議会報告

【質問項目】
・高知県中山間地域再興ビジョン
・四万十市下田看護大学誘致問題と今後の事
・食料自給率向上と四万十市新食肉センター整備の意義
・飼い主のいない猫、野良猫の保護活動の支援

●岡本議員 日本共産党の岡本和也でございます。暫時質問に入らせていただきます。

【高知県中山間地域再興ビジョン】
●岡本議員 まず、高知県中山間地域再興ビジョンに関連して質問いたします。「骨格案」が発表されました。最終的に知事協議を行った上で来年3月に中山間地域再興ビジョンが策定されます。
骨格案を読みました。中山間地域に生活する者として、中山間を昔の様に元気したいと思う事から策定に期待をしています。しかし、是迄も歴代の知事により中山間地対策については取り組んできました。中山間の方たちも必死に頑張っています。所が現実には少子高齢化が進み、学校がなくなり、廃屋や休耕田が増え中山間がさびれてしていく現場に出くわします。
◆そこで、中山間がさびれていった根本原因は何だったのか知事のお考えをお聞きします。

○県知事 中山間地域が、これまで活力を失って参った最も大きな原因は人口の減少にあると考えます。中山間地域の人口はデータを確認できます昭和35年から令和2年までの60年間を見ますと当時の人口の48.9%まで減少をしております。半減以下ということでございます。
これは高度経済成長期を経まして、第2次産業、第3次産業におきます雇用の吸収力が爆発的に拡大をしたこと、これに伴いまして、第1次産業から第2次、第3次産業へ、言い換えますと、中山間地域から大都市部へと人口が流出する経済構造が固定化をしたことにあると考えます。
加えまして、経済のグローバル化が近年では進むにつれまして、経済面での東京一極集中が進行して参ったことなどによりまして、さらに多くの若者が、首都圏を中心に流出をしているということが要因であろうと考えます。
そして、この急激な人口減少によりまして 地域の活力が奪われ、産業も衰退をする、暮らしも不便になると、このことが、さらに若者の人口が減少をすることにつながるといった形でいわゆる負の連鎖に陥っているという状況である、というふうに考えております。

●岡本議員 答弁いただきました。
やっぱりその根底には、輸出産業を尊重して、その影響で農産物などを輸入するとそういうところから地域の衰退が出てきたと、私は思っております。
やっぱり、そういう部分についてもしっかりと検証していただきたい、そのことを申し上げておきます。そのことを申し添えたうえで次の質問にうつらせていただきます。

今回の柱の中で特に「若者を増やす」「若者の定住・増加と人づくり」に取り組んでいくとあります。私も賛成です。
そこで具体的な方策について4点質問します。先ず若者が中山間に定住するためには収入源となる仕事が必要です。その中心は林業や農業になると考えます。
そこで林業について。特に高知県は日本一の森林県です。ここにこだわるべきです。中山間地域の仕事作りには豊富な森林資源を有効に活用し、林業振興を図っていく事が重要です。その為には、県が再造林推進プランを策定し取り組む再造林をはじめ、下刈り、間伐や作業道の作設といった林業の仕事を魅力あるものにして、若者が意欲をもって働けるようにする事が必要です。
◆そこで林業において若者が活躍する為に、どの様に取り組んでいくのか知事のお考えをお聞きします。

○県知事 豊富な森林資源を持ちます、本県の中山間地域におきまして林業は基幹産業の1つであると考えます。若者が意欲を持ち、将来にわたって働き続けるためには林業の振興は大変重要な要素であると考えます。
一方で、林業は足場の悪い山の中での伐採木などの重量物を取り扱いますために労働負荷が高いこと、あるいは、労働災害の発生率が高いといった特徴がございます。こうしたことから、林業におきましては労働負荷の軽減、省力化を進めまして若者にとって魅力のある職場に進化をしていくということが、是非とも必要だと考えます。
具体的には若者が操作可能な、苗木運搬用のドローンでございますとか、自動下刈機などを導入していく、さらには、デジタル機器によります、森林調査といった新しい技術の導入を推進していくということが不可欠だと考えます。
さらに、若い就業者へのアンケートの結果からは、林業分野では特に安全対策、あるいは休暇など、福利厚生への関心も高いという傾向がございます。このため事業者が行います安全教育などの取組、そして福利厚生の充実に向けた就業規則の見直しなどへの支援を通じまして、若者に魅力がある労働環境の整備を後押し、してまいる考えであります。

