議会報告

【質問項目】

  1. 知事の政治姿勢(平和、マイナンバー、若者の県外流出と賃金)
  2. 新型コロナ
  3. ハラスメント根絶
  4. 障がい者雇用
  5. 子どもの意見

 

●はた議員 はた愛でございます。日本共産党高知県議団を代表いたしまして、質問をさせていただきます。

私は、高知市議として市民の暮らしの現場、自治体の現場を見てきました。特に働く世代の暮らしの深刻さの改善を求め、県政でも中心にすえ追及していきたいと思っています。低賃金、非正規労働の蔓延、この悪循環の中で、子育て支援を行政が行っても、若者が仕事を求めて都会へと出ていく流れはとまらず、幅広い分野で人手不足が広がっています。このままだと、社会基盤の崩壊につながりかねません。

改めて、県政がこの負の循環を食い止め、転換していく先頭に立つ時ではないでしょうか。

住民との距離感が遠いと言われる県政の中で、どんどん現場の実態を紹介し、一歩でも二歩でも高知での暮らしに、希望や安心感が抱けるよう、社会の進歩の為に全力を尽くしたいと決意しています。

 

【知事の政治姿勢・平和行政】

●はた議員 それでは、まず初めに知事の政治姿勢から伺います。平和行政について、核兵器禁止をめざす問題について伺います。

 5月19日から21日まで、広島で先進国首脳会議(G7)が開かれました。今回のサミットは被爆地で初めて開催されるということで、「核兵器のない世界」に向けたメッセージが出るのではないかという期待が内外から寄せられました。

しかし、発表された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の文章は、それを真っ向から裏切る内容になっています。「核兵器のない世界」という言葉は使われていますが、それは「究極の目標」とされ、永久に先送りされる、位置づけとなっています。 

さらに、許しがたいことは、核兵器について「侵略を抑止し、戦争と威圧を防止する」兵器だとして、「核抑止」論が公然と宣言されていることです。つまり、いざという時には広島、長崎のような非人道的惨禍を引き起こすことも、ためらわないというのが「核抑止」論です。これをこともあろうに被爆地から発信するというのは、何事かと言わなければなりません。「広島ビジョン」では、一言も触れられていないことがあります。

核兵器の非人道性の告発・批判は一言もありません。NPT(核不拡散条約)第6条にもとづく、核保有国の核兵器廃絶への義務についても、一言も書かれていません。

そして、世界の92ヵ国が署名し、すでに国際法として地位を確立している核兵器禁止条約についても、全く無視しています。こうしたG7広島サミットの姿勢に、失望と批判の声が広がっています。

広島で被爆し、核兵器廃絶運動を続けているサーロ節子さんは21日、広島市中区で記者会見し、G7サミットについて「大変な失敗だった。首脳の声明からは体温や脈拍を感じなかった」と残念がり、「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発言を、被爆地からするのは許されない」「広島に来てこれだけかと思うと、胸がつぶれる」と失望感をあらわにしました。

長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会事務局長の木戸李市(きど・すえいち)さんは、「いちるの望み、希望を完全に打ち砕かれて、今は怒りに震えている。核抑止論に立った議論で戦争をあおるような会議になった」と、怒りの声をあげています。「核抑止」論の根本的な見直しと、核兵器禁止条約に正面から向き合う姿勢が、岸田政権やG7諸国に求められます。

◆核兵器の非人道性の告発・批判が一言もない「広島ビジョン」をどう受け止めているのか、また被爆者の落胆の声をどう受け止めているのか、あわせて知事にお聞きします。

 

○県知事 はた議員の御質問にお答えをいたします。

まず、いわゆる広島ビジョンと被爆者の落胆の声をどのように受け止めているのか、とのお尋ねがございました。

核兵器の廃絶は、国家間で取り組むべき重要な課題であり、世界人類共通の願いであります。我が国は、世界で唯一の戦争被爆国といたしまして、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の核軍縮・不拡散の取り組みを主導する必要があると考えております。

こうした中、 G7初の核軍縮に関する共同文書として発表されました「広島ビジョン」は、核兵器のない世界の実現に向けた一歩として、意義が大きいものと受け止めております。

岸田首相は、厳しい安全保障環境の中、自国民を守るという現実に対応しながら、核兵器のない世界という理想を目指すことが政治にとって大きな責任であると述べられています。  

今回の「広島ビジョン」では、この現実と理想を、いかに両立をさせ、どう結びつけていくのか、こうした考え方が示されたものと考えております。

一方、「広島ビジョン」に対します被爆者の落胆の声は、議員からもご紹介をいただきましたけれども、報道を通じて承知しておりまして、核兵器の廃絶に向けた切実な思いはしっかりと理解をしておるつもりであります。

核兵器のない世界の実現に向けまして、政府には、引き続き核兵器の保有国と非保有国の橋渡し役を担っていただきまして、より一層実効性のある取り組みが積み重なっていくように期待をいたしております。

 

【政治姿勢・マイナンバーカード】

●はた議員 次にマイナンバーカードについて伺います。

健康保険証の廃止などを定めた改定マイナンバー法が今月2日、国会で可決成立した後もマイナンバーカードをめぐるトラブルが次々明らかになっています。5月時点で「他人の情報に紐づけられていた」事例は厚労省によると7300件以上、公的給付金の受取口座が本人名義でなく家族や同居人名義になっているケースは約13万件、まったく他人の口座が登録された例も748件報告されています。

共同通信が今月実施した世論調査では、保険証廃止の延期・撤回を求める声が72.1%にも上り、岸田内閣の支持率も急落しています。

5月21日の全国保険医団体連合会(通称:保団連)の記者会見では、19日までに集計された「トラブル事例アンケート」について、システムを運用している医療機関のうち65%の医療機関でトラブルが発生し、マイナカードを使った保険資格の確認では3640件で「無効」「該当資格なし」と表示され、資格が確認できず「10割負担を患者に請求した」医療機関は、全国推計では1291件です。さらに、他人の医療情報へのひも付けは49か所、高知県でも確認がされております。これは、別人の情報に基づいて医療行為や薬の投与が行われる危険性があり、生命に関わる重大な問題です。

保団連は「重大な事故につながる、直ちに運用停止し、改正法案自体を廃案に」と訴えていますし、県内の医師からも「トラブルは必ず起こる。安心できる根拠のない、マイナンバーに無理に移行することは難しい」などの声が上がっています。

こうしたトラブル事例を2月時点で把握していたにも関わらずマイナンバー法の可決成立のため、国民に報告せず、隠蔽してきた政府の責任は重大です。

◆医療機関でのマイナンバーによるトラブルや、他人の口座がひも付けされたトラブルの現状の認識と、県内でのトラブル事例を県は把握されているのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、医療機関でのマイナンバーによるトラブルや他人の口座がひも付けされたトラブルについての認識、県内でのトラブル事例の把握について、お尋ねがございました。

今回のマイナンバーカードを巡ります様々な事務的ミスが全国的に発生しておることにつきましては大変残念なことだというふうに感じております。

国におきましては、6月21日にマイナンバー情報総点検本部を設置するなど、対応を急いでおられるところでありますけれども、国民の不安の払拭、そして信頼回復に努めていただきたいというふうに考えております。

県内に置きます状況ということでございますが、健康保険証に関しましては、県内の医療保険者に問い合わせをいたしましたところ、現段階では個人情報の第三者への漏洩を始めとした、トラブル等は確認されていないという回答がございました。

また、家族以外の口座が登録されたトラブルにつきましては、現時点で、本県では該当がないというふうに把握しておりますが、信頼性を損なうものでありまして、あってはならないと考えております。

