議会報告

【質問項目】

・病院再編

・教育職員の変形労働時間制

・GIGAスクール構想

・土砂災害

・介護保険

 

●米田議員 日本共産党の米田稔でございます。通告に従いまして順次質問を行います。

 

【病院再編】

●米田議員 コロナ禍と病院再編等について伺います。

新型コロナウイルス感染症の拡大と、そのなかで起こった医療崩壊は、日本の医療体制がいかに脆弱になっているかを明らかにしました。また、ここ数十年、人間の自然を改変する経済活動により、未知のウイルスとの遭遇、新たな感染症が次々と出現しています。そしてグローバル化した社会によって、またたくまに地球規模で感染拡大するのが現代の感染症の特徴です。新たなオミクロン株が猛威を振るい始めています。そうしたもとで、医療崩壊を再び起こしてはならない――これはコロナ危機の痛苦の経験を踏まえた政治の重い責任です。

そこで、医師確保と公的病院の病床削減についてお聞きします。

 政府は、”医者が増えると医療費が膨張する”と医師数の抑制を続けた結果、日本の医師数は人口1000人当たり2・4人、OECD加盟36カ国中32位、加盟国の平均(人口1000人当たり3・4人)より14万人少ない水準になっています。これがコロナ禍で医療崩壊をもたらした最大の原因です。

「医師不足」が大きな社会問題となり、2008年からは医学部の定員を「臨時措置」として1割程度増員してきましたが、それも22年度で打ち切る予定でしたが、コロナ禍の医療崩壊に直面して、23年度は維持される方向ですが、「将来医師が過剰になる」として削減する方向を変えていません。

しかし、この予測は、医師が過労死ラインの時間外労働年960時間のケースや、突発的なトラブルの対応など特別な事情のもと36協定で最大認められる時間外年720時間のケースを想定したものであり、人間らしい働き方を全く無視して試算されたものです。厚労省が2019年の「医師の働き方改革に関する検討会」でまとめた調査では、勤務医20万人のうち過労死ラインといわれる時間外労働が月平均80時間より多い医師が約4割(8万人)。このうち1割(2万人)は過労死ラインの2倍以上も働いていることが明らかになりました。

◆医師が心身ともに健康で人間らしい働き方、基本的に残業なしで対応できる医師数が必要と思いますが、知事にお聞きいたします。

 

○県知事 米田議員の御質問にお答えをいたします。まず、残業なしで対応できる医師数が必要ではないかというお尋ねがございました。

 医師が健康的に働き続けられる環境整備をするということは医師自身にとってはもとよりでありますけれども、医療の質、安全の確保と、持続可能な医療提供体制を維持していく上で、重要であると考えております。

こうしたことから、一般の労働者に比べると高い水準ではございますけれども、初めて医師の時間外労働の上限規制が令和6 年4月から適用されるということになっております。

また、医師の数、全体の増員に関しましては、ご指摘にもございましたように、全国的に医学部の定員を増員し、この医師不足に対処をするという対応がとられておりますが、この医師の養成には長い期間を要するということもございます。

加えまして、医療は人命を救う重要な業務ということもございますので、ある程度までの時間外労働はやむを得ないというふうに考えられます。

この問題のより本質的な対策といたしましては、持続可能な医療提供体制の確立をはかっていく必要があるということだと考えます。そのためには、医師の偏在の対策、これは診療科あるいは地域等によります偏在ということでございますが、この偏在を正していくという対策でございますとか、ただいま申し上げましたような、働き方改革の取組、これに加えまして、地域医療構想を実現することによります医療機能の分化といった問題に一体的に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

今後、国だけでなく各都道府県がその進捗状況を把握いたしまして、総合的な政策として評価をする中で、そういった中で、医師数のあり方も議論がされるべきではないかといふうに受け止めております。

 

●米田議員 次に感染症の専門医の確保の問題です。日本感染症学会は、ベッドが300床以上の医療機関には感染症医が常勤すべきとしていて、それを考慮すると4000人ほどの専門医が必要と提言しています。しかし現在、日本に感染症医は1500人しかおりません。全国には400ヵ所あまりの感染症指定医療機関がありますが、昨年7月時点で専門医が常駐しているのは144ヵ所しかありません。多くの病院では感染症の専門医以外が新型コロナの対応をしてきたのです。

日本は人口当たりの入院用のベッド数は多いですが、肝心の重症者用のベッドが少ない。日本集中治療学会によると、日本の重症ベッド数1万7000床をカバーするには、最低でも4500人の集中治療専門医が必要としていますが、現状は昨年7月時点で1850人しかいません。例えばドイツには、人口8000万人に対して8000人の集中治療専門医がいます。アメリカ、イタリア、フランス、韓国なども重症ベッド数が日本より多いのです。

◆感染症の専門医、集中治療専門医の増員、重症ベッドの確保が、新たな感染症に対応するために極めて重要と思いますが、健康政策部長にお聞きをいたします。

 

○健康政策部長 まず、新たな感染症に対応するための感染症専門医、集中治療専門医の増員、重症ベッドの確保について、お尋ねがございました。

現在、高知県内の感染症専門医の人数は、人口10万人あたりで、全国平均並の18位、一方、集中治療専門医の人数は、人口10万人あたりで、全国平均を大きく上回る5位というふうな状況になっております。

また、重症患者への治療に対応する集中治療室、ICUのことですが、 やICUに準ずる機能を有するハイケアユニット等の整備状況は、人口あたりで見ますと全国でもトップレベルになっております。

このように、本県においては、感染症の治療にあたる医師や重症者に対応する病床は、他県と比較して相対的に充実してはいるものの、専門性を有する人材のさらなる育成は重要であると考えております。このため、高知医療再生機構による専門医等養成支援事業等を活用し、関係機関に専門人材の育成を促してまいります。

あわせまして、先般策定しました新型コロナウイルス感染症の保健・医療提供体制確保計画において構築した医療連携体制を基礎としながら、次期の保健医療計画においては、感染 症医療に必要な医療資源の確保方策を検討してまいります。

 

●米田議員 ところが、医師不足などが影響して日本は重症ベッドが少ないにもかかわらず、政府は、高度急性期病床、急性期病床を20万床減らすことを目標に、新型コロナ患者の受け入れに不可欠だった全国の400以上もの公立・公的病院をリストアップして削減・統廃合を推進し、そのために消費税増税分を財源にした「病床削減支援給付金」、今年度からは、病床機能再編支援事業として、「単独支援給付金」までつくりました。

 一方、コロナ禍の医療崩壊をうけ、新興感染症への対応を医療計画に位置付けることになりました。医師の偏在を是正する観点に立ち、都道府県が策定した「医師確保計画」「外来医療計画」についても、医療計画の一部となり、2024年度にスタートする次期医療計画に盛り込まれることになりました。

◆新型コロナウイルスへの対応では回復した患者を中等症病床や軽症病床にシフトさせることで、重症患者を受け入れる病床を少しでも効率化させる病床調整が大きな課題となりましたが、今回のコロナ対応の教訓をどう地域医療構想に反映させるのか、健康政策部長に伺います。

 

●米田議員 新興感染症に備えつつ、平時の医療提供体制を整備していくうえで、災害対策のリダンダンシー(冗長性、redundancy)の考え方が重要ではないかと思います。有事に備えて予備の人員・施設を事前に準備する考え方です。

◆地域医療構想にも、この考え方が必要ではないか、健康政策部長にお聞きいたします。

 

○健康政策部長 次に、新型コロナウイルスへの対応の教訓や、有事に備えて予備の人員、施設を事前に準備する考え方を地域医療構想にどのように反映させるのか、お尋ねがございました。

「地域医療構想」につきましては、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床機能別に2 0 2 5年の医療需要に応じた病床の必要量を定め、再編を進める取組でございます。

県内におきましては、これまで、介護医療院への転換を中心に、 病床の機能転換や再編、公立・公的医療機関等の担うべき医療機能や病床数の検証などの取組を進めてまいりました。

