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- 2020年07月03日
- 議会(質問・討論)
- 2020年6月議会 中根佐知県議による代表質問(2020.06.30)
【テーマ】
・政治姿勢・米軍機低空飛行訓練
・政治姿勢・給付金業務委託
・新型コロナウイルス感染症対策
・飼養衛生管理基準
●中根議員 私は、日本共産党を代表し質問をさせていただきます。
【政治姿勢・米軍機低空飛行訓練】
●中根議員 最初に、今年になって急増している米軍機等の低空、夜間飛行についてお伺いいたします。
本県議会は、昨年12月県議会でも全会一致で「米軍機の超低空飛行訓練の中止を求める意見書」を可決し、政府に送付しました。ところが、今年に入って、米軍機とみられる戦闘機やプロペラ機などが昼夜を問わず、高知市上空を始め四万十市、いの町などオレンジルート以外でも多数目撃されています。
市町村からの情報を集約している危機管理防災課の資料によると米軍機の可能性の高い低空飛行訓練は昨年が116回、今年は6月26日段階ですでに155回と大幅に増えている状況となっています。
これまでも、保護者会などで政府への中止、要請を求めて活動してきている本山町立本山保育所でも、今年、何度も飛来し、時にはあざ笑うかのように保育所上空を2機が低空で旋回するといったことが繰り返され、不安と怒りが渦巻いています。
5月12,13日と知事名で、防衛大臣、外務大臣に、異常な訓練の中止や事前の情報提供、国による低空飛行訓練の実態把握を求める要請書を提出されていますが、その後もまったく問題にしていないと思われる50回を超える目撃情報が寄せられています。
◆そこで、知事に伺いますが、提出をされた要請書に対し政府からどのような回答が来ているのか、具体的にお示しください。
○県知事 中根議員の御質問にお答えをいたします。
まず、米軍機の低空飛行に関しまして、県の要請に対する政府の回答について、お尋ねがございました。 1 昨年1 0月末以降、米軍機とみられる低空飛行の目撃回数の増加が続いていますことから、昨年1 2月に外務・防衛両大臣宛の要請書を、握出をいたしました。
しかしながら、要請書の提出後も目撃回数は減少せず、むしろ増加傾向にありましたため、先月にも再度の要請を行ったところです。
当時は、新型コロナウイルス感染症に関します緊急事態宣言下でございましたために、東京事務所長が外務・防衛両省に要請書を持参いたしました。その際に、防衛省の担当者からは「所管の課へ伝える」旨の回答があり、また、外務省の担当者からは「米軍に伝える」旨の回答がございました。
今後、私自身も上京の機会に合わせて、異常な訓練を行わないよう米国に強く要請することや、あるいは訓練ルートや時期を事前に情報提供することなどについて、改めて要請していきたいと考えております。
●中根議員 これまでは、オレンジルートを中心に目撃や爆音の被害情報が寄せられていましたが、先に述べた様に、今年になって高知市、県西部での目撃情報も増加し、特に夜間の爆音に「いったい何が、何の目的で飛んでいるのかもわからず不気味だ」という不安の声が寄せられています。
◆県として県民に説明のできる情報確認を行うべきだと考えますが、どのような対応をされているのか、危機管理部長に伺います。
○危機管理部長 まず、米軍機の低空飛行について、県民に説明できる情報確認を行うべきと考えるが、どのような対応をしているのか、とのお尋ねがございました。
県では、住民からの情報などをもとに市町村から報告された米軍機の目撃情報を、その都度速やかに集約し、中四国防衛局に伝えております。
これに対して、中四国防衛局からは、県からの情報を全国の自衛隊に照会のうえ、自衛隊機の該当がない場合に「米軍機であった可能性がある」という回答が得られるにとどまっており、米軍はこれまでも、個別の米軍機の飛行の有無などについては、運用上の理由等から明らかにしておりません。
県といたしましては、今後も国に対して、低空飛行訓練の状況を把握する方策を講じることなどを、引き続き要請してまいりたいと考えております。
●中根議員 今年2月21日午前、本山町の土佐れいほく博推進協議会の玄関付近で同協議会職員が飛来した2機の米軍機を撮影し、その動画を、低空飛行解析センターが現地測量などを実施し飛行高度を推計、その結果を3月25日に発表しています。報告によれば、「1機目を追う2機目は撮影したカメラから約240メートル上空を通過したと見られると計測。飛行ルート下には、嶺北中央病院や本山小学校などがあり、日本の航空法「最低安全高度」300メートル以下の飛行で、明らかに日米合意に違反している。」と指摘をしています。
こうした実態を日本政府や米軍に示し、具体的な改善対策を求める必要があります。今は文章による報告が主流ですが、県として動画の収集を行えるよう、メールやラインなどの開設と充実を提案するものです。
◆現在の県民からの情報収集の方法と今後の充実策について危機管理部長に伺います。
○危機管理部長 次に、現在の県民からの情報収集の方法と今後の充実策について、お尋ねがございました。
市町村から県に報告をいただく米軍機の目撃情報については、飛行場所のほか、機体の形状や飛行高度、飛行音の大小など、可能な限り詳細な情報を提供いただくようお願いしているところです。
また、いわゆる「オレンジルート」上にあります嶺北地域の4町村と香美市については、騒音測定器を設置しており、その測定値も併せて報告していただいております。
こうした報告の中には、市町村の職員や住民が撮影した写真や動画データが添付されている場合もあり、これらについても、県から中四国防衛局に報告をしているところです。
低空飛行の実態把握にあたっては、動画の収集も有効な選択肢であると考えられますが、提供された動画の真贋の見極めや、撮影された方が大容量のデータを送るための手段の確保が課題であると考えております。
一方、防衛省からは、本県に対して「現地における状況を詳細に把握すべく、どのような方策を採るべきか、現在、鋭意検討している」との御説明をいただいているところです。
県といたしまして、国の責任のもとで実態調査を行っていただくことも含めて、国や関係市町村の意見もお聞きしながら、引き続き情報収集の手法を検討してまいりたいと考えております。
●中根議員 墜落や消防防災ヘリなどとの衝突事故が起こってからでは、取り返しがつきません。
◆一刻も早く危険な飛行訓練を中止させるため、全国知事会との連携はもとより、低空飛行訓練の被害に抗議の声を上げている自治体とのネットワークをつくり、抗議と中止要請行動を強化する必要があると思いますが知事にお伺いいたします。
○県知事 次に、低空飛行訓練が行われている自治体とのネットワークづくりについて、お尋ねがございました。
これまで、米軍機の訓練に関しましては、本県単独の要請に加えまして全国知事会においても、平成2 5年度以降、国に対して、訓練情報の事前提供を行うことなどを要望しているところであります。
全国知事会では、平成30年7月に、基地のない都道府県も含めた総意として、「米軍基地負担に関する提言」を取りまとめております。この提言の中で、米軍機の低空飛行訓練等に関しましては、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行うこと、地域住民の不安を払拭したうえで実施されるように、十分な配慮を行うこと、といった内容を盛り込んだものとなっております。
米軍機の低空飛行訓練は全国各地で行われております。自治体のネットワークとしては全国知事会の枠組みを通じまして、要望していくということが効果的であるというふうに考えているところであります。
