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- 2021年03月10日
- 議会(質問・討論)
- 2021年2月議会 岡田芳秀議員の一問一答質問(2021.03.09)
【質問項目】
・農政
・中山間支援
【農政】
●岡田議員 日本共産党の岡田芳秀です。
先ず農政について伺います。
昨年10月、JA高西地区四万十営農経済センターにおいて、コメの品種や産地の表示を偽装するという、不適切な取り扱いが明らかとなりまして、JAのみならず高知県の食の信頼にも関わる大きな問題となりました。その後、農林水産省の調査が入り、続いて12月に消費者庁の調査も入っております。
JA高知県は、この偽装問題について外部の識者を入れた調査委員会を設置し、独自調査を行っております。この調査委員会は、発生原因及び問題点の調査分析、不祥事発生に関する内部管理態勢、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点の調査分析、そして類似事案調査の適切性の評価をした上で、再発防止策についての提言を出しています。
これを受けて、JA高知県は、この調査委員会の調査報告と提言を含めて、問題の発生の原因、役員の責任、再発防止策などについて、組合員に対してお詫びと説明を行っているところと承知をしております。
私は、この調査委員会の提言を読ませていただきましたけれども、問題点の深い解明と再発防止対策がしっかりと提言されていると評価するものです。しかし、ほんとうに信頼が回復されるかどうかは、この提言が着実に実行され、ガバナンスとコンプライアンスがしっかりと機能することがカギだと考えます。コメの生産者はもとより、取扱事業者、消費者のみなさん、そして県民からの信頼を取り戻せるよう、JA高知県におかれては、提言に沿ってしっかり取り組んでいただきたいとおもいます。
◆信頼回復の取り組みはJA高知県が自主的、主体的に行うものであることは言うまでもありませんけれども、高知県の食の信頼に関わる問題でもありますので、JA高知県の信頼回復の取り組みをどう受け止めているか、農業振興部長にお聞きします。
○農業振興部長 JA高知県では、再発防止策として、これまでに食品表示の関係法令を指導、および監督する専門部署を設置するとともに、推進体制や責任の所在を明らかにした、食品安全推進基本方針や業務に必要なマニュアルを制定するなどの体制を、整備をされております。
また、昨年12月から全職員を対象にした食品表示に関する研修やコンプライアンス研修を実施しているところでございます。また、今後は、組織のガバナンスの見直しを検討するというふうにお聞きをしております。JA高知県では、再発防止に向けて早急に取り組みを進められておりますことから、引き続き着実な実践と合わせまして、定期的なチェックや改善をしっかりと実施することによりまして、生産者や消費者の皆様の信頼回復に努めていただきたいと考えております。
●岡田議員 ◆あわせまして、県として、食の信頼回復にどう取り組んでいくのか、あらためて決意を、農業振興部長に聞きをいたします。
○農業振興部長 JA高知県では、本県の農産物の多くを取り扱い県内外の消費者に届けておられますことから、県としても一刻も早い信頼回復に努めたいと考えております。このため、偽装問題が発覚した直後に、JA高知県の役員に対し、食品表違反となる事例やそのリスク、くわえてコンプライアンスの重要性についても、研修を実施いたしました。
また、この1月には、JA高知県だけではなく、食品を取り扱う県内の事業者の現場担当者に対しまして、食品表示に関する法令順守を徹底するとともに、食品表示の知識をいっそう深める研修を実施したところでございます。
JA高知県には、引き続き、食の信頼回復に取り組んでいただきますとともに県としても定期的に報告を求めて、改善状況を確認してまいります。
●岡田議員 しっかりとよろしくお願いしたいと思います。
次に、本県の主力園芸作物の一つでありますシシトウの値段が急落したと、農家が困っている問題についてお聞きをいたします。
ほかの園芸産物でも値下がりしたものがありますけれども、とりわけシシトウの市場価格が昨年12月、今年1月と二カ月連続して半値から半値以下になりまして、シシトウ農家は深刻な打撃をこうむっています。値下がりの原因には、新型コロナの影響で業務用の消費が大幅に落ち込んだことが影響しています。
県が支援策として構えた「営業時間短縮要請対応臨時給付金」は、12月の売上が前年同月から30%以上減少した分に限って、個人事業主は上限20万円までということで支援が組まれました。もちろん、給付金は農家の助けになるもので、喜ばれているわけですけれど、不足している農家もございます。
また、国の救済制度を受けても一部救済されない部分が残りますし、加えて入金が遅れるということで資金繰りに困っているというお話もお伺いをしているところです。
