議会報告

【質問項目】

・ウクライナ侵略

・コロナ対策

・ケア労働

・インボイス制度

・中山間対策

・教員定数の正常化

・部局再編

 

●吉良議員 私は、日本共産党を代表して、以下質問を行います。

 

【ウクライナ侵略】

●吉良議員 まず、最初に、ウクライナ侵略についてお聞きします。

ロシアは24日、ウクライナの東部地域の「独立」を一方的に承認し、「集団的自衛」の為だとして、ロシア軍を侵入させ、ウクライナ各地の軍事施設、キエフ、オデッサなどへの武力攻撃も始めました。これはウクライナの主権と領土を侵し、主権尊重、領土保全、武力行使の禁止、を義務付けた国連憲章、国際法を踏み躙る紛れもない侵略行為でただちにやめるべきです。今、国際社会はウクライナ侵略反対の一点で団結し、ロシア国内の都市での戦争反対の大規模な集会とも連帯し、侵略をやめさせるため力を合わせる時です。

23日の国連安保理では、「政治的、外交的手段による平和的解決に代わるものはない」(ウクライナ代表・2/25赤旗)、「国際法を順守することが全ての人々にとって最良の安全保障政策になる」(オーストリア代表)、「国連憲章と国際法に基づく多国間システムへの集団的な責任が問われている、すべての国が国際法を守らねばならない」(シンガポール代表)など、ロシアの暴挙を非難するとともに、紛争の平和的解決をとことん追求する事が語られ、武力、「力の論理」での対抗を否定していることは重要です。

その中でケニアの代表は、帝国主義が分割したアフリカの歴史に触れ、ロシアの行動を非難するとともに、多国間主義擁護の旗の下に結集せよとの国連事務総長の要請を支持することを参加国に呼びかけています。その際、「われわれは、この安保理の理事国を含む、国際法を軽視して踏み破るという過去数十年の大国の動向についても強く非難する」と厳しく指摘していることは重要です。21世紀には、「平和維持」「民主主義促進」「集団的自衛」「人道的介入」を理由にした戦争、武力行使が相次いだことも忘れてはなりません。

◆「憲法9条」を持つ日本は、今こそ、平和の国際ルール、国連憲章に基づく平和の国際秩序を守るよう国際社会に働きかけ、軍事行動を停止させる先頭に立つべきだと考えます。今、こうした努力が最も重要ではないか、知事にお聞きします。

プーチン大統領は、ウクライナへの侵略行為にあたって、ロシアが核兵器大国であることを誇示し、欧米の批判や制裁の動きに対抗する姿勢を見せています。昨年1月に発効した核兵器禁止条約は核の保有や使用だけでなく威嚇も禁止しており、国際法に違反する態度は決して許されません。唯一の被爆国として断固抗議すべきだと考えます。

◆核大国を誇示し威嚇するプーチン大統領の態度をどうお考えか、知事にお聞きします。

 

○県知事 吉良議員の御質問にお答えをいたします。 まず、ウクライナへの侵略に関しまして、日本が先頭に立って軍事行動を停止させることについて、また、核大国を誇示し、威嚇をするプーチン大統領の態度について、お尋ねがございました。関連をしますのであわせてお答えをいたします。

この度のロシアによるウクライナ侵攻につきまして、岸田総理は「侵略」行為と位置づけた上で明白な国際法違反であり、断じて許すことはできないと厳しく非難をしております。

また、事態の解決に向けましては、国際社会と緊密に連携し、ロシアに対して軍の即時撤収と国際法の遵守を強く求めるとしております。

私といたしましても、ウクライナ問題の早期の平和的解決を望むものでありまして、政府におかれましても、引き続き国際社会と結束のうえで、最大限の外交努力を行っていただきたいと考えます。

また、プーチン大統領の核保有を誇示する態度は、核兵器のない世界の実現に向けました世界共通の願いを踏みにじるものであると考えます。このため、唯一の被爆国であります我が国といたしましても、決して許すことのできないものと考えております。

 

●吉良議員 私ども日本共産党は、今年で党創立100年を迎えます。あの戦前の日本の暗黒時代に、侵略戦争反対、国民主権、自由と民主主義の確立を命がけで貫き、その主張の多くは日本国憲法として結実しました。また、綱領では、「どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず、平和の国際秩序を築く」ことを掲げ米国のベトナム侵略にも、ソ連の覇権主義にも反対して闘ってきました。この24日には「ウクライナ侵略を断固糾弾する ロシアは軍事作戦を直ちに中止せよ」と題する声明を緊急に発表し、ロシア、ウクライナをはじめ各国大使館に送りました。ウクライナ侵略反対の世論と運動を広げるために全力をつくす決意です。

 

【コロナ対策】 

●吉良議員 次にコロナ対策についてお聞きいたします。

新型コロナウイルスとのたたかいは、オミクロン株よりさらに強力なBA2系という新たな変異株の登場により先を見通せなくなっていますが、第6波の対策とともに、次に備えての体制構築は進めなければなりません。

一つは検査能力の抜本的拡充です。いつでもどこでも、そして組織的、定期的に検査を受けられる体制が極めて弱いがため、検査数は未だに世界135位です。そのため、職場や公共の場などでは自らの感染有無も不確実なゆえに相互不信のもと常に感染の不安を感じながらの日常生活となっています。

このように検査数の低さが経済活動含め社会的不安を増長させているにもかかわらず、政府は、昨年末突然、PCR検査と抗原検査の「診療報酬」を大幅に引き下げました。第6派に向けて体制づくりを急いできた診療所、とりわけ規模の小さな医療機関は大きな打撃を受けています。18000円だった検査料が11000円も引き下げとなり手元に残るのはこれまでの半額の2000円、4月からは1000円となります。使命感から発熱外来や検査に大きな経費と感染リスクをかけながら対応してきたが「検査すればするほど赤字」になり持続不能になる、という指摘が相次いでいます。また、感染拡大による医療機関のひっ迫で医療機関を受診できず、「みなし陽性」という、自主検査だけで感染と判断し自宅待機に追い込まれる「国民皆保険制度の崩壊」とも指摘される惨憺たる状況が生れています。医者にかかる権利を守るため、発熱外来の抜本的な強化が求められます。しかし、発熱外来設置の補助金は20年度で打ち切られ、感染症対策の実績にもとづく診療報酬の加算も次々と廃止されています。

◆医療機関が安心して発熱外来やPCR検査、抗原検査に取り組めるよう、財政支援の強化が必要と思うが知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、医療機関が安心して発熱外来や検査に取り組めるように、財政支援を強化すべきではないか、お尋ねがございました。    

現在、本県におきましては、28の市町村で240の医療機関が検査協力医療機関として対応いただいております。県では、これらの名称を公表いたしまして、新型コロナウイルス感染症が宛われる症状のある方々に受診をしていただいております。

新型コロナウイルス感染症のPCR検査等に係る診癒報酬の引き下げ後、これらの検査協力医療機関の辞退などの大きな変化はございませんけれど、4月には再引下げが行われることになります。この後の動向についても注視してまいります。

一方で、新型コロナに関します診癒報酬の特例的な評価につきましては、令和4年度の診療報酬改定におきましても継続されておりますほか、外来診療時の感染防止対策に係る評価が新設されるということとなっております。

このため、当面は診療報酬改定後の状況を、注視をしながら、必要がありましたら全国知事会を通じまして、診療報酬の見直し、あるいは外来診療に係ります財政支援の拡充について提言してまいる考えであります。

 

●吉良議員 第6派では県内の医療、高齢者施設、学校、保育施設などでのクラスター発生が多発しています。家庭内感染から、それら施設への感染拡大を防止するために、また感染が疑われた人が陰性を確認し、早期に社会活動に復帰できるようにするためにも、定期検査や頻回に検査を実施する重要性はますます高くなっています。

◆本県の検査体制の現状と抜本的な充実策についてお聞きします。また、高齢者施設などが積極的に検査に取り組めるよう、陽性者が発見された場合の財政的補償、医療支援の構築が必要と思うが知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、検査体制の充実と高齢者施設などへの支援についてのお尋ねがございました。

まず検査体制につきましては、先ほど申し上げました有症状者への検査と併せまして、無症状の方を対象に、 1月4日から県の臨時検査センターや薬局等におきまして、無料の検査を実施してまいりました。

加えまして、既に複数の感染者が確認された施設等に対しましては、クラスターを早期に鎮静化をさせるという目的で、抗原検査キットを配布し検査をいたしております。

また、まん延防止等重点措置の適用後におきましては、クラスターの発生リスクと感染時の重症化リスクの高い入所系の高齢者施設の従事者などを対象といたしまして、いわゆる集中的検査を、おこなっているところであります。

ただ検査はあくまでも、その時点の結果ということにすぎませんので、また感染拡大防止のひとつの方策に過ぎないという性格のものだと考えております。県といたしましては、感染状況に応じた検査を円滑に実施できるように体制整備を図ってまいります。

次に高齢者施設などへの財政的な支援についてであります。施設内で療養を行う施設に対しましては、感染対策の徹底、あるいは療養体制が確保できますように、かかり増しの費用を支援いたしているところであります。

また、医療的な支援といたしましては、施設の状況に応じまして、感染拡大を食い止めますために、感染管理を専門とする医師、看護師によります指導が受けられる体制を、構築をいたしているところであります。

さらに、高齢者等につきましては、早期に抗ウイルス薬等の治療を行いまして、重症化を予防することが重要であります。このため、施設の嘱託医や関連の医療機関に対しまして、治療マニュアルを提供するといった形での技術支援を行っているところであります。

