旨の説明が、この間、国からもなされ、知事も双方にメリットがあり得ると発言しています。しかし、災害時の対応をいうなら、災害対応に特化した訓練、港湾整備が必要です。能登半島地震の被害の長期化を見ても、災害対策を抜本強化する姿勢が、国、地方自治体に求められています。
◆災害対応に万全を期すために、港湾非核平和利用の県議会決議に基づき、戦闘訓練を主目的とした受け入れは認めず、訓練と港湾整備は災害対応に最大限資するよう国に求めるべきではないか、知事にお聞きします。
○県知事 次に訓練と港湾整備は、災害対応に最大限資するように国に求めるべきではないかとお尋ねがございました。
自衛隊などが行います訓練につきましては、艦船による部隊や物資などの輸送という内容でありまして、例えば、銃を使用するといった訓練は想定されておりません。これらの訓練の内容は災害対応とも共通するものでありまして、実際、能登半島地震時の対応におきましても、自衛隊などの艦船が広く活用されているものという風に承知しております。
平時の訓練によって自衛隊などが本県の港湾を熟知され、災害派遣を効率的に実施できるようになることは大規模災害などへの対応におきまして、非常に重要なことではないかという風に考えます。
また、港湾整備に関しましては、港湾予算を配分する際、前提となります民間利用のニーズに自衛隊などのニーズという政策的な要素が加味されるという風に国の方の考えも伺っております。これによりまして本県が取り組みます、例えば、浦戸湾の三重防護事業など、災害対応のためのインフラ整備が加速化することが期待されると考えております。
こうしたことから特定利用港湾として位置づけられることに伴います訓練あるいは港湾整備は災害対応にも十分に資するものだという風な認識をしております。
●中根議員 また、指定に向けては港湾の「円滑な利用に関する枠組み」を設けることが必要と報道されていますが、この「枠組み」で何が変わるのかが重大な点です。
11月14日の外交防衛委員会において政府参考人が「現時点では、自衛隊、海上保安庁の利用についてはその都度の調整」だが、「今後は、自衛隊、海上保安庁、あるいはインフラの管理者との間におきまして、あらかじめ利用調整の枠組みを設けて、より円滑に調整ができるようにしていく」と答弁しています。この答弁では、自衛隊等は、「その都度の調整から」外れ、自衛隊、海上保安庁、県の3者が「利用調整の枠組み」の下、同列におかれるものとなっています。
加えて、国資料では、「枠組み」のイメージとして「具体的な運用については、関係者間で連絡・調整体制を構築し、意見交換を行っていく」と記述され、肝心の具体的内容は不明のまま、自衛隊等の港湾利用に「白紙委任」を与えるものと言えます。
◆「枠組み」が設定されれば、自衛隊等は、利用時に「その都度の調整」を行うことなく、港湾を「円滑」つまり自由に使用できるようになり、県の港湾管理者としての権限が制限されるのではないか、知事の認識をお聞きします。
◆訓練等の内容によって県民の不安につながる、あるいは漁業等の利用に影響が及ぶと判断した場合、港湾管理者としての使用を差し止めることはできるのか、知事にお聞きします。
○県知事 次に、いわゆる円滑な利用に関する枠組みが設定をされれば、県の港湾管理者としての権限が制限されるのではないか、あるいは港湾管理者として使用を差し止めることはできるのかとのお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。
今回の枠組みはあくまでも既存の港湾法などに基づきまして、港湾の利用調整を行うそのためのものでありまして、自衛隊などの優先利用を前提とするものではありません。従いまして、特定利用港湾に位置づけられたといたしましても、港湾管理者としての県の権限が制限をされるということはありません。自衛隊などが使用する際はその都度調整を行うということになります。
また、訓練などの内容が、港湾利用を著しく制限をする、あるいは、漁業などの利用に影響が及ぶものであると判断される場合は、県は使用を許可しないこととなるという風に考えております。
●中根議員 ◆この「枠組み」は、書面での合意となるのか、国側から期限が指定されているのか、また、「枠組み」は高知県の合意なく設定できないとの認識で間違いないか、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、今回の枠組みの合意に関する認識について、お尋ねがございました。
国からは、本年度末の適切な時期に国の関係省庁と県との間で確認事項を記した書面を取り交わすことを想定しているという風にご意向を伺っております。
また、ただ一方で、この枠組みはあくまで国と県双方の合意、確認に基づくものであるという風に考えておりまして、当然のことながら、県の了解なしに設定がされるものではないという風に考えております。
●中根議員 米軍の使用の可能性についても改めてお聞きします。
米軍の使用について、知事は国の国会答弁を引き「特定重要拠点としての受け入れが米軍の利用につながるものとは現時点では我々としては考えておらない」と答弁(12月議会)しました。
一方で、上川陽子外務大臣は、日米地位協定第五条に基づき、国内の空港・港湾を米軍が利用できるとして「新たに整備される空港及び港湾(※特定利用空港・港湾)におきましても同様である」と明確に述べています(12月11日衆議院沖縄及び北方問題特別委)。また、1月29日に行われた日本平和委員会と政府の交渉で、政府の担当者(内閣官房)は、米軍の使用について「除外するものではない」と述べたと報道されています(1/30付しんぶん赤旗)。
実際に、今回特定利用港湾の候補となっている石垣港では、昨年、沖縄県が自粛を求める中、米軍艦船が寄港。艦長は「通常訓練の一部。できるだけ多くの場所に寄港できるようにしていく」と語っています。
一方で、日米地位協定第五条で規定上は使用できるとしても、事前に物資の運搬・補給などのスキームが整えられていなければ、実際の港湾使用は困難です。