私も地元南国市、そして須崎市で、農業関係者、農家からも聞き取りをさせていただいたんですけれども、特に困っているのは、昨年に比べて作付面積を増やした農家です。
私は、シシトウ農家のAさんとしておきたいと思いますけれども、お話伺いました。Aさんは、シシトウを一昨年の9畝から、昨年は2反2畝に、2.24倍作付けを増やしました。ところが値段が急落して(30数%)、一昨年12月に140万円入金されたのに対して、昨年(12月)は105万円だったということです。面積を増やして300万円の売上を見込んでいたけれども、105万ということで、200万円見込みを下回ったということで、落胆をしておりました。
シシトウの価格は1月も落ち込んだままで、私が聞きましたJA土長地区本部(南国支所)によりますと、シシトウは12月47%、1月51%に下落したといいます。全県も同じような傾向だと思います。そのため同JAでは、重油を1リッター1円下げると考えていたところを、4円下げて支援をしたいと、おっしゃっていました。
意欲を持つ農家が、生産意欲を失ってしまわないような支援策が必要だと考えます。
◆こうした農家を支援するためにも、国の制度に加えて、県としての支援を考えられないか、農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 先日、田中県議にもお答えしました通り、生産者の皆様には、セーフティーネットとしまして、野菜価格安定制度などがございます。生産者への野菜価格安定制度の補給金の支払につきましては、特に影響のあったシシトウでは、昨年の11月から12月分は、今月から開始をされ、今年の1月から3月に影響があった分につきましては、6月から開始をされる予定でございます。
県としましては、すべての生産者が何らかのセーフティーネットに加入していただきますよう、JAグループや、市町村とも連携しながら未加入の生産者に加入を促してまいります。
また、今後の価格動向に注視をしながら新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期的に続く場合には影響ある品目への必要な支援を検討してまいります。
●岡田議員 ありがとうございます。
農家からお話を伺う中で、ほとんどの方が、新型コロナの影響によって収入減少が見込まれる自営業の方たちに、国民健康保険(国保)の保険料の減免制度があるということを、ほとんどの方ご存じなかったわけで、この点につきましては、市町村と連携して、ぜひ周知を図っていただくように要請をしておきたいと思います。
次に、米の問題についてお聞きいたします。
昨年来、新型コロナの影響で米価が下落しています。特に西日本より東日本の方がより大きかったと思いますけれども、最大の原因は、新型コロナ下で中・外食需要が消滅して過剰が積み上がったことにあります。10万トンの需要が減退したといわれています。このために全国では、60kgあたり3,000円近く値下がりしたものもありました。全国の作況指数は99と、高知県は93ですけれども、ほぼ平年並みということです。
問題は、政府の対応にあると私は思います。冷酷なまでに米価対策を拒否する菅内閣の「自己責任」押付けに、多くの農家が怒っているということです。
昨年12月21日に、農水省は農林水産大臣談話「令和3年度産米の需要に応じた生産・販売に向けて」を発表しました。しかし談話では、新型コロナによる需要減少を棚上げして、米農家に「過剰」の責任を押し付けて、直面している米価下落の苦難には一切触れていません。そして、米は「在庫の過剰に直面」しており、米の需給と価格の安定を図るためには、21年産米の36万トンの生産調整が実現されなければならないということで、ある意味おどしをかけていると言わなければなりません。
米価下落の責任は生産者にあるといわんばかりの農家への減産押し付けです。資料見ますと高知県では約1000トンの減産目標ということになっているようです。
政府は、国内消費に必要のない外国産米(ミニマムアクセス=MA=米)を「義務」として年間77万トンも輸入し続けながら、国内生産は消費量が減ったからとして減産を求め続けてきました。
このような「米政策」のツケを、米農家が払ういわれはないと思います。生産者に減反拡大を押し付けるだけの生産調整方式を転換し、とりわけコロナ下にあっては、備蓄米の追加買い入れなど、国が米の価格と需給に責任をもつということ、また個別所得補償を復活させること、MA米の輸入中止・削減などを実施することが必要だと考えます。
12月25日に、全国食健連が農水省に米価対策を申し入れた際には、農水省が「MA米は国内生産に一切影響はないとは言えない」ということで、初めて言及をいたしました。
◆米価を維持するためにも、MA米を減らすよう政府に求めるお考えはないのか、知事にお聞きをいたします。
