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- 2022年03月10日
- 議会(質問・討論)
- 2022年2月議会 中根佐知議員の一問一答質問(2022.03.09)
【質問項目】
・男女共同参画プラン・男女共同参画計画
・生理の貧困
・妊産婦医療費助成制度
●中根議員 日本共産党の中根佐知です。それでは、順次質問をさせていただきます。
2月25日に、厚生労働省の人口動態統計の速報がだされました。令和3年の全国の出生数は6年連続の過去最少を更新し、死亡数は戦後最多、婚姻件数は戦後最小です。高知県も同様に出生数は4275人、出生数から死亡数を引いた人口自然減に歯止めが掛かりません。高齢化の波が全国より10年早く押し寄せ、女性の有業率が高い高知県は、他県に勝るとも劣らない公的施策が求められています。昨年改定されましたこうち男女共同参画プランには、「男女共同参画基本法に明記された国際的協調の下で、2015年の国連持続可能な開発目標、SDGsや、だれ一人取り残さないジェンダー平等社会を目指して一層の取り組みを進めることが重要です。」と書き込まれています。ジェンダー問題の世界の動きや到達、課題を分析し高知県に生かしていくことが重要であることはいうまでもありません。
男女共同参画計画・女性活躍推進計画をもとに、こうち男女共同参画プラン推進についてお伺いいたします。
知事は、来年度少子化対策の充実・強化と女性の活躍の場の拡大として、小規模のファミリーサポートセンターの開設支援や男性の育児休業取得率推進のための企業の取り組みの後押し、子育て支援サービスなどの広報を県民運動として展開するとしています。が、これでは行政の男女共同参画プラン推進策としては不十分の感をぬぐえません。予算化も含め、具体的に県民の暮らしを県が支えていると県民が実感できるジェンダー施策がもっと必要ではないでしょうか。
昨年、プランの推進役を担う県民生活・男女共同参画課を文化生活スポーツ部から子ども・福祉政策部に移管し、人権・男女共同参画課としました。こども関連施策の推進体制の強化として「高知版ネウボラ」を推進し、妊娠期から子育て期までの子ども関連施策を切れ目なく一体的に進めていく執行体制にしたと説明を受けました。だとしたら、少子高齢化、コロナ感染症との対応が迫られている今の状況を反映させたプランの推進施策を求めたいと思います。
◆男女共同参画プラン改定から一年たちました。その本部長である知事は、施策作りの際、県のプランをどのように意識して取り組んで来られたのか、お伺いいたします。
○県知事 昨年3月に改訂をいたしました「こうち男女共同参画プラン」にもとづきます取り組みをすすめていくにあたりまして、ただいまご指摘ありましたように、少子高齢化への対策でありますですとか、喫緊の課題であります新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた対応をはかっていくとそういった点から重点的に取り組むという視点は大変重要だと考えております。
プランに掲げます、男女共同参画の取り組みをすすめていくにあたりまして、少子化への対応という観点から、特に強化したポイントは、地域におけます子育て支援の充実、そしてワークライフバランスの推進という点にございます。
この子育て支援といたしましては、具体的には、妊娠・出産・子育てに関します多様な支援サービスを一体的に提供する体制を整備していくというようなこと、そして、ファミリーサポートセンター事業に取り組む市町村への支援を強化していくといったような取り組みを含めてまいります。
また、ワークライフバランスの推進に当たってということで申しますと、男性の育児への参画ということが非常に重要でございますので、県内企業での優良事例の横展開に取り組んでいくということによりまして、男性の育児休業取得を促進するというところに力を入れてまいりたいと考えております。
さらに、コロナ禍への対応ということで申しますと、感染拡大に伴いまして、女性の収量環境も厳しさを増しておりますので、これを支えていくために、まだ認知度に課題があります高知県の女性仕事応援室のPRを新年度は強化をいたしまして、就労を希望する女性の支援をしたいというふうに考えております。
こうした取り組みを重点的に進めていくということによりまして、プランの目指す姿であります性別に関わりなく、誰もが自分らしく生き生きと活躍できる高知県の実現に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。