●岡本議員 ぜひ、林業にはこだわっていただきたいと思います。
次に農業です。農業での所得確保も農産物の価格変動や肥料など資材の高騰で大変です。農業で生活できる仕組みづくりが求められます。小規模農家でも経営が成り立つ様に農家への所得補償や農産物への価格保障で若い人たちが農業に参入しやすい制度が必要であると考えます。若者が中山間で暮らして行ける為にも、国に対して積極的に政策提言を行うべきですけれども、知事の考えをお聞きします。

○県知事 現在国におきましては、農業者が安心して営農ができますよう、「中山間地域等直接支払い」など、いわゆる日本型直接支払いといった農家への直接的な支援も実施をいたしております。
また、特に最近では様々な価格高騰に伴います農家の厳しい経営状況の解消に向けまして、現在、農産物の適正な価格形成に向けた仕組みづくり、適正に転嫁が受け入れていただけるような、そういった仕組みづくりが検討されておりまして、県としてもその早期実現に取り組んでまいります。
特に今この喫緊の課題でございますこの仕組みが、本県の実情にもあったものになりますように、必要に応じまして、国に対してさらに政策提言を行ってまいる考えであります。

●岡本議員 ぜひですね、食料を守る、農業を守る、そういう観点で積極的に国に提言をしていただきたいと思います。
次に、中山間で人口を増やすためには中山間の魅力を作りだし、若い人たちが中山間に入ってきやすい環境を作ることです。そこで出産し子育てしやすい環境を作るには可能な限り中山間の学校は残す事、その事を再興ビジョンの位置づけにする必要があります。私の住んでいる四万十市では移住者の移住の条件に、地域に学校がある事だと言っています。◆中山間での学校の存続について、知事の考えをお聞かせください。

○県知事 お話ございましたように、学校は地域の重要な生活基盤の1つであります。
中山間地域におきます様々な地域活動の拠点としての意味も大きいというふうに認識をいたしております。
他方で子どもたちの成長のためには、仲間と切磋琢磨をして学び、社会性を身につけるということも重要でありまして、こうしたことができる集団規模も確保されるということが学校においては必要だという面もございます。
学校の存続、あるいは、統廃合の問題に関しましては、こうした観点から設置者、小中学校であれば市町村という場合が多ございますが、この学校の設置者におきまして、地域の方々のご意見なども十分に聞きながら、しっかりと検討がされるべきものという風に考えております。

●岡本議員 やっぱり、学校が無くなりますとね、一気に地域がさびれます。そのことは是非頭にいれておいていただきたいと思います。
次に、ビジョンでは中山間に人が残り、住み続け、増加させる強化ポイントの一つに「結婚」が取り上げられています。県内でも結婚を望んでいる人たちのサポートを行うボランティア活動が行われており85人の婚活サポーターの方たちが連絡を取り合って活動しています。全て手弁当だそうで大変な活動だと聞いています。
その方たちは高知県婚活サポーター連絡協議会に所属し、地域で活動する6団体で組織されております。この組織の、ある団体の方から令和5年5月25日協議会に対して交通費の負担軽減など具体的な支援を求める10項目の質問状が出されています。
◆この方達の要望に県としても可能な限り応え、ボランティアの方たちの活動しやすい環境を作るべきと考えますが、子ども・福祉政策部長の考えをお聞きします。

