議会報告

【質問項目】

・知事の政治姿勢/SDGs・気候変動

・知事の政治姿勢/オリンピック

・新型コロナウイルス感染症対策(検査、事業者支援、ワクチン、学生支援)

・「生理の貧困」問題

・高知市鏡石灰鉱山開発計画

・県土の軍事化

 

●塚地議員 私は日本共産党を代表いたしまして、以下質問をさせていただきます。

 

【知事の政治姿勢・SDGs、気候危機】

●塚地議員 昨年は、温暖化対策の国際的枠組みを決めたパリ協定の本格的スタートの年でした。今年は、パリ協定の目標も含むSDGs達成に向けた取組を拡大・加速するための「行動の10年」の最初の年となっており、様々な場面で、SDGsの言葉が飛び交っています。SDGs、パリ協定の意義をつかむには、地球の限界、プラネタリーバウンダリーという概念を理解することが不可欠と言われています。

現在人類が地球システムに与えている圧力は飽和状態に達しており、気候、水環境、生態系などが本来持つ回復力の限界を超えると、不可逆的状態に突入してしまう。そのため人類が生存できる限界を把握することにより、壊滅的変化を回避しようという考え方です。

そのために、SDGsでは、脱炭素、工業的農業からの脱却など各種の目標と期限が設定されています。2018年の国連気候変動に関する政府間パネルの「1.5℃特別報告書」では,1.5℃目標を実現するためには,CO2排出量を2030年までに2010年の水準から約45%削減、2050年頃までに実質ゼロとする必要があり、2030年までの削減の取組が決定的に重要であるとしています。特別報告書に関する記者会見では「いますぐ行動を起こし、今後10年間でCO2排出量を大幅に減らさなければ、気温上昇を1.5℃以下に抑えることが極めて困難になる」と語っています。2050年にゼロにすればよいのではなく、2030年目標の達成が重要なのです。この10年は、「未来への分岐点」とも表現されています。

4月、バイデン政権主催の気候変動サミットで、菅首相は2030年度の日本の温室効果ガス削減目標を、従来の13年度比で26%減から46%減にすると表明しました。が、これは世界平均45%とほぼ変わらず、世界第5位の排出国である日本としてはより高い削減目標が求められます。しかも、なんら具体的裏付けがあるわけではありません。小泉環境大臣が報道番組で「おぼろげながら浮かんできた」数字だと述べたことに、英フィナンシャルタイムズ紙社説(5/3電子版)は、「政府の計画性のなさを象徴するコメント」だと揶揄する始末です。EUは55%、米国は50~52%の削減目標を掲げ、達成のためにエネルギー政策などを根本から転換をすすめています。

この点について、政府をはじめ認識、とりくみ弱いのではないかと思います。今年改定された「高知県地球温暖化対策実行計画」においても、「2030年」の位置づけがあまりに低いと思います。

◆地球の限界点、未来への分岐点といわれる「2030年」までの取り組みが非常に重要だと思いますが、どう理解されているか知事にお聞きをいたします。

 

○県知事 塚地議員の御質問にお答えをいたします。

まず、地球温暖化対策に関連をいたしまして、 2030年までの取組の重要性について、お 尋ねがございました。

将来の平均気温上昇を1. 5℃を大きく超えないよう抑えるためには、世界全体で2 0 5 0年カーボンニュートラルを達成することが求められておるところでございます。

また、御指摘もございましたように、国連の「1.5℃特別報告書」では、この1.5℃目標を実現するためには、 2 0 3 0年までに温室効果ガスの大幅な削減が必要であるとされております。

本県も、地方自治体としての責務を果たすために、昨年カーボンニュートラルを宣言いたしました。県といたしましても、2050年に向けました中間目標となります20 3 0年までの取組が極めて重要なものとなると認識をしているところでございます。

このため、本年度内にアクションプランを策定いたしまして、カーボンニュートラルに向けた取組を加速してまいります。

このアクションプランでは、温暖化対策実行計画で定めました目標をより高いものに見直しますとともに、その達成に向けあらゆる施策を動員し、取り組んでまいる考えであります。

 

●塚地議員 環境問題、気候変動のとりくみについて、欧米では「環境正義」、「気候正義」という概念が使われています。これは、公害、環境汚染の被害者は、人々に等しく降り注ぐのではなく、貧困層、社会的弱者とその居住する地域に集中して現れることから、そこには「不正義」が存在している、と捉える概念です。気候変動による食糧危機などの被害も、貧困層と富裕層では影響が違います。また、現在の世代が利便性を享受した結果、将来世代がその不利益の影響をまともに受けるという世代間での「不正義」も視野に入れた概念です。当時15歳のグレタ・トゥーンベリさんがはじめた行動が「未来のための金曜日」行動として若者にひろがっているのは、この不正義をなくせ、未来を奪うな、という訴えです。

 SDGs、パリ協定の目標は、人として、地球の生きるものとしての正義の追求であり、未来の世代への責任です。

◆2030年に向けては、県の施策と県民が共通認識を持って取り組んでいくことが非常に重要でありそのためには、「環境正義」、「気候正義」の考え方の普及を図ることが必要ではないかと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。

 

○県知事 次に、「環境正義」、「気候正義」の考え方の普及を図ることの認識について、お尋ねがございました。

「環境正義」、「気候正義」は「環境保全と社会的正義の同時追求の必要性を示す」といった概念であるというふうに承知をいたしております。

こうした概念は、 「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す、というSDGsの考え方に包含をされるのではないかというふうに考えられます。

また、このSDGsの方にも、「気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じること」あるいは、「各国内及び各国間の不平等を是正すること」ということなどが2 0 3 0年の目標として掲げられているという関係にあります。

こうしたSDGsの考え方を普及し、県民の皆様の共通認識としていくということが大変重要であるというふうに考えております。

このため、アクションプランにおきましては「SDGsを意識した取組の促進」を柱に位置づけまして、普及啓発あるいは学習機会の充実などに取り組んでまいる考えであります。

 

◆未来の主権者を育てる教育にとっても極めて重要な視点だと思いますが、この点は教育長にお伺いをいたします。

 

○教育長 まず、未来の主権者を育てる教育にとっての「環境正義」と「気候正義」の考え方についてのお尋ねがございました。

環境問題は地球規模での課題であり、本県の学校教育においても、環境問題を児童生徒が主体的に考え、解決する態度を育むことは重要であるため、小・中・高等学校にわたって 「環境教育」に取り組んできております。

例えば、小学校6年生の理科では、人の暮らしが環境に及ぼす影響を考えていく中で、地球温暖化に触れ、環境を守りながら暮らすための工夫について学ぶようになっています。

また、中学校では、社会科において、SDGsに示された課題のうちから、生徒が地理的な事象として捉えやすい地球環境問題や資源・エネルギー問題、人口・食糧問題、居住・都市問題などに関わる課題を取り上げ、探究的に学ぶようになっております。

さらに、高等学校では、多くの学校が地域の魅力化などの課題解決学習に取り組んでおり、近年ではSDGsの環境の分野や貧困をテーマとした探究的な活動を進める学校も増えてきております。また、来年度からスタートする新学習指導要領において、家庭科では、消費活動と環境を一層関連させて学習させることとなっております。

このように小・中・高等学校の系統的な学びの充実を通して、より良い社会の形成に主体的に参画しようとする意識や態度を養うとともに、多様な人々と協働しながら様々な社会 的変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となるための人材育成に、今後とも取り組んでまいります。

 

●塚地議員 日本でも世界でも、記録的な高温や台風等の強大化、豪雨、大洪水、大規模な山火事、深刻化する干ばつなど、気候変動の影響が顕在化し、被害者や死者数も増大しています。このような危機的な状況に、「気候非常事態宣言」を出し、緊急行動を呼びかける自治体が増えています。世界ではすでに1000を超える自治体が気候非常事態宣言を出していますが、日本でも、北海道、岩手県、長野県、東京都、神奈川県、沖縄県など100を超える自治体が取り組んでいます。

