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- 2022年12月13日
- 議会(質問・討論)
- 2022年12月議会 中根佐知県議の代表質問(2022.12.09)
【質問項目】
・敵基地攻撃能力
・旧統一協会問題
・マイナ保険証
・物価高騰・中小零細企業支援と最賃
・インボイス
・介護保険制度見直し
・農業問題
・教科担任制と教員の確保
●中根県議 私は日本共産党を代表し、以下質問をいたします。
【敵基地攻撃能力】
●中根県議 まず、知事に対する政治姿勢についてお伺いいたします。
敵基地攻撃能力について、岸田政権が年末に狙う国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に向け、自民、公明両党が、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力」の保有で正式合意しました。岸田政権は、「専守防衛」の立場に変わりはないと主張していますが、実態は、戦後安保政策の大転換を図るものとなっています。
1970年、当時の中曽根康弘防衛庁長官は、「日本の防衛の限界については専守防衛を主とする」として「目的において防衛に限る、地域において本土ならびに本土周辺に限る、手段において核兵器や外国に脅威を与える攻撃的兵器は使わないという三つの限定的要素が確立されている」と説明しています。1959年、当時の伊能繁次郎防衛庁長官は、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」と明言しています。
専守防衛とは「国土防衛に徹し、相手の本土に被害を与えるような脅威にならないと伝え、相手に日本を攻撃する口実を与えない防衛戦略」(柳澤協二・元内閣官房副長官補・安全保障担当 東京新聞11/30)で、「拒否的抑止」と「安心供与」から構成されています(ND政策提言 22/11/28)。
◆「敵基地攻撃」は、この専守防衛の「安心供与」をまっこうから否定するもので、「抑止」に役立つどころか、互いの軍拡の悪循環で緊張を高め、偶発を含めて武力衝突の危険を増加させる= 「安全保障のジレンマ」に陥る愚かな選択ではないのか、お聞きをいたします。
●中根県議 政府によると、敵基地攻撃は「相手が武力攻撃に着手したとき」に可能と説明されています。これは、攻撃されていないのに反撃する、国際法違反の「先制攻撃」とかわらないと多くの識者から指摘されています。攻撃対象も軍事基地に限定されず、政府機関なども含まれることを政府も認めています。攻撃すれば日本への報復攻撃は避けられません。
しかも、政府が、集団的自衛権行使の発動要件である「存立危機事態」でも敵基地攻撃ができることを認めたのは重大です。同盟国のアメリカ軍が第三国と戦争状態となり、「存立危機事態」と認定すれば、日本は攻撃されていなくても自衛隊が米軍を支援するため、相手国を先制攻撃し、日本を全面戦争に巻き込む危険な戦略です。
政府はそのために軍事費を2倍化し世界第三位の軍事大国に進もうとしています。国民一人当たり4万円、4人家族で年16万円の極めて重い負担です。
◆戦争の危機を増大させ、経済的にも暮らしと営業を破綻に追い込む「敵基地攻撃能力」保有は中止すべきではないか。知事にお聞きします。
○県知事 中根議員の御質問にお答えをいたします。
まず、敵基地攻撃能力は、武力衝突の危険を増加させる選択ではないのか、また、その保有は中止すべきではないのか、とのお尋ねがございました。関連をいたしますのであわせて お答えをさせていただきます。
ロシアによるウクライナ侵攻でございますとか、台湾情勢、北朝鮮による弾道ミサイルの発射など、我が国を取り巻く安全保障の環境は、年々厳しさを増しております。
そうした中、我が国の周辺には相当数の弾道ミサイルが既に配備されているということに加えまして、ミサイル技術は急速なスピードで変化あるいは進化をしているというのが現実でございます。
国におきましては、こうした安全保障環境に対応するために反撃能力、いわゆる敵基地攻撃能力の保有を検討されていると承知しておりまして、年末までには、その結論を出すこととしていると伺っております。
この反撃能力について岸田総理は、「専守防衛は憲法に基づく、重要な安全保障における姿勢で、これからも変わることはない」と述べられております。私も憲法や国際法の範囲内で対応していくべきものというふうに考えております。
防衛政策は国の専管事項でありまして、防衛力の強化につきましては、我が国を取り巻く安全保障環境、あるいは社会経済情勢を踏まえまして、国政の場において幅広い議論が必要であると考えております。
あわせまして、国民の皆さんの理解が得られますように、政府にはしっかりと説明責任を果たしていただきたいというふうに考えております。
●中根県議 なにより、政府の安全保障政策には、いかに平和で安定した環境を築くかという外交戦略がありません。
先日、アジアの30カ国1地域から69の政党が参加し開催された第11回アジア政党国際会議では、「地域と世界の平和と安定」のために、「ブロック政治を回避することの重要性を強調し、競争よりも協力を強調した」また「紛争解決の唯一の道としての対話と交渉……を強調した」と明記した「イスタンブール宣言」が全会一致で採択されました。ASEANをはじめ対話による紛争解決の流れがアジアの本流となっています。
◆憲法9条を持つ日本こそ、軍事対軍事の対立を生む「ブロック政治」を回避し、対話と交渉を進める先頭に立つべきではないか、知事にお伺いいたします。
○県知事 次に、いわゆるブロック政治を回避し、我が国が対話と交渉を進める先頭に立つべきではないかという点について、お尋ねがございました。
我が国は、日本国憲法にうたわれます平和主義の理念に基づきまして、国際社会の責任ある一員として、これまでも世界の平和に向けまして、国連平和維持活動いわゆるPKOでございますとか、政府開発援助(OD A)に取り組んでいるところであります。
現在のように、安全保障環境が一層厳しさを増している中におきましても、様々な国と協力をいたしまして、国際法や国連憲章を遵守し、対話と交渉で問題解決に取り組んでいくことが必要だというふうに考えます。
政府におきましては、今後も外交の努力によりまして、国際社会の平和と安定に尽力いただきたいとそういうふうに考えております。
【旧統一協会問題】
●中根県議 次に統一協会問題についてお伺いいたします。
わが党の米田稔議員が、自民党と深い癒着が指摘される反社会的カルト集団・統一協会と、知事並びに関西・高知経済連携強化アドバイザー会議のメンバーの溝畑宏氏との関係を質した9月議会から1カ月後、ついに、山際大志郎経済再生担当相が辞任しました。統一協会の「広告塔」となって深刻な被害を広げたにもかかわらず、開き直りごまかし続けてきた山際氏の辞任を求める野党と70%を超えた国民の声に追い込まれた結果です。
山際氏を閣僚に任命しただけでなく、居直りを許し、辞任後には自民党のコロナ対策本部長に就かせるなど、まったく反省もなく統一協会との癒着を徹底調査もしようとしない岸田内閣は、その後、タガが緩んだように二人の大臣の辞任が続き、ついに、支持率は危険水域の30%割れ直前となっています。
9月議会で統一教会との関係を聞かれた知事は、「今後の対応としてどうするかということに関しましては、こういった関わりは持たないつもりだということ」だと述べ、県行政としては「こうした社会的に問題がある団体の活動を助長する効果が見込まれる場合には、イベントへの後援、共催、あるいは補助金の支出を行わないなどといった形で、適切に対応してまいります」と述べています。
◆岸田内閣支持率低下を他山の石とし、県民の信頼を得るためには、9月議会で問題にした日韓トンネル関連の「国際ハイウェイ財団」など統一教会関連団体を再度リストアップして県行政との関連を徹底調査すべきと考えますが、その後、どう対応したのかお聞きします。
○県知事 次に、旧統一教会関連団体と県行政との関わりを把握するための調査について、お尋ねがございました。
先般、県が行った調査にあたりましては、他県調査などを参考に、旧統一教会及びその関連団体として1 0団体を選定いたしました。この中にお話のあった「国際ハイウェイ財団」は含まれておりませんけれど、調査に当たりましては、この1 0団体に限らず、関連団体と判断されるケースについては、各部局に幅広く報告するように求めたところでございます。
その結果、旧統一教会及びその関連団体に対しまして、不当に便宜を図ったり、あるいは県民に誤解を与えるような事案は確認されておらないところでございます。
こうした調査の経過や結果を踏まえますと、現時点で改めて関連団体のリストを更新した上で調査を行うということまでは考えておらないところでございます。
他方で、イベントの後援や補助金の支出などにあたって、より適切な事業執行を図るという観点からは、引き続き慎重に対応していくことが必要だと考えております。このため、行政との関係におきまして、新たに問題のある事案が、他県を含めて明らかとなった場合には、必要に応じて庁内で情報を共有し、過去も含めて接点があれば個別に報告を求めたいというふうに考えております。
