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- 2020年12月23日
- 議会(質問・討論)
- 2020年12月議会 塚地佐智議員の一般質問(2020.12.16)
【質問項目】
・男女共同参画とジェンダー平等
・コロナ禍における女性への相談体制
・同性パートナーシップ制度の導入
・不妊治療
・大規模風力発電
・鏡吉原石灰石鉱山開発
●塚地議員 私は日本共産党の立場からさっそく質問に入らせていただきます。
【男女共同参画とジェンダー平等】
●塚地議員 まず、男女共同参画、ジェンダー平等の推進についてお伺いいたします。
現在、県は、令和3年度から5カ年にかかる「こうち男女共同参画プラン」の改定案を提示し、意見公募を行っています。また、このプランの策定の検討と平行して、現在、内閣府の審議会で第5次男女共同参画基本計画案が議論されています。日本社会はコロナ禍で転換点を迎えており、この計画への期待と注目はかつてなく大きいものがあります。真っ先に職を失う女性の非正規雇用労働者、医療や保育などで働く女性の劣悪な待遇、子育てや介護の負担の集中、性暴力の多発など、日本の女性施策の遅れがあぶり出されており、世界から大きく立ち後れているジェンダー平等に政府が責任を持って取り組む姿勢と施策を明確に打ち出す必要があります。
しかし、基本計画の原案には、ジェンダー平等への目標が後退している点も見られます。
政府は2015年の国連女性の地位委員会で「2030年までに指導的立場の半分を女性に」という203050目標を合意しています。それに先立つ2005年には、202030、つまり本年中に指導的立場の30%を女性にという目標を掲げていましたが、17年間たった今も達成ができておらず、政府としての責任も、原因分析も不十分なまま、目標の先送りをしています。様々なハードルがある中だからこそ、まず、指導的立場に女性を多く参画させることが、社会のシステムを変化させる原動力となります。
◆知事は、本県の男女共同参画推進本部長として、203050目標の重要性についてどのように認識されておられるのか。また、本県でのプランの見直しにあたり、指導的立場への女性の参画について目標設定をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
○県知事 塚地議員のご質問にお答えをいたします。
まず、203050目標の重要性についての認識、指導的立場への女性の参画に係る県の目標について、お尋ねがございました。
国会議員や公務員、企業の管理職等の指導的立場におきます男女の割合の均衡を目指します、ご指摘の203050目標は、様々な意思決定に、女性の意思を反映するために重要な目標であるというふうに認識をしております。
県といたしましても「こうち男女共同参画プラン」の中で、知事部局、公立学校、県警本部それぞれに女性の管理職比率の目標を掲げて、取り組んでいるところであります。 また、県の政策等に関する協議を行う各種審議会の委員の男女構成につきましても、均衡を目標に掲げて、取り組んでおります。
本年度同プランにつきましては、改定を予定しておりますけれど、この改定後のプランにおきましても、引き続き、管理職や審議会委員におきます割合について目標を定めて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
●塚地議員 ◆県としては、知事部局における女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画において、管理職における女性職員の割合を10%以上にするとの目標ですでに達成がされています。さらなる目標の引き上げを検討すべきと思いますが、知事にお伺いをいたします。
○県知事 次に、女性活躍推進法に基づきます特定事業主行動計画におきます女性職員の管理職割合の目標をさらに引き上げることについて、お尋ねがございました。いわゆる県の知事部局に関しての問題でございます。
議員ご指摘のように、平成28年3月の特定事業主行動計画の策定時に7. 4%でありました女性管理職員の割合、これを計画では令和2年度末に10%に引き上げると定めておりました。本年4月1日の時点で、この割合が11%となっておりまして、ご指摘ありましたように、この令和2年度末の目標は、すでに先行して達成をできているというところであります。
また、多くの女性職員が多様な職務を経験する中で、チーフ級以上の職員の割合も、計画策定時から5ポイント上昇して、24. 6%となっております。将来管理職になり得る女性職員の裾野は着実に広がっていることを示しているというふうに考えております。
一方で、昨年実施いたしました職員アンケートの結果を見ますと、所属長以上のいわゆる管理職の役職を担いたい、と回答した女性職員は1割強に留まっております。その主な理由としては、管理職の職責への不安、あるいは、ワークライフバランスへの影響、こういった点が挙げられております。
女性職員を今後さらに管理職に登用していくためには、こうした課題の解決に取り組む必要があると認識をしております。
このため、女性職員のキャリアアップに向けました意識の醸成とともに、仕事と家庭の両立ができる環境づくりをさらに進めていく必要があると考えております。
しかしながら、一方で、人事配置は適材適所が基本ではございまして、また、 家庭環境等を踏まえた職員の希望も考慮する必要がございます。
こうしたことから、一挙に飛躍的に女性管理職を増やすということは、現実的にはなかなか厳しいのではないかと考えももっているところでございます。
本年度未が期限となります特定事業主行動計画の改定に当たりましては、現在の女性職員の人数や年齢構成、職員の希望、こういったものの実態を踏まえた上で、目標値の引き上げについて検討を進めてまいります。
●塚地議員 また、基本計画の議論の中でも注目をされている課題として、「選択的夫婦別姓制度」の導入をどのように位置づけるかが国会審議も含めた議論となっています。今日、この導入については、原案に、「国会において速やかに議論が進められることを期待しつつ、政府においても必要な対応を進める」と述べられていました、12月8日、自民党の内閣第1部会と女性活躍推進特別委員会の合同会議では「制度導入に前向きと取れる」など記述に反対する意見が相次ぎ、原案の了承が見送られています。そして、昨日の会議では、選択的夫婦別姓という文言そのものを削除したという報道に触れ、本当に大きな、落胆と怒りの思いがいたします。世界の中でも、同姓を強要している国はすでに、日本だけという状況です。婚姻による同姓の強要は女性の地位向上の見地からも見直すべきと考えます。
◆知事は、「選択的夫婦別姓制度」をどのように評価しておられるのか、ご所見をお聞かせください。