◆気候非常事態宣言を、高知県として行うべきだと思いますがお聞きいたします。

 

○県知事 次に、気候非常事態宣言について、お尋ねがございました。

ご指摘がありました気候非常事態宣言は、気候変動が異常な状況であることを認識し、この危機的状況を克服していく決意を宣言するといった主旨のものであるというふうに理解いたします。

本県は、まさしく世界的な課題である気候変動問題に対する責務と、あるいは危機感を県民全体で共有していくというために、昨年1 2月にカーボンニュートラル宣言という形でございましたが、こういった危機感を合わせて、前提として、カーボンニュートラル宣言という形で表明をさせていただいたということでございます。

この宣言に基づきまして、県民の皆様の具体的な行動を促すためのアクションプランを策定いたしまして、オール高知で取組を進めてまいる考えであります。

 

【知事の政治姿勢・オリンピック】

●塚地議員 次に五輪開催について知事に伺います。

菅政権は沖縄を除く9都道府県の緊急事態宣言を6月20日の期限で解除し、7都道府県を7月11日までのまん延防止等重点措置に切り替えました。五輪が開催される東京は、下げ止まりが指摘され、NHKも「東京都の緊急事態宣言 “安心して解除できる感染者数に至らず”」「都内の感染者数 前回解除時の約1.3倍」と報じました(6/15)。2度目の緊急事態宣言を、感染者が十分減らないまま解除し、感染再拡大を招いた誤りを繰り返すことになるのは目に見えています。すでに、懸念していたように感染者が再び増加しています。

政府の感染対策が支離滅裂になっているのは、五輪開催を前提にしているからです。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も「今の状況でやるというのは、普通はない」と国会で答弁しました。6月16日に開かれた厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合後の記者会見では、インドで見つかった変異株(デルタ株)の広がりによっては、7月前半、あるいは五輪期間中にも東京でまた緊急事態宣言が必要になる可能性があるとの試算を示しました。宣言を出さずに五輪に観客を入れた場合、無観客時と比べ、感染者が累計で最大1万人以上増える恐れも指摘をいたしました。

しかし、政府は警告を無視し、感染症専門家にリスク評価を諮問することもなく開催に突き進んでいます。諮問されないもとで分科会の専門家26人が、開催の可否には触れなかったものの、開催するならば、無観客開催が「望ましい」と提言していましたが、それも無視されました。

政府など5者協議は、会場定員数の50%以内、1万人を上限で観客ありでの開催方針を示しました。五輪は全42会場で、各会場を合計すれば1日最大20万人を見込み、チケットは再抽選でも約272万枚になります。その他に“五輪ファミリー”を含む関係者や小中学生の学校連携観戦は1万人の枠内に入っていません。

◆政府の説明は、専門家による科学的知見に基づく警告に対し、合理的な説明をしていると思うか知事にお聞きをいたします。

 

○県知事 次に、オリンピック・パラリンピックの開催に関します政府の説明について、お尋ねがございました。

組織委員会や政府など5者が合意をいたしました方針におきましては、観客数の上限を収容定員50%以内で1万人とするといったことのほか、感染拡大等の場合は、無観客も含め速やかに対応を検討するというふうにしております。

こうした取り扱いについて政府からは、専門家からは、無観客開催が望ましいとする一方で、観客を入れる場合の対応も想定した提言がなされているということ。

また、これまでも国の内外におきまして、徹底した感染症対策を講じ、観客を入れた上で国際大会やプロスポーツが開催をされてきているということ。さらに、これにより得られた知見も踏まえまして、関係者間で議論を積み重ねて合意されたものと承知しているということ、といった一定の説明がなされているというふうに承知しております。

5者合意の具体的な内容の根拠がどうだといったような点に関する疑問については、 政府、組織委員会等におきまして、より丁寧に説明されることが必要だというふうに考えております。

 

●塚地議員 先日は、ワクチンをうち、事前の検査をしていたにも関わらずウガンダ選手団9名のうち2名の陽性者が確認されています。

政府が抑えなければならないと言っている人流をわざわざ大量につくり出し、感染とその対策の状況が大きく異なる世界各国から9万人と言われる人々を、五輪特例で軽減された入国隔離ですすめるわけです。多くの人が感染拡大に不安を感じるのは当然です。共同通信社の世論調査では、開催の場合に感染が再拡大する不安を感じるとの回答が21日付東京新聞、86・7%に上りました。

◆五輪開催によって新たに亡くなる人が増えることなどあってはなりません。国民の命を危険にさらしてまで、五輪をやる理由はないと思うが、知事の認識をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、オリンピック・パラリンピックの開催自体について、どう考えるのかというお尋ねがございました。

スポーツの価値や魅力を再認識する、そして将来を担う子ども達に夢や希望を与えるとこういった効果を考えますと、オリンピック・パラリンピックの開催の意義は大きいものと考えています。

ただし、当然のことながら全ての方にとって安全で安心な大会であるということが大前提でありまして、国内の感染症対策や医療提供体制に大きな支障をきたすようなことがあってはならないというふうに考えています。

このことに関しましては、組織委員会、政府などが先ほど申し上げました合意した方針におきまして、感染状況や医療状況に急激な変化が生じた場合には、無観客も含め速やかに対応を検討するというふうに明記をされておりまして、必要な対応が取られるものというふうに考えております。

選手やスタッフなどの関係者の皆さん、あるいは観客の皆さんが協力して、感染症対策をしっかり行うということによりまして、全ての参加者の皆さんあるいは日本国民にとって、安全で安心な大会となることを期待いたしているところでございます。

 

【新型コロナウイルス感染症対策】

●塚地議員 次に新型コロナ感染症対策について伺います。

 新型コロナ感染症拡大は、RNAワクチン接種が成人の7割を超えたイスラエル、5割を超えたアメリカでも顕著な抑制効果が発揮されるなど、一部に明るさが見えてきていますが、そのイスラエルで、より感染力が高く、ワクチンのすり抜ける力の強いデルタ株による感染が拡大しており、新型コロナウイルスとのたたかいの難しさが改めて浮かび上がっています。

世界的規模でワクチン接種が完了するのには、まだまだ長い期間が必要ですし、デルタ株などのような新たな脅威となる変異株の出現も懸念されます。ワクチン接種を確実に進めるとともに、無症状の感染者を発見し保護し、感染拡大を抑制する大規模な検査の推進、医療体制の確保とヒトの移動の抑制のためにも、減収補てんなどしっかりした補償、休業支援が求められています。

 

 私たち県議団は、4月28日、県内第4波の兆候がきたしている実態と、さらに県が県内旅行を施策として推奨していることが感染拡大を助長しかねず、県民の命と健康を守り、さらには経済への打撃を回避するために、「トク割キャンペーンの中止」、大規模検査の実施などの感染拡大防止のための緊急要望を知事に対して行いました。また、要望の際には、慶應義塾大学商学部の濱岡豊教授が、都道府県のコロナ対策の取組を4指標で評価した研究で、一位となった鳥取県の取組についての具体的資料も手渡し、研究してほしい旨を伝えさせていただいたところです。

 その後、5月の感染者数は、昨年12月の512人に次ぐ、451人で、4月末までの累積感染者数1052人の半分にも達する規模となり、5月24日には対応レベルを「特別警戒」に引上げ、「観光トク割キャンペーン」の停止、高知市、四万十市への営業短縮要請を行う事態という残念な結果となってしまいました。

 一方、この間の取組と補正予算の内容には、要望してきた中身が少なからず反映しています。

予防的・大規模検査の実施の要望については、県は、5月の県体の実施にむけ、6000名を超える規模で抗原検査を実施し、感染防止に努めながら高校生の学び成長する機会を確保する努力を実施したこと。6月には、高知市の飲食店で働く無症状の人を対象にした集中的なPCR検査を1020人に実施しています。また、国の指針にもとづいた県の検査計画で、高知市の感染者が基準を上回ったことで、高知市は、高齢者施設などで働くおよそ1000人を対象に集中的なPCR検査を実施することを明らかにしました。

