議会報告

  • 2022年10月17日
    2022年9月議会 中根議員の「世界平和統一家庭連合との関係を断ち切り、被害防止及び救済を求める意見書(案)」賛成討論(2022.10.14)

●中根議員 私は、ただいま議題となりました議発第8号「世界平和統一家庭連合との関係を断ち切り、被害防止及び救済を求める意見書(案)」に賛成の立場で、討論を行います。

 世界平和統一家庭連合、旧統一協会と政治の関係に、今、県民、国民から厳しい視線が注がれています。

 信教の自由を認められるのは当然ですが、最大のこの問題点は、旧統一協会とその関連団体が、反社会的な違法行為を繰り返してきた集団であるという点です。不安をあおり高額な献金や物品購入を強要すること、正体を隠して行う伝道、当事者の意思を無視した集団結婚など、裁判でその違法性が指摘されてきました。

 東京高等裁判所平成28年6月28日判決は、現役の信者女性の元夫、平成23年10月離婚をしていますが、統一協会に対し、婚姻期間中、妻に夫の意思に反して夫の相続財産や給与・退職金などを献金させこれを受領したということで、この損害賠償請求訴訟について、平成7年から21年までの148項目もの被害主張があり、約3790万円について、統一協会の組織的不法行為を認めています。

 あるいは、札幌地方裁判所平成26年3月24日判決及び札幌高等裁判所平成27年10月16日判決は、統一協会の伝道について「宗教だと明かさない伝道活動で教義をすり込み信者の自由を侵害した」と認定し、違法な勧誘行為で入信させられ、精神的苦痛と経済的損害の賠償を求めた元信者3人に合計約3800万円の支払いを命じています。

 また、最高裁判所平成8年4月25日判決では、合同結婚式参加者の婚姻無効の判断も下されています。統一協会の合同結婚式後に入籍した日本人信者男女の婚姻の無効を認め、婚姻意思の不存在を主張した元信者女性の主張を認容しました。同種の判決や家裁の審判例は全国で50件を超える、といわれています。

 刑事事件でも、統一協会関連団体で霊感商法を行う有限会社「新世」(しんせい)の事務所や同社代表取締役の自宅などに強制捜査がなされ、ことさら不安をあおって印鑑等を売りつけた特定商取引法違反で、社長らに有罪判決が下されています。判決は、「印鑑販売の手法が、信仰と混然一体となっている」、「統一協会の信者を増やすことも目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていた」と認定しています。田中富広・現家庭連合会長が、8月

に開いた自らの会見で述べた「霊感商法を、過去においても、現在も当法人が行ったことはない」との言葉がいかに事実を歪めたものかが明らかになっています。ここには全く自らの違法な活動への反省が見られません。

 このように、統一協会とその関連団体は組織的に違法行為を繰り返し、2009年のコンプライアンス宣言後も被害が続いていることは、全国霊感商法対策弁護士連絡会の調査でも明らかになっています。違法行為を組織的に繰り返す統一協会と関連団体は、反社会的団体と言わざるを得ず、これに政治家が関わることは、その活動に信用を与え、被害を拡大するものであり、許されません。

 旧統一協会の関連団体は、天宙平和連合、世界平和女性連合、世界平和教授アカデミー、世界平和国会議員連合、全国大学連合原理研究会これはワールドカープ・ジャパンとも呼ばれます、真の家庭運動推進協議会、ハッピーワールド、一心病院、国際ハイウェイ財団、ピースロード、日韓トンネル推進全国会議、中和新聞、世界日報、ワシントン・タイムズなど、ここに名前を取り上げたのはほんの一部ですけれども、多岐に渡っています。

 安倍元首相が今年、2022年に、天宙平和連合(UPF)主催のイベント「神統一韓国のためのシンクタンク2022希望前進大会」の発足式にビデオメッセージで登場して「文鮮明(ムンソンミョン)教祖の妻であるハンハクチャ総裁の名前をあげて「敬意を表します」と語ったことを始め、多くの政治家が、会合での挨拶、祝電を送るなど、お墨付きを与え、広告塔の役割を果たしてきたことが、被害を拡大することにつながったことは明白です。

 岸田総理大臣は、8月31日の記者会見で、統一協会との「関係を断つ」と約束しました。しかしながら、共同通信が10月になって8、9日に行った世論調査では、自民党が統一協会と党所属議員の関係を公表した調査を巡り、党の対応が「十分ではない」との回答が83.2%と圧倒的多数を占めており、県民・国民のこの問題に向ける疑念の強さを表しています。政治は、この県民・国民の声に応える実効ある措置をとらなければなりません。

 意見書案は、政府として責任ある調査をし、政府と反社会的な活動を行う統一協会との関係を断ち切ることを求めています。また、国会においては、徹底した議論を通じて、政治家と統一協会との関りを明らかにし、その関係を断つことを求めています。

また、今なお続く、統一協会による金銭被害、あるいは、いわゆる「二世」と呼ばれる信者の子ども世代への人権侵害など、これ以上被害を拡大させないよう、国において責任を持ち、救済をしなければなりません。

 高知県議会議員も、幾人かが統一協会と接点・関係があったことが明らかにしています。岸田総理大臣は、「旧統一教会との関係を持たないことを徹底するため、地方議員も含めて対応を徹底する」とも述べています。

今こそ、高知県議会として、はっきりと意見を表明し、統一協会への毅然とした態度を示さなければなりません。県民・国民は、政治が、統一協会との関係を断ち切れるのか、厳しく注目をしています。これはすべての政治家の根本姿勢に関わる問題であり、今なお苦しむ被害者救済のためには避けては通れない意見書だと考えます。県民の負託にこたえる県議会の役割を国への意見書という形で示そうではありませんか。

 同僚各議員の賛同を心から呼びかけまして、根本的解決のために賛成の討論といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

なお、提案した意見書案の内容は、以下のとおりです。

【PDF】22年9月議会統一協会意見書案