○子ども・福祉政策部長 婚活サポーターの皆様には、それぞれの地域で出会いの支援を希望する独身者をボランティアで応援をいただいております。婚活サポーター制度が、スタートした平成22年から令和4年度末までに約1800件の交際成立につながっており、皆様の熱意のこもった活動に支えられております。
今年5月に高知県婚活サポーター連絡協議会の構成団体から、出会いの支援活動に伴う交通費の負担軽減や婚活サポーター連絡協議会の開催日程、県の人事異動に関することなどのご要望をいただきました。
交通費の負担軽減につきましては、昨年度の婚活サポーター連絡協議会におきまして、事務局の県から変更案を提案しましたが、結論に至らず現在も協議を重ねているところです。
協議会の開催日程につきましては、サポーターの皆様の負担とならないよう工夫してまいります。
また、県の人事異動に伴う担当者の変更によりサポーターの皆様の活動に支障がないよう事務引き継ぎ等を徹底してまいります
引き続きサポーターの皆様のお声をしっかりと受け止めながら、婚活サポーターが活動しやすい環境づくりに取り組んでまいります

【四万十市下田看護大学誘致問題と今後の事について】
●岡本議員 ぜひ、お願いいたします。
次に貴重な税金を投入したにも関わらず建設途中で挫折した四万十市下田看護大学誘致について県の関与と責任、そして今後、県として取るべき姿について質問します。
下田看護大学誘致は令和2年3月四万十市議会で、市長が「下田中学校校舎を活用して京都看護大学看護学部を開設する」と発表したことからです。この時下田中学校では学校再編計画が議論されており、市と保護者や地域との合意が出来ていませんでした。大学が来るとなれば下田中学校はその場所では存続できない事から保護者や地域にとって大問題になりました。
そうした混乱の中で県の関与が始まります。令2年7月7日四万十市長が知事に大学誘致の報告に来庁します。その時の出張「復命書」によると、市長より「大学誘致は中村の長年の悲願であるとし、京都看護大学四万十看護学部の情況について説明」。それに対して知事より「幡多に大学が出来るのは夢のよう。できる限りの応援はさせて頂きたい」と県も積極的に関わる話となっています。
◆この時、知事の発言は下田中学校統廃合問題の混乱の実情を知った上だったのか知事の答弁を求めます。

○県知事 ご指摘がありました面会の時点では報道等もされておりましたので、地元におきまして、この問題について賛否の声があるということは認識をいたしておりました。
この点につきましては、市として引き続き、地元への説明に誠意を持って取り組むお考えだというふうにお聞きをしたところでございます。
その上で、私の発言といたしましては、私自身、小学校4年まで中村で住んでいたということがございます。その頃の常識としては大学に行くとなれば、幡多を離れなければいけないという思いもございましたので、この大学誘致によりまして、地域の活性化が前に進むのではないかという、私の期待を率直に述べたものであります。

●岡本議員 そこで県のかかわりについて確認します。
その一つに空き家対策総合支援事業補助金への関与です。四万十市議会でのやり取りでは、令和4年2月総務常任委員会で、空き家対策事業については「この補助金を使えるのではないかと県からの話が有った」、令和4年3月定例会では「市から県を経由して国へ申請する」との市執行部の答弁があっています。
◆県としての関わりについては、この答弁の中身で間違いはないのか、土木部長にお聞きします。

○土木部長 空き家対策事業に関する県としての関わりについてでございますが、四万十市から空き家となっている旧中医学研究所の改修について相談があったことに対しまして 、国の空き家対策総合支援事業による補助金が活用できる可能性があることをアドバイスしたところでございます。また、この補助金の交付申請書は、要領に基づきまして、市から県を経由して国に提出しているところでございます。

●岡本議員 そこで、今回頓挫した原因の一つであります「学生確保について」確認します。
令和4年8月と9月の2回「その補助金を中医学研究所の改修に使うのは適切ではない」と地元の関係者から知事宛てに文書で指摘されました。県からも回答がされています。指摘の中に学生確保の見通しについて「幡多看護専門学校を吸収合併できればなおよい。共倒れになっては困る」との看護大学理事長のはなしを紹介して。学生確保に困難があるのではと疑問を投げかけています。
しかし、土木部からの回答にはこの件に関しての記述がありません。この事業には10年以上事業が活用される要件がついております。その事から四万十市議会では「長期にわたる学生確保が困難である事を」何度も指摘されていました。
◆これらの経過を踏まえて、県として、四万十市が空き家対策総合支援事業を申請するにあたり「学生確保の事」は何ら問題にならなかったのか、土木部長にお聞きします。