●中根議員 ありがとうございました。施策は一生懸命考えていますということだと思うんですが、さらなる施策をやっぱり求めていきたいと私は願っています。
意識を変える、場を広げる、環境を整えるとりくみが、いっそう求められています。
まず、意識を変える取り組みの柱になる市町村計画の策定が全国と比べましても大変遅れています。全国の策定比率は、市や区で98.3%。町村部では71.6%となっています。
◆高知県の市町村の計画策定の状況はどうなっていますか。子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 県内の市町村における、男女共同参画計画の策定状況につきましては、現在11の市ではすべて計画が策定されております。一方で23の町村につきましては、15の町村で策定されており、町村部の策定率を全国と比較しましと、全国の71.6%に対しまして、本県は、52.2%となっております。
未策定の町村に、策定していない理由をお伺いしたところ、担当者が複数の業務を行っており、マンパワー不足といったご意見をいただいております。
●中根議員 昨年よりは、市では進んだようですけれども、意識改革、慣行、そして社会制度の見直しというのは、自然発生的に進むものではありません。
自治体が未だに策定しないことは、高知県のジェンダー平等の流れをとどめるものになってはいないか危惧するところです。自治体に、男女共同参画・ジェンダー平等の社会の到達から遅れてしまっているという自覚を持たせる必要があると考えます。
◆市町村の計画策定が全国的に見ても大変遅れている実態をどのように改善していくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いたします。
○子ども・福祉政策部長 国におきましては、マンパワー不足に悩む小規模な自治体の実情に合わせまして、令和3年度から、計画の策定方法を提案しております。男女共同参画計画を単独で策定するのではなく、市町村の総合計画等へ位置づけることでの策定が可能となったところです。
県としましては、各市町村に対しまして、総合計画等へ位置づけることなどの助言や市町村を対象とする研修会の開催など、全市町村での、計画の策定に向けた支援を行ってまいります。
●中根議員 男女共同参画計画を進める根幹となるのが、この計画自体。これが、いまだに作られていないことはやっぱりゆゆしき事態です。歴史的な男性優位の思想や文化が日本の中には、まだ根強くあることは否定できません。だからこそ、政治の責任も含めて女性も男性も、そしてマイノリティーの人たちも一緒にジェンダー平等の社会にしていこうというのが今の到達です。ここに無関心や意識の低い自治体を作らないことは最低限のジェンダー平等計画を推進する土台です。ぜひとも一日も早い計画策定自治体100%を目指したいと思います。高知県としてもしっかりと働きかけてください。よろしくお願いいたします。
【男性の育児休業取得】
●中根議員 次に、男性の育児休業取得についてお伺いいたします。
男女が共に働き、仕事と生活の調和を図ることができるよう育児休業取得の促進に高知県も取り組んできました。
◆知事部局の職員の取得状況はどうなっていますか。総務部長にお伺いいたします。
○総務部長 知事部局のおける昨年度の男性職員の育児休業取得率は、過去最高の61.2%でございました。教育委員会、警察部門を除く都道府県の首長部局等で比較いたしますと、全国2位の割合となっております。
今年度の状況は、2月1日現在で、すでに昨年度の41名を上回る47名の男性職員が育児休業を取得しております。また、その取得日数を見ましても、昨年度の4割を上回ります約半数の男性職員が、一カ月以上の育児に関する休暇・休業を取得している状況にございます。
●中根議員 その状況をどのように分析しているのか、総務部長にお伺いいたします。
○総務部長 知事部局におきましては、令和2年3月に策定いたしました高知県職員子育てサポートプランに基づきまして、仕事と子育てを両立する取り組みを強化してきてございます。具体的には対象となる男性職員をしっかりと把握しまして、子育てに関する休業制度などを丁寧に説明しております。
また、その上で取得を呼びかけ、業務をバックアップするという取り組みを進めてまいりました。また知事が育ボス宣言を行いまして、男性職員の育児休業取得を、トップが積極的に後押しをするという姿勢を見せております。