今回問題となりましたいわゆる紐づけにつきましては、今後、登録の手順を確認した上で、個人データの点検、修正作業を、マイナ保険証についてはこの7月末までに、マイナ保険証以外の制度につきましては秋までに行うという国の方針が示されています。

県といたしましても、国や市町村と一体となって点検等を行いまして、その結果については速やかに公表してまいりたいと考えております。

 

●はた議員 また、保団連の調査では、高齢者等の介護施設等での扱いで、顔認証や暗証番号の資格管理はできないと、回答した施設は94%に上ります。何よりも健康保険の資格を持ちながら大量の資格確認ができない被保険者を生み、医療機関を混乱させることは、受療権の侵害であり、国民皆保険を土台から崩すことにつながります。

6月7日付読売新聞社説では「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理がある。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ」と「選択制」に戻すのも一案としています。

◆国に対し、問題点の徹底究明を求めると同時に、マイナ保険証は中止し、紙の保険証を継続発行すること求めるべきと考えますが知事の所見を伺います。

 

○県知事 次に、マイナ保険証の中止など、マイナ保険証の今後の運用について、お尋ねがございました。

ただいま、申し述べましたとおり、現在、マイナカードに関連した各種のトラブルが生じておりますけれども、このことによりまして、マイナンバー自体が持つ情報化社会の基盤としての意味が否定されるものではないというふうに考えております。

また、マイナ保険証には、投薬歴や病歴などを効率的に把握ができて、また適正な投薬や治療ができるとなどのメリットも大きいと考えております。健康保険や医療に活用していくという方向性そのものは正しいと考えております。

このため、対策をしっかり取りまして、再発防止を行った上で、経過措置でございますとか、資格確認書の交付といった措置も活用しながら、段階的に国民の理解を得ながら進めていくことが望ましいものと考えております。

この点、岸田総理は、来年秋の現行の健康保険証の廃止に関しましては、政府全体で総点検と再発防止を強力に進めて、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提だというふうに表明されています。

県といたしましても、国と市町村と一体となりまして、この総点検等を行いまして、できるだけ早期に県民の不安が払拭できるよう取り組んでまいる考えであります。

 

●はた議員 岸田首相はこうしたトラブルが続出しているにも関わらず6日に開かれたデジタル社会推進会議で、運転免許証、介護保険証、銀行口座開設時のオンラインによる、本人確認などもマイナカードに一本化することを表明しました。国民不信を招いた反省は見られません。

現在、私たち日本共産党県議団にも「セキュリティ面で不安なため、マイナンバーカードを返納したい」という相談が増えてきました。マイナンバーカード返納手続きについてHPなどで公開している自治体もありますが、

◆マイナンバーカード返納の手続きはどのようにすればよいのか。また、返納などの相談窓口の設置と周知をすべきと考えますが、合わせて総務部長に伺います。

 

○総務部長 マイナンバーカードの返納手続きと、返納に関する相談窓口の設置及び周知について、お尋ねがございました。

マイナンバーカードの返納につきましては、住所地のある市町村で手続きを行うこととなっております。

具体的には、返納を希望される本人がマイナンバーカードを持参のうえ、市町村が定める返納屈を提出いただくことになります。

相談窓口につきましては、国が設置している個人番号カードコールセンターがあるほか、住所地の市町村の窓口にお問い合わせいただくことになります。また、周知については、市町村において適切に対応されるものと考えます。

 

【若者の県外流出と賃金問題】

●はた議員 次に若者の県外流出と賃金問題について、伺います。

知事は4月27日の会見で、4月1日時点の県人口が67万人を下回ったことについての認識と、人口減少への展望を聞かれ、「残念な結果だと重く受け止めている。社会減に関しては改善している一方、自然減が深刻で、出生数の減少が大きく影響している。若い女性に魅力ある仕事を増やし、子育て支援策を強化するなど、より踏み込んで検討していく必要がある」と回答しています。

合計特殊出生率は、R3年度、全国平均が1.3。高知は1.45、全国14位です。

東京は1.08で合計特殊出生率は一番低くいのですが、人口は唯一増えており、改めて都会への一極集中が地方の人口減少や若者の県外流出につながっていると考えます。

実際、仕事を求めて高知を離れる若者たちに、なぜ、都会に出ていくのか聞いてみました。

一番の理由は「賃金の格差」、高知が低賃金だからです。東京都と高知の最低賃金の格差は、全国の最高額と最低額の差でもありますが、年間、週40時間働いた場合で比較すると、2007年で25万2285円だったものが、2022年には45万6615円と、格差は拡大しています。また、全産業の平均賃金では、全国が月額31万1千円ですが、高知では26万5千円と、全国との賃金格差は月額約4万6千円です。12か月にすれば55万2千円です。

やはり、この賃金格差を埋めることなくして、高知県の人口減少も少子化問題も解決しないと思います。

どう格差解消していくのか。

◆都会との賃金格差を埋める手立ては、現状では、どうなっているのでしょうか。また、物価高騰の中で、最低賃金の引き上げの必要性、特に地域間格差の是正について、知事の認識をお聞きします。

 

○県知事 次に、賃金を巡ります地域間格差の是正などにつきまして、お尋ねがございました。大都市部との格差を縮小し、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける、そうした高知県となりますように、県では、産業振興計画を、官民共働、市町村との連携のもと推進しております。

こうした取組を重ねました結果、一人当たり県民所得の水準で見ますと、平成23年度から令和2年度までの伸び率で見た場合、全国の6.3%に対しまして、本県は10.1%と高い伸びとなっております。

また、地域の実情に応じて決定されます最低賃金の、直近5カ年の伸び率を見ましても、全国で10位以内の伸び率となるといった形で、この産振計画に基づく取り組みは一定の成果が現れているのではないかというふうに考えます。

今後、最低賃金も含めまして、県民所得のさらなる向上、大都市部との格差是正の取り組みをさらに強化していく必要があると考えます。

そのためには、特に中小企業におきましてデジタル化の推進、構造転換を後押しすることなどによりまして、生産性、付加価値の向上を図りまして、経営基盤を強化していく、賃上げができる経営体力をしっかりと確保していただくということが不可欠だというふうに考えます。

今後も、産業振興計画をさらに進化させまして、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県の実現を目指しまして、全力で取り組んでまいります。

 

●はた議員 高知県の産業構造は、どの産業もほぼ99%が中小零細企業で成りたっています。物価高騰の直撃の中で、崖っぷちに立たされている多くは、フリーランスなど自営業の方や一人親方の皆さん、また、全労働者のうち約4割におよぶ非正規労働者です。

知事は4月24日と経済産業省・副大臣に政策提言に行かれていますが、その中で「大企業の賃上げを隅々まで広げる必要がある。中小企業に設備投資を促し、賃上げにつなげるには一定期間が必要で、複数年度にまたがる補助が必要」、また「物価高騰の中で賃金をいかに上げるかは最大のポイントだ」と話しています。つまり、知事の賃金への見解は、生産性向上への投資が先という事です。

しかし、現場では生産性が上がっても利益が生まれる状況がない、賃金アップは難しいと、県内の経済界の方も指摘しています。

目の前で倒れそうになっている地元企業、地元産業を助けながら、真に実質賃金が上がったと、実感できる手立てを県が打つ時ではないでしょうか。

◆格差解消の為にも、実質賃金が上がる環境づくりこそ必要です。社会保険の負担分への公的支援など直接支援が効果的だと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、実質賃金の向上に向けた支援といたしまして、社会保険の負担分に公的な支援をしてはどうかとのお尋ねがございました。

経済活動が営まれる中で持続的な賃上げを実現していくためには、ただいま申し上げました生産性の向上あるいは価格転嫁の実現、こういった賃上げしやすい環境整備に取り組むことが何よりも必要ではないかと考えております。