○県知事 次に、いわゆる「選択的夫婦別姓制度」についてお尋ねがございました。
結婚に伴います改姓、姓を改めるということでございますが、これによりまして、それまでの業績が継承されにくくなるという方などにとりまして、結婚前の姓を名乗ることができる制度は、有効なものであるというふうに考えております。
現在、その手法としては、旧姓の通称使用の運席が広く行われているものというふうに承知をしております。
他方、ご指摘のありました選択的夫婦別姓制度の導入につきましては、我が国の家族のあり方に深く関わる事柄でありまして、国民の意見も分かれている状況にあるというふうに承知をしております。
私といたしましては、この旧姓使用の、旧姓の通称使用、これは今、注釈抜きでかなり社会的に広がっているというふうに考えます。これを法律改正なども含めて、さらに究極まで拡大をしていく場合に、このいわゆる選択的夫婦別姓と、具体的にどういう違いがくるのかということがまだ十分に議論がされていないのではないか。
具体的には、さらにいいますと、現時点でいいますと、こうした場合の子どもの姓をどうするのかといったような、制度の具体的な内容について議論が十分になされている状況ではないのではないかというふうに思っております。
そうした意味で、まずは国政の場で、こうした具体的な制度設計につきましても含めました議論がしっかりと行われていくということが必要ではないかと、そうしたことで国民の皆さんの判断材料がそろってくることになるのではないかというふうに考えております。
●塚地議員 次期こうち男女共同参画プラン案では、高知県が目指すべき姿として、「性別にかかわりなく、誰もが自分らしくいきいきと活躍できる高知県」を掲げ、「女性と男性が互いにその人権を尊重し、共に支え合い、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる高知県を目指します」とうたっています。
そのプラン案に関わる課題として、非正規雇用の問題が在ります。プラン案には、現状と課題の項目で、「就業の状況」が示されています。重要ですので、少し長いですが、引用をいたします。
“高知県は全国と比べて、結婚、出産後も働き続ける女性の割合が高いものの、平成 29 年に総務省統計局が行った「就業構造基本調査」のパートタイムなど非正規雇用労働者の割合では、女性が男性の約 2.3 倍となっています。
その背景には、出産・子育てにかかる期間が女性の働き方に大きな影響を与えていること や、事業主の側に女性の能力を積極的に活かしていこうとする意識が十分でないこと、また、 働き手や稼ぎ手は男性であるという、固定的な性別役割分担意識が残っていることなどがあると思われます。すべての労働者が、性別にかかわりなくその能力を十分に発揮し、多様でかつ柔軟な働き方を選択することができる社会の実現を進めていく必要があります。”
との記述です。
非常に重要な指摘だと思います。相対的貧困率もほとんどの年齢において、男性よりも女性の方が高いことも指摘をされています。
コロナ禍において、全国で女性の自殺率が急増している背景には、女性における非正規雇用の割合の高さが原因のひとつと考えられており、まさに命に関わる問題となっています。この状況を改善し、女性が正規雇用で安定して働けるよう取り組みを進めなければなりません。厚生労働省においても非正規雇用の労働者を雇用する事業主に正規雇用化など処遇改善への支援制度を打ち出しています。
女性の非正規雇用の問題を考えるときに、避けては通れないのは、いわゆる官製ワーキングプア、公務職場における非正規労働者の問題です。
県の職員として非正規・会計年度任用職員として働いている方々の職種ごとを見てみますと、男女比に大きな偏りがあることがわかります。
県のそれぞれの業務での、会計年度任用職員における女性の比率は、一般事務職員83.0%、看護師92.6%、教員・講師43.0%、図書館員100%、女性相談支援センター相談員100%、高知県立消費生活センター相談員75%、高知県思春期相談センター相談員はおひとりで100%となっています。県行政の多くの職場で、非正規公務労働を女性が担っている実態が見えてとれます。
プラン案では、先に引用した通り、非正規雇用において女性が多い背景に、「事業主の側に女性の能力を積極的に活かしていこうとする意識が十分でないこと、また、 働き手や稼ぎ手は男性であるという、固定的な性別役割分担意識が残っていると思われる」と指摘をしています。
◆そうした指摘がされている本県の実態に対する県の取り組みについて、男女共同参画プランを所管する文化生活・スポーツ部長にお伺いをいたします。
○文化生活・スポーツ部長 まず、非正規雇用における男女比の実態を踏まえた県の取組に ついて、お尋ねがございました。
総務省の「平成29年就業構造基本調査」によりますと、本県の雇用者全体に占める女性の非正規労働者の割合は 23.2%となっており、全国平均の24.8%を1.6ポ イント下回っております。
他方、同じく女性の正規労働者の割合につきましては、本 県は26. 3%であり、全国平均の20.3%を6ポイント上回っております。
このように、全国に比べ女性の正規労働者の割合が高い本県ではありますが、非正規雇用の労働者の男女比につきましては、女性の労働者の数が男性の約2.3倍であり、全国が約2.2倍であるのと、ほぼ同様の状況となっております。こうした状況に対しまして、県では、現行の「こうち男女共同参画プラン」に沿って、企業などに対し、育児休業の取得促進や、時間単位の年次有給休暇制度の導入、さらには、 女性の活躍の推進が業績拡大につながることへの理解などを働きかけるとともに、広く県民の皆様に対し、家庭における固定的な性別役割分担の意識の解消に向けた啓発を行うなど制度の整備と意識の改革の両面から取り組んでまいりました。
本年度策定いたします、次期プランにおきましても、性別にかかわりなく、働く人・働きたい人が、仕事と、子育て・介護などとの二者択一を迫られることなく働き続け、その能力を十分に発揮できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
●塚地議員 県の非正規職員・会計年度任用職員の中には、その専門性、業務の継続性に照らして、本来は、常勤の正規職員として採用すべき方々が多数おられるものと考えます。
女性活躍推進法では、令和4年から常時雇用する労働者数が101人以上の事業主に、一般事業主行動計画の策定が義務付けられています。民間企業に範を示し、社会全体の男女共同参画を推進するためには、行政が率先して行動する必要があることはいうまでもありません。
公務職場において、非正規職員を正規職員化していくという具体的な行動が求められています。非正規職員において女性比率が高い現状を見れば、この非正規職員を正規職員にしていくことで、より多くの女性が安定した働き方に移行することとなり、女性の貧困率の改善、社会全体のジェンダーの偏りを是正することにもつながります。