○県知事 ご指摘のありましたいわゆるミニマムアクセス米は、国が一元的に輸入をいたしまして、主に加工用米、あるいは飼料用米などの用途に限定をした販売によりまして、国産米の需給に影響を及ぼすことのないように運営をしているというふうに承知をしております。
そうだといたしますと、私といたしましては、ミニマムアクセス米の低減を政府に求めることまでは、必要ないのではないかというふうに考えております。
●岡田議員 実際、2007年、コメの国際価格が急騰する中で、77トン全量輸入ではなくて、7万トンのこして打ち切ったという事例もあります。ですから、政治の判断で、全量輸入ということをしなくてもいい、できるということだと思いますので、求めていただきたいと私は思います。
あと、政府は転作支援策の活用を勧めていますけれども、緊急避難的に余剰米を国が買い上げるということもやっていいと思います。
◆政府に対して余剰米を買い上げるなどの米価対策を求める考えはないのか、知事に伺います。
○県知事 国の主食用米の買い入れは、不作などによります供給不足に備えまして、必要な量を保有しておくといわゆる備蓄用米として運用されているというふうにお聞きをしております。また、国は余剰米の買い上げによります需給調整などを目的とした主食用米の買い入れは行っていないとそういう主旨での買い上げは行っていないというふうに認識をいたしておりますし、県といたしても、需要に応じた生産が行われるということが、この需給対策としては、大事ではないかというふうに考えているところでございます。
国におきましては、消費喚起とともに、主食用米からの転換を支援するといった形での需給対策を十分に講じていただきたいというふうに考えるところであります。
●岡田議員 転換というよりも、コメの価格、需要にやっぱり、国がしっかりと責任をもっていただくように、地方からも声をあげていかねばならないというふうに思います。
次に、でるけれども、私は、日本の農政の根本問題は、食料主権を投げ捨ててきたところにあると考えています。カロリーベースですけれども、自給率38%と、4割を切ってきたにもかかわらず生産を増やそうとせずに、農産物貿易の全面的な自由化を進めてきました。
自国の農家にとっては国際的にノーガードを前提にして、農政が行われているというところに大きな問題があると思います。TPPの抵抗勢力とみなされた農協が「改革」を迫られたのも輸入自由化を推し進めるためであったというふうに考えております
こうした農政ですから、農業政策は規模拡大と一般企業の参入によって国際的な価格競争力をつけることに力点が置かれています。しかし、「輸出拡大・競争力強化」が有効策となる地域は限られていると、私は思います。規模拡大すれば、競争力が高まるというのも机上の論理ではないかと考えます。
◆貿易一般を否定するものではありませんけれども、農産物の関税撤廃をすすめてきた貿易自由化は、食料主権を放棄するものだという認識がおありなのか、知事のご所見をお伺いいたします。
○県知事 これまでの貿易自由化におけました、例えばTPPなどの協定におきまして、我が国の農林水産品につきましては、コメなどの重要5品目を中心といたしまして、関税撤廃という原則に対する例外が確保をされていたというふうに認識をいたしております。こうした中で、国は総合的なTPP等関連政策大綱を昨年12月に改訂をされておられます。今後の発効が見込まれますRCEPの協定、あるいは、コロナ禍への対応の視点を加えた改訂だというふうに、お聞きをしておりますが、この大綱に基づきまして、我が国の農業の体質強化に向けた対策として、経営安定、安定供給に向けた、備えた措置が講じられているというふうに考えているところでございます。
また、食料・農業・農村基本計画によりまして国民生活に不可欠な食料を安定的に供給するというために、大規模化あるいは輸出の促進などといった攻めの施策の一辺倒ではございませんで、例えば、担い手の育成ですとか、確保の対策といった地域の農業を守る施策もあわせて講じているというふうに認識をしております。国におきましては、今後につきましても、攻めるべきところは攻める、そして守るべきものは守るという姿勢で農政を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。
●岡田議員 食料主権につきましては、やっぱり、自国の国民のための食料生産を最優先して、食料、農業政策を自主的に決定する権利、これをしっかり守っていかなければならないと思います。
日本の農業の役割といいますか、国際的にも自然的社会的条件が、国によっても違いますし、多面的機能の評価も違ってまいります。工業製品と同じような基準で比べることは、いかがなものかと思いますし、自国の農業を守るためにも、関税とか輸入規制措置など必要な国境措置はやはり維持して、国内の農業を守っていく、育てていくことが大事だと思います。一方で、攻めの農業といいますけれども、他方で、その10倍ぐらい輸入をしているわけですので、あまり輸入のことは話題になりませんけれども、両方考えながら国内の農業支援をしっかりとすすめていかなければならないということを指摘したいと思います。