無症者のスプレッダーを大規模検査で発見し保護し、感染拡大を防止するという積極的立場に踏み込んだことを評価するものです。

 積極的で大規模な検査では、6月22日時点で、鳥取県では、陽性者466人に対し、累計検査数は、81,812件。1人の陽性者を発見するために175件の検査を実施しています。高知県は、陽性者1749人、累計検査数52,697件と、一人の陽性者あたり約30回と、検査の範囲が狭く、結果として感染者が広がったこがわかります。

ワクチン接種終了までまだかなりの期間を要しますし、また本県でも4月以降、ワクチン接種した人のうち21人の感染が確認されたという発表を考えれば、積極的な検査は引き続き重要です。

さらにウイルス量の多さに注目した対策を追加すべきだと思います。PCR検査は、ざっくり言えば、採種した検体中のウイルスの遺伝子を増幅させて、その量で陽性・陰性を判定するものですが、日本はその回数が40回、2の40乗という高い精度、Ct値40で設定しています。一方、世田谷区新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、他人に感染させるウイルス量は、増幅回数が33回以下だと指摘されています。鳥取県では、Ct値25以下の感染者が確認された場合に、その周辺を徹底して検査する方針をとっています。

◆ウイルス量、感染力の高さに着目した対策が必要ではないか、健康政策部長にお聞きします。

 

○健康政策部長 新型コロナウイルス感染症対策に関して、ウイルス量、感染力の高さに着目した対策の必要性についてお尋ねがございました。

PCR検査は、患者からの検体に含まれる微量の新型コロナウイルスのRNA リボ核酸になりますが、を繰り返し増幅させて検出するものであり、検出可能な量に達する増幅回数をCt値と呼んでいます。

したがって、Ct値が小さいほど検体に含まれるウイルス量が多いと判断できることから、保健所での積極的疫学調査において患者の感染拡大のリスクを評価する項目の一つとして、濃厚接触者等の選定の際に利用しております。

ただし、十分な検体量を採取できなかったり、発症から検査までの期間が長い場合は検体のウイルス量が少なくなり、Ct 値が高くなる傾向があることから、 一度のPCR検査の結果では評価が難しいことに留意しないといけません。

このため、患者の感染リスクの評価においては、患者の行動履歴、それから症状などの経過を注意深く聞き取った上で、総合的に判断することを重視して保健所では積極的疫学調査に取り組んでいるところでございます。

 

◆高齢者・障害者施設、保育、教員への社会的検査の実施を強く求めるものですが、知事のご所見をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、新型コロナウイルス対策といたしまして、高齢者・障害者施設、保育、教員への社会的検査の実施について、お尋ねがございました。

県におきましては、感染拡大のリスク評価という観点、そして、検査前に考えられる陽性 率という観点、この2つの観点に基づきまして検査対象を分類いたします、国の基本的な考え方を踏まえまして、検査を実施してまいっております。

具体的には、検査前に陽性の確率が高いと想定されます濃厚接触者だけでなく、感染拡大のリスクが高いと想定される場合には、感染者の周辺について幅広く検査を実施してまいりました。

特に、重症化リスクが高く、クラスターが発生した場合の影響が極めて大きい高齢者施設等で感染が確認された場合には、入所者、従事者等の検査を幅広く実施するという方針で対応してきております。

お尋ねがございました一定範囲の方に一律に検査を実施していくと、いわゆる“社会的検 査’’につきましては、検査前に考えられる、想定がされる陽性率が低い場合に実施をいたしますと、 偽陽性ないしは偽陰性という問題、そしてコスト面での問題等が指摘をされているところでございます。そうしたことがございますので、感染を拡大していない段階から一律にPCR検査を実施するという考え方はとっておりません。

一方で、地域全体の陽性確率が高くなった場合には、高知県におきましては、議員からもお話いただきましたように、保健所単位などで高齢者施設等の従事者等への集中的検査を実施しておるところでございます。

こうした施設におけます集団感染の未然防止によりまして、重症患者発生の抑制、医療現場の負荷軽減という効果が期待できるものでございますので、今後もこうした方針に沿って対応してまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 次に、ワクチン接種について、健康政策部長にお聞きいたします。

まず、全力でとりくんでいる関係者のみなさんに敬意を表します。6月19日には、全国知事会として、ワクチン接種の推進をふくめ国への緊急要望を実施していますが、県としても状況をしっかり把握し、市町村の支援をしていただきたいと強く要望をいたします。

さらに、今日ワクチンの供給に大問題も起こっていますから、この点もしっかり対応していただきたいと思います。

また、潜在看護師さんの力を発揮してもらうために、医療職がワクチン接種業務に従事したことによる給与収入については、収入確認の際には収入に算定しない特例を設けたことを周知徹底することも求めておきたいと思います。

◆64歳以下への接種では、接種が急がれる職種に、訪問介護や通所介護など在宅サービス従事者を含めることが必要と思うがいかがでしょうか。

◆また、飲食・宿泊・運輸業等は優先となっていますが、この間、理美容関係でのクラスターもあり、理美容など人と密接に接する仕事の従事者を対象にすべきと思いますが、どう対応されるか、お聞きをいたします。

 

○健康政策部長 次に、新型コロナウイルスワクチン接種における在宅福祉サービスや、理美容などの従事者について、優先順位の考え方のお尋ねがございました。 関連しますので、併せてお答えいたします。

まず、訪問介護や通所介護などの在宅福祉サービス従事者につきましては、当初国において、濃厚接触者等に対してサービスを提供する意向がある場合、市町村の判断により高齢 者施設等の従事者と同様に優先接種の対象とすることが可能とされておりました。

そして、現在では高齢者接種の7月末完了を条件に、優先順位の考え方が弾力化され、市町村独自の優先枠を設けてよいという取り扱いになっております。県からも在宅福祉サービスでのクラスター発生を受けて、改めてそれらの従事者の方への積極的なワクチン接種を各市町村にお願いしているところでございます。

また、理美容など感染リスクの高い仕事の従事者については、県営の大規模会場での優先的な接種対象として、関係団体の意向も確認し、準備を進めております。

なお、対象とする職域については、平行して行われる市町村での接種の進捗状況もみながら、対象を順次拡大していくことも考えており、今後柔軟に検討してまいりたいと考えております。

 

◆加えて、学生のワクチン接種も、就職活動での県外との往来や現場での研修などもあり、社会的効果は高いものと考えられます。希望する学生が残らずワクチン接種を受けられるようきめ細やかな支援が必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

○健康政策部長 次に、学生へのワクチン接種への支援についてお尋ねがございました。

学生を対象としたワクチン接種については、現在、県内の大学等が合同で、国に職域接種の申請をしておりますほか、県内の専門学校が申請するなど、積極的な対応を行っていた だいております。

しかしながら、現在国において申請の承認を受けているところは、一部にとどまっていることから、国に対しては必要なワクチンの確保と早期の承認を強く求めてまいります。

あわせまして、国において申請が再開された場合に、申請 を希望される学校等については、個別に申請に向けた相談支援等を行ってまいりたいと考えております。

 

●塚地議員 ワクチン接種では、社会的に不利な立場に置かれている人を取り残さない対応が求められています。情報格差に懸念される障害者、移動の手段がない方、病気などで外出が制限されている方、住民票の住所と実際の居住地が違っており、自治体からのクーポンが届かない方などへのきめ細やかな対応が必要です。自治体によっては予約を支援する窓口、スタッフの配置、接種場へのタクシー代の補助、リフト付きタクシーによる送迎支援などの努力もされています。

◆「誰一人とりのこさない」立場から、県として現状と課題をどう認識されているのか。また、県内自治体の取り組みを共有し、それを県が支援して充実させていくような仕組みが必要だと思いますが、お聞きをいたします。

 