◆県として、会計年度任用職員を正規職員化することを、数値目標をもって取り組む必要があると考えますが、総務部長にお聞きいたします。
○総務部長 まず、会計年度任用職員の正規職員化に数値目標を掲げて取り組むことについて、お尋ねがありました。
県における職の設置にあたっては、個々の具体的な事例に即して、業務の量や担うべき業務の範囲、責任の程度などを踏まえ、会計年度任用職員と正規職員のどちらが担うべきかを総合的に判断する必要があると考えております。
こうしたことから、数値目標を掲げて会計年度任用職員の正規職員化をすすめることにはならないものと考えております。
会計年度任用職員が担っている業務の内容、量などを精査した結果、正規職員が担うべき業務であると判断した場合は、正規職員による対応を検討してまいります。
【コロナ禍における女性への相談体制】
●塚地議員 次に、コロナ禍における相談体制について伺います。
新型コロナウイルス感染拡大が多くの女性、とくに未成年の子供をもつ女性を直撃しています。
内閣府に設置された「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」も11月、支援や相談体制の強化などを政府に求める緊急提言を出しました。コロナに対しジェンダーの視点で解決をはかることが一層重要になっています。
世界的に見て、コロナ禍は、貧困、差別などの影響を受ける社会の弱いところで被害が多く出ています。「コロナは、日本の弱点のひとつが女性の社会的な地位だということを改めて浮き彫りにしています」(読売・ヨミドクター12/7)。
コロナ対策で女性が取り残されることがあってはなりません。今春、国連女性機関は、ジェンダー視点の対策は「女性のみならず社会のすべての構成員に良い結果をもたらす」と強調しました。
具体的な対策では、雇用・経済面では、複数回の持続化給付金やコロナ禍終了までの雇用調整給付金の特例の延長、営業自粛要請は補償とセットで行う、医療や介護事業者などの減収補填が重要です。この点は重ねて強く要望しておきます。
今回とりあげたいのは、相談体制の問題です。
貧困研究者として子どもの虐待問題に長くかかわってきた松本伊智朗・北海道大学教授は、虐待について、「貧困の中で人が苦しい思いをする結果の1つとして考えるべき」と広く社会の在り方として捉えるとともに、実践の現場では「困難が集中している人ほど、支援につながりにくい」状況があると指摘しています。情報の周知、公的制度の使い勝手の問題、いろいろと要因はありますが、「助けてもらう人は、自分で出来なかった人だ」という自己責任論の内面化によって、支援を受けることを抑制させていることが、困難を見えにくくしている大きな問題と指摘しています。この指摘は、虐待防止だけにとどまらない、生きることへの困難を抱えている人に対する支援を考えるうえで普遍的な重要性をもっていると考えます。
相談のしやすい、体制も充実し、専門性を確保した相談窓口を築いていくことが極めて大事です。松本教授は、そのためには職員を正職員化し、きちんと身分を保証し、研修など専門性を高めていける体制にすることこそ、そして自治体の中で、社会福祉の専門集団をつくり育てていく人事ルートを確立する必要がある、と指摘をしています。
先日、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者たちを支える婦人相談員について「やりがい搾取」という記事が中国新聞で配信されました(9/17)。少し紹介をすると、「勤務は週30時間。時間外の相談は全てボランティアだ。夫に隠れて深夜にしかやりとりできない人も多い。」、「家を出て経済的に大丈夫かな」、「連れ戻されるのが怖い」…。時間を問わず不安の声を受け止める。「命が懸かっている。相手の人生に寄り添う覚悟でやっています」と話す。・・・知識を得るために、全国各地の勉強会に参加してきた。でも、経費は使えない。休みをつぶし、自費で出掛ける。手取りは月約10万円ほど。費用を捻出するために、飲食店のアルバイトと電話相談員のトリプルワークをしている。」「最前線で経験を積んできた。なのに自分の足元はおぼつかないまま。最近つくづく思う。「これって『やりがい搾取』じゃない?」「自分たちが燃え尽きたらどうなるんでしょう」と疑問、危機感を感じる、という内容です。本県でも、これまで処遇の改善などにも取り組んできましたが、相談業務の多くは会計年度任用職員が担っている現状です。
◆自殺や虐待防止、DV対策をはじめ生活困窮と関連も強い、これら問題での相談業務は、正職員で専門性を継続して蓄積していける体制、その仕事の重要性にふさわしい処遇を行うべきと、思います。県行政には様々な相談業務がありますが、男女共同参画を担う立場も含め、女性相談支援センターを所管する文化生活・スポーツ部長に相談業務の重要性と、相談員の正規職員化について、どのようにお考えかお伺いをいたします。
○文化生活・スポーツ部長 次に、女性相談支援センターの相談業務について、お尋ねがございました。
女性相談支援センターは、配偶者からの暴力に関する相談をはじめ、県民の方々からの様々な相談をお受けしており、相談業務を行っている県の他の組織と同様、重要な役割を担 っているものと考えております。
同センターでは、相談員の配置に係る知事部局全体を通じた考え方の下、相談業務に関する豊富な経験を有する会計年度任用職員を専任の相談員として配置し、正規職員と共に、 組織的な対応を行っております。
近年は、柚談者や同伴者が疾患を伴う場合や、関係機関との連携が多岐にわたる場合などより専門的な対応が求められるケースが増加しており、研修の受講などにより、相談員の対応力の向上にも努めているところです。
また、日々の業務を進めるにあたりましては、センター内 で、相談案件に係る情報の共有、支援内容や関係機関との連携についての協議を行うとともに、相談記録の作成保存を行うことなどによりまして、組織としての経験やノウハウの蓄積に努めております。
今後も、様々なご相談にしっかりと対応できるよう、現行の体制を基本として、こうした組織的な取組を継続してまいりたいと、考えております。
●塚地議員 ◆この項の最後に、直面する課題として、年末年始の各相談窓口の体制について伺います。私たちも、暮らしあったか相談会や相談に対応する体制をとっていますが、新型コロナウイルスの感染が再拡大している中、この年末年始は例年とは大きく様相が異なり、経済的にも精神的にも追い詰められる方々が増加することが予想されます。県行政として、どのような体制をとるおつもりか知事にお伺いをいたします。
○県知事 次に、コロナ禍におけます年末年始の相談体制につきまして、お尋ねがございました。
