議会報告

  • 2021年06月24日
    2021年6月議会 岡田芳秀議員による「新型コロナ県民条例(案)」提出者の説明(2021.06.24)

●岡田議員 ただいま議題となりました議発第1号「高知県新型コロナウイルス感染症の感染拡大から県民を守るための条例」議案につきまして、提出者を代表して提案理由の説明を行います。

冒頭、県民の皆さまの命を守り昼夜をいとわず献身的に働いてくださっている医療関係の皆さまをはじめ、関係機関の皆さまに心より敬意を表し深く感謝申し上げます。

 

まず、私たちが独自の条例案を提出するに至った経緯について申し上げます。

それはなによりも、県民の責務を課すような方向には同意できないという考えからであります。当初は、理念的なものになるとはいえ、県の責務と県民の責務を並列して書き込むような議論もありました。しかし、私たちは、そうではなく、つまり県民に責務を課すのではなく、あくまで県の責務を明確にすること、又、県民を権利主体として位置づけ、県民のいのちと健康、くらしを守ることが重要であると考えました。

その上で、この一年、私たちが求めてきたことですが、感染拡大を防ぐには無症状者への積極的な検査が必要だということ、医療機関への財政的支援を行うこと、時短要請等による県民及び事業者への協力要請には、県として財政的補償をしっかり行うこと、さらに新型コロナ特措法や感染症法による罰則については抑制的にとらえ、適切な助言、指導で是正を促すことを基本とすべきだということ、こうしたことを盛り込んだ条例が必要だと考えたところです。

他方、濵田知事は記者会見で新型コロナ特措法や感染症法の罰則について聞かれて、「どうしても協力が得られない方」には「刑事罰という選択肢はあり得た」と述べましたが、こうした発言は、私たちとしては看過できないものでした。

これらを踏まえて、私たちは独自の条例案を提出するに至りました。

 

その上で、私たちが条例案を提出する理由は、なによりも県下で発生している新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、県民の皆さまの生命及び健康を保持する、そして県民の皆さまの安全で安心な生活を送る権利を守る取組を推進する、つまり生存権を保障する、このことに資する県の責務を明確にするためであります。これを第1条で目的と定めております。

 県内では、昨年2月以降、新型コロナウイルス感染症が広がっては落ち着き、また広がっては落ち着くということが繰り返されています。つまり、人の流れを抑制した後は一定感染拡大が落ち着くものの、緩めるとまた感染が拡大するということが繰り返されています。

 こうした中で新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方も少なくありません。また、多くの人たちが現在も入院をし、治療を受けています。コロナ禍が長期化するもとで、医療・福祉、介護の職場の皆さまをはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さま、そして県民及び事業者の皆さま方の暮らしと営業、労働環境は厳しさを増しております。「生活が苦しい」「先の見通しが立たず、営業が続けられない」「このまま学業を続けていていいのかと悩んでいる」などの悲痛な声が多くあがっています。

一日でも早く、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、県民の皆さまのいのちと健康を守り、安全で安心な生活を取り戻すことが求められています。本条例案は、そのために提出をするものです。

 

続いて、条例案で重視した点をご説明いたします。

第一は、第3条で規定している県の責務です。なによりも県が新型コロナウイルス感染症の発生の予防及び感染拡大の防止のための総合的な対策を、実施をすることです。

第二は、第7条にある社会的検査の推進です。本県では感染者がどこにいるのか、その実態をつかむことにはきわめて消極的で、発生したらその地域なり職場の検査をしたらよいという姿勢が続いてきました。最近になって、高知市中央公園での飲食業等の皆さんの大規模検査が実施をされました。続いて、新型コロナウイルスのクラスター発生を防ぐため、県が設定する基準を超えた場合、入所型の高齢者施設や障害者施設の職員にPCR検査を行うことになりました。いずれも昨年来検査の必要性を訴え続けてき私たちの意見が実施されるものとして評価をするものです。

第7条では、こうした検査も含めて、県内の医療機関、社会福祉施設等においてクラスターの発生を防止するための社会的検査を推進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないと規定をしております。

なお、現在、ワクチンの接種が進んでいますが、県民に行き渡るには時間を要します。また感染力の強い変異株も広がっています。ですからワクチン接種と検査をセットで行うことが必要だということも第7条の念頭にあります。

第三は、第6条にある感染を防止するための協力要請です。ここでは、営業時間短縮等の措置を事業者に要請するに当たっては、事業継続及び雇用維持のために必要な財政的支援を行うよう努めなければならないと規定をしています。加えて、協力を求める場合には、協力者の人権及びプライバシー等に配慮をすることとしております。

第四は、第9条で、感染症法の罰則は抑制的にとらえ、適切な助言、指導等を中心に行うことを通じて県民等の協力を促進することとしています。

 

パブリックコメントでは、第7条の社会的検査について「検査の推進を打ち出した意義は大きい」、「大規模・定期的な検査は必要で、何時でも、何度でもPCR検査ができる様にして欲しい」といったご意見を、また、第6条の時短要請措置に対する補償に賛同するというご意見を多くいただきました。

 

県民のいのちと健康を守るには、県の果たす役割を明確にし、県を挙げて新型コロナウイルス感染症対策に取り組むことが重要です。日本共産党はそのために全力を尽くすことを申し上げまして、本条例案の提出理由の説明といたします。

何とぞご審議の上、議員の皆さまのご賛同を賜りますようにお願いを申し上げます。