日本の農業は、家族農業が大きな役割を果たしています。日本農業を担ってきた、そして今担っている家族農業をしっかりと支援することが重要だと考えます。
規模拡大といっても中山間地域など限度もあります。規模拡大を進める農家や法人に限らず、規模の大小にかかわらず、総合的な政策が必要だと思いますけれども。
◆総合的な農政をどうすすめていくのか、知事にお伺いをいたします。
○県知事 本県におきましては、農業におきます家族経営体の割合が、全体の約97%を占めております。その意味で家族経営体の事業の発展を図っていくということが、本県で農業が産業として持続発展していくことに今直結をするという関係にあると考えております。また、中山間地域におきます産業の中心であります、農業を家族経営体が守っていくということが、地域の暮らしそのものを守っていくということにつながるというふうに考えておりまして、その意味で、家族経営体がしっかりと存続していけるようなそうした取り組みが大事だというふうに考えております。
具体的には、産業振興計画に基づきまして、デジタル技術を活用して、労働生産性をあげていくというようなこと、また多様な担い手の確保をはかっていくということ、さらには、日本型直接支払制度を活用いたしまして、生産基盤の下支えをしていくと、こういった取り組みを通じまして、家族経営体を支援してまいりたいと考えております。
●岡田議員 国連家族農業の10年も始まっておりますけれども、世界的には家族農業の見直し、役割が重視されておりますので、しっかりと支援をしていただきたいと、総合的に支援をしていただきたいと思います。
次に、農業振興部が1月20日付で示した「企業の農業参入支援による新たな担い手の確保」について、関連をしましてお聞きをいたします。
これを見ると、本県のハウス面積と施設園芸農家数はこの16年間に大きく減少してきており、ハウスを整備しても減少率に追いつかないという現状認識のもと、このままでは産地としての市場における価格形成力が衰退してしまうことから、担い手の確保が必須であるとして、農業に参入する企業の力を借りるということも必要だとしています。
地域と協働していただける企業を誘致し、生産量、生産面積の維持をはかると、そのための支援策が紹介されています。加えて、平成27年以降の企業の農業参入の状況も示されているところです。
また、本県の企業誘致の取り組みが、大分県が5年連続で年間20社の企業参入に比べて、平成27年からの参入件数は9件と少ないということで、課題も整理をされているところです。用地の確保が難しいとか、施設整備費が高額であるとか、労働力の確保が難しいなどなど、ですけれども、こうした課題を解決していくために、推進チームをつくって、事後進めていくということであります。
◆そこで、先ず、本県でなぜこうした事態に、つまり企業にたよらなければ施設園芸の生産が維持できないような事態になってきているのかという現状の分析について、農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 本県施設園芸農家の現状につきましては、担い手の高齢化や後継者不足、離農等により、平成14年からの16年間で、生産面積を1680ヘクタールから、1354ヘクタールと、326ヘクタール、割合にして約20%減少しております。ただ、一方で、生産量につきましては、野菜主要7品目で約4%の微減にとどまり、生産を維持しているところでございます。
これは、小規模な家族経営体から、大規模な企業に至りますまで、生産者と関係機関が一丸となって次世代型ハウスの整備や環境制御技術の普及に取り組んだことで、生産性が向上したものと認識をしております。今後、更なる高齢化や離農者の増加が想定される中、家族経営や集落営農、雇用就農や移住を希望する新規就農など多様な担い手の確保がまず重要となってまいります。
企業の農業参入につきましては、多様な担い手のひとつであるというふうに考えております。また、企業につきましては、多くの就農の受け皿となりますことで、新たな就農や生産の維持向上にもつながるものと期待をしているところでございます。
●岡田議員 多様な担い手のひとつということでお答えがあったと思います。
◆企業として、色々、形態がたくさんあると思いますけれども、具体的には、一般企業を想定しているのでしょうか。どういうものを想定しているのか、農業振興部長にお聞きをします。
○農業振興部長 参入を想定している企業としては、地域と協働していただける一般企業を想定しております。
