議会報告

  • 2023年12月18日
    2023年12月議会 中根佐知議員の「令和4年度一般会計歳入歳出決算」反対討論(2023.12.12)

●中根議員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました368報第1号「令和4年度高知県一般会計歳入歳出決算」について、認定に反対の立場から討論を行います。

私たち日本共産党は、決算審査にあたって予算や事業が適正に行われているかどうかとともに、この一年間の知事の政治姿勢についても合わせて分析し、評価についての検討を行ってきました。

2022年2月議会で、米田稔議員が令和4年度当初予算について反対討論に掲げた6つの項目に基づいて、以下決算への反対理由を述べていきます。

まず新型コロナ対策では、前年度の1月から2月の間に高知県の感染者に占める死亡割合が全国平均の約3倍、全国最悪となったことに私たちも大きなショックを受けました。医療機関や高齢者施設でのクラスターの多発を事前に食い止めることができるよう、検査への考え方を抜本的に切り替えるべきだと求めたところです。県としても様々な努力をしてきたことは認めつつですが、罹患した一人暮らしの大学生への支援などは、最後まで充分とはいえず、民間ボランティアに頼るところとなりました。人類が英知を集めて新型コロナ感染症にたち向かう経験の中で、一人の取り残しも許さない機敏な取り組みが今後も必要です。

 

 二つ目は医療・介護についてです。病床の統廃合・削減を国の言いなりに進めてきた結果、すでに郡部などにおいては地域医療構想の病床数で見ると、「令和7年における病床の必要数に近づく、または、それ以下」となっている地域があり、医療提供体制の維持に力を注がなければならない事態も起こっています。また、介護も含め、ケア労働にかかわる皆さんの専門性を高め、処遇改善が言われていますが、いまだに十分ではありません。すべてのケア労働者への対応が必要です。

在宅医療が推進され、介護と医療の併用で高齢者を支える体制が強化されています。一方で、特別養護老人ホームへの入所待機者は、令和2年度4月1日現在2119人、そのうち在宅で待機している数は519人と、入所できない待機待ちの状態が続いています。令和3年から5年度の第8期介護保険事業支援計画によると、三年間で特養ホームは30床増、他の施設整備で504床増の計画でしかありません。一人暮らしの老人が多い高知県で、県民の実態に沿う施策が求められており、遅すぎだと考えます。ここにも思い切って力を注ぐべきです。

子どもの医療費無償化は、2009年から改善が見られず、全国最低水準になっています。人口減少は加速し、ついに2022年の出生数は3721人と、過去最低かつ全国最少となりました。

 

三つ目は、産業振興についてです。特に中山間地域での産業振興は、限界集落を作り、中山間地域の疲弊を生み出してきた根本原因を見るべきだと私たちは提起してきました。条件不利地域の多い高知県の中山間地域では、家族・小規模農業など、今ある生産に光を当て、下支えをする産業政策に切り替えなければ、元気な地域を呼び戻すことはできません。

また、産業振興分野全体を見ると、グローバル化の推進として、これまでの輸出拡大、インバウンド観光、外国人材の受け入れなど、従来の施策を今後も踏襲しようとしています。コロナ禍をはじめ、環境や日本経済の動向が変化する中で、海外頼みのグローバル化も、また大阪万博・IR頼みの経済連携も効果が疑問視される事態だと考えます。

 

四つ目は、デジタル化の推進についてです。デジタル化の無批判な推進は大問題です。何でもデジタルに結びつけ、その後の維持・経費など眼中にない推進では、住民負担が増すことにもつながります。また、行政の事務の標準化は市町村や、地域の特質や課題に合わせた住民本位の行政執行を妨げるなど懸念があることを以前にも指摘したところです。一面的に推進するのではなく、デジタルの負の側面をしっかり捉えるべきです。

 

五つ目は教育についてです。「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する全国調査」によると、高知県における小中学校の不登校は依然として高水準。いじめ重大事態は3年連続ワースト1でした。

また、教える内容、時間数が増し、先生も、児童・生徒も全く余裕がありません。先生方のストレスから来ると診られる病気休暇も増えています。今、ゆとりなく多忙を極める教育現場の改革は、喫緊の課題です。

そんな中で、学力テスト偏重の教育が続いています。高知県では、2007年に導入された全国一斉学力テストや2012年導入の高知県版学力テストが行われてきました。全国の学習・学力の傾向を見るために、これほど毎年の悉皆調査が必要だとは思えません。全国学力テスト前には、過去問題を解いたり、傾向を見て特別対策をしたりと問題が多発しています。

2022年度、山形県、岐阜県などでは、学校現場の多忙化解消策として、県版学力テストをやめています。高知県も、県版学力テストはやめるべきです。

先生が教室にいない問題も深刻です。学力を高めるというなら、まず先生を教室に配置すべきではありませんか。高知県では多くの指導主事が現場の先生の指導に当たっています。学校現場に先生が不足しているのであれば、指導主事を少なくしてでも子どもたちの前に配置すべきだと、こういう声は以前からあがっています。非常事態が続いています。高知の子どもたちには、タブレットではなく先生が必要です。

 

六点目に気候危機対策の問題です。温暖化が加速し農林漁業も、県民の暮らしも大きな変化が強いられるようになってきています。再生可能エネルギーの導入促進や吸収源対策の強化など、具体的な施策が県民にもっと届かなければ、2050年のカーボンニュートラル、2030年までのCO2排出量半減を目指す気候危機対策には届きません。

 

多くの課題を抱える高知県です。だからこそ、これまでの新自由主義的競争の上に立つ政策運営ではなく、全方位で、県民が安心して暮らしていくなら高知県だと思える、未来を描ける高知県政を実現していくことを求めて、私の反対討論といたします。