【政治姿勢・給付金業務委託】
●中根議員 次に、持続化給付金に関して知事にお聞きします。
新型コロナ危機を克服し乗り切る取り組みは、いま正念場を迎えています。第2の波に備えて、医療や検査体制の抜本的強化、くらし、営業への支援、教育の充実などの促進が必要です。同時に、国民の声や苦境に応える施策を、迅速に国民に届けることが重要であることは言うまでもありません。しかし国の対応は、給付金にしても補助金にしてもあまりにもおそすぎます。また、コロナ対策が一部大企業の食い物にされ、政・官・財の癒着が現れています。この2つの深刻な問題を徹底的に明らかにし、改めることが急がれています。
その一つの象徴として、新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減った中小企業、個人事業主らに国が支給をする持続化給付金の事務事業の在り方が大問題になっています。
持続化給付金をめぐる疑惑は、・経済産業省が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で委託、・さらに委託費の97%749億円で電通に再委託、・さらには、電通は104億円「中抜き」して645億円余で子会社に外注、そしてさらに竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣会社パソナや大日本印刷、トランスコスモス、いま家賃支援給付金事業で電通が圧力をかけたとするTOW等への外注、等となっていて、本当に驚きを禁じ得ません。電通やその子会社、パソナ、トランスコスモスはいずれも協議会を設立し、構成する企業です。コロナ対策予算を身内で食い物にする、国民の税金を一部の大企業が分け合うようなことは許されません。
16年に設立以降協議会は、持続化給付金を含む14件1600億円を経産省から受託しており、その契約金額の9割にあたる事業が、現中小企業庁長官が幹部を務めていた部署からでした。また電通は、自民党の政治資金団体・国民政治協会に毎年献金し、12~18年の7年間で3600万円に上り、自民党山口県の支部も献金されています。
事業の再委託を受けた広告大手・電通と経産省、政府自民党との癒着の真相解明が求められているのではないでしょうか。
2006年に財務大臣が各省庁に出した通知「公共調達の適正化について」は「全部再委託」を原則として禁止しています。また協議会との今回の契約書でも、再委託を「してはならない」と明記されています。
◆知事は、これらの事務事業のあり方をどう受け止めているのか。また国に対してしっかり究明と改善を求めるべきではないかお伺いをいたします。
○県知事 次に、持続化給付金などの事務事業のあり方、また、国に究明と改善を求めるということについて、お尋ねがありました。
持続化給付金などの事業の再委託などの問題に関しましては、国会で審議が行われてきたところですが、手続きの透明性、あるは公平性がしっかりと確保されるということが重要だと考えております。
あわせて、必要とされる方々に速やかに給付が行われることも、大変重要であります。
いずれにいたしましても、この件については、国会の閉会後も閉会中の審査が行われております。こうした中で、国民に対する説明が行われ、必要な改善が図られるべきものだというふうに考えているところでございます。
●中根議員 ◆また高知県の委託業務における再委託に関する基本的な方針について、会計管理者にお伺いいたします。
○会計管理者 本県の委託業務における再委託に関する基本的な方針について、お尋ねがございました。
県では、委託契約書の標準書式を定めており、その中で、 各種調査やイベント開催など、一般的な業務の委託において、委託業務の全部又は一部を第三者に委託し、又は請け負わせてはならないと規定しています。ただし、あらかじめ書面により県の承諾を得た場合は、こ の限りでないとし、契約締結後に、相手方から再委託を行いたい旨の申し出があった場合は、再委託の業務範囲やその理由等を書面により提出させ、その妥当性や履行能力等の審査を行うこととしております。
このように、県では不適切な再委託により、業務の効率性や経済的合理性が損なわれないように、委託業務の適正な履行の確保を図っているところです。
●中根議員 全国各地に申請サポート会場が設けられています。しかし、電話してもつながらない、予約がずっとさきになってしまう、対応する人によってサポートが違う、国会での論戦による改善点や新たな決定などが反映されていないなど不安、批判が強まっています。
◆必要な人が申請、給付にまですすめるように、国に対する要望や意見提出など、どう対応していくのか知事にお伺いします。
○県知事 次に、持続化給付金の国に対する要望や意見提出などの対応について、お尋ねがございました。国の持続化給付金は、多くの事業者の事業継続を後押しをし、地域経済への負の波及を食い止めるために、有効な制度であるというふうに考えています。
このため、県では、迅速かつ確実に給付がされますように、関係省庁、あるいは県選出国会議員の先生方に、手続きの簡素化、あるいは電子申請が困難な事業者への支援を、今まで、緊急提言を繰り返しまいったところでございます。
現在、県内には6カ所に申請のサポート会場が開設されるといったことで、事業者への支援体制が順次整備されてきておると考えております。今後も、必要に応じまして、申請が困難な事業者への更なる支援、あるは手続きの簡素化などにつきまして、全国知事会と連携を図りながら、提言を行ってまいります。
【新型コロナウイルス感染症対策】
●中根議員 次に新型コロナウイルス感染症対策について、伺います。
緊急事態宣言は解除されましたが、経済・社会活動の再開は、感染抑止をしながら、段階的にすすめていかなければなりません。感染拡大を抑止するための医療と検査の体制を抜本的に強化して、安心して経済・社会活動の再開に取り組めるようにすることと、“自粛と一体の補償を”の立場で、大打撃を受けているくらしと営業を支えることを一体にすすめることが強く求められています。確かに日本の新型コロナによる死亡者数は欧米に比べ人口比で2桁の違いがありますが、これは日本だけでなく東アジアの沿岸地域全体の特徴です。その中で、日本はワーストなのです。「日本モデルが成功した」という根拠はありません。いまこそ、この間あらわになった社会構造、感染防止策の弱点を直視しなければなりません。
その第一の柱は、感染流行の「第2波」に備え、医療と検査体制を抜本的に強化することです。
県をまたいだ移動の制限も解除されましたが、ウイルスは消えたわけではありません。東京都は新規感染者の拡大がつづいていますし、一旦は抑え込んだ韓国、中国でも局所的な集団感染が発生しました。「第2波」へのしっかりした備えが必要です。
まず、安心して経済・社会活動を再開していくうえで、感染者を早期に発見し、症状に応じた医療と隔離を行う必要があります。そのためには検査のあり方を根本から見直し、大規模に行える体制を整えることが必要です。
日本の人口当たりのPCR検査数は、諸外国に比べてけた違いの少なさです。韓国は日本の8倍、米国は14倍、欧州諸国は20~30倍となっています。
18道県の知事が、感染拡大を防止しながら経済・社会活動を正常化する「緊急提言」を発表し、これまでの「受動的な検査」から「感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換」を提言しています。「ごく軽症も含むすべての有症者やすべての接触者への速やかな検査を行う」とともに、症状の有無にかかわらず医療・介護・福祉施設の従事者および入院者・入所者などに対して優先的に検査を行うことを求めています。そのためにPCR検査の検査能力を現在の2万件から10万~20万件に引き上げるとしています。