●中根県議 また、選挙時に挨拶に行った知事と違って、協会のドル箱=日韓トンネル建設を我がこととして推進するため、国際ハイウェイ財団の会合で16回も講演するなど、統一協会と深い関係が推測される関西・高知経済連携強化アドバイザー会議メンバーの溝畑宏氏については「行政的に近い関係があったということそれをもって問題だということは必ずしもあたらないのではないかというふうに考えている」「溝畑氏には、その経験や知見を生かして、引き続きアドバイザーの職を担っていただく」と、溝畑氏をかばう答弁をした知事の姿勢は、山際元大臣をかばった岸田首相と同じものと県民の目には映っています。
◆アドバイザー職から外すべきという9月議会での指摘を受け、溝畑氏にはどう伝えたのか、その後の対応含めお聞きをいたします。
○県知事 次に、9月議会におきまして米田議員のご指摘がありました大阪観光局の溝畑氏に対する対応について、お尋ねがございました。
米田議員からのご指摘に関しましては、議会の終了後、私が直接溝畑氏に状況を連絡いたしまして、これまでの経緯と今後の対応についてご本人から確認を行ったところであります。
溝畑氏によると、 「国際ハイウェイ財団から日韓の観光交流の必要性に関する講演の依頼を受け、2016年から2019年の間に講演を行った。その際に、この財団が旧統一教会の友好団体であるとの認識はなかった」とのお話でありました。
また、今後につきましては、「今後は、旧統一教会の活動を助長するような行動をとるつもりは一切ない。」という説明がございました。
この溝畑氏と旧統一教会との関係及び今後の対応の姿勢につきまして、このように確認が取れましたこと、また、引き続き、溝畑氏はいわば本職であります大阪観光局の理事長職を担われているということも踏まえまして、本県としても引き続き、アドバイザーとしての委嘱を継続したいと考えておりまして、今後も関西戦略の後押しをお願いするということといたしております。
●中根県議 本県南国市在住の橋田達夫さんが、統一協会の被害者としてマスコミで取り上げられています。橋田さんの元妻が約30年前に統一協会に入信し、ツボの購入から始まり子どもたちへの入信強要、ご長男の自殺、そして先祖伝来の田んぼの売却など財産もご子息もなくしたと報道されています。この度、知事に面談し実情を知っていただきたいとの要請があり、県民の会の上田県議と塚地県議と共に知事にお会いして、お話ししたと伺っています。
◆知事は橋田さんの思いをどう受け取ったのかお聞きいたします。
○県知事 次に、旧統一教会による被害を訴えておられる、橋田さんとの面会に関連いたしまして、橋田さんの思いをどう受け取ったのか、というお尋ねがございました。
橋田さんとは一昨日、知事室でお会いをいたしまして、約15分間にわたりお話を伺いました。橋田さんからは、元配偶者の入信によりまして家庭崩壊に至るといった、大変壮絶な経験をされたということをお聞きいたしまして、その無念さが言葉の端々から伝わってまいりました。
また、被害を拡大させたくないという強い思いから、あえて実名で、マスコミに顔を出して被害を訴えているということについては、私としても勇気ある行動を取られているものと感想を持ったところでございます。
橋田さんの思いを受け止めまして、県といたしましても、国会で今議論が行われております「被害者救済新法」や改正「消費者契約法」などの新しい制度が確立をいたしましたら、この制度の周知と相談対応の充実に努めてまいりたいと考えております。
●中根県議 ◆また先の議会では、県立消費生活センターへの相談件数が明らかにされましたが、今年度、県立消費生活センターや県内自治体が受けた相談件数は何件になっていますか。
○県知事 次に、県立消費生活センター及び県内自治体が受けた、この被害の相談の件数について、お尋ねがございました。
県立消費生活センターにおきましては、旧統一教会に関しまして、本年4月から先月末までの問に、3件の相談をお受けしております。
また、県内の市町村の状況について問い合わせをいたしましたところ2市で2件の相談を受けたということが確認できているところであります。
●中根県議 ◆合わせて、橋田さんのような被害者を救済し、また増やさないために、被害の実態や救済を求める県民の相談窓口を設けるお考えはないか、お聞きをいたします。
○県知事 次に、被害の実態や救済を求めます県民の相談窓口を設ける考えはないか、というお尋ねがございました。
現在、国におきましては、被害者の救済に向けまして、日本司法支援センター、いわゆる法テラスを中心に、国・地方を挙げて、総合的に相談体制の充実強化を図ろうという考えで取り組まれておるところであります。
県におきましても、県立消費生活センターにおきましては、霊感商法を含む消費者間題に関する相談窓口として、旧統一教会問題についても、すでに様々なご相談をお受けしているところであります。
このセンターでは、消費者トラブル以外の相談をお受けした場合にも、相談内容に応じまして、法テラスあるいは県警察をはじめとする専門機関にお話をつないでいるという対応をとらせていただいております。
県といたしましては、こうした形で設けております相談窓口の周知を、県のホームペー ジや啓発リーフレットなど、様々な広報媒体を通じまして、引き続き行ってまいる考えであります。
あわせまして、被害内容に応じました対応をしっかりと行いまして、被害に遭われた方々の救済につながりますよう、今後も取り組んでまいる考えであります。
●中根県議 ◆また、県民への啓発に向け、全国各地での被害の実態と手口を紹介し、これ以上の被害者増を防止するパンフレットなど作成するお考えはないかお聞きをいたします。
○県知事 次に、これ以上の被害者増を防止するために、パンフレットなどを作成する考えはないか、というお尋ねがございました。
県におきましては、これまで、出前講座やパンフレット、ホームページなどによりまして悪徳商法に対する周知を図りまして、消費者被害の防止に努めてまいったところであります。
一方で、霊感商法への対応の強化を求める社会的な要請、あるいは今国会で審議されている消費者契約法の改正、あるいは被害者救済新法を受けまして、改めて広報・啓発を行う必要性が高まっているというふうに考えております。
国の「旧統一教会」問題の関係省庁連絡会議におきましては、霊感商法等の手口や対処法に関する教材の充実によりまして、消費者教育の取組を強化し、被害の防止を図るという方針を示されています。
従いまして、県といたしましても、今後、国から示されます新しい教材等を活用するということと合わせまして、「くらしネットKOCHI」をはじめといたします県の消費者情報紙を使いまして、霊感商法等に対します注意喚起を行ってまいる考えであります。
【マイナ保険証】
●中根県議 次に、マイナ保険証についてお伺いいたします。
現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化させると岸田政権が表明したことに国民的な批判が噴出しています。マイナンバーカードの取得は法律で任意とされています。国民皆保険のもとでほとんどの国民が持つ健康保険証をなくしてマイナンバーカードに統合するのは事実上の強制です。マイナンバーカードを持たない人の医療についてはこれから対策を考えるという無責任な姿勢です。認知症など手続きが困難な人たちへの対応も見えません。
カードの普及が進まないのは、国民が必要としていないからです。マイナンバーカードの交付率は11月末時点で全人口の53.9%しかありません。保険証を一体化させた「マイナ保険証」は昨年10月に本格運用が始まりましたが、登録件数はいまだに全人口の26%程度しかありません。デジタル庁が8~9月に行ったアンケート調査によると、マイナ保険証を申し込まない主な理由は「メリット・必要性を感じない」29%、「手続きが面倒」19.4%、「情報流出が怖い」14.7%などでした。
生活に欠かせない保険証と引き換えにマイナンバーカードの取得を迫るのは強権的であり、デジタル化の土台である政府・政治への不信を強めるだけです。また、現行の保険証を廃止しなければ新しい制度の構築も必要ありません。
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律・番号法第17条で「申請により、その者に係る個人番号カードを交付する」とあるように、あくまでマイナンバーカードの取得は申請に基づく任意(任意取得の原則)であることが規定されています。
◆法に定める任意取得の原則がある以上、カード取得を事実上強制するような健康保険証の廃止=マイナンバーカードへの一体化は行うべきではないと考えますが、知事のご所見をお聞きいたします。
○県知事 次に、健康保険証を廃止してマイナンバーカードへの一体化を行うことについてのお尋ねがございました。
マイナンバーカードへの一体化によりまして、本人の同意があれば、診察時に健診の結果あるいは服薬の状況、これまでの過去の状況などを確認できるようになります。これは、より良い医療の提供につながってくるというふうに期待をされているところであります。
一方で、マイナンバーカードは、本人の申請に基づいて交付されることとされました導入時の経緯を踏まえますと、取得を強制するような措置をとるのは、適切ではないというふうに考えます。