引き続き、感染状況に応じた検査体制のもとで、高齢者施設等に対しますきめ細かな支援を行ってまいります。

 

●吉良議員 先だっての病院議会でも問題が報告されましたが、コロナ感染症で入院した高齢者が、コロナからは回復しても、入院中に歩行困難など介護度が上がり、感染前に過ごしていた自宅や施設に戻ることが出来ない事等が課題となっています。

◆コロナから回復した高齢者の受け入れ先確保に、新たな支援制度が必要と思うが子ども・福祉政策部長にお聞きします。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、新型コロナウイルス感染症から回復した高齢者の受け入れ先の確保について、お尋ねがございました。

お話のように、第6渡では高齢者の患者が増加するなか、新型コロナウイルス感染症から回復後の感染リスクの有無や、新型コロナ以外の病状、介護度等により、自宅や施設へ戻ることが困難な場合があり、こうした高齢者への対応として、次の支援を行っております。

まず、コロナの症状が改善したものの、感染リスクがあり、介護を要する高齢者につきましては、2月2 1日に新たに設置した臨時の療養施設において、療養していただいております。

また、感染リスクはなくなったものの持病等の悪化により、引き続き医療が必要な高齢者につきましては、こうした患者の受け入れが可能な後方支援病院の情報を、県から各入院医療機関へ提供し、転院調整を支援しております。

さらに、入院前と比べて介護がより必要となった高齢者への支援につきましては、退院後の在宅生活において心身の状態に応じたケアプランの適正な見直しが行われますよう市町村など関係機関に周知徹底してまいります。

県としましては、コロナ禍においても、高齢者の方が安心・ 安全に生活を続けていけるよう、引き続き関係機関と連携し、受け入れ先の確保等に取り組んでおります。

 

●吉良議員 次に後遺症についてです。国立国際医療研究センターは、4人に1人は発症から半年後も何らかの後遺症が残り、10人に1人は1年後も症状が残っているとの調査結果を昨年10月公表しました。

世田谷区が無症状感染者も含む3710人から回答を得た調査では、約半数が後遺症を訴え、無症状者でも3割近くが後遺症を訴えています。WHOも定義を明らかにし、感染者の10人に1人が後遺症になるとの見解を示しています。

後遺症の症状は、倦怠感、集中力の低下、息苦しさ、味覚障害、脱毛など多岐にわたり、寝たきり状態になるなど深刻な事例も報告されています。3000人以上診療してきたヒラハタクリニックの平畑光一医師(東京都渋谷区)は、「初期の対応を間違えなければ徐々に回復する方も多い」と指摘する一方、後遺症の無理解から「さぼっている」などと追い詰められ、仕事を辞めざるを得なかったなどの例を語られています。

高知大学医学部附属病院が「後遺症専門外来」を開設したことを、県は昨年10月、各医療機関に周知しています。

◆県として、県民に対してコロナ後遺症への理解を促進させるとともに、安心して相談できる相談体制を構築していく必要があると思うが知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、コロナ関連の後遺症への理解の促進、そして安心して相談できる体制の構築について、お尋ねがございました。

新型コロナウイルス感染症の療養が終了した方に対しましては、 保健所が概ね4週間後に体調等の確認を行うこととしております。罹患後症状、いわゆる後遺症が疑われる場合には、かかりつけ医等への受診を勧めているところであります。

コロナウイルス感染症の後遺症は多種多様でありますけども、多くの方におきましては軽微なものでありまして、まずは、陽性診断を行った医癒機関、あるいは、かかりつけ医にフォローアップを行っていただくようにいたしております。

しかしながら、症状が複数の診療科の領域にわたるような場合、あるいは重い症状が認められる場合には、専門的な診療やチーム医療としての診療が必要となるということでございます。

このため、ご紹介もいただきましたが、昨年10月、高知大学の医学部附属病院にいわゆる後遺症の専門元来を開設していただいたところであります。

高知大学の医学部附属病院におきましては、現在までに、地域の医療機関から42件の紹介を受けまして、患者の症状に応じました複数の診療科の医師等によりますチーム診療を行っていただいております。

今後も関係機関と連携をいたしまして、後遺症がある方が安心して相談や治療をいただけるように進めてまいります。また、後遺症についての多様な症状あるいは国の研究成果につきまして広報いたしまして、県民の皆さんの理解を、促進をしてまいる考えであります。

 

【ケア労働】

●吉良議員 次に、ケア労働についてお聞きします。政府は、コロナ禍で疲弊した看護・介護・保育職などの賃上げ策を打ち出しました。

この2月~9月の賃上げについて、介護・保育は月9000円、看護はコロナ対応の職員に限り4000円となっており、全額国費で予算措置されます。10月以降は、通常の診療報酬、介護報酬、子ども子育て支援制度の枠組みで予算措置されます。

看護については、コロナ対応に限らず全体を対象にし、12000円となっていますが、10月以降も賃上げすることが前提となっており、10月以降の賃上げも実施するよう求められています。

しかし、この10月以降の介護分野の賃上げは、地方自治体が1/4、介護保険料が半分を負担する仕組みです。保育では、都道府県と市町村がそれぞれ1/4ずつを負担することが、大きな問題となっています。

◆自治体負担、保険料負担にならない形で、国庫負担の増額により、低賃金を解消すべきと思うがどう対応するのか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、国庫負担を増額して、介護や保育職員の低賃金を解消すべきではないか、とのお尋ねがございました。

お話のように、今回の処遇改善については、本年2月から9月までは補助金により行われ、1 0月以降は介護報酬の改定や、子ども・子育て支援新制度による、一人あたり3%、月額約9千円の賃上げが国において示されています。

9月までの補助金による処遇改善につきましては、全額国費が充当されますが、1 0月以降は、介護保険料や自治体の負担額に影響を及ぼす可能性もございます。

少子・高齢化が進むなか、将来にわたって安定して介護や子育てサービスを提供していくためには、給付と負担のバランスを図りながら、制度の持続可能性を高めていくことが重 要となってまいります。

県としましては、介護保険制度が将来にわたり安定したもの、となるよう、国と地方の負担の在り方を含め、必要な制度の改善を図ることや、子ども・子育て支援新制度の実施に必 要な財源の確保につきまして、全国知事会を通じて国に提言を行っているところです。

引き続き、国の動きも注視をしながら、持続的な制度の改善に向けまして、全国知事会などと連携し取り組んでまいります。

 

●吉良議員 また、介護も保育も職員の配置基準が低いことから、実際の現場では配置基準以上の人を配置せざるを得ないことが、低賃金の構造的な原因になっています。たとえば、4、5歳児を担当する保育士の配置基準は、こども30人に対して1人と、70年以上変わっていません。特別養護老人ホームなどの施設の人員配置基準は現在3対1ですが、サービスの質を担保するために、より多くの職員を配置しているところが多く、実際の平均は概ね2対1と言われています(社保審H29.7.19参考資料)。

◆配置基準を高め働きやすい環境をつくることが、ケアの質の向上にとっても、また人手不足解消にとっても重要と思うが、子ども・福祉政策部長及び教育長にお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 最後に、配置基準を高めることにより、働きやすい環境をつくることが、ケアの質の向上や人手不足解消のためには重要ではないか、とのお尋ねがございました。

介護施設の配置基準は、施設が守るべき最低限の基準であり、各施設では、ケアの質の向上のため、介護報酬の加算制度を活用して基準以上の人員を配置し、適切なサービスを提供しております。介護基準の配置基準につきましては、現在、国において見直し等の議論が行われており、県としましても、引き続き、国の動きを注視してまいります。

ケアの質の向上のためには、施設で働く方のモチベーションの向上や、働きやすい環境づくりが重要です。

県としましては、行政への提出書類の簡素化や事業所のデジタル技術の導入を支援するなど介護現場の効率化や事務の負担軽減を進め、介護職員が直接介助に当たる時間を増やすことで、ケアの質の向上を図ってまいります。

また、新たな介護人材として、元気高齢者の介護助手への参入を進めているところです。元気な高齢者ご自身に人材不足を補っていただき、介護職員の業務をサポートすることで介護職員が専門性の高い業務に専念できる環境づくりを進めるとともに、就労を通じて、高齢者ご自身の介護予防につなげるなど相乗効果を期待しているところです。

さらに、本県が先駆的に進めてきましたノーリフティグケアや、福祉介護事業所認証評価制度の取り組みを広げていくことで、ケアの質の向上と介護人材の確保を図ってまいります。

 

○教育長 まず、質の向上や人手不足解消のため、保育士の配置基準を高め働きやすい環境をつくることについて、お尋ねがありました。

保育所において働きやすい職場環境づくりを進めることは、質の高い保育を提供するうえで、また、離職防止も含めた人材確保の観点からも重要だと考えております。

このため、県教育委員会では、本年度から新たに、保育士の補助を行う職員の配置への支援や、保育所等の経営者を対象にした保育現場の業務改善研修などに取り組んでいます。

お話しにありました保育士の配置基準につきましては、国の省令において、3歳児であれば子ども2 0人に保育士1人、4、5歳児は30人に1人と、子どもの年齢に応じて最低限必 要な保育士数が示されており、それを基本として保育所の運営費が算定、支給されているところです。

国においては、平成2 7年度に子ども・子育て支援新制度がスタートした際、3歳児に対する職員配置を15人に1人とした場合の加算措置を講じでおり、一定の改善が図られております。

県教育委員会としましては、保育の質の向上や人材確保に向けて、他の年齢の子どもも含め、さらに職員配置の改善がなされるよう、引き続き・全国知事会を通じて、要望を行ってまいります。

 