「第2波」に備え、再度の緊急事態宣言を回避するうえでも、この「緊急提言」は積極的で合理的提案だと考えます。提案は、積極的検査への戦略的転換を政府が宣言し、すすめるとしています。
知事は6月初旬の全国知事会議で、PCR検査の体制について「再び感染の波が来たときに備え、民間機関に検査を分担してもらう必要があると指摘し、「人口規模が小さい地方でも民間が参入できるよう、国が環境整備をしてほしいと求めた」と報じられています。◆具体的にどのような体制を作ろうとしているのか、お示しください。
○県知事 次に、いわゆるPCR検査への民間検査機関の参入について、お尋ねがございました。
現在、民間のPCR検査機関は、東京などの大都市圏に集中をしております。従いまして、地方から検査を依頼しようといたしましても、検体の搬送に時間がかかりまして、検査結果が判明するまでに数日間程度を要するという課題がございます。 そのため、本県のように、地理的に大都市から離れており、 人口規模の小さな県では、医療機関から依頼されるPCR検査のほとんどを地方衛生研究所が担っているというのが現状でございます。
ただ、次の感染の波が訪れた場合を考えますと、こうした場合には、同時に多くの多数の検査をしなければならないということが想定をされるわけでございます。こうした事態を想定いたしますと、地方でも、公的な地方衛生研究所だけではなく、民間検査機関も役割分担をしていただいて、あわせて対応していくという必要があると考えております。
具体的には、無症状の人も含めて感染の広がりを把握するための濃厚接触者のP CR検査については地方衛生研究所が担い、その他いわゆる新規にあたる有症状者の検査は民間検査機関にも担っていただくということが望ましい体制ではないかというふうに考えております。
このため、現在、複数の民間検査機関の高知営業所の方等と医療機関からの検体搬送の方法も含めて協議をしておりまして、このための体制を整えつつあるという段階でございます。
●中根議員 日本医師会の「有識者会議」は、PCR検査が進まなかった「最大の理由」は国から「財源が全く投下されていないこと」だと指摘し、PCR検査センターの設置・維持に必要な予算を4694億円と試算しています。18道県「緊急提言」の記者会見で広島県知事は2000億~3000億円が必要としています。ところが安倍政権の第2次補正予算案ではPCR検査体制の整備は366億円にすぎません。今後、どの程度の感染が、どれくらい続くかにもよりますが、ひと桁違います。数千億円の規模で予算の確保が必要です。
次に、医療崩壊を起こさないために、医療、介護・福祉施設への財政支援を抜本的に強化することが必要です・
「医療崩壊ギリギリ」という訴えが医療現場からも、政府の専門家会議からも相次いでいます。いまの時期に「第2波」に備えた医療体制を確立しなければなりません。その大きな障害になっているのが医療機関の経営危機です。
日本病院会など3団体の調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院は、4月は平均1億円の赤字です。大学病院の調査でも全国の80病院で年間5000億円もの赤字になります。直接コロナ患者に対応していない病院や診療所でも大規模な受診抑制によって経営危機が深刻化しています。東京保険医協会の調査では、4月、93%の診療所が収入減を訴え、そのうち30%を超える診療所が5割以上の減収です。
国の2次補正予算案で、コロナ対応の医療機関に1・2兆円規模の財政支援がもりこまれましたが、一方、非コロナ医療機関、地域医療には、実際にかかった感染対策費の補償だけで、経営危機に対する財政支援はまったくありません。地域の診療所が倒産・閉鎖が相次ぐようなことがあれば国民の命と健康は守れません。コロナ対応の医療機関と非コロナ医療機関は、役割分担を行って日本の医療を支えているのであり、その全体の経営を守り抜くための財政支援を行うことを強く求められています。
◆地域の医療機関の経営状況をどうとらえているか、抜本的な支援が必要ではないか、健康政策部長にお聞きします。
○健康政策部長 まず、地域の医療機関の経営状況や、支援の必要性についてお尋ねがございました。
本年4月の県内の国民健康保険及び後期高齢者医療制度における(医科歯科合計の)診療報酬の状況は、昨年の同時期と比較して、請求件数で1 4. 6%の減少、請求額でも4. 7%の減少となっており、新型コロナウイルス感染症が医療機関の経営にも影響を与えているものと認識しております。
また、今月25日には、高知県医師会をはじめとする県内の4つの医療関係団体連名で、医療機関等の実態に即した財政的支援や医療物資の安定供給に関する要望もいただいたと ころです。
そうした中、今議会の補正予算案に計上している国の二次補正予算には、支援金として医療機関等の院内感染防止対策に要する費用や、救急医療周産期医療等の診療体制を確保するための費用などへの新しい補助事業が盛り込まれました。
現在聞いている国からの説明によると、これは一概に感染対策に限らず、比較的幅広な使途に活用が可能とのことですので、一定医療機関等に対する財政的支援にも資するのではないかと考えているところです。
県としましては、この補助事業を最大限活用するとともに、引き続き、5月以降の診療報酬や医療機関の経営状況などを注視し、関係団体の皆様からご意見もお聞きしながら、必要に応じて、全国知事会を通じるなどして国への政策提言を行ってまいりたいと考えています。
●中根議員 医療機関は元々厳しい経営状況に置かれていました。日本病院会などの調査では、全国の病院の利益率は昨年四月時点で1.5%、全体の45.4%が赤字です。その原因は、診療報酬が大きく削減されてきたからです。2002年から20年まで、消費税補填分を除いた実質改定率はマイナス10.5%です。(2002年▲ 2.7%、 04年▲ 1.0%、 06年▲ 3.16%、 08年▲0.82% 10年0.19%、12年0.004% 14年▲1.26% 16年 ▲0.84% 18年▲1.19% 20年▲0.46%)。そこへコロナが直撃しているわけです。政府の対策は、融資でしかありません。
◆この間の医療費削減政策が、新型コロナ拡大のもとで医療崩壊として矛盾が噴出したわけです。医療費削減政策の見直し、転換が求められると思いますが、知事に認識をお聞きします。
○県知事 次に、医療費削減政策の見直しへの認識についてお尋ねがございました。
ご指摘がございました近年の診療報酬の改定につきましては、医療機能の分化あるいは地域包括ケアシステムの推進、医療従事者の負担軽減など、地域医療を維持あるいは充実させていくために必要な課題に的確に対応するために行われてきた、そういうものであると考えております。
従いまして、ただいまマイナスが連続しているというご指摘がございましたが、薬価の引き下げ分を除きました医療従事者の人件費あるいは技術料に当ります本体部分に関しましては、ここ10年ほどプラス改定が続いているというのがその実情であるというふうに考えております。