◆平時における物資輸送・部隊輸送などの訓練を受け入れることで、港湾の軍事利用のスキームが構築され、有事の際、米軍にとっても利用しやすい条件が整うと考えますが、知事の認識をお聞きします。
○県知事 次に自衛隊などの訓練を受け入れますことで有事の際、米軍の利用しやすい条件が整うのではないかとのお尋ねがございました。
米軍の航空機及び船舶は日米地位協定に基づきまして、我が国の空港及び港湾に出入りすることは認められております。今回の枠組みは、自衛隊などのニーズを踏まえた港湾の整備や機能強化、平時からの利用に関するルール作りという風に説明を受けております。
一般論として申し上げますと、こういう形で港湾の整備、機能強化が図られることになりますと平時・有事を問わず、また、米軍に限らず全ての船舶にとって、この港湾は利用しやすい環境となる、そういう効果は生じるということだと考えています。
しかしながら、国からは、今回の枠組みに米軍が参加することはないと聞いておりまして、 米軍が訓練で利用することはないものと理解をいたしておりますし、ことさらに米軍の便宜を図るといったような主旨では全くないという風に考えております。
【能登半島地震を受けた防災対策徹底】
●中根議員 次に、能登半島地震を受けた防災対策の徹底についてお伺いします。
250人を超す死者・安否不明者を出した能登半島地震は、発生から2カ月近くなりました。石川県では1万4000人以上が避難所などで生活を続けており、多くの避難者は体育館などで寝泊まりし、避難長期化で心身ともに大きな負担を強いられています。ストレスなどによる災害関連死も確認される中、被災者の命と健康を守る取り組みを強めなければなりません。県においても医療チーム、保健師、行政支援、警察の応援の派遣など、尽力をつくしている職員、関係者の皆さんに改めて敬意を表したいと思います。
今回の初期対応について、阪神淡路大震災をはじめとして多くの自然災害に向き合い、防災対策の見直しを提唱してきた室﨑益輝・神戸大学名誉教授は「反省すべき点が多くある」とのべています(東洋経済オンライン2/15)。「震災の教訓を引き出すには、失敗体験をしっかり踏まえなければならない。今回の地震では、助けを求めている被災者のところに救援隊がすぐに駆けつけることができなかった。これが大きな反省点だったと思います。」とのべ、2つの大きな過ちがあったと指摘しています。
「1つ目の過ちは事前の被害想定の甘さです」とのべ、孤立集落が多数発生すると想定していたら、備蓄や衛星携帯電話の準備にしても対応が違っていたはずだと述べています。
「2つ目の過ちは、地震発生直後に被災状況の把握がスムーズにできなかったことが、初動対応の遅れにつながったという点」をあげ、「これからは、現地からの報告を待つのではなく、直後に公表される地震の大きさや形状によって、初動対応のスイッチを入れるようにしなければならない。たとえばマグニチュード7.6であれば、道路が寸断されているということを想定して、海や空からの救助にも早急に着手すべき」であり、「緊急消防隊の派遣のシステムのまま動いていたのでは、救助活動はうまく進まない。地震発生直後の情報把握のシステムおよび初動対応のシステムを抜本的に見直さなければいけない。」と指摘しています
◆南海トラフ巨大地震に備え、「想定外を想定する」という姿勢で取り組んできた高知県とは状況は違うとはいえ、あらためて、能登地震の現状から、何を教訓とするか、また教訓を生かすためにどう取り組むのか、危機管理部長にお聞きいたします。
●中根議員 南海トラフ巨大地震に備え、死者を8割減らすなどとする目標を定めた国の基本計画について、この春をめどとしていた見直しの時期を能登半島地震の影響で延期する方針を明らかなりましたが、策定から10年がたち、過疎、高齢化がいっそう進行したもとで、国の見直しを待つのではなく、積極的な見直し作業が必要です。
避難タワーや避難道の見直し、住宅・水道などインフラの耐震化、要配慮者の避難計画の促進、自主防災組織の取り組み、防災教育、ジェンダーや障がい者の視点にたった避難所運営・備蓄、医療福祉の提供体制、住宅確保など生活・産業の再建、災害廃棄物の処理など復興にむけた取り組みなどなどについて、県と市町村が南海トラフ地震対策行動計画を再点検するとともに、その内容を住民が共有していくことが、県民運動として取り組みを進めるうえで、とりわけ重要となっています。
◆南海トラフ地震対策行動計画の見直しと取り組みの強化を県民運動として進めるための今後の計画について危機管理部長にお伺いいたします。
○危機管理部長 まず、能登半島自身の現状から何を教訓としどう取り組むのか。また、行動計画の見直しなどについて、お尋ねがございました。関連しますので 合わせてお答えをいたします
能登半島地震では9000棟を超える建物が全壊したほか、約240棟の建物火災が発生しました。また、道路の寸断により孤立地域が多数発生するとともに、情報収集や救助救出活動支援物資の輸送、ライフラインの復旧に支障をきたしました。
こうした背景には耐震化率の低さや、大規模な木造住宅密集地が残っていたこと、また、半島部で迂回路がなかったこと、さらには水や食料の備蓄が十分でなかったことなどが考えられます。
本県では、住宅の耐震化や津波対策、火災対策、孤立対策などを南海トラフ、トラフ地震対策行動計画に位置付けPDCAサイクルにより見直しを行いながら取り組みを進めてきましたが、今回の地震も踏まえ、改めて対策の見直しの必要性を感じたところです。
このため、能登半島地震における課題や教訓を整理し、現在の取り組みの検証・評価を行った上で、対策を強化してまいります。
具体的には、被害状況などを詳細に調査するとともに、被災地へ派遣した職員へのヒアリングや学識経験者の意見も踏まえ行動計画の見直しに着手をいたします。
行動計画は県や市町村、県民の皆さんがそれぞれ実施すべき具体的な取り組みをまとめたトータルプランとなっていますので、県や市町村が行う公助の強化に加えまして、自助・共助の更なる取り組みが必要不可欠となります。このため住宅耐震化や火災対策などへの支援を充実するとともに、水や食料の備蓄なども含め、自助・共助の重要性や支援制度の周知など啓発の強化にも取り組んでまいります。