こうした一連の取り組みが、この2年間育児休業の取得数を大きく伸ばしてきた結果につながったと考えております。また、男性職員もごく当然に育児休業を取得するという意識が醸成されてきたと感じておりまして、実際に育児休業しました男性職員からは、職場の後押しにより気兼ねなく取得できた、夫婦二人で子育てする意識がさらに強まったなど、取得して良かったと声をいただいております。
今後とも職員が安心して、育児休業を取得できる環境づくりに、さらに進めていきたいと考えております。
●中根議員 はい。ずいぶん進んだなという感はいたしますが、100%までまだかなという期待もいたします。
◆次に教職員の取得状況はいかがでしょうか、教育長におうかがいいたします。
○教育長 公立学校および教育委員会事務局におけます、昨年度の男性教職員の育児休業につきましては、8名が取得しまして、取得率としましては、7.8%となっております。
本年度につきましては、2月1日現在で昨年度の8名を上回る15名が取得しておる状況です。
なお、男性教職員の育児休業の平均取得日数につきましては、昨年度が66.9日、今年が163.9日と、こちらの取得日数についても、伸びておるような状況でございます。
●中根議員 ◆教職員ですから、教員、そして職員、そういう違いはあると思うんですけれども、状況をどのように分析しておられるのか、教育長にお伺いいたします。
○教育長 男性教職員の育児休業取得率は、この実績からも本当にまだまだ十分でないというふうに認識をしております。この取得率が低い要因としましては、まず、育児休業を取得した場合に、代替の臨時教員の確保の問題、それから、児童・生徒への影響、これは部活動指導であったり、進路指導であったり、そういうところに影響はするんだろうということで、教職員自身が、心配していることがあるのではないかというふうに考えております。
一方、育児休業の取得をされた方からは、やはり、子どもの成長を感じることができたとか、育児のしんどさが共有できたといった声が、また、教職員の配偶者の方で、教職員の方からは、精神的・肉体的負担の軽減につながった、それから育児に主体的に関わってくれるようになったというような声が寄せられております。
今後とも、県教育委員会としましては、この子育てサポートプランの目標達成に向けまして、管理職から育児休業制度の周知徹底をさらに行いますとともに、引き続き、代替となる臨時教員の確保に努力するということで、男性教職員が育児休業を取得しやすい環境づくりに、努力をしていきたいと考えております。
●中根議員 新しい命に向き合って、そして、命を伸ばしていくそういう教職員の皆さんのお仕事と絡めても、ますます、その取得率が高まっていくように、努力をしてもらいたおいと思っております。
今年4月に、男性の「育児休業」に焦点を当てた改正育児・介護休業法が施行されます。また、10月からは、「男性版産休」と言われる子どもの出生後8週間以内に4週間までの育休取得が可能になって、意思確認や育児休業の申し出期間が一ヶ月前から二週間前までに変更されるなど、積極的な変化が起こることになりました。来年度は高知県も取得率推進のための企業の取り組みを後押しするとしています。
◆令和6年の取得率30%を県は目指すとしていますけれど、育児休業を取得する機運を醸成するためにどう取り組んでいくのか、商工労働部長にお伺いいたします。
○商工労働部長 県ではこれまで様々な機会をとらえまして、改正された育児・介護休業法の周知を行うとともに、男性が育児休業等を取得しやすい職場環境づくりに向けて、キャンペーンや経営者向けセミナーなどを実施してまいりました。
こうした結果、令和2年の県内企業における男性の育児休業取得率は、その2年前の7.6%に比べ、約2倍の15.8%となり、また全国の12.7%も上回っている状況にあります。
しかしながら、令和6年度の目標30%を達成するには、さらに機運の醸成に取り組む必要があると考えております。
このため、来年度はこれまでの取り組みに加えまして、新たに社内で働き方改革を推進する担当者向けのセミナーや交流会を開催いたしますとともに、県外企業の育児取得の好事例の横展開をはかることで、さらなる育休取得に向けた機運の醸成に取り組んでまいります。
●中根議員 今、働き方は多様化して、その中で非正規労働に従事している若い人々も本当に多くなっています。まず、条件のあるすべての人が育児休業を取って、社会の在り方として育児休業取得がすべての職種で当然のこととしていきたいものだと思います。
