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- 2023年12月21日
- 議会(質問・討論)
- 2023年12月議会 はた愛議員の一般質問(2023.12.23)
【質問項目】
・知事政治姿勢/政治資金規正法
・女性行政/女性支援の新法への県としての取組
・教育行政/臨時採用試験、奨学金制度改善
・障害者行政/災害計画に医療的ケア児の位置づけ
・物価高騰対策/国保基金活用で負担軽減、給付金扱い
●はた議員 日本共産党のはた愛でございます。通告に沿って個人質問をさせていただきます。
【知事の政治姿勢・政治とカネ/政治資金規正法】
●はた議員 まず初めに、知事の政治姿勢について、政治とカネの問題について伺います。
連日、報道がされていますが、自由民主党主要5派閥が、政治資金パーティー券の販売ノルマを超えた分を所属議員にキックバックし、議員側も収支報告書に記載していなかった問題です。
収支報告書に書かないと言う事は裏金づくりであり、脱税とも言えます。
特に最大派閥である安倍派(清和政策研究会)の不記載は2022年までの5年間で約5億円規模になる可能性が指摘されています。さらに、問題なのは犯罪性の組織性です。不記載について、「派閥から指示を受けた」と証言する、宮沢防衛副大臣は、派閥から「しゃべるな」と口止めをされたとも、証言しています。
そもそも、政治資金規正法は政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与する事を目的として、政治家個人への企業団体献金を禁止してきました。しかし、事実上、企業団体献金がこのような形で容認され、さらには「裏金づくり」となっていたわけです。
◆本日10時、特捜部は安倍派、二階派について強制捜査に踏み切りましたが、今後は何に使われていたのか徹底解明と同時に、事業収入である政治資金パーティー収入についても寄附として位置づけ、企業・団体献金を全面的に禁止する方向へ、法改正を行う必要があると思いますが、知事の認識を伺います。
○県知事 はた議員のご質問にお答えをいたします。まず、政治資金パーティーと企業団体献金のあり方について、お尋ねがございました。
政治資金パーティーにつきましては その収入は政治資金規正法上、パーティーへの参加の対価として知られるものでありまして、寄付とは性質が異なるとされております。また 政治活動に対する企業団体献金のあり方は、これまでも、数次に渡り法改正が行われまして、現在は政党や政治資金団体に対してのみ認められているという風に承知をいたしております。
政治資金パーティーを含めました 政治資金のあり方につきましては 民主主義のコストをどのように負担するかという観点から、法改正の必要性を含め国会の各党各会派でご議論をいただくべき問題であるという風に考えます。
なお、今、報道されております 政治資金の問題に関しまして、私が持っておる印象をあえて申しますと、この政治資金規正法上の中身云々というよりは、政治資金の収支のありのままの姿を収支報告書に記載をするとそういう制度の基本の部分でルールが守られていないのではないかというのが、今の問題ではないかと思います。
そういう意味で、ルールの基本部分に関しての実効性の確保をどう測っていくのかというのが、今回の問題の再発防止のための最大のポイントになるのではないかという風に感じているところであります。
【困難を抱える女性支援】
●はた議員 次に、困難を抱える女性支援についてです。
なぜ、女性を公的に支援する必要があるのかを理解するには、女性が苦しむ社会にある歪みを見る必要がございます。
家父長思想や男性優位社会が根強く残る日本の社会の中で、多くの女性が置かれている暮らしの状況は深刻です。非正規率の高さや性被害の実態は社会問題化され、同時に大きな政治課題ともなっています。
一方、女性の活躍が経済の発展の推進力となる事は、企業、経済界も認めるところですが、それでも日本で暮らす多くの女性は困難を抱えています。
その実態については、2023年1月31日、国連人権理事会の作業部会において、日本の人権状況に関する普遍的定期的審査が行われていますが、今回の審査では、115か国が日本に対して発言を行い、勧告の数は約300です。日本が世界の人権水準に照らし、遅れを指摘されている中には、ジェンダー平等や、女性や子どもに対する性的搾取の問題もあります。
この国連の勧告の一部、女性の人権に関わる点を少し紹介したいと思います。
「配偶者暴力防止法における『配偶者からの暴力』の定義において、身体的暴力に準ずる『心身に有害な影響を及ぼす言動』の具体的内容が不明瞭で被害者救済が不十分、経済的な暴力や社会的隔離が該当する旨を明記するなど、同法の改正が必要である。」と指摘しています。
また、「女性に対する性的搾取について、性的搾取目的の人身取引や性産業の実態の把握と対策、被害者の保護が必要である。リベンジポルノ等のインターネット上の被害への対策も必要である。」という勧告です。
労働面では「一般労働者の男女間の賃金格差は、74.3%(2020年)であり、前回審査時(2017年)の73.4%からほとんど改善していない。非正規雇用労働者のうち女性は68.1%を占めている。女性のうち非正規雇用労働者は54.4%であるのに対し、男性は22.2%にとどまる。女性正社員・正職員以外の所定内給与額は年間193万3000円に対し、男性正社員・正職員の所定内給与額は年間350万7000円で、女性は男性の55%となっており、雇用形態も給与額も男女格差が大きい。」と勧告しています。
子育てでは「育児休業取得率は、女性が81.6%に対し、男性は12.65%にとどまり、男性はうち5日未満の取得が28.33%を占める」との勧告内容が報告されています。
この様に男性優位の社会構造の中で、女性が置かれている状況は深刻で改善しなければなりません。
国内世論、国際世論の高まりの中で2022年5月、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(女性支援法)が成立し、2024年4月から施行されることになりました。