○健康政策部長 次に、誰一人取り残さない立場から、ワクチン接種に関する現状と課題に対する認識と、支援する仕組みについてお尋ねがございました。

議員のご指摘のとおり、ワクチンの予約ができない、移動手段がない等、ワクチン接種に至るまでに様々なハードルがある方がおられると承知しております。こうしたことが原因で接種を断念するようなことがない環境を整備することが重要となりますが、市町村によって対応に濃淡があることも事実でございます。

このため、国からは参考とすべき全国の取扱い事例の情報提供がされていますし、県からも県内市町村の工夫している取組を情報提供しているところでございます。

各市町村においては、地域特性などを踏まえ、様々な工夫を凝らして接種を進めていただいております。引き続き、県内のみならず、全国の取組事例を共有することにより、接種を希望される全ての方が円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいります。

 

●塚地議員 ワクチンの効果、副反応についての正確な情報提供がますます必要となっています。

1つは、「ワクチン接種」によって、感染、重症化防止につながりますが、「感染しない」わけではありません。多くの国民が免疫をもたない段階は引き続き感染防止対策が重要です。

 また今後、現役世代、親元を離れて一人暮らしをする大学生、また12歳以上のこどもも接種対象になっていることから、副反応とその対応策について、正確な情報発信とともに気軽に相談できる体制の強化が、接種率を上げていく上で、ますます重要となっています。同時に、副反応の心配から接種していない人、体質、病状から接種できない人が差別、誹謗中傷などで不利益を受けることもあってはならず、そうした事例への対応も必要です。

◆県として、正確かつ、県民の疑問に丁寧に応える情報発信、そして相談体制の強化が必要と思いますが、課題意識と対応について、この項は知事にお伺いをいたします。

 

○県知事 次に、新型コロナウイルスワクチン接種におけます県民への情報発信、相談体制の強化に対する課題意識と計画についてお尋ねがございました。

多くの県民の皆様に安心してワクチンを接種していただくためにも、ワクチンに関する正確な情報発信や相談体制を整えるということが極めて重要だと考えております。

このため、県におきましては、これまでテレビやラジオ番組、新聞広報などを通じまして、ワクチンの意義や効果、副反応等に関します情報を周知・広報してまいりました。

あわせまして、「新型コロナウイルスワクチン専門相談電話」を設置いたしまして、直接、県民の皆様から接種後の副反応などの相談を看護師などの専門職がお受けする体制をとっております。

この相談電話にはこれまでに約4, 3 0 0件の相談を受けるなど、市町村の相談窓口と連携をいたしました相談体制によりまして、県民の皆さんの不安感の解消に努めているところであります。

今後の新たな課題といたましては、接種に対して消極的であるというふうに言われております若年層、若い方々への対応ではないかというふうに考えております。

変異株の出現によりまして、県内でも若年層への感染も広がっておりますし、以前と比べまして、家族間での感染リスクも高くなっているというふうに受け止めております。こうした情報も加味をしながら、若年層に対するワクチン接種の理解の促進、そして不安感の解消に努めてまいりたいと考えております。

あわせまして、ご指摘もありましたが、接種しないことを持って差別的な扱いを受けるというようなことが決してないようにすること、これも非常に大変大切なことだというふうに考えておりまして、引き続き積極的に啓発を行ってまいります。

 

●塚地議員 事業者支援では、営業時間短縮対応臨時給付金、いわゆる営業時間短縮等に関わって、影響をうけた事業者への給付金について、予算額の半分ほどしか申請がされていません。今回の施策では、売上金額に応じた給付額を設定するなど改善はされましたが、申請の少なさは業者の実態を反映していないことも原因ではないでしょうか。

小規模・零細業者は、コロナ禍以前から、ぎりぎりの状態で経営を続けていたところが少なくありません。固定客、常連客を中心としているため、給付金、協力金の基準となるような50%、30%減に届かず制度は利用できないが、事業を継続できるかどうかの厳しい状況に置かれており、私も数多くの相談を受けてきました。

◆売上減30%未満の事業者の状況についてどう認識をされているか、そうした事業者への支援策を新たに考えるべきと思いますが商工労働部長にお聞きをいたします。

 

○商工労働部長 まず、売上減30%未満の事業者についての認識と支援策についてお尋ねがございました。

売上額減少が30%未満であったとしても、その経営環境は非常に厳しいものと認識しております。

特に、感染症の影響が長期化しており、影響を受けている事業者の皆様においては、ダメージが蓄積していることから、今後は、資金繰りがより厳しくなってくると考えます。

このため、 今議会に提案している経済対策などに加えて、安全実現のための高知県緊急融資などの県の既存の融資制度について、償還期間や据置期間の延長を行ってまいります。 また、新規の貸付金については、償還額を徐々に増やしていけるステップアップ償還の制度についても、取り入れてまいります。

 

●塚地議員 ◆また制度の名称が「時短要請」の対象事業者や関連事業者に対する制度との誤解を与えていることも指摘をしてきましたが制度の周知に当たってどのような工夫を成されるおつもりか合わせてお聞きをいたします。

 

○商工労働部長 次に、営業時間短縮要請対応臨時給付金の制度の周知にあたっての工夫についてお尋ねがございました。

給付金の名称が誤解を与えているというお話を聞きましたので、これまでの給付金についても、広報の表現に気を配って真意が伝わるように周知を図っているところです。

例えば、ホームページでは、「営業時間短縮要請の対象外の事業者を支援」という文章を大きな赤文字で強調するといった工夫をしております。

また、テレビやラジオ広報では、時短要請の文字を出さず、人出の減少により売上に影響を受けた事業者が幅広く対象となることが伝わるような表現に見直しを行ったところで す。

さらに、関係団体や金融機関に対し、誤解をしている場合があることをお伝えし、対象となりそうな事業者にお声がけもお願いすることなど制度の一層の周知に取り組んでいるところです。

5月と6月を対象とした今回の給付金につきましても、制度の内容を正しく理解していただけますよう、引き続き文章表現を工夫するとともに、県や関係団体の広報紙などを活用した情報発信の強化にも取り組んでまいります。

 

●塚地議員 次に、大学生、専門学校生等学生への支援についてお伺いをいたします。

高知県内の大学で、いわゆる県内第4波に伴う感染が、複数名報告されています。特に、現在主流となっている変異株、いわゆるアルファ株は若年層への感染力も強く、今後より感染力の強いデルタ株の拡大も懸念されます。

 5月26日以降、15名以上の感染が確認された高知大学では、朝倉キャンパスの立ち入り禁止の措置を実施しました。感染拡大防止のため、やむを得ないものとは考えますが、学生の大きな負担となることも事実です。学生への食料支援ボランティアが行った緊急アンケートでは、「休校になると、実験を進めることができない」、「オンライン事業を受ける際、ネット環境が悪く困る」、「図書館の利用ができない」など、学業への悪影響が出されています。このような学生の困難に光を当てた取り組みが必要です。

 

 そこで、まず検査の必要性についてお伺いをいたします。

 鳥取県では、5月半ばから、鳥取大学など県内5つの大学・高専に、PCR検査の検体容器を常時配備し、体調等に不安があり、かかりつけ医などがない学生等に対して無料でPCR検査を実施する体制を整えています。

 平井鳥取県知事は、会見で「全国で大学等でのクラスターが課題になっている。里帰りをされたり、他地域との交流がある、大学というのはそういうものだと思います。中には調子を崩される方がいますが、こういう方をいち早く見つける必要がある」として、かかりつけ医での検査体制も十分に環境整備したうえで、さらに、学内で身近に検査を受けられる施策を進めています。

先に紹介をしたアンケートでは、回答を寄せた61人中22人が、「大学でPCR検査などを無料で受けられるようにしてほしい」と答えています。学生は、就職活動などを通じ、やむをえず県外との往来をしなければなりません。また、学校や医療現場等での実習を伴う場合もあります。これらの学生が、身近に検査を受けられる仕組みの構築が必要です。