まず、生活に関する相談の中でも、特に緊急性が高い自殺や虐待、ドメスティックバイオレンスなどに関する相談につきましては、年末年始に限らずに3 6 5日の対応をいたしております。
心の悩みにつきましては、「高知いのちの電話」を窓口といたしまして、誰にも相談できず一人で悩んでいる方の話に耳を傾ける活動を行っております。
また、児童虐待につきましては「児童相談所」、ドメスティックバイオレンス、DVにつきましては「女性相談支援センター」などにおきまして、迅速な対応が取れる体制を敷いているところであります。
次に、生活困窮の面の相談につきましては、年末年始の突発的な相談等にも対応できますように、福祉事務所や自立相談支援機関の体制を確保いたしております。
これらの各相談窓口につきましては、これまでも広報してまいったところでありますが、年末年始に備えまして、さらに広報を強化してまいります。
県民の皆様には、ひとりで悩みを抱え込まずに、できるだけ早く、ためらわずに各相談窓口に、ご相談をしていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
県といたしましては、関係機関とも連携をしながら、そうした悩みに寄り添い、しっかりと対応をはかってまいります。
【同性パートナーシップ制度の導入】
●塚地議員 次に、同性パートナーシップ制度の導入についてお伺いをいたします。
世界で大きく前進している性的マイノリティーといわれる「LGBTQ」の方々の人権保障について、日本共産党として再三、本議会でも取り上げてまいりました。
昨年の12月議会での「男女の組み合わせに限らない婚姻制度について」の中根議員の質問に対し、知事は婚姻制度のあり方については国政の場でよく議論していただく問題とお答えになり、ご自身のお考えを明らかにされてはいません。また、この法整備が進まない中、実質的に婚姻関係として認め自治体におけるパートナーシップ制度の導入についても「性的指向・性自認に対します県民の理解が進んでいくということが、まずは必要だと考えています」と答弁され研修や啓発を行うという答弁に止まっています。
令和元年度男女共同参画社会に関する県民意識調査では、性的少数者(いわゆるLGBTなど)について内容を知っているが43%、性的少数者のかたが自ら告白するという意味のカミングアウトについて内容を知っていると答えた方が49%で約半数となっています。その存在についての認知がここまで進んでいる状況、そして当事者の皆さんが社会にその存在の認知と人権保障を求めて活動をされている現状を見たとき、研修や啓発に取り組むという姿勢では不十分だと指摘せざるを得ません。
去る11月24日、高知市は、多様な性のあり方を認め合う姿勢を目指し「高知市にじいろのまち」を宣言いたしました。来年2月から市として同性カップルに家族としての地位を証明するパートナーシップ制度を始める準備を進めています。宣言式に参加された当事者のかたが「私たちは社会から必要ないと思われていると感じていたが、市の宣言で、私もここに存在してもよいと言ってもらえた」と述べられたことが報道されています。
◆そこで知事に、高知市が導入予定の「パートナーシップ制度」について、どのように受け止めておられるか、ご所見をお伺いをいたします。
○県知事 次に、高知市のいわゆるパートナーシップ制度について、お尋ねがございました。
高知市では、令和3年2月にこの制度の導入を予定しておりまして、具体的には、市営住宅におきまして、この登録証明を受けた方を同居が認められる親族に含める取扱いを検討されているとお聞きいたしております。
高知市の取り組みは、多様な性のあり方を認め合い、性的な指向、あるいは性自認に基づきます差別等をなくすことが求められている昨今の社会情勢を踏まえたものであるというふうに受け止めております。
県といたしましても、社会全体の大きな方向として、性の多様性を尊重していくということが大事な時代になっているというふうに考えております。県内の市町村の制度によりまして、こうした形で、パートナーとして認められた方々に対しましては、その市町村が行政サービス上行う取扱いに合わせる方向で、県としての対応を検討してまいりたいと考えております。
●塚地議員 各自治体が行っているパートナーシップ制度には、単なる証明書の発行に止まっているところや、公営住宅の応募に当たり「親族」として認める、また、公立病院の面会・手術の同意などができるといった制度を整備している自治体もあります。高知市が今後この宣言を具体化することとなりますが、高知県の人口の半分を占める高知市での制度の導入となれば、住宅の申請用件なども共同歩調をとっていただきたいと思います。
◆研修・啓発を一層推進することも含め県としての姿勢を示す「パートナーシップ制度」の導入を表明し、高知市と導入に基づく具体的な制度の改定などについて早急な協議を行っていただきたいと思いますが、知事にお伺いをいたします。
○県知事 次に、県としてパートナーシップ制度を導入してはどうかというお尋ねがございました。
この制度の導入に関しましては、以前もご答弁申し上げましたように、性的指向・性自認に対します県民の皆様の理解が進むということが、まずは必要だと考えております。
その上で、いわゆるパートナーシップ制度は、戸籍、あるいは住民記録事務を扱います、市町村のレベルで導入を検討していただくということが、なじみやすい性格のものではないかと、いうふうに考えております。
県といたしましては、パートナーシップ制度や性的指向・性自認に関する県民の皆様の理解が深まるよう、様々な場を捉えて周知できるように努めてまいりたいと考えております。
【不妊治療】
●塚地議員 次に、不妊治療について伺います。
政府は11月30日、不妊治療への支援拡充を巡り、来年1月から既存の助成制度を拡充する検討に入ったと報道がなされています。公的医療保険への適用拡大は22年4月から実施する方針ですが、保険適用までのつなぎの対応として2020年度の第3次補正予算で、来年1月から、体外受精や顕微授精などを対象としている助成について、所得制限を撤廃し、2回目以降も初回同様の30万円を、子ども一人ごとに最大6回に拡充。事実婚についても対象とすると明らかにしています。
私たちもこれまで不妊治療について、助成が受けられやすい体制の整備や充実について求めてきましたので、助成額、助成対象の拡充についてしっかり進めていただきたいと思っています。
◆あまりに唐突な実施方針で医療機関や対象者への周知も急を要すると思いますが、どう対応されるのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
○健康政策部長 国の不妊治療助成制度の来年1月からの拡充にかかる医療機関や対象者への周知についてお尋ねがありました。