このため、一体化に当たりましては、国においてそのメリットや安全性など、国民の皆さんの疑問等に丁寧に説明を行いまして、理解を得ながら進めていただくということが必要だというふうに考えております。
●中根県議 また、日本共産党の宮本岳志衆院議員による「マイナンバーカードをつくらず、健康保険証利用登録も行わない国民を医療から排除するのか」との質問に対し、国は、「保険料を納めていれば保険診療を受けられるのは当然」と答弁しています。
◆マイナンバーカードを取得しない被保険者が保険診療を受けられない事態は避けなければならないと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
○県知事 次に、マイナンバーカードを取得しない被保険者の保険診療の確保について、お尋ねがございました。
健康保険制度として、マイナンバーカードを取得するか否かに関わらず、必要な保険診療を受けられることは、これは当然のことというふうに考えます。
岸田総理も、この点につきましては、10月の参議院予算委員会におきまして「保険証廃止後も国民の皆様が必要な保険診療を受けられる環境を整備していく、これは言うまでもない」というふうに答弁をされています。
県といたしましては、そうした環境の整備につきまして、国にしっかりと対応を検討し、また実行していただきたいというふうに考えております。
●中根県議 同時に政府は、23年3月末までに、マイナンバーカードを健康保険証として使うオンライン資格確認の導入の原則義務化を医療機関に求めています。全国保険医団体連合会が、10、11月に医師・歯科医師に実施した実態・意識調査では、回答した医療機関8707件のうち、保険証の廃止に反対65%、賛成はわずか8%。オンライン資格確認システムの運用を開始した医療機関のうち41%でトラブルが発生。システム準備中の医療機関の導入の理由は「必要性を感じていないが、義務化されたから」の回答が91%となっています。システム費用について、54%が「補助金を上回った」と回答しています。
とりわけ深刻なのが、高齢世代を中心に医師・歯科医師の1割が閉院・廃院を検討していると明らかにしていることです。
◆資格確認の義務化が病院・診療所などの閉院につながる事態を避けるため、地域医療を守り、県民の医療を受ける機会を保障する立場から、オンライン資格確認の義務化の中止・延期を国に求める必要があると考えますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、医療機関へのオンライン資格確認義務化の中止や延期を国に求めてはどうかというご質問、お尋ねがございました。
国は、医療分野のデジタル化の基盤となります、医療機関へのオンライン資格確認の導入を原則として令和5年、来年の4月から義務化するというふうにされたところであります。
ただし、医師が高齢である場合でありますとか、電子ではなく紙レセプトでの請求が認められている医療機関はこの義務化の対象からは除外されておりまして、かわって簡易な確認システムを開発し対応するという方針が示されております。
また、令和5年4月からの義務化への対応がやむを得ない事情で困難な場合には、国において対応状況の点検と検討を行い、協力が得られるよう努力をしていくという考え方が示されているところでございます。
県といたしましても、お話にありましたように、このオンライン資格確認の義務化が、結果として医療機関の廃止につながるようなといったことがないように、対応していただくことが必要であるというふうに考えております。
このため、国には適切な環境の整備を行っていただきまして、医療関係者の理解も得ながら、円滑な移行が進められるよう取り組んでいただきたいと考えているところであります。
【物価高騰・中小零細企業支援と最賃】
●中根県議 次に、物価高騰・通称零細企業支援と最賃についてお伺いいたします。
食料品や光熱費など値上げラッシュとなった今年10月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いて、昨年同月比3.6%上昇し、40年8ヶ月ぶりの上昇率という厳しい物価高騰となっています。
具体的な上昇率は、外食のハンバーガーが17.9%、あんパン13.5%、電気代20.9%、ガス代20.0%、携帯電話機の通信料16.5%など、生活全般にわたって、非常に高い率の物価上昇が起こっており、家計への深刻な打撃となっています。
先日は、四国電力が来年4月からの電気料金の値上げを発表するなど、今後も物価高騰が進むことが強く懸念をされます。
このような物価高騰の状況の中、賃金の底上げが切実に求められています。今年度の最低賃金の改定が行われ、10月9日から新たな最賃額が適用されています。今年度は過去最大の引き上げとなる、全国加重平均で31円、上昇率は3.3%となりました。高知県では、33円引き上げ、853円となっています。
◆今年度の最低賃金改定について、どのように受け止めているか、知事にお聞きをいたします。
○県知事 次に、本年度の最低賃金の改定について、お尋ねがございました。
本年度の最低賃金の改定は、ひとつには、新型コロナウイルス感染症が再拡大をし、県内事業者を取り巻く情勢は大変厳しい状況にあるということ。ふたつには、一方で、経済、雇用情勢は回復基調であること、あるいは人手不足が深刻化する兆しが強まっていること。 みっつには、さらなる要因といたしまして、物価高、特に生活必需品の価格上昇によりまして、非正規雇用労働者の生活への配慮あるいは、最低賃金の地域間格差の解消への配慮が必要であること。こういった要因を勘案されまして、昨年度を上回ります3 3円の引き上げの答申がなされたものというふうに承知をいたしております。
この引き上げの金額と引き上げ率4. 02%は、ともに全国で最大級の伸びとなっておりまして、地域間格差が一定程度是正の方向に向かっているという点は評価すべきものというふうに考えているところであります。
●中根県議 高知地方最低賃金審議会は、今年度の最低賃金引き上げの答申として、中小企業への支援策拡充も、合わせて国に対して求めています。
具体的には、業務改善助成金の制度見直し、最低賃金引き上げに伴う中小企業・小規模事業者に対する社会保険料の増額分についての時限的な減免措置の検討などが盛り込まれています。
◆中小企業への支援策拡充をもとめるこの答申を、どのように受け止めたか。また、県としても、国に支援拡充を強く求める必要があると思うがどうか、知事にお聞きします。
○県知事 次に、これに関連して、中小企業への支援拡充について、お尋ねがございました。
この本年度の最低賃金の改定に際しまして、経営者側の委員から、国に対しまして、継続的に賃上げがしやすい環境整備に向けた生産性向上の支援策などについて、拡充を求める声があがったというふうに承知をいたしております。
県では、こうした声も受けまして、中小企業対策の一層の強化につきまして、全国知事会などとも連携し、国に政策提言を強力に行ってまいりました。
こうした結果、今般の国の第2次補正予算におきまして、中小企業などの賃上げ環境整備を支援するために、事業再構築補助金の制度の拡充などが図られたところであります。
今後も、県経済の動向を注視いたしまして、事業者の方々のお声もお聞きしながら、必要に応じまして全国知事会などとも連携し、国に対して政策提言を行っていく考えであります。
●中根県議 最低賃金の引き上げは、中小零細企業の支援とセットでなければ、事業者の経営を圧迫することになります。
現状でも、物価高騰、特に、光熱水費の高騰など経費増が、中小零細企業の経営を大きく圧迫しています。12月補正予算でも、農業者等への燃油高騰等支援、協同組合や私立学校等への電気代の高騰支援が盛り込まれており、非常に重要な施策で評価をするものです。また、中小企業に対しては、新事業チャレンジ支援事業の中に、賃上げ加算を設けるなど、重要な施策も盛り込まれています。
ただ、光熱水費の急激な高騰に対し、まずは、その手当が必要な局面ではないかと考えます。徳島県は、「物価高騰対策応援金」として、中小・小規模事業者・個人事業主に対し直接支援する制度を創設しています。
◆徳島県の制度設計も参考にしながら、高知県としても、県内の中小事業者や個人事業者を対象に直接支援する制度を創設すべきと考えますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、中小事業者や個人事業者を直接支援する制度の創設を考えてはどうかという、お尋ねがございました。
昨今の原材料価格の高騰に伴いますコストアップにつきましては、顧客の方々への販売価格に転嫁をしていただくということにより、対応していくことが経済活動のメカニズムの基本であるというふうに考えるわけであります。
しかしながら、法令による制限などによりまして価格転嫁がままならない事業者の方々、業種の方々もおられるわけでございまして、こうした方々に関しましては、事業の継続を下支えするための施策を個別に講じていく必要があるというふうに考えるものであります。
このため、本県におきましては、これまで例えば第一次産業や医療、福祉施設などに対しまして、影響緩和策を講じてまいりましたし、今議会におきましては、電気料金などの高騰の影響を受けております公衆浴場あるいは私立学校を支援する予算案について、提案をさせていただいているというところであります。