◆県の責任において、大学等に働き掛け、学内でPCR検査にかかることのできる体制を構築する必要があると考えますが、文化生活・スポーツ部長のご所見を伺います。

 

○文化生活スポーツ部長 大学などの学内でのPCR検査体制の構築について、お尋ねがございました。

議員のお話にありました鳥取県における大学などの学内におけるPCR検査につきましては、県が、保健所の判断の下、実施している行政検査の中で行われているものであり、検査の対象は、体調などに不安があるが、かかりつけ医のない学生などに限られ、無症状者、症状のない方や、単に検査を希望する方は対象とされていないとお聞きしております。

また、本県におきまして、感染拡大していない段階から、一律にPC R検査を実施するという考え方はとられていません。

こうした状況でありますが、他方、現在、高知県立大学や高知工科大学では、学生の健康管理をサポートする部署である、健康管理センターや健康相談室が窓口となって、学生からの相談に対応するとともに、学内で感染が疑われる学生が発生した際には、新型コロナウイルス健康相談センターや近隣の検査協力医療機関に協力を求め、 PCR検査を受けられる体制がとられております。

県といたしましては、各大学に対し、こうした体制についての学生へのさらなる周知や、きめ細かな相談対応を要請してまいります。

 

●塚地議員 次に、深刻な状況に落ち込んでいる学生の暮らしへの支援についてお聞きします。

徳島県は、5月補正予算として、「県内学生とくしまぐらし応援プロジェクト」1200万円を計上し、徳島県内事業者から県産食料品を購入し、大学等を通じて配布する、県内学生への食料支援を始めています。6月18日から開始し3カ月間、各大学計6回の配布予定です。県内では、土佐町、いの町などで、出身学生への10万円の給付金を支給しています。

 先のアンケートで、最も要望が多かった項目は、「県や市としても、食料支援もしくは学生への給付金などを検討してほしい」というもので、61人中38人が回答しています。

 この「公助」を求める学生の切実な声を重く受け止めなければなりません。

今回の補正予算を見ても、感染拡大により大きな影響を受けている県畜産物や水産物の学校給食への提供が1億7000万円余りの予算で計上されています。県が物産品を買い上げることで生産者への支援ともなり、高い政策的効果を望めます。本県でも実施しているこういった取り組みのスキームを学生への食料支援として広げることは、十分に可能です。

また、仮に徳島県と同程度の規模を考え1200万円の予算とすれば、これまで高知県が実施してきた新型コロナウイルス感染症緊急対策全体の規模1185億円の0.01%です。予算規模としてもまったく障害にはなりません。

学生の食料支援をするのか、しないのか、県としての意思の問題です。

 

この間、日本共産党県議団も学生の厳しい状況と切実な声を受けて、県に学生への食料支援実施を要望し、また、議場の場でも求めてきました。しかしながら、学生への食料支援は、県としての「公助」の取り組みがなされないまま、1年以上にわたってボランティアによる「共助」が続けられているのが現状です。

学生の深刻な実態を、あまりに軽んじているのではないでしょうか。

ボランティアによる食料支援を続けている学生たちからは、公的な食料支援が行われないことに、行政に対する失望の声が出されています。

高知県は、「高知はひとつの大家族やき」と「高知家」と銘打って施策を進めています。「高知家」の公式ページでは、濵田知事は「高知県には、都会で失われかけている、『人と人とのつながり』が息づいています。」と述べられ、そのメッセージは「家族のあたたかさを感じてください」と結ばれています。

学生には、知事のいう「高知家」の「家族のあたたかさ」を感じてほしいと思います。コロナ禍の中、オンライン授業への移行や課外活動などの減少で、孤独感を感じている学生たちに、「都会で失われかけている、『人と人とのつながり』」を、今、高知県が示す時ではないでしょうか。

 

今年2月4日、日本共産党高知県委員会と私ども県議団は、県に対して、新型コロナウイルス感染症への対策強化を申入れ、「公助」としての食料支援実施を求めました。翌5日の高知新聞では、当時の岩城副知事が、「(新型コロナの影響で需要が減少している)1次産品の地産地消の利用方法として、考えてみたい」と応じたことが報じられています。

◆県として、学生への食料支援について、この間、どのような検討がなされてきたのか。また、その必要性をどのように認識し、今後学生食料支援にどう取り組むおつもりなのか、知事にお伺いをいたします。

 

○県知事 次に、学生への食料支援に関して、お尋ねがございました。

今年2月4日に、ご紹介ございましたように日本共産党高知県委員会、共産党県議団の 皆様から県に申入れをいただいて以降、学生への食料支援につきましては、一次産品の地産地消の利用方法として検討をしてまいりました。

検討にあたりましては、関係団体等にご協力をお願いいたすとともに、各大学との協議を重ねまして、 4月から5月にかけまして県内3 大学の4キャンパスで大学生への食材支援プロジェクトが実施されたところであります。

その際には、 JA高知県をはじめといたしまして、多くの生産者や事業者の皆さんから食材をご提供いただきましたほか、NPO法人地域サポートの会さわやか高知にご協力いただきました。

他方、各大学におきましては、様々な団体や後援会などから食材などの無償提供を受けておりまして、必要な学生に支援を行っているというふうにお聞きをいたしております。

今後、コロナウイルスの感染の影響によりまして、経済的に困窮する学生が増え、学生への食料支援に関しまして、ニーズが高まるような状況が確認をできましたら、国への提言なども含めまして、必要な取組を検討してまいる考えであります。

 

【「生理の貧困」問題】

●塚地議員 次に、「生理の貧困」問題についてお聞きします。

2021年度からの国の第5次男女共同参画基本計画では、女性の心身の状態は年代によって大きく変化する特性から、女性への「生涯にわたる健康支援」として、女性にとっての基本的権利並びに尊厳「性と生殖に関する健康と権利」を重要視しています。その中でも、生涯にわたる健康の基盤となる10~20代前半の重要な時期に対して、月経を含めた保健の充実の推進が明記されています。

すでに世界では、生理をめぐる不平等に目を向け、ジェンダー平等を実現していこうとの声が広がっています。2013年に国際NGO団体が「月経衛生を政治の課題に」と提唱し、翌年から「すべての人の月経衛生と健康を促進するための日」として5月28日を世界月経衛生デーといたしました。「生理の貧困」の三つの要素である1、生理用品の購入費が不足、2、月経衛生・健康についての教育の欠如、3、生理にまつわる羞恥心、スティグマ(負の烙印)やタブーの存在の解消を目指す取り組みが始まっています。

今年3月4日、コロナウイルス感染拡大が吹き荒れる中で、20代の皆さんでつくる「#(ハッシュタグ)みんなの生理」が公表したオンラインアンケートが報道され、日本社会に衝撃を与えました。「学生の5人に一人が金銭的理由で生理用品を買うのに苦労している」というのです。これは学生だけに限った話ではありません。

これを機に、国会でも地方議会でも論戦が活発になり、国は4月12日、地域女性活躍推進交付金交付要綱を改正し、時限的に国の補助率を引き上げました。

同時に、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課名で「内閣府が実施する女性の相談支援及び子どもの居場所づくり等に係る交付金の活用促進の周知を図る事務連絡」を県に送り、児童生徒が抱える不安や困難に応じた適切な支援を受けられるよう、必要な対応についても検討いただきたいとしています。

◆今議会に交付金を使った予算案が提出されていますが、事業の具体的な取り組み内容について子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。

 

○子ども・福祉政策部長 地域女性活躍推進交付金を活用した事業の具体的な取り組みについて、お尋ねがございました。

この事業は、孤独や孤立、貧困などで不安を抱える女性が、社会との絆や、つながりを回復することができるよう、委託を予定している高知県社会福祉協議会が持つ地域福祉のネットワークを活用して、困難を抱える女性に寄り添った支援を行うことを目的としています。