○土木部長 国の空き家対策総合支援事業につきましては、県では交付申請書の金額に算定誤りがないか、記載事項に不備がないかなどについて、審査することになっておりまして、学生の確保といった計画の詳細までは、確認していないところでございます。

●岡本議員 次に地方創生拠点整備交付金についてお聞きします。
この事業の交付申請にあたり、令和4年5月四万十市議会総務委員会の議事録では「下田中学校を部分的に他団体へ有償で貸与する予定であり高知県教育委員会と調整済み」とあり県が関与しています。
そこで確認します、この補助事業費の要綱では交付決定について第5条2項に交付申請者が市町村であるときは、都道府県知事は、交付申請に係る書類等を審査するとともに、必要に応じて現地調査等を行った上で、審査等の結果を大臣に報告するものとなっています。
◆県として現地調査、審査など行い大臣に報告したのか総務部長の答弁を求めます。

○総務部長 本件は交付金の要項に沿った事業でございまして、不備もなかったことから 現地調査は行っておりません。一方、審査は施設の整備計画が国の交付金の目的や内容に合致しているか、また、申請書類に不備がないかなどを確認するものでございまして、今回は、四万十市から提出された申請書類につきまして、審査を行ったところでございます。

●岡本議員 県の関与について、一通り確認をさせていただきました。そういう形で県として関与してきましたけど、結果的に頓挫してしまいました。
頓挫した看護大学誘致事業に関して「学生の確保が出来ない事」は四万十市議会等では指摘されていました。しかし強引に進めてきた四万十市長、十分な調査をしないで積極的に支援してきた県にも責任があります。
◆知事の思いをお聞かせください

○県知事 今回の大学の誘致に関しましては、地域振興を目指されます市長や、あるいは市議会の決定に加えまして、幡多地域の市町村の賛同があり推進をされてきたものであります。県といたしましても、こうした地元のご判断を尊重いたしまして、地域振興を後押しするという観点から県としてもできる限りの支援を行うという考えに立ちまして、活用の可能性のある補助制度などをご紹介してきたということでございます。
先ほど 各部長から説明をいたしました補助金の申請が具体的にあったわけでございますが、いずれも、それぞれの補助金などの交付要綱・要領に基づきまして、申請内容あるいは補助目的に合致をしているか、申請書類に不備がないかといった点について、審査をしておりまして この点において適正に事務は実施できているというふうに考えております。

●岡本議員 しかし、結果的には頓挫して、市民に対して約7億円近い損害を与えた結果になっておりますので、このあたりの総括はしっかりと県としてもやっていただきたい、そのことを申し添えておきたいと思います。
これからの事について、議論を移していきたいと思います。
完成したものや完成途中での施設については現在検討会が作られ2年後をめどに利用方法についての検討が行われています。
地元の区長会は「あったものを返して欲しいだけ」と避難施設の早期復活などを要望書として市に提出しています。
また、看護大学建設の為に中学校を失い低地の小学校に移った子どもたちも行動してきました。6月12日子どもの意見表明権を行使するため知事に手紙をもって来庁しました。その後も8月17日文科省と子ども家庭庁に、8月29日四万十市長、教育長にそれぞれ手紙と署名をもって出向いています。文科省と子ども家庭庁を訪問した子どもたちに対して、後日、文科省と子ども家庭庁から感想が寄せられています。紹介します。文科省からは「大変貴重な機会でありがたかった。印象に残ったのは、登校拒否になった子どもが、大規模学校でつまらなかった、小規模校で学校が楽しいと言えるまでになった。という生の声は本当に印象深かった。」中学生たちが「私たちは、災害が起こったときに、助ける側でありたいと決意を語られたのが本当に驚いた。聞けて良かった。」こども家庭庁からは「子どもの意見を聞くことが省庁発足の意義、あるいは使命みたいな所がある。機会を作ってくれて本当にありがたかった。」等です。そして、その上に利用できる交付金などの情報も寄せて頂いていました。
下田中学校統廃合の中で翻弄され統廃合の期日まで下田中学校に残りたいと小学生と一緒に過ごしている中学生たちの手紙には「大人の事情で津波が来たら水没してしまう場所に移された。早く高台の安全な場所にもどして欲しい。」と大人への抗議の中に、「小中一緒に学校生活を過ごしてみて家族みたいでお互いに成長できる暖かい空間だと思ったので小中一貫校として新たな学校を作って欲しいです」大人たちへの切実な願いが書かれていました。この短い思いを聞いた文科省の方からは「日本の学校は子ども一人でもいれば先生を配置する。モデル作り、地域づくり、学校作り、特色ある事例づくりに期待している。子どもの権利で子どもが声を上げているので国が期待している」とのコメントをしています。今後地元の関係者は子供たちの思いを叶えるために具体的な行動を起こすと言っています。
◆子どもたちからの提案で、新しい小中一貫校が実現すれば特色ある取り組み例として国からも期待されているところです。県としても積極的に支援するべきと思いますが教育長の考えをお聞きします。