●岡田議員 ◆次に、稼げる農業ということで、今できています次世代型ハウスですね、これ、どれだけ採算が取れているのかということもご回答も求めたいと思います。地域によっては、ここで収益を上げて、耕作放棄地を広がるのを防ぐというふうに多角的な経営で、地域の全体をカバーしていっているという経営もありますので、実際、次世代ハウス設備投資の減価償却を含めてどれだけ採算がとれているのか、農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 平成27年以降の参入企業9社のうち、次世代型ハウスで生産事業を展開しているのは7社ございます。そのうち、減価償却を加味して採算がとれているのは、5社となっております。採算がとれていない企業につきましては、操業開始1年以内で、決算をまだ迎えていないものが1社。それから、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、計画に対して売り上げが、減収をしているものが1社となっております。参入企業の大規模な次世代型ハウスは、通常のハウスに比べまして、施設整備は高額となるものの、単位面積あたり2倍から3倍の収量が実現できておりまして、各社、おおむね計画通りの経営となっております。
●岡田議員 ありがとうございました。それで、企業参入について、どうしていくのかについては、まずは、地元の関係者がよく話し合うことが大事だと思います。これを飛び越えて、企業参入ということを進めると、あとあと、地域との問題が生じる恐れがあります。
地元にとっては、地域のことを知らないという企業がきてもらっては困るというところもありますので、十分な準備と言いますか、協議が必要だというふうに思います。
そして、地域の将来像を共有する、協働の内容を具体的に確認するということが大事だと考えています。
◆この点で、参入している企業では、地元との協働、具体的にどう図られているのでしょうか。農業振興部長にお聞きをいたします。
○農業振興部長 参入にあたりましては、地元のJAや品目部会など関係者との協議を十分に行い地域の理解をいただいたうえで、産地ビジョンへの参画や進出協定を締結するなどすべての企業において、地域との協働をはかっております。
例えば、日高村では、トマト産地の生産拡大ビジョンを掲げる地元の誘致を受けて企業が参入し、地域の一因となって地元ブランドでの販売やトマトの加工品開発など、トマト産地の振興に取り組んでおります。
●岡田議員 ありがとうございます。
次に、農業振興と地域の活性化を図るうえでのJAの役割ということについても伺っておきたいと思います。
私は、今の農業を取り巻く厳しい状況と、一方で、少子高齢化が進んでいる地域の現状を考えたとき、農業振興と地域再生は、車の両輪で進めていくことが非常に大事だというふうに思っているところです。
その際、JAが地域にある支所を基礎にして、地域をデザインする主体になってほしいと期待もしているところです。政府の「農協改革」は協同組合としての性格をなくしてしまおうとしていると感じております。それだけに、なおさら地域に根を張った協同組合として協同組合本来の役割を発揮していくことが、ある意味で、財界や政府の「農協改革」への一番の対抗措置にも、なっていくというふうに考えているところです。
農業経営の法人化や、企業の農業参入も進んでいるわけですが、JAが地域で調整役としての役割を発揮し、地域住民のみなさんも含めて、地域が一緒になって地域の活力を取り戻す取り組みに一層力を入れていかなければならないとおもいます。
◆農業振興と地域の活性化を図るために、JAに期待するところを、農業振興部長に伺います。
○農業振興部長 JAグループ高知では、地域に根差した協同組合の確立をめざして、農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化に取り組んでおられます。農業振興という面におきましては、産業振興計画の農業分野の目指す姿である「地域で暮らし、稼げる農業」の実現に向けた様々な施策を推進するうえでJAは欠くことができない重要なパートナーとなっております。
また、地域という面に目を向けますと営農のみならず、購買や信用、共済などの総合的な事業全体で地域社会の生活インフラを支えておりますし、食育や、農副連携などの活動を通じて、地域コミュニティの活性化にも貢献をしておられます。
JAには、少子高齢化や人口減少、コロナ禍など、農業を取り巻く環境が厳しさを増す中においても、本県の農業振興や地域活性化にむけてともに取り組んでもらえるものと期待をしております。
●岡田議員 はい、ありがとうございます。
ところで、JA高知県の「新3か年経営計画」(案)が出ています。この中で、支所の再編や、ATMが各地でなくなるということが示されておりまして、農家から「不便になるのではないか」という懸念の声、南国でもお聞きをいたしました。
背景には、2016年からのマイナス金利政策によって、信用事業が苦境に陥ってきたということがあります。具体的には、農林中金の奨励金水準が段階的に引き下げられていくという状況があります。信用事業を取り巻く、環境の変化、また信用事業の在り方が、また、これが営農事業にも影響をしてくるという中で、新たな改善計画が示されてきておりますけれども。