今月の8日に閣議決定された総合経済対策では、不妊に悩む方に対する治療費用の助成について、 「令和4年度からの医療保険適用を見据えつつ、所得制限を撤廃した上で、助成額の上限について2回目以降も1回30万円で6回まで、 2 人目以降の子供も同様とし、対象拡大を前提に大幅な拡充を行い、経済的負担の軽減を図る」こととされています。
この方針は、経済的な理由で不妊治療に踏み切れない方々にとって大いに背中を推してくれるものだと思います。県としましては、国から拡充後の助成内容が提示され次第、直ちに市町村や医療機関に周知するとともに、県のホームページをはじめ、広報紙、テレビ、ラジオなど様々な広報媒体を通じて、新たに助成対象となる方々やこれから妊娠・出産を考えている方にも届くよう、広く県民の方々に広報してまいります。
●塚地議員 制度が拡充されるとはいえ、実際に活用されるためには様々な環境整備が伴わなくてはなりません。不妊治療の指定医療機関は、高知市内に2カ所南国市に1カ所の3医療機関がありますが、県外の医療機関などで治療を受ける方もおられ、移動時間を含め大きな負担となっています。
不妊治療は、女性にとって肉体的、精神的負担も大きく、また、男性も治療に当たっての検査などが必要となります。そのため、職場における理解と協力がきわめて重要となります。各職場で、安心して治療の受けられる休暇制度が待ち望まれています。本県の県職員の不妊治療については現在、疾病による病気休暇または有給休暇を取っての対応となっています。政府は推進する上で、職場環境を整える支援策も必要であり検討もされているとのことですが、すでに、最長一年間、無給ですが不妊治療休暇が取得できる長野県など、県職員の不妊治療休暇制度を実施している県も増えてきています。
◆県として、職員の不妊治療に関する休暇制度の創設について、どのように考えるか、総務部長にお伺いをいたします。
○総務部長 次に、職員の不妊治療に関する休暇制度の創設について、お尋ねがありました。
不妊治療については、国や本県を含む多くの都道府県において、特別休暇の制度がなく、医師が疾病の治療を要すると認める場合に、病気休暇として取得できることになっております。
こうした中、国においては、不妊治療を受けやすい職場環境整備に向けた検討がすすめられており、今月3日には、今後の取組方針の案が公表されました。
その中では、国家公務員について、民間の状況を注視しながら、不妊治療を受けやすい職場環境の醸成等を図ることや、人事院においては、職員アンケート調査や、有識者ヒアリング等を踏まえて、必要な取組の検討を行うことなどが示されております。
また、最近では、議員のお話にもありましたように、他の自治体でも、不妊治療に関する特別休暇を新たに導入する動きも出てきておるところであります。
こうした点も踏まえまして、国や他の自治体の動向もさらに注視しながら、職員が不妊治療を受けやすい環境づくりに向けて、検討を進めていく必要があると考えております。
●塚地議員 政府は、2022年度の診療報酬の改定で、保険適用ができるように関係機関と調整を図るとのことですが、治療や薬の安全性や有効性などの検討が必要です。県としても関係機関との情報共有を図りながら、不妊治療への支援につながるようご努力いただきたいと思います。
【大規模風力発電】
●塚地議員 次に、大規模風力発電の本県への集中立地について伺います。
昨年6月議会で、県内で多発する大規模風力発電集中立地計画について質問いたしました。20年度末までにFIT法が抜本改定されることから、県内で、駆け込み申請のラッシュが起こっています。
現在計画中のものは、電源開発による西予梼原風力発電、最大発電量16.3万kw、風力発電施設38基、国見山周辺風力発電5.1万kw、22基、県外資本によるものは、土佐清水市、三原村の境界線の今ノ山には2つの計画、19.8万kw、36基(ジャパンウィンドエンジニアリング)と、3.8万kw、9基(日立サステナブルエナジー)、四万十町・四万十市の大藤風力発電 14.7万kw、49基(オリックス)、馬路村にかかる那賀・海部・安芸風力発電 9.5万㎾、30基(那賀、海部、安芸風力発電合同会社代表社員一般社団法人エナジーエクスプローラー)が手続き中で、国内最大規模の計画が目白押しです。
例えば、四万十町での計画では、直径80m、高さ120mの巨大風車の49基建設には、一基たり50m四方の土地の整地、そして風車を山頂に運搬するために大規模な道路建設が必要であり、それにともなう、土砂の流出、河川の汚濁が懸念をされます。巨大風車が発する低周波音・超低周波音による健康被害への懸念もあります。また、ヤイロチョウの渡りルートでもあり、県の鳥、絶滅危惧種でもあるヤイロチョウへの影響も懸念されています。
一度立ってしまえば、元にもどせないような大規模開発です。経営がうまくいかなかった場合やFIT終了後に、老朽化した施設が放置されるのではないか、という懸念もあります。
しかも、発電した電気の地域活用や売電益が地域に還元される地域主体の計画ではなく、大資本・県外資本が、高知県の自然資源を利用して、発電するだけの計画です。
◆一度立ってしまえば、元にもどせないような大規模風力発電開発計画について、県はどういう姿勢で臨むのか、住民合意を徹底して尊重すべきと思いますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、県内で計画されております大型の風力発電施設に対する県の姿勢についてお尋ねがございました。
再生可能エネルギー発電事業の普及につきましては、県としても推進をすべきものだというふうに考えております。ただし、事業の実施にあたりましては、地域と調和したものとなることが重要であると考えております。
一定規模以上の開発を伴います風力発電施設につきましては、「環境影響評価法」に基づきます、いわゆる環境アセスメント制度の対象になってまいります。
この制度に基づきまして事業者は事業計画を公表したり、説明会を開催するといったことにより広く意見を聴くことが義務づけられております。
また、県からは、市町村や専門家の意見を踏まえまして、アセスメントの手続きの各段階に応じまして、事業者あるいは審査を行う国に、事業計画に対する意見を述べることとなっております。
現在、手続が進んでおります風力発電施設につきましても、地域住民の皆さまへの説明を具体的かつ丁寧に行いまして、計画に対する理解を得るように、事業者に求めてきております。
併せまして、ヤイロチョウなど野生動植物への影響、低周波音など生活環境への影響について適切な調査、予測、評価を行った上で、影響を回避又は極力低減するように求めているところでございます。
また、「再生可能エネルギー特措法」に基づきます事業計画の策定については、国がガイドラインを定めております。この中で、地域住民と適切なコミュニケーションを図り、十分に配慮して事業を実施するよう努めることとされております。県からも、事業者に対しまして、こうしたガイドラインの内容を説明し、適切な対応を求めてまいったところであります。