●吉良議員 県内の各自治体で、保育士・幼稚園教諭、放課後児童支援員などの賃上げの検討がはじまっています。全国的にも「公立は民間より高い」とか、「会計年度職員の中で格差が生じる」など、「その後の財政負担に懸念がある」として、賃上げに積極的でないことが問題となっています。

わが党などの国会論戦も受け、内閣府と厚生労働省はこの17日、公立の施設・事業所も対象とできることを徹底するよう各都道府県に求める事務連絡を出しています。事務連絡は、各地方自治体とその管内の保育園や幼稚園など関係団体に周知することとして、「公設公営の施設・事業所における賃金改善について」は、「公立の施設・事務所も対象としていること」をあげています。さらに、賃上げの対象として、地方公務員である公設公営の施設・事業所の職員について、「積極的な実施」を検討することを求めています。 

県内では、多くいる、いわゆる非正規=会計年度職員の賃上げを実施する自治体もでています。

◆県内の公立の保育所、幼稚園等での状況はどうか。この機会に、処遇改善をはかるよう徹底すべきではないか。

 

○教育長 次に、保育士・幼稚園教諭等の収入を引き上げるための国の新たな補助事業に関して、県内の公立の保育所幼稚園などの実施状況、また、公立職員の処遇改善を図るよう徹底することについて、お尋ねがございました。

今回の補助事業は、現場で働く全ての方々の処遇改善を目的としており、民間施設だけではなく公立施設も対象となっております。県教育委員会では、これまで、事業の実施主体である市町村に対し、国から示される情報を速やかに提供するとともに、補助申請のとりまとめを行ってまいりました。

その中で、民間に比べ公立施設の申請が低調であったことから、県内各市町村の検討状況や、条例や規則改正など処遇改善を実施する場合に必要な庁内手続きについて、随時、市町村に情報提供を行っております。

また、保育士等の処遇改善については、これまで、各市町村からの要望も踏まえ、全国知事会などを通じて繰り返し政策提言していることから、特に、会計年度任用職員については、積極的に本事業を活用するよう促してまいったところでございます。

結果、公立の保育所・幼稚園・認定こども園の31.1%にあたる9市町村41施設において、本事業を活用して会計年度任用職員の処遇改善が図られることになっております。

なお、活用を見送った施設につきましては、市町村からは、管内の民間施設に比べ一定給与水準が高いことや、他職種の会計年度任用職員との均衡の維持といった理由であるとお聞きしているところです。

各市町村においては、様々な事情や経緯を考慮して判断されたものと受け止めておりますが、県教育委員会としましては、引き続き、この事業を実施する市町村の状況を把握して、他の市町村へ情報提供するなど、職員の処遇改善に向けた市町村の取り組みを支援してまいります。

 

●吉良議員 ◆また、小さな民間事業所では、事務と判断が間に合わないとあきらめているところもあります。補助事業の申請期限の猶予を国に求めるとともに、申請事務の支援をはかるべきと思うが教育長にお聞きいたします。

 

○教育長 次に、補助事業の申請期限の猶予を国に求めるとともに、申請事務の支援を図るべきではないか、とのお尋ねがありました。

今回の補助事業について、民間施設からは、対象施設の 87. 6%にあたる162施設から申請が提出されております。

なお、申請を希望しなかった施設について、市町村を通じてその理由を確認したところ、公立から民間に移管した施設で給与水準が管内の公立施設と同等であることなどが多くあげられ、検討に時間を要したことを理由としているのは1施設のみでありました。

本事業は本年2月分からの賃金引き上げが実施要件となっており、賃金規程等の改定に時間を要する場合には、3月中に、2, 3月分をまとめて支払うことも可能となっております。 また、 2月分から賃金を引き上げ、 3月中に支払っていれば、令和4年度に2月分から補助対象に含めて申請を行うことも可能であり、こうした取扱いについても、市町村を通じて各施設へ周知してきております。

また、申請事務への支援につきましても、これまで、県独自で作成した申請書類の記入例の提供などを行ってきており、引き続き、各施設が円滑に申請できるよう市町村を支援して まいります。

 

●吉良議員 私ども議員団は、「高知県経済において、医療・介護・福祉の分野が果たす役割は極めて大きい。雇用数としても最大であり、安心して生活や経済活動を進めるうえでも、また地方に税を再配分し経済を下支えする上でも極めて重要な分野だ」と指摘してきました。県も中山間地の訪問介護、訪問看護を実施する事業所の支援を全国に先駆けて実施し、ノーリフティングケアの普及でも努力しています。また、県内には、訪問介護ヘルパーなどに月1万円の処遇改善の給付を実施している自治体もあります。しかし、人口減など高知県の抱える課題解決にとって、これまでの延長線上でない抜本的な県独自の支援策に踏み出す時だと考えます。

 産業連関表にもとづく試算では、医療、保健、社会福祉、介護の4分野に、それぞれ1兆円投入した場合、各分野は、生産では2・5~2・6倍、GDPは1・4~1・6倍となり、1兆円投入で各分野22万人強~28万人弱の雇用を生み出し、分野合計で100万人の雇用効果、GDP1%強の押し上げ効果があります。公共事業との比較では、生産波及効果はほぼ同じです。GDP効果は、医療は1・04倍、保健衛生は1・14倍、社会保険・社会福祉は各1・13倍、介護は1・20倍となります。雇用効果では1・3~1・6倍と、それぞれ大きく上回ります。

「ケアに手厚い社会をつくる」ことは、雇用の場をつくり、経済を支えるとともに、安心して暮らせる地域をつくり、ひいては人口減対策を進める力を持っています。そこで、知事にお聞きいたします。

◆県内GDPおける、医療、保健、社会福祉、介護分野の規模と、それら就業者の処遇改善や人員不足等への取組みを、どうなさるのか、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、県内総生産における医療、保健、社会福祉、介護分野の規模、そして、それら就業者の処遇改善と人員不足などへの取り組みについてお尋ねがございました。

平成30年度の県内総生産は、約2兆4, 000億円となっておりますが、そのうち保健衛生・社会事業は3, 000億円余りでございまして、構成比は12. 8パーセントとなっておりまして、分野別に見た場合に一番高くなっているところであります。

こうした医療、福祉の分野の職員の人材確保あるいは処遇改善を進めますことは、ご指摘もありましたように、本県におきます経済波及効果としても大きいものがあると考えております。

そのため、県内におきます医療、福祉分野の職員の処遇改善、あるいは人材確保は、重要な課題であると考えておりまして、日本一の健康長寿県構想などにも位置付けまして、取り組みを進めております。

まず、医療の分野におきましては、若手医師が増加するなどの成果が見え始めましたので、これまでの奨学金貸付制度や高知医療再生機構と連携した若手医師への支援などの取組を継続して、進めてまいります。

また、薬剤師や看護師などのコメディカルの職員につきましても、職能団体との協働で就職説明会を行いまして、人材確保を行う、あるいは、キャリアアップのための取組を継続してまいる考えであります。

さらに、医師の労働時間短縮、職員のワークライフバランスなどに取り組みます医療機関を対象といたしまして、高知県医療勤務環境改善支援センターと連携しながら、支援を強化してまいります。

また、福祉・介護の分野におきましては、離職率の低減などの成果も見られてきております。ノーリフティングケアや福祉・介護事業所認証評価制度を通じました、職員の処遇改善、職場環境改善につながる取組をさらに後押しをしてまいります。

また、デジタル技術の導入を加速いたしまして、業務の効率化、事務負担の軽減によりまして、介護職員が直接介助に当たる時間を増やすといった形で、サービスの質の向上にもつなげてまいる考えであります。

今後も、こうした取り組みにつきましては、現場の職員の声もお聞きをいたしまして、必要な見直しを行いながら、実効性のある処遇改善、人材確保を進めてまいります。

 

【インボイス制度】

●吉良議員 次に、消費税インボイス(適格請求書)制度について知事にお聞きいたします。

 政府が2023年10月に実施を予定している消費税のインボイス(適格請求書)制度は、全国約1000万と言われる免税業者やフリーランス等に、新たに消費税納税義務を課すもので、営業と暮らしを立ち行かなくする過酷な課税制度と言えます。既にインボイス発行事業者の登録申請が昨年10月から来年3月31日迄の期間で行われていますが、時間がたつにつれて、過酷な内容がわかり始め不安が広がり、中小業者、農民、個人事業主ら幅広い人たちから中止を求める声が広がっています。コロナ禍で苦しむ多くの国民にさらに負担を強いる制度の導入はただちにやめるべきだと考え以下お聞きいたします。

 

 年間の売上高1000万円以下の業者は現在、消費税の納税を免除されています。インボイス制度は、消費税を販売価格に転嫁することが困難な零細業者を課税業者にし、納税することを迫ります。1000万円以下の売上の利益から10%もとられたら廃業が増えるのは火を見るより明らかです。

 課税業者が免税業者から仕入れた場合、現行では、消費税がかかっていると見なして控除できますが、インボイス導入後はインボイスのない税額控除は認められません。ですから、免税業者からの仕入れにかかった消費税を差し引くことができず、納税額が膨らみます。課税業者はこれを避けるために免税業者との取引を停止することが増える恐れがあります。

 一方、インボイスを発行するには課税業者、登録業者になるしかありませんが、赤字経営でも身銭を切って消費税を納めなければなりません。

財務省の試算では、(19年2月26日、衆院財務金融委員会での答弁)インボイス導入で新たに納税業者になる事業所の平均年間課税売り上げは550万円、粗利益は154万円になり、10%の税率だと納税額は15.4万円になり、月10万円ではとても暮らしていけません。