●中根議員 阪神淡路大震災、東日本大震災など幾多の震災現場で、被災者支援にあたってきた津久井進弁護士などが、その実体験から「一人ひとりが大事にされる災害復興法」をつくる運動に取り組んでおり、具体的な提案(「3.11から未来の災害復興制度を提案する会」)もなされています。
提案の冒頭に掲げられた、「現状と課題」の文章を紹介しますと、「災害は、ある地域にたまにしか来ないので、地方自治体は被災者支援に慣れようがありません。しかし、1947 年に成立した災害救助法という古い法律にもとづいて、地方自治体のみが災害救助・被害者支援を実施することになっています。また、災害救助法は古い法律で見直しもほとんど行われていないため、生活困窮者自立支援法、介護保険法、障害者総合支援法などの社会保障関係法制度と連携しておらず、社会福祉法人やNPO など平時の福祉を担うプロフェッショナルの手を借りることができませんし、流通・小売企業といった物資や物流のプロの力をうまく使えません。また、たまたま住んでいた家の被害のみを基準とした災害特有の支援基準が取られるため、支援が必要な社会的な脆弱性を抱える人に支援が届かないことも多いです。 結果として、避難所で大勢の被災者が共同生活を余儀なくされます。個々のプライバシーが守られない状況や、生活再建がうまくできない状況は戦前から現代まで大きく変化がないままです。日本の災害救助・被災者支援の現状は、世界的にみても極めて低い水準にとどまっています。」と指摘しています。
◆個人の尊厳の保持を災害対策の目的にし、福祉を災害救助法に位置付け、官民連携を基本としたスムーズな被災者支援を可能とする法改正に速やかにとりくむことを、国に強く提案すべきではないか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。
○子ども・福祉政策部長 まず、災害救助法への福祉の位置づけを国に提案することについてお尋ねがございました。
災害救助法は、災害の際に国が地方公共団体や日本赤十字社その他の団体及び国民の協力のもと応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的としております。
災害救助法の対象となる救助には、災害のため医療を受けられない場合に応急的に医療を提供するための医療予算は規定されておりますが、福祉に関する規定はなく災害派遣福祉チームいわゆるDワットなど、福祉関係者による支援は災害救助法上の位置づけが明確になっていない状況です。
災害時における福祉関係者の支援は被災者の生命や健康を守り、生活を再建する上で重要な役割を担っており、災害救助法において福祉の位置付けを明確にすることは重要な視点だと考えております。
令和4年11月に全国知事会が取りまとめた報告書では 災害救助法において災害時の福祉支援を明確化する必要があると明記されております。
また国の検討会においても 中長期的に検討を要する事項として災害救助法における福祉の位置付けが挙げられているところです。
県としましては、国の動きを踏まえながら必要に応じて全国知事会とも連携し災害救助法における福祉の位置付けについて国に働きかけてまいります。
●中根議員 また、現代に即した災害救助の充実も求められています。
被災者生活再建支援法の改善も課題です。今回、6自治体については、高齢者、障がい者のいる世帯には、最高600万円まで支援が拡充され、半壊についても対象とされましたが、特例ではなく、また財源も国が半分しか負担しない点の改善をもとめられています。
◆こうした拡充について危機管理部長に伺います。
○危機管理部長 次に、被災者生活再建支援法による被災者支援の拡充について、お尋ね がございました。
被災者生活再建支援制度は著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅が全壊や大規模半壊などの被害を受けた世帯に対して、被災者の生活再建を支援するため最大300万円の支援金が支給されるものです。
国は今回の能登半島地震において新たな交付金制度を創設し、現行の支援金に加え高齢者や障害者がいる世帯などに最大300万円の交付金を支給することを決定しています。
この新たな交付金の創設は過去の災害における支援との整合性のほか、地震保険への加入 や自費で耐震改修するなどの自助の取り組みとの間に不公平感が生じるではないかとの声もあります。一方、被災生活再建支援制度に基づく支援金の財源は都道府県が拠出する基金 600億円に加え国が同額を負担することになっています。
しかしながら、年々、切迫度が高まっている南海トラフ地震において想定される全壊家屋は、全国で約238万棟、本県では15万3000棟にも及びます。こうした、国難レベルの大規模災害における被災者支援については、本県のみならず全国の都道府県の財政負担増に直結します。このため、支給額の増額や適用条件の緩和、国の負担の強化などさらなる制度の充実に加え、被災の実情に応じた適切で不公平感のない統一的かつ持続的な救済制度の検討を、全国知事会を通じて国に求めてまいります。
●中根議員 また、実態に即した支援を可能とするためには、現物給付にこだわるのではなく、広く災害救助法第4条3項を活用し、金銭を給付することによって救助を進めることも求めています。
避難所の1日の食費が1230円であり、コロナ禍の宿泊療養の1食1500円と比べても極めて貧弱であり改善の声が現地であがっています。
◆被災者支援の拡充が求められると思うが、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 次に災害救助法における被災者支援の拡充について、現金給付の実施や食費の改善をすべきではないかとのお尋ねがございました。
現行の災害救助法では、災害により救助を必要とする被災者に対して住まいを提供し物資や食事等が行き届くよう現物給付によって救助を行うこととされています。一方で、災害救助法第4条第3項において、都道府県知事等が必要があると認めた場合は現物給付ではなく現金給付により救助を行うことができるとされておりますが国に確認したところこの条項が適用された事例はないと聞いております。