○教育長 市町村立学校の設置や統廃合につきましては、当該市町村におきまして、地域の方々の意見もお聞きしながら、十分に議論し検討を判断されていくものと考えております。県教育委員会としましては、その判断を尊重して対応していくことが重要と考えております。

●岡本議員 ぜひですね、中山間地域、これから活性化させていくという方針が出されていますので、こういうことも視野に入れながら、取り組んでいただきたい。そのことを切にお願いしておきたいと思います。

【食料自給率向上と四万十市新食肉センター整備の意義について】
●岡本議員 次に、国内の食料自給率向上の意義。そして、それと関連して四万十市新食肉センター整備の意義について質問します。
まず食料自給率向上の意義についてお聞きします。近年異常気象、コロナ禍とロシアのウクライナ侵略によって、油脂・肥料・原油価格が高騰し、これにアベノミクスの負の遺産である異常な円安が加わって、日本の農業と食料は危機的な状況に直面しています。国連は、世界でも戦後最大の食料危機、肥料危機に見舞われていると警告しています。ご存知のように日本の食料自給率はカロリーベースで38%、濃厚飼料自給率13%。又肥料と原油のほとんどを輸入に依存しています。
そのような状況下、食料・農業・農村政策審議会が来年、食料・農業・農村基本法改定へ向けた答申を農水相に提出しました。しかし、食料自給率については「目標の一つに格下げされた」と評価されています。
◆国民の食料を確保する自給率を高める事は絶対に必要と思いますが知事の見解をお聞きします。

○県知事 国民生活に不可欠であります食料を、将来にわたって安定的に供給をし続けますために、食料自給率の向上を図っていくとこと、これは大変重要な政策課題だというふうに認識をいたしております。
また、国際的な食料需要の増加に伴います輸入食料の減少など安定的な食料供給に対する懸念の高まりとともに、食料自給率の重要性はますます高まっている、これが現在の状況であるというふうに考えております。

●岡本議員 今議会で、下村議員がですね、質問しました。ヨーロッパでの取組、フランスでの取組ですよね、このことが例に出されました。食料自給率を高めるという観点で、政治がいかに関与しているかということが明らかです。ぜひですね、最初にも申しましたように、国への提言をお願いして、食料自給率を高めていただきたいと思います。
そこで、畜産振興についてお聞きします。昭和40年代に90%だった肉類の自給率は、1991年の牛肉の自由化や1995年にWTO協定が発効されて以降、直近の令和3年度には53%に落ち込んでいます。私は商工農林水産常任委員会で畜産の情況について、宮崎県と鹿児島県に調査に行きました。特に豚肉生産日本一の鹿児島県の調査では後継者不足、飼料などの高騰、2024年物流問題などで課題が山積して危機感を抱いているとの説明を受け、日本の畜産業界の危機的状況を痛感してきました。
◆高知県としても日本の食料自給率向上のために畜産振興に真剣に取り組むべきと思います。知事の見解をお聞きします。