◆インボイス制度の下で新たな課税業者になったら増税、また免税業者のままでは取引を拒否されるという事になり、どっちにしても零細業者は廃業への危機を強めることに繋がります。知事のインボイス制度への認識を伺います。

 

○県知事 次に、消費税のインボイス制度への認識について、お尋ねがございました。

お話がありました、いわゆる「インボイス制度」は、消費税におきまして、複数税率が採用される下で、適正な課税を確保するためには、必要な措置であると認識をいたしております。

また、制度の導入にあたりましては、特に中小・小規模事業者の皆さんなどに混乱が生じないようにするということが大切だというふうに考えております。

このため、インボイス制度の導入につきましては、軽減税率制度が実施をされてから、4年間の準備期間をおいてスタートするということにされておりますし、このスタート後も6年間は経過措置をおきまして、段階的に移行していくという配慮が行われているところでございます。

また、中小・小規模事業者の方々が免税事業者のままでありましても、取引先の事業者が課税売上高5, 000万円以下のいわゆる簡易課税制度の適用を受けている場合には、インボイスの交付を求められることはないという制度設計が行われているところであります。

併せて、政府におきましては、制度の周知や広報、事業者の準備を支援する取り組み、免税事業者をはじめとした事業者の取引環境の整備を進めているというところであります。

県といたしましても、中小・小規模事業者を含みます県内事業者の皆さんが、スムーズに新しい制度に移行できますように、県内の税務署とも連携を図りながら、周知、広報等に努めてまいる考えであります。

 

●吉良議員 次に、インボイス導入の影響の広がりなど具体的な影響について伺います。

  法人企業統計等調査などから、個人・法人の事業者数は、推計約800万者。消費税の課税業者は315万者で、残りの約480万者が免税事業者と推計されています。商店や町工場などの自営業者、農家や個人タクシー、大工の一人親方など様々な職種の人々です。さらに国勢調査では、自営業者に分類されていない、いわゆる「フリーランス」の人たちも、消費税法上は「事業者」ということになり、消費税課税対象となります。内閣府などの調査ではフリーランスは400万人前後と言われています。

 県内でもシルバー人材センターや農業者はじめ様々な職種の方から制度実施を危惧する声が出されています。

 シルバー人材センターの一人当たり年間収入の全国平均は税込みで43万円ですが、このような零細な高齢事業者にも消費税の納税が課せられ、簡易課税を選択し場合の消費税納税額は1万9500円になります。この納税のために税務署に事業者登録番号をもらう申請をし、番号付きの正規の請求書を取引ごとに発行し、それを7年間保存し、毎年消費税の申告・納税をすることになります。おそらくシルバー人材センターから脱会する高齢者が続出するのでは、と危惧されています。道の駅・直販所なども同様の各事業者・個人にも、新たな増税負担と日々の事務手続きが求められます。低年金生活や家計の少しでも足しを、との思いで頑張る県民の営みを奪う事になるでしょう。

◆このようなインボイス制度導入の影響は多くの国民に及び900万人から1000万人前後と推計されます。県内事業者数の実状、推計についてお聞きします、また、シルバー人材センターの会員や直販所への納入者等に対する対応について、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、これに関連しまして、本県の事業者数につきまして、及び、シルバー人材センターの会員や、農産物などの直販所への納入者に対します対応についての、お尋ねがございました。

国税庁の統計年報によりますと、本県の事業者数は個人・法人合わせまして約4万6千者、消費税の課税事業者は約1万9 千者でございまして、残りを免税事業者というふうに推計いたしますと、約2 万7千者というふうに見込まれます。なお、お尋ねがございましたフリーランスの数につきましては、全国レベルでの推計の数値しか公にされていないということでございますから、県として県内分につきまして、確たる数字がどうかという点については、把握をいたしておらないところでございます。

インボイス制度はただいま申し上げました通りでございますが、売り手から買い手に正確な適用税率あるいは消費税額等を伝えるというものでありまして、消費税の適正な課税に必要な制度であるというふうに考えております。

一方で、インボイス制度の導入開始を前に、事務負担等の観点から、様々な不安や疑問を感じておられる方がいらっしゃるというふうに承知をしております。こうした方の不安等を解消するために、政府におきましては、国税庁、関係省庁が連携をいたしまして、たとえば制度案内リーフレットの配布などによります広報、またホームページ上での動画による制度解説、さらに、説明会の開催やコールセンターの開設による相談対応などに取り組んでいるというふうに承知しております。

県といたしましても、国と協力をしながら周知・広報に努めますとともに、不安や疑問の声をお聞きした場合には、しっかりと国に届けてまいります。

 

 ●吉良議員 多くの県民、業種・業界からは、コロナ危機による影響とインボイス導入による影響の2つもの大きな危機、深刻さに直面し、インボイス”異議あり”と不安と怒りの声がかつてなく広がっています。

 日本商工会議所は、約500万者の免税業者に対する取引排除や不当な値下げ圧力等が生じる懸念を指摘するとともに、「コロナ対応に追われ準備に取りかかれる状況にない」と明言しています。また全国建設労働組合、日本税理士会連合会、全国青色申告会総連合、全国中小企業団体中央会などからも、インボイス導入実施の凍結、延期、中止等を求める声が上がっています。

県内でも、高知県商工会議所連合会は、「事務負担が大きいこと、多数の免税事業者に対する取引排除や不当な値下げ圧力等が生じる懸念もある、改めて中小企業の準備状況や事業者の取引への影響等について検証を進めるとともに、当初想定されていなかったコロナ禍からの経済再生に注力するために、インボイス制度の導入を当分の間凍結すべきと考える。全国と比べ、小規模事業者割合が圧倒的に多い本県の特性を踏まえ、県から国に要請すること」等、決議し、昨年11月12日、森田県議会議長に要望書として提出されています。中小・小規模企業対策要望実現高知県商工会大会と高知県商工会連合会の連名で、「当分の間凍結すること」との要望書が提出されています。また今議会に、「インボイス制度の実施延期を求める意見書提出を求める陳情」が、高知県商工団体連合会からもなされています。

◆これら各団体から寄せられた決議・要望をどう受け止めるのか、また国に対してどのように反映するのか決意も合わせて、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、このインボイスに関しまして、各団体から寄せられました決議・要望の受け止めなどについて、お尋ねがございました。

インボイス制度の導入は、この要望にもありますように、経費・事務手続きなどで、事業者の方々に新たな負担を伴うものというふうに認識をいたしております。

このため、商工会・商工会議所等と連携をいたしまして、事業者の方々への個別の指導・助言、税理士等によりますセミナーの開催などに努めてまいりました。

また、全国知事会とも連携をいたしまして、制度の円滑な導入に向けました十分な広報あるいは支援の充実を行うように、国に対して要望してまいりました。

こうした結果、今回の国の補正予算で、インボイス制度に対応いたしました会計ソフトやレジを導入する場合への補助制度を拡充するといった形で、国の施策の充実が図られたところであります。

引き続き、県内の商工団体、事業者の皆さんの声もお聞きをいたしまして、全国知事会とも連携をいたしたうえで、円滑な導入に向けた対応をしっかりと国に提言してまいる考えであります。

 

【中山間対策】

●吉良議員 次に中山間対策について、お聞きいたします。

高知大学にいた大野晃さんが1980年代終盤に、綿密なフィールドワークを踏まえて「限界集落」の概念を打ち出して30年余経過しました。この間、いくつかの集落が消滅しましたが、なお多くの集落が人口減少と高齢化が進みながらも、住民の皆さんの賢明な努力と支え合いによって維持され、食料の安定供給とともに、県土保全、水源かん養等の多面的機能を果たしています。頑張るパワーの原点は、何といっても住み慣れた地域に愛着があるからです。しかし、今回、県が10年ぶりに行った集落実態調査の概要(中間報告)を見ると、その地域への愛着が、あきらめに変わり始めているのではないかと危惧するものです。

「地域への「愛着」や「誇り」を感じているか」という質問に対し「強く感じていると思う」「多少感じていると思う」で前回93.0%、今回85.9%と7ポイント減ですが、問題は、「強く感じていると思う」が64.8%から34.6%へと半減していることです。集落の今後について「10年後の集落活動を維持できない」と回答した集落が39.3%と、前回調査から12ポイントも増加していることも、中山間のおかれている厳しい現実を反映するものです。

これに対して県は、施策の柱に、小さな集落、人づくり、デジタル技術の活用、をあげています。自らの先が見えず汲々としている集落活動センターに携推進加算額をつけても、従前施策の横展開、つまり質的転換が無く量的拡大の施策では金の切れ目が取り組みの終わりとなるでしょう。また、デジタル技術が万能であるかのように書かれています。例えば、生活用水設備のデジタル化で自宅から施設の監視や遠隔操作が可能になるとしていますが、遠くの水源地で異常が生じた場合、遠隔操作でできることは限られています。今までどおり険しい山道を歩いて管理・補修を行う事になるのです。ドローンの輸送手段としての活用も、配達業者に利するだけで、一人くらしの方との世間話や暮らしぶりや様子を見ながらの安否確認が奪われます。高齢者の一人暮らしが増えている中で、すぐに連絡の取れる体制づくりなど、人と人の交流や触れ合いを手助けし、持続可能な集落の仕組みとなるものが求められています。

◆連携推進加算やデジタル技術活用はあくまで手段であり、原因に手を入れるものではありません。今回の調査を踏まえて知事は、限界集落を生み出してきた原因をどう捉えているのか、お聞きいたします。

 