また食費につきましては、国において 1日1人当たり1230円以内と基準額が定められておりますが、その額では救助の適切な実態が実施が困難な場合には、都道府県知事等は内閣総理大臣に協議し特別な基準を定めることができることとされております。
例えば、東日本大震災においては、避難生活の長期化を踏まえ当時の基準額である1010円以内から1500円以内に改定されております。
災害救助法の適用につきましては、発災時において被災者への支援を最優先に災害の状況に応じた適切な判断に努めてまいります。また災害救助法に基づく救助は法定受託事務であり、国が統一的な基準を示すべきものと考えておりますので、全国知事会とも連携し 引き続き、国に対して基準の明確化などを働きかけてまいります。
【産業振興と地域循環型経済】
●中根議員 次に、産業振興と地域循環型経済について伺います。
高知県は、地産外商を軸とした産業振興を進めています。外商に向けた地場産業の育成、製品開発の努力と成果は重要であり、今後も大いに取り組む必要があると考えます。一方で、県下全体の人口減少が進むなど厳しい状況があり、産業振興の取組の成果を、いかに県全体に波及させていくのかが問われています。持続可能な高知県をつくるため、地域循環型経済の視点で、産業振興自体をブラッシュアップする必要があると考えます。
第5期産業振興計画(案)は、これまで位置づけが弱かった保健医療・福祉と建設分野に言及し、この「経済動向にも目配りし、県内産業の活性化に向けて、よりトータルな形での取組を進める」との文言が入ったことは、県内最大の付加価値を生産する保健医療・福祉分野を、県経済の要として明確に位置づけることを、県議会で一貫して求め続けてきた日本共産党として、歓迎するものです。
◆どのような考え方で第5期計画に、保健医療・福祉と建設分野を位置づけたのか、知事にお伺いいたします。
○県知事 次に第5期の産業振興計画に保健医療・福祉分野及び建設分野を位置づけたその考え方についてのお尋ねがございました。
保健医療・福祉分野及び建設分野は、県の経済におきまして大きなウエイトを占める産業であります。これから、県民所得をさらに向上させ目指すべき高知県像を実現するためにも大変重要な分野だという認識がございます。
今後、生産年齢人口の減少が見込まれる中でこれらの産業の成長を支え、かつ県民ニーズに応えていくためには、デジタル化などを通じました生産性向上の取り組みが欠かせません。また就業者数も多いということがございますので、これらの分野におきます人材の確保 あるいは働き方改革の取り組みがますます重要となってまいるところであります。
これまで、こうした分野につきましては、例えば健康長寿県構想でありますとか建設業活性化プランにおいて、それぞれに取り組みを進めてまいりましたけれども、県における経済政策の一体性あるいは整合性ということを確保するという観点から、今後より一層の目配りをし、施策を講じていく、そうしたことが重要ではないかという考えに至ったところでございます。このために、第5期の産業振興計画では、これらの産業分野を明確に位置づけまして、よりトータルな形で取り組みを進めてまいる考えであります。
●中根議員 「県内介護職員の平均賃金は、全産業平均と約5万円の格差」と12月議会で答弁がありました。介護のみならず保健医療・福祉分野は、労働集約型産業で、人不足も深刻です。また、それなしでは社会が持続できない「ケア」を提供しています。
この点で、訪問介護の基本報酬が来年度、身体介護30分~1時間未満は、約3,960円から3,870円へ90円の値下げなど、軒並み引き下げられようとしています。ホームヘルパーの人員不足は深刻で求人倍率も15倍を超え、訪問介護事業所の倒産は昨年67件と過去最多になっており、中山間地を多く抱える本県にとっても、死活的問題です。プラスとなっている処遇改善加算についても、高知県内は、全国平均よりも低い取得率(全国94%、高知88%)です。
◆持続可能な地域社会に不可欠な訪問介護を保障するため、基本報酬引き下げの撤回を国に求め、直接国費による賃金引き上げの仕組みを提言すべきと考えますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に訪問介護の基本報酬の引き下げと国費による賃金の引き上げについてのお尋ねがございました。
国において示されました令和6年度からの介護報酬改定におきましては 1.59%のプラス改定が示されました。このうち訪問介護サービスにつきましては、介護職員の処遇改善部分はプラスとなった一方で経営に直接影響いたします基本報酬部分はマイナス改定という風にされているところでございます。国は今回の訪問介護サービスに係る基本報酬のマイナス改定については、参考としております実態調査におきまして、他のサービスよりも良好な経営状況であるとこういった実態を反映したものだという風に説明をされております。
しかしながら 関係団体からはこの基本報酬部分の引き下げは小規模事業所の実態が反映されていないのではないかという声をお聞きしております。私としましても、物価やエネルギー価格が高騰する中で県内の訪問介護事業者にとって、今回のマイナス改定は大変厳しいものと認識をしております。このため、今後、関係者の状況を十分に把握いたしまして 今回の改定後の報酬体系の下で、訪問介護事業者の円滑な事業運営に支障が生じると考える場合には必要に応じまして、全国知事会と連携をしながら国に対してしかるべき対応を行うように訴えていきたいという風に考えております。
また、介護報酬の別枠で、国費による賃金を引き上げるとご提案がございましたけれども 、処遇改善の原資を安定的に確保する必要性を考えますとあくまで介護保険制度の中で介護報酬の体系の中で措置されるのが基本であるべきだという風に考えるところであります。
●中根議員 また、産業振興計画において、依然として、地域循環型経済の視点は弱いと考えます。