○県知事 我が国は家畜の飼料、餌でございますが、これの多くを輸入に依存をしております。このことが、食料自給率低下の要因の1つになっているというふうに認識をしております。
国は食料農業農村基本計画におきまして 食料自給率の目標を設定いたしまして国産の飼料の生産を推進いたしております。計画の中で、畜産の持続的発展を図っていく上で、飼料自給率の向上だけでなく 国内生産の維持拡大が必要であり、そのためには国産畜産物の消費を促すことも必要というふうに明記がされているところでございます。
県といたしましても、輸入飼料に過度に依存をした畜産からの構造転換を推進をしたいと考えておりまして、今年度、稲を原料とした資料、稲WCSと称しておりますが、その生産拡大、そして、生産性向上、さらには、経営継続、これらをパッケージとして支援する枠組みの中で後押しをしております。
今後も、例えば、土佐赤牛や土佐ジロー、四万十ポークといった本県の畜産物の生産の拡大、そして、担い手の確保、地消そして外商によります消費拡大、こういった点にしっかりと取り組みまして、畜産振興を推進してまいる所存であります。

●岡本議員 今のままでいきますと、外国から肉が入らなくなったら、半分の国民が肉を食べられなくなるということですので、ぜひ、そういう立場で取り組んでいただきたいと思います。
そこで、高知県でも畜産振興の立場から、四万十市新食肉センターの整備が計画されています。この食肉センターではこれまで、愛媛県も含んで四国の養豚業振興に貢献しています。経済効果も大きく、食肉センターの資料によると「約150名の雇用を創出」し「年間88億円の経済効果」を生み出しているそうです。
この施設は昭和42年に建設され50年以上が経過し、施設や機械の老朽化が進み、と畜作業に支障をきたす事と食品衛生管理への対応から現在建て替え準備中です。
◆県としても日本の食料自給率を高める観点からも、この施設整備を積極的に支援する必要があると思いますが知事の決意をお聞かせください。

○県知事 食肉センターは県民の皆さんに安全安心な食肉を供給するなど本県の畜産振興におきます重要な役割を担う施設というふうに考えております。
このため、老朽化が進みました 四万十市営食肉センターを建て替えたいという四万十市のご意向を受けまして、平成30年に市が設置をした整備検討委員会に参画をするという形で、県もこの問題に、当初から深く関与を致しているところでございます。
四万十市は 平成31年3月に国の交付金を見込んだ支援センターの基本計画を策定をし、令和5年度の本格稼働を目指しておりましたけれども、計画の生産の過程で交付金の活用を断念されたという経緯がございます。その後、事業計画を再考した結果、豚のみを扱う施設に転換をすると方針を決定されまして、令和4年4月に、基本計画を修正されました。
 この新施設の整備に向けましては、県と四万十市によります協議会を設立いたしまして、現在両者で共同する形で、基本設計を実施いたしております。設計費用の1/2を県が負担するという形で、市と連携して取り組みを進めているところでございます。
 今後も引き続きまして、事業主体であります、市の意向を踏まえながら、整備に関しますできる限りの支援を県としてもしてまいる考えであります。

●岡本議員 ぜひですね、日本の食料自給率を向上する立場からも、この事業に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、具体的に整備についてお聞きします。当初51億円を見込んでいた整備費の縮減を目指して、現在、県と四万十市による協議会において基本設計を行っています。これまでの話し合いでは整備費は県と関係する6市町村に加えて、四万十市は四万十町にも負担を求めたい考えです。高知市で今年開設された牛専門の新食肉センターについては、と畜部分の整備費の約27億円は県と28市町村が人口と飼育頭数の比率によって負担割合を決めています。今回の四万十市新食肉センター整備費を県と7市町村で負担するには市町村の負担が大きすぎます。高知県として高知市の施設は牛専門、四万十市の施設は豚専門で役割分担をしています。
◆この二つの施設を、県の畜産振興として一体に考え施設整備についても一体に進めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。