○県知事 次に、中山間対策に関連いたしまして、いわゆる限界集落を生み出してきた原因について、どう考えるかというお尋ねがございました。

中山間地域の多くの集落におきましては、人口の流出あるいは高齢化によってその活力が奪われてまいりました。また、それによりまして集落機能が低下し、産業の衰退を招くといった形でいわゆる負の連鎖に陥りまして、集落の疲弊が進んできたものというふうに受け止めております。

一方で、こうした厳しい環境の中にありましても、前回の実態調査と同様に、約7割の住民の方々から、「これからも集落に住み続けたい」との強い思いをお聞きいたしております。

また、多くの住民の方々は、自然や景色、集落のまとまり、 住みやすい環境など地域への愛着や誇りを持って生活されているところであります。

県といたしましては、調査を通じて把握いたしました、こうした県民の皆様の思いを叶えるということが、使命であると考えております。

このため、市町村との連携をいたしまして、引き続き中山間地域におけます産業づくり、そして担い手の確保に総力を挙げて取り組んでまいります。

 

●吉良議員 次に、中山間支援と密接に関係するであろう、小規模・家族農業についてお聞きいたします。

2010年頃からEUおよび国連、国際市民社会の間では、小規模・家族農業の再評価と支援強化が訴えられてきました。そして、EUはこれまでの大規模農業を優遇する政策を見直し、小規模・家族農業を積極的に支援する農政へと舵を切っています。背景には、小規模農家の維持が農村の活性化に不可欠であることや、小規模農業が果す多面的価値が高く評価されるようになった事があります。また、工業的大規模農業が社会や環境にもたらす弊害、農場外資源に依存する経済的不安定性が考慮されたからです。さらにEUでは、SDGsや2050年の脱炭素化という国際的アジェンダと歩調を合わせて、今まで以上に生態系と調和した農業・食料システムへの転換を加速化しているからです。

 これまで小規模・家族農業は非効率で生産性が低いとみなされていました。しかし、大規模な比較研究によって、単収は高く、温室効果ガスの排出削減、炭素貯留、雇用創出、過疎化の抑制等の効果も確認されています。また、気候危機と新型コロナ感染症を受けて、過去30年余りにわたって支配的であった新自由主義的価値観が大きく見直されつつあります。

◆こうした国際的な流れは日本ではあまり報じられませんが、知事のこうした国際的な流れに対する認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、小規模、あるいは家族農業への国際的な流れに対します認識はどうか、お尋ねがございました。小規模、家族農業をめぐります国際的な流れといたしましては、議員からお話がございましたEUのほか、国連におきまして、 2019年からの 10年間を「家族農業の10年」と定めまして、各国に対しまして、家族農業に関する施策を進めることなどを求めております。

世界の食料生産額の8割以上を占めるのが家族農業というふうに報告をされておりまして、食料の安全保障という点に加えまして、貧困の撲滅、飢餓の解消、生物多様性の保全、環境の持続可能性の達成など、様々な面から、重要な役割を担っているというふうに認識をしております。

SDGsが世界的な動きとなります中で、こうした家族農業の役割や重要性について国際社会で認識を共有するということは、大変意義深いものであるというふうに考えております。

 

●吉良議員 小規模・家族農業の多面的価値を生かし、それを支える施策展開こそが、中山間地での暮らしを具体的に支えることにつながります。

◆これまでの、「大規模化・効率化」の農政から、「小規模・家族農業重視」の農政へと転換させていく施策を進める過程でこそ、持続可能な中山間地での新たな暮らしが創出され中山間地が息を吹き返す事に繋がっていくと考えるものですが、知事の見解をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、小規模、家族農業重視への農政への転換をはかるべきではないかというお尋ねがございました。

本県におきましては、農業に占めます家族経営体の割合が全体の約97パーセントを占めております。このため、家族経営体の経営発展を図ることが、本県農業の持続的な発展に不可欠であるとの考えのもとに、産業振興計画において、重点的に取り組んでまいりました。

具体的には、環境制御技術に最先端のデジタル技術を融合させました、いわゆるIoPプロジェクトを、推進をしていくということ、スマート農業の普及におきましては、大規模な法人経営体だけではなく、小規模な家族経営体でも、生産性の向上や省力化が可能となりますように、取り組んでいるところであります。

また、担い手の高齢化や生産条件がより厳しい中山間地域におきましては、家族だけで農業を担うということが難しい状況にございますので、集落営農組織の拡大あるいは組織間の連携など、地域の農業を面的に支える仕組みづくりを推進しております。さらに、来年度からは国の事業を活用いたしまして、農用地の保全活動、地域資源の活用などの取り組みを複数の集落などが連携して行いますよう「農村型地域運営組織」の形成を推進してまいり ます。

その一方で、 「地域で暮らし稼げる農業」を実現するためには、経営体の規模拡大、あるいは大規模な法人経営体の農業参入を図る取り組み、これも他方では重要だというふうに考えまして、各種の施策を推進しているというところでございます。

そういう意味で、今後も、農家の規模の大小、あるいは経営の形態にかかわらず、必要な施策をしっかりと展開してまいりたいというふうに考えております。

 

【教員定数の正常化】

●吉良議員 次に教員定数の正常化についてお聞きいたします。

教育行政の根幹は教壇教員の確保であり、義務標準法に則り確実に各学校に教職員を配置することは行政の責務です。しかし本県は、教室に先生がいないという、まさに教育行政の存在が問われる事態が毎年繰り返されています。

四月当初から300名もの臨時教員を標準定数に含めてやっと新学期のスタートを切っている実態からは、義務標準法で定められた教員数さえ、県教委は、正規教員として任用して来なかったことを示すものです。教職員定数の充足率は、全国最下位が続くなど一向に改善がなされず、定数問題で文科省要望へと足を運んだ際、文科省の側から「毎年のヒアリングで充当率(ママ)に沿うよう指導しているのですが」と言われる始末でした。

小学校教職員充足率の全国平均は100%を超え102%近くにある中、依然97%台という由々しき事態を解決するために県の教育大綱並びに教育振興基本計画に、克服への行程が明示されてしかるべきと思います。

◆教育大綱と基本計画に、教員の定数に対する配置の課題を明記し、解決への行程を示し、実効ある取り組みを推進すべきだと思いますが、教育長にお聞きいたします。

 

○教育長 次に、高知県教育振興基本計画等に教員配置の課題があることを明記し、実効ある取組を推進するべきではないか、とのお尋ねがありました。

第3期高知県教育振興基本計画の中に「チーム学校の基盤となる組織力の強化」の項目において、「質の高い教員の確保・育成」を対策に掲げております。そこには教員の大量退職・大量採用時代にある中で、できる限り数多くの教員の確保と、その資質や能力の向上を大きな課題として捉え、教員採用審査方法についての記載をしております。

必要な教員数を確保するための課題や取組について、一定記載をしているものと考えております。

具体的な取り組みとしては、全国一早い審査日の継続、県外での採用審査会場の開設、現職教員を対象とした特別選考任期付教員の採用など、これまでも教員の採用における工夫改善に継続的に取り組むことで、必要な教員数の確保に努めてまいりました。

今後も引き続き、将来の適正な教員数を念頭に入れつつ、国から配分される教員定数に対して実際に配置された教員実数の割合、いわゆる教員配置の充足率100%に向けた必要な 教員数の確保に取り組んでまいります。

 

●吉良議員 2020年10月の本議場で、小学校充足率が97.3%と全国平均を3.6%も下回り最下位となっている実態を示しました。そのうえで、義務標準法の見直しへと国が動こうとしているので、その動きに乗じて、先に述べた新学期当初から定員籍に臨時教員を充てる事が無いよう、思い切った教員確保を行うよう求めました。教育長は「来年度に向けてさらに、そういった定数内でしっかりと定員が確保できるように、取り組みをすすめていきたいと思います。」と答えられました。

◆2021年度の小学校教諭等の充足率はどう改善されたのか、また新学期当初の学級数に応じて配分される教員定数内の臨時教員数はどう改善なされたのか、来年度の改善目標も合わせて教育長にお聞きいたします。

 

○教育長 次に、小学校教諭の充足率と標準定数内の臨時教員数の改善状況及び来年度の改善目標について、お尋ねがございました。

いわゆる充足率は、本県の小学校教諭と校長、教頭、主幹教諭、講師などを含みますが、令和2年度が97.3%、令和3年度が98.3%となっており、前年度に比べて改善傾向にありますが、100%には至っておりません。

しかしながら、本県の小中学校全体の充足率は、昨年度の99.5%から本年度は100%となっており、校種別では、中学校は100%を超えて105. 3%、小学校ではただいまお答えしたように1.7%の未充足となっております。本県の中学校は、小規模校が多いことに加え、小学校以上に学力の未定着、不登校をはじめとする生徒指導上の諸課題、部活動顧問等の教 員の長時間勤務の課題が大きく、その解決を図るため、中学校への重点的な教員配置を行ってきたことによるものでございます。

教員定数は児童生徒数や学級数で毎年変動するものでありますが、今後とも小中学校全体で100%の充足率を目指した取組を進めてまいります。また、小学校教科担任制に係る中学校の乗り入れ授業等で、小学校の負担軽減を図るとともに、小学校についても、100%の充足率を目指して改善に努めてまいります。

次に、 4月の新学期当初において、県の基準に基づき学級数に応じて配置される教員定数内の臨時教員数は、小学校では、令和2年度が50名で、令和3年度は36名と14名の減、同様に、中学校では、令和2年度が46名で、令和3年度は 44名と、2名の減となっており、共に改善傾向となっています。