政府が提供する「RESAS(リーサス)」では、地域経済循環図が提供され、地域の自立度を示すとされる地域循環率が示されていますが、高知県は、地域循環率80.4%(2018年)となっており、これは全国で数えてみると44位と下位です。
この地域経済循環の強化をはかるためには、2つの方策があります。一つは、高知県が進めてきた外商に代表される移輸出産業の強化、もう一つは、地域内での取引を活発化させる施策等で地域外への資金流出を少なくすることです。
RESASの地域経済循環図を見ると、高知県は、支出の面で、県外に資金が流出している額が大きいことがわかります。
特に、地域内産業の移輸出入収支を反映するその他支出の計1兆194億円のうち、地域外への流出が5908億円をしめ、流出入率は-58.0%と大幅なマイナス、全国順位は43位です。この点に、高知県経済の課題があるとわかります。外商によりこの域外収支の赤字を縮小していくことも当然必要ですが、併せて、地域内で産業の連関を強め、資金が域外に流出しない産業構造に転じることが必要です。
内訳をみると、本来は、多彩な一次産品がある高知県で連動して強みとなるべき食品加工分野で、県際収支のマイナスが目立ちます。また、2020年6月の経済センサス産業別集計を見ると、食料品加工が33事業所減と急減しています。新型コロナの影響が直撃し、いっそう食品加工分野が落ち込んだことがわかります。
産業振興計画(第4期)には、「食品加工産業の集積に乏しく、その多くが小規模であることから第一次産業の強みを生かした食品加工への展開、食品周辺への産業への波及が弱く、一部の加工工程を県外でせざるを得ない」と記載されています。施策の展開として、輸出商品の開発等に力を入れていますが、海外展開にはロット数が必要とも指摘しており、小規模が多い食品加工分野全体を視野に入れた施策とは言えません。
◆食品加工分野の弱さをどのように、分析し、打開をはかってきたのか、産業振興部長にお聞きいたします。
○産業振興部長 食品加工分野の弱さの分析と打開に向けたこれまでの取り組みについて お尋ねがございました。
本県の食品加工業は小規模零細事業者が多いことから、商品開発や営業を行うための体制が脆弱で衛生管理や大規模発注への十分な対応ができないといった課題がございました。そのため、まず商品開発においては本県の強みであります一次産品を原材料として活用することを促しますとともに、専門家によるマーケットインの視点を取り入れた商品作りを支援してまいりました。
また、衛生管理や大規模発注にも対応できる商品づくりに必要となります。機器の導入といった設備投資に対する支援にも積極的に取り組んでまいりました。
さらに、平成21年8月には、地産外商公社を設立いたしまして、全国の小売店や飲食店への県産品の紹介や斡旋を行いますとともに、展示会への出展を通じました商談機会を数多く創出し販路拡大につなげてまいりました。
その結果、地産外商公社の活動を契機といたしました成約金額は令和4年度には 57億円まで拡大をしてきております。今後も、地域に根ざした魅力ある一次産品を活用しながら消費者に選んでいただける商品づくりや、事業者それぞれの状況に応じた販路開拓へのチャレンジを引き続き支援をしてまいります。
●中根議員 また、小規模事業者は、地域で必要とされ、県民のニーズを満たすことで事業継続しており、地域の食文化を守る重要な役割を果たしています。小規模であっても、多様な食品が生産されることは、その地域に根差した食文化をつくり、観光や「外商」にとっても、高知ならではの魅力となります。
◆食品製造業を「外商」の視点だけでなく、地域循環型経済の視点で検証することが重要です。地域住民の食品ニーズを掴み、地域の一次産品を活用した食品加工製品の消費をさらに増やしていく施策展開が必要と考えますが、知事の考えをお聞きいたします。
○県知事 最後に地域の一次産品を活用した食品加工製品の消費を増やしていく施策展開について、お尋ねがございました。
ご指摘のありました地域循環型経済とは、地域で消費するものを地域で生産をするという地消地産を推進し、地域内に雇用と所得を持続的に生み出す自律的な経済構造を構築する、そういった概念でありまして、地域経済の発展を図るための1つのモデルであるという風に考えます。
しかしながら 食品の加工分野に関して申しますと人口が急激に減少し、地域の市場が急速に縮小しております本県におきましては、地域住民のニーズに合った食品を生み出すだけでは事業者の経営が立ち行かなくなっているというのが実態であると考えます。このために、活力ある国内外の市場から外貨を取得することによりまして、地域経済を活性化するそうした意味を持ちます地産外商を産業振興計画の柱につれこれまで取り組みを進めてまいりました。
お話のありました地域循環型経済の考え方のもとで、できる限り地域で生産されたものを地域で消費する、そういった体制を目指していく、あるいは地域で消費するものは地域で生産を目指していくといった取り組みを行っていくということは有効な施策であるという風に考えております。
他方で現実的な問題といたしまして、地域以外、県外との経済取引が全くなくして、地域が完全に自給自足できる自立できるということはあり得ないと思っております。これは不可能ではないかと思います。このため、この問題は二者択一ということではございません で地産外商は積極的に進めながらしっかりと地産地消あるいは地消地産にも取り組んでいく、そういったいわばハイブリッド型の県経済の姿が望ましいものだという風に考えているところでございます。
私からは以上であります。
●中根議員 小規模事業者の食品加工製品の地域流通を促進するため、学校給食や病院食などへの導入も含めて行政が積極的に取り組んでいくことは大切な課題だと考えます。公が責任を持って、地域内での流通・消費を活性化させ、それぞれの地域ならではの「味」を育んでいく施策の充実を求めていきたいと思います。
【不登校対策】
●中根議員 最後に不登校問題について質問します。