◆県として状況を把握し、農家や住民のみなさんへのサービス低下にならないようにしなければならないと考えます。この点について、農業振興部長のご所見をお聞きしたいと思います。
○農業振興部長 ただいま、議員がおっしゃっていただきましたように、JA高知県につきましては経営の安定化に向けた事業、組織、経営の改革を行う必要があるというふうにお聞きしております。「新3か年経営計画」の中には、営農販売事業では、労働力確保への支援や、例えば購買事業では生産資材のコストの削減、システム導入による事業の効率化、組織の見直しでは、役員数の削減や要員数の見直し、支所や購買店舗の再編など、農業基盤の強化をJA自らの経営基盤の強化対策が盛り込まれております。
その中で、一定組合員の皆様の利便性の低下を伴うものもあると思われますが、こうした対策を進めJAの経営を安定させることで、組合員の皆様が安心して農業に打ち込める環境にしていくことを目指しているというふうにお聞きしております。
JA高知県におきましては、組合員の皆様のため、本来の使命を果たし、計画が達成できるようしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
●岡田議員 ありがとうございました。
【中山間支援】
●岡田議員 次に、中山間地域の集落調査に関連してお聞きをいたします。これまでにも多くの議員が質問をされておりますけれど、多少重なるかもしれませんけれど、質問をいたします。
私は、中山間地域を疲弊させてきたのは、これまでの国の社会経済政策、農林業政策の責任が大きいといわなければなりません。
本県でも人口減少進んでおりますし、そうした中で、10年ぶりの調査ということであります。
◆この10年の取り組みをどう総括しているのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。
○中山間振興・交通部長 前回の集落実態調査の結果を踏まえまして、平成24年度から中山間対策を抜本強化し、中山間総合対策本部における議論を経て、これまで様々な施策を展開してまいりました。
中山間対策の核となる取り組みである、集落活動センターは、32市町村61カ所で開設され、また、移住者は令和元年度の実績で1030組1475名を数えるなど、集落の活性化や担い手の確保につながっております。
さらに、鳥獣被害対策については、施策、体制を強化いたしまして、集落ぐるみで取り組む総合的な対策を進めました結果、農林水産業被害は、ピーク時の約1/3まで減少しました。
このように、前回の集落実態調査であきらかになった課題の解決に向けては、着実に前進したものと考えております。
●岡田議員 大事な調査になってくると思います。
私からもいくつか提案もさえていただきたいと、そして質問もしたいと思います。
◆前回も20歳以上の皆さんの調査でしたけれども、この間、18歳選挙権も施行されました。アンケート調査は少なくとも18歳以上にすべきではないでしょうか。また、15歳以上とか若い世代の意見を聞くことも大事だと思いますが、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。
○中山間振興・交通部長 前回調査では、アンケート調査の対象者の年齢を20歳以上としており、経年経過を確認するためにも前回と同様に、20歳以上とする方向で検討していたところです。
一方で、選挙権年齢が、18歳以上に引き下げられ、県民世論調査も対象を18歳以上に引き下げております。こうしたことも踏まえ、集落実態調査のアンケート調査の対象者の年齢については、調査を監修いただく中山間地域活性化アドバイザーなど専門家の意見もお聞きしながら、決定したいと考えております。
●岡田議員 ありがとうございます。
◆「アンケート調査」は各市町村2、3カ所ということですけれども、これも集落のばらつきが市町村にあります。柔軟に対応すべきだと思いますが、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。
○中山間振興・交通部長 アンケート調査は聞き取り調査を実施しました集落の中から、各市町村の協力を得まして、それぞれ2~3集落程度を抽出し、約110の集落を対象に実施する予定です。2~3集落という数字は、市町村の平均値として、お示しをしておりまして、50世帯未満の集落数は、市町村によって異なることから、各市町村の集落数も踏まえ市町村と相談しながら対象集落を決めていきたいと考えております。
●岡田議員 はい、よろしくお願いいたします。
◆地区長等の代表者からの「聞き取り調査」に関してですけれど、私が想像するところでは男性が多くなるのではないかと思っておりまして、女性の視点も大事だと思いますけれども、どう取り入れられるのか、中山間振興・交通部長にお聞きします。