ご提案がありました、社会保険の負担分などの賃金に対する直接補填をしていくというこうした取り組みの効果は、事業者の収益力向上には直接的にはつながりません。従いまして、長期的な賃上げ、あるいは事業継続に結び付かないそういう意味で効果は限定的なものに留まるのではないかというふうに考えます。

このため、本県におきましても、国と歩調を合わせまして、下請け取引の適正化を宣言いたしますパートナーシップ構築宣言を拡大することによりまして、適正な転嫁の受け入れの環境を整えていくといった取り組み、あるいは事業者の新たなチャレンジへの支援などによりまして事業者の収益を上げていく取り組み、こういったものを中心に取り組んでいるところでございます。

さらに、賃上げを促す効果がでますように、この新たなチャレンジと一体的に賃上げを行っていただく場合には、県からの補助金の加算枠、かさ上げの措置を設けているところで あります。

今後も、本県の経済状況を注視いたしまして、事業者の声もお聴きしながら、国への政策提言と経済対策を実施してまいる考えであります。

 

●はた議員 次に、高知県で最大の雇用と経済効果を持つ分野でありながら、人手不足で厳しい状況に置かれている医療介護福祉分野への手立てについて伺います。

福祉産業は高知県の産業の中で、その割合は高く、特に少子高齢化の中では、県民の命と暮らしを守る大事な分野です。その現場を担う労働者はかけがえのない、社会的財産です。しかし、ケア労働といわれる医療、介護、保育の現場で働く人たちの賃金はそもそも低く、国による賃金アップの制度も導入されましたが、実態としては行き届いているとはいえません。

現在は、物価高騰が追い打ちとなり、さらに厳しい状況が続いていますが、4月、医療や介護施設の経営者、医師、看護職員、介護職員の5つの関連団体でつくる「医療団体連絡会議」が基調報告を行い、「電気料金は2割増、食材も高騰で入院給食の提供に影響が出ている中、賃上げや労働者確保が課題になっている」「現状の報酬水準では医療、介護の提供体制の維持すらできないところまできている」と、早急な報酬引き上げを求めています。

また、高知市内の保育現場でも、国の保育士の配置基準や報酬が実態に合わない中で、保育の「質」を担保しようとすると、人員確保の為に賃金を下げざる得ない事態もうまれています。

ケア労働は、公定価格と、人の配置基準があることから、職員確保が絶対条件となっています。その結果、人材派遣会社への支払いが高騰し経営に深刻な影響を与えています。

政府が2019、2020年末に行った調査では、派遣会社への手数料が看護師・准看護師の平均で91万8千円、介護職員が50万1千円、保育士が76万9千円となっています。

介護職員の人材確保をめぐって、財政制度等審議会が5月末に発表した、建議(意見書)では、「介護事業者の5割が人材紹介会社を活用している」「人手が不足している事業者が高額の経費を支払っている」とし、添えられた資料では、人材紹介業者の手数料の相場は年収の30%程度だということです。

◆現状は、行政が様々な支援策を行っても、それが人材紹介の手数料に流れ、結果として経営や処遇改善につながらない状況がうまれています。だからこそ、公的な紹介事業の充実とともに、看護職員、保育士、介護職員などの人材確保への支援や加配支援など、働く環境の改善と、働きたくなる職場をつくる対策が急務だと思います。課題認識と県としての具体的対策を、子ども・福祉政策部長、健康政策部長、教育長それぞれにお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、介護職員の人手不足についての課題意識と対策について、お尋ねがありました。

高齢化の進展に伴い介護ニーズの増加が見込まれる中、本県では、令和7年に5 5 0人の介護人材が不足すると推計されており、介護人材の安定的確保が喫緊の課題と考えております。

公的な紹介事業につきましては、社会福祉法に基づき、高知県社会福祉協議会に「高知県福祉人材センター」を設置し、無料職業紹介や福祉就職フェアなどを実施しております。今年度は、高知労働局と連携し、新たな相談窓口を設置するとともに、U・Iターン者に向けた移住ポータルサイトでの情報発信の強化など、マッチング機会の充実を図ってまいります。

人員の配置につきましては、介護施設の多くは、ケアの質の向上のため、配置基準以上の人員を配置しておりますが、人材確保のためには、働く環境の改善を進めていくことが必要です。

このため、ノーリフティングケアの推進やICT、ロボットの導入支援、認証評価制度の普及を通じまして、働ききやすい職場づくりを進めるとともに、介護職員がより専門性の高い業務に専念できるよう、介護助手の導入を促進してまいります。

さらに、介護施設や職能団体などの関係者と一体となった人材確保の取り組みを進めるため、本年5月に「高知県若い世代の福祉介護人材確保・育成検討会」を開催するなど、将来の担い手となる小中高校生に向けた福祉教育の推進や、介護の魅力発信について、関係者との連携を一層強化してまいります。引き続き福祉人材センターやハローワークなどの関係機関と連携し介護人材の確保に取り組んでまいります。

 

○健康政策部長 まず、看護職員の人手不足についての課題意識と対策について、お尋ねがございました。

看護職員は、医療を提供するために欠かすことのできない存在であるとの認識のもと、看護職員を増やすこと、広く県内への就職を促すこと、職場への定着と離職の防止を図ることに課題意識を持って対策を進めているところでございます。

まず、看護職員を増やす対策では、看護師養成施設の運営に補助し、県内養成定員を一定確保するとともに、高校生に看護師養成所等の情報を提供するなどして、志望者を増やす 取り組みを行っています。

次に、県内就職を促す対策として、県内医療機関と協働して就職フェアやインターンシップ事業、高知県看護協会に委託したナースセンターによる人材紹介事業などを実施してお ります。併せて、高知市、南国市などの中心部以外の地域では、人口当たりの看護職員が少ないことから、当該地域にある特定医療機関で勤務した場合に償還を免除する奨学金制度を設け、看護職員の地域偏在の是正にもつなげております。

最後に、職場への定着と離職を防止する対策としては、看護職員のキャリアアップに必要な研修の実施や、勤務環境の改善に向けたアドバイザーの派遣を行っております。

このアドバイザー派遣事業では、夜勤交代制勤務や多様な勤務形態の活用例、給与体系の見直しなどへの具体的な助言を行うことで、医療機関の自主的な改善を促し、看護職員が働きやすい環境づくりにつなげております。

引き続き、高知県看護協会をはじめとする関係機関のご協力を得ながら、看護人材の確保に取り組んでまいります。

 

○教育長 まず、保育士の人材確保や加配支援など働く環境の改善と、働きたくなる職場をつくるための具体的対策について、お尋ねがございました。

人格形成の基礎を培う時期である乳幼児期の子どもの成長を支える保育士の確保と処遇改善は、重要な課題であると考えております。

県教育委員会では、保育士の確保に向け、これまで、保育士を目指す学生への修学資金の貸付や求職者と保育職場のマッチングを行ってまいりました。

また、職場環境の改善に向けましては、経営者を対象とした研修や保育士の補助を行う職員配置への財政支援などに取り組んできております。

併せまして、保育士が安心して働き続けられるよう、配置基準の見直しや収入の引き上げについて、知事部局とも連携して、国に対し提言を重ねてきたところであります。

こうした中、国におきましては、今月、「こども未来戦略方針」を閣議決定し、保育士の配置基準の改善が盛り込まれるとともに、民間給与動向等を踏まえました保育士の更なる処遇改善を検討する方針が示されております。

県、教育委員会としましては、こうした国の制度改善が着実に実現するよう、さらに、回に働きかけるとともに、引き続き、保育士の確保と職場環境の改善に取り組んでまいります。