子育てに喜びを持ち、妊産婦の負担を分かち合い協力していく社会の在り方に政治が乗り出す時代になりました。北欧諸国などの取り組みにはまだまだ及びませんけれども、制度を前向きに整えたことは、大きな一歩です。ジェンダー平等を進める力の一つとして機能していくことを願っています。
【生理の貧困】
●中根議員 次に生理の貧困問題についてお伺いいたします。
コロナ禍の中で生理用品を買えない声が大きく上がり、政治課題に浮上しました。この一年、世界各地で新たな取り組みが進んで、その中で以前からジェンダー平等の問題として取り組んできた国や自治体があることが私たちの目の前にあらわれました。
経済的困難から発した声が、生理について「オープンに話せる」環境を一歩前進させたように感じています。「#みんなの生理」調査によりますと、生理用品の生涯負担額は50万円以上、生理休暇取得率は、女性労働者の0.9%、生涯の月経回数は初産年齢が遅く少子化の中で昔の女性に比べて大幅に増加していることもみんなが知るところとなりました。
世界では、2020年11月にスコットランドで生理用品の無償化法案を全会一致で可決。世界初で無償化を実現し必要な人すべてが対象で、無料提供を徹底させる役割は、各自治体や教育機関が担っています。イギリスでは、公立の小中高校で2020年1月に無償提供を開始しました。翌年21年1月に生理用品にかかる税金を廃止しました。
フランスでは21年2月、すべての大学生を対象に大学や学生寮などで生理用品を無償配布すると発表。
ニュージーランドでは21年6月から国内の全学校で無償配布を開始。
アメリカではニューヨーク州で16年から生理用品は非課税、18年に公立学校では無償提供。カリフォルニア州では22年度からすべての公立学校で無償提供。
メキシコでは、22年1月から生理用品に対する付加価値税を撤廃等など、単なる貧困問題としてではない取り組みが実現しています。性差による避けて通れない生理の問題は、女性問題・ジェンダー問題として取り組むべきです。日本でも多くの県市町村で生理用品の配布がおこなわれ、歓迎の声も聞こえてきています。
◆県では、社会福祉協議会に委託して、生理用品の配布が行われていますが、これまでの事業の状況について、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 県では、高知県社会福祉協議会に委託し、これまで生理用品約4600パックを購入し、市町村役場や社会福祉協議会といった公的な施設に設けました112の配布窓口のほか、公立のすべての小中学校や、高等学校などの教育機関、子ども食堂などに配布しております。
1月末時点で、希望する方に約1100パックを提供しております。
配布窓口の周知につきましては、県や県社会福祉協議会のホームページやラジオ、新聞、市町村や市町村社会福祉協議会などの広報媒体を活用した広報を実施しております。相談支援機関の一つであります。社会福祉協議会では、この取り組みを通じまして、NPOなど、民間支援団体との活動のネットワークが広がったとお伺いしております。
●中根議員 はい、まだまだ生理の問題は口にしづらいものです。「どこかに取りに行くのではなくて、トイレットペーパーがトイレにあるように生理用品をトイレに設置してほしい。そうすればもっと安心して利用できるのに」、こういう声や「他の人にチェックされるようで窓口や保健室には行きづらい」、こういう声もあります。また、「貧困問題ではなくジェンダー平等の課題としてみるべきだ」との声も上がっています。
◆学校でもジェンダー教育にいかされていると思いますが、こどもたちの受け止めはいかがでしょう。教育長にお聞きいたします。
○教育長 各県立学校では、令和3年9月から、女性の活躍支援事業によります、生理用品の配布を実施しております。この事業の開始にあたり、留意事項としまして、県教育委員会から、各学校に男女を問わずすべての生徒が生理に関する正しい理解を深められるよう日々の性に関する指導の充実を依頼しております。
各学校では、保健の事業におきまして、生理に関する指導を行いますとともに、性教育推進校として指定しております県立学校4校では、外部講師による性教育講演会などを実施しまして、この中でも生理について取り上げております。
講演会の後のアンケートからは、男性の生徒からも生理に対する理解が深まったことや、思いやりの気持ちをもつことの重要性を認識できたといった感想が見られております。
性に関する正しい知識を身につけることは、ジェンダー問題への理解にもつながるものでありますので、今後も引き続き性に関する指導の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