この新法は2021年の厚生労働省の「婦人保護事業見直し検討会」などの議論を経て、超党派の議員による議員立法として上程されました。背景には女性や若者が「性犯罪・性暴力」の被害にあっている事実が広く社会問題化し、政治課題としても性暴力や性売買の根絶へ支援が強く求められてきことにあります。これまでの「売春防止法」では、女性を管理的な上から目線の「保護更生」という名の処罰の対象としており、「支援」するという概念自体がないこともあり、改善を求める世論も高まっていました。
根本的解決につなげる支援を保障する法整備として、今回、女性支援法が出来ましたが、目的は、困難に直面したら支援が受けられ安心して自立した生活が出来るような男女平等社会をつくることとしています。対象者も「困難に直面するすべての女性」としており、年代や国籍、障がいの有無、文化的な背景を問いません。また、性暴力やDVに限らず居場所の喪失や経済的貧困、孤立なども支援対象とします。
新法ではできるだけ、どんな相談にも応じ、一人一人の意思を尊重し、多様な機関と連携していく事を行政の役割とし、行政は、これまで以上の支援体制の充実、整備が求められてきます。
2023年3月末に国が示した基本方針では、都道府県が新法に基づく基本計画を策定することを義務づけています。現在、県においては計画策定の準備や協議を行っていると思います。
一方で、国は市町村が基本計画を策定することについては「努力義務」としていますが、最も身近な市町村の役割こそが重要です。地域の女性の実態を把握し、支援課題などを明らかにする点でも、市町村における基本計画策定の意義は非常に大きいと考えます。女性支援法が絵にかいた餅にならない様、市町村が意義ある「支援」に取り組むために、県がどう市町村をバックアップしていくのか、注目と期待がある所です。
知事自身もあらゆる場面で女性の活躍の重要性を述べられ、高知で若い女性が働き、暮らせる希望ある県を目指されていると思いますが、
◆まず女性支援法制定の意義について、県はどう認識され、積極的にどう取り組んでいかれるのか、知事に決意をお聞きします。
○県知事 次に困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の意義と今後の取り組みにつきまして、お尋ねがございました。
この法律は、性被害や予期せぬ妊娠、経済的困窮、孤立など女性をめぐる問題が複雑化、複合化していることを踏まえまして、新たな支援の枠組みを構築するために制定をされたものであります。
近年、女性をめぐる社会環境は大きく変化をしているところでありまして、これを踏まえまして、従来の売春防止法が売春をなす恐れのある女子の保護更生を目的としていた、そうした枠組みであったものをこれに基づく支援の枠組みを超えまして、困難な問題を抱える全ての女性を支援対象にしたとこういう点が評価をされるところだという風に考えます。
現在、県におきましては この法律に基づきます基本計画の策定作業を進めております。
この基本計画におきましては、住民に身近な市町村や関係機関、民間団体などと連携をした包括的で切れ目のない支援体制づくりを推進することといたしております。
具体的には 女性相談支援センターが核となりました関係者間の支援調整会議を設置いたしますほか、女性相談支援員の市町村への配置の促進、民間団体と連携した相談支援などの充実に取り組んでまいります。
今後は 市町村計画の策定支援にも取り組みまして、県と市町村の役割分担のもと、困難な問題を抱える女性への包括的な支援にしっかりと取り組んでまいる考えであります。
●はた議員 今回の女性支援法の制定の一方で、売春防止法の一部が廃止されましたが、改善されなかった点もあります。売春防止法第5条・刑事処分の内、勧誘等の処罰については削除されませんでした。勧誘するものとされる人々、つまり、勧誘を強いられている女性たちを救済するのではなく、刑事処分や補導処分の対象とし、性的搾取の被害者の救済を遠ざけるものだと、日弁連も国連も指摘している点です。
◆売春防止法第5条は削除することが望ましいのではないでしょうか。県としての見解を、子ども福祉政策部長にお聞きいたします。
○子ども福祉政策部長 まず、売春防止法第5条の削除について お尋ねがございました 売春防止法第5条は「売春を目的に勧誘等をしたものを 6月以下の懲役または1万円以下の罰金に処する」と規定をしております。
この規定に対しましては、検挙者の大半が女性であり様々な理由で生活基盤を失った背景があるにも関わらずこうした女性を処罰することは、人としての尊厳を害する恐れがあるといったご意見があるものと承知をしております。
また、売春をなくすためには、女性を処罰するのではなく、救済や支援が必要とのご意見もあるところです。
議員からお話がありました売春防止法第5条の削除につきましては、これまでも国会や国が設置した検討会において議論されており、売春防止法の規定の見直しにつきましては引き続き国政の場で検討されるべきものと考えております。
県としましては、新たに制定された困難女性支援法に基づき、市町村や民間団体等と連携を強化し、売春の背景となる困難な問題を抱える女性への支援に取り組んでまいります。
●はた議員 国の基本方針にもあるように行政機関と民間団体は対等な立場で協働していくことが、特徴の一つとなっています。相談、支援の現場は今や民間なくして、包括的な支援はできないのが実態ではないでしょうか。例えば、暴力から逃げる場として民間「シェルター」などの運営がされていますが、公立、民間問わず、安全な場所の確保は、最初に確認される大事な点でもあり、その充実は重要です。
◆民間団体と行政がよく協議、協働して事業をすすめていくことは重要です。計画策定の実行においては、場の設定だけではなく、幅広い関係者の意見が、予算や体制強化の面でも反映できる権限を持つ場としていくことが大事だと思います。その考え方や取組について、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。
○子ども福祉政策部長 次に困難な問題を抱える女性への支援について、幅広い関係者の意見を予算や体制強化に反映するための考え方や取り組みについてお尋ねがございました。