そうした中、コロナ禍においては、民間の医療機関も含めて、それぞれの医療機能を踏まえて、入院対応を担っていただいており、この夏の状況でも、病床をひっ迫させることなく乗り越えることができました。

ただ、全国的には病床の逼迫が相次いだことなどから、令和6年度からの第8期医療計画の話載項目として「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加され、地域医療構想との整合性を取ることが予定されております。

県としましては、今後、国から示される考え方を基に、新興感染症にも対応可能な県内の医療体制のあり方について、検討してまいります。

 

●米田議員 新型コロナ感染症の第六波に備えた県の新方針の中で自宅療養者がピーク時に358人になるとの想定を出しました。自宅療養は原則ゼロを目指すべきです。その肝になるのは、軽症のうちに早期に治療し、マンパワーが大きく割かれる重症にまで進行させない取り組みだと思います。陽性者の全員入院を実現した和歌山県、重症者を出さなかった墨田区の取組などが報道されています。

◆第五波を教訓に、早期に治療し、重症化を防ぎ、医療資源がひっ迫しない取り組みの現状と課題について、知事にお聞きします。また、そのためにも広くPCR検査を実施し、無症状もふくめ陽性者を早期に発見することが大事と思うがお聞きします。

 

○県知事 次に、新型コロナウイルス感染症の患者急増時におきましても、医療資源がひっ迫しない取り組みが必要ではないか、この点についての現状と課題はどうか、というお尋ねがございました。

このコロナの第5波におきましては、第4波と比べますと大幅に患者数は増加いたしましたけれど、重症や中等症の患者数はこの2つで比べますと約3分の2に減少しております。また、この比率、患者数に占める重症・中等症化したものの比率でみますと、この割合は半分以下に減少しているというような状況でございます。

これは、特に、第5波の対応までの間に、高齢者を中心にワクチン接種が急速に進んだということがひとつ要因として考えられます。合わせまして、重症化リスクのある患者に対しまして、積極的に中和抗体薬の投与、いわゆる抗体カクテル療法を行ってきたということが大きく寄与しているというふうに考えているところでございます。

また、多くの入院協力医療機関で中等症患者にも対応いただくということができましたし、重症患者の対応につきましては3つの医療機関が連携して分担をするという体制がとれましたことで、通常の医療がひっ迫をするというような状況は回避することが、できたところであります。

一方で8月中旬以降におきましては、連日100人を超えるような患者の確認が行われましたこの感染が急増した時期がございました。こうした時期には、重症化リスクの高い患者に医療資源を確保するという趣旨で、やむなく一部について自宅療養をお願いするという判断をいたしたところでございます。

こうした第5波におけます経験を踏まえまして、まずは病床や宿泊療養施設の拡充をしていくということ、そして入退院の調整を迅速化していくということ、さらに、やむを得ず自宅療養をお願いする方々に対しては、さらなる不安軽減策をとっていくということこういったことが課題であるというふうに考えて対応を図ってきたところでございます。

このために、今後、患者急増いたしました時には、県が設置をいたしております新型コロナ医療調整本部に臨床医にも参画いただくということで、入退院調整の迅速化を図るという対応を取ることとしています。

また、自宅療養者への支援につきましては、感染状況に応じまして、外部の人材の協力も得ながら、各保健所の体制を計画的に強化し、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

次に、広くPCR検査を実施するべきではないかということについてのお尋ねがございました。

早期に治療を開始するというためには、議員からご指摘がありましたように、早期に陽性者を発見するということが重要であるということは言うまでもないことだと考えております。

本県では、これまで濃厚接触者以外の接触者につきましても、広くPCR検査の対象として対応してまいりました。特に、高齢者施設などで1例でも患者が発生した場合には、同じフロア、又は施設全体の入所者ですとか、職員の方々へのPCR検査を積極的に行ってまいりました。

また、第4波、第5波の患者が急増した時期には無料のPCR検査も臨時で実施をすることを対応いたしました結果、この中では、合わせまして、3 0名の陽性者が確認されまして、必要な療養に繋げることができたという実績もございます。

今後も、感染の拡大時には、感染に不安を感じる無症状の県民の方々を対象といたしまして、無料のPCR検査を実施することとしたいと考えまして、今議会に必要な予算案を提出させていただいております。

検査の実施につきましては、対応の目安が特別警戒段階以上となる可能性がある場合に、この実施の判断をするということを想定しているところでございます。また、第5波までとは異なりまして、今後はワクチン接種歴のある方も、無料検査の対象とするという予定としております。

こうした対応によりまして、早期に陽性者を確認いたしまして、必要な療養に繋げまして、医療資源のひっ迫を回避できるように努力をしてまいりたいと考えております。

 

【教育職員の変形労働時間制】

●米田議員 次に、2019年12月4日に成立した「公立学校の教員給与特別措置法」を受け、教育職員の変形労働時間制度を導入できるようにする条例案が今議会に出されています。これについてはわが党の中根議員が2019年12月議会において、条例化の要件は本県の学校現場にはなく変形労働時間制の導入は不可能である事を質しています。あらためて教育長にお聞きいたします。

◆政府の国会答弁では「恒常的な時間外労働がない」ことが前提としながら、この変形労働時間制は、活用前の年度の時間外在校等時間が「月45時間まで、年間360時間まで」という指針を守られているなら適用を認めるとしています。本県の教育職員の労働時間は、この指針の範囲内であるのかお答えください。

 

○教育長 まず、教育職員の変形労働時間制について、本県の教育職員の労働時間が、国の指針が示す範囲内であるのか、とのお尋ねがございました。

教育職員における1年単位の変形労働時間制は、年度初めや学校行事等で業務量が多い時期に限って勤務時間を延長し、延長した時間を長期休業期間等に休日としてまとめて取得することができる制度となっております。

教育職員がこの制度を活用するに当たっては、活用前の年度の時間外在校等時間が月45時間、年360時間の範囲内であることが国の指針で定められています。

本県の県立学校における令和2年度の時間外在校等時間の実績では、69%の教育職員がこの指針の範囲内となっております。また、市町村立の小中学校では、校務支援員を配置している 35校の実績となりますが、指針の範囲内となる教育職員の割合は23%となっております。

 

●米田議員 本制度は人類が長い闘争で勝ち取った1 日8 時間労働制を顧みず、10時間にしても時間外労働、超過勤務とは言わせないという労基法違反の制度です。異常な長時間過密労働が常態化している学校現場での「業務や勤務時間を縮減するものでない」と文部科学省が認めるこの制度を、地方公務員である教員に労使協定さえ結ばせずに条例で押し付ける事は許されずユネスコ教員の地位に関する勧告82項及び同勧告89項に沿うべきだとの中根議員の指摘に、82項89項に沿い「当然のことながら、職員団体との交渉などを経て、具体的な制度の内容を決定していくこととなる」と答弁しています。

◆職員団体との交渉は行ったのか、その経過内容はどうか、お聞きいたします。

 

○教育長 次に、変形労働時間制導入に関する職員団体との交渉について、お尋ねがございました。

県教育委員会では、変形労働時間制に関して、4つの教職員団体と令和2年12月から制度の趣旨や内容について、説明や話し合いを行ってまいりました。

4つのうち1つの団体からは、「8時間労働制の原則を壊すものである」、「制度の導入より、まずすべき取組がある」といった理由から反対の意向が示されました。 これに対して、制度の適用に当たっては、「適用期間内 (これは一カ月を超えて12カ月以内ということになりますけども)の一週間あたりの勤務時間の平均を、通常の勤務時間数(1週間38時間45分)とすることなど長時間勤務を助長するものではないこと」、「教育職員の健康及び福祉の確保を図るための措置を講ずること」、また、「本制度は、市町村や学校単位での活用を強制するものではなく、希望する教育職員が個人単位で活用することのできる休日取得制度の選択肢の一つであること」といった内容を説明し、理解を求めたところです。

なお、その他の3つの団体からは制度の導入に関してご理解をいただいているところです。

 