他方、新型コロナウイルス感染症の拡大が予断を許さない現在の状況におきましては、医療機関の経営環境あるいはオンライン診療など診療体制が大きく変化をし、またしようとしている状況にあると考えております。その意味で、次回の診療報酬の改定時には、単に診療報酬の見直しに止まらず、アフターコロナ、あるいはウイズコロナという状況を見据えました医療提供体制あるいは医療保険制度など医療全般のあり方を再検討していくと、そうした中でこの診療報酬の見直しが検討される必要があるというふうに考えております。
●中根議員 介護事業所・障害福祉事業所なども、感染リスクから利用を手控え、減収により、介護基盤を崩壊させかねません。全国老人福祉施設協議会、日本障害者協議会など関係者は強く財政支援を求めており、これに応えることが必要です。
◆地域の介護事業所・障害福祉事業所の経営状況をどうとらえているか、抜本的な支援が必要ではないか、地域福祉部長にお聞きします。
○地域福祉部長 まず、地域の介護事業所、障害福祉事業所の経営状況に関する認識と抜本的な支援について、お尋ねがございました。
本県の事業所の経営状況については、現在、把握できている4月分の国保連合会への報酬請求資料によりますと、デイサービスなどの通所事業所1か所当たりの平均請求額は、前年同期と比べて、介護事業所はマイナス3パーセント、障害福祉事業所はマイナス5. 8パーセントとなっております。いずれも、収入が減少していますが、直ちに事業継続に支障をきたすような状況ではないと考えているところです。
こうした通所事業所については、感染症の影響で利用を自粛した方に対して、訪問や電話による代替サービスを提供した場合にも、通所の報酬を算定する臨時的な取扱いが可能と なっていますが、利用自粛に伴う利用者数の減少は、小規模な事業所ほど影響が大きいと考えられます。
特に、障害福祉サービスは、小規模な事業所が多いことから、県では、財務基盤の弱い障害福祉事業所に対する支援について5月に、国に対し緊急提言を行ったところです。
今後も、事業所の経営状況を把握するとともに、事業者の皆さまのご意見をお聞きしながら、必要に応じて国に提言を行ってまいります。
●中根議員 国の第二次補正では、医療・介護従事者に、20万円から5万円の慰労金が支払われることが決まりました。それ自体は評価できるものですが、先ほども触れたようにコロナの影響による減収で、日本医労連の調査では、夏のボーナスを半分にする、二割賃下げ、あるいは定期昇給見送りなど、既に影響が出ており、その改善・支援と一体でなければ意味をなさないことを改めて指摘したうえで、問題意識を提起をいたします。
この慰労金には、児童分野が排除されています。 6月1日、全国社会福祉協議会は政府に対して、新型コロナウイルス感染症に対応する児童分野で働く職員にも慰労金の支給を求める緊急要望書を提出しました。高齢や障害、救護分野で働く職員には感染者が出ていなくても支払われる予定だが、保育所や児童養護施設は対象外となっており、要望書は「強い憤りを感じる」と訴えています。要望では、保育所については、緊急事態宣言以降も看護師や医師の子どもを受け入れるなど保育を継続してきたことや、実際に全国で50カ所以上の保育所で感染者が出ている現状を訴えています。実際、感染してはいけない、感染者を出してはいけないと、非常な緊張とストレスの中で、頑張ってきた、という現場の声もお聞きしています。
◆慰労金から保育所が外されたということは不当だと思わないか、また、県として独自の対策をとるつもりはないか、教育長にお聞きします。
○教育長 まず、保育所が慰労金から外されたことへの所見と、県として独自の対策をとるつもりはないかとの、お尋ねがございました。
国の説明では今回の慰労金については感染すると重症化するリスクが高い患者や利用者に対して、接触を伴いながら継続的 にサービスを提供してきたことなどの理由から、医療機関や介護施設の職員を対象としたものとお聞きをしております。
保育所においても、開所を継続し、子どもたちの安全を最大限確保しながら受け入れてきたものですので、こうした点に対する配慮も必要ではないかと考えております。
こうした慰労金の必要性や対象範囲については国の責任において検討されるべきものと考えておりますので、保育所の職員も支給対象となるよう全国知事会などを通じて働きかけてまいります。
●中根議員 ◆また、社会的養育を担っている児童福祉施設についても、県として独自の対策をとるつもりはないか、地域福祉部長にお聞きします。
○地域福祉部長 次に、社会的養育を担う児童福祉施設の職員に対する慰労金について、お尋ねがございました。
今回の国の慰労金は、感染すると重症化リスクの高い高齢者や障害者に対して、密の状態で継続的にサービス提供を行っていただいた職員を対象としたものとお聞きしています。
今回の慰労金の支給対象から外れている児童養護施設などは、緊急事態宣言期間中においても、高齢者や障害者の施設などと同様に事業の継続が求められていたところです。
このため、慰労金の支給については、国において対応すべきものと考えています。
県としましては、こうした社会的養育を担う施設も支給の対象となるよう、全国知事会等と連携して、国に働きかけてまいります。
●中根議員 保健・公衆衛生、医療体制は、今後の社会の安定的な営みにとって不可欠なインフラです。
新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、「国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化」が提言されました。
ところが自民党政治のもとで、医療費削減・社会保障費抑制が続けられ、わが国の保健・公衆衛生の体制は、大きく弱体化してしまいました。保健所は、この30年間で約半分に減り、職員定員も減らされました。地方衛生研究所の人員・予算も、国立感染症研究所の予算・人員も、連続的に削減されました。
◆こうした削減路線を転換し、保健・公衆衛生、医療体制を充実させること、今回のように、まさに感染拡大という「有事」に対応できる余裕を備えていくことを、国の安全保障戦略として位置付ける必要があると思うが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、保健・公衆衛生等の体制を充実させることなど、感染症対策を国の安全保障戦略として位置付けるということについて、お尋ねがございました。
新型コロナウイルス感染症に対応する中で、一部の地域では、地方衛生研究所に処理能力を超える検査依頼がございましたし、保健所機能が危機的な状況に陥ったところがあったというふうに聞いております。
こうした状況もふまえまして、全国知事会におきましては、次の感染拡大の波に備える有効な検査体制あるいは医療提供体制を構築をするという目的で、今月の12日に「新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチーム(WT)」を立ち上げております。
その中では、 PCR検査体制や相談・疫学調査等の体制強化など保健所の体制強化についても検討を進めていくこととしておりまして、 8月中の報告書の取りまとめを目指しまして、今、議論が進められているところでございます。
この全国知事会のWTを通じまして、PCR検査や健康危機管理に備えます保健所等の体制の在り方を検討いたしまして、国に対して、必要な措置を提言してまいりたいと考えております。
●中根議員 今回、コロナ対策の前線にたって奮闘された医者・看護師、介護従事者、保育士等は、以前から、きつい労働と重い責任、みあわない処遇の低さから人手不足が深刻な分野でした。新型コロナウイルス感染症対応のもとで、命の危険、強いストレスに直面して奮闘された医療・介護・保育分野での抜本的な処遇改善がないと、人手不足がいっそう深刻となることが危惧されます。