困難な問題を抱える女性への支援には、行政機関とそれぞれの特色を生かした支援を行う民間団体等が協働し、相互に保管し合いながら支援に取り組むことが重要だと考えております。
このため、本年度末の基本計画の策定に向けましては、民間団体の代表者5名、学識経験者 3名を含む協議会を立ち上げ、支援の実態に基づいたご意見などをお伺いしているところです。
この協議会は次年度以降も継続し、計画の進捗管理を行うとともに、課題や今後の対応についてご意見を伺う場として活用し、困難な問題を抱える女性支援のさらなる強化策に反映していきたいと考えております。
加えて、市町村や支援機関、民間団体など関係のご意見を幅広くお聞きし、国の支援策も活用しながら、困難な問題を抱える女性への支援体制の充実を図ってまいります。
●はた議員 実効性ある女性支援事業にしていくためには安定的な予算と人材の確保が必要です。
令和5年1月、国の有識者会議の議論の中でも、女性相談支援員を市町村に設置することを義務化する必要性を求める意見も出されています。全国的にも現行の女性相談支援員の多くが、他の業務との兼務や非正規雇用であり、相談業務の充実を図るためには、さらなる人員確保は重要な課題となります。
◆県として、女性相談支援員が専門能力を高めることができ、庁内外での連携を進め、支援が必要な女性のために動けるよう、どう具体的な取組みを進めていくのか、また今後の人員確保策についても、子ども・福祉政策部長にお聞きします。
○子ども福祉政策部長 次に、女性相談支援員の質向上や活動にあたっての環境整備、人員の確保策について、お尋ねがございました。
女性相談支援員は、困難な問題を抱える女性の発見に努めるとともに、女性の立場に立った相談や専門的技術に基づく援助を行うなど、重要な役割を担うこととなります。
そのため、県においては、女性相談支援員のスキルアップを図るため、専門的な知識技術を習得するための研修や勉強会等を行ってまいります。
また、支援を行う際に、女性相談支援員が孤立することがないよう、多機関共同のネットワークの構築など活動しやすい環境づくりを進めます。
人材の確保につきましては、令和6年4月の困難女性支援法の施行により、女性相談支援員の配置が県は義務、市町村は努力義務となります。
女性相談支援員の任用にあたっては、法において、「職務に必要な能力や専門的な知識経験を有する人材の登用に特に配慮しなければならない」とされており、その趣旨に沿って取り組んでまいります。
また、市町村に対しましては、女性相談支援員の配置を働きかけるとともに、女性相談を担当する職員の資質向上のための研修の実施や民間団体も含めた支援者同士の連携を促進してまいります。
【教育行政】
●はた議員 次に教育行政について伺います。
まず、奨学金制度の改善について伺います。
現在、専門学校や短大、大学など高等教育に進学している学生の約5割は返済が必要な奨学金や教育ローンという名の借金を背負っています。教育に多額の費用がかかる現状は、学生や子育て世代の将来不安を生み、ひいては少子化の原因になっているとも指摘されています。
根本的には国こそが、十分な教育予算を確保し、専門学校や大学等、高等教育の無償化を行う事です。また返済不要な給付型奨学金も拡充することも行うことです。
給付型の奨学金制度の対象の多くは、非課税世帯であり、つまり、課税世帯の多くは、給付型が使えません。高知県において、課税世帯が利用できる支援制度としては「高知県高等学校等奨学金」などがあります。問題なのは、その世帯に返還する目途があっても、申請条件に満たないとされるケースが存在しているという事です。原因の一つは、連帯保証人の問題です。
現在、高知県高等学校等奨学金の貸与に関する条例に基づく、「高知県高等学校等奨学金貸与者選考事務要領」では連帯保証人の条件を定めており、「2人の連帯保証人のうち、少なくとも1人は保護者以外の者で独立の生計を営む成年者」と記述しています。この「独立の生計を営む成年者」とは20歳以上65歳以下のものです。ただし、やむを得ず前記に該当する者を連帯保証人とすることが出来ない場合は「申立書」を添付すれば65歳を超え70歳以下のものを連帯保証人にすることができるとしています。
しかし、独立の生計を営む者の年齢を最大70歳までとしても、そういう連帯保証人すら見つからないケースが少なくありません。
相談で寄せられる声には、異常な物価高騰が続き、まともに賃金も上がらない社会の中で、「もう進学は無理だ」と、あきらめる声が多く、子どもも保護者も苦しんでいます。
ある保護者は「自分たち以外の世帯に連帯保証人を頼めるのは限られてくる。親も年金暮らしの70代後半で、頼める兄弟はいない」「今の連帯保証人の条件では借りられない」と、進学の為の資金繰りは本当に大変だと訴えています。
高知県の高等学校等奨学金の連帯保証人の条件設定は、同じ返済型の他の制度と比較をしても厳しすぎではないかと思います。
例えば、社会福祉協議会の教育費の貸付制度では、低所得世帯であることが条件ですが、償還期間20年、無利子、連帯保証人は不要としています。
◆現在、社会福祉や住宅の分野でも民間の保証団体等を認める時代となっています。教育行政においても奨学金等の保証人問題については改善が必要ではないでしょうか、どう認識されているのか、改善への取組を教育長にお聞きします。
○教育長 まず、奨学金制度における保証人要件についてお尋ねがございました。
奨学金制度は貸与を受けた方の返還金が原資となって新たな対応を行うという仕組みで成り立っており、制度を安定的に運営するためには着実に返還がなされることが必要となります。
そのため、高知県高等学校等奨学金においては、貸与申請の際に2名の連帯保証人を求めているところであります。
議員のお話にありますように、社会福祉や住宅の分野における民間団体等の保証につきましては機関保証制度が導入されております。
しかしながら、各都道府県の高等学校の奨学金においては、貸与の件数や金額が小規模であることなどから保証を引き受ける機関がなく、現在、機関保証制度を導入できている都道府県はございません。
このため、県教育委員会としましては 連帯保証人要件を継続しつつ、他県の動向も引き続き注視してまいりたいと考えております。