また、他方で、事業者の経営を大きく圧迫いたします石油、電気などのエネルギー価格高騰への対応につきましては、これは全国的に広く影響が及ぶものでございますので、全国 知事会と連携をいたしまして、国において負担軽減に繋がる対策を講じていただくように、働き掛けを行ってまいったところでございます。
この結果、この度の国の総合経済対策におきましては、石油や電気、都市ガスの料金を抑える負担軽減策が国において行われるということになりました。
このような一連の経緯を踏まえまして、本県におきましては、中小企業等に対しまして、業種を問わずに薄く広く給付金を給付するというような選択はとらないと、見送るといたしたところでございます。
一方で、今回の物価高騰がある程度長期化するということが予想されますので、これに備えた構造転換を進めていくということが大変重要だという認識を、本県としてはしております。このような考え方から、本県では、今議会におきまして、新分野への事業展開あるいは生産性を向上させるデジタル技術の導入といった、中小企業の構造転換を力強く後押しするための予算案を提出させていただいたわけでございます。
今後とも県内の状況をしっかりと注視いたしまして、県経済の持続的な成長を確かなものとしていけますように、必要な対策を迅速かつ的確に講じてまいりたいと考えております。
●中根県議 ◆また、コロナ関連融資の返済開始が迫る中、事業者の事業継続を促すため、「国の新たな借換保証制度を活用した融資」をどのように周知徹底していくのか、商工労働部長にお聞きをいたします。
○商工労働部長 まず、国の新たな借換保証制度を活用した融資の周知についてお尋ねがございました。
事業者が、既存の融資について借換えを行おうとする場合には、融資を受けられている金融機関に相談されることから、まずは事業者に新しい融資制度に関する情報がしっかり届くよう、金融機関に協力を要請してまいります。
合わせて、事業者にとって身近な相談窓口であります、商工会や商工会議所などの関係機関と連携し、巡回指導や会報への掲載などによりまして、事業者への周知を図ってまいります。
さらに、テレビやラジオなどの県の広報枠を活用して、 積極的な情報発信を行うことで、コロナ関連融資の返済など、資金繰りに不安を感じている事業者の皆さまに、必要な情報 が届くよう、周知を徹底してまいります。
●中根県議 今年度の最賃改定は、過去最高の引き上げではありますけれど、全国の数値で見れば、物価上昇率に対して、最低賃金の上昇率が追いついていないのが実情です。また、昨年度は全国加重平均で3.1%の最賃引き上げでしたが、7月に発表された今年の中小零細企業の賃金上昇率は1.5%でした。このことを踏まえれば、物価高騰に対応するためには、さらなる最低賃金の引き上げで、賃金の底上げを促し平均を押し上げる必要があると考えます。
◆来年度を待たず、最低賃金の引き上げ・再改定を行うべきと考えますが、知事の認識をお聞きいたします。
○県知事 次に、最低賃金の引き上げや再改定について、これは年度内にも行うべきではないかというお尋ねがございました。
最低賃金引き上げ後の物価上昇の状況をみますと、労働者側の方々が更に賃上げをしてほしいと願う気持ちはよく理解できるところであります。
しかし一方では、経営者側の委員からは事業継続自体を危惧するご意見もあるという状況でございますので、更なる賃上げによる影響をしっかりと考えていく、吟味していく必要がある問題であろうと思います。
この最低賃金の改定につきましては、まず、国が中央最低賃金審議会にこの点を諮問いたしまして、地域別の最低賃金の目安が、地方最低賃金審議会に示されるという仕組みになっております。
そのうえで、地方最低賃金審議会、各県の審議会におきまして、労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力を考慮し、決定されると、そういった事務処理の流れとなっているわけでございます。
そうした意味で、このトリガーを引くのは国の判断ということになっておりまして、この点、国会においても議論がなされていると承知しておりますので、国において適切に対処がなされることを期待いたしておるところございます。
【インボイス】
●中根県議 次にインボイス制度についてお伺いいたします。
このような物価高騰の中で、来年10月から、消費税のインボイス制度が導入されようとしています。この間、日本共産党県議団としても、インボイスは中止・延期するべきと繰り返し提起をしてきましたが、物価高騰がいっそう進む中で、インボイス制度を予定通り実施できる状況にはないと、改めて指摘せざるを得ません。
インボイスの導入は、県内でも大きな混乱を招くと考えます。具体的にお聞きいたします。
高知県は、集落活動センターによる地域活性化の取り組みを進め、県内65カ所に広がっています。集落活動センターでは、特産品づくり、レストランなどによる飲食の提供などにも取り組んでいます。事業の売上高によりますが、これらの実施主体の中で、一般課税の事業者がいれば、仕入れ控除のために、取引相手に課税事業者になることを求めるか、自らが税負担するかの選択になります。こういった事態になれば、地域活性化の取り組みを阻害してしまいます。
◆集落活動センターへのインボイス制度の影響はどうか。想定される影響について、また、地域活性化の取り組みが阻害されないよう対策は検討されているのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。
○中山間振興・交通部長 集落活動センターへのインボイス制度の影響と対策について、お尋ねがございました。
これまでに聴き取っております集落活動センター自身のインボイス制度への対応、事業者登録をするかどうか、につきましては、取引先からの要請により、すでにインボイス発行事業者の登録を行っている、あるいは、その準備を進めているというセンターがある一方で、取引の規模と事業負担などを考慮し、同制度への移行を慎重に見極めている、というところもございました。また、センターが仕入れ先にインボイスを求めるかどうかにつきましては、検討中が多く見られ、現時点ではその対応を決めかねていることが、伺えます。
センターによって仕入れ先に事業規模や、取引の量、取引の継続性などの状況が様々であることから、今後それらを踏まえて個別に判断されるものと考えております。
今般のインボイス制度への対応によっては、集落活動センターの今後の取引や仕入れ先である地域の業者への影響も想定されることから、県ではアドバイザー制度を活用した税理士などの専門家派遣に取り組んでいるところでございます。
また、こうした取り組みとあわせまして、税務署などが主催するインボイス制度に関する説明会や相談会、これの地域への周知へも努めてまいります。
●中根県議 シルバー人材センターへの影響も懸念されます。
シルバー人材センターは、仕事を通じ、高齢者の社会参加、生きがいづくりに取り組んでおり、高齢化社会の中で、大切な役割を果たすとともに、高齢者の収入源としても重要です。
高知市シルバー人材センターを例にとれば、約4億円の契約金で、1000人の会員がおり、平均請負額は年間約40万円とのことです。インボイス発行事業者となり、簡易課税を選択するとして、約1万2000円~約2万円の税負担が生じます。加えて、インボイスの控えを7年間保存し、毎年消費税を納付する事務手続きも行わなければなりません。そうなれば、シルバー人材センターの脱会が相次ぐのではないかと懸念されています。一方で、会員が免税事業者のまま残ることになれば、シルバー人材センターは仕入控除ができなくなります。
◆県内のシルバー人材センターに関して、インボイス制度によって生じる税負担はいくらになると推計しているのか。またインボイス導入によって、シルバー人材センターから脱会が生じる事態は防がなければならないと考えますが、その対策は検討しているのか、商工労働部長にお聞きいたします。
○商工労働部長 次に、インボイス制度の導入がシルバー人材センターに与える影響について、お尋ねがございました。
インボイス制度の導入により生じるシルバー人材センターの税負担額については、制度の導入に伴って、各センターがどのような価格設定をするかなどによって消費税額が左右されますので、インボイス導入後の正確な試算を行うことは困難です。
仮に、令和3年度にインボイス制度が導入されていたとして試算してみますと、消費税相当額は県全体で、およそ1億 1千2百万円となり、 1か所当たりではおおよそ560万円と推計されます。
インボイス制度の導入に伴うシルバー人材センターへの影響につきましては、国会においても取り上げられ、国において、 導入により会員の就業機会が失われることがないよう、安定的な事業継続と経営基盤の強化を図るための検討が進められていると承知しております。
県といたしましては、国の動向をしっかりと注視するとともに、シルバー人材センターや関係する市町村からもお話を伺いながら、県として何ができるのか、検討してまいりたい と考えております。
●中根県議 財務省は、インボイス制度で、免税事業者約486万者のうち、161万者が課税事業者(インボイス登録業者)となると試算し、その税収増加分を2,480億円と見込んでいます。1者あたり15.4万円の消費税額となります。