●中根議員 はい。世界でも、この生理への関心が高まって、そして学習も深められています。生理用品のトイレへの配置とか無償化、非課税にする等の取り組みが始まっておりまして、ジェンダー問題と位置付けて、そして学校教育もしっかりと、という方向で世界が流れています。
◆ジェンダー問題としてとらえ、ジェンダー平等の位置づけで公的支援が今後も必要だと考えますけれども、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 昨年11月に、市町村に対しまして、公共施設や学校のトイレに、生理用品を施設管理者の責任において設置する必要性についてのアンケート調査を実施いたしました。
その結果、トイレへの設置の必要性につきましては、「わからない」「必要ない」の回答は87.5%となっております。
このアンケート結果からは、現時点では、県内の市町村において、公的支援の取り組みには、前向きではないという状況になっております。引き続き市町村や他県の状況などを中止してまいります。
●中根議員 はい。
◆そういう事を踏まえて、今後の取り組みについてどのように考えられているのか、子ども・福祉政策部長に伺います。
○子ども・福祉政策部長 来年度も引き続き、国の交付金を活用しまして、事業を実施するため、本議会に関連の予算を提案させていただいております。
●中根議員 はい。
コロナ禍のもとで、勇気ある女性たちの声で貧困問題として最初取り上げられたのが生理用品の問題です。女性にしかない性の問題で、その管理を女性の自助努力にゆだねてきたことへの疑問や不平等意識も渦巻き、単なる貧困問題にしてはならない判断が世界各国で施策を作り変えてきています。この間の教育長がおっしゃった学校での性教育や生理用品の配布の中からも、男性も女性もお互いの性の違いを科学的に知ることによって、お互いを大切にする意識がうまれていることは大変意義のあることですし、これからも是非認め合う人間社会への教育現場のとりくみをと願っています。
同時に、生理用品の配布の仕方はもっと自然に、トイレには必ず置かれているだとか、申告しなくても自由に持ち帰ることができる場を作るとか、社会的に応援するメッセージを広げていくことが大切になってくるのではないでしょうか。「もらいに行きにくい」、「困っていることをいわないともらえないのでは」、二の足を踏む女性の意識を変えないと、必要でも我慢をしてきた人の意識を簡単にかえることにはなりません。ぜひジェンダー平等の考え方で生理の貧困問題に取り組んでいることや世界の取り組みも紹介しながら、配布の仕方、広報のしかたの工夫を、お願いをしたいと思います。
【妊産婦医療費助成制度】
●中根議員 次に妊産婦の医療費助成制度の創設についてお伺いいたします。
来年度から不妊治療が保険適用になると喜ばれています。が、よく見ると3割負担の保険適用になる治療法は対象を拡大されるもののすべての治療が対象ではありません。女性の年齢によっても治療の回数に制限があり、43歳以上は保険適用の対象外となっています。高知県はこれまで通り女性の年齢制限を行わない補助金を継続するとの説明を受けましたが、厚生労働省通りで行くと保険が適用されない不妊治療を受けようとすると、これまであった一律30万円の補助金がなくなるために個人負担が増す例も発生いたします。
妊娠・出産が当たり前の出来事ではなくて、大変な心労と経済負担を伴っていることを改めて感じます。
加えてこの2年間は、新たなコロナウイルス感染症との対応にさらなる神経を使う日々が続いています。
2018年12月に参議院本会議で「成育過程にあるもの及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」、成育基本法といいますが、これが全会一致で成立し、すべての妊婦と子どもに妊娠期から成人期まで切れ目ない医療・教育・福祉を提供する重要性が明記され、国や地方公共団体、関係機関には必要な施策を実施する責務があるとされました。
◆高知県は県版ネウボラを掲げていますが成育基本法の成立についてどのような認識を持っているのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。
○子ども・福祉政策部長 生育基本法は、安心して子どもを生み、育てることができる母子保健や医療体制の充実、子育て支援環境の整備に向けまして妊娠期から成人期までの切れ目のない医療・教育・福祉を提供することを目的としています。