●はた議員 また、償還免除の問題では、県の奨学金条例の第9条には、「教育委員会は、奨学金の貸与を受けた者が死亡したとき又は精神若しくは身体に著しい障害を受けたときは、教育委員会規則で定めるところにより奨学金の全部又は一部の返還を免除することができる。」としていますが、その対象範囲は非常に限定的です。
県の「高知県高等学校等奨学金の貸与に関する条例施行規則」の18条では、県が求める返還免除の条件について、奨学金を借りた者が、精神障害者保健福祉手帳や身体障害者手帳が必要となる場合について免除ができるとしていますが、その具体的条件とは、「常時心神喪失の状況にあるもの」「言語の機能を失ったもの」「そしゃくの機能を失ったもの」「手の指を全部失ったもの」「常に床について複雑な介護を必要とするもの」「その他、精神又は身体の障害により労働能力を喪失したもの」などの場合には返還未済額の全額免除ができるとしています。つまり、自力で動けない、食べられない、しゃべれない状態、立ちも這いもできない状態でないと全額免除とならないということです。
さらに、条例施行規則17条の返還猶予の規定で認められる経済的困窮の範囲についても、給与所得者の場合では年間収入が150万円以下、給与所得者以外の場合は、必要経費控除後の所得金額が85万円以下と規定されています。県制度の経済的困窮の定義とは、生活保護水準でなければ猶予にもならず、さらに延滞利子については、なんと10.95%も発生します。
返還猶予や延滞利子、免除の定義や範囲は、貧困が拡大する県内の社会実態や賃金状況に合っておらず、あまりにも理不尽です。
◆国の制度が不十分ならば、県がお金の心配なく学べる環境をつくっていく責任を果たしていく時です。支援が必要な世帯が、こぼれることなく利用でき、生活実態に応じ返還ができる制度へ、貸付選考の条件や返還猶予、延滞利子、免除の条件設定などを改善していくことが必要です。
県教委の考えと今後の対応を教育長にお聞きいたします。
○教育長 次に、貸付選考の条件や返還猶予免除の条件設定の改善についてお尋ねがございました。
奨学金の貸与に影響が出ないよう、奨学金資金を安定して確保するためには、一定以上の収入を見込める方に対しましては、返還を求めることが必要であると考えております。
本県の制度において、貸付選考の条件や返還猶予免除の条件は、中四国各県の基準と同程度のものであると認識しております。先ほど知事が答弁をしました通り、国の制度に基づき、貸与型の奨学金のほか、授業料を支援する就学支援金や授業料以外の教育費を支援する奨学給付金などを通じて経済的負担の軽減に取り組んでおります。
県教育委員会としましては、今後も奨学金制度に加えて、こうした取り組みを実施することで保護者の経済的負担の軽減に努めてまいります。
●はた議員 この間、奨学金のあり方も変化してきました。例えば、医師、看護師、介護士、保育士などを目指し学ぶ者に対しては、奨学金を受けた場合でも、その自治体で一定期間働く場合などは奨学金の返済が免除できるなどの改善がされてきました。
また、お隣の徳島県では、「徳島県奨学金返還支援制度」を設け、若者の県内就業の促進と産業人材の確保を図るために、大学等を卒業後、県内の事業所に一定期間就業した場合、奨学金返還に要する経費を最大100万円支援することとしました。
◆教育における経済的な負担の軽減は、人口減少対策や少子化対策としても非常に重要であります。高知県においても、さらに教育の負担は軽減していく必要があると考えますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 最後に、教育におきます経済的負担に関しまして 人口減少対策、少子化対策の観点から、軽減が必要なのではないかというお尋ねがございました。
教育におけます経済的負担の軽減につきましては、まず、第一義といたしまして、将来を担う子どもたちが経済的な理由で就学の機会を失うことがないようにするという意味で大変重要な取り組みだという風に考えております。
また、お話がございましたように 少子化対策、人口減少対策に資するという側面も併せ持つものというふうに捉えております。このため本県におきましては 高校生を持つ家庭を対象といたしまして、国の制度に基づきまして、貸与型の奨学金のほか、授業料を支援する就学支援金、授業料以外の教育費を支援する、奨学給付金を設けているところであります
このうち就学支援金につきましては、正規の修学機関全日制は3年、定時制は4年でございますが、これを超えて、在学する場合には 国の制度の支給対象にはならないということにされておりますので、この部分は、県単独で支援をするという制度をとっております。
このほかにも、県単独の支援策といたしまして、医師、看護師、助産師を目指す大学生などが一定期間県内に就業した場合の奨学金の償還免除制度、あるいは多子世帯に対しまして、国の制度の対象とならない部分の保育料を軽減する制度などを設けているところであります。
その上で、本県の喫緊の課題であります少子化・人口減少を食い止めるためには、さらなる取り組みが必要だと考えております。このため、国の責任において、全国一律で実施すべき制度につきましては、全国知事会とも連携をし、国に対してその充実を求めてまいる考えであります。
また、ただ今申し上げましたような県の単独の取り組みも強化をいたしますために、1つには来年度に向けまして、大学などを卒業し県内に就職する方を対象とした奨学金返還支援制度の創設を現在検討いたしております。
その他、教育費の負担軽減を含めまして、市町村におけます人口減少の対策の取り組みを支援するために、人口減少対策総合交付金の創設についても検討を進めているところであります。県といたしましては、こうした取り組みによりまして教育におきます経済的負担の軽減を図ってまいる考えであります。私からは以上であります。
●はた議員 次に、臨時教員の採用審査と充て指導主事問題について伺います。
高知県の小中高の学校現場では、不登校やいじめの重大事態の発生割合が全国でトップ、また、発達障害も含め支援が必要な児童生徒たちの学びを支える特別支援コーディネーターの専任配置もゼロ、病休、産休、育休の代替が必要な場合でも配置が十分できていないなど、人手不足は深刻です。
課題が山積している教育現場には、十分な教員配置こそ必要です。