文部科学省は、全国の小中学校と高校、特別支援学校を対象に、不登校やいじめ、自殺などの調査を毎年行い、公表してきました。昨年10月の調査結果を見れば、小中学校を30日以上欠席した不登校に状態にある子どもは、約5万4千人増、率にして22%増えて、子どもの不登校は昨年度29万9048人となりました。10年連続で過去最多です。高知県の1000人あたりの不登校児童生徒数はマイナス0.5ポイントと前年比で少し数は減ったものの、小学校469人、中学校994人合計1463人が該当しています。その他、いじめの認知件数は過去最多となっています。子どもたちや学校に何が起こっているのか、これまで以上の調査分析が必要です。また、今後もこれ以上の不登校などの状況を広げないためにも、実態調査を県としても丁寧に行い、子どもの心の声を生かす教育につくりかえる対応が必要です。
文部科学省が学校を通じて毎年実施している「問題行動・不登校調査」では、不登校の要因は「無気力、不安」(51%)▽「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)▽「友人関係の問題」(9%)など、要因は「本人」にあるとする回答が際立っています。
この調査は、各学校で教員が回答するため、当事者や保護者の思いと、ずれがあるのではないかと言われてきました。
滋賀県では、滋賀県フリースクール等連絡協議会ができ、不登校の子どもたちへの支援施策が進んできています。
協議会では、文科省の「問題行動・不登校調査」は必ずしも実態を反映していないとして、滋賀県内で初めて昨年11月23日から今年1月までの一ヶ月半、不登校当事者の実態とニーズを調査するインターネットアンケートを実施しました。滋賀県内の不登校家庭351件から貴重な意見が寄せられ、アンケートの調査報告書は、滋賀県フリースクール等連絡協議会(柴田雅美会長)が公開しています。回答した小中高生75人のうち、「不登校になった年齢」は小学1~3年生が60%を占め、小学生全体で76%に達する。「不登校のきっかけ」(複数回答)で最も多い要因は、「先生」(合わない、怖い、体罰、不信感など)の23人。「友達」「身体不調」「カリキュラムが合わない」がそれぞれ同数の20人、「先生が誰かを怒るのを見るのがしんどい」(18人)、「勉強が分からない」(16人)など学校関係が多い。また自由記述では、子どもも保護者も、周囲の偏見や無理解について悲鳴を上げている実態が明らかになっています。
滋賀県フリースクール等協議会は、「文部科学省と民間団体の調査の結果が大きく違う。両方の結果を踏まえて解析が必要だ」と指摘しています。
調査報告書は滋賀県教育委員会にも提出され、今月、2月13日に開かれた滋賀県総合教育会議で大杉住子滋賀県副知事が、不登校のきっかけは「先生」が多いとのアンケートを引用し、「これをどう捉えるか。何か課題があったのか見ていきたい」と発言。福永忠克・滋賀県教育長も14日の定例記者会見で「先生が不登校の児童生徒にどのように寄り添い、気持ちを理解し、対応していくか。そのための知識、理解を深めることが必要だ」とアンケートへの見解を示したとされています。
◆実態把握をする上で、子どもの声をしっかり聞くことが出発点です。県として丁寧な調査をする考えはないか、教育長に伺います。
○教育長 まず、子どもの声を聞くための調査の実施についてお尋ねがございました。
本県では、現在、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保を目的とした有識者会議を開催しております。その会議においては本県として不登校児童生徒やその保護者の実態や支援ニーズを把握した上で施策を考えることについても協議を行ってきたところであります。
その中で、委員からは、不登校の調査に関してご意見をいただいております。具体的には 不登校児童生徒やその方に直接調査を行う場合には苦しい心情や葛藤する場面に迫る場合もあり十分な配慮がなければならない、また不登校の子どもたちに多く対応しているスクールカウンセラーなど心理の専門家に話を聞くことによってより客観的分析的な内容も伺える場合がある、さらに多様な学びを保障するという意味では、不登校の状態の子どもだけではなく、より多くの子どもたちに学校や学びの在り方を聞くことも考えられるといったご意見もいただいております。こうしたことから私としましては、調査にあたっては、その可否も含め、調査質問内容、対象方法、そしてフィードバックの仕方など慎重に検討していくことが必要だと考えております。
●中根議員 私たちに寄せられる様々なご相談の中にも「先生の忙しさとストレスによって、子どもも保護者も不安になる。」「先生は忙しそうで話を聞いてと言いづらい」「子ども集団を落ち着かせるのが大変で、トイレにもいけず、気づけば給食の配膳も自分の分はなかった」「教育力の不足は自己責任だと寝る時間を削って頑張っているけれど、いつも疲れている」などなど、大変な実態が見えてきます。
◆不登校の最大のきっかけ・要因に先生の言動との結果が出ています。先生の忙しさとストレスをいかに少なくし、精神的にもどうゆとりをつくっていくのか、大きな課題であると思いますが、具体的な対応を教育長に伺います。
○教育長 次に教員の精神的なゆとりをどのように作っていくかとのお尋ね がございました。
学校生活が子どもたちにとって豊かで充実したものとなるためには子どもたちの成長を支える教員のメンタルヘルスの維持は大変重要であると考えております。
特に、不登校や生徒指導上の課題などへの対応については、教職員が同僚性を生かし困った時には気軽に相談ができ改善策や打開策を一緒に考える場を作ることが必要であると考えます。
このため、県教育委員会では児童生徒への支援策の検討とその進捗管理を組織的に行う場として、校内支援会を定期的に実施するよう各学校に働きかけてまいりました。
また、学校だけでは対応が厳しいケースにつきましては、医療やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーといった専門家に加え、地域の福祉部署などの関係機関と連携したチーム支援を進めております。