本県が、取り組んでおります高知版ネウボラの趣旨とも合致し、生育基本法は、高知版ネウボラの推進の後押しになるものと認識をしております。
高知版ネウボラでは、母子保健や児童福祉分野、教育に加え、地域との連携を強化し、生育基本法に基づき、国が示した基本的な方針にも沿って、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の充実を図っているところでございます。
●中根議員 先日の本会議で「県版ネウボラの取り組みに対する評価と今後の展開について聞く」という質問に、子ども・福祉政策部長は、全市町村が子育て世代包括支援センターを来年度中につくるなど実例を挙げながら、「安心して子育てできる状況が着実にできている」と答えられました。しかし、これまで述べてきたように女性の妊娠から出産までの道のりは簡単ではありません。妊娠の継続も心配は尽きないし、出産することができる病院も充分ではない、さらには、子育てしながら働こうとすると預ける保育園や学童保育を探して、時には家から遠い保育園に兄弟を別々に預けるしかない実態もあります。県版のネウボラは、まだまだ加えるべき施策があると思えてなりません。
この間、県民の中から「妊産婦医療費助成制度の創設を求める声」があがっています。高知県内の20市町村で県に対して制度の創設を求める請願が採択もされています。自治体数でいえば59%の自治体、人口でいえば85%の自治体です。
この問題は、一昨年の9月議会で塚地さち県議が取り上げ、その後昨年の2月議会、9月議会で私が取り上げて質問をしてきました。その間、高知県社会保障推進協議会や医師の団体でもある高知保険医協会の皆さんが自治体要請にも足を運んでいます。
◆全国の実施状況について子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 令和元年10月に、全国の実施状況を調査いたしましたところ、22の都道府県で助成制度が実施されています。このうち、すべての疾病または、妊娠期の様々な疾病を対象として、県と市町村が半額ずつを負担している制度は4県で、県の市町村に対する補助金予算額は、一定の幅がありますものの、平均で2億円超となっております。
また、3県では、県内の一部の市町村が独自で助成制度を実施しております。
これ以外の15都府県は、県単独で実施をしておりますが、ほとんどが所得税額3万円以下の所得制限を設けておりまして、対象とある疾病も、妊娠高血圧、糖尿病、貧血、産科出血、心疾患に限定し、7日以上の入院治療のみを助成の対象とする制度が大半となっております。15都府県の内10県は、制度はあるものの、前年度は実績がありませんでした。
また助成実績がある残りの5都県につきまして、4県の年間平均助成額は、4万円程度と限定的な活用となっております。
●中根議員 ◆高知県で妊産婦医療費助成制度を実施しようとしたときの試算はされているでしょうか。子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 高知県におきまして、所得制限を設けずに、多くの県が対象とする妊娠高血圧や糖尿病等に加え、切迫流産など妊娠に伴い発症する疾病での入院、および通院費用を助成する制度とした場合、詳細な試算はむずかしい状況ですけれども、国の医療給付実態調査などから推計をいたしますと、約1.6億円程度が必要となる見込みとなっております。
これに伴いまして、県と市町村とが半額を助成すると想定した場合、市町村の負担額は合計で約8000万円となります。
●中根議員 はい。
◆昨年9月の私の質問に、部長は全市町村が足並みをそろえて導入できる効果的な施策を検討したいと答弁されました。今、市町村で言えば8000万円の負担ということで試算もしてくださっていますが、その後の効果的な施策を検討したいという進捗状況、どのようになっているのか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。
○子ども・福祉政策部長 9月議会以降、各市町村と具体的な協議を進めていくために、先ほどお答えいたしました対象疾病を制度の前提として、市町村の財政的な負担についての、試算を進めてまいりました。
その資産を元に、特に財政負担が大きい自治体との協議を行ってまいりましたが、限られた財源の中で優先順位をつけて施策を進めていきたいといった慎重なご意見であるため、現時点では協議に進展が見られず、厳しい状況にございます。