●米田議員 学期中における長時間勤務を認めるこの制度は教職員の体を顧みず精神をもむしばむものであり、そのつけは結局、対する児童・生徒に回るものとなるであろう事は想像に難くありません。教職員の勤務条件は子どもたちの学ぶ環境・学習条件と同義語です。

昨年から今年にかけて、須崎市議会はじめ多くの市町村議会で、今やるべきことは、ゆとりをもって子どもと向き合い個々の成長発達に寄り添い、学力向上のため授業準備も確保できるゆとりを先生に保障する労働環境の抜本的な改善であり、公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を適用しないようという意見書議案を可決していると聞きます。県政史上極めて異例なこれら市町村議会の動きは、学校現場が抱える多忙化が深刻であり、この小手先の制度ではその解決にはならないことを多くの市町村議員・議会が見抜いているのです。そして、これらの動きを受け、市町村教委でも導入に反対したりするところが出てきていると聞いています。

◆この間、変形労働時間制の適用をしないことを求める意見書議案が可決された市町村名と数、また、各市町村教委での制度導入に対する姿勢や判断がどう示されているのかその動向をお聞きいたします。

 

○教育長 次に、変形労働時間制の適用をしないことを求める意見書議案が可決された市町村名と数、市町村教育委員会での制度導入に対する姿勢や判断について、お尋ねがございました。

変形労働時間制の適用をしないことを求める意見書議案が提出された市町村は、土佐町、須崎市、四万十市、芸西村、馬路村、奈半利町、日高村、四万十町、いの町、安芸市、東洋町の11市町村となっております。

また、本制度の導入に関して、学校組合を含めました35の市町村と教育委員会の意向につきましては、直近の調査(12月13 日時点)では、 「導入する方向で検討している」が6教育委員会、「未定」が29教育委員会となっております。

なお、「未定」の教育委員会では、「近隣市町村の動向や、導入による成果・課題等を検討した上で判断したい」や「学校現場との調整がまだ十分でないため」といった理由を挙げられておりますので、今後とも制度の理解を深めていただけるよう十分説明に努めてまいりたいと考えております。

県教育委員会としましては、県立学校の教育職員の35.8% が活用を希望していることや、 6教育委員会が本制度を導入する意向を示しておりますことから、条例改正によって、本制度を活用するための環境を整備することが必要であると考えております。

 

●米田議員 ◆この制度の導入にあたって文科省は国会答弁や導入の手引きで、まず学校で検討の上、市町村教委と相談し、市町村教委の意向を踏まえたうえで条例整備をとしています。事は子どもの学習条件に直結する問題、これら制度の内容など知る由もない教職員や保護者に対して、丁寧に制度の説明をする講習や研修を開催するなど、学校単位で職場実態など合わせて学ぶことを進めてきたのかお聞きします。

 

○教育長 次に、教職員や保護者に対して、講習や研修を開催するなど、制度を学ぶことを進めてきたのか、とのお尋ねがございました。

県教育委員会では、令和2年8月から順次、市町村教育委員会及び県立学校に対して、制度に関する文部 科学省からの通知やパンフレットを送付するとともに、市町村教育長会や県立学校長会及び教頭会、事務長会などにおいて、制度の内容やスケジュールに関して直接説明を行い、教職員への周知についても依頼してきたところです。

また、県立学校につきましては、全教育職員を対象にアンケートを実施し、制度の周知と合わせ、活用の意向も伺っております。

なお、本議会で条例改正をお認めいただけましたら、改めて県立学校長や各市町村教育委員会に対しまして、本制度の活用に向けた具体的な手順などの周知を行ってまいりたいと考えております。

県立学校の教職員個人に対しては、校務支援システムなどの情報伝達ツールを活用して周知を行うとともに、保護者の皆様に対しましては、学校に対して学校通信等による周知を 依頼するなど、本制度の理解を深めていただけるよう努めてまいります。

 

●米田議員 ◆私どもは、それらの事が不十分なままでの制度導入を前提とした条例制定は時期尚早であり、条例化は見送るべきだと考えるものですが、教育長に伺います。

 

○教育長 次に、制度導入を前提とした条例制定は、時期尚早であり、条例化は見送るべき、とのお尋ねがございました。

このたびの変形労働時間制は、市町村や学校単位での活用を強制するものではなく、希望する教育職員が個人単位で活用することのできる休日取得制度の選択肢の一つです。

県教育委員会としましては、県立学校の教育職員の35.8% が活用を希望していることや、本制度を導入する意向を示している市町村教育委員会があることからも、条例改正によって、制度を活用するための環境を整備することが必要であると考えております。

本制度は、休日をまとめて取得することで教育職員がリフレッシュする時間等を確保し、そのことがひいては児童生徒に対して効果的な教育活動を行うことに資すると考えております。

また、休暇制度の選択肢が増えることにより、教育職員の多様な働き方を促すとともに、教職の魅力化を図り、意欲と能力のある人材が教員を目指すきっかけとなることも期待で きます。

今後とも、本制度の導入と合わせて、教育職員の業務の効率化・削減等にも引き続き取り組み、総合的に働き方改革を進めてまいりたいと考えております。

 

【GIGAスクール構想】

●米田議員 「GIGAスクール構想」について、教育長に伺います。

 情報通信技術(ICT)の学校教育での活用を進める政府の「GIGA(ギガ)スクール構想」によって、公立小中学校では子ども1人に1台のタブレットやパソコンなどの配備が進み、早い自治体では使用を始めています。ICTは、感染症による臨時休校などの際に役立ったり、不登校の子どもの学びに役だったり、人前で発言の苦手な子どもがしっかり意見を表明できたりなど、役立つ面があります。が、様々な課題もあります。

 東京都町田市立小学校の6年生が2020年11月、「いじめを受けていた」とメモを残し自殺した事件では、「GIGAスクール構想」の先進事例として児童に配られたタブレット端末がいじめに使われたことが明らかになっています。パスワードが全員共通で、他の児童になりすましてチャットなどに書き込むのが容易な状態だ、と報道されています。また、いじめ以外にタブレットによるアダルトコンテンツの視聴や授業以外での利用などの問題も指摘されています(読売11/7)。文科省は、端末のアカウントやパスワード管理について学校が確認するべき項目を盛り込んだチェックリストを示しています。今の子ども達は様々な生活の場面でICTに触れていますので、情報化社会とどう付き合っていくのかが、問われています。

また、今年2月、コロナ禍で、近視の原因となる「眼球の長さ」が延びている子どもが多くなっていると警鐘をならす番組が放送されました(2月2日NHKSP 目の長さが延びている?「目にとってかつてない危険な時代に」)。タブレット使用が、危険性を助長すると心配する声があがっています。

◆情報モラル教育や健康面の配慮について、課題意識と取り組みについてお聞きいたします。

 

○教育長 次に、G I GAスクール構想に関し、情報モラル教育や健康面の配慮についてお尋ねがございました。

インターネット、 SNSが普及し、また、GI GAスクール構想の下で1人1台タブレット端末の使用が進む中、子どもたちが適切にICTを活用できる能力を身に付け、心身の健康を守っていくことは、とても重要な課題だと認識しています。

このため、本県では、授業と関係のない不適切なサイトにアクセスできないよう、全てのタブレット端末でフィルタリングを実施しているほか、チャットにつきましては、教員が参加した体制でのみ運用するように制限しています。

また、児童生徒のアカウントとパスワードについては、他人に知られないよう管理を徹底することなどを全校に通知しているところです。

一方、情報モラル教育については、発達段階に応じて授業等で学習するほか、インターネットの正しい利用に関する出前講座や、リーフレットを活用した啓発活動も実施しております。

さらに、就学前から高校までの各学校等において、家庭や地域と連携しながら情報モラル学習を進めていくため、本年度中に「情報モラル教育ハンドブック」を作成し、効果的な活用を図っていくこととしております。

また、健康面では、長時間のタブレット使用による目の疲れや姿勢の乱れを予防するため、教職員を対象とした研修動画や教室に掲示する教材を作成し、県立学校及び市町村教育委員会でその活用を進めているところです。

今後とも情報モラルや健康面に十分に留意しながら、 GIGAスクール構想を着実に推進していきたいと考えております。

 