学校の統廃合や児童生徒の転出入によって教員定数は毎年変動するものであり、加えて近年の加配定数の減少傾向などに対応するため、一定の臨時教員の配置は必要であると考えておりますが、できる限り正規教員の配置割合を増やしていくよう、今後も、努めてまいります。

 

●吉良議員 さて、2021年3月、予想通り義務標準法改正案が、衆参とも全会一致で可決成立、実に41年ぶりの学級編成標準の改善となりました。すでに多くの地方自治体は国を上回る少人数学級を実施してきましたが、改正を受けて、21年度は、15道県・3政令市で対象学年の拡大が行われました。法改正により少人数学級編成のための国庫加配定数(指導方法工夫改善加配)は基礎定数へと置き換わります。

21年度から小学校2年生が新たに35人学級になり、それを見越して本県は先取りで6年生を35人にした事は嬉しい事です。

◆そこで提案ですが、小学校全学年が新標準法定員となる2025年度の基礎定数総数と21年度の総数と比較した増員分を、正規採用教員として先取り採用し、現下の教員不足、多忙化解消に資するお考えはないか、教育長にお聞きします。

 

○教育長 次に、小学校の少人数学級編制により増員分の定数を、先取り採用して、教員不足や多忙化解消に資する考えはないか、とのお尋ねがございました。

国のいわゆる義務標準法が改正され、本年度から小学校2 年生が1学級40人の上限から35人に改められ、年次進行で令和7年度には小学校全学年で35人学級編制となる計画です。

これにより1学級の上限が40人から35人に変更となり、 学級数が増えることで教員定数が増え、その分が基礎定数化されることになります。本県では、1学年あたり10名程度の教員が増加する見込みとなっております。

お話いただきました法改正の先取りは、例えば、予算要求にあたっての考え方の一つとなるものであると考えておりますが、教員の採用数につきましては、児童生徒数の増減や学校統廃合による定数の変動、退職数や再任用数の動向などの様々な要因を分析しながら5年先までの採用計画を立てているところでございます。

そのうえで、小学校のこの度の教科担任制のような国の新しい制度や方向性を考慮しまして、必要となる採用人数や教科等を精査して、毎年度、採用計画を補正し、より教育効果が上がる採用を行っているところでございます。

また、本県の教員を志願する方々に対して、毎年、一定数 の安定した採用を確保することは、優秀な人材の確保に資するものであり、併せて、毎年の採用者数をできるだけ平準化することで、 いびつな年齢構成の解消にも努めているところでございます。

こうしたことに加え、優秀な教員の確保の面からも、現状においては、一度に4年分40人程度を上乗せして先取り採用することは難しいと考えております。

今後は、定年延長制度の導入によりまして、退職者数等が不透明となる部分もありますが、採用についてさらに検討を深め、採用計画の精度を高めながら、安定的な学校経営に資するよう、取り組んでまいります。

 

●吉良議員 次に中学校についてです。これまでは1年生を県独自に30人、2年生3年生を40人としていたものを、22年度からは全学年35人にすると提案なさっています。義務標準法改正案が可決成立した時、国会で8項目の付帯決議が全会一致で可決採択されています。その一つに「中学校35人学級の更なる改善を含め検討」とあり、今回の県教委の提案は、それを先取りしたものと考えます。

◆これによって何名の教員の増員が必要とされるのか、お聞きします。また、増員分は国庫加配対応教員数も含め正規教員で対応すべしと考えますが、教育長におききいたします。

 

○教育長 次に、中学校35人学級によって何名の教員の増員が必要となるのか、増員分は正規教員で対応することについて、とのお尋ねがございました。

年度末から年度初めにかけて、特に市部の学校では児童生徒の転出入が多いため、少人数学級編制の確定は、4月の学校始業日となります。このため、令和4年1月10日時点の生徒数によって推計をいたしますと、中学校の35人学級編制を実施した場合、県全体で68名の教員定数の増員が見込まれております。

この増加する教員定数については、国の少人数学級編制に係る加配定数と県単独の加配措置によって対応してまいります。この少人数学級編制を含む様々な課題解決に対応するための国の加配定数は、毎年変動するという不確定な要素があるうえに、国からの加配定数決定の通知は、毎年2月上旬ということから、その全てを正規教員で配置することが難しい状況にあります。

加えまして、中学校の場合は教科担任制であり、増加した定数分をどの教科で配置することが有効であるかということにつきましては、市町村教育委員会と十分に協議をしたうえで教科等が決定されるため、 教科によっては正規教員の配置が困難な場合があります。 正規教員及び臨時教員のいずれを配置するにしても、少人数学級編制を実施する中学校において、教育課題の解決につながる教員の配置と活用に努めてまいります。

 

●吉良議員 県内の過半数を超える中学校は1学年1学級で、1から3学年合計3学級の中学校が多くあります。今回の措置で2年生と3年生がそれぞれ1学級増えても全体では5学級の中学校となります。学級数が増えたら教員数も増えないと教員の持ち時間数は大変なことになります。しかし、本県の教員配置基準が3学級~5学級の学校は7人の教員配置としているので教員数はそのままとなります。そのままでは、学力保障と働き方改革に逆行する事態を招くことになります。

◆来年度、35人学級導入で学級数が増える学校は何校でしょうか。そのうち6学級に届かず教員配置数が変わらない中学校は何校となるのか、まずお聞きいたします。

そして、本県の配当基準を見直し、今回の学級増での授業時数増に対応できる教員配置数とすべきだと考えるものですが、教育長の考えをお聞きいたします。

 

○教育長 次に、来年度、35人学級導入で学級数が増える学校数と、そのうち実施しても教員配置数が変わらない中学校は何校となるのか、また、本県の配当基準を見直し、今回の学級増での授業時間数増に対応できる教員配置数とすることについて、お尋ねがございました。

本県の中学校の教員配置基準では、少人数学級編制を実施して学級数が増えたとしても教員定数が増えない場合があります。具体的には特別支援学級を除き、学校全体の学級数 が3学級から5学級までは教員定数が9名という配置基準となっております。この基準は、国のいわゆる義務標準法によって算定される教員数に基づき県が定めているものですが、各中学校への配置数は、国の義務標準法と同程度のものとなっております。

令和4年度に35人学級編制を実施した場合に、学級数が増加する学校は29あり、そのうち学級数が増加しても、3学級から5学級の範囲となって教員数が増加しない学校は、昨年12 月の段階での試算では、5校程度になると想定しております。

学校の現場からは、学級数が増えることで、学校全体の総授業時間数が増加するにもかかわらず、教員数の増加がないので教員の負担が増すとの声が聞かれておりました。

そのため、現行の基準では35人学級編成を導入しても教員数の増加がない学校については、特別に1名を加配措置することとしました、これにより、県教育委員会としましては、対象となる全ての中学校において35人学級編成を導入していただきたいと考えております。

 

●吉良議員 次に教員不足に関してお聞きします。

 文科省は1月31日、公立小中高校などを対象に初めて教員不足の全国実態調査実施し、昨年4月の始業日時点で2558人、5月1日時点で2065人が計画通り配置されていなかったと発表しました。

私どもは早くから教室に先生がいない実態を指摘し、改善方法も示し、実行を迫ってきたことはご案内の通りです。調査は遅きに失したと言わざるを得ませんが、より正確な調査を継続すべきとは思います。そもそも、時代の流れと児童生徒の実態にあわない古い制度を41年間もそのまま放置し、地方自治体が動きだしても教員増に背を向けて過重過密労働を押し付けてきた責任は政府にあります。世論に押されての今回の改正ですが、その内容は、諸外国では当たり前の20人には到底及ばず、小学校2年生から一学年ごとの学年進行ですから、6年生は40人という規模は4年間変わらない冷たいやり方です。

◆教員不足のこの調査結果を意味のあるものにするためには何よりも教員を増やす予算をつける事です。公教育費がOECD諸国で下から2番目の対GDP比4.0%をあと1%増やし、せめてOECD諸国並にするよう政府に強く求めていく姿勢が必要だと考えますが、教育長にその考えがあるかお聞きいたします。

 

○教育長 次に、公教育費がOECD諸国で下から2番目の対GDP 比4.0%をあと1 %増やし、せめてOECD諸国並みにするよう政府に強く求めていくことについて、お尋ねがございました。

本県の教育課題を解決し、さらに教育の振興を図るためには、教員定数の確保を含めた教育予算の充実が重要であると考えております。そのため、全国都道府県教育長協議会や教育委員協議会とともに、国に対して「各種加配定数の改善・充実」や「教職員給与等の改善」、 「公立学校施設整備に係る必要な財源の確保」など、約70項目にわたって教育予算にかかわる内容を毎年しっかりと要望しているところです。

これら個別の具体的な要望が実現されることによりまして、結果としてGDPに占める公教育費の割合も増加するものと考えております。

併せて、本県独自で政策提言書を国に対して毎年提出しており、定数の充実についての提言を行っているところです。

本年度は、「教育課題を解決するための教職員加配の重点化による支援」につきまして、令和3年6月21日にWEB会議システムを活用し、濵田知事から文部科学大臣政務官に対し、少人数学級編制を拡充するための加配措置や主幹教諭の加配、事務職員の加配等の充実の提言を行っております。

今後とも国に対し、本県の教育が強力に推し進められるよう、教育予算や教職員加配の拡充など、必要な提言や要望を継続してまいります。

 

●吉良議員 先ほどの年度当初の300人もの定員籍内臨時教員数はじめ、本県の教員不足の弊害として、私どもは、病休や法的に位置づけられている産育休も含め年度途中の代替教員が見つからない深刻さ、女教師が妊娠を申し訳なく思う雰囲気を作っている事、超過密長時間労働等々をあげて、それらは結局、子どもたちの学習権を蔑ろにすることになっていると対策の必要性を訴えてきました。