◆知事に認識をお聞きいたします。
○県知事 次に、医療・介護・保育分野での処遇改善につきまして、お尋ねがございました。
今回の感染症の状況の中で、医療や介護などの現場で感染リスクを抱えながら従事しておられる方々の処遇改善については、 しっかりと図られるべきだというふうに考えております。
県といたしましては、 5月の補正予算におきまして、感染者や濃厚接触者の診療に携わられました医療従事者の方々に、特殊勤務手当、一種の危険手当が支給されるように医療機関への財政支援を行うこととしたところでございます。
併せまして、介護従事者につきましては、感染リスクを伴います利用者に対しましてサービスを提供した場合の介護報酬加算の創設につきまして、5月に、国に対して緊急提言を行うといった取り組みをしてまいりました。
今後におきましても、現場の実情などを踏まえまして、人材確保という観点から医療・介護・保育分野のさらなる処遇改善につきまして、全国知事会とも連携をいたしまして、国に提言を行ってまいります。
●中根議員 第二の柱は、新しい自粛要請と一体の補償を、急いで現場に届けることの必要性です。
“自粛と一体の補償を”という、大きな国民の声が政治を動かし、一律10万円給付、雇用調整助成金の上限額引き上げ、家賃支援などで、一連の前進がかちとられてきましたが、なお改善すべき問題点が残されています。最大の問題は、支援が現場に届くのが決定的に遅く、失業や倒産・廃業が増え続けていることです。
政府の「新しい生活様式」のよびかけとは「新しい自粛要請」にほかなりません。大きなダメージを受けている中小企業、個人事業主、フリーランスで働く人たちに、新しい自粛要請による“経営難”が加わります。緊急事態宣言の解除や休業要請の「解除・緩和」を理由に、必要な支援を1回限りにし、打ち切ることは許されないと考えます。
◆また、このように支援を必要とする方々に対して、自治体においてもより細かな対策を打っていくことが重要と考えます。その際にはさらなる国の財政支援が必要だと思いますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、さらなる国の財政支援の必要性についてお尋ねがございました。
これまで、県民の健康と生活を守るため、思い切った規模で、かつ、スピード感を持って県独自の融資制度あるいは休業等要請協力金などの施策を実行してまいりました。
こうした中で、国の第二次補正予算におきまして、本県が強く求めてまいりました地方創生臨時交付金の総額の大幅な増額が認められました。このような国の対応は、本県をはじめ地方団体が行います経済対策などへの大きな後押しになるものと、高く評価しているところでございます。
今後は、この地方創生臨時交付金を最大限活用いたしまして、「社会の構造変化への対応」をはじめといたしました地域の実情を踏まえた実効性ある施策をさらに展開してまいりたいと存じます。
さらなる国の財政支援につきましては、状況に応じまして、全国知事会等とも連携しながら、提言や要望などを行ってまいります。
●中根議員 コロナ禍のもとで急速に生活が悪化し、今後、自ら命を絶つ人が増加するのではないか、という懸念が指摘されています。
「いのち支える自殺対策推進センター」の清水康之・代表理事は、「今は国民すべてが生命の危機を感じ、社会全体に『乗り切ろう』という連帯感が生まれ、以前から自殺を考えていた人の中にも『ほかの人たちも同じ状況にある』と感じてほっとしている人もいる。ただし、この状況は長くは続かない」 と東日本大震災の事例を示し、「時間がたつにつれ、元の生活に戻れる人と、戻れず取り残される人との格差が広がるのが心配」と言い、追い込まれた末の死を防ぐために生活保護の受給要件緩和などを求めています。
しかし、経済的に苦しんでいるのに、生活保護の申請に結びつかない人が多くいます。この是正が必要です。ドイツでは「誰一人として、最低生活以下に陥ることがあってはならない」と、新型コロナ対応で120万人の生活保護利用を見込んでいます。長野県ではパンフレットで「生活が立ち行かなくなることは、誰にでも起こりうること」「憲法第25条の生存権の理念に基づく最後のセーフティネットが生活保護」などと分かりやすく市民に伝えていますし、HPのコロナ対策の個人支援の項目にも、しっかりと「生活保護」が、パンフと同趣旨で紹介をされています。
高知県のコロナ禍に対する支援制度を紹介するHPには、残念ながら、生活保護の記述はありません。
◆「誰一人として、最低生活以下に陥ることがあってはならない」という立場から、「生活保護は憲法第25条に基づく権利である」ことを知事が宣言し、県民に周知していくことが必要と思いますが、知事にお聞きいたします。
○県知事 次に、生活保護制度の周知について、お尋ねがございました。
生活保護制度につきましては、これまでもホームページ等を活用いたしまして、制度の概要、相談窓口などの周知を行ってまいりました。また、今般の新型コロナウイルス感染症に際しましては、 国の通知を受けまして、福祉事務所に対しまして速やかな保護決定あるいは生活困窮者の支援機関との連携等を求めてまいったところであります。
今回の感染症の影響を受けた方々の中には、就労の場の確保や収入が元に戻るまでに、今後一定の期間を要する方々がおいでになると、いうことが想定されるところでございます。 このため、生活保護制度あるいは生活困窮者自立支援制度などにつきましても、ホームページ上の表記に関する工夫も含めまして、さらに周知に努めてまいります。
●中根議員 コロナ対策として、国保料(税)の減免制度が実施されていますが、連絡文書が複雑で、通常の減免との違いについて明確に認識できてない自治体が全国的にも少なからず発生しています。
減免は、2月から減免申請の月までで最も収入の低い1か月の収入を基準として、前年の月額平均収入と比べ3割以上減少していれば対象となります。横浜市や京都市は、この基準で実施しています。また北海道後期高齢者医療広域連合も同様の基準で減免判定を行うと明言をしています。
それが可能なのは、「3割以上の減少」の要件について、広く救済する観点で運用されているからです。わが党の倉林参院議員の「減少見込みで減免し、結果として3割以上減らなかった場合でも、減免取り消しはせず、返金はもとめないか」との質問(6月16日参院厚労委)に対して、厚生労働省保険局長は「その場合も国の財政支援の対象になる」と明確に答弁をしています。
◆「最も収入の低い1か月の収入を基準とする」「見込み違いとなっても返金をもとめない」「国が財政に責任を持つ事業であること」これを、県内の市町村に周知徹底しているか、健康政策部長に伺います。
前年の所得が300万円以下なら、全額免除となります。条件のあう県民に、もれなく申請してもらうことが重要です。それは県民の暮らしを支援することになりますし、市町村にとっても収納率アップにつながり、調整交付金増となって国保財政に貢献します。逆に、申請漏れが多いと、県民の苦しみも、財政的デメリットも拡大します。
◆誰一人取り残さない姿勢で、国保料減免を、しっかり推進すべきだと思いますがいかがですか、健康政策部長にお聞きいたします。
○健康政策部長 次に、新型コロナウイルスによる国保料の減免制度の市町村への周知徹底と、国保料の減免の推進についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
新型コロナウイルスにより収入が減少した国保の被保険者の保険料(税)の減免については、まず、5月1日に国から示された、減免に要する費用の全額を国が財政支援する際の基準を各市町村に通知し、基準に沿った減免であれば、費用の全額を国が財政支援することを周知いたしました。