今後も、地域の皆さまのご意見が尊重されるように、様々な機会をとらえて、事業者、あるいは国に対して働きかけを行ってまいります。
●塚地議員 昨年6月の質問では、改正FIT法に基づいて示された地域住民との適切なコミュニケーションに関して、林業振興・環境部長は「地域住民に十分配慮し、事業を実施するよう努めることを求めている」「努力義務となっており、認定基準とはなっていないことから、その実効性について、もう一段強化の必要がある」との認識をしめしました。
◆県として、大規模風力発電設置について、住民合意を要件とするよう、一段と取り組みを強化すべきと思いますが、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。
○林業振興・環境部長 まず、大規模風力発電について、住民合意を要件とするよう、一段と取り組みを強化すべきではないかとの、お尋ねがございました。
知事の答弁でもございましたように、再生可能エネルギー発電事業の推進にあたりましては、地域と調和した事業となることが重要であると考えております。
県では、様々な機会を捉えて、地域住民の皆さまが懸念される景観や生活環境への影響などについて、説明責任を果たすよう、事業者に要請してきているところでございます。
しかしながら、コミュニケーション不足により、事業者と地域住民等との関係が悪化し、反対連動に発展するような問題が全国的に発生してございます。
こうした問題を解決していくためには事業者に地域住民等と適切なコミュニケーシュンを図ってもらうよう、その実効性について、もう一段強化の必要があると考えております。 関連する法令との整理も考えますと、法律で全国的に規制を強化することが望ましいと考えており、引き続き、全国知事会として、国に対し政策提言を行っているところでございます。
【鏡吉原石灰石鉱山開発】
●塚地議員 最後に、鏡吉原石灰石鉱山開発についてお聞きします。
本年8月19日の高知市鏡の区長会で初めて四国鉱発株式会社による開発事業の説明がなされ、鏡吉原の石灰石を採掘、集積・搬出する計画が明らかになりました。事業者である四国鉱発の石灰石採掘事業の概要説明によれば、可採鉱量2億トン(うち1次開発3600万トン)、出荷規模・年40~60万トン、採掘期間300年以上と説明されています。当初は、2020年度中に四国経済産業局の認可を得たいとしていましたが、この問題が掲載された11月5日付けの高知新聞には来年夏の認可を目指すとされています。長期間にわたり広範な住民に影響を与える計画であるにもかかわらず、あまりにも認可を急ぎすぎていると考えるものです。
開発地域となる鏡吉原の地域は、自然豊かで多くの人々を魅了してきました。また、開発区域の南西にある敷ノ山周辺は、自然林が多く残されており、四季折々心が洗われる景観で、その周辺には40種を超える希少動植物が生息しています。高知市北部の雪光山の南に位置し、県道高知伊予三島線から見られる山々のそばには、県民に人気の高いキャンプ場も作られています。すぐそばを流れる鏡川の源流となる吉原川は、渓流釣りの皆さんに愛される美しい川で、その澄んだ水は高知市民の水瓶である鏡川に流れ込み、水道水のない鏡今井地域の皆さんの飲み水として利用されています。
これらの自然環境にあこがれ、鏡の地域を居住地に選び、子育てをしている移住者も少なくありません。
しかし、この開発計画はまだ多く知られておらず、情報が届いた山歩きや野鳥を見る人たちも環境がどう変化するのか心配の声を上げています。高知市鏡川清流保全条例に基づいて設置されている鏡川清流保全審議会でも委員から「運搬はどうなるのか」「情報を早く出してほしい」などの意見も出ています。
◆環境を大きく変える吉原の石灰石鉱山開発について、工業振興という立場で県としても助言などを行っていると思いますが、地域住民を含め様々な立場の方々からの不安の声が上がっているのも事実です。事業者に対し、どのような助言を行っているのか、県としての姿勢を商工労働部長に伺います。
○商工労働部長 まず、石灰石鉱山の開発事業者に対する助言について、お尋ねがございました。
石灰石資源は、本県の貴重な資源であり、この資源を活かした石灰石産業は、関連産業も含め多くの雇用を支え、本県経済を支える地場産業であります。石灰石産業の持続的発展 は、本県にとって大変重要な課題でありますことから、商工労働部として、しっかり対応していく旨をお伝えしているところです。あわせまして、住民の皆様からのご意見、ご要望に関して丁寧 に対応していただきたいともお伝えしているところです。
実務面での助言で言いますと、関係法令等への担当課の照会や、工業法に関する事務手続きについての問い合わせに関しまして、助言を行っているところであります。
●塚地議員 以下懸念されるいくつかの問題についてうかがいます。
まず、希少動植物が見られる場所が採掘されていくことによる影響です。山そのものが削り取られ、採石による騒音も懸念をされます。環境は大きく破壊され、いったん壊された自然は、元には戻りません。
◆この地域にどのような希少動植物が生息しているのか、今後の対応策をどのように考えているのか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。
○林業振興・環境部長 次に、鏡吉原石灰石鉱山開発について、希少動植物の状況や、今後の対応策についてのお尋ねがございました。
県では、県内で生息・生育している野生動植物のうち、絶滅の恐れのある種をレッドリストとして公表し、これら、野生動植物の保護のための普及啓発に努めてございます。
当該開発区域には スミレ科やラン科など、県又は国が選定している約4 0種類の希少野生植物が生育している可能性がございます。また、専門家の方から、国指定の国内希少野生動植物種である鳥類2種について、周辺での生息情報が寄せられております。
今回の開発につきましては、環境アセスメントの対象とはなっておりませんが、今後、事業者が独自に野生動植物の調査を実施する予定と聞いております。
県といたしましては、希少野生動植物への影響をまずは回避すること、やむを得ず影響を与える場合も、植物の移植を行うなど保護を図るよう、事業者に求めてまいりたいと考えております。
また、国指定の希少種が確認された場合には、環境省に相談するよう指導してまいりたいと考えております。
●塚地議員 2つ目は、採石の運搬方法です。
高知県土地基本条例に基づいて事業者から地域住民への説明が始まり、これまで鏡の吉原、今井、柿ノ又、大利の四カ所で説明会が実施をされました。その説明の中で石灰石の運搬については、「県道6号線の拡幅を前提としながら」とした上で、「22トンダンプトラック2台1組を4班に分けて1日あたり1300トン~1440トン(14~15回)の採石運搬を行う計画(年間40万トン・・・採掘開始5年後くらい)」と説明をされています。この説明ではトラックの通行量が少ない印象を与えます。