●米田議員 壊れた時や自宅で使う場合の通信費、破損時の保障をはじめ保護者負担を生まないようにすべきです。

◆GIGAスクール構想にかかわり、生徒や保護者に費用負担が生じないよう県として支援すべきではないか、お伺いいたします。

 

○教育長 次に、生徒や保護者の費用負担が生じない取り組みについてお尋ねがございました。

本県の公立学校においては、小中学校だけでなく、高等学校及び特別支援学校についても国の補助事業等を活用し、家庭の負担なく1人1台タブレット端末の導入を進めているところでございます。 これらのタブレットに故障や破損が生じた場合、納入業者との保証契約により、基本的に無償で対応されることとなっています。

また、本県では、全ての公立学校の児童生徒が無料で利用できるデジタル教材や動画を備えた学習支援プラットフォー ム「高知家まなびばこ」を整備し、本年4月から運用を開始 しています。この点につきましても、保護者の負担軽減につながっているものと認識しております。

一方、タブレット端末の持ち帰りに伴う通信費については、低所得世帯向けに国の支援制度が設けられており、県としてもこの制度を活用して支援を行っているところです。

今後も、国の動きを注視しながら、必要な政策提言等を実 施していきたいと考えております。

 

●米田議員 昨年11月27日の衆院文部科学委員会で、わが党の畑野議員の、ICT化で「今以上にきめ細かな指導が求められる。少人数学級が絶対必要だ」の質問に、文部科学大臣は「(学校教育は)人がぬくもりをもって子どもたちに接することが大切。少人数学級実現を頑張りたい」と答え、「デジタル教材の活用は、教員の裁量、専門性が基本にすえられるべきだ」との指摘にも「ご指摘のとおりだ」と答弁しています。そもそも授業の質は、教員自身の深い教材研究や、子ども同士や子どもたちと教員との生きたやりとりにあります。ICTはあくまでその補助です。教員の得手不得手もあり、どう使うかは個々の教員にゆだねなければ、かえって授業の質が落ちかねません。

◆タブレット使用が自己目的化し、一律の使用方法などを徹底するようなことは、本末転倒です。デジタル教材の活用は、教員の裁量、専門性が基本にすえられるべきだと考えますが、認識をお聞きします。

 

○教育長 最後に、デジタル教材の活用について、お尋ねがございました。

現在、公立小・中学校では、 一人一台端末を活用し、児童生徒個々の考えや意見を学級全体でリアルタイムに共有したり、友だちと同時編集機能を使って資料や作品を共同して作成する授業が行われております。

また、ビデオ通話アプリを使って他校や海外の学校との遠隔授業を行ったり、不登校児童生徒や病気療養児がオンラインで授業に参加したりする取組も見られるようになりました。 加えて、教員研修におきましても、可能な限りオンラインで行うなど、教員の働き方改革にも繋がっております。

しかしながら、一人一台端末の活用は、本年度から本格的にスタートしたところであり、まだまだICTの活用に不慣れな教員も見られます。そのため、ICTの活用が苦手だからといって効果的な活用がされなければ、授業の質に差が生じることが懸念されるため、全てを教員の裁量に任せるのは 適当ではないというふうに考えております。

授業でのICTの効果的な活用場面や方法については、教科会や学年会などで組織的に検討し、児童生徒の理解度や実態に応じて活用を図っていくことが重要です。特に、これからの学校に求められる「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現するためには、授業の中で積極的にICTを活用していく必要があると考えます。

県教育委員会では、授業づくり講座等の中で-人一台端末を効果的に活用した授業を研究・提案するなど、授業の質と教員のICT活用力を高める取組に力を入れています。併せて、全ての学校で取り入れていただきたい実践事例を、教職員向けのポータルサイトに掲載し、その普及と活用に努めているところです。

今後も、一人一台端末が子どもの学びのツールとして有効に活用され、併せて、教材の共同利用などにより教員の働き方改革が一層推進されるよう、市町村教育委員会や学校と連携しながら、さらに充実した取組を進めてまいります。

 

【土砂災害】

●米田議員 次に、盛り土による災害防止、土砂災害から県民のいのち・財産を守る県土づくりについて、土木部長に伺います。                                        

  7月3日に発生した静岡県熱海市の大規模土石流被害は、27人の死者不明者、負傷者3名、全壊家屋128戸という大惨事になりました。崩落した土砂のほとんどが不適切に盛り土された残土で、「人災」だと指摘されています。盛り土は、静岡県土採取等規制条例の許可基準の3倍以上の約50mの高さまで積まれ、産業廃棄物まで混入するなど違法なものでした。

  この災害について難波喬司副知事は、「自然要因と不適切な盛り土という行為と、それを見抜けなかった行政要因の三つが重なった」と述べ、事実上行政の責任を認めています。

 また熱海市は、約10年前に「住民の命と財産に危険を及ぼす可能性がある」と危険性を認識しながら、対策を講じていなかった経緯が明らかになりました。刑事告訴をし、続いて損害賠償の訴訟を起こしている遺族の方たちは、「行政の重大な過失」「人災だ」と指摘しています。

  今回のケースは、自然による土砂災害と違い、人的に違法に盛り土した土砂が崩落したものです。土砂の管理者、事業者、所有者が第一義的に責任を負うべきは当然です。同時に安全面から事業者等を監視・監督すべき行政の責任も免れるものではありません。

  不適切な土砂の埋め立てを規制するいわゆる「残土条例」は26府県が制定しています。しかし、多くの知事やブロック知事会等から、条例では限界がある、「全国一律に適用される最低限度の基準の設定等が不可欠」など法整備の要望、提言が続けられてきていました。日本共産党も2015年3月の参院国土交通委員会で建設残土を管理する仕組みの法制化を求めるなど国会からも何度も要請がありましたが、こうした要請を放置してきた国の不作為責任は重大であると指摘しなければなりません。

◆まず静岡県熱海市の、盛り土による大規模土石流被害をどう受け止めているのか、また何を教訓とし高知県に生かしていくのか、知事に伺います。

 

○県知事 次に、静岡県熱海市におきます土石流災害の受け止め、そして、教訓についてお尋ねがございました。

熱海市の土石流災害におきましては、上流部の不適切な盛り土の崩壊が、被害を拡大させた要因の一つとされております。こうした盛り土を規制する法制度の必要性を認識したところでございます。

このため、全国知事会を通じまして、全国統一の基準や規制を早急に設けるように、国に対して要望してまいりました。

現在、これを受けまして、国の方では、全国一律の安全基準を策定するということ、あるいは違反者への罰則を強化するということ、こういった中身を柱とした、盛り土対策を強化する関連法案を、来年の通常国会に提出すべく準備を進めているところというふうに聞いております。

加えまして、崩壊をしますと住宅などを巻き込む恐れが高い地域を、都道府県が指定し、区域内での土地造成行為を許可制とすることなどが検討されているというふうに承知をしております。

また、静岡県におきましては、盛り土に関する行政手続き上の問題につきましても、検証が進められているということでございます。不適切な盛り土を防ぐというために、こうした動向を注視しながら、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

一方で、この熱海市の被害につきましては、土石流災害の恐れがあります区域として指定されておりました「土砂災害警戒区域」で発生しているという事情もございます。

このため、こうした危険区域の住民の皆さんへの周知ですとか、市町村の速やかな避難指示の発令といいました、早めの避難に繋げる取り組みの重要性もあらためて認識をいたしたところでございます。

引き続き、国の補正予算も活用いたしまして、砂防堰堤などの整備を進めるということに加えまして、自主的な避難行動を促すための啓発活動を強化するといった点も強化をいたしまして、ハード・ソフト一体となりました対策に、全力で取り組んでまいる考えであります。

 

●米田議員 先の9月議会で報告がありました「盛り土による災害防止のための総点検」についてです。

  21年3月現在で確認されている宅地造成した大規模盛り土は、全国5万950カ所と発表されています。この大規模盛り土造成地以外にも、山林等への盛り土があると思います。また、土砂災害警戒区域、いわゆる土石流、急傾斜地崩壊、地すべり、が全国約66万カ所と推定されています。