まず、充て指導主事問題についてお聞きをします。2022年、代替教員がみつからない状態が一か月以上あった事例が66件(小学校43件、中学校20、高校2、特別支援1)ありました。本当に先生はいないのでしょうか。教壇に立たない先生と言われる、充て指導主事の数は現在130名を超し、その割合は全国で1位です。
教育長は2022年2月議会で「指導主事は、本県の小中学校の学力課題や不登校等、喫緊の課題の解決を図るため配置している」と答弁していますが、本来は、日常の学校現場にこそ、十分な教員配置を行い、学力向上やいじめ、不登校対策に、素早く、日常的に対応していくことが大事なのではないでしょうか。
◆教員配置については、まず、充て指導主事を現場に返す見直しへ、決断が必要だと考えますが、考えを教育長にお聞きします。
○教育長 次に充て指導主事について お尋ねがございました。
指導主事は本県の学力課題や不登校等、喫緊の教育課題の解決を図り、また県の教育振興基本計画を着実に推進するために各学校や市町村教育委員会に対し指導支援を行っております。
そして海岸部から山間部まで広範囲に学校が点在する本県の状況の中で各学校や市町村教育委員会の要請に応え、また支援を充実させるために 県及び市町村教育委員会事務局に一定数の指導主事を配置する必要がございます。
本年度の国の調査において、学力の向上や不登校の早期把握対応等に一定の成果が見られたことからもこうした体制によって、徐々に教育効果の解決が図られ、より質の高い教育が実施できるものと考えております
現在、次期教育振興基本計画における教育施策を検討しているところであり、この教育施策を着実に推進するために必要な指導主事数について、さらに精査を行い適正配置に努めたいと考えております。
●はた議員 次に、採用審査制度の見直しの中で臨時教員の正規採用の審査について伺います。
県教委が公開している資料から県内の小学校の臨時教員の採用の実態を紹介します。
2016年では受験者数241名に対し、採用者は110名、そのうち臨時教員経験者は76名で割合は69.1%でした。その後の臨時教員経験者の割合は、2017年53.6%、2018年27.4%、2019年26.7%、2020年16.7%と、異常に下がり続けています。
◆まずは、2021年度と2022年度の実態について、正規採用者数に占める臨時教員経験者の割合は何%か、教育長にお聞きします。
○教育長 次に、令和3年度と令和4年度の小学校教員の採用者数に占める臨時教員の割合について、お尋ねがございました。
まず、令和3年度審査の採用者 107名のうち臨時教員は14人でその割合は13.1%。また令和4年度審査の採用者 94人のうち臨時教員は24人でその割合は25.5%となっております。
●はた議員 採用審査制度については、大きく2つの見直しが行われています。
① 採用審査の日程を早めることや関西会場での採用審査の実施。
② 臨時教員の採用審査の免除制度の充実として、前年度の1次審査を合格した者は翌年の1次審査の筆記試験の一部を免除するとの事ですが、
それでも、教員不足は深刻化しています。新たな改善策を県教委は示す必要がありますが、例えば、「1次審査」の免除は、現在、筆記試験のうち「教職・一般教養」のみです。つまり、専門教科の免除がされていない為、一次審査は結局、全員が必要というのが実態です。
一方、他県では臨時教員の経験年数に沿って一次審査の全面免除が行われています。その為に県外での正規採用を求めて、高知県の臨時教員を辞め、他県で採用される方が少なくありません。
◆全国的にみても高知県の臨時教員の採用審査の免除要件は遅れており、県内で、せっかく経験を積んだ人材を制度の不十分さから県外へ流出させています。この点を県教育委員会はどう受け止めているのか、お聞きをします。
また、他県の様に一定年数の経験を積んだ臨時教員には、「1次審査」を全面免除にする改善を行う時ではないでしょうか。教育長にお聞きします。
○教育長 最後に、臨時教員の県外流出への受け止めと採用審査の改善についてお尋ねがございました。関連しますので 合わせてお答えさせていただきます。
本県では、前年度に一次審査を合格した県内臨時教員につきましては、一次審査の全部を免除しているほか、 24月以上の県内臨時教員経験を持つ方は、一次審査の一部を免除するなど、県内臨時教員の適正な評価と採用に取り組んでまいりました。
中四国で見ましても、本県と同種の一次審査の全部免除制度を設けているのは 4県であり、また経験年数のみを持って一次審査を全部免除している県はございません。また本県の小学校での受審倍率は令和3年度審査で9.2倍と全国で最も高くなっております。
こうしたことから、制度の不十分さから、県内臨時教員の教員が県外に流出しているとの認識はございません。
一方で、学校現場において実践を積み、必要な専門性を持った臨時教員を適正に評価し採用につなげていくことは大変重要なことだと考えております。そのため、来年度の採用審査については、臨時教員をしながら専門教養審査の準備をすることの困難性、あるいは面接模擬授業だけで評価することの是非などの観点から既に見直しを進めているところであります。
【医療的ケア児の災害対策】
●はた議員 次に、医療的ケア児の災害対策についてお伺いします。
24時間365日、医療的ケアが必要なお子さんを育てる、お母さんから、災害時における電源確保の重要性についてお話を伺いました。南海トラフ地震に限らず、大規模災害が頻発する時代となっていますが、電源確保の問題は、障がいの有無にかかわらず生活維持に不可欠な問題でもあります。
在宅で人工呼吸器が必要な方には発電機の支給が行われていますが、それでも当事者の皆さんは、不安は大きいと話します。例えば、停電時の人工呼吸器のバックアップ能力についてお聞きすると、内部と外部の交換バッテリーは24時間分、支給を受けた発電機はガスボンベタイプで昼間しか利用できませんが約24時間分、個人で整備した住宅用蓄電池が16時間分と言います。
つまり、呼吸を維持する電気が3日持つかどうかという状況です。
一般的に災害時の停電の復旧には3日はかかると言われていますので、医療的ケア児を含め、在宅療養者にとっては、安心できない非常に厳しい環境と言えます。