加えまして、これまでも、業務支援員等を配置し教員の業務軽減等を図ってまいりました。次年度は、県教育委員会事務局内に、心理士等の専門職相談員を1名配置し、若年教員を中心に、学校への訪問、面談による相談対応を行うなど教職員のメンタルヘルス対策を強化してまいりたいと考えております。
今後もこうした取り組みを継続して、各学校の組織的な生徒指導体制を構築し、教員が1人で問題を抱え込むことなく、安心して業務が行えるよう環境を整えてまいります。
●中根議員 また先に述べた滋賀県のフリースクール協議会のアンケートの中に、不登校によって「保護者の働き方は変化したか」の問いがあり、保護者148人のうち55%が「変化した」と回答、「変化なし」は、27%でした。35%が「世帯収入が減った」と回答し、「食費」「光熱水費」「交通費」「フリースクール利用料」等の費用が増えたといいます。フリースクールなどに通った場合の金銭的支援、学校の変化を求める保護者もそれぞれ約7割に上りました。
高知県でも、いくつかのフリースクールを利用している家庭があります。入会金2万円、月謝3万円から4万円。また交通費など、家計には負担が生じています。東京都などではフリースクールを利用する不登校の小・中学生を対象に、一人あたり年間最大24万円を支給するなど、全国でも学費補助が広がってきています。
◆フリースクールにかようための学費補助の検討が必要になっていると考えますがいかがですか。教育長に伺います。
○教育長 次に、フリースクールに通う学費補助についてお尋ねがございました。
不登校児童生徒の支援ニーズは多岐にわたっており、多様な学びの場の1つとしてあるフリースクールと学校が連携協力して子どもたちの成長を保証していくことは大変重要なことであると考えます。
そして現在、県として開催する多様な教育機会の確保策について検討するための有識者会議の委員に、このフリースクールの代表の方に就任していただいております。
その中で、フリースクールの意義や活動内容をはじめ、子どもたちを受け入れる居場所づくりの拡充の必要性など幅広い観点からご意見をいただいております。
今後この有識者会議の協議の内容をしっかり踏まえながら、フリースクールとの連携・協力 のあり方について検討していきたいと考えております。
●中根議員 「教えるとは希望を語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと。」の言葉は、フランスの詩人ルイ・アラゴンの言葉です。不登校は希望・意欲を削る今の学校教育に対する子どもたちの危機回避行動ではないかと思えてなりません。
◆専門家であるスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの正規採用での配置など、じっくりと向き合える体制をこれまで以上に早急に作るべきだと思いますが、教育長に伺います。
○教育長 次にスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの正規採用での配置について、お尋ねがございました
不登校等の支援を進めていく上ではスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーがチーム学校の一員として位置づき、教職員とともに児童生徒や保護者を支える体制を整えていくこと、 必要なことであると考えております。
このため本県では、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーを全公立学校に配置しており1校 あたりの配置時間は国が示すものよりも多い状況にあります。その結果 本県の不登校児童生徒のうち、専門人材や関係機関等につながり、相談支援を受けている割合は 全国平均よりも高くなっております。
こうした専門家を常勤雇用することは優秀な人材確保による教育課題の改善につながるものと考えます。
このため、全国都道府県教育長協議会などとも連携して国に対し、スクールソーシャルワーカー等の常勤雇用を可能とする制度の創設を要望しております。加えまして、本県独自にも同趣旨の政策提言を行っております。今後もこうしたことを通じまして、スクールソーシャルワーカー等の常勤化に向け取り組んでまいります。
◆サポートルームや学びの多様化学校など、子どもが安心して過ごすことができる多様な教育機会の確保のために、人の配置も含めて、どう取り組むのか教育長にお伺いいたしまして、私の第一問といたします。
○教育長 最後にサポートルームなど子どもが安心して過ごすことができる多様な教育機会の確保についてお尋ねがございました。
県教育委員会では、現在、学校や教室に居づらいなど不登校の兆候がある生徒への個別の学習支援や相談支援を行う校内サポートルームのあり方を研究する11の中学校に教員をサポートルームのコーディネーターとして加配しております。
校内サポートルームでは子どもたちは興味ある学習課題に取り組んだり、オンライン配信で所属する学級の授業を受けるなど1人1人の状況に応じた学習を行っております。
その結果、登校日数の増加や所属の学級で授業を受けられる子どもも見られるといった効果も表れており、こうした校内サポートルームはさらに、拡充していきたいと考えております。
その運営にあたっては、教員だけでなく地域の方々や退職教員の力をお借りすることを検討しているところであり、そのための必要な財政支援を行っていきたいと考えております。
また、校内サポートルームなどに通うことのできない子どもに学びの保障を行っていくことも必要です。このため学びの多様化学校の設置やフリースクールとの連携、メタバースの活用なども有識者会議の中で検討しております。こうしたことをできることから実現していきたいと考えております
●中根議員 それぞれご答弁ありがとうございました。二問を行います。
知事にもう一度お伺いしたいのですが、特定利用港湾の問題です、今、国の大軍拡の路線の中で有事の際の対応も見据えた港湾の平素からの利用・活用に関するルール作り、こういうもとで、今回の港湾の利用に対する投げかけが行われています。