◆今回の「総点検」の対象箇所の内容と箇所数について、またスケジュール案では11月に中間報告となっていますが、その結果について伺います。

 

○土木部長 まず、「盛土による災害防止のための総点検」の対象箇所の内容、箇所数および中間報告の結果について、お尋ねがございました。

県では、熱海市の土石流災害を受けて、国から示された総点検の方針に基づき、本年8月から、市町村と連携しながら、危険な盛り土箇所の抽出や、点検を進めてまいりました。

点検については、概ね2000年以降に形成された盛り土のうち、団地開発などの大規模盛土造成地や、土砂災害警戒区域の上流域にある盛り土など土砂災害をもたらすおそれのある盛り土を対象に、原則、目視により行っております。

点検対象となった盛り土は275箇所で、その内訳は、大規模盛土造成地が162箇所、土砂災害警戒区域の上流域などにある、砂防法などの各種法令で許可等を受けた盛り土が9 3箇所、住民からの情報提供などで把握した盛り土が20箇所となっております。

11月末に国へ中間報告を行った段階では、 275箇所のうち、約7割にあたる205箇所の点検が完了しており、残り7 0箇所は、令和4年2月末に点検が完了する予定です。

点検が完了した205箇所のうち、危険性が確認されなかった箇所が2 0 3箇所、専門家による詳細調査が必要とされた箇所が、高知市の大規模盛土造成地で2箇所となっております。

 

 ●米田議員 今回の盛り土による大規模土石流被害の最大の要因は、不適切、違法な建設残土の投棄にあることは明らかではないでしょうか。

  国土交通省の「平成30年度(2018年度)建設副産物実態調査結果(確定値)参考資料」によれば、建設発生土発生量は、2億8998万立方メートル(東京ドーム230杯分)、有効利用率79.8%。そして全体の発生量のうち公共土木工事が84.2%、2億4千万立方メートル余と推計されています。

  公共工事は、発注者が最終処分場を指定して工事契約する指定処分制度を導入していますが、仮置き場を指定先とすることを認めていたり、請負業者に最終処分を任せる事例も少なくありません。

◆公共工事における建設残土については、工事発注者が最後まで責任を持ち、住民のいのちと財産に危険を及ぼすことのないよう、適切に処理すべきと考えますがどうか、お聞きいたします。

 

○土木部長 次に、公共工事における建設残土の適切な処理について、お尋ねがございました。

県では、公共工事で発生する建設残土の処理方法について、まずは「現場内利用」、次に「他事業との利用調整」、次に「有用残土として売却」、の順に検討し残土の有効利用に努めております。

有効利用できなかった残土は、処分場に搬出することとなり、この場合は、関係法令に抵触せず適正に処分できる場所を、発注者が指定しています。また、工事中は、施工計画書や管理資料などにより、適切に処理されていることを確認しています。

引き続き、現場内や事業問での有効利用を進めるとともに、処分場への搬出が必要となった場合は、適切に処理を行ってまいります。

 

 ●米田議員 土砂災害警戒区域を中心に、昨年全国で土石流や地すべりなど約1300件発生。5年連続で1千件を超えています。

  全国で66万カ所、高知県で1万9471、約2万カ所と推計されている土砂災害警戒区域等の災害防止対策についてであります。

◆土砂災害警戒区域等の指定や公表について、また住民説明会や避難計画の策定、訓練など住民の命と財産を守るソフト対策の取り組み状況について、お聞きします。

 

○土木部長 次に、土砂災害警戒区域などの指定や公表について、またソフト対策の取り組み状況について、お尋ねがございました。

本県では、土砂災害の発生のおそれのある区域を把握するための基礎調査を令和元年度に完了し、把握した2万9区域 について県のホームページで公表しています。

これらの区域については、今年度末までに土砂災害警戒区域、並びに土砂災害特別警戒区域として指定を完了する予定です。

この指定に際しましては、区域内にお住まいの皆様などを対象とした住民説明会等を実施しており、この中で土砂災害の危険性のほか、備えや避難の大切さについても周知を行っております。

また、避難計画の策定や訓練につきましては、市町村が主体的に取り組んでいるところですが、県としても関係部局が連携し、計画の作成や訓練の実施に対する支援などを行って おります。

さらに、地域の住民の皆様に対しては、土砂災害の防止、並びに被害の軽減のため、防災学習会や子ども防災キャンプなどの啓発活動を行っており、引き続き、こうした取り組みを 推進して、地域における防災力の向上に努めてまいります。

 

●米田議員 2021年度の防災・安全交付金は、20年度の補正を含めて1兆2786億円ですが、これは地方の要望額約2兆円の7割程度です。地方が必要とする防災・老朽化対策の3割を切り捨てたりするのではなく、国民のための公共事業に大転換するときです。

◆あわせて、計画策定や点検などに対する国の補助制度を拡充するとともに、橋梁やトンネルなどインフラの老朽化対策・長寿命化を推進するにあたって、自治体の技術者の育成、確保に国が支援を強化するよう提言すべきと考えますが、お伺いいたします。

 

○土木部長 最後に、インフラの長寿命化に関する計画策定や点検などに対する国の補助制度を拡充するとともに、自治体の技術者の育成や確保に向けた支援を強化するよう提言をすべきではないか、とのお尋ねがございました。

インフラの老朽化対策・長寿命化は、全国的な課題となっております。本県におきましても、橋梁やトンネルなどこれまで整備してきた施設の点検・診断・修繕を計画的に行うことで、将来のメンテナンスコストを抑制する「予防保全」に転換しているところでございます。

しかしながら、これらの点検・修繕は多大な費用を要することから、財政基盤の弱い自治体にとっては、大きな負担となっています。このため、これまでも、市町村や各種団体などとともに予算の確保と、制度の拡充を国などに訴えてきたところでございます。

今後も引き続き、あらゆる機会を通じて、地域の実情を訴えながら、予算が確保され、補助制度が拡充されるように、働きかけてまいります。

また、自治体の技術者の育成・確保につきましては、国土交通省が、毎年、橋梁やトンネルなどの定期点検に必要な知識と技能の習得を目的に研修を開催しています。

さらに、国・県・市町村などで構成する「高知県道路メンテナンス会議」の場などで、長寿命化対策を実施するための課題の解決策について、関係者間の情報共有や、技術支援に取り組んでおります。

今後も、若手職員や業務経験の少ない市町村職員が、経験を積む機会を継続・充実していただけるよう働きかけてまいります。

 

●米田議員 時を同じくして二つのメディアが、「自伐型林業」を特集。11月29日付け高知新聞、見出しは「自伐型林業に挑む若者 山を保全 雇用にも貢献」。「近年、集中豪雨で土砂災害が多発するが、皆伐地を起点におきるケースが多いとの指摘もある。自伐型の湾曲した作業道は山を流れる雨水の勢いを軽減する『堰堤』の役割を果たし、将来高値で売れる一定の木を残して間引く間伐は土壌がむき出しになるのを防ぐ」と述べています。そして「山の保全に加え、若い人を呼び込む雇用にもつながる自伐型は『町にぴったり』」との現地町長の談話を紹介しています。

  もう一つは雑誌前衛12月号、「土砂災害を誘発する大規模林業 希望は小規模分散型の『自伐型林業』」と題する、上垣喜寛NPO法人自伐型林業推進協会事務局長の寄稿文です。  9月15日に「クローズアップ現代」(NHK)「宝の山をどう生かす森林大国日本 飛躍のカギは」との番組が放送された。番組では、国産材の供給量が増え、木材の「自給率」がアップする一方で、生産性や効率性を高めるために大型の林業機械を森に運び入れ、山を丸裸にする「皆伐」が全国で広がっている様子が映し出された。伐りっぱなしの山、幅広の道が入った林業現場からは、土砂崩れが発生している惨状が報告をされた。