●中根議員 私は、今の状況を見ながら、足並みがそろわないと実施できないというところに納得ができません。
乳幼児医療費助成制度の導入は、足並みがそろったところからスタートしているでしょうか。高知県の保育料の第三子無料制度も高知市との足並みはそろわないままです。この春からの不妊治療の保険適用についての対応も高知市との足並みはそろっていません。産婦人科の数が限られ、安心して出産できる環境が十分整わない状況の中で、交通費をかけて遠くの病院まで通って、大変な思いをしながら出産に向かうのが郡部に住む女性たちです。 妊娠だけでも大きな負担ですが、そこに妊娠時のみ現れる高血圧症や、また糖尿病での生活の制限や入院、多くの身体的負担と経済的負担で、妊婦の不安は大きいものです。
その時の助成くらい、あって当然ではありませんか。人口の多い自治体が今の時点でやろうとしないからといって、妊産婦が必要とする援助制度を作ることが遅れるのは返す返すも残念です。
求める声にどう答えるのか、どうスピード感を持って対応するのか、県の姿勢が問われています。
◆この二年の検討を制度として結実させるべきだと考えますがいかがでしょうか。もう一度、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。
○子ども・福祉政策部長 県といたしましては、県内すべての妊産婦の方々が安心できる制度とすることで、子育て支援施策としての効果が発揮できるものと考えております。
そのためにも、全市町村が足並みをそろえて、実施することが必要と考えております。スピード感をもって、具体的な制度案を提案してきたところですが、市町村には財政面での負担も含めまして、制度に対するご理解を今以上に深めていただき、市町村内での優先順位を高めていただく必要がございますので、時間をかけた対応が求められております。
息の長い取り組みになりますが、限られた財源の中で、子育て施策として、効果が期待できる妊産婦への支援という視点で、引き続き、市町村の意見を踏まえながら、検討をしてまいります。
●中根議員 すでに全国では、22県、約半数の都道府県で実施をされていて、待ち望まれている制度だと私は思っています。
利用する数が少なければ少ないほどいいけれども、出産を安全なものにして、妊産婦の負担軽減と胎児と女性の命を守る応援の施策の一つとして、一日でも早く医療費助成制度を求めるものです。
国が生育基本法を作って、高知県版ネオボラというならば、命を生み出す課題にもっと力を尽くして、予算措置も多くすべきだと思ってきました。その意味でも妊産婦医療費助成制度は推し進めていくべき制度だと思いますので、今後も要望を続けていきます。
どうぞ、ご検討ください。
高知県の男女共同参画・女性活躍推進計画をジェンダー平等推進の視点で、今日は質問をさせていただきました。日本は、ジェンダーギャップ指数が世界156か国中で120位で、本当にたくさんの取り組みが必要となっています。
先日、3月1日に、世界銀行が、地域の経済的な権利を巡る男女格差調査を公表しました。ここでも、食料や育児、年金など、8項目の評価の総合点で、日本は昨年の80位から、103位に急降下しています。
男性賃金の74%の低賃金、これなども、大変問題になっていまして、そして、これは年金格差にもつながっていきます。世界銀行の担当者は、共同通信の取材に応じて、日本は女性の法的平等を改善するための改革を検討する必要があると強調したと報道されています。
私は、高知県でも、ジェンダー平等を常に意識して施策に結びつける、そして、ここに予算もかけて推進する、このための提案を今後も続けていきたいと思っています。
台湾では、随分高知県でも交流がありますけれども、ジェンダー主流化プロセスと呼ぶ施策を通じて、様々なジェンダーや性的指向の人びとに積極的な行政支援をしていると聞いています。
基本的に、ジェンダー共同参画委員会を通して、すべての施策がジェンダーにとって有益か、有益でないか、こういうチェックがされて、市民社会の専門家18人、閣僚が17人、閣僚よりも市民団体の席が多く用意されたジェンダー共同参画委員会、こういうところが施策を、全部チェックをしているようなんです。
日本も遅れているとはいえ、こういう委員会などをつくっていないわけですから、大変心配なところですけれども、高知県としてもジェンダー問題と言うのは、こういう流れの中で世界が推し進めていること、無関心ではいないこと、このことを再認識しながら、私達も提案をしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。