県としてあらゆる努力はされてきたとは思いますが、さらに、当事者や関係組織とも連携し、災害時の電源確保をすすめる必要があると思います。
例えば、岐阜県は「要電源・重度障害者の災害時支援ネットワーク」という形で災害時の支援が有効に行えるように、市町村に対して実態把握などの調査をお願いし、ネットワーク会議を立ち上げ、医療機関や消防、電力会社、医療機器メーカーも関わり、行政が積極的に支援体制を整備する取組を進めています。
また、神奈川県川崎市では、「医療的ケア児への発災時の電源確保事業」の中で、市内3カ所で市が用意するハイブリッド車から医療機器の外部バッテリーへ充電ができる制度をつくっています。
さらに、長野県では、県の社会福祉協議会が医療的ケア児の家庭とEV電源車を持つ市民を日常から把握し、給電ボランティアとして、地域でつなぐ事業を始めています。
◆災害時の電源確保は避難所や医療機関などの重要拠点だけでなく、在宅医療が必要な現場についても、対応していく必要があります。その手段の一つとしても電気自動車からの給電や電源ステーションの設置なども考えられるのではないでしょうか。県として、在宅で医療の継続が必要な方の災害時の電源確保をどう充実させていくのか、健康政策部長にお聞きいたします。
○健康政策部長 まず、災害時の医療継続が必要な方への電源確保について、お尋ねがございました。人工呼吸器などの医療機器を用いて、在宅で療養されている方にとって災害時電源の確保や酸素の供給は重要な課題であると考えております。
在宅療養者における電源の確保については、高知県災害時医療救護計画を補完します「高知県南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアル」において平時から自家発電機や 蓄電池自動車などを活用した予備電源の確保を推奨しており、自治体や支援者への方へ啓発を図っているところでございます。
災害時の早い段階ではこうした平時から確保している予備電源を活用していただくことになりますが、ライフラインが復旧するまでに時間を要する場合は、ご家族や地域の支援者の方から電源の確保支援を得ることとしております。
県としましては1人1人の状況に応じて市町村が作成します災害時個別支援医療計画において、電源確保を含めご家族や支援関係者間の役割分担を明確にした上で、毎年その内容を確認することで電源の確保に備えることができるよう市町村などへの助言を行ってまいります。
●はた議員 ◆また、電源確保と同様に酸素の確保についても「高知県災害時医療救護計画」の中では、酸素ステーションを各保健医療圏域に1カ所以上の開設を想定し、モデル事業を実施し、課題を整理して県内へ展開することとしていますが、その機能を有効にするためには、当事者、関係機関の意見を十分に聞く場が、早急に必要だと思います。県はどの様に取り組んでいくのか、今後の取組内容とスケジュールについても、健康政策部長にお聞きいたします。
○健康政策部長 次に災害時の酸素ステーションの設置について、今後の取り組み内容とスケジュールについてお尋ねがございました。
災害時に酸素を確保するため、酸素ボンベの備蓄や平時からボンベを必要とせず、空気から高濃度酸素を生成する酸素濃縮装置の利用を推奨しております。
ただ、これらの備えがあっても、災害、数日後には酸素ボンベの不足が生じることから、酸素については、日本産業医療ガス協会、四国地方本部医療ガス部門高知県支部と協定を締結し、迅速に療養先へ供給していただけることになっております。
それでもなお 停電が長期に及ぶ場合などには、特定の場所に酸素供給が可能な施設を設置することが有効であり、高知県災害時医療救護計画におきましては、酸素ステーション通称ホットステーションと言いますけども、その設置を図ることとしております。
計画では酸素ステーションは保険医療計画ごとに1か所以上の開設を想定しており、まずは、来年度にはモデル市町村を設定し、当事者や医療関係者の医療機関の方にも、災害時 個別支援計画の策定などを通して、ご意見をお聞きしたいと考えております。
その上で、当該市町村保健所、酸素取り扱い業者などと課題整理や具体の設置場所について検討する予定としております。
今後、毎年度モデル市町村を選定し、できるだけ早期に各保険医療圏域で設置が可能となるよう県として支援してまいります。
●はた議員 次に、医療的ケア児を含めた災害時の小児医療体制について伺います。
県においては医療的ケアが必要な方を災害時にどう支え、命を守るのか、実効性ある取り組みを進めるため、平成27年3月から「高知県災害時医療救護計画」を策定し、必要に応じて改定もされてきました。
今回は、特に子ども及び医療的ケア児がこの医療救護計画の中でどう位置づけられ、救護支援が保障されているのかを問いたいと思います。
昨年、6月議会で同様の質問がされていますが、災害時医療救護計画の医療救護活動の内、県の役割と初動体制では、「災害時周産期リエゾン」があり、妊産婦に対する医療救護体制は明確化されています。このリエゾンの中に、小児及び医療的ケア児も含める事を求めた当時の質問に対し、医療政策課は「県としましても、小児科や産科の医師数が限られている本県の現状を踏まえますと、周産期と小児の医療を総合的に調整することが望ましく、『小児・周産期リエゾン』として体制を拡充すべきと考えています。」と答弁しています。
しかし、その後の今年7月に改訂された「高知県災害時医療救護計画」を見ますと、小児、医療的ケア児は盛り込まれず、元のままの「周産期リエゾン」となっています。
◆なぜ、医療的ケア児や小児を含めた改定にしなかったのでしょうか。その理由について、健康政策部長にお聞きします。また、速やかに改定を行い、高知県災害時医療救護計画の中で「小児・周産期リエゾン」と明記すべきではないでしょうかあわせてお聞きいたします。
○健康政策部長 次に災害時医療救護計画に医療的ケア児や小児が含まれていない理由と今後は明記すべきではないかとのお尋ねがございました。関連しますので、合わせてお答えいたします。
災害時においても、周産期に加えまして、医療的ケア児を含めた小児医療を総合的に担う医療提供体制の構築が重要と考えております。