 それに対して将来にわたって残したい木を決めて、その支障となる木を間引く「間伐」を長期にわたって繰り返す。山へのダメージを最小限に抑えて「壊れない作業道」を整備し、災害の起きにくい山作りを目指す、自伐型林業。移住してきた若者やUターン者と、それを支援する自治体の取り組みが伝えられた、と記しています。

  また20年7月の熊本県球磨川とその支流の氾濫をドローンなどで調査、崩壊箇所629カ所のうち、少なくとも約70%、442カ所は皆伐が広がる作業道などの林業施業地からの崩壊と判明。甚大な被害を与えた災害は「記録的豪雨」だけが原因でなく、多くは林業現場だったと言うこと、と報告しています。

◆こうした事例に学び、皆伐で「あとは野となれはげ山と成れ」ではなく、災害から山と命、くらし、雇用を守る、まさに持続可能な自伐型、小規模分散型、林業へ転換すべきと考えますが、林業振興・環境部長の見解を伺います。

 

○林業振興・環境部長 持続可能な自伐型、小規模分散型の林業への転換につきまして、お尋ねがございました。

林業経営におきまして、間伐実施後、皆伐を行う時期の目安としては、40年から50年程度、長伐期施業であっても 80年から100年が一般的ですが、それ以上の年数を目安として、超長期にわたり搬出間伐を行う森林所有者も多くいらっしゃいます。

ただ、原木生産量の面では、標準伐期、長伐期による間伐、皆伐が、その大半を占めておりまして、超長期の搬出間伐による生産量は限られているという状況にございます。

また、県勢浮揚に向けたトータルプランである産業振興計画では、「山で若者が働く、全国有数の国産材産地」を目指すべき将来像として取り組んでおりまして、中山間地域でこうした 将来像を実現していくためには、一定規模の間伐や皆伐を進めていく必要があると考えております。

一方、こうした一定規模の間伐や皆伐と土砂災害について明確な相関関係を示すものはございませんが、県では、平成24年度には災害防止の観点などから「皆伐と更新に関する指針」を作成し、また本年度は高知県森林作業道作設指針も改正して、排水を考慮した線形や切り土高の抑制を明記するなど、風雨に耐えうる作業道の開設など、森林保全に努めているところでございます。

議員ご指摘のように、森林には、土壌の浸食や流失を防ぐ土壌保全機能や、樹木の根が土砂や岩石等を固定するなどの山地災害防止機能がございまして、これを適切に管理していくことが大変重要だと考えております。

このため、森林組合等の事業体による森林整備に加えまして中山間地域への雇用や移住、きめ細かな森林整備や木材供給等にご貢献いただいている自伐型林業の取り組みも重要であると考えております。その取り組みに対しまして、県としましては、安全防具の導入や林業機械のレンタルなどの支援を行わしていただいております。

引き続き、林業事業体による原木増産の振興と、小規模な林業者の育成の取り組みをバランス良く進める事で、林業・木材産業の振興と中山間地域の活性化、さらには森林の適切な保全管理につなげてまいりたいと考えております。

 

【介護保険】

●米田議員 次に、介護保険の「補足給付」制度見直しについてであります。

  自民・公明政権はこの8月から、介護保険の施設を利用している低所得者の食費・居住費の負担を軽減する「補足給付」制度を縮小、改悪しました。コロナ禍で暮らしが痛んでいるさなかに、容赦なく負担増を強いるやり方に利用者・家族の不安と怒りが広がっています。

  私たちのところにも、不安の声と相談が寄せられています。あるご夫婦は、夫が認知症もあり老人保健施設に入所、8月からの利用料が一気に2万円余も値上がりとなり、施設に聞いても、決まったこととの返事。年金月10万円しかないのに合計8万5千円もの支払いになる、自分の年金は5万円しかなく、二人の生活ができない、と視力障害のあるパートナーの切実な訴えでありました。ご主人の年金収入が年120万円超えており、今回の補足給付の改悪、「食費の負担限度額の見直し」として、一日の食費がこれまでの650円、月2万150円が、1360円、月42160円と、一気に倍の2万2千円もの負担増になったのであります。  元々「補足給付」制度は、2005年(平成17年)の介護保険の改悪で、食費・居住費を全額自己負担にした時、厚労省が「低所得者に配慮」するといって導入した仕組みです。

 ところが、使える要件を厳しくし、利用者・家族に経済的な苦難を押しつけてきました。また2019年に打ち出した8月からの今回の改悪を、新型コロナ危機のもとでも見直しませんでした。そして、法改正を経ず、施行令の改正だけで済ませたことで国会審議を免れ、多くの国民が知らない間に強行したものであり、許せません。

 さて、この制度の対象は、家族全員が住民税非課税世帯であることなどが原則になっています。いまコロナ禍の真っ只中、国は住民税非課税世帯に対し、一世帯10万円の給付金支給を準備しています。こうした時に一方で、年金等収入120万円越の人も含む「低所得者に配慮」した補足給付制度を縮小・改悪することは決して許されるものではありません。

◆厚労省によれば全国で27万人が補足給付の縮小・改悪の影響を受けると推定しています。補足給付の対象になっていた人数、8月から給付が縮小・除外となった人数と影響の実態について、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 まず、補足給付の対象人数、 8月の見直しに伴い給付が縮小、除外となった人数と影響について、お尋ねがございました。

低所得の方が介護施設やショートステイを利用した際、自己負担である食費や居住費を軽減する補足給付につきましては、認定要件の収入額や預貯金額の基準が、本年8月から変更となり、食費の負担限度額の見直しが行われたところです。

見直し前の補足給付の対象人数は令和3年7月末現在で、介護施設の利用者は3, 054人、ショートステイの利用者は6, 116人、合計9, 170人となっております。

今回の見直しで、給付が縮小、除外となった人数につきましては、令和3年1 0月末時点で介護施設の利用者は縮小が801人、一人あたり月額21, 300円の増、除外が338人、月額約24, 000円の増となっております。 ショートステイでは、縮小の対象となった方は1 0月末時点 で4, 426人となっております。このうち実際にショートステイのサービスを利用した方は、 9月では790人、平均的な 利用回数の月9回で試算しますと、月額約5, 900円の増となっております。また、除外は8 7人、同様に利用回数を月9回で試算しますと、月額約7, 200円の増となっております。

 

●米田議員 ◆他に例のない容赦なき莫大な負担を強いられたり、退所を余儀なくされたり、また退所を考えざるを得ない等、利用者、県民の痛みと不安をどう受け止めているのか、知事にお聞きいたします。

今後経済的理由から施設に入ることをあきらめる人、入れない人が続出する恐れもあります。「社会で支える介護」をかかげて導入された介護保険制度、老老介護や年間10万人もの介護離職など「保険あって介護なし」の事態を克服することが緊急に求められています。

◆安心の土台を掘り崩す、補足給付制度の見直し・改悪は中止・撤回しかありません。全国知事会とも連携して、国に対して高齢者・家族、県民の実態と暮らしの願いをとどけ、中止・撤回を提言するよう強く求めるものですが、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、介護保険のいわゆる補足給付の見直しに対する受け止めと国への提言について、お尋ねがございました。

お尋ねがございました介護保険におけます補足給付は、住民税の非課税世帯といった低所得の方が、介護施設やショートステイを利用した際に、食費あるいは居住費相当の自己負担を求められる場合に、これを軽減するための助成制度でございます。この制度は、在宅の方と施設利用者の方々の負担の公平性を確保しようという主旨で、平成1 7年度の介護保険法改正によりまして、食費などがこの給付の対象から外れたということがございました際に、低所得者への配慮として創設されたものであります。

この度の補足給付の見直しは、この制度の見直しそのものは、介護保険制度の持続可能性を高めるために、負担能力に応じた負担をお願いしていくという観点から、見直しが行われたというふうに認識をしております。

こうした見直し自身は、高齢化が進む中にありまして、介護保険制度を維持していく、必要な介護サービスを必要な方に提供していくためには、やむを得ないものだというふうに考えているところでございます。

ただ一方、今回の見直しにつきましては、事前に周知の努力はしてきたところではありますけれども、利用者の方々の中には「支払いが増えて困っている」というお話、これが議員からご指摘合った通りでございます。また、「負担が急に増えたのはなぜか」といったような声が上がっているというふうに、報告を受けております。