 

●はた議員 知事は「物価高騰の中での賃金アップが最大のポイントだ」とも発言されていますが、そうであるなら、すでに、全国や県内の自治体で取り組み事例がある「公契約条例」への取り組みも必要ではないでしょうか。

◆県発注事業の現場で働く労働者の賃金を確保し、向上させる為にも県版の「公契約条例」の検討が必要ではないでしょうか。知事にうかがいます。

 

○県知事 次に、いわゆる公契約条例の検討についてのお尋ねがございました。

労働条件の最低基準は、最低賃金法あるいは労働基準法などによりまして定められております。県の発注事業につきましても、関係法令に基づきまして適正な労働条件を確保しなければならないことは言うまでもありません。

そのため、県では具体的な措置といたしまして、法令の遵守義務あるいは労働関係法令に基づく使用者の責任を契約書に明記をいたしますほか、清掃や警備などの労働集約型の業務につきましては、契約上、最低制限価格の設定も行っているところであります。

こうした中で、お話のありました公契約条例を制定して、特定の契約におきまして最低賃金を上回るような下限額を設定して、これを上回るような賃金を支払うように受注者に義務付けるといったような取り組みも行われておりますけれど、ただいま申し上げましたような国全体としての法制の枠組み、そしてそれを踏まえた県の契約条件の設定などを考えますと、あえて、公契約条例をこれに加えて制定するという必要性は、現在のところ、感じておらないところであります。

しかしながら、一方で、現在、依然として物価高騰が続いておりまして、事業コスト上昇分の円滑な価格転嫁、そして持続的な賃金引き上げの好循環の実現を図ることが喫緊の課題であるという認識はただいま申し上げた通りでございます。

従いまして、県といたしましても、率先して適正な価格転嫁を受け入れるべき立場にあるという考え方に立ちまして、本年の3月から公共工事の労務単価につきましては、前年度比で4.1%引き上げるといった形で、賃上げ環境を整える取組を進めているところであります。

今後も、公共工事や庁舎等清掃業務などなどにかかります労務単価の見直しも行いながら、県の発注事業におきまして、適正な労働条件が確保されるように取り組んでまいります。

 

新型コロナ対策

●はた議員 5月19日、私ども日本共産党県議団は、知事に新型コロナ対策と物価高対策について、緊急要望をさせていただきました。

新型コロナ対策では、5月8日に、感染症法上、取り扱いが季節性インフルエンザと同じ5類に移行し、非常事態から日常へと移行する節目となりましたが、5類移行は、医療費等の原則自己負担化や、医療機関への支援の削減など大きな課題を抱えており、受診控えや医療体制のひっ迫が懸念されています。そもそも新型コロナ感染症は、非常に強い感染力を持ち、1年間に何度も流行を繰り返すことで、結果として極めて多くの方が亡くなっていますし、深刻な後遺症被害も報告されており、決して季節性インフルエンザと同等とは言えません。

この間の感染の広がりは、全国5,000の医療機関から報告を受ける「定点把握」で見ると、推計で2万2,432人も増加しており、入院患者も4,003人です。「9波が始まった可能性がある」と昨日、尾身茂氏も発言を行いましたが、大流行が懸念をされています。

◆全国的な感染増加からも、積極的な検査と、施設等での感染拡大防止対策について、どのように考えているのか、健康政策部長にお聞きします。

 

○健康政策部長 次に、新型コロナウイルス感染症の積極的な検査と施設などの感染拡大防止対策について、お尋ねがございました。

新型コロナウイルス感染症の5類移行の5月8日からは、県内44医療機関の定点報告となっており、その6週目となります本年第24週(6/12-6/18)の定点医療機関当たり3.73 人と、全国の5.16人よりも報告は少ないものの、現在、全国的に増加傾向にあります。

国の専門委員会・厚生労働省のアドバイザリーボードでは、夏に一定の感染拡大が生じる可能性があると評価しており、県では、症状を有する場合の早期受診や、高齢者や基礎疾患 を有する方へのワクチン接種を呼びかけているところでございます。

また、医療機関、高齢者施設で感染拡大の恐れがある場合は早期に保健所に相談していただくこととしており、感染者への早期の治療薬の投与や施設内の感染対策の指導助言などにより感染拡大の予防に努めています。感染の拡大が懸念される状況になれば、希望する施設を対象に集中検査を実施してまいります。

感染の急拡大に伴う医療のひっ迫や病原性の高い新たな変異株の出現などが見られた場合は、国の動きとも連携して感染対策や医療体制を強化してまいります。

 

●はた議員 今後の取り組みの充実をはかる上で、これまでの県の取り組みの検証が必要だと思います。

保健所や医療機関、県民がこの感染症に立ち向かってきましたが、人口10万人当たりの累計死亡者数は、2023年3月31日のデータでは、大阪府97人、北海道89人についで、高知は88人、全国3位です。高齢化率トップの秋田県の64人や同じく高齢化率の高い鳥取県の48人、新潟県の21人と比べても、残念ながら極めて多くなっています。

◆高知県の人口当たりの死亡数の多さの原因をきちんと検証し、今後の対策に生かしていく事が極めて重要だと考えます。現時点での認識と改善の手立てを健康政策部長にお聞きします。

 

○健康政策部長 次に、コロナによる死亡数の多さの原因について認識と改善の手だてについて、お尋ねがございました。

これまで全国で新型コロナウイルス感染症に罷患された方のうち、7万人を超える死亡が確認されております。亡くなられた方に対しましては、改めてご冥福をお祈りいたします。

本県では、今年5月7日までの感染者約17万人のうち602人の死亡が確認されており、議員のお話にもありましたように、都道府県別では人口当たりの死亡率は3位、感染者数当たりの死亡の割合、致死率になりますけれどこれは1位となっております。

本県の死亡率や致死率が高い要因としましては、死亡者の9割強を占める70歳以上の高齢の感染者が全感染者に占める割合が全国より高いこと、中でも基礎疾患を有し、長期間入院、長期入所しておられる医療機関・高齢者施設における集団感染が数多く発生したことが挙げられます。

第6波以降を中心に、死亡者の8割強の方が医療機関・高齢者施設での療養中の死亡でございまして、このほとんどが集団感染が発生した施設でございます。

このため、医療機関や高齢者施設における平時からの集団感染対策や早期の治療開始などの指導助言の強化に努めてまいります。

また、高齢者施設におけるワクチン接種の実施状況を把握し、遅れが見られる場合は早期の接種を呼び掛けることとしております。

これらの対応を通じまして、医療機関や高齢者施設での集団発生を減らし、死亡に至らないように努めてまいります。

   

●はた議員 次に後遺症の問題です。日常生活もままならず、仕事や学業をあきらめたなど深刻な事態も報告されています。周囲に理解をされず、苦しんでいる実態も、わが党の吉良よし子参院議員事務所の実施したアンケート調査で明らかになっています。広島県、山梨県の調査では、感染者のおよそ1/4が後遺症を経験し、そのおよそ1/4が「生活に支障がある」と回答しています。

この割合を当てはめれば、高知県は、累計感染者は約17万人ですので、1万人に上ります。

後遺症を専門に6000人以上の治療にあたってきた、ひらはたクリニックの院長は、症状は人それぞれで200種類以上あり、適切な治療を行なえば回復にむかうこと、そのためにも感染後2カ月間は決して無理をしないことが大事だと述べています。

◆県内の後遺症を抱える方について、調査などの実態把握ができないか、お聞きいたします。また、国民健康保険法第77条の減免措置の「特別の理由がある者」として、診断書があれば「新型コロナ後遺症」の方も減免対象と解することができるのではないか。健康政策部長に、併せてお聞きいたします。