私たちは、このことが、例えば、先ほども述べましたけれども、いざという時になれば、いざという時とは戦争が起こった時です。そういう風になれば、直ちに、自衛隊、またそれに関わる、それと連動して日米合同委員会を開いたら、米軍は直ちに利用できるような仕組みが、もう作られている。そんな中で高知県に対して3つの港を開港してください、という あの投げかけがあるわけで、投げかけがある時にはそんな中身があるんですということを 2月13日も、各市長さんとか、担当課のところに、宿毛と須崎と高知市に、それぞれ、お話があったということで、県民に対して、ちっともそれが知らされていないそんな状況になっています。是非ともこうした点では、まず県民にそうしたことを知らせていく、知らせながら、これをどう捉えるかを判断していく、こういう取り組みが必要になるのではないか、そんなふうに思っていますので、そうした点では、県民に知らせるという点ではどんなふうにお考えなのか、可否の前に知らせるという点についてどう考えているのかをお聞きしたいと思います。
そして、今、あのジュネーブ条約などでも、戦闘行為があった時には、各港に、その米軍なり、自衛隊がいるということになればその民間の人たちも巻き込んだ、その民間の港であっても、そこを、軍事的に行動することができるという、そんなジュネーブ条約になっていまして、これなども本当にあの県民の命や暮らしを守ることにつながらない。こういう投げかけが、今行われているということをしっかりと見ておいていただきたいと思います。
もう1つは、教育長に伺います、不登校の問題はこれをさらに生み出さないためのストレス解消施策をどうしても取る必要があると思います。こうした点で具体的施策づくりに、どう取り組むのかお伺いいたします
○県知事 まず特定利用港湾の指定に関しまして、県民の皆さんに対する情報提供が必要ではないかという点についてでございます。
私どももこの点に関しましては国に対しまして、県民の皆さんからですね、いただいている不安の声も含めまして、投げかけをいたしまして、国としての考え方をしっかり出してもらいたいということを申し上げてきております。
そして、やり取りの中で、国の方では、ただいま、答弁申し上げましたけれども、こうした県民の皆さんからの質問を踏まえた Q & A ですね。国としてどう考えるかということを文書でまとめて、出していただく方向で準備をしていただいているというふうに承知をしております。その点が私どもとしましては、可否の判断をする際に国からのQ & Aの提示 そしてそれが県民の皆さんに周知をされるということが、まず必要だと思っておりまして その点は、引き続き国との調整の中でも申し上げたいという風に思います。
そして、具体的に、今後の段取りといたしまして、先ほど申し上げましたように、現実に3市のご意見というのも踏まえた上で可否の判断をしなければいけないと思っておりますので、3市との間では、県として一定の考え方をまとめた上で意見交換会を開催したいと思っておりますが、この意見交換会については、今のところ、私どもの考えとしましては、いわゆる公開で行いまして、このQ & Aの内容に関しましても改めて確認をすると、こうした機会を通じまして、県民の皆さんに国の方から示された考え方を、間接的にはなりますけどもお示しをして、情報提供していくというような段取りを考えているところであります。
そうした中で、ただいま、ジュネーブ条約の話ございましたけども、前提といたしまして、これまでの国とのやり取りの中で、いわゆる有事武力攻撃が行われたような場合になりましたら、これはこの今回の特定利用港湾の枠組みとはまた別のフェーズになると、これに関しましては、場合によっては、内閣総理大臣が指示権なども行使をして、明確にいわば安全保障上の利用を優先させることができるという枠組みが別に法律がありますから、これはこういうことになっているわけでありますが、これは、今回の特定利用港湾として指定されるか否かとは関係なく行われると、その時の状況で必要であるという港湾なり空港を指定して、国の方で、いわば国の判断で使用していくというような枠組みになってまいりますので、その意味で言いますと、今回特定利用港湾として指定される、されないにかかわらずですね、有事ということになれば、こうした国からの指示でいわば、防衛上の利用を優先しろと言われる可能性あるわけでございまして、逆に言うとそのことと今回の特定利用港湾として、平素の訓練利用などをしていくということは、別問題という風に考えていくべきではないかと考えております。
○教育長 まずやはり必要になってくるのは、教員が子どもにあたる時間を確実に確保することであろうと思います。
そのためには、やはり、これまでも行ってきております教員業務支援員の増員とか、そして、教員加配についても、ですね、これは国の方にさらに要望していかなければならないだろうという風に考えております。
さらには、いわゆる学校の中での授業時数の見直しとかですね、学校行事のあり方、こういったことにも見直していかないといけないという風に考えておりますので、この点につきましては、昨年度9月の段階でですね、各市町村の教育委員会の方にも話をしているところでありますし、新年度にあたってもですね、こういったことは続けていきたいと思っております。
さらには、やはりスクールカウンセラーとか、スクールソーシャルワーカーそして、フリースクールなどの外部の団体、こういった方々とですね、学校が連携をしていく、こういったことが必要なのではないかという風に考えております。こういったことを併せて、引き続き、我々として力を入れていきたいと思っております。
●中根議員 ありがとうございました時間がないので、以上で質問といたしますが、先ほど らい、機構改革のことで知事が、これまで指示待ちという風な状況があったんじゃないかとかいろんなことを言われながら、全庁まとめてけん引する知事の言わば「知恵袋」的なトップダウンの機構を作るんだというお話をされました。
私たちはそのトップダウンではなくて、やっぱ本当にこう地場のボトムアップをする中身を作りたいという風に思いながら、心配をしているところです。その危惧を申し上げて 以上終わります。