○中山間振興・交通部長 議員からご指摘在りました通り、中山間地域の実情や住民の皆様の思いをお聞きしていくにあたっては、女性の視点も重要であると考えております。聞き取り調査では、前回と同様に、地区長さんなどの代表者だけでなく、集落の役員の方々や民生員さんにも同席いただく予定としておりまして、女性の方にも参加いただけるようお願いしていきたいと考えております。
●岡田議員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
◆「集落活動センター」の取り組みと、今後の、あったかふれあいセンターとの連携ですね、こういうことも大事になってくると思いますけれども、運営そのものは運営組織の主体的な判断ということでありますけれども、連携をどう図っていくのか、合わせて、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。
○中山間振興・交通部長 集落活動センターの取り組みといたしまして、これまでもあったかふれあいセンターとの連携をすすめてまいりました。例えば、佐川町では、双方の機能を有する施設をひとつの事業者が運営をしまして、地域を挙げたイベントを共同で開催しております。
また、津野町では、あったかふれあいセンターのサテライト事業の実施場所を集落活動センターが提供しております。さらに、黒潮町では、あったかふれあいセンターの利用者へランチ弁当を提供するなど集落活動センターが活動をサポートしております。
今後とも、地域福祉部や市町村と連携をはかりながら、このような取り組みを横展開し、さらに県内各地に広げていくこのことで、地域の実情に合った支え合いの仕組みづくりをさらに進めたいと考えております。
●岡田議員 集落活動センター61カ所、今まで出てきて、ひとつも欠けずに続いているということで、本当に関係者の皆さんのご努力に敬意を表するところです。他方で集落活動センターの無い地域も多く残されていますし、そういう地域が本当に取り残されないような施策をつくっていかなければならないということを強調しておきたいと思います。
◆地域を良くするためには、アンケートの後も大事だと思います。ワークショップ等も含めて、ファシリテーターなどの役割も重要になってくると思いますが、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。
○中山間振興・交通部長 地域の皆様が、集落の将来像などに就いて話し合う際、この雰囲気づくりや参加者から意見の出やすい場づくりを担うファシリテーターの役割は重要です。県には地域活性化の取り組みを後押しする、地域づくりの専門家を派遣するアドバイザー制度があり、これまでも集落活動センターの立ち上げの話し合いなどの場面で、活用されてきたところです。
今後も、こうしたアドバイザー制度の活用のほか、地域支援企画員が、市町村職員とともに、ワークショップに参加し、ファシリテーター役を務めるなど、地域の皆様の話し合いが、実りあるものとなるように、引き続き支援を行ってまいります。
●岡田議員 中山間の皆さんからは、すでにもう、アンケートを待つまでもなく、要望がたくさん寄せられています。介護保険料払っているのに受けられないとか、移動手段を確保してほしい、あるいは、飲み水を安定的に確保してほしいなど、たくさん要望がすでにあがっております。
◆地域の皆さんのこうした声にこたえるために、生活基盤の整備が必要だと考えますけれども、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。
○中山間振興・交通部長 生活支援、とりわけ、生活用水の確保のための施設整備は特に重要な課題であると認識しております。市町村からの要望を平成29年度から、令和3年度までの5カ年を整備計画にとりまとめ、集中的な支援を行ってきたところです。このような取り組みによって、中山間地域の生活環境の整備が着実に前進したものと考えています。
●岡田議員 ◆最後になりましたけれども、中山間振興について知事の決意も聞かせていただきたいと思います。
○県知事 就任以来、中山間地域、色々な機会にお邪魔をいたしまして、お話を伺う中で、大変厳しい現状の中にありますけれども、多くの方々が地域に愛着と誇りをもって、創意工夫をこらしながら、課題解決に立ち向かっておられます。
私自身、非常に感銘を受けますし、私自身、力をいただくというような場にもなっております。皆様の声を真摯にお聞きしながら、中山間地域の振興に全力で取り組んでまいります。
●岡田議員 ありがとうございます。住民の皆さんの声をしっかりと受け止めて、これからの政策づくり、本当に現場の声を判断の材料にしていただいて、住み慣れた地域で安心して暮らせるような県政をすすめていただけますように、求めまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。