重要なのは、このインボイス導入は実質的な増税だということです。価格転嫁されるとすれば、消費者の物価をさらに押し上げることになります。しかし、実態として、消費税の価格転嫁が適正にできているのか、ということそのものが問題となります。
日本商工会議所が、2020年6月に売上高別に消費税価格転嫁状況を調査しています。売上高1000万円以下のB to C事業者において、「一部あるいは全く転嫁できていない」が44%、同規模のB to B事業者では、25.6%となっています。
この間、消費税転嫁対策特別措置法などで消費税の価格転嫁を促してきた中にあっても、必ずしも価格転嫁ができていない状況です。
物価高騰の中、価格転嫁は一層困難になっています。インボイス導入が中小零細企業に新たな税負担を課すことになり、経営悪化、倒産・廃業などが起これば、取引をしている企業の業務の継続にも支障を来すなど悪影響の連鎖も考えられます。高知県は、中小企業・小規模企業振興条例を作りました。本気で中小企業を振興しなければならない観点から見ても、インボイス制度の導入は、マイナスの影響を与えるものだと危惧するものです。
この間の物価高騰の急速な進行、インボイス制度の問題点が周知されるにつれ、インボイス中止・延期を求める声は高まっています。
この間、エンタメ業界での反対の声が高まり、日本俳優連合、日本漫画家協会、日本アニメーター・演出協会、SF作家クラブなどが、インボイス反対声明を出しています。
全国の自治体でも、インボイス中止・延期を求める意見書の可決が相次いでおり、289自治体(11月3日時点)に急増しました。高知県内でも9自治体に広がっています。
県内事業者からも、「下請け業者(一人親方)は全員が、免税業者だが、要請しても課税事業者にはならないと思う」(一般課税・運輸関係)、「インボイス制度はするが一般課税になる可能性もあり、そうなると免税事業者との付き合い方を考えなければならない」(簡易課税・建設関係)、「インボイス登録はしないといけないが、仮にしないといった場合、代わりをできる業者もほとんどいない業種で、元請けも困るはず」(免税事業者・建築関連)などの懸念の声をお聞きしています。
◆このような懸念の声の高まりを、どのように受け止めているのか、知事にお聞きいたします。
●中根県議 政府・与党も、インボイス導入に当たり中小業者への3年間の税額軽減など激変緩和措置を新たに設けることが報じられています。が、時限的な緩和措置では、問題を先送りするだけで、解決になりません。
◆これまでも答弁をいただいていますが、改めて、経済状況悪化、また中止を求める世論の高まりという状況の変化を受けて、インボイス導入を中止・延期することを国に求める考えはないか、知事にお聞きをいたします。
○県知事 次に、インボイス制度に対する懸念の声の高まりをどう受け止めているのか、また、制度の導入を中止・延期することを国に求める考えはないかというお尋ねがございました。 関連いたしますので併せてお答えをいたします。
インボイス制度の対象となる県内の免税事業者の皆さんに、全国同様、取引先からの排除や事務負担の増加など、経営への影響を懸念する声があるということは承知いたしております。
ただ、インボイス制度の導入にあたりましては、軽減税率、複数税率の制度が実施されましてから4年間の準備期間、制度開始後6年間の経過措置が設けられまして、段階的に移行する配慮がすでに行われているところであります。
そして、さらに、現在、政府・与党におきまして、小規模事業者の負担軽減のための新たな経過措置を設けるということが具体的に検討されているという報道も承知をしているところでございます。
加えまして、本県独自の対応といたしまして、今議会に提出をいたしております補正予算におきまして、補助制度を創設いたしまして、中小企業等のインボイス制度への対応を支援するということといたしております。
インボイス制度は、消費税の複数税率の下で適正な課税を確保するために必要な措置と考えております。そのため、県内事業者の皆さんが円滑に新制度に移行できますように、税務署とも連携を図りながら、周知、広報等の支援に努めてまいるという考えであります。
【介護保険制度見直しについて】
●中根県議 次に、介護保険制度見直しについてお聞きいたします。
物価高騰の一方、暮らしをささえるはずの社会保障が、切り捨てられています。年金は、0.4%減額され、10月から後期高齢者医療制度の窓口負担(現在原則1割)に、初めて2割負担が導入され、約370万人が大幅な負担増となっています。
介護保険も、2024年度の介護保険制度見直しへ向け、厚生労働省案では、負担増、サービス切り捨てなどの大改悪が狙われていました。しかし、広範な反対の声により、「要介護1、2」の生活援助の市区町村事業への移行、ケアマネ有料化などは見送られる方向となったと報じられていますが、11月28日の社会保障審議会介護保険部会では、介護保険サービス利用時の自己負担割合が2割となる対象者を拡大することの是非が議論されています。
介護保険の自己負担は現在、原則1割で、単身者で年金を含む年収280万円以上など、一定以上の所得のある人は2割、同じく340万円以上など「現役並み」の所得がある人は3割となっており、65歳以上の所得上位20%が3割負担の対象となっています。厚労省の資料では、10月の後期高齢者医療費の窓口負担が2割となる対象が、単身者で年金を含む年収200万円以上などに拡大されたことを踏まえ、介護保険でも2割負担の対象を、拡大するものです。単身者で年金を含む年収200万円以上などに拡大した場合、2~3割負担の対象者は65歳以上の所得上位約30%に拡大すると推計しています。
全日本民主医療機関連合会が、施設入所者と在宅サービス利用者を対象に、9月中旬から10月にかけて調査を実施しました。施設入所者は514人回答しており、利用料2倍化した場合について、「施設を退所、もしくは退所を検討する」13%でした。在宅サービス利用者は1097人回答し、「サービスの利用回数や時間を減らす」「サービスの利用を中止する」などの回答が34.4% (複数回答)となっています。調査結果について、民医連は、利用料の支払いが困難でも、利用を減らせない、退所できない等の事情を抱えた利用者が存在するとしたうえで、「本人、家族に生じる深刻な影響が可視化してこないおそれがある。引き上げ案の検討中止・撤回を求める」とコメントをしています。
◆激しい物価高と年金削減、医療費負担増という中での介護保険の負担増であり、その影響は、特に高齢化が進んでいる本県では、きわめて深刻です。どう受け止めているのか、知事にお聞きをいたします。
○県知事 次に、介護保険の利用者負担増の影響について、お尋ねがございました。
国におきましては、高齢者人口の更なる増加と生産年齢人口の減少を見据えまして、介護保険制度の持続可能性を確保するという観点から、制度改正に向けた議論が行われております。
お話にありました自己負担割合の見直しなどの負担と給付の在り方につきましては、世代間・世代内の公平性を確保しながら、負担能力に応じて皆で支え合うということが重要であるというふうに考えます。
この点については、国の審議会においても様々なご意見があると承知しておりますが、給付の面において、何よりも必要とされる方に必要なサービスが確実に提供されるということが大切であるというふうに考えます。
その一方で、今後の給付の増加を踏まえますと、所得が低い高齢者世帯の実情を十分に考慮いたしまして、その負担能力に応じた適切な負担の在り方が検討される必要があるというふうに考えております。
県といたしましては、国において、様々な意見を踏まえた議論を通じまして、介護保険が将来にわたって持続可能なものとなるように、動向を注視してまいりたいと考えております。
●中根県議 介護の負担増、サービス利用の抑制は、高齢者の暮らしとともに、その家族の負担増や介護離職の拡大、またコロナ禍で経営が悪化した事業者の撤退、倒産など働く場の減少などにも連動します。
介護、医療、福祉分野は、本県の経済と雇用において、大きな比重を占め、その充実には、大きな意義があります。介護保険料・利用料の高騰の原因は、介護保険発足当時に国庫負担率を従来の給付費の50%から25%に引き下げたことにあり、このうち5%は、後期高齢者の比率が高い自治体などに重点的に配分される調整交付金です。全国市長会、全国町村会も、この調整交付金は25%の外枠にして、国庫負担額を引き上げることを、繰り返し要望しています。
◆介護サービス利用の抑制につながる負担増を中止し、国庫負担の引き上げこそはかるべきだと思いますが、知事にお聞きします。
○県知事 最後に、介護保険の国庫負担割合の引き上げについて、お尋ねがございました。
お話のありました5%の調整交付金は、後期高齢者比率の高い 市町村に手厚く配分されるといった形で、市町村間の財政力の差を解消するということで介護保険制度の安定に寄与をしているというふうに評価しております。
高齢化が進む中で、将来にわたり安定して制度を運営していくためには、給付と負担の議論の中で、国と地方の負担の在り方についても検討する必要があるというふうに認識をしております。