年度当初の300人の臨時教員問題の原因は、先に述べた採用してこなかったからだけでなく、もう一つ考えられるのは、当該数は教諭として採用し任用してきたが、その一部を学校現場ではない他の部署に配属してしまったので臨時教員で補充せざるを得なくなっている事です。そこで、2年前に本議場で、他県に比して極端に多い指導主事を現場に返しすべきと提案いたしました。

学校現場の窮状を超長時間過密労働で必死に支えているのは現場教職員の献身的な努力です。今最も急がれている、喫緊の課題はほかでもない、学校現場に教員を確保する事です。ところが、その教職員を現場から引き抜き教員を減らし指導を薄くする人事政策が本県のあて指導主事への任用です。

その比率は2020年度で3.37%全国1位、人数は173名、その内、充て指導主事125名です。四国の他県は教員総数の1%にも満たず40人台であるのに、その4倍もの教員を現場から引きはがして教育委員会の事務局などに配置しているのです。まさに、事件は現場でおこっており、そこに実働部隊が必要であるにもかかわらず、現場へ上から号令をかける司令部にばかり人員をかき集めているという矛盾した取り組みです。指導主事を他県並みの人数にして、学校現場に戻せばどれほど現場が助かる事かと、指導主事を現場に返すことを私どもは提起してきました。

この指摘に教育長は、「本県の喫緊の教育課題の対応や、新たな取り組みのために…指導主事を増員配置をしております」と答えていますが、本県の喫緊の教育課題は、教育の土台、根幹である教員をキチンと学校現場に配置する事ではないのでしょうか。それをやったうえでの新たな取組ではないのでしょうか。2021年度の指導主事の比率は3.43%、174名、その内の充て指導主事123名と高いままとなっております。

◆不登校や学力保障、生活指導など子どもたちの声や状況にゆっくり向き合いともに歩んでいくためにも、まずは充て指導主事123名を計画的に他県並みに減らし学校現場へ返していくべきだと思いますが、教育長の考えをお聞きいたします。

 

○教育長 最後に、充て指導主事の数を計画的に他県並みに減らし学校現場へ返していくことについてのお尋ねがございました。

指導主事は、本県の小中学校の学力課題や不登校等、喫緊の課題の解決を図り、県の教育振興基本計画を着実に推進するために、専門職として各学校や市町村教育委員会への直接的、間接的な支援を実施しております。その配置にあたっては、小規模の小中学校が海岸部から中山間部まで広範囲に点在しているといった本県の状況に対応しつつ、各学校や市町 村教育委員会への支援を充実させるため、県内の3地域に教育事務所を設置し、その教育事務所や市町村教育委員会にそれぞれ必要となる一定数を配置しております。

高知県の教育の現状を鑑みた場合、こうした体制による各校の取組が成果を上げてきておりますので、指導主事の配置数等については当面現状を維持していきたいと考えております。一方で、それぞれの教育課題の改善状況により、高知県教育振興基本計画等の改訂と合わせた、指導主事の配置減を含めた適正配置について、今後も継続して検討してまいります。

 

【部局再編】

●吉良議員 次に、部局再編・組織改正に関わり、お聞きをいたします。 

 一点目は、統計分析業務についてです。

 この間、国土交通省において、建設工事受注動態統計のデータ改ざん、統計不正が明らかになりました。建設工事受注動態統計は、建設業の毎月の受注実態を調べるもので、全国約47万の建設業者の中から約1万2千社を抽出し、都道府県を通じて受注データを集計しているものです。今般明らかになった統計不正では、ひとつに業者から遅れて提出された未提出分の調査票を無断で「書き換え」、受注高を最新月に「合算」していました。そして、ふたつめに、未提出分に推計値を当てはめる処理に変更した後も、前述の「書き換え」「合算」を続けた結果、受注実績が二重計上(推計+合算)されていました。さらには、みっつめに、不正を認識した後も隠蔽とデータ改ざんを続けるという、一連の不正行為が行われていました。

この統計不正においては、2020年度の統計が約4兆円過大になっていたのではないかとの報道もあります。

 統計法では第一条の目的において、「公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」であると規定しています。今般の統計不正は、公的統計への国民の信頼を裏切るものです。政府もEBPM(Evidence-Based Policy Making)、証拠に基づく政策立案が重要としています。公的統計はその政策立案の前提となるものであり、ひいては、国民の暮らしや業者の営業などを行政がどのように支えていくのか、その具体的施策の策定において決定的な指標です。

 この統計不正の背景に、統計業務の軽視、人員配置に問題があったと指摘されております。

◆国土交通省における、今般の統計不正について、どのように受け止めているか、知事にお伺いいたします。

 

○県知事 次に、国土交通省におけます統計調査の不適切処理への受け止めについて、お尋ねがございました。

国土交通省は、建設工事受注動態統計調査におきまして、二重計上が生じていたことを受けまして、外部委員からなる検証委員会を設置し、調査・検証のうえで、本年1月14日に報告書を公表されております。

報告書では、期限を過ぎて報告された月の受注額を、受理した月分にまとめて計上した上で、受理前の月分にも推計値を計上するという方法としておりましたために、二重計上が発生したことが問題点とされております。

これらの原因としては、ひとつには「人的な余裕がなく、こうした処理を見直す機会もないまま続けていたこと」 、 また、もうひとつには「制度設計を行う職員と、集計の実務を行う職員間で十分な情報共有がされず、情報の分断が生じていたこと」などが指摘されております。

建設工事受注動態統計は、国の基幹統計といたしまして、国土交通白書や各種施策の基礎データにも利用されるなど、重要な調査として正確な計数が求められるものであることはいうまでもないことでございます。

統計調査に関しましては、厚生労働省の毎月勤労統計調査を巡る不適切事案を受け、平成31年に基幹統計の一斉点検が行われたにも関わらず、このような事案が再び発生したということは、大変残念に思います。

検証委員会の提言にもありますように、今回の事案を契機として、統計実務を取り巻く環境が改善され、国民の公的統計に対する信頼を取り戻すことができますように、対策を講じていただきたいと考えております。

 

●吉良議員 令和4年度の本県の組織改正において、「産業振興計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定において、各種統計データを有効活用するため」として、統計分析業務を所管する統計分析課を、産業振興推進部に移管するとしています。

 先に述べたように、公的統計は政策立案の前提であり、それは当然に、産業振興のみに関わるものではありません。高知県統計調査条例においても、「適切な行政運営を図り、もって県民経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与することを目的」とするとしています。この目的から考えても、県の統計分析は、県民の暮らし全体に関わる多様な政策立案にいかされるべきです。

◆統計分析課のこれまでの所管で、各施策への活用に支障があったのか、知事にお聞きいたします。

 

 

「李下に冠を正さず」との言葉がありますが、まさに国において、統計不正が続き公的統計への国民・県民の信頼が揺らぐ中で、この統計分析の移管をあえて進めれば、恣意的な統計操作につながりかねないとの懸念を抱かせるのではないか、危惧するものです。

◆国連の「公的統計の基本原則」はその前文において、「統計機関の専門的独立性と説明責任が非常に重要である」とうたっています。統計分析課の産業振興推進部への移管は、本来、専門的独立性が確保されるべき公的統計の性格を歪めるものではないか、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 次に、本県の統計分析業務に関しまして、これまでの所管で、各施策への活用に支障があったのかどうか、また、公的統計の専門的独立性の確保につきまして、お尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。

本県の統計分析業務につきましては、これまでも適切に統計調査を実施し、経済波及効果の算定など、各分野におけます統計データの活用や分析なども行ってまいりました。

統計分析の各施策への活用に関しまして、現状で特段の支障を生じているという状況ではございませんけれども、これまで以上に本県の課題解決に 向けた政策立案に生かしていきたい、活用できるようにしていきたいというふうに考えております。

具体的には、多くの統計調査が関連をいたします産業振興計画でございますとか、いわゆる、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、各施策の効果検証あるいはバージョンアップをする際に、統計データをより有効活用していきたいというふうに考えておるところでございます。

そもそも、公的統計の作成においては、統計法の主旨に基づきまして、統計機関が専門的かつ中立公正に調査を行い、説明責任を果たすということが求められるわけであります。

このことは、統計分析業務を産業振興推進部に移管したとしても、これまでと何ら変わることはございません。恣意的な統計操作、統計不正などはいずれにしてもあってはならないことでございまして、今後とも正確で信頼できる統計調査を実施してまいる考えであります。

 

●吉良議員 二点目は、文化行政についてです。

 来年度組織改正において、教育委員会から知事部局である文化生活スポーツ部に、文化財課が移管され、「歴史文化財課」を設置するとされています。

 文化財保護を含む「文化予算」の対国家予算比、2017年では、日本は0.11%、イギリス0.16%、ドイツ0.49%、フランス0.88%、韓国1.05%などとなっており、国際的に見ても、日本の文化施策は遅れた現状にあります。文化財保護行政の抜本的強化が必要と考えるものです。

◆本県の文化行政の現状と今後どのように取り組んでいくのか、文化生活スポーツ部長にお聞きいたします。

 

○文化生活スポーツ部長 本県の文化行政の現状と今後の取組について、お尋ねがございました。

県では「文化芸術の力で心豊かに暮らせる高知県」の実現に向け、平成2 8年度に策定した「高知県文化芸術振興ビジョン」に沿って、様々な施策に取り組んでおります。

例えば高知県芸術祭の開催や県立文化施設の利用促進、文化広報誌「とさぶし」の発行などにより、多くの県民の皆様に優れた文化芸術に親しんでいただくごとのできる環境づくりに努めているところです。