 

○健康政策部長 最後に、後遺症対策等についてお尋ねがございました。罹患後症状いわゆる後遺症への対応につきましては、かかりつけ医への相談を基本としつつ、後遺症を疑う症状があった場合に、相談・診療が可能な医療機関への受診を推奨しております。

現在、県内で5 6の医療機関が対応可能と回答があり、県のホームページで公開しております。受診時の病状によりましては、さらに高知大学に設置している専門外来に紹介する体制を構築しております。

また、後遺症に悩む方々からの相談は、保健所で対応し、個々の内容に応じた支援につなげていくこととしており、実態調査までは考えておりません。

  なお、医学的な知見につきましては、国の研究班の結果等を参考に医療機関と共有してまいります。次に、市町村国保における保険料減免につきましては、各市町村の条例に基づき実施されますが、現状、新型コロナ後遺症のみをもって減免の対象とする県内市町村はございません。一般的に、新型コロナウイルス後遺症に限らず、病気や失業に伴い前年から大きく所得の減少があった場合などには、関係書類を提出することによって、減免の対象となり得ると考えております。

 

【教育現場のハラスメント対策】

●はた議員 次に、教育現場のハラスメント対策について、お聞きします。

今年4月14日の県立学校の校長会において、教育長は、教育実習生に対するパワーハラスメント問題を取り上げ、被害者および家族に謝罪した上で「二度とこのような事態が生じないよう対策を実施・検討」する事を表明しました。5月2日、被害者・家族に直接謝罪した際にも、再発防止のための仕組みを作っていくことを確約していますが、その矢先、また、新たなセクハラ問題が6月21日、地元紙に報道されました。

この問題でも、日本共産党県議団に、学校、市教委、県教委とのやり取りをしても、問題が軽視され、納得いかない対応だと、厳正な対応を求める相談が3月22日に寄せられていました。

繰り返されるハラスメント問題から、県教委のハラスメントへの根本的認識や対策など、その責任を問わなければなりません。以下お尋ねいたします。

 

この問題は、土佐清水市の小学校の教頭が20代の臨時教員に、しつこく交際をせまり、深刻なセクハラで、ストレスからくる突発性難聴を発症し、退職へ追い込まれたという重大な問題です。

懲戒処分を検討中とのことですが、加害者は、こともあろうにハラスメントの相談窓口を担う管理職の教頭です。昨年5月ごろから始まったセクハラは、昨年8月末に校長に相談あり、校長は「完全なセクハラ」「訴えられたら終わりぞ」と教頭に注意し、業務以外で女性に近づかないように命じたといいます。

その際、セクハラを行った教頭は、校長の前で臨時教員に謝罪したとの事ですが、その後も嫌がらせ、ハラスメント行為が続きました。本来、この時点で県教委への報告が、市教委からあるべきだったと指摘しておきます。

元教頭は昨年5月から8月ごろにかけてラインを使い、「俺の愛にこたえて」「ラストチャンスをください」「21時にフジグランの高架下で待っています、来てください、暇なので何時間でも待ちます」「自分の女にして、もっといい女にする」と送信し、また「無視され、バカにされた、その悔しさや怒りに対して仕返しをするいい機会」などと送信しています。

被害者は、その過度なストレスの影響で突発性難聴を発症し、昨年12月に病休、年が明け今年の1月には退職へ追い込まれ、現在に至っています。

 問題行為はラインだけではありません、県教委の幹部の名をかたり、採用試験で口利きの便宜をはかるかの様な手紙を偽造するなど行っています。一連の行為は、高知県の迷惑防止条例にも抵触するのではないでしょうか。

また、セクハラの内容を分類すると、対価型と言われ、要求に従わなかったら不利益を与えるぞと脅すタイプです。また、管理職であるという権威的な力も働いており、エントラップメント型とも言えます。行為が繰り返されている事実も踏まえれば、継続性、粘着性、悪質性は高いと、誰が聞いても判断できる内容です。

しかし、県教委は昨年12月に土佐清水市の教育長や校長から問題の報告をうけているにも関わらず、翌1月に、加害教頭からの「降格」の申し出を受けいれ、4月から別の学校に教員として配置しました。処分に関わる重大な事案としての認識をしてないと言える対応は、県教委の組織としての責任が問われる重大問題です。県教委自身、安全管理義務を怠っているのではないでしょうか。

本来、市教委や校長から報告があった時点で、県教委は、双方からの事実の聞きとりや、被害者と加害者の勤務現場を離す事などを、早急に行うべきです。その取るべき指示すらしていない、これはハラスメントへの認識を疑うものです。

◆12月1日に報告を受けた時、重大なハラスメントと思わなかったのか、また県としての組織的対応に、問題がなかったと言えるのか、教育長に認識をお聞きします。

 

○教育長 次に、土佐清水市からハラスメント事案についての報告を受けた時の認識と、県としての対応についてお尋ねがございました。

ご指摘の事案につきましては、昨年12月1日に、土佐清水市教育委員会から、「市内小学校に勤務している臨時教員が休んでいる。休んだ原因は定かではないが、その教員は、同小学校の教頭に交際を迫られていた。」旨の一報がございました。

県教育委員会では、直ちに、詳細な報告書の提出を求め、その内容を確認した結果、懲戒処分を視野に入れるべき重大なハラスメント事案であると判断いたしました。

このため、服務監督権者である土佐清水市教育委員会に対し、同教頭に顛末書を作成させること、本人からの事情聴取を行うこと、被害者の方から事情をお聞きすることなどを要請を行いました。また、処分の検討を進める中で、数回にわたって弁護士相談を行い、任命権者として、直接被害者側の方にお会いするなど、適切に対応してきたものと考えております。

しかしながら、断続的に懲戒処分の量定に影響を及ぼす新しい事実が発覚したことなどから、時間を要しているところでございます。

管理職の行為により、結果として臨時教員が退職に至りましたことは、大変残念であり、申し訳なく思うところであります。

今後、できる限り早く事実関係を確定させ、厳正に対処してまいりたいと考えております。

 

●はた議員 また、県教委は12月1日以降に、病休を消化した被害者側の代理に対し、自己都合退職を進める説明をしていますが、なぜこの時点でも「公務災害・申請」を確認していないのか、厚労省は労災認定の基準に、ハラスメントを明示しています。県は雇用主である土佐清水市に対し、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理責任を、求めるべきだったのではないのでしょうか。

◆結果、自己都合退職へと追い込んだという認識があるのか、県教委が果たすべき責任について、認識を教育長にお聞きします。

 

○教育長 次に、安全衛生管理責任への認識などについて、お尋ねがございました。

労働安全衛生法における安全衛生管理責任は、それぞれの事業者が雇用する労働者に対して負うものであり、市町村立学校の教職員に対しては、各市町村が法令に基づいて責任を果たすべきものと認識しております。

なお、議員のお話にありました公務災害につきましては、地方公務員災害補償法に基づき、当事者からの請求により手続きを行うこととなり、雇用主が請求を促さないことに法的な責任を負うものではありません。しかし、ハラスメント行為によって心身の不調が生じた場合には、公務災害に該当する可能性があることにきまして、各市町村教育委員会や県立学校に、周知してまいりたいと考えております。

 

●はた議員 県教委に本人の意見が届いたのは、この6月6日です。その間も3月2日には、県教委は「ハラスメントではあるが、身体的接触のない事案で慎重な検討が必要」などと答え、認識が非常に軽い対応をしています。

被害者は、ずっとしつこく交際を求められ、断れば脅される、この粘着性、継続性のあるハラスメントに、厳正な対応を求めてきましたが、その声はまともに届かず、この一年以上、未来ある若い先生が、どれだけ苦しい思いをしてきたでしょうか。