全国の知事会におきましても、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるように、国と地方の負担の在り方を含めて、必要な制度の改善を求めて、国に提言を行っております。 引き続き国の動きも注視しながら、持続的な制度となるということを第一義にすえまして、全国知事会などと連携し、取り組んでまいりたいと考えております。私からは以上であります。
●中根県議 本県では、中山間地域介護サービス確保対策事業費補助金が設置され、過疎地域での介護事業を支援しています。この中に、新規職員の雇用年度の5%の上乗せをする支援策が盛り込まれていますが、大豊町などでは、新規雇用自体が非常に困難で、活用できていないとお聞きをしています。
◆中山間部での介護職員確保のため、新規就労年度だけでなく期間を拡充することや、事業所への助成ではなく就労職員自身への補助を盛りこむ等、制度の改善に取り組む考えはないか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。
○子ども・福祉政策部長 中山間地域での介護職員の確保に向けた、補助制度の改善についてお尋ねがございました。
県では、平成23年度から「中山間地域介護サービス確保対策事業費補助金」を創設し、市町村と一体となって、遠隔地に介護サービスを提供する事業者に対して支援を行ってまいりました。
具体的には、サービス提供の移動時間に応じた経費を一部補助するとともに、新たに常勤職員を雇用した場合、最長1年間の支援を行っているところです。
介護分野における人材不足が深刻な課題となっている中、特に、中山間地域においては、地理的な条件が不利なこともあり、介護人材の確保がより一層厳しくなっております。
今後、さらなる高齢化の進行による介護ニーズの拡大が予想される中、中山間地域における人材の確保は、必要な介護サービスを充実させ、遠隔地まで行き届かせるための大きな課題となっております。
そのため、県としましては、市町村と協議を行いながら、申山間地域における人材確保の際の地理的なハンディを、より一層軽減させる視点から、補助制度の充実を視野に検討を深めてまいります。
【農業問題】
●中根県議 次に、農業問題についてお聞きいたします。
とりわけ、現在取り組まれているJA高知県の経営基盤強化対策と関連して、本県の農業をどのように振興していくのかお聞きをいたします。
JA高知県が経営基盤強化対策をすすめる背景には、何よりも、長年のマイナス金利政策により、JAの経営を下支えしてきた信用共済事業収益が減少してきたことがあります。
そして、この経営基盤強化対策は、第一に今後もこの低金利政策が続くことが見込まれること、第二に本県も人口減少が予想され、農業従事者・組合員も減少傾向にあること、第三に最近の世界情勢の影響で農業資材等の高騰が生産者のみならずJAに大きな影響を与えていることなどの経営環境を考慮して、早急に経営基盤を強化しようというものです。
JAは自己改革の基本目標である「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」に沿い取組むことは変更しないとしています。しかし、この取組は、地域農業や地域住民に大きな影響を与えることになります。
そして、JAは環境制御技術等を活用した増収対策や、新品目・新技術の研究、生産・物流コストの削減対策、地域の活性化対策などには引き続き取組んでいくとし、JAがこれらの取組みを継続していくためにも、収支均衡以上の経営を維持できるよう、将来を見据えた事業・組織・経営の改革が必要としています。
その上で取り組まれるのが、現在行われている自己改革であり、更に来年度以降もJAは新たな改革を進めることで、今後の農業人口の減少等を踏まえて、事業所の人員体制の見直し等も視野に入れています。
こうした中で、地域の皆さんにとって危惧されるのがJAの支所や購買部、ガソリンスタンドなどの統廃合の影響です。こうした「改革」は、地域の農家にとっても、地域住民にとっても、暮らしと経営に大きな影響を及ぼします。ある中堅農家では、統合によって「支所が遠くなると大変不便になる」と話します。
課題があれば、みずから改革を行っていくことは必要ですが、肥料や燃油等の値上がりが農家の大きな負担になっているもとで、また農家の高齢化も進んでいるもとで、JAの支所統合などの改革の影響によって地域農業が衰退するようなことがあってはなりません。
◆県は、JAのこうした自己改革が、地域の農家や、地域住民にどのような影響をあたえると認識しているのか。また、JAの自己改革の影響を踏まえて、家族農業をどう支え、地域農業の振興をどう図っていくつもりか、農業振興部長にお伺いいたします。
○農業振興部長 J Aの自己改革による地域への影響と、それを踏まえた地域農業の振興について、お尋ねがございました。
JA高知県の自己改革による持続可能な経営基盤の確立は、組合員の皆さまが安心して農業に打ち込める環境づくりにつながるための経営判断として取り組まれており、組織再編などの取組は、やむを得ない面があると考えております。
一方で、地域から「職員も少なくなり、機能が十分に発揮されていない。」「JAが遠くになった。関わりが薄くなったと感じる。」などの切実な声が上がっていることは承知しており、組合員の皆さまには、利便性の低下や経済的な負担の増加など、地域での暮らしに様々な影響があると認識しております。
もとより、JAは一般的な企業とは異なり、地域のインフラを支える公的な役割も有しております。
このため、自己改革を進めるに当たりましては、自己改革の目標や将来ビジョンについて、組合員の皆さまはもちろんのこと、市町村やJAを利用されている地域住民に対して今まで以上に丁寧な説明をする必要があると考えております。
また、本県農業を支えている家族農業の経営は、昨今の肥料や燃油等の高騰等で大きな打撃を受けており、この自己改革が、農家の経営への更なる負担につながらないよう、対策が必要であると考えております。
とりわけ、本県農業の約9 7パーセントを占める家族経営体の経営発展を図ることが、本県農業の持続的な発展に不可欠であります。
このため、県では、各農業振興センターやJ Aにおいて、I o Pクラウド内に蓄積されたデータを活用したきめ細かな栽培指導を徹底するデータ駆動型農業を推進しております。 この取組をJAとともにしっかり取り組むことで、収量増と経費削減の両面で効果の最大化を図り、農家の経営改善につなげていきたいと考えております。
今後も、このような取組を通じまして、農業者の皆さまが将来にわたり安心して農業を継続していただき、ひいては地域農業の振興につながるよう取り組んでまいります。
【教科担任制と教員の確保】
●中根県議 次に教科担任制と教員の確保についてお伺いいたします。小学校高学年での教科担任制が今年度から本格的に始まりました。
高学年の教科担任制は、外国語や算数、理科、体育などで専門性を持つ教員などが授業を行うものです。文部科学省の中央教育審議会が、担任の持ち授業時間数を減して授業準備の効率化を図るとして、「2022年度をめどに本格導入が必要」との答申をだし、検討会議が2021年7月にそのあり方を公表しました。
国は2022年度に本格導入としながらも、今年度の教科担任制の教員追加予算はたった950人分。20校につき一人分でしかありませんでした。
◆高知県でも今年度から希望する学校で実施されていますが、何校実施し、負担軽減と授業準備の効率化に本当につながっているのか、教育長に現状を伺います。
●中根県議 今年、教科担任制が実施されて以降、高知県教職員組合が県内の全小学校・義務教育学校に「小学校専科授業のあり方」アンケートをとっています。
加配の専科教員の配置された学校では、よかった点として「高学年担任の空き時間や教材研究の時間が確保できる」「複数の目で児童が指導できる」などがあげられています。が、専科教員には再任用の教員が充てられている例も多くあります。国の加配規定では、「週に20時間以上の授業を受け持つ」とされているため、「再任用の教員が、毎日1~3時間目は6年生の算数。4~6時間目は5年生の社会となり、空き時間はない」との回答もありました。週4日勤務の専科教員に、週5時間ある算数を持たせたために、そのうちの1時間は担任が授業を受け持つ事例も生まれています。
加配のない学校では、特別支援学級や、通級の担任が行う形が一番多く、ついで教頭先生や他学年担任、近隣の中学校からなど、各学校の工夫にまかされています。他校との兼務では、「打ち合わせをする時間がなくて子どものことを共有できない」「昨年は本校だけだった理科専科が3校兼務となり本校に週2日しか勤務できない。校務分掌の担当ができなくなり、働き方改革とは逆行している。児童との関係作りも難しい」。中学校との兼務では、「小中学校では時間割が違う」「小学校の授業経験がないので困る」。担任同士の交換授業では、「時間割を組むのが難しい。」「受け持ち時間の削減になっていない」との回答が集まっています。
加えてアンケートには、「学校規模に関係なく、人員配置のプラスアルファが不可欠」「加配措置があってこそ実施できる」との声が多く寄せられています。