また、高知の固有の文化を後世に伝えるため、本年度から新たな県史の編さんを開始いたしました。今後2 0年間にわたる県史編さんの事業を通じて、県民の皆様に本県の歴史へ の理解と愛着を深めていただけるよう取り組んでまいります。

加えまし、地域の人々の努力によって引き継がれてきた文化財の保存と活用につきましては、昨年度、県教育委員会において「高知県文化財保存活用大綱」が策定されております。 今後は、この大綱を踏まえ、市町村の文化財保存活用地域計画の策定についても支援するなど取組を進めてまいりたいと考えております。

さらに、文化芸術を地域の振興につなげる取組としましては、まんが甲子園や全国漫画家大会議などの開催による、交流人口の拡大と高知県の魅力の発信にも努めているところで す。

今後も、これらの取組を着実に推進するとともに、社会状況の変化を踏まえ、デジタル技術の活用を進めるなど、県民の皆様に文化芸術をさらに身近に感じていただける環境づくりに努めてまいります。 あわせまして、地域における文化芸術の振興を担う人材の育成にも取り組んでまいりたいと考えております。

 

●吉良議員 2018年の文化財保護法改定にかかわり、地方教育行政法が改定され、文化財保護行政の教育委員会から首長部局への移管が可能とされました。この文化財保護法改定を巡っては、当時の安倍首相が施政方針演説において「十分活用されていない観光資源が数多く存在する。文化財保護法を改正し、各地の文化財の活用を促進する」と述べ、「観光資源」として文化財を活用する方向性を打ち出したものです。

文化財保護と「観光資源」として文化財を開発する行為は、原則的には、対立するものです。その中で、保護と開発の均衡を図っていく必要があります。まず、しっかりとした文化財保護、「本物」を守り残す取り組みがあってこそ、結果として観光にも資するものと考えます。

◆知事部局は、文化財の観光面での活用など開発行為をすすめる側であり、文化財保護も一体的に所管することになれば、保護と開発の均衡が崩れ、保護の側面が弱まるのではないか、知事にお伺いいたしまして、第一問といたします。

 

○県知事 最後に、これも県の組織改正に関係いたしまして、文化財の保護と開発の均衡について、お尋ねがございました。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によりまして、平成31年4月から、地方公共団体の文化財保護事務は、条例によりまして地方公共団体の長が担当できるということとなりました。

文化行政全体の一体性でございますとか、景観・まちづくり等に関します事務との関連性を考慮いたしまして、文化財保護事務を一層充実させるために取り得る制度の選択肢として設けられたというふうに承知をしております。

既に1 0県において、文化財保護事務が知事部局に移管されているというふうに承知しております。本県も、貴重な文化財の次世代への確実な継承に向けまして、文化財の保存と活用に関する取組を文化芸術や地域振興等の取組と一体的に執行できますよう、来年度から移管をしたいというふうに考えておるところでございます。

他方、文化財保護法の改正によりまして、文化財保護事務を知事部局に移管する場合には、文化財に関する有識者で構成される地方文化財保護審議会を必ず設置することが定められました。

これまで同様、文化財の本質的な価値が毀損されないように、重要事項についてご意見を求めることで「開発行為との均衡」を図ってまいります。

また、例えば、高知城や龍河洞などの文化財を観光面で活用する際には、文化財保護法による現状変更の制限や、文化庁の助言を得るという必要がございます。こうした文化財の価値を 守るための制度は、文化財保護事務が知事部局に移管された後も変わることはなく、従来どおり維持されます。

文化財の保存と活用は、二項対立、二律背反の関係ではございませんで、相互に 高め合う好循環の関係であるべきだというふうに考えています。知事部局で一体的に所管することで、文化振興と文化財保護の連携を強化いたしまして、文化財を将来にわたってしっかりと保存をしながら、 効果的に活用していくよう、取り組んでまいりたいと考えております。私からは以上でございます。

 

【第二問】

●吉良議員 それぞれ、ありがとうございました。二問を行います。

 ウクライナ侵略・侵攻についてでございますけれども、今、色々の中で、憲法9条もそして国連憲章も無益だと、そんなんじゃあ戦争は防げんというような声が上がっております。しかし、この論議と言うのは、知事も先ほど憲法の平和主義は守っていくということですので、今までの人類の英知、知性を否定する考えですね。

じゃあ、軍事大国になり、憲法をなくして、国連憲章もやめて、武力行使をやるのかと、まさに「力と力の論理」となり、これは野蛮ですよね。力の大きいものが自らの思いを貫徹していくということになる。当然これは、私たちはあまりにも暴論だということで、今の平和主義、憲法を守っていくということを先頭にして、今、実際諸国民の圧倒的多数は、高知でもスタンディングをやっていますけれど、戦争するなと、武力行使はいかんと、いうのがこれは圧倒的な世論です。それに与した流れを、ぜひ大きくしていかなければならないと思います。

しかし、その中で、突出した逆流の流れがやはり、ご存知のように、この被爆国の首相をやった安倍前首相、彼が、いわゆる、「核のシェア」、「ニュークリア・シェア」も論議をすることをとどめてはならないというような発言をしております。

ご存知のようにこの高知では、ヒロシマやナガサキのような戦争被爆はないですけれども、実験被ばくで大きな影響を受けております。知事を先頭にした原水爆禁止の運動が、高知から起こって、今の、原水爆禁止の流れができているわけですけれど、そのヒバクシャの思いをしっかりと考えたことがあるんだろうかと、言うふうに思うんです。

ちょうど、昨日が3月1日で、68年目のビキニ被災の日でした。静岡県の焼津でも、今日の高知新聞にも出ていますけれど、第五福竜丸の6人が被ばくしたその3・1ビキニデー集会を行ったということになっています。

本県でも、県が主催をして、そして、シンポジウムこれを3月12日に行うことになっております。なぜそれを開くかというと、要するに、被災したのはだいたい1423隻、そのうち本県は100隻を超えるマグロ漁船が含まれています。実際私たちが調べたのでは、274隻ですけれどもね。また、その他の海域で操業中に、水爆実験によって、被ばくしたとされる方々もいます。こうした方の健康不安によりそうとともに、放射線被ばくについて、理解を深め、再びこうした被害がおきないことを願って、シンポジウムを開催しました。ということで、やっているわけですね。

◆そういう本県の知事として、今回の安倍さんの発言を、どうお考えなのか、ぜひ、お聞きしたいと思います。

 

それから、もう一つはやはり、教育問題で、教員不足の問題ですね。指導主事、充て指導主事の問題、やっぱり冷たいですね教育長。ここに9月から12月までの各学校で未着任になっている学級が、出てきているんですけれど、「複式担任が休み代替教員がなく、管理職が入っている」、「2名が病休、一カ月以上未だ未着任」これは小学校です。そして高校でもですね「2年次が9月から休み、代替がきていない」12月ですよ、報告があったのは、そして特別支援学校でも「2学期より家庭科教員休み、分校の家庭科教員が兼務している」。もう現場は、火の車です。教えるといっても、管理職が教えにいっているところもあるんですけれど、それは十分な学力保障できませんよ。管理職は、管理職の仕事があるわけですから。毎日毎日、薄氷を踏む思いでやっているんですよ。優秀な、中堅の力のある人が、ポンと抜かれる訳ですね。本来教員として採用されているのに、途中で、あなた必要だからと言われて現場から出ていく。それはやはり考え直す必要があると思います。

先ほどいいましたように、4%近くてね、北海道だって0.何%ですよ。一番広い北海道だって、教育長は本県が横に広いからだというけれど、北海道だって、高知県より少ないんですよ。

◆せめて現場の苦悩に寄り添った人事配置で可能なものは現場に行って頑張ってもらうと姿勢をとっていただきたいと思いますが、そのことについて、第二問といたします。

 

○県知事 吉良議員の再質問にお答えいたします。今、ご指摘ございましたように、今回の事案に関係いたしまして、安倍元首相の方が、これは安全保障上の議論はタブーなくすべきだというご主旨だとおもいますけれども、核共有なども、議論を党として、していくべきではないかというような発言をされたということは報道で承知をいたしております。

 ただ一方で、これは国会でも、早速議論になっているというふうに承知をしておりまして、岸田総理の方は、政府として非核三原則を国是として様々な法制を整備し、運用しているという立場から、政府としてそういったものを議論する立場にはないと考えているという発言もされたというふうに承知をしております。

 高知県も、お話ございましたように、ビキニ環礁の事件もあり、また昭和59年には、県議会におきまして、比較平和高知県宣言も決議をされているというふうに承知をしておりますので、本県といたしましても、この非核三原則は、順守をするという立場で、対応していくべきだというふうに考えております。

 

○教育長 今、議員からお話がありました、教員を確保していくということは非常に大事なことだとそういう認識はしております。指導主事の件につきましては、先ほど、ご答弁させていただきましたように、今、現状の課題解決には非常に成果が上がっておりますので、その課題が解決されるまでは、されれば先ほどお答えしましたように、そういった、減少に向けての検討も進めていきますけれど、それと合わせて充当率の話もいただきました、そっちの教員もしっかり確保していくということも含めて、教員の確保については一生懸命取組をさせていただくと、そんななかで、そういう配置ができないというようなことについての解消に力を入れていきたいというふうに考えております。

 

●吉良議員 悪循環ですね。本当に、現場も必死の思いでやると精神疾患が増えて、現場に穴が開くということになっているわけですよ。ぜひ、善処を求めまして、すべての質問を終わります。ありがとうございました。