県といたしましては、利用者が安心してサービスを受けられますように、市町村や事業者に対しまして、利用者の方々の疑問には丁寧に対応いただけるように、お願いしてまいります。

併せまして、例えば利用者が経済的な困窮の問題を抱えているという場合には、適切に福祉の窓口につなぐなどといった対応も含めまして、関係機関と連携した支援に努めるよう周知を行ってまいります。

 

●米田議員 介護保険料滞納による差し押さえについて、子ども・福祉政策部長にお聞きします。

  介護保険料の滞納によって預貯金などの財産を差し押さえられた65歳以上の人が、2019年度は、2万1578人で過去最多を更新したことが厚生労働省の調査で分かりました。2万人超えたのは初めてです。

 また差し押さえのほか、厳しいペナルティ(罰則)を強いられますが、保険給付の制限を受けた人は、計1万3883人でした

  65歳以上の人が支払う介護保険料は、年金を年18万円以上受給している場合、年金から強制的に天引きされます。一方、無年金や年18万円未満という低所得層の人は自ら金融機関などに納める必要があり、滞納するケースが生じています。全体の被保険者数は3555万人、年金天引きでなく直接納める普通徴収が約1割350万人です。

 差し押さえ処分の増えた背景について、自治体の徴収業務の強化を指摘しますが、より根本的には「介護保険料が2倍近くに上がったことも理由とみられる。00年度は全国平均で月額2911円だったのが、18年度は5869円に上昇。21年度は6014円になった。コロナ禍もあり、低い年金額の高齢者らは、さらに介護保険料の支払いが難しくなることが想定される」と11月10日付朝日新聞は指摘していますが、ここに問題の本質があるのではないでしょうか。

◆高知県の滞納処分の状況、また償還払いや給付の減額など保険給付の制限の状況について、子ども・福祉政策部長に併せてお聞きいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、介護保険料の滞納処分と、保険給付の制限の状況について、お尋ねがございました。

県が実施した介護保険事務調査では、令和2年4月1日現在、令和元年分介護保険料の滞納者は3,775人です。また、令和元年度に実施された差し押さえによる滞納処分は、1 8保険者で393人となっております。

次に、保険給付の制限の状況につきましては、介護保険の利用者が1年以上滞納した場合、介護に係る費用を一旦全額で支払う「償還払い」が適用になった方は、令和元年度では8保険者で4 7人です。

また、介護保険の利用者が2年以上滞納した場合、その未納の期間に応じて、介護保険の利用者負担額が増える「保険給付の減額」が適用になった方は、令和元年度では13保険者で96人となっております。

 

●米田議員 ◆介護保険料は地方税法の例によって滞納処分が行われることになっています。総務省は「滞納処分をすることによってその生活を著しく急迫する恐れがあるとき」(地方税法15条の7第一項第二号)は滞納処分の執行停止ができるという条文もあるので、その趣旨を踏まえてほしいと説明しています。現場ではどうなっているのか、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 次に、滞納処分を行う現場の状況について、お尋ねがございました。

お話のように、介護保険における滞納処分は、地方税法の例によって、市町村において実施しております。

市町村が介護保険料の滞納処分を行う際には、総務省の通知を踏まえ、滞納者の個別具体的な事情を調べたうえで対応しており、分割納付など生活実態に応じた保険料の徴収に努めているとお聞きしております。また、資産や生活の状況によっては、地方税法に基づき、滞納処分の執行停止も行っているとお聞きしております。

 

●米田議員 保険料を滞納した場合、差し押さえのほか、厳しいペナルティ(罰則)が強いられますが保険給付の制限を受けた人は、計1万3883人でした。そのうち原則1割負担の介護サービス利用料をいったん全額自己負担にして、あとから払い戻しさせる「償還払い」となったのは2591人。払い戻しの「一時差し止め」は56人。自己負担を3割(一定所得以上は4割)に引き上げる「給付の減額等」が1万1236人となるなど、国保料(税)や後期高齢者医療保険料に比べても過酷なものになっています。

◆経済的困難にある人が必要な介護を受けられない仕組みは見直さなければなりません。

国に対して改善を提言すべきと考えますが、子ども・福祉政策部長に伺います。

 

○子ども・福祉政策部長 最後に、経済的困難にある人が、必要な介護を受けられない仕組みを見直すよう国に提言を行うことについて、お尋ねがございました。

介護保険料の滞納が1年以上継続すると、費用を一旦全額支払うこととなり、高齢者への負担が生じることとなります。しかしながら、市町村の現場では、滞納者とともに分納計画を策定するなど、その方の実情に沿った対応をしているとお聞きしております。

県としましては、課題を抱えた利用者に対しては、関係機関などと連携して解決に向けた支援に努めるよう、市町村や事業者に対し、周知を行ってまいります。

 

●米田議員 12月2日付のある全国紙、読売新聞ですが、高齢者の差し押さえ問題を取り上げて、”滞納を続けた人には不利益が及ぶことがある””より苦しい状況に陥る可能性がある”とのべ、岡山市の滞納への早期対応の取り組みや、東京都中野区の、2人世帯の場合、「年収145万円以下」と言った基準を設け、低所得者の保険料を半額とする制度を設けている、と紹介し提言をしています。

◆必要な人が必要な介護サービスを受けることができるように、「介護の社会化」を実現するために、各保険者において保険料・利用料双方の減免制度の拡充・創設が緊急に必要です。認識と対応について、知事にお聞きします。

 

○県知事 次に、保険料や利用料の減免制度の拡充、創設について、お尋ねがございました。

高齢化が進行する中にありまして、介護保険制度を将来的に安定して運営していくためには、給付と負担のバランスを図りながら、制度の持続可能性を高めていくということが重要であると考えております。

こうした中、保険料につきましては、住民税非課税世帯の高齢者に対しまして、公費によりまして、最大で基準額の7割を軽減するという制度が設けられているところでございます。

加えまして、市町村の条例に基づきまして、長期間入院されている方あるいは新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した方などへの減免制度もあるという状況でございます。

こうした支援制度がございますけれども、例えば、お話がありましたような保険料の滞納の相談の中で所得の急減を把握した場合には、福祉の窓口につないでいただくといった形で市町村が、各種の制度を総合的に適切に運用していただけるように、助言、支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 

●米田議員 現行の介護保険は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件を改善したりすれば、直ちに保険料・利用料の負担増に跳ね返るという根本矛盾を抱えています。              保険料・利用料の高騰を抑えながら、制度の充実や基盤の拡充を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。                   

自民党と公明党は、消費税増税の実施前、”増税で財源を得られたら1兆円の国費を投入し、介護保険の公費負担割合を現行の50%から60%に引き上げる”と主張していました。増税が決まったとたん、その公約は反故にされましたが、「社会で支える介護」を保障する道はこれしかありません。                 

  日本共産党は、介護保険の国庫負担割合(現在は、在宅25%、施設20%)を直ちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%、公費負担75%に引き上げることを提案しています。「国庫負担引き上げで安心できる介護制度に」は、国民、自治体、多くの政党等の共通する要求であり、願いではないでしょうか。

◆課題解決先進県を掲げる高知県が提起をして、全国知事会はじめ地方6団体が連携をして国に提言、実現を図るべきだと考えますが、知事のご見解を伺います。以上第一問といたします。

 

○県知事 最後に、介護保険の国庫負担割合の引き上げについて、お尋ねがございました。

高齢化が進むなかで、介護保険制度を将来にわたって安定して運営をしていくということが必要な中でありますので、先ほども申し上げましたけれども、給付と負担のバランスを図りながら制度の持続可能性を高めていくということが何よりも重要だというふうに考えております。

特に、今後、高齢者人口がピークとなると見込まれます2040年頃に向けまして、介護保険制度が果たすべき役割は一層大きくなるということでございます。

そのため、給付の面では必要とされる方に確実にサービスが提供されるということは。もちろんでありますけれども、負担の面では、その能力に応じて軽減を図る必要があるいうふうに考えております。