令和2年9月、県教委・福利課が示した「ハラスメント対策ガイドブック」では、「ハラスメント行為は信用失墜行為、全体の奉仕者たるに、ふさわしくない非行などに該当し、懲戒処分等に該当する場合がある」と書かれてあります。つまり、ハラスメント行為は大小に関わらず、県教委の責務となる事案です。

県教委、市教委、学校の対応内容は、法令や県自身が設けたガイドラインすら、無いかの様な対応で、あまりにも酷いと言わざるを得ません。

 さらに、3月の教育実習生へのパワハラ問題を振り返っても、共通性があります。

教育実習生の被害者家族が学校に訴えた時も、校長からの直接の聞き取りはないまま、被害者側の求めるパワハラ認定と不当な成績の見直しも、当初は拒否していました。

 相談窓口があっても、相談を聞き取る機能がないに等しく、被害者が対応に納得がいかない場合の「不服申し立て」もできないと言う相談体制の実態が浮き彫りとなっています。

 

 県教委が、県立学校の教職員に対して実施している「ハラスメントに関するアンケート」でも「ハラスメントが起きるのは、何が原因だと思いますか」との問いに、「起きたときに解決する仕組みがない」からと、1/3の教職員が回答し、その比率は年々増加しています。

 今年3月1日、本会議質問で吉良県議が求めた、第三者的な場での聞き取り、調査、認定ができる組織、機関の設置について、教育長は「より客観性を高めるといった観点から一般業務から独立した立場の組織、機関の設置も含め、対応の在り方など検討する」と答弁しています。

◆当然、検討されてきたと思いますが、検討状況をお聞きします。合わせて、第三者機関の設置と外部相談員の機能の充実では、弁護士や教職員組合代表も交えた、ハラスメント対策委員会の設置なども必要です。その認識と実効性ある仕組みへ、具体的にどう改善するのか、教育長にお聞きいたします。

 

◆例えば、徳島県は教職員のハラスメントの防止等に関する要綱を作り、ハラスメントで認識すべき事項や、問題処理の具体な対応例などを明確にして、問題が生じた場合の適切な対応を示しています。県教委も、徳島県の取り組みも参考に、教職員の保護及び教職員の能力が発揮されるよう、今一度、現在のハラスメント防止対策の通知も含め、あり方全体を抜本的に見直すべき時ではないでしょうか。教育長に伺います。

 

○教育長 次に、ハラスメント対応に関し、第三者機関や対策委員会の設置、対策の抜本的な見直しについて、お尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。

まず、ハラスメント対応に係る第三者的な組織については、午前中にもお答えをしましたように、法律や心理、福祉などの分野に知見を持った第三者による組織体の設置を、現在検討しています。

この組織には、事実確認において、当事者の主張が異なる場合などに、意見等をお伺いすることと、ハラスメント対策全般について助言等をいただくという、両方の役割を持たせることを考えております。

このため、議員からお話しのあった教職員組合代表につきましては、個別事案において当事者と関係する可能性がございますので、第三者組織のメンバーとしては想定しておりま せん。

また、ハラスメント対策の実効性を高めるため、他県の取り組みも参考に、ハラスメント事案への適切な対応を整理したマニュアルの作成について、すでに取組を進めているところでございます。

こうした取組を通じまして、これまで以上に、ハラスメント対応における客観性を高めるとともに、必要に応じて対策の見直しも図りながら適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

 

【障がい者雇用における虐待、差別】

●はた議員 次に障がい者雇用における虐待、差別についてお聞きします。障がい者への虐待や差別など、不当な実態が存在しています。

現在の障がい者虐待や差別について、労働局からの県への報告では、R4年度の通報件数は10件で、身体的虐待が1件、心理的虐待が5件、経済的虐待が4件です。過去5年間では経済的虐待が最も多く、次いで心理的虐待となります。この経済的虐待とは、賃金の未払い、最低賃金以下での雇用などです。

そのうちR4年度に県が関わったAさんのケースについて伺います。

高知の特別支援学校を卒業後、パートで就職したAさん20代は、職場で異常な監視の上、食べるのが遅いと昼食時間を与えられず、他の職員とは全く違う差別的な嫌がらせ、不当な労働環境を強いられてきました。

またAさんの同僚が県に対し、会社及び他の職員が行うAさんへの「いじめをやめさせて欲しい」と相談されていたことが、後日、確認できましたが、相談内容は、障がい者差別禁止法や労働基準法などにも抵触する可能性が高い事案です。県や労働局はどのような対応をしてきたのでしょうか。

県は、相談者に対し3月24日付で「使用者による障がい者虐待が疑われる事案となります。使用者による虐待の所管は労働局になるため県から労働局へ報告させていただきます。今後、報告を受けた労働局が調査等を行うことになると思いますので、所管である高知労働局へご連絡ください」とメールで回答しています。

県は、障がい者虐待防止法第24条に基づき、労働局に報告を行うことになります。また、第26条では、「労働局長は、障がい者の適正な労働条件及び、雇用管理を確保すること」となりますが、実際は、そのような対応があった事が確認できない状況です。

◆法律に照らしても、県と労働局は報告や連携を取る関係性がありますが、県と労働局、相互の報告関係の実態はどうなっているのでしょうか、労働局から報告が県へ返るまでの期間はどれくらいなのか、子ども・福祉政策部長に実態をお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、障害者雇用での虐待等における県と労働局の相互の報告関係及び労働局からの情報提供に要する期間についてのお尋ねがございました。

事業主等による障害者への虐待にかかる相談は、市町村や県、労働局で対応しております。 市町村または県が相談を受けた場合は、初期対応として当事者や通報者、事業所の協力のもと調査を行い、虐待の事実が確認できた場合には、障害者虐待防止法に基づき、市町村は県に通知を行い、県は労働局に報告を行います。

事業主等による障害者虐待については、労働条件や雇用管理の面からの事業者に対する指導は労働局が行い、虐待を受けた障害者に対する生活支援等につきましては、市町村及び県が対応しております。

県からの報告を受けて、労働関係法に基づく指導権限を持つ労働局は、事実確認及び是正勧告等の対応を行い、その結果を県に情報提供し、県は虐待を受けた方の居住地の市町村に情報提供を行うこととなっております。

県が通報等を受けてから、労働局の対応結果が県に情報提供されるまでの期間は、令和3年度及び令和4年度の虐待事案14件のうち、最も長いもので約8カ月、平均すると2.3カ月となっております。

 

●はた議員 驚くのは、県から報告を受けた労働局は、相談に来た被害者Aさんに対して、電話番号の一つも聞き取らず、具体的な調査への対応は、なかったとの事です。こんな状態で、障がい者の権利、労働者を守る事が出来るでしょうか。

相談が受け付けてもらえない、県からの報告に対しても、どうだったのかもわからない、このような状況は改善する必要があります。障がいのある方は、相談や手続きにさえ負担があり、諦めてしまう事があります。だからこそ、その苦痛や不安を抱える当時者に寄り添った行政対応が問われてきます。

◆県の報告後も労働局が動いていないのか、虐待や差別が継続しているケースが起きている事について、県は労働局に報告した後であっても、連絡が可能な当事者などには、現状を聞き取るなどフォローしていく必要があると考えます。今後の対応策を子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、障害者雇用の虐待等の当事者に対するフォローなど、今後の対応策についてお尋ねがございました。

事業主等による障害者虐待が発生した場合には、市町村及び県が虐待を受けた障害者に対して生活支援等を行っており、労働局に報告した後も、労働局から情報提供を受けながら、 引き続き、当事者のサポートを行っております。