具体的には、委託先が生理用品を購入し、市町村役場や市町村社会福祉協議会、学校などを通じて、生理用品の入手が困難な状況にある女性に提供します。

その際に、相談窓口や支援機関を明記したカードを一緒にお渡しするなど、その方のプライバシーに配慮しながら、孤独・孤立、困窮など困難を抱える女性を、市町村や社会福祉協議会などの相談支援機関へつなげてまいります。

また、周知のための情報発信や、相談や支援を行う方々を対象としたセミナーの開催を予定しております。なお、提供する生理用品は、約1万3千パック(約26万枚)を予定しております。

 

●塚地議員 ◆「生理の貧困問題にどのような認識をもたれているのか、男女共同参画本部長である知事にお伺いをいたします。

 

○県知事 次に、いわゆる生理の貧困に関する認識について、お尋ねがございました。

生理の貧困につきましては、経済的な理由などで生理用品を十分に使えないということによりまして、女性の行動が制限をされたり活躍の機会を失う可能性があるということなど重要な課題として受け止めております。

このことは、これまでも存在していた課題が、コロナ禍による経済状況の悪化などにより、表面化をしてきた、あるいは深刻化してきたものというふうに捉えております。

これまで言い出しにくかった女性特有の問題でございましても、社会全体の問題として取り組んでいくことの必要性が改めて認識されたものというふうに考えております。

 

●塚地議員 政府の交付金は時限的なものです。しかし、生理の貧困の課題は簡単に解消されるものではなく、恒久的な取り組みが必要になってきます。学校や公園、公共施設のトイレにトイレットペーパーが設置されているのが当たり前になっているように、女性用・多目的トイレに生理用品があって当たり前の状況をつくることが求められています。

全国の学校現場では、すでに生理の貧困解消に取り組む活動がスタートしています。人口24万人の神奈川県大和市では、4月26日、市立小中学校28校147カ所トイレにナプキン10枚程度を巾着袋に入れて洗面台付近にフックでつるしておく措置をとりました。必要枚数は年間2万9400枚と想定し、必要な予算は37万円。在庫は保健室で管理し、トイレ当番の児童生徒が補充するとしています。中学・高校になると、夜用と昼用のナプキンを仕切りのあるケースに分けて置き、持ち帰り用の紙袋を用意する配慮をする学校など、様々な工夫がなされています。

また、「生理の貧困」は、経済的貧困だけが原因ではありません。残念なことに、日本の社会では生理が恥ずかしいことという誤った認識がまだまだ定着しています。DVや、養育放棄、父子家庭の場合父親からの理解が得られず入手できない、また、羞恥心から堂々と購入することができないというケースもあります。コロナ禍の中で浮かび上がった実態を、本当の意味でジェンダー平等の視点で解消していけるよう、正しい認識を持つべき時に来ています。

◆全国の学校現場では、すでに生理用品の配布も始まっています。高知県でも性教育の取り組みと合わせ具体化が求められていますが、今後の対応について教育長にお伺いをいたします。

 

○教育長 次に、性教育の取り組みと合わせた生理用晶の配布の具体化について、お尋ねがございました。

議員からお話がありましたように、子どもたちが生理に関する正しい知識を身に付けるとともに、経済的な事情に関わらず、必要としている子どもが生理用品を利用できるように することは大変重要だと考えております。

また、生理に関する知識や課題については、子どもや女性教員だけでなく、男性教員も正しく理解し、学校全体で誰もが適切な指導や支援ができることが必要となります。

県教育委員会では、2年間にわたって産婦人科医など専門家の意見もお聞きしながら、教員誰もが生理の内容も含めて系統的に性に関する指導ができるように、本年2月に「性に関する指導の手引き」を策定し、県内全ての小・中・高等学校に配付して取組を進めております。

この手引きでは、例えば小学校4年生の体育や特別活動の時間において、二次性徴や月経時の体調管理と処置の仕方について学習するほか、中学や高校段階においても男女の体の仕組みや二次性徴などについて繰り返し学習するなど、生理に関しても理解を深めていくこととしております。

また、学校における生理用晶の配布に向けては、知事部局や市町村教育委員会と連携し、体制を整備するとともに、県教育委員会において配布にあたっての配慮事項をまとめ、校 内研修等を通じて全教職員であらかじめ共有してもらうなど、 児童生徒が受け取りやすい環境整備について取り組んでまいります。

 

●塚地議員 ◆今後の予算措置を含め、女性にとっての健康と基本的権利として生理の貧困解消に積極的に取り組むよう求めるものですが、知事にお聞きをいたします。

 

○県知事 次に、この生理の貧困解消につきまして、お尋ねがございました。

生理の貧困の解消に関しまして、国の方では、女性活躍・男女共同参画の重点方針2 0 2 1におきまして、「生理の貧困」への支援を掲げているところであります。この中で、地域女性活躍推進交付金によります生理用品の提供と、生理の貧困にあります背景や事情に寄り添った相談支援を充実すること、相談機関の周知等を行うということが掲げられているところでございます。

県におきましても、この国の交付金を活用いたしまして、生理用品の提供、そして、それを一つのきっかけといたしまして、支援を必要とする女性に寄り添い、きめ細かな相談支援につないでいくと、そうした取り組みを進めていきたいと考えております。

今回の事業では、こうした考え方から、地域の支援機関などのネットワークを活用させていただきまして、行政だけではなかなか手が届かないような、きめ細かな支援も期待しているところであります。

生理の貧困解消には、困難を抱える女性に対しまして、必要な支援が届くこと。また、孤独、孤立で不安を抱える女性が、つながりを回復するということが非常に重要だと考えておりますので、行政や学校、関係機関が連携した取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 

【鏡石灰鉱山開発計画】

●塚地議員 次に、高知市鏡吉原地区で計画されている石灰石鉱山開発計画について伺います。

昨年12月議会でこの問題を質問させていただきましたが、その後計画の大幅な変更があったとのことで、その点を踏まえて、改めてお伺いをいたします。

当初開発事業者は、この夏にも四国経済産業局から営業許可を得るべく昨年8月から鏡地区での説明会を開催していました。しかし、説明会の中で計画案の具体的な実態が明らかになるにつけ、地元、周辺住民の方々から様々な不安や怒りの声が上がり、住民団体「鏡川を守る会」も結成されることとなりました。

そうした中、5月28日の高知市鏡区長会において、開発事業者社員から、「県道6号線の拡幅が難しいという回答が県からあったので計画を見直す。どんな方法があるか知恵を絞りたい」という発言があり、これまで説明をしてきた計画については撤回されることが明らかになりました。

今回事業者から提案されていた計画案の最大の問題点は、石灰石を搬出するための計画にあることを、私は昨年の12月議会で指摘しました。その指摘を県が正面から受け止め検討していただいた結果、事業者がこの計画の前提に位置づけていた県道6号線の2車線化という要望を県が受け入れなかったことに、敬意を表したいと思います。その上で住民の皆さんからは、どのような経過を経て事業者が「計画の前提」として住民に説明までしていた県道6号線の2車線化が事業化されないことになったのかを確認したいとの声があります。

◆そこで、土地基本条例に基づき、この開発計画を正式に受け取り協議も進めていたと思いますが、この事業の前提と位置づけられていた県道6号線の2車線化について県としてどのような調査と議論によって判断を行い、事業者にどのように説明されたのか知事にお伺をいたします。

 

○県知事 次に、県道6号線の2車線化につきまして、県の判断と事業者にどのような説明をしたのか、とのお尋ねがございました。

県道6号高知伊予三島線は、沿線住民にとりまして、日々の暮らしを支える重要な路線であります。地元の住民の方々あるいは高知市、いの町、土佐町などからも道路整備の要望を頂いております。