専科教員が加配され、担任の負担軽減をはかることができますが、加配のない現場で教科担任制を強制すれば、軽減どころか過密労働が押しつけられます。また、各校の現状や小規模校などでの実態に見合った導入が求められています。無理を重ねて学校全体の運営などに支障が出ることがないようにすべきです。
◆これらの学校の現状をどう受け止められていますか。教育長に伺います。
○教育長 まず、教科担任制の実施校数とその効果、そして、加配のない学校等の状況についての受け止めについてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをさせていただきます。
本県では、昨年度、37校の指定校で教科担任制についての事前研究に取り組みました。本年度は、68名の加配教員を配置し、兼務校も合わせて78校で教科担任制をすすめております。また、加配措置はされていませんが、市町村や学校の実態に合わせて、独自に教科担任制を行っている学校も多くございます。
この教科担任制を実施している学校からは、①小中9年間を見通した専門的な教授を行うことができる、②児童生徒と向き合う時間が確保できる、あるいは③専科教員が授業準備を行うことによって学級担任の負担が軽減される、といった声が聞かれており、教育効果や教員の負担軽減に一定の効果があるものというふうに考えております。
一方で、加配が配置されずに教科担任制を行っている学校からは、授業交換だけでは持ち時間の削減にはならない、時間割の作成が難しい、加配教員等の支援が欲しい、といった課題を指摘する声があがっていることも承知しております。
そのため、県教育委員会としましては、今後、教科担任制を実施していく際に生じるであろう様々な課題について、その解決を図っていく必要があると考えております。次年度に向 けましては、まずは大規模校だけでなく、小規模校への加配の配置も見込んで、国に対して小学校教科担任制の加配の要望を行っているところでございます。
また、域内の他の小学校や中学校との連携による教科担任制の実施も考えられますので、市町村教育委員会や校長会とも丁寧な協議を進めてまいります。
●中根県議 推進を打ち出した文科省は、教科の種類や専科教員の持ち時間数について枠をはめているのではなく、実施できる範囲で行うようにとしています。
県は2024年度には全小学校での実施を検討するとしていますが、全小学校での実施ありきではなく、各校の判断と無理のない教科担任教員の配置なしに踏み切ることはできないと考えます。
◆各校の判断を大切にし、教科担任制ありきの考え方を押しつけることがないように求めますが、教育長にご所見を伺います。
○教育長 次に、各校の判断を大切にした小学校教科担任制の考え方について、お尋ねがございました。
先ほども述べましたように、小学校教科担任制は、義務教育9年間を見通した専門的な教授が可能となるとともに、中1ギャップ解消への効果も期待されます。また、教員の働き 方改革が図られるなど、小学校における効果的な取組のひとつと考えております。そのため、全ての小学校において状況に応じた効果的な取組を研究していただきたいと考えております。
ただ、小学校教科担任制は手段であって目的ではありません。その在り方や方法については、学校長が各学校の実態に応じて検討し、市町村教育委員会と相談しながら適切に判断・実施されるものであると考えております。
県教育委員会としましても、子どもへの教育効果の向上と 教職員の負担軽減の両立を目指した教科担任制に多くの学校が積極的に取り組んでくれるように、市町村教育委員会や校長会ともしっかりと話し合い、また連携し、加配教員の配置や学校間連携の仕組みなどの環境整備に努めてまいります。
●中根県議 今、教育の現場は大きく変わろうとしています。デジタル化の下で、これまで学習指導要領にない分野が学習に盛り込まれ、週5日の授業時間割を組むのも現場では一苦労です。
そんな中、先生のいない教室がこれまで大問題となってきました。先生の不足やゆとりのなさは教育を受ける子どもたちにとって最大の悲劇です。県教育委員会もこれまで教員確保について様々な努力をしてきましたが、現状はさらに多くの先生が必要となっています。
文部科学省は今年11月1日に都道府県教育委員会に対し、「産・育休代替教師の安定的確保のための加配定数による支援について」との事務連絡を出しました。来年4月からいわゆる「教師不足」の改善を図る方策の一環として、年度の初期頃に産・育休を取得することが見込まれている教師の代替者を4月の年度当初から任用することも有益として、加配措置支援を講じる予定にしているというものです。大変歓迎される事務連絡です。
◆実施のためには、臨時教員の確保が求められると考えますが、どのように取り組まれるおつもりか、教育長に伺います。
○教育長 次に、臨時教員の確保について、お尋ねがございました。
近年、正規採用者が増加する一方、臨時教員の希望者が減少しており、その確保が課題となっております。そのため、臨時教員の確保に向けて、採用審査受審者への働きかけや県内大学での説明会の開催、そして市町村の広報誌を通じた募集といった取組を行っているところでございます。
また、臨時教員の減少への対応策ともなり得る再任用教員の確保にも努めており、定年退職予定者への資料配付や、市町村教育長会や各学校長を通じた退職予定者への働きかけな ども行っております。
さらに、市町村教育委員会や各県立学校とも連携し、教員免許状を保有している方の掘り起こしや、すでに退職した教員への働きかけなども行っており、こうした取組を通じて、今後とも臨時教員の確保に努めてまいります。
●中根県議 県はこの間教員確保のために、3年間の任期付教員確保を行ってきました。
この皆さんは、臨時的に現場につく要件が限られていて、育休代替になどに限られた場合となっています。
◆今、任期付教員の採用数は何人になっていますか。教育長に伺います。
●中根県議 せっかく3年間の任期を確保している方々が、任期中に退職届を出して賃金の低くなる臨時教員につくこともあるとお聞きします。任用がない時期は無給で、ボーナスもない状況になるのでしょうか。本来保証すべき3年間は給与も保証し、働く場も確保できる状況にすべきではありませんか。
◆採用要件を追加し、任期付きの間に切れ目なく仕事ができる体制にすることが急務かと考えますが教育長に伺いをし、私の第一問といたします。
○教育長 最後に、任期付教員の採用数と採用要件の変更による切れ目のない職の確保について、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えさせていただきます。
本県におきましては、任期付教員は、法令に基づく育児休業又は配偶者同行休業を取得する教員の代替として、 3年間の期限で名簿登載し、その中から必要に応じて採用され、正規の教諭と同等の給与が支給されます。
本県では、今月5日現在、小中学校で35名、高等学校で 8名、計43名を採用しております。
任期付教員は、育児休業等を取得した教員が復帰した場合などには、予定されていた任期の途中であっても雇用が終了することとなります。この点については、要件を変更することは難しいと考えておりますが、本県では、こうした場合には新たな学校で育児休業の案件があった場合に、任期付教員としての採用や、あるいは、臨時教員としての雇用を検討し、できる限り職が切れないよう努めております。今後とも十分配慮してまいりたいと考えております。
【第二問】
●中根県議 はい。それぞれ、ご答弁ありがとうございました。二問をいたします。
まず最初に、知事に統一協会問題です。お答えいただきましたが、前回9月に国際ハイウェイ財団などがなぜ入っていないかという質問をした時に、総務部長が確か他の県と並んで十の団体だけ調査しました、ということで、その後、先ほどのご答弁で、調査をしたというふうにおっしゃったように私思ったんですが、どのようなところまで範囲を広げて調査をされたのかを、その上で影響はなかったんだというふうなご答弁だったかと思いますが、もう一度、その点を願いしたいと思います。
また、今日のお昼のニュースでも国会・国の方でも5億円の特別枠を作ってそれ統一教会問題に対応するための予算を作りますというお話をされておりました。で、県も消費生活センターで、こういう役割をお受けになるというお話もありましたけれど、市町村との関係も良く加味してですね、よく話し合いをする中で人員の配置なども予算が出るのであればですね、しっかりして対応をしていただくように考えてはどうかと思いますが、その点も少しお答えいただきたいと思います。
それから次は、今やっぱりあの光熱水費なども含めて本当に大変になっている生活の中で、私たちは、徳島県の制度設計というのは、いろんなことを県もしてきたけれど、まだできていないところ、やっぱりすべきではないかという、小さな企業、事業者など本当に苦労されているというふうに思いますので、こうした点で、まだ高知県が行っていないことを今一度考えてみていただきたいというふうに思っているのですが、その点でもう一度お答えをお願いしたいと思います。
同時にあのコロナ関連融資の借り換えの問題ですが、幅広く、これまでコロナ融資、いろんなことやってきました、そのお金を返すための借り換えについてであるのであれば、第何号とかいうだけではなく、なるだけ幅の広い形で、その制度を使っていけるようにしていただきたいと思うんですが、その点もう一度、商工労働部長、お願いいたします。