また、その後5月11日には、国から、財政支援の基準等の取り扱いに関するQ&Aが示されましたので、これも、各市町村に周知しております。
その上で、市町村からの質疑を取りまとめ、国に照会し、その結果も各市町村に情報提供しています。また、お話しにありました「最も収入の低い1ヶ月の収入を基準としている他の保険者での取り扱い例」や「見込み違いとなっても返金を求めないことを厚生労働省保険局長が答弁した厚生労働委員会での発言概要」などについても、情報提供を行っているところです。
引き続き、各市町村には情報提供をしっかりと行うとともに、対象となる方が漏れることがないよう、そしてできる限り速やかに保険料減免に係る申請受付や決定を行うことがで きるよう、市町村からの問い合わせに丁寧に対応することなどを通じて市町村を支援してまいります。
●中根議員 次に、県内の学生支援の必要性についてお伺いします。
感染症の影響を受けて、県内学生に深刻な状況が広がっています。
高知大学の会見(6月24日)によれば、大学独自の困窮学生への「高知大学緊急学生支援金制度」(一人あたり3万円)には、1308人から申請があり496人に支給をしました。国の「学生支援緊急給付金」に対しても545人申請があり、452人を大学として推薦したと発表されています。これだけを見ても、支援が届かない学生が、広範に残されている状況です。
5月臨時議会で、知事は「県内の大学や専門学校にご協力いただき、学生の生活実態、支援の状況などについて、各大学などで把握されている内容を集約する」と答弁しました。
◆集約の結果、県として感染症の県内学生への影響を、どのように把握し分析しているのか、また、国の「学生支援緊急給付金」について、県内の申請・推薦人数はどうなっているのか、あわせて知事にお聞きをいたします。
○県知事 次に、今回のコロナウイルス感染拡大に関します学生への影響の把握・分析、あるいは国の学生支援緊急給付金の申請人数などについての、お尋ねがございました。
県内の各大学からいただきました情報を集約いたしますと、県内の大学生10, 613人のうち、お尋ねのありました学生支援緊急給付金への申請人数は 1, 334人、全学生の12. 6パーセントとなっております。
このうち、給付対象とされた人数は1, 033人、今後予定されております第2次配分枠に向け審査中の人数が2 4 8人となっています。これによりまして、経済的に困窮する学生の相当部分がカバーされることになるのではないかというふうに考えております。
他方で、高知大学、高知県立大学及び高知工科大学では、授業料の減免に関する相談が増えているというふうにおききしております、各大学において、対応が図られているところであるというふうに承知をしております。
●中根議員 この間、学生の深刻な実態は、県内各地で大学生などを対象とした食料配布などのボランティアの取り組みが広がり、多くの学生が支援を受けていることにもあらわれています。食料を受け取ったある大学院生は、「飲食店での毎月7~8万円の収入がなくなり、家賃の支払いもできず待ってもらっている。実家からの仕送りはお米のみで4、5月は、ふりかけとごはん、おかゆだけでしのいだ」と悲痛な実態を訴えたとのことです。
知事は、5月臨時議会で「(学生の)実態も踏まえ、必要な取り組みを検討したい」と述べていますが、食料配布等ボランティアに学生が多数支援を受けている生活実態は深刻で、非常事態と言わざるを得ません。
◆深刻な実態を受け、県として、学生に対する独自の支援策を講じ、学生の生活を支える必要があると思いますが、知事にお伺いいたします。
○県知事 次に、学生への支援、県独自の支援を考えてはどうかという、お尋ねがございました。学生の皆さんが利用可能な制度につきましては、国において、この間、様々な制度が準備されてきていると思います。先ほど申し上げました学生支援緊急給付金のほかにも、これは一般的な制度になりますが生活福祉資金の貸付金でございますとか、あるいは今回雇用調整の助成金と同様の内容を就労者の方に直接お支払いをするという休業支援金をアルバイトの収入が減ったという場合には適応の対象になりうるということだと思いますし、さらには、これは10万円の特別定額給付金、こういった支援措置も学生の皆さんにも届くという形での支援が行われているというふうに考えております。
これに加えまして、国立の高知大学では、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして家計が急変をいたしました学生からの相談に応じまして、授業料の減免を実施しているというふうにお聞きをしています。
県といたしましても、高知県立大学及び高知工科大学が行います授業料の減免につきまして、両大学を運営をいたします法人の設立者として支援をすることといたしております。 このため、これに要する経費として、今6月補正予算案に2億2千万円余りを計上させていただいて、ご審議をお願いしているところでございます。
●中根議員 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスパンデミックを3月11日に宣言し、国連女性機関が「新型コロナ対策のためのチェックリスト」を3月20日に、「女性と新型コロナ」という提言を3月26日に、立て続けに公表しました。各国政府の対応が女性を取り残したものとなっていないか、注意喚起すると同時に、具体的な対策を講じるように求めたものです。
非常時にこそ、「社会的・文化的・政治的につくられた性差」であるジェンダーの視点で、女性も男性もそれ以外の性の人も、だれもが生きやすく公平で公正な社会を目指すジェンダー平等の視点で対策をとっていこうとする提言です。日本は世界の先進国の一つでありながら、世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダー平等指数である「男女平等度ランキング」は大変低い国で2019年は何と153か国中121位でした。政治・経済・教育・健康の4つの分野の指標でみるのですが日本社会では政治・経済の分野で大きく遅れを取っています。このことを認識しながら、提言を受け止めることはとても重要だと考えます。
◆ジェンダー平等の視点で新型コロナウイルス対策に取り組む認識を知事にお伺いいたします。
○県知事 次に、ジェンダー平等の視点で新型コロナウイルス感染症対策に取り組むことへの認識がどうかという、お尋ねがございました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴います生活不安やストレスなどから、全国的に女性に対するドメスティックバイオレンス(DV)被害の大幅な増加が指摘をされております。
本県におきましても、あらためて相談窓口の周知などを行いまして、 被害の相談にしっかりと対応いたしているところでございます。
また、配偶者やその他の親族からの暴力などを理由に避難をされている方々に対しましては、世帯主でなくても、国の「特別定額給付金」を受給できるといった制度の周知もあわせて行ってまいりました。
県といたしましては、今後とも女性が更に困難な状況に置かれることのないように十分配慮をしながら、新型コロナウイルス感染症対策を実施をしてまいります。