このため、現在、高知市鏡革峰地区から吉原地区の間で、地域の実情にあった1. 5車線的道路整備を行っているところであります。

この鉱山開発のための2車線改良につきましては、平成25年頃に事業者から、また、令和元年9月に、事業者が所属する高知県鉱業会等から要望がありました。

このご要望に対しまして、令和元年12月の段階で、副知事から事業者が希望する搬出開始時期までに、概算で1 3 0億円を要する道路の整備を行うことは、困難であるという考え方をお伝えしたところでございます。

その後、令和2年2月になりまして、事業者の方から、ダンプトラックの走行に支障をきたす狭い箇所に限って、優先的に道路整備を進めてもらえないかと、要望が改めてあったところでございます。

このため、県としまして、再度、調査検討を行いましたけども、ダンプトラッ クと地域住民の皆さんの安全な通行を確保するというためには、やはり、局所的な改良だけではなくて、連続をした2車線改良によります整備が必要だというふうに判断したところでございます。

また、この地区の地形が非常に急峻なところでありますので、2車線改良を現実に行うためには、全面通行止めでの工事を行わざるを得ないということを判明いたしまして、その場合には、対岸に迂回路等を設置する必要があることも新たに判明をしたという事情がございました。

このため、想定される工事費はさらに増大し、要する期間も非常に長くなるということが見込まれましたので、いずれにいたしましても要望にお応えすることは、困難であるという判断をいたしまして、今年の3月に改めて副知事から、事業者に対しまして、その旨のご説明をさせていただいたと、こうした経緯をたどっているところでございます。

 

●塚地議員 日本共産党高知市議団が情報公開で得たR2年6月23日付「事業計画に関する課題等」資料で高知市と事業者との協議の内容が明らかになっています。それによると、高知市への事業者からの回答欄には次のように記されています。「県道につきましては」「10年以上前から県に(2車線化)陳情してまいりましたが、一向に進まない。「本気度を証明するためには実際に行動するしかなく、県道拡幅を待たずに少々強引ではありますが既成事実を作っていく方針に移ることを余儀なくされた次第であります」との回答です。

既成事実をつくって難色を示している県に県道の拡幅を認めさせようとし、住民説明会はそのための地ならしであったと言わざるを得ません。自社の事業のために多額の県費投入による県道拡幅を、強引な手法で認めさせようとする企業倫理には大きな問題があると指摘しなくてはなりません。

この開発事業を巡って、私たちは県としての産業振興の基本的な考え方を明確にしておく必要性を改めて感じています。それは、先のエネルギー問題でも指摘したように、2030年までの9年間が地球環境にとって重要な期間となり、SDGsへの取り組みをあらゆる県事業に位置づける必要性の認識がきわめて不十分だと感じたからです。

今回の石灰石の採掘事業の計画は、昭和30年に鉱業権が設定されたもので自然保護や環境問題が社会的にも問題視されていない時点のものです。今日、自然環境保護の重要性は未来への責任として様々な法整備も進み、高知市においても鏡川清流保全条例、それに基づく鏡川清流基本計画もつくられています。この石灰鉱山予定地周辺地域は、生物多様性センターによる特定植物群落に選定されていることに加え、雄大な地形等から景観面においても評価できるものとされ、自然環境保全区域の候補地案として鏡川清流保全審議会から提言を受けています。しかも、高知市が取得した水源涵養林5,5ヘクタールも含まれているのです。

保護が求められる貴重な自然環境を、開発によって破壊させて良いのか、さらには石灰石の運搬に事業者の説明でも将来1分30秒に1台のダンプトラックが走行することによる排気ガスの問題も軽視することはできません。

◆開発と保護には、相反する要素があるのは自明の理です。だからこそ県としての基本姿勢を明確にする必要があると思います。2050年までにカーボンニュートラル宣言をした知事にふさわしい姿勢を示していただきたいと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。

 

○県知事 次に、開発と保護に関する基本姿勢はどうかという、お尋ねがございました。

本県経済の活性化を図っていくためには、様々な分野での 産業振興を図ることが肝要であるというふうに考えております。他方で、本県の誇る豊かな自然環境を守り、次世代に残していくということは我々に課された責務であるというふうにも考えております。

こうした産業振興を図ることと自然環境の保護を図ること。この二つは、時折、相対することがありますけども、二者択一というではなく、法令等に基づきながら、また様々なご意見を伺いながら検討を重ねて、両者の調和を取って進めていくということが重要であると考えております。

先ほどのカーボンニュートラル宣言に関しましても、気候変動への対応と産業振興・経済活動の両立を目指していこうとするものであるというふうに考えております。

今回の鉱山開発に関しましても、産業振興と自然環境の保護との調和を取っていくと、いう考え方に立ちまして、土地基本条例等に基づきます手続きを通じまして、高知市や事業者と協議を重ねてまいりました。引き続き、こうした基本姿勢のもと様々な取組を進めまして、本県の持続的な発展を図ってまいりたいというふうに考えております。

 

【県土の軍事化】

●塚地議員 最後に、県土の軍事化について、知事に伺います。

  昨年7月⒕日の、自民党中谷元衆議院議員、中西哲参議院議員の“オスプレイの宿毛誘致進言”について、多くの反対と不安の声が引き続き広がっています。

  宿毛市等の自衛隊誘致陳情に同席し、当時の河野太郎防衛大臣に陸上自衛隊輸送機オスプレイの配備難航を念頭に「佐賀空港で受け入れられない場合、宿毛への配備は可能性として考えられるのではないか」、「宿毛でも引き受けられる」等進言したことが報道されたからです。

直ちに私たち県議団は、7月16日“宿毛市への「オスプレイ」受け入れ発言に断固抗議し撤回を求める声明”を発表し、議員事務所に届けました。

  24日付け地元新聞に、宿毛市出身、関西在住の79歳の方からの投書が掲載され、「市長や議員諸氏が人口の減少や地元経済の不振に危機感を抱くのはよく分かるが自衛隊誘致、オスプレイへと短絡するのは、市民の生活環境の激変(宿毛の普天間化)を招く危険な賭である。一度基地ができればもう元には戻れない。誤った道に踏み込まぬよう想像力が必要である」と述べられ、「宿毛にオスプレイNo」と訴えていました。

 また市民有志が8月、「オスプレイに反対する宿毛市民の会」を立ち上げ、9月17日には、配備反対を訴える署名2209人分を中平宿毛市長に提出しています。中平市長は、「現時点で配備計画は一切なく、議論する段階にすらきていない。不安についてはしっかりと受け止めたい」と話されたと報道されています。その後も、署名活動が進められ、今年4月30日現在合計4609筆にのぼり追加提出されていますし、濵田省司高知県知事宛の要請署名にも取り組まれ、今月19日現在、1326筆の署名が寄せられています。

  署名趣旨には、「市長が提出した要望書にはオスプレイの記載はないものの、宿毛には西南空港予定地があり、海上・航空・地上部隊編成・訓練の最適地であるとし、同行の国会議員による『宿毛へのオスプレイは受け入れ可能』とする直談判は、住民意思を無視した地方自治への背徳行為であり、私たちは決して許すことはできません。  

 オスプレイは爆音や墜落・落下物の危険といった住民被害を多発し、高温の排気熱と強力な下降気流で災害救助・救援には問題があり悪天候時の運用にも適さない、そんな佐賀空港で受け入れられないものを、宿毛で受け入れられるはずがありません。私たちは、宿毛の海・山・地域住民の生活と健康を守るため、オスプレイ配備に断固反対します」とよびかけ、自然豊かな宿毛の海・山・私たちの生活を壊さないで下さい、宿毛の空を危険地帯にしないでください、と訴えているのであります。

◆知事は、オスプレイ配備に対する宿毛市民、県民の不安、反対の声をどう受け止めているのか伺います。

  また県内選出の国会議員のオスプレイ誘致発言に対しては、県民のいのち、県土の安全に責任を負う知事として、物言うべきではありませんか、お伺いをいたします。

 