具体的にどうなるのかを事業者に確認すると、1台のトラックが1日に15回採石を運搬し、往復で30回、これが8台運行するので通算240回県道を行き来することになります。労働時間を8時間として計算すれば2分に一台のトラックが家の前を通行する計算になります。
3つ目は、説明責任の問題です。運搬方法でも、実感できる説明が、市民に伝えられなくてはなりません。また、採石を分別、洗浄、仕分けするプラントが必要ですが、どこに作られるかは未だ明らかにされていません。設置場所によっては、ダンプの台数はさらに増えると今井地区の説明で事業者は述べていますし、騒音や粉じんによる被害がどこに及ぶのかも未定な状況です。そうした段階で見切り発射する形の地元説明会では住民の皆さんからも「判断する材料が十分ではなく、やり方が間違っている」と声が上がっていますが、その通りではありませんか。
◆300年もの長期にわたって開発しようとする計画を判断するために説明会は開かれるものです。その材料を事業者はしっかりと整えてから取り組むべきだと考えますが、商工労働部長の所見を伺います。
○商工労働部長 次に、石灰石鉱山の開発における事業者の説明について、お尋ねがございました。
事業者からは「住民の皆様のご理解やご協力を得ていくためにはできるだけ事前かつ丁寧に説明することが必要であると常々思っていた。土地基本条例に住民説明会の開催が義務づけられていることもあり、開発計画書を提出したタイミングにあわせ、現時点で事業者として可能な限りの準備をしたうえで、住民説明会を始めた。 」と伺っております。
説明会の開催については、一定理解できるところであります。
今後、土地基本条例に基づいた手続きによりまして、開発に際して留意すべき点も整理されてまいります。事業者からは、地元からいただいたご質問やご意見に対して、再度、丁寧に説明を行うと伺っておりますので、より検討を深めた、説明を行っていただきたいと考えております。
●塚地議員 また、22トンのダンプカーが、一日に240回も通行するのは県道6号線だけではありません。事業者の説明では、鏡から高知商業高校前を通り鏡川橋に出て、高知市の市街地を縦断し高知港、高知新港に運搬されると聞いていますから、地元だけでなく、影響を受ける地域の範囲は高知市の西部から中心部を通って潮江方面にまで及びます。広範囲の住民に説明責任をおうべき計画です。
◆開発事業計画の説明は、「狭い範囲の地元」のとらえ方ではなく、関係する高知市の沿線にも広く説明会を行うべきだと思いますが、商工労働部長に伺います。
○商工労働部長 最後に、説明会の範囲について、お尋ねがございました。
今回の住民説明会は、事業に対する住民の皆様のご理解やご協力を得るために、まずは高知市鏡の2 0地区での実施を予定していると伺っております。
これらの地区以外についても、生活環境に大きな影響が及ぶといったような地区があれば、説明を行っていただきたいと考えておりますし、事業者からも、地域住民からのご意見 やご要望も踏まえながらその範囲を検討すると伺っております。
●塚地議員 事業者の説明の中で、私たちが問題視しているのは、県道6号・高知伊予三島線の拡幅問題です。現在四国鉱発株式会社が採掘をしている白木谷や土佐山の開発業者は、採石の運搬については独自の道路やベルトコンベアーでの運搬経路を持っており、生活道への影響は抑えられています。ところが今回の事業計画では、県の財政による県道の拡幅に頼って事業を開始しようとしています。県道6号線は農作物の運搬や通学路など、生活道として利用されており、一定の改良を求める声がありますが、一民間事業者のために、莫大な県費を投入する2車線への改良が妥当かとの声も上がっています。
◆現在の県道6号線の道路改良計画とその予算について、また、開発事業者のいう道路拡幅の見通しを、県はどう考えていますか。拡幅するとすれば、費用はどれだけかかるのか、土木部長にお聞きをいたします。
○土木部長 まず、現在の県道6号高知伊予三島線の道路改良計画とその予算について、お尋ねがございました。
県道高知伊予三島線は、高知市の国道3 3号を起点とし、鏡地区を経由し愛媛県四国中央市につながる路線で、鏡地区の沿線住民にとっては、高知市中心部へつながる唯一の生活道路です。
しかしながら、現道は幅員が狭いうえに線形も悪く、落石も多いことから、地元住民や高知市、いの町、土佐町などで構成する樫ヶ峰トンネル建設促進協議会からも安全で安心な 道路整備の要望をいただいております。
当路線は従前から局部改良の工事を行っており、平成1 5年からは、国の交付金事業を活用して、高知市鏡草峰から鏡吉原の区間を、総事業費約5億円で地域の実情に合わせた1.5車線的道路整備により工事を行っております。
次に、開発事業者のいう道路拡幅の見通しについての考えと拡幅するとすれば、費用はどれだけかかるのかとのお尋ねがございました。
県道高知伊予三島線に関して、開発事業者の属する業界団体より、2車線改良などの要望をいただいています。
また、従前から、地域住民の方々や樫ケ峰トンネル建設促進協議会から、トンネル整備や2車線改良、さらには、早期に効果が発現する1.5車線的道路整備の要望もいただいているところです。
このように、当該路線につきましては、様々なご要望をいただいており、道路事業をどのように進めて行くのかについて検討して行くこととなります。
また、全線2車線で改良するとした場合、狭隘で急峻な地形での標準的な断面の施工単価に延長を掛け合わせて試算すると、概算でございますが、1 3 0億円程度になるのではないかと思われます。
●塚地議員 道路改良に関する計画実施の要望は、県内の至る所で予算が着くのを待ちわびているのが現状です。
今回の拡張を前提にした事業者の考え方で、県道6号線の道路改良計画が変更になることがあれば、行政の公平性がとわれることになりますし、他の市町村にも説明のつくものでなければなりません。
◆産業振興は大事ですが、地元や周辺住民、他の市町村の納得や合意の得られない鉱山開発事業の開始は行うべきではないと思いますが、知事のご所見をお伺いいたしまして、私の第一問といたします。
○県知事 最後に、石灰石鉱山の開発に関する県の認識につきまして、お尋ねがございました。
お話しがございました鉱山開発につきましては、事業の着手に向けまして、 本年1 0月、県における土地開発に関しての最初の手続きであります土地基本条例に基づいた計画書が提出されたところであります。
現在、開発に関して、行政のサイドで、留意をすべき点などにつきまして、県庁内の関係課、あるいは高知市に対しまして、意見照会を行っている、そういう段階にございます。