それからもう一つ、介護の問題です。先ほど、補助制度を考えていきたいというご答弁を頂きました。今日の高知新聞にも介護事業所が倒産をしてですね、本当に大変なことになっているという、単純に人の問題ではなくコロナの問題もあり物価高もあり、いろんなことが今渦巻いている中で、全国の中でも本当に先進を行っている高齢者県で自然減の県ということであれば、よそがやっていないことをどんどんと提案していく、実施していく必要があるのではないかと。避けては通れない介護制度の問題では、是非とも、補助制度を早急に幅を広げて、そして救済をする措置、制度として介護が成り立つようなそんな形をとっていただきたいと思いますが、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
最後に教育長にお聞きをいたします。
教育は、やっぱり人がどうしても必要です。私たちのところには、つい最近ですね、先生がいないんですと。これまであったんですけれど、子ども達が落ち着かない中で、先生も病休を取られて、本当に困ってるんだという声が相次いで相談として入ってまいりました。私たちも、ご苦労されているのはもちろんわかっていますが、徹底して人を確保するということをやっていかなければ、高知県の教育が成り立たないんじゃないかという危機感を持っております。
そんな中で臨時教員をどう確保するか。今、全国で一番早い試験をやっておりますけれども、やっぱりそれは試験のお試しになったような形で、合格をしていても辞退をされる方がたくさん出ている。それよりも、今現在、高知県の中で臨時教員をされている方達をもっと大事にして、その方たちがきちんと採用されて、高知で臨時教員をしていたら、あんなふうに採用になっていくよ、というふうな道筋もつけていく。そういうことも大変大事じゃないか、というふうに思うんですね。加えて、今、教育委員会の指導主事がずいぶんたくさん各学校に配置をされております。四国四県で、これは吉良県議も先日来、今年の3月に県議会で質問しておりますけれども、他の県では1%大体40人程度になっているんですが、高知県ではなんと178人配置をされていると。こういう先生方を、指導主事も大事だけれど、現場に戻す、という考え方も必要ではないか。
もう一つ任期付き教員ですけれども、これは育児休業法の下での法律に基づいてではありますが、静岡県などではその育児休業が終わってもその年度に配置されていた方は、その年度まるまるその学校に行っていいというふうな形も生まれていまして、是非とも全国のあり方を検討して、人を大事にしながら人を育てる、それによって教員も確保する、そういう形を取るべきだというふうに思っていますが、それぞれ、お答えいただきたいと思います。
○県知事 まず、統一協会の関係団体の県との関りの調査についてであります。
お話がございましたように、また答弁申し上げましたように、県の各所属に対しましては10団体の名前を個別にあげまして、この団体を中心に、関わりがないかということで調査したわけでありますが、ただ調査の過程の中でこの10団体に限らずですね、統一協会との関係があるということを把握した場合には、併せて報告をしてもらいたいということを申し添えて、調査をしたとこでございます。
その中で、この10団体以外でですね、具体的にこの団体でこういう関わりがあるとの報告がございませんでしたので、その意味でこのハイウェイ財団というのを、あえてこの10団体の中に入っておりませんでしたけれども、この10団体以外の可能性があるところというところも含めて、調査をしたにも関わらず、出てこなかったというのが前回の調査結果でございますから、そういう意味で、あらためて現時点で調査を実施する必要はないのではないか、ということを申し上げたということでございます。
それから、お話ございました国の方でも、私も報道で承知いたしましたけども、この統一教会の相談対応などに対しまして、国から地方に対してですね、5億円というような報道がございました。特別枠ということでございました。まだ具体的な中身をよく聞いておりませんので、国にも確認をいたしまして、また、この相談の対応等で、国が求める水準も含めてですね、具体的にどのような体制、人員も含めまして、必要かというところの吟味も必要でございます。こうしたことも精査をいたしました上で、いずれにいたしましても、しっかりと相談に応じさせていただいて、対応が取れる体勢をとらないといけないと思いますので、これは国の財源というところも含めて検討させて頂いて、必要な体制の整備や考えたいというふうに思っております。
それから、徳島県のような制度を設けてどうかと、物価高の関係でございますが、これは繰り返しになりますけれども、今回の物価高資材高の対応について、一義的には経済的な対応としては、これは取引の価格に、販売価格に転嫁をしていく、というのが一般的な対応の方法だということだと考えます。
ただ特に公定価格が設定されておって、価格に転嫁がしようがない、というような医療福祉の世界でありましたり、実情これがどうしても難しい一次産業の分野でありましたり、こういったところを特定して支援をしていく、という考え方で本県の場合は整理をさせていただいた、ということでありまして、薄く広くという形の徳島県の場合は10万円ないし20万円、薄く広く支援をすると、業種は問わないということでございますが、この種の支援に関しましては、国の方で電気代ないしはガソリン代、ガス代、こういったものついて幅広く支援をするということを直接国が執行されるということでありますから、それによりまして、狙った効果が発揮できるのではないかと。
県としては、臨時交付金など財源を頂いておりますけれども、その部分はむしろ中長期を睨んで、今後の省エネの設備でありましたり、新分野の進出、あるいは構造転換、こういったものを図っていくための設備投資などを支援していく、というふうに予算を回したいということで対応させて頂いたということでございます。
〇商工労働部長 先ほどの国の新たな借換保証制度に関してですが、国の方からまだ詳細な制度設計の方は示されておりませんけれど、セーフティネット4号だけではなしに、セーフティネット5号だとか、それから一般保証の部分も含めて幅広い方々にご利用いただけるような格好で検討しているという情報は頂いてるんですけど、ちょっと確認しないとわかりませんので、ただ我々としてもやっぱり出来るだけ幅広くご利用いただきたいなという思いはいっしょです。以上です。
〇子ども・福祉政策部長 介護職員の確保のための補助金の見直しの検討ということでございます。
まず、一点目は、市町村とともに制度を作っておりますので、市町村との協議を充分に行って来たいと考えております。また、県としましては、やはり街部と同じ条件ではなかなか中山間では難しい、そういった採用のインセンティブになるような、そういった検討ができないか、というご意見もありますので、そういった視点も踏まえまして、検討してまいりたいと考えております。
いずれにしましても、予算編成過程の中で議論をしっかりとしながら、検討を深めてまいりたいと考えております。
〇教育長 まず、一点目です。指導主事等に関わっての件ですけれども、本県の教育課題の大きさ、そういったものを見た時に、教育施策を推進する、あるいは市町村教育委員会や学校からの要請に応えてですね、学校等を支援していく、そのためにはそれ相応のやっぱり指導主事というのは必要になってくると思います。ただですね、今後、そういった本県の教育課題といったものが解決し減少していく、そういった段階においてはですね、この指導主事数の見直しは当然行っていくべきものだ、というふうには考えております。
そして二点目、任期付き教員の採用についてでございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、現在の取り扱いを変更することについてはですね、難しいものというふうに考えておりまして、私どもとしましても出来る限り職が切れないよう、十分に配慮していきたいとふうには考えております。実際にこれまで任期付き教員採用が中途で終了した場合には、少なくとも臨時教員として採用しており、空白の期間があった事例はございません。今、言われましたように他県の取り扱いにつきましても研究はしていきたい、というふうに思います。
●中根県議 ありがとうございました。最後、教員の問題ですけど、本当に先生がいないというのは、子ども達にとっても悲劇だということを言いましたけれども、保護者にとっても、それから、高知の未来にとっても大変なことだというふうに思います。
今、コロナそれから物価上昇、様々な点で高知県だけでなく、やっぱり日本の政治の場が揺らいでいる中で、さらに介護保険の見直し、インボイス、様々な苦難が県民にのしかかろうとしています。
私たちはやっぱり国の動向を見るだけではなくて、県民の苦難を取り除くという視点で、行政が国に対して物申していくと、こういう姿勢を是非これからもとっていただきたい。少しでも安心できる生活ができるような高知県にしていきたい。その思いを込めて質問をさせていただきました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。