議員からお話のありました事案につきましては、第三者から匿名で県に通報があったため、県では当事者の情報を把握していなかったことから、当事者には、直接面談等が行えていな状況となっておりました。

障害者虐待防止法第2 6条において、労働局長等が権限を行使する際には、県と連携を図ることとされております。

今後は、県としましても、労働局との連携を一層強化し、当事者に係る情報提供を必要に応じて労働局に求め、居住地の市町村とともに、当事者に寄り添った支援に努めてまいります。

 

●はた議員 次に、障がい者などの雇用に関わる「特定求職者雇用開発助成金」について伺います。

この助成金は労働局に申請し、雇用する際に、助成金を雇い主が最大3年間受け取る事が出来る制度です。

この助成金の支給期間との関係について、相談から見えることは、助成金が切れる頃に、ハラスメントを受け、退職へ追い込まれるケースが複数件、存在しているという事です。

複数の障がい者の方、ご家族の方は「本当に納得できない」「物扱い」「もう働く勇気が出ない」など辛い思いを訴えています。

◆助成金制度が悪用されている蓋然性が高い事案が複数発生し、続いている点からも、助成金の申請実態及び、助成期間(最大3年)が過ぎてからの雇用の定着率を含めた実態把握が必要です。そういった取り組みを労働局に求めることができないか、認識と対応を、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、特定求職者雇用開発助成金の実態把握を労働局に求めることの認識と対応について、お尋ねがございました。

特定求職者雇用開発助成金は、障害のある方などを雇用した事業主に対して国が助成を行っているものです。お話のように、助成金に関する事業主の対応が障害者にとって不利益となり、結果的に虐待につながるようなことは、あってはならないことです。

県や市町村に助成金に関する虐待の相談があった場合には、事業所の協力のもと助成金に関する雇用状況等の調査を行うとともに、指導権限を持つ労働局とも連携し、実態の把握に努めているところです。

お話にありますように辛い思いをされている障害のある方の相談は、県や市町村の窓口でお受けしておりますが、虐待を受けた方の中には、自ら声を上げづらい状況もあります。そのため、障害者虐待を発見した方には、 躊躇なく、県又は市町村に通報していただきたいと思います。

県としましても、悩みを抱える方が相談しやすいよう虐待に関する相談窓口の周知を図るとともに、安心して働き続けられる環境づくりを目指し、労働局をはじめ関係機関と連携して取り組んでまいります。

また、助成金制度が障害者の虐待につながることがないよう、助成金の実施状況や雇用の定着状況等につきまして、機会を捉えて、労働局と意見交換や情報共有を行ってまいります。

 

子どもの社会参画と行政の施策づくりへの参画】

●はた議員 最後に子どもの社会参画と行政の施策づくりへの参画についてお聞きします。

 この4月に施行されたこども基本法は、日本国憲法と児童の権利に関する条約の精神に則り制定されたもので、全ての子どもに対し、自立した個人としての健やかな成長と権利の擁護を保障し、社会全体として「こども施策」に取り組むため、国や地方自治体の責務を明らかにしています。

また、基本理念として、子どもの権利条約に定める4つの基本原則、「差別の禁止」、「子どもの最善の利益の追求」、「生命・生存・発達の権利」、「子どもの意見尊重」も盛り込まれています。

今回、日本国憲法に基づく、こども基本法に、子どもの意見表明権が明記され、「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保され」、「その意見が尊重される」とされたのは、大きな前進です。

平成25年に改定された現行の高知県子ども条例においては、子どもの意見表明権など具体的な子どもの権利は明文化されておりませんが、その前文には、「全ての子どもは生まれながらに人としての尊厳と権利を有する」とされるなど、子どもに権利があることが明記されています。また、改定時に提案者からは、「子どもの権利を否定するものではない」(平成24年12月文化厚生委員長報告)と説明され、条例に基づき、子どもが参画する「子どもの環境づくり推進委員会」のもと推進計画も策定されてきました。

◆これらを勘案すれば、本県の子ども条例のいう「子どもの権利」にも、こども基本法同様、子どもの意見表明権が含まれると考えますが、知事の認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、子どもの意見表明権についてのお尋ねがございました。

本県の子ども条例におけます「子どもの権利」とは、児童の権利に関する条約、あるいは日本国憲法などで保障された子どもが有している人権の事を指すというふうに解釈をされております。児童の権利に関する条約第12条におきましては、自由に自己の意見を表明する権利を確保することが定められておりますので、本県の子ども条例におけます子どもの権利にも、いわゆる意見表明権が含まれている、保障されていると考えております。

 

●はた議員 国では、小学校1年生から20代までを対象とする「こども若者★いけんぷらす」が運用開始されています。子ども達に、政策決定のプロセスへ、参加する機会を与え、出された意見に対しては、職員が必ず読み政策づくりにいかすこと、また、反映しなかった場合の理由についても説明する仕組みになっています。基本法第11条は、地方公共団体等に、こども施策の策定・実施・評価に当たり、子どもや保護者・関係者の意見を反映させる措置を講ずることを求めています。

◆「子どもの環境づくり推進委員会」の取り組みの内外でも、子ども参画の取り組みをいっそう発展させることが必要です。例えば、意見を広く集める仕組みとして、推進委員会の取り組みや、政策づくりに参加する機会の確保など、新たな「意見反映」のシステムが必要だと思いますが、子ども・福祉政策部長に所見をお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 最後に、子どもの意見を反映するシステムについて、お尋ねがございました。

高知県子ども条例で設置している「子どもの環境づくり推進委員会」では、子ども条例において、委員は15歳以上の子どもを含む県民から知事が任命すると規定されており、現在、5名の高校生が委員として、推進計画の作成や変更に関しての調査審議、計画の取組状況について知事に意見を述べるなどの役割を担っていただいております。

本年4月1日に施行されました、こども基本法第11条では、「国や地方公共団体において、こども施策を策定・実施・評価するにあたり、こどもや子育て当事者等の意見を反映さ せるために必要な措置を講ずること」が規定されております。

こどもの意見を反映させるために必要な措置につきましては、施策の目的等によって様々であることから、国からは、こどもを対象としたパブリックコメントの実施や審議会等の委員へのこどもの参画促進などの手法が例示されております。

現在、国においては、こども施策を総合的に推進するため、基本的な方針や重要事項を定める、こども大綱の策定に向けて検討が進められています。県におきましても、こども大綱の策定に向けた動きを注視しながら、子どもの環境づくり推進委員会の取り組みに加え、 こども施策の当事者であるこどもの意見を幅広く聴き、反映させるための仕組みづくりに取り組んでまいります。

 

●はた議員 子どもの意見表明権にかかわって、具体的な事例についてお聞きします。

6月12日、下田小中学校の子どもたちが県庁を訪ね、知事宛に14名分の手紙をもって「子どもの意見表明」に訪れました。

手紙の中身は知事もお読みになったと思いますが、内容に少し触れたいと思います。「遠くて大きな学校には行きたくない。不登校になってしまう。」という不安の声や「地元の安全な高台に小中一貫校を作ってほしい」という切実な願いでした。自分の意見を真剣に話す子どもたちの姿は、テレビ放映などで全国の子ども達に勇気を与え、子どもの権利の重要性を広めました。

◆こども基本法では、子どもの意見を尊重するように明記しています。子どもたちは知事が県のリーダーだからと知事を頼って県庁まで来ました。子どもたちの勇気と行動力を知事はどのように受け止められたのか、知事にお聞きいたします。

 

●はた議員 子どもの意見表明権を保障するためには、関わる大人が子どもの意見に真摯に向き合うことが必要です。

そもそも下田中学校の統合が決定される過程に、当事者の子どもの意見をないがしろにする大きな問題がありました。地域住民の統合反対の声が圧倒的多数であるにも関わらず、2020年、突然に四万十市長が「下田中学校校舎を利用して大学を開設する」と議会で発表しました。