○県知事 次に、オスプレイ配備に対します県民の不安や反対の声に対する受け止め、あるいはオスプレイの誘致に関する発言についてのお尋ねがございました。

オスプレイにつきましては、以前より、事故率は下がっているということはありますけれど、過去に事故が相次いだという事実もありまして、県民の皆さんの不安感は、まだまだ払拭されていないというふうに本日のご質問をお聞きして改めて感じているところでございます。

一方で、オスプレイの県内配備の提案に関しましては、ご指摘もありましたように昨年7月に宿毛市長などが自衛隊誘致の要望のために防衛省を訪問した際に、県選出の国会議員の方々から発言があったものというふうに承知をしています。

私といたしましては、こういった国会議員の方々の自衛隊を誘致したいという熱心さの表れから、こうした発言をされたのではないかというふうに受け止めております。

また、ご本人もたちも述べられておりますとおり、あくまで「一国会議員」として発言されたものだというふうに認識しておりますので、議員に対し、私の方から、今の時点で、特に何かを申し上げるという考えはございません。

 

◆知事は去年7月15日、陸上自衛隊オスプレイ誘致発言を受けて記者会見で「県民の不安を受け止めている」とする一方で、宿毛湾港への自衛隊誘致活動について「一理ある取り組みだと思う。」、「少し行政面でどういったメリット、あるいは課題があるかというところを詰めてみたい」と発言していますが、知事の本意をお聞きいたします。

◆また、宿毛市長、宿毛市議会議長、宿毛商工会議所名による「重要港湾『宿毛湾港』等の利活用について」とする国への要望には慎重に対応し「県民に親しまれる平和な港」を宣言した県政の立場を堅持すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたしまして、私の第一問といたします。

 

○県知事 最後に、宿毛市への自衛隊誘致に関する記者会見の本意と港湾の平和利用に関する見解について、お尋ねがございました。

自衛隊の県内への配備につきましては、大規模災害時におきましては、応急救助活動や物資輸送といいました防災の面で非常に大きな効果が期待できるということ、また地域経済への波及効果が期待できるということなど、こうした大きなメリットがあるというふうに考えます。

このため、宿毛市が官民を挙げて取り組まれております自衛隊の誘致活動につきましては、住民の皆さまの様々な意見も伺いながら、地元の取り組みを応援するというスタンスで対応してまいりたいというふうに考えております。

しかしながら、具体的な誘致計画の策定には市や地元の方では至っていないという段階にあるようでございますので、この宿毛市への自衛隊誘致に関しましては、 先ほど申し上げましたようにメリットが期待されるという意味で、「一理がある」ということは、考えられますが、この具体的な計画がまだないという意味で、「メリットや課題を詰めてみたい」というような発言をさせていただいたというような経緯でございます。

一方で、宿毛湾港は、四国西南地域で唯一、水深1 3メートルの岸壁を有しまして、クルーズ船や石炭運搬船のような比較的大きな船舶が接岸可能となっております。

宿毛市では、その特徴を活かしまして、宿毛商工会議所等の民間団体と一緒になりまして、自衛艦の寄港誘致にも取り組んでおられます。

自衛艦の寄港は港に賑わいをもたらします。また、地域の活性化にもつながるというふうに考えますので、平和利用の主旨に反するものではないというふうに考えられます。県といたしましては、港湾の利活用を進めるという観点からも、地元の取り組みを応援してまいりたいと考えておる次第であります。私からは以上であります。

 

●塚地議員 それぞれご答弁いただきまして、ありがとうございました。二問を行わせていただきたいと思います。

 まず、鏡の吉原地区での県道の拡幅の問題で、知事からこの間の事業者への説明のご答弁をいただきました。その中で、まず第一は、部分改良では、安全運行ができないんだということがまず前提なんだと、いうことだったと思います。その上で、二車線化でなければ、安全性が保てないということでした。その二車線化にするとすれば、どれほどの事業費がかかるのかと、以前の12月の議会でのご答弁では、概算130億円というお話をいただいておりましたけれども、それ以上に予算が必要なんだというご答弁だったと思うんですけれど、ひょっと、数字がお分かりになったら、どの金額を想定されたのかということを教えていただきたいと思います。

 二つ目の問題が学生への食料支援です。知事のご答弁の中では、いかにも県も協力をして、一次産品の食料支援をやったというように聞けましたけれども、ここには一円も県費も投入されていないですよね。予算がまったく投じられていないと、ボランティア団体の皆さんにやっていただいて、県がご協力をしたという形にすぎないと思います。

 で、ニーズが高まる、高まったら考えていくというふうにおっしゃいましたけれど、もう、ニーズはずっとあるんです。その時のさわやか高知さんがやられました時も、約1000人の学生さんが訪れられて、本当に喜んで持って帰ったということになっているんですね。「ほっとまんぷくプロジェクト」がやっている事業も、この1年間で、約5000人の学生さんたちが雨の日も並んで、食料を取りに来る、医学生などは、バイトが禁止をされるので、もう収入がなくなったという悲痛な面持ちで、この食料支援に参加しているわけです。

 一回、食料支援を県も、一応かかわってやられたわけで実績はあるわけですね。なので、このスキームをつくっていただきたい、支援したい人もあるし、支援されたい人もある、県として予算化もする、そういうスキームをぜひとも大学と相談をして、つくっていただきたい、ということで、知事にもう一度ご答弁をいただきたいと思います。

 以上、二問といたします。

 

○県知事 塚地議員の再質問にお答えいたします。

 まず、県道の拡幅に要します事業費の問題でございます。ただいま、申し上げましたように、う回路も必要になる、あるいは残土処理も必要になるということを前提としました場合、幅がある数字で恐縮でございますけれども、190億円から250億円といった数字の規模になるというふうに報告を受けているところでございます。

 2点目につきまして、学生の皆さんへの食料支援についてでございます。今回、ただいま、答弁をさせていただきましたように、県の方といたしましても、呼びかけをいたしまして、JAさん、生産者の皆さんですね、こういった方々のご協力を得まして、県として予算を計上してないではないかと言われれば、その通りでございますけれども、受領いただく学生さんにしてみれば、それは県の予算からであれ、JAさんからの寄贈であれですね、同じ意味があるということだと思いますので、こういった形でできるところから、支援をしていこうということで、取り組んでいるところでございます。

 この学生の皆さんのニーズというのは、まず大学当局が学生課などを通じて一番ご存知だということだと思いますので、大学の当局の皆さんとも、ご相談をしながら、さらに必要だということになれば、ですね。もう一つは、私自身は、この行政がいろんな関わりあいをやっていく中では、この大学教育で、高等教育の部分で、国・県・市町村ですね、ここがどういった役割分担をするかという問題もやはり吟味しなきゃいけないという思いはございますが、いずれにいたしましても、大学の当局の皆さんの、ご意見もお聞きをして、必要がございましたら、検討させていただきたいというふうに考えております。

 

●塚地議員 250億円という道路予算には、ちょっと驚きまして、これは到底無理な事業だなということを、改めて確認させていただきたいと思います。

食料支援につきましては、ぜひ、県が音頭をとって、今、国・県・市の役割分担とおっしゃいましたけれども、県立大学もございますのですね、ぜひ県立大学から先頭を切ってでも構いませんので、スキームをぜひつくっていただきたいと思うんです。

すでに一回実施されていた経験を生かしたスキームづくりをすすめていただきたいということは強く要請しておきたいと思います。

縷々ご答弁いただきまして、本当にありがとうございました。新たな経済対策も何とか知恵を使ってやろうとしている県の努力もですね、わかります。でも、県の財政にも限界もある、そういう中で、地域でどんな声があがっているかというと、自分たちの行き先が見えないのにオリンピックで喜べといわれたって、喜びようがないんだという痛切な声です。

予算もそして、人材もオリンピックやパラリンピックでなくて、今、明日を生きる私たちの暮らしと生業にまわしてほしいという県民の強い声があります。私はぜひそういう声もしっかり、耳に受けて、国にも届けて、頑張っていただきたいと思いますし、次なる支援をしっかり国にも要望していただきたいということを強く要請をいたしまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。