●中根議員 この間国民の中から、国の一人10万円を支給する特別定額給付金について、基準日となる4月27日までに生まれた子どもだけを対象にするのではなく、誕生日のわずかな違いで給付対象にならなかった新生児も支援できないかという声が起こっています。新型コロナウイルス対策の中で、感染予防に神経を使い、里帰り出産や立ち会い出産を始め、様々な制限を受けながら赤ちゃんが誕生してきています。胎児も一人の人間として給付金の制度の枠からこぼれないようにしようと4月27日以降、来年3月末までに生まれた子どもまで給付に踏み切る自治体や、商品券を配布する自治体も生まれています。
今、出産育児一時金は42万円で、出産後に病院を退院するときは何万円かを足して支払うのが常態となっています。これに、まず車に義務付けられているベビー・チャイルドシート等、最低限必要になる出費がかさみます。
6月5日、厚生労働省が発表した日本の2019年合計特殊出生率は、1.36で4年連続減、高知県では前年より0.01ポイント下がり1.47となりました。出生数は289人減の4270人で、2年連続過去最少を更新しています。
◆高知県の少子化対策として、新型コロナウイルスが収束し、安定したワクチンが供給されるまで等と日切りをしないで、生まれてくる赤ちゃんについて、4月27日以降、県版特別定額給付金を創設してはどうかと考えますがいかがですか。今年度中を概算すれば、必要な予算はどの程度になるのかも含めて知事にお伺いします。
○県知事 次に、県版の特別定額給付金の創設をしてはどうか、また必要な予算額についてどうかというお尋ねがございました。
議員ご提案の生まれてくる赤ちゃんに対する一時金の給付につきましては、子育て支援の1つの方法ではある、手法ではあるというふうには考えます。仮に、新生児1人あたり1 0万円を給付いたしますと、昨年と同じ出生数でありますと、毎年 県内全体で4億円を超える予算が必要となるということでございます。
しかしながら、少子化対策といたしましては、一時的な現金給付の形ではございませんで、安心して妊娠・出産・子育てができるような環境を整備していくということがより重要ではないかというふうに考えております。その意味で、引き続き、限られた財源の中で、費用対効果を見極めながら、施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
●中根議員 ポストコロナの時代にむけて、いくつか指摘をしたいと思います。
今回のコロナ禍であきらかになったことは、自国に必要なものを過度に他国依存する危険性です。マスク、医療機器の不足も主に他国で作られていることが原因でした。また、一部の国で農産物の輸出を規制する動きも出てきました。グローバル化した世界では、一旦感染爆発がおこれば、人と物の移動が寸断されることを突きつけられました。
あらためて食料需給率の向上、地産地消・国産国消の重要さが改めて示されました。また、インバウンドについては、各国での新型コロナの抑制とともに、広範な検査体制の確立を抜きに復活することはありえません。ソーシャルディスタンスという新しい生活様式を保っての取り組みは、コロナ以前に考えられていた取り組みと質を異にします。
大都市が感染症に対して脆弱であることも示されました。近年自然豊かな地域への移住が、全国的にも注目され、本県も力を入れているところですが、今回のコロナ危機を受けて、大都市が危ないという認識が強まるとともに、急速に拡大したテレワークは、このような動きを促進すると考えられます。
新型コロナに代表される感染症とむきあう社会をきづくためにはことは、テレワークの全面的な活用、学びの場の確保、医療福祉の充実と処遇改善、地域に根差した一次産業の推進、豊かな自然と文化の活用など、東京ではなく、地元や自分の住みたい場所に住める時代になることが展望したパラダイムシフトの転換が求められています。
◆ポストコロナの時代を見据えて、産業振興計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略など、高知県の進むべき方向と方策について、根本から再検討する作業にとりくむべきではないか、知事にお聞きします。
○県知事 次に、産業振興計画などについて、計画の根本からの見直しが必要ではないかと、お尋ねがございました。
「産業振興計画」や「まち・ひと・しごと創生総合戦略」 などの県の各種の計画は、これまでPDCAサイクルによります検証や、あるいは、その時々の社会情勢の変化などを踏まえまして、不断の見直し、いわゆるローリングの作業を行ってきております。
ご指摘がございましたように、今回の新型コロナウイルス感染症によりまして、本県の経 済は、これまでにないような大きなダメージを受けております。これはただ感染症という、経済活動とは直接関係のない要因によるものと考えております。
この一方で、本県経済は、これまで地産外商の取り組みによりまして、人口減少下においても拡大する経済へと構造あるいは基調を転じてきており、ということでございまして、こうした効果をもたらしております産業振興計画における取り組みを根本から変えてしまうというそういう必要はないのではないかというふうに考えております。
今なすべきこととしましては、感染症の影響が和らぐまでの間、大きなダメージを受けております県内事業者を幅広く支援していくことが中心になると考えます。併せまして、産業振興計画におきましては、県経済を再び成長軌道に乗せていくことができますように、これまでの取り組みは、これは土台としておきまして、この土台の上に、ご指摘がありましたコロナ後の価値観の変化あるいは新しい生活様式への対応、さらには社会・産業構造の変化、こういったことも見据えまして、施策の強化を図っていく、あるいは進化をさせていく、こういったことが必要ではないかと、いうふうに考えている次第でございます。
こうした観点から、今月、「産業振興計画フォローアップ委員会」を開催いたしましたが、この会議は感染症によります経済影響対策にまずは特化して開催をいたしまして、今後の強化の方向性といたしまして、例えばデジタル技術の活用、あるいは移住促進を強化するこういったことなどについてのご提言、ご意見をいただいたところでございます。
今後も引き続きまして、市町村や関係団体、あるいは外部の有識者などの方々のご意見もお聞きしながら、施策に反映をさせてまいりたいと考えております。
●中根議員 もう一つ指摘をしたいのは知事会も提案している全国一律の最低賃金の確立です。
東京など大都市への一極集中を是正するために、私たちは、全国一律の最低賃金の確立は不可欠だと、繰り返し提起をしてきました。残念ながら、浜田知事のこの間の答弁は、都市部とは経済的格差があり厳しい、というものでしたが、コロナ禍を経験し、認識の発展が求められているのではないでしょうか。
第一生命経済研究所の首席エコノミストの試算では、コロナ感染リスクの影響に伴う経済損失額は5月31日までで合計額が45兆円にもなっています。その損失に比べれば、全国一律1500円最低賃金を実施するために、中小企業への支援策にかかわる予算は限定的です。たとえば日本共産党は、中小企業の賃上げ支援予算を7000億円へと抜本的に増やし、社会保険料の事業主負担分を、賃上げ実績に応じて減免する制度をつくることを提案しています。
今回、高知県が、コロナ禍への事業所支援として、おそらく全国初といえる、社会保険料の事業主負担に着目した給付金を創設したことは、画期的なとりくみと評価しています。この観点を、平時に、そして全国で実施させようではありませんか。
◆ポストコロナ時代の全国一律の最低賃金の確立について、高知県こそ積極的に発信すべきだと思いますが、改めて知事の認識を伺います。
