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- 2020年07月14日
- 議会(質問・討論)
- 2020年6月議会吉良富彦県議による「河井両国会議員の議員辞職と真相究明、安倍首相・自民党総裁の政治責任を求める意見書(案)」賛成討論(2020.7.9)
●吉良議員 日本共産党の吉良富彦です。私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、議発第4号、「河井両国会議員の議員辞職と真相究明、安倍首相・自民党総裁の政治責任を求める意見書議案」の賛成討論を行います。
7月8日、東京地検特捜部は、去年の参議院選挙で、河井克行前法務大臣と妻の河井案里参議院議員が、地元議員らに票の取りまとめを依頼し、現金を配ったとして公職選挙法違反の買収の罪で起訴しました。
河井前大臣は去年7月の参議院選挙をめぐり、妻の案里議員が立候補を表明した3月下旬から8月上旬にかけて、広島の県議会議員や首長、地方議員、後援会関係者など合わせて100人に2900万円余りの現金を手渡し、票の取りまとめを依頼したというものです。また、案里議員も河井前大臣と共謀し、地元議員5人に170万円を配った罪に問われています。買収事件は、既に、現金の受け取りを認めた広島県内3名の現職首長はじめ議員の辞職へと波及しています。
公職選挙法は221条で「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益」を「供与」する行為について「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と、厳しく禁じています。選挙にあたっての買収は、文字通り“票をカネで買う”もので、民主主義を破壊する言語道断な犯罪であり、厳しく罰せられるべきです。
今回の事件での特徴は、安倍首相や自民党本部の関与を証明する“告白”ラッシュが止まらないことから、「安倍総裁」の意向を受けた大がかりな買収選挙だったのではないかという疑惑が強まっています。
辞職した府中町議は、克行被告人から「安倍さんから」と言われ現金の入った白い封筒を渡されたと証言しています。北広島町議会議長は、克行被告人が同氏の自宅を訪問、安倍首相と案里被告人、菅義偉官房長官と案里被告人が一緒に写真に写っている新聞記事のコピーを複数示し、「党本部が応援している」と語り、現金20万円が入った白い封筒が渡されたと証言しています。
それらの資金は、自民党本部から河井夫妻の自民党支部に振り込まれた1億5千万円である可能性が指摘されています。
安倍首相は河井克行被告人と、2019年1月以降、法相辞任の10月までに官邸で12回も面会し、9回は異例の単独での面会という特別扱いでした。その中でも、1500万円の資金提供を受けた4月15日の後の4月17日に面会、3000万円が提供された5月20日の三日後23日の面会、さらに7500万円提供された6月10日の後は、6月20日の面会、これらはいずれも資金提供との関連が伺われるものとされています。
当該選挙は、党本部から1候補あたり1500万円の資金が提供されたと言われていますが、その10倍もの破格の1億5千万円が出されたのは、自民党総裁である安倍首相の指示なくしてはありえないといわれています。下村博文自民党選挙対策委員長も「想像を超えている」「ありえない話」と述べ、「党本部ということであれば幹事長、あるいは総裁の判断ということ」と発言しています。
公選法は、買収をさせる目的で金銭などを交付した場合は、「買収目的交付罪」にあたり、交付した側も罰せられると定めています。1億5千万円の使途について、当初、二階自民党幹事長は「支部の立ち上げに伴う党勢拡大のための広報紙を複数回、全県配布した費用に充てられた」と述べ、安倍首相も「政党助成金の使い道は、自民党は相当厳しくやっている」「事後的にもちゃんとチェックしている」と述べ、二階幹事長の説明を繰り返していました。
ところが今年5月までに広島県選挙管理委員会に提出した政党交付金使途等報告書と政治資金収支報告書に使途を記載していなかったことが判明すると、二階幹事長は「党として支出した先がどうなったか細かく追及しておらず、承知していない」と言い出しました。6月29日には、中国新聞の質問に対する幹事長室の回答文書で、広報紙に使ったとの報告が実は参院選の前だったこと、夫妻の党支部からは政党交付金の使途等報告書が詳細を「不明」としたまま党本部へ提出されていたことも分かりました。当初から使途が「不明」であることはわかっていながら、国民を欺こうとしたのなら、到底許されるものではありません。
案里氏の参院選出馬は、安倍首相や菅義偉官房長官らの強いあと押しを受けたものです。現地で選挙の主体となる自民党広島県連は、現職の出馬を決めており、案里被告人の出馬に強く反対していたものを安倍首相らが押し切ったと報道されています。選挙戦では、破格の資金提供だけでなく、安倍首相や菅官房長官も応援にはいっています。「私の秘書が、私の指示で広島に入った」と安倍首相が国会で認めたように、首相の地元・山口県から四名もの秘書らも応援に入っています。
買収に使われた資金の約7割が自民党系の地方政治家に配られたのは、もう一人の自民党候補だったベテラン政治家の票を崩すためだったともいわれています。落選したベテラン政治家は安倍首相に批判的な人物でした。首相の“政敵つぶし”のために、カネも人も安倍首相主導の選挙だったのではとの疑惑とともに、安倍首相自身に「買収目的交付罪」の疑いがかかるとも指摘されています。
逮捕される前日に夫妻は自民党を離党しましたが、克行被告人に首相補佐官を務めさせ、その後、法務大臣に抜擢したのも、安倍首相です。わずか2か月足らずで辞任しましたが、地元紙も「安倍首相に任命責任があるのは当然だ」としています。また、説明責任をはたさない夫婦を放置し、国会議員に居座り続けさせ政治不信を増大させてきた責任も重大です。
自民党本部から振り込まれた資金のうち1億2千万円は税金で賄う政党助成金です。それが買収資金に使われていたとすれば、税金を使って民主主義の破壊が行われたことになります。自民党本部から河井夫妻に送金された1億5千万円もの巨額資金提供の経緯をはじめ、安倍晋三首相ら政権中枢の関与を解明することは、民主主義を守るため、そして政治への信頼をとりもどすために必要不可欠です。
安倍首相は「閉会中でも求められれば政府として説明責任を果たす」と述べていましたが、河井夫妻問題の国会閉会中審査の開催および出席も拒否している態度は許しがたいものです。地元紙も社説で「その責任を今度こそきっちり果たすべきだ」と厳しく指弾しています。
捜査による全容解明を待つのではなく、国会、政党、政治家自らが疑惑究明の先頭に立つべきです。
以上、河井両議員においては即刻議員を辞職すること、そして、大臣任命権者であり自民党総裁である安倍首相においては、1億5千万円の資金提供を含めた真相を究明し、国民に対する説明と政治責任を果たすことを求める本議案への賛同をお願い申し上げまして、賛成討論と致します。