○県知事 高知市の食肉センターにつきましては、県内の28市町村で構成をいたします事務組合の運営によります旧施設の廃止が決定をされましたことを受けまして、県と28市町村が欧文の費用を負担して新センターを整備いたしたものであります。
一方、現在の四万十市営食肉センターは市が整備をされまして、特別会計の中で運営をしている施設でございまして、施設整備にあたっては、市が事業主体となるものであります。
しかしながら、市単独では費用の負担も大きいというのは、ご指摘もありました通りでございまして、県も畜産振興の観点からできる限りの支援は行う、そういう方針で対応してまいります。
その際には県内の他の施設整備におきます県の負担割合なども、参考として判断をしていくという形で、対応していきたいと考えております。

●岡本議員 いろんな資材があがりまして、当初の51億円以上の、整備費がかかるというふうにいわれています。それを、例えば、高知県が半分、あと7市町村で半分ということになりましても、大変自治体の負担が大きくなるというふうに思います。財政負担が大変大きくなると思いますので、ぜひですね、高知県としては、畜産振興の観点から、なるべく多く出していただけるようにお願いしたいと思いますけれど、
◆再度、知事の見解を求めます。

○県知事 お話がございましたように、畜産振興の観点から、この食肉センターの整備をしていくのは、大変重要な事業であると思います。ただ、まさしく県内でこの高知市の食肉センター、四万十市の食肉センター、2つある意味同じような環境での整備が進んでいるということでございますので、当然、県としてできる限りの支援を、と考えておりますが、両者のバランスといったものも、やはり市町村との関係では、ご納得をいただくうえでは、大事な要素ではないかと考えまして、その点は、両者のバランスが説明できるような水準の中で、できる限りの支援を、四万十市に対しても考えたいと考えております。

●岡本議員 ぜひですね、市町村の負担が軽減されるよう取り組みを期待しております。

【飼い主のいない猫、野良猫の保護活動の支援について】
●岡本議員 次に、飼い主のいない猫、いわゆる野良ネコ保護活動への支援について質問します。
待ち望まれていました動物愛護センターの建設も具体化し、関係者から期待の声が上がっています。猫は人々にとって最も身近であると共に、その愛らしい姿からペットとしても人気の高い動物です。しかし、令和3年度の環境省統計によると、日本では年間34805頭の猫が自治体によって引き取られ、そのうち11718頭が殺処分され、このうちの7407頭は、まだ離乳もしていない幼齢個体で、その大半は野良猫が生み落とした個体だと考えられています。
県内でも野良猫問題は深刻でその対策が求められています。そんな状況の中、県下でも生き物の命を大切にしたい、その一念から野良猫の保護活動が民間ボランティアの方たちによって積極的に行われています。その主な活動はTNRと呼ばれる「猫たちを捕まえ」「不妊去勢手術を実施し」「元の生活場所にもどす」ことなどです。
高知県としても民間ボランティアの方や自治体とも協力しながら具体的な取り組みを行っています。その対策の一つとして「飼い主のいない猫不妊手術等推進事業実施要綱」を作成し要綱に基づいた不妊手術等を実施し、令和5年度には年間不妊手術等1600頭を目標に予算化しています。この様な取り組みの成果でしょうか平成22年度から令和4年度までの高知県での猫の収容数及び殺処分の数字に変化が表れています。収容数が平成22年度4413頭であったのが令和4年度には322頭に、また、殺処分も4409頭であったのが284頭と大きく減少しています。
◆この数字の推移をどのように分析しているのか健康政策部長の考えをお聞かせ下さい。

○健康政策部長 これまで、飼い主の適正飼養、適正な飼い方の啓発や地域猫活動の支援など保護される猫を減らす取り組みと、保護された猫の譲渡に取り組んでまいりました。
具体的には、平成24年度に不妊手術助成を開始したほか、平成28年度には生後間もない猫にミルクを与えるボランティア制度を創設しました。また令和元年度に地域の保護活動である集中枠(集中的手術枠対象猫)の取組を開始するなど、累次、経年にわたり対策を強化してまいりました。 こうした行政の取り組みとボランティアの皆様の精力的な活動、また、県民の皆さんの動物愛護意識の向上なども相まって、これに比例する形で猫の殺処分数が減少したものと考えております。