こうしたなかで、先般来、社会保障と税の一体改革が進められておりまして、所得の低い高齢者の保険料軽減などに、消費税率の引き上げによります増収分を財源とした公費の投入が行われているところでございます。

これによりまして、先ほど申し上げましたように、最大保険料の7割軽減というような、手厚い減免の措置も取られるようになってきているということでございます。介護保険制度につきましては、全国知事会におきまして、将来にわたり安定したものとなりますように、国・地方の負担の在り方を含めまして、必要な制度の改善を図るように、国に提言を行っているところでございます。

引き続き国の動きも注視しながら、持続的な制度の改善に向けまして、全国知事会などと連携をし、取り組んでまいります。私からは以上でございます。

 

【第2問】

●米田議員 それぞれご答弁ありがとうございます。第2問を行いたいと思います。

 最初に変形労働時間制についてですが、導入した県が、今のところ9県ということを聞いていますが、その9県で、この制度を適用・利用された方は極めて少ないという話も聞いてるんですが、これ、例えば、四国の高知県以外の3県も導入されていますので、利用実績がもしわかれば、お聞きしたいと思います。

 それから、春の繁忙期の疲れは、夏に癒してくださいということが目的だといいますが、これは明らかに8時間労働という人類が勝ち取ってきた大原則から言えば、大きな逸脱だというふうに思うんですね。誰もが、春で疲れたものを、夏でリフレッシュできますか。一番大事なのは、やはり8時間労働に最大限守ると、そして世界で最大の多忙をしている教職員の働き方を根本から改革するというのが、一番のリフレッシュの道だというふうに私は思うんですけれど、まったく理由にならない制度の導入だというふうに思うんですけれど、この夏休み、夏の長期の休業の時ですけれど、これは改善をすれば、現在の制度でも一定の休みはとれるでしょう。私は思うのは、教育職員の皆さんの年休取得率、だいたいおおよそわかると思うんですけれど、それ答えてください。皆さん年休取得が充分できなくて、大変な環境の中で、仕事をされているわけですよね。私はまず、ここを休みが取れる条件を整備して、夏にもリフレッシュしてもらうということをすべきじゃないかというふうに思うんですが、二つ目それをお聞きします。取得率、年休のですね。

 そして、もう一つは、これは、申し訳ない、通告してないんですけれど、日本弁護士連合会が、10月20日に意見書を出していますよね。これは、日弁連が、全国の知事あてに届けて政府にも届けたりしているんですけれど、学校における働き方改革のための在り方に関する意見書というのを出されていますが、仮に県教委としてもこれを受けとめて、検討を下、あるいは、教育長が読んだということであれば、その考え方について感想があれば、お聞きしたいなというふうに思います。

 二つ目は介護保険ですけれど、知事がやむを得ないと言いますけれど、政治というのはやむを得ないではいかんですよね。知事がよく言われる、「共感と前進」というのは県民、国民というのは、県政・国に対して共感ではなくて、住民の皆さんに行政が寄り添う、ともに共感するという姿勢が大事だと思うんですよね。だから、制度は持続可能になっても、一人ひとりの暮らし、命は持続可能じゃないから今大変なんですよね。私はその点しっかりと、共感というならば、県民一人一人に対するリスペクト、尊敬、おかれた生活実態についてしっかりと学んで、何とかできないかという思いこそ政治の原点だというふうに思うんですけれど、これはちょっと合わせてお聞きしたいと思います。

 それと、国の政策が、住民税非課税世帯の方に給付金を出しますよね、それと整合性をどう思いますか。国は、大変だからということで、給付金出すんですよ。そういう今の流れからすると、当然、この介護補足給付についても、(減額)すべきではないというふうに思うんですが、その点は知事にお伺いしたいと思います。以上第二問です。

 

○教育長 はい。まず、変形労働時間制に関して、他県の状況、特に四国の他の3県というご質問をいただきました。四国の他の3県につきましては、すべて、この条例改定をすでに行っております。そのうち、愛媛県と香川県につきましては、活用ほとんどなくて、香川県では小学校で1名活用しているといった状況でございます。徳島県につきましては、今、県立学校の方で、10校で40名程度は活用しておって、後期にさらに活用を検討している学校があるというような報告をいただいております。

それから二つ目の教員の年休の取得率ですけれど、申し訳ありません、今、手元に詳細のデータを持っておりませんけれど、本来、最低でも5日は取得しようということを目標に取り組んでおったりしておりますので、ちょっとまだそこには届いておらない状況ではないかなというふうに思っております。

それから、日弁連からの意見書につきましては、届いたときに私も拝見をさせていただきました。内容につきましては、少人数学級の推進であったり、それから、教員の一人当たりの持ち時間減少であったり、それから教員の正規化といいますか、増員を正職員でというようなそういったような概要だったと思います。そこらへんにつきましては、やっぱり、そういった取り組みについては必要性は非常にそういう方向なんだろうというふうには思っておりまして、県教委といたしましても、そういった部分につきまして、できるところから取り組みを進めていきたいというふうに思っております。今、そして、そういった姿勢で取り組みを進んでおると。すべてが、日弁連の報告書その通りということには、なかなか、まいりませんけれど、今、言いました3点につきましては、だいたいの柱につきましては、そういった取り組みについては、必要性についてはあるんだろうとそういった方向だろうというふうに、思っております。

 

○県知事 介護保険の補足給付についての再質問にお答えを申し上げます。

 ただいま、答弁申し上げましたように、介護保険制度出来て20年ほどになりますけれど、やはり高齢化が進行しているという中で、保険料の水準を当初3000円程度だったのが、今倍の6000円程度に、お願いせざるを得ないという状況になっております。これは国民の皆さん等しくそれだけの負担をいただかなければならないという状況になっておりますので、今後のさらなる高齢化というのを考えたときに、これを安定的な制度としていくという場合には、見直すべきは見直し、負担できるところは負担していただくという見直しもこれは、避けて通れないという意味で、やむを得ないというふうに申し上げたところでございます。

 ただ、ただいま議員からもご指摘ありましたように、対象となっている方、影響のイメージといたしまして、年金収入が月額10万円程度の方で、2万円程度の負担増ということでございますので、これ自身はけして小さい額ではないというのは、私自身も感じております。この点についての周知が必ずしも十分でなかったというところは、遺憾なところがあるというふうに思いますし、それぞれの利用者の方々に様々なご事情があると思いますので、そうした中で、ただいま答弁いたしましたように、これをやむを得ないということで切り捨てるということではなくですね、そういった方々のご相談に、親身になって市町村において応じていただいて、必要であれば、福祉であったり自立支援であったりですね、そういった窓口もご紹介をして寄り添った対応をしていくということが必要であるし、求められると思っておりますので、その点は、私の方からも改めて担当部にそういった対応を市町村にお願いするように指示をいたしたいというふうに思います。

 また、お話がありましたように、今般の経済対策におきまして、住民税の非課税世帯に対します、臨時の給付金が措置をされるという方向で議論がされているということでございます。これは、コロナ禍という臨時での状況、経済状況の中で、経済的な苦境に陥っておられる方々に対する支援策として実施されるというものと理解をしておりまして、介護保険の方は、これは一時の問題ではなくて、将来にわたって安定的な運営が図られなければいけないというふうに、非常に基礎的なインフラ部分でございますので、この点の問題の制度の見直し、恒久的な見直しとは、区別をして判断をされるべきではないかというふうに考える次第であります。

 

●米田議員 それぞれありがとうございます。

 変形労働時間制については、県内外から、たくさんの要望が寄せられていまして、その一つに、「子どもたちの前に立つ教員が笑顔でいられるための条件整備が、子どもたちへの行政の課題です。変形労働時間制は、長時間労働を見えなくし、教員の笑顔さえ奪うものです」という声もあります。ぜひ、急ぐべきは、教員の多忙をどう解決するかというところにありますから、教育行政としての役割しっかり果たしていただきたいということを要望して、すべての質問を終わります。ありがとうございました。