地元の思いを無視した行為に保護者や住民から大きな怒りが上がりました。中学生による「学校存続を求める同級生全員署名」や、何回も手紙が四万十市長に提出されてきました。

そして最大の問題と言えるのは、海抜30メールの高台の中学校校舎を大学に渡すために、中学生を海抜4メートルの津波浸水区域に、引っ越しをさせたことです。

子どもは当事者でいながら、意見を尊重してもらえない無力感の中、傷つき、大人不信・行政不信となって、知事への手紙になったといいます。

この大学誘致については、2020年7月7日、四万十市より県に対して大学誘致に関する要望がありました。対応した知事は「幡多に大学ができるのは夢のよう。できる限りの応援はさせていただきたい」と、大学誘致を推進する表明をしています(※令和2年9月四万十市議会/中平市長答弁)。しかし、大学誘致事業が断念された今、子どもの意見を尊重し、もう一度立ち止まる時ではないでしょうか。地元に禍根を残さないように努める事が、推進してきた県や自治体の責任ではないでしょうか。

◆子どもの意見を受け止めた今、知事はどのように対応されていくのか、お聞きいたしまして第一問とします。

 

○県知事 最後に、下田小・中学校の子どもたちの行動に対する受け止め、そして対応についてお尋ねがございました。関連いたしますので、合わせてお答えいたします。

いただきましたお手紙には、子どもたちの学校を大切に思う気持ち、また学校に対する強い愛着でございますとか、統合に対する不安などが率直につづられておりまして、その思いは私にも伝わってまいりました。

また、自分たちの思いを伝えるために、直接知事室まで足を運ぶという行動力には驚きましたし、そうした意味で、子どもたちの気持ちはしっかりと受け止めたつもりでございます。しかしながら、地域におけます公共的な課題を解決していく上には、社会的なルール、約束事に従って手続きをとっていくということが必要ではないかと思います。

そうした意味で考えますと、市町村立学校の存廃と申しますのは、その市町村におきまして議論が行われ、決定されていくというのが、地方自治の大原則だと考えます。

この過程の中で、違法にわたるような事案が発生したということがあれば別ですけれども、そうしたことがない限り、県や国がこれにいたずらに介入すべきものではないというふうに考えております。

本件につきましても、四万十市におきまして、地域の方々と十分に話し合い判断された結果として、尊重すべきものだというふうに考えております。

ただ、現にこうして納得されていない方がおられるということも事実でありますので、四万十市に対しましては、今回のお手紙の件はお伝えいたしまして、引き続き、地域の皆さんの理解を得ていただくように、努めていただきたいとそういうお願いをしたいと思います。私からは以上であります。

 

【第2問】

●はた議員 第2問をさせていただきます。

知事の答弁ですけれども、まず、核兵器禁止条約に基づく、核兵器の非人道性に対する批判がない今回のG 7の 広島 ビジョンに対する回答いただきましたが、一歩前進ということで、被爆者の落胆の意図を読み取らとっていただけない内容だったかと、答弁だったかと思います。

改めて、この広島ビジョンが核兵器禁止条約が指摘をする非人道性、このことに触れてない、この1点について、触れてない点について、知事はどうお考えか、2問いたします。

それと、マイナンバーカードですが、国民の理解を得るようにしていくということなんですけれども、国民は理解できる状況ではないんです。今の保険証、現状の紙の保険証は継続 発行してもらわないと医療現場も、また当事者も困るという状況ですので、紙の保険証を継続発行するということを国に対して求めていただけないか、その見解をお聞きいたします。

それと、第2問、教育長にお聞きをいたします。土佐清水のハラスメントに対しての、答弁がありましたが、市教委から、報告があって、それに対する県の責任が今問われているわけです。

市教委に研修をするとか、通知を徹底するとかそういうことを求めているわけではなくて、県として責任があるんではないかと、そのことを明確にあの答弁すべきではないでしょうか。お聞きしたいのは、第三者の委員会の設置について、3月の吉良県議の質問に対しても検討ということで、今回も検討中ということで、あの実施に向けた動きが全く見えない。

この第三者の検討委員会について、今、全体を調査すると、この事例も含めて過去の事例も含めて、全体を徹底的に、調査をして、同じようなことを繰り返さないように、外部の第三者から助言をいただくということを、早急に行うべきだと思うんですけれども、検討検討って、ずっと言っていますので、いつ実施をするのか、その点について、第2問をまず行います。

 

○県知事 はた議員からの2問目のご質問にお答えをいたします。

まず、いわゆる広島ビジョンにおきまして、核兵器の非人道性について言及がなかった点について、どう捉えるかということでございます。この点につきまして、このビジョンの策定の過程でG 7の各国の中でどういったやり取りが行われたかということは、私もかなり 情報ございませんので、これを詳細にお答えするべき立場にはございませんけれども、この広島ビジョンの中では、核戦争に勝者はなく、また核戦争は決して行われてはならないことを確認するという文言も入っておりまして、G 7の各国がこうした形で初めて、最終的な核廃絶に向けた目標ということを共有と、このこと自身には意味があるのではないかというふうに考えまして、一歩前進というお答えをさせていただいたところでございます。

2点目でございますけれども、マイナンバーカードに関しまして、紙の保険証の継続発行を求めてはどうかということでございますが、このマイナンバーカードの保険証利用に関しましては、今のところ来年秋のこの切り替えを想定をされておりますけども、その上、1年は経過措置として今の紙の保険証でも適用ができるということだという風に承知しておりますし、その後も当面の間は、必要な場合には、資格確認書を発行するということで、マイナカード、マイナ保険証によらないで必要な場合には、診療が受けられるという手立ては確保されているということだと思いますので、こういった手立てを活用いただくことで、段階的に移行していくということが望ましいのではないかという考えを、答弁をさせて頂いたところであります。

 

○教育長 基本的に、市町村学校教職員は、その市町村の職員ということになります。

従いまして、例えば、私どもが聞き取りを行うといったような時に、市町村教育委員会を飛ばしてこれを実施するということはできません。ただ、私どもがしなければいけないっていうことにつきましては、基本的にこれがどのようないわゆる懲戒処分にあたるのか、これを検討してその事実を確認した上で、懲戒処分を実施するということになります。

そういった意味で、我々として現在、懲戒処分を検討しているところでありまして、事実を確認した上で、厳正な対応を取っていきたいというふうに思っております。

  そして、2つ目についてでございますけれども、第三者委員会のあり方についてでございますけれども、現在、この委員としては、大学関係者、大学等の学識経験者、弁護士、医師、そして、臨床心理士、社会福祉士こういった方々を考えておりまして、この人選を現在進めているところでございます。以上です。

 

○はた議員  第3問を教育長にお聞きをいたします。

土佐清水のセクハラ問題について、12月1日に市教委から報告を受けたけれども、その際、懲戒免職の対象事案だというふうに認識をしたと答弁をされましたけれども、懲戒免職の対象事案と認識をしながら、なぜ4月に、学校に配置をしたのか。

本来、懲戒免職事案であれば委員会付けにする必要があったのではないかと思いますが 、なぜ学校現場に配置をしたのかお聞きをいたします。

 

●教育長

はい。12月の段階で、我々としては懲戒処分事案だというふうに、考えておったところです。この段階で懲戒免職処分ということにつきまして、認識をしたものではございません。1点。

そして、もう1点について言いますと、この点につきましては、いわゆる個別の人事異動事案になりますので、そういった意味で、ここで、ご説明をすることは差し控えさせていただきたいと思います。