議会報告

  • 2022年10月17日
    2022年9月議会 岡田議員の「一般会計補正予算に対する修正議案(Park-PFI関連)」の提案理由説明(2022.10.14)

●岡田議員 日本共産党の岡田芳秀です。

私は、議発第2号「第1号令和4年度高知県一般会計補正予算に対する修正議案」について提出者を代表して提案理由の説明をおこないます。修正する内容は、第1号高知県一般会計補正予算から五台山公園整備事業費1億4490万円を削除するものです。

 この事業費は、公募設置管理制度(以下、Park-PFI制度)を活用し、「公募により決定した民間事業者が行う展望施設の整備とあわせて、県が民間資金を活用し園路等を整備」するための予算です。

その内容は、民間事業者は展望施設や便益施設、すなわち飲食や物販施設等を建築し、基本的に建築費の全額を負担します。そして、民間事業者がこれらの施設を所有します。併せて、民間事業者は公園内の園路やあずまや、駐車場等の特定公園施設の整備にかかる費用の1割以上を負担することになります。但し、これら「建設費の具体的な負担割合は、選定した民間事業者との協議により決定」するとされています。また、管理費については、民間が所有する施設は民間が、特定公園施設は県が管理費を負担することになっています。

 

この予算の削除を求める理由は、第一に、Park-PFI制度を活用することが良いとの判断に至った経緯や、懸念される問題についての説明が不十分で、現段階では県民の理解を得られないと考えるからです。第二に、今日の社会情勢のもとでの公園のもつ可能性や多様な役割を考え、県民とともに公園を育てる観点がないということです。Park-PFI制度によって、県民が公園をデザインするという機会が奪わるようなことがあってはなりません。

そもそも都市公園は県民の公共空間であり、共有スペースです。本来、都市公園は、県民が休息、レクリエーション活動を行う場であり、温暖化の緩和等の都市環境の改善、生物多様性の確保等に大きな効果を発揮する緑地を確保するとともに、地震等災害時における避難場所等としての機能を目的とする施設であることから、原則として建築物によって建ぺいされない公共オープンスペースとしての基本的性格を有するものです。都市公園法運用指針は、このように規定しています。

 そこに施設をつくるのなら、県がしっかりと管理・運営できるものであることが必要です。Park-PFI制度は、県にとっては民間参入によって経費削減につながりますが、なにも参入する民間事業者の収益をあてにしなければ、公園の整備ができないわけはないでしょう。民間に参入機会を与えるという前に、公園は県民の共有スペースであるということをしっかりと認識すべきです。公園の管理は、県民との約束です。県が責任をもって管理することを基本としてこそ、県民の多様な要求にこたえる公園にしていくことができます。

Park-PFI制度でなくても、指定管理者制度や設置管理許可制度など、県が建物を建てて県が所有し、官民で管理・運営をする方法があります。

 例えば、県が設置管理許可制度を適用すれば、飲食店等の公園施設の設置や管理を民間に委ねることができますし、花壇や遊具等の公園施設の管理をNPO等に委ねることもできます。施設の設置管理を申請できる者は、民間事業者に限らず、町内会等多様な主体が想定されています。2004年(平成16年)の法改正により、「公園管理者以外の者が設け、又は管理することが当該都市公園の機能の増進に資すると認められる」場合に、許可を受けて設置管理を行うことができるようになり、民間事業者や地域住民による公園施設の設置をより可能としています。公園内で民間事業者がレストランや売店、自動販売機等を設置・管理運営しようとする例の他に、教育担当部局が教育施設や運動施設を設置する例も多数あります。また、住民を主体とする組織も許可を受ける対象となるため、多様な公園の使いこなしが可能です。

 この制度を、他の制度と組み合わせて活用することもできます。そうすれば県民が公園施設をさらに多様に生かせるでしょう。設置・管理許可の期間は10年ですが、更新が可能です。

 

 Park-PFI制度だけにこだわると、かえって県民不在の事業になりかねません。国が推奨しているといっても、地域ごとに事情が違いますし、それぞれの社会・経済状況があります。「全国でつぶれたところはない」と県は説明しましたが、Park-PFIはまだ始まって日の浅い制度です。県は、民間が造れば創造的な良いものができるといいますが、コンセプトを伝えて民間に設計を依頼すれば済むことではないでしょうか。

今回の県の予算は、飲食と物販が中心で、かつてあった施設のイメージに引きずられている感があります。今は、少子高齢化の進展、環境に対する県民意識の変化、コロナ危機の影響など、都市公園をとりまく社会情勢が大きく変化しています。

大事なのは、こうした現状をふまえて将来を見据え、地域の課題解決にもつながるように、県民と一緒に公園のもつ機能を生かしていくことです。公園は物理的な空間ではなく、社会的な場としてとらえる必要があります。そういう意味でも、県民と一緒に公園を育てていく観点が重要だと考えます。

Park-PFI制度は、民間事業者が20年間にわたって、あるいは延長もありえますのでそれ以上の期間、公園の一部をある意味で独占し、管理することになります。

誰もが心配するのは、飲食や物販の事業で建築費を返済した上で、さらに公園の整備費の一部を負担して経営が成り立つのか、ということです。もし、途中で経営が困難になった場合は、どう対処するのか。代わりの事業者を探すのも簡単ではありません。

2017年(平成29年)に都市公園法が改正され、全国でPark-PFI制度が活用されつつありますが、全国の事例を見てみますと、飲食を取り入れているのは都市中心部の公園がほとんどです。次いで都市部近郊の都市であり、郊外の公園はごくわずかです。

特に郊外の公園は、祝祭日と平日、季節によっても入込客数に大きな変化があります。20年間民間に任せるというのであれば、官民の間でしっかり調整して、役割や責任分担を明確にし、根拠を示して、県民に丁寧に説明することが必要です。そのことが全く不十分だと考えます。

 

最後に、Park-PFI制度は、他の制度と比べて議会のチェックが入りにくい制度であることも指摘しておかなければなりません。

以上の理由により、今回の補正予算案から五台山公園整備事業費の削除を求め、事業の再考を促すものです。

皆さんにご賛同を呼び掛け、提案理由の説明といたします。