また、開発計画書の提出にあわせまして、住民の皆様に事業についてご理解をいただくために、まずは地元の地区での説明会を始めたところであるというふうに事業者から伺っております。 このように、この事業、プロジェクトは、住民の皆様の納得、あるいは合意を得るべく動き始めた、そういう段階であるというふうに認識をいたしております。
今後、開発に際して留意すべき点、あるいは住民の皆様からのご意見に関しましては、事業者において丁寧に対応していただきたいというふうに考えているところであります。
私からは以上でございます。
●塚地議員 それぞれ、ご答弁いただきまして、ありがとうございました。2問をさせていただきます。
まず、ひとつが、年末の相談窓口の問題でございます。福祉事務所なども対応するというお話で、それ以外の福祉部門に関わるセンターなどは通常通り緊急でも対応しているということでしたけれども、やはり、この周知が今あまりされていないということも実態なんですけれど、そのバラバラの対応ではない、やはり県として、総合的な窓口、困ったな、心配になったなと思う時に、この総合的な相談窓口、ここにとりあえずかけたら、そこにかけたらいいんだよ、というふうに振り分けていただけるそういう窓口をやはり私は、この年末つくるべきだと。
例えば、福祉事務所が開いていると思っている県民はほとんどいないわけですよね。そういう意味では、この一旦県が引き取る窓口、そこからその方の内容に基づいて、振り分けていくというところが、いつもの年末ではない長期の休業なわけです。
◆まさに災害といわれる状況の中ですから、そういう窓口を設置するように、ぜひ私は検討いただきたいと思いますけれど、それは総合的なお話になりますので、お構いなければ知事の方に、その必要性、検討していただけないか、実現をしていただけないかということを、ひとつは再質問をいたします。
◆もうひとつは、不妊治療の問題ですが、不妊治療の職員の休暇は、検討をいつまでやって、どういうくらいの時にその具体化が図られるような見通しがあるのか、それがあればお答えいただきたい。
それと、石灰石の問題ですね。鉱山の開発の問題です。今、縷々お話がされましたが、私はこの事業の最大のネックは、採掘場所からの運搬方法なんだというふうに思うんです。知事の方が、まだ動き始めたばかりの計画ですので、というふうにおっしゃられましたが、業者の方は来年の夏に、認可を得たいということをすでに公表していて、おしりを決めて動きつつあるという状況なんですね。
ちっとも安穏としていられる状況ではありませんし、この説明の中にあった県道を通行するダンプの交通量の問題、重大な問題が私はあると、思っております。この県道を通過する、事業者が出したダンプの交通の量の計画ですね、このことについてはどういうふうに、受け止めるのか、これは、商工労働部長に伺いたいと思うんです。先ほど、大きな影響があれば、その地域で説明も必要だというふうなご答弁をされましたが、このダンプの通行量なら、大変な影響が沿線地域に及ぶんですね。
◆出された計画のダンプの量、そしてそれに与える影響がある地域について、商工労働部長はどういうふうにお考えになっておられるのか、その点合わせてお伺いをしたいと思います。
そして、道路の予算のお話です。この2車線化をすれば、130億円が必要になる。粗々の試算として、土木から出していただきましたが。
◆130億円もの巨額投資が、2車線改良で必要になった場合、他の市町村の要望と、ここが集中投資をすればどういう影響が出てくるというふうに、お考えか、その点をお聞きをいたしまして2問といたします。
○県知事 塚地議員の再質問にお答えをいたします。年末の相談窓口、総合的な相談窓口をというお話でございました。お話にありました福祉事務所等への対応に関しまして、現状は県庁の代表電話にお電話をいただければ、年末年始でもしかるべきものが、これを受け付けまして、担当課の方にお話をつないでいくという形で連絡体制はとれていると、いうことをただいま答弁いたしました。
そうしたことではございますけれども、より、これをただいまお話がございました総合的なといいますか、ご相談をされる方々のご意向に沿った形で相談に対応できるような体制にするという点について、どういう工夫ができるかというのは、考えてみたいと思っております。
○総務部長 不妊治療休暇制度、導入しているのは11府県ほどございますけれども、中身を見てみますと短期の休暇から始まり、長期、先ほどお話がありました長野でいいますと、252日、しかし、無給ということもあります。そういった形で各県の対応もバラバラのところもありますし、そうした部分ももう少し研究した上で、さらに国の方でも動きがあるかもしれませんので、ただまあ、あまり時間をかけずに、その不妊治療の休暇制度も含め、様々な不妊治療を受けやすい環境づくりについては、検討を進めていきたいと考えております。
○商工労働部長 まず、あの事業者の計画も私も見させていただきました。事業者の方で現段階で、こうなりたいというふうな話での計画で、ご説明されているというのも私も聞いています。実際に、トラックがやっぱり増えてくれば、当然、ゴンゴン増えてくれば、その影響というのは当然出てくるんだろうな、というのがひとつあるのと、あとやっぱり、そうなってくると、道路安全の関係も出てくるので、実際の対応になってくると、我々も当然入っていくんですけれど、土木部と連携をしながらですね、アドバイスなんかも今後していきたいと考えます。
○土木部長 全線2車線の概算で約130億円、これは、ここに集中投資したら非常に大きな影響が他にあるんではないかというお話でございますけれども、もちろん、短期間に、集中すれば、おそらく大きな、県予算的に考えてですね、現在土木が出していただいている予算に対して、非常に大きなインパクトがあろうかと思いますが、それは期間も含めて、また、どういうふうな整備をしていくかということも、これは130億、概算の全体額でございますので、そこは期間、また内容について今後考えていくことになりますので、現状どのようなものが、ほかに影響があるかというのは直接的には、お答えできない状況かというふうに考えております。
●塚地議員 ありがとうございました。
商工労働部長は、鉱山の開発について、事業者はこうなりたいということで、増えてくれば対応するとおっしゃいましたが、計画の時点で止めなくて、どうするんですか、これ。
計画の段階で、どんな影響の説明がなくて、どうして住民合意が得られるんですか、そこはやっぱり業者の方に、住民の方に丁寧な対応をすると、そうした中身をつまびらかに、影響のあるところにはいうという形でしっかり県の方が助言をしないといけないと私は思います。その、しっかりした県民の声を聞いて対応するという商工労働部の対応を強く求めて、私の一切の質問を終わります。