こうした観点から、昨年8月以降、県内の医療関係者によるワーキンググループにおきまして、周産期リエゾンに小児、医療的ケア児を含めた体制と活動について検討を進めてまいりましたが、しかしながら、医療機関におけるコロナ患者への対応などもあり、関係者の協議に時間を要したことから、本年 7月までの同意に至らず、同月に改定した計画に記載することができませんでした。
その後、県の周産期医療協議会において、その活動内容についてご承認をいただきましたので、次回となる来年3月に開催予定の県の災害医療対策会議にお諮りし同計画に位置づけたいと考えております。
なお、医療的ケア児も含めた災害時に在宅で医療継続が必要な方々への支援方策については、既に災害時医療救護計画を補完する高知県南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアルに記載がされております。
【物価高騰対策】
●はた議員 最後に物価高騰対策について伺います。まず、国保の基金について伺います。
政府による超低金利政策の結果、円安が物価高騰を深刻にさせています。特に中小零細事業者は年末を控え、資金繰りに苦しんでいます。「借りられるものは全て借りた、経費を削るのも限界だ」との声をよく聞きます。
高知市内でも展望が持てず、倒産となる前に廃業を決断する事業者が増え、生活保護申請も増えていると実感します。これで若者に魅力を感じてもらえる高知県をつくり、経済面でも建て直していけるのでしょうか。
行政はよく「持続可能な財政」と言いますが、その横で県経済を支える、99%の中小零細事業者は破綻の危機です。「持続可能」にすべきは、まず県民の暮らし、地域経済ではないでしょうか。
日本年金機構の調べによると、社会保険料を滞納している事業所は今年の3月末時点で14万811事業所あり、うち4万6150事業者が納付猶予を受けていると言います。社会保険料の一つに国保がありますが、国保利用者というのは、少ない年金暮らしの高齢者、インボイスによる新たな増税の対象となる自営業者、低賃金と長時間労働で苦しむ非正規労働者です。
国保の被保険者は、物価高騰が一番、直撃している世帯でもあります。県内市町村の所得に占める国保料の割合は、平均約11%です。例えば、高知市の場合、年収400万台で子どもが二人いる4人世帯なら、年間約40万円を超える保険料を納めることになります。その一方で、被保険者が納めた保険料が、医療給付との関係で使われずに「基金」として県には、約40億円近く残っています。
「基金」が貯まる一方で、被保険者は、異常な物価高騰の中で、高い保険料に苦しむという、理不尽な状況となっています。
コロナ中は、国保制度においても徴収猶予などの影響緩和措置がとられてきましたが、5類移行後は、措置は打ち切られています。そもそも国保制度の減免、猶予については、国民健康保険法第77条で「市町村は、条例又規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる」と各市町村の申請減免の権限を認めています。この解釈から、財源があれば市町村が現場の実態に即した対応を行う事ができますが、現在は国保の運営は県と市町村が役割分担をしており、県は市町村から納付金を集めるとしています。その後、使われなかった分が「基金」として積まれていくわけですが、それをどう被保険者の負担軽減の為に県が還元していくのかが、問われています。
◆期納付金の算定の際に活用することは当然の流れと思いますが、今回は急ぎ基金を活用し、物価高騰に苦しむ被保険者の現年分にも対応できる負担軽減策を県として、市町村が支援を行えるようなスキームを検討する必要があるのではないでしょうか。健康政策部長にお聞きいたします。
○健康政策部長 最後に、物価高騰対策として国保基金を財源とした国保世帯への負担軽減策についてお尋ねがありました。
県の国民健康保険事業には、国民健康保険法に基づく国保財政安定化基金と県条例で設置している国保財政調整基金の2つの基金がございます。
まず、国保財政安定化基金については、法律及び条例に基づき、収納不足市町村に対する貸付、特別な事情があると認められる収納不足市町村への交付、県の特別会計において財源不足が生じた場合に限り、処分することができるとされております。
また、県の 国保財政調整基金については、条例で国民健康保険事業の財源に不足が生じたとき、保険料水準の著しい上昇を抑制する時などに取り崩すことができると規定しており、国保の財政運営の安定化を図るための基金という生活上その用途は限定しております。
こうした条件のもと県国保財政調整基金の活用については 県と市町村で協議を行い毎年度の納付金水準の上昇の平準化や令和12年度の県内国保水準の統一に向けた市町村間の激変緩和策などに活用することとしております。このため、物価高騰対策を直接の理由とした基金の活用は困難であると考えております。
毎年度の保険料水準が著しく上昇しその抑制について、市町村と協議することになった場合には、物価高騰の状況も考慮されるものと考えております。
●はた議員 市町村が行う生活支援の「地域振興券」について伺います。
今年、生活保護受給者に、芸西村から1万円分の商品券が給付されましたが、県の福祉保健所から8千円を超える2千円分について収入認定する、次回の保護費で減額する旨の説明がされました。
収入認定の根拠として、令和5年4月12日付の「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金等の生活保護制度の取り扱い」通知が示されていますが、この意味するところは、令和4年9月27日付の厚労省の課長通知にあるように「支給対象者1人つき8千円以内の額について収入認定しない扱いとすること」「なお、額の範囲について、これによりがたい場合は厚労大臣に情報提供すること」とあります。
◆今回のケースは、厚労省に情報提供することで、全額を収入認定しないこともできたのではないでしょうか。子ども・福祉政策部長にお聞きいたしまして、第一問といたします。
○子ども福祉政策部長 最後に、生活保護受給者に給付された地域振興券に係る収入認定についての尋ねがございました。