●岡本議員 ボランティアの方たちの活動が本当に大きいものだという部長の答弁で実感したところでございます。ぜひですね、今後ボランティアの方たちの支援も積極的に行っていただきたいということを申し上げたいと思います。
そこで、飼い主のいない猫不妊手術等推進事業の資料を見ると、令和4年度から飼い猫のクーポンが廃止されました、その代りに飼い主のいない猫の集中的手術の予算上限枠が前の年の300頭から1000頭に一気に増えています。
◆この理由と事業効果について、その考えを健康政策部長にお聞ききします。

○健康政策部長 増加の理由は、クラウドファンディングを活用した地域猫の保護活動を開始したことに合わせまして、飼い主がいる猫については、動物愛護管理法に規定されました飼い主に対する繁殖制限の義務化を類推適用し、地域活動の方に予算を重点化したものでございます。
その際、保護活動の関係者の方から要望のありましたオス猫の去勢手術を新たに支援することとし、大幅に拡充したものでございます。
事業効果としましては 集中枠で実施した手術数が事業化した令和元年度の320件から令和4年度は873件に拡大いたしております。
また、参考ではございますけども、猫の収容件数がこの間減少し、令和元年度は622匹であったものが、令和4年度は 329 匹 というふうに半減しております。

●岡本議員 はい。積極的な取り組みを求めたいと思います。
そこで、環境省の資料によりますと、メス猫は生後4ないし12か月から子猫を産めるようになり年に2ないし4回の発情期があり1回に4ないし8頭の子猫を産むことから、1頭の妊娠猫が3年後には計算上2,000頭以上の猫になるといわれています。
中途半端な取り組みは元の木阿弥になると思います。野良ネコ保護団体などの要望も受け入れながら、しっかりと取り組んでいただきたい。
◆今後の取り組みについて健康政策部長のお考えをお聞かせください。

○健康政策部長 これまでの取り組みの見直しも関係者の皆さん方、ボランティアの皆様方のご意見を踏まえて、取り組んでまいりましたので、引き続き、取り組みの改善も行ってきたいと思います。
猫の収容数が減少傾向にあることや、集中枠の取組の効果が見られることから、引き続き、取り組みを強化して、逐次、必要に応じた改善も進めていきたいと思います。

●岡本議員 ぜひ取組を強めていただきたいと思います。
私も実は避妊手術等、去勢も含めてですけれど、現場に立ち合わせていただきました。尾首先生が手術をしている現場に立ち会いました。そこにボランティアの方たちが10名、そして、猫が22頭、おられましたけれど、本当にボランティアの方たちの、そういう熱心な活動のおかげで、こういうものが成り立っているなというふうに思うところでございますので、そういう人たちの声を、繰り返しになりますけれども、聞いていただきたいというふうに思います。
 今朝も実は、私のところに電話がありまして、この質問を取り組むことに対してですけれども、ぜひ言ってくれということで、保健所単位でやられているものを、市町村単位にしてもらえないかという要望、それと、動物愛護法があるにも関わらず、県が民間にゆだねすぎではないかと怒りの声も、県民の方から寄せられました、今朝。
 これに対して、通告はいたしておりませんけれど、部長のお考えをお聞きします。

○健康政策部長 野良猫の問題は、やはり、地域の住民の方にとって非常に大切なことでございます。やはり、身近な地域ごとで対応するということが必要ですので、県下の中には市町村で、不妊去勢手術に助成をしている地域もございます。
また、あの県が推進しております、集中枠というのもあくまでも、申し込みは保健所単位ですけども、やっぱり地元の自治体と連携してということですので、そのあたり、市町村のお話もよく聞きながら、また、関連する協力いただいているボランティアのお話も聞きながら取り組んでいきたいと思います。

●岡本議員 ぜひ、取り組みを行っていただきたいと思います。いろいろご答弁ありがとうございました。これで私の一切の質問を終わらせていただきます。