議員からお話のありました芸西村の生活支援、地域振興券は、新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金を活用し、芸西村の住民基本台帳に登録されている全ての住民を対象に、令和5年8月に1万円分が支給されております。
生活保護制度では、厚生労働省通知により、給付金等についてはその趣旨や目的を考慮して 8000円までは収入として取り扱わないこととされており、残りの2000円は収入として認定され生活保護費が減額されます。
ただし、生活保護の実施機関が特別な事由があり、特別な取扱いが必要と認める場合には 厚生労働大臣に情報提供した上、2000円についても収入として取り扱わないことが可能となっております。
芸西村の事例につきましては、生活保護を所管する安芸福祉保健所において、特別な取り扱いは必要ないものと判断し2000円分を収入とみなし、生活保護費を減額しておりました 。しかしながら、県の福祉指導課から厚生労働省に確認したところ、厚生労働省からは国に情報提供があれば対応するとの回答がありましたので、現在、県から厚生労働省に対して情報提供を行っております。
現時点では 厚生労働省からの回答はありませんが、特別な取り扱いが必要と認められる場合に該当する旨の回答があれば安芸福祉保健所が減額しておりました生活保護費は支給する予定となっております。また、今回の厚生労働省の対応につきましては、県内の市町村に対しまして情報提供を行っております。
【第2問】
○はた議員 第2問を行います。
まず、政治資金規正法について伺います。この問題は不記載という法律違反をしただけではなくて、脱税、利権で政治を歪めていたということも明らかになりつつあります。
国民の怒りは頂点に達しておりまして、内閣支持率は毎日新聞の報道でも16%、各社報道でも2割を切るという勢いです。とんでもない問題なんだというのが県民、国民の怒り、世論です。
国民を欺いて信頼を欠くというような今回の問題は違法性というだけではありません。 組織性、そして信用失墜という社会的な影響の大きさ、こういったことを考えると当然、関係者の国民への説明は果たされるべきだと私は思いますが、この国民への説明責任については、浜田知事についてお伺いをしたいと思います。
令和4年度の県の選挙管理委員会が公表している資料では浜田省司後援会が11月6日新阪急高知で開いた政治資金パーティーでは、約2700万円の収入があったと報告されています。その一方で支出は約540万円差引、約2160万円は後援会の収入です。でこれを利益率という風に、事業収入ですので見ますと、浜田知事が開かれた政治資金パーティーはこのほかにもありますので合わせると利益率は、平均88%です。
このお金が一体何に使われているのかということが、やっぱり説明責任として果たされるべきではないかと思います。
合わせてこの政治資金パーティーの県選管の資料では、浜田省司後援会だけではありません。全体で9団体内、政治家は7人、全てこの9団体の総収入は約8000万円、支出は 2200万円。つまり、収益とされるお金は5800万円です。
これが何に使われていたのかということが、今、社会的に問われている問題で、知事が答弁で言われた不記載=記載をすれば済むとか、記載をするルールを見直すとかいう問題では、今やなくなっているんです。
いろんな報道がありますように、知事として、この政治資金規正法の使い道についてこれを県民に説明するという責任があろうかと思いますが、その対応をお聞きします。
そして、合わせて、国会はもちろんですけれども、この問題で疑惑をかけられている政治資金パーティーの収支報告、利益率について、何に使われていたのか、この問題については 関係者がきちんと説明をするというのが本来の筋ではないかと思いますが、その点について、知事に2問をいたします。
○県知事 お話がありました、まず後段にお話がございました今回の問題に関しまして関係者が説明する責任があるのではないか、この点については、おっしゃる通りだと思います。 刑事告発もされているような状況だということでですね、今この状況では、ご説明を差し控えたいというような反応をされていると思いますけれども、やはり、国民の立場にいたしましたら、いろいろ事情はあろうかと思いますが、少なくとも、しかるべき時期には当事者からですね、しっかりとした説明が行われるべきではないかという風に考えております。
とりわけ、今回問題になっておりますのは収入の不記載はもとよりでありますが、そうしますと支出も不記載ということになっているのではないかということだと思います。そうした場合、まさしく、今、収支報告を見た限りでは、何に使われたかということはさっぱりわからないってことになっているわけでありまして、不記載部分に対応する収入の支出、この状況についても少なくともその概要は分かりやすく説明がされるべきではないかと思っております。
一方、私の収支報告書について、ご質問がございました。概略の数字、手元にはございませんが、概ねおっしゃったような数字かと思いますが、このパーティーは、私は、昨年、選挙の前年に行ったものでありまして、選挙の費用に関しまして、様々な経費が臨時的にかかるということもございます。また、日常的には、秘書も雇用をいたしておりますので、選挙の年以外にも秘書の人件費、その他政治活動を行う経費がかかるということでございまして、これらにつきましては、各年度の収支報告書の中で支出として法に基づきまして、法令に基づきまして、報告をしているとこでございますので、これはご確認をいただければ分かりますし、結果、昨年はそうした形でかなりの額を翌年に繰り越すという報告をさせていただいておりますが、今年の収入支出に関しまして、収入は極めて限定的になると思いますが 支出が、秘書の人件費、そして、選挙にかかった費用等々ということで、これは期限までに収支報告をして報告をさせていただくつもりにしておりますので、その点、それをご覧いただければ、詳細は県民の皆さんにご理解いただけるという風に考えておるところです。
●はた議員 最後になりますが、教育委員会の奨学金に対する認識は非常に甘いと思います。延滞利子率10%を超えるというこの割合は四国の中でも一番高い、また、そういう状況がありますので、ぜひ、奨学金の改善もお願いをしたいと述べまして、全ての質問といたします。