○県知事 最後に、ポストコロナの時代におきます全国一律の最低賃金制度の導入について、お尋ねがございました。最低賃金は、労働者の賃金や生計費を考慮いたしまして、労働者側、使用者側等からのご意見もお聞きしながら、地域の実情を踏まえて、地方最低賃金審議会を経て決定をされるものでございます。
現状で申しますと地域ごとに賃金水準が異なりますのは、この背景といたしまして、労働生産性に地域差があるということが事情がございます。こういった状況の下でございますから、最低賃金をいきなり全国一律にしてしまうということは、現状ではやはりいささか無理があるのではないかというふうに考えております。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、大都市部への過度な一極集中に伴います様々なリスクが顕在化してまいりました。また、テレワークの急速な普及など働き方にも変化がもたらされております。
今後、こうした変化を背景に、時間や場所にとらわれない働き方が進むということを通じまして、大都市部と地方の労働生産性の格差が縮小していく、そうした可能性はあるというふうには考えております。
ただ、こうしたテレワークなどになじまない仕事も片方ではたくさんございますので、この労働生産性の地域差が縮小されたとしてもまったくこれは解消されて同じ水準になっていくと、いうことは現時点で見通すことは大変難しいのではないか、というふうに考えております。
お話にありました、今回の補正予算で提案させていただきました県独自の給付金につきましては、賃金ですとか労働生産性のこうした地域間格差を穴埋めするという目的でお願いをしようというものではございません。あくまで、コロナ渦におきまして、経営状況が厳しい事業者に対しまして、固定費の一つとして人件費の負担に着目した給付を行うと、このことによりまして、 「事業の継続と雇用の維持」を図っていくというための、臨時的な対策としてご提案申し上げた次第でございます。
県といたしましては、企業の経営基盤の強化なども含めまして、産業振興計画等を着実に実行していく、そして労働生産性を高めていくということで、地域間の賃金格差の縮小に向けて取り組んでまいりますし、そうしたことが最低賃金の地域差を縮小に向けていくということになっていくと考えているところでございます。私からは以上でございます。
●中根議員 次に子どもたちの実態について伺います。
全日本教職員組合はこの5月から6月にかけて新型コロナ感染症拡大に伴う子どもと学校実態調査アンケートを行い、6月11日、本県30校の途中集計が発表されています。それによると、「休校中は友達に会えない、行きたいところへ行けなくて地獄の日々だった」という声と共に「再開の日はとても早く登校してくる児童が多かった」「マスク無しで遊びたい、みんなで歌を歌いたい」と学校再開を心待ちにしていた様子が語られる一方で「自宅待機でストレスが溜まっている」「イライラ、生活リズムの狂いを強く感じる」「授業中、机にベタッと臥せる子が多い。再開2週間後から長く自宅にいたことも影響し登校しぶりが出始めている」「学習が嫌になっている」「学習のスピードが速く学校のリズムがしんどい」等と回答するなど、子どもたちの心への影響の深刻さが語られています。学習を進める前に、こういった子どもの心をケアする事が求められています。
◆一人ひとりの子どもに丁寧に寄り添い、心のケアに取り組む手厚い教育が必要だと考えるものですが、教育長はどう認識されているのかお聞きします。
○教育長 次に、子どもたちの心のケアに取り組む手厚い教育の必要性について、お尋ねがございました。
県教育委員会では、臨時休業の長期化により、児童生徒の不安やストレスなど心身への影響が懸念されることから、電話相談や家庭訪問などの支援を行うこと、また、学校再開時に児童生徒の状況把握のための面談等を実施することを、 4 月1 6日付けで市町村教育委員会や県立学校に依頼を行っております。各学校ではこの通知を受けて、面談等を実施したところ、「勉強について行けるか心配。」「部活の大会やイベントが中止になり目標がなくなりショックだ。」などの報告があがってきております。
こうしたことから、県教育委員会としては関係機関と連携しながら、目標となる中高等学校の各種体育大会、総文祭の実施報告発表会などもそうですが、こういったもの可能な限り開催し、部活動などの成果発表の場を確保する方向で取り組んできたところです。
また、学習保障に向けては、学習支援員の追加配置なども進めてまいりました。
加えて、議員のお話にもありましたように、今まで以上に、子どもに寄り添った心のケアが必要となってまいります。
県教育委員会では今年度から新たに心の教育センターの日曜日の開所、東部・西部地域のサテライト相談活動など、相談体制を拡充させてまいりました。
また、不登校担当教員を全ての小中学校に配置し、情報収集と校務支援システムを活用した出欠状況の早期把握や継続的な家庭訪問の実施など、心のケアに向けた組織体制の充実にも努めております。
こうした体制の十分な活用を各学校に促すとともに、ネット依存などの生活習慣の乱れや感染症に関する誹謗中傷等を防ぐため、PTAや補導センター、県警察等との関係者会議を開き、より一層の見守りを強化することを保護者や県民の皆様へ呼びかけてきたところです。
今後も、各学校において校内支援会を中心に、児童生徒のささいな変化にも気づき、早期に対応することや、スクールカウンセラーや医療・福祉等の関係機関と、専門的な支援を 必要とする児童生徒をつなげることを徹底し、一人一人の児童生徒の心のケアに努めていくよう、県教育委員会として取り組んでまいります。
●中根議員 また、保護者が学校に寄せた声として「遅れた部分の学習内容を子どもに押し付けずにゆっくり教えてほしい」「運動会、参観日の中止、修学旅行延期への問い合わせもあり、『思い出作りをしてほしい』と延期がさらに中止になる事を不安視している」との回答が見られます。
学習の遅れを取り戻そうと7時間授業など詰め込み教育をすれば子どもに新たなストレスを与え不登校などが危惧されます。
◆子どもたちをゆったり受け止めながら、学びとともに遊びや休息を保障し、単元の精選など学校現場が創造性を発揮できるよう、柔軟な教育課程を奨励することが大切だと考えるものですが、教育長のお考えをお聞きします。
○教育長 次に、学校現場が創造性を発揮できるよう、柔軟な教育課程を奨励することについて、お尋ねがございました。
学校や市町村教育委員会においては、学習内容の過度な詰め込みにならないよう注意しながら、学習の遅れを取り戻すため、長期休業期間の短縮や二学期制の導入、また、行事の 精選など教育活動の計画の見直しを図り、授業日数の確保に努められてきております。
県教育委員会においては、今年度から、教員の働き方改革の観点から、夏季休業中における集合研修の大幅な削減や、 調査・照会の精選及び見直しを実施しております。
さらに、新型コロナウイルス感染症対策のために臨時休業となりましたので、教員が教育活動に専念できるよう、研修のオンデマンド化やさらなる中止または延期なども実行し、 可能な限り教員の負担軽減に努めてまいりました。
加えて、放課後等の個別指導などきめ細かな学習指導が行えるよう学校スタッフの追加配置も行うようにしております。
一人一人の子どもたちの知・徳・体の力を最大限に伸ばしていくためには、学習指導要領を基本として、学校が主体的に教育課程を編成し、学習方法に工夫改善を加え、柔軟に実施していくことが重要であると考えております。
県教育委員会としましては、こうした学校や市町村教育委員会の取り組みを支援していくため、先ほど申しました教員の負担軽減や指導体制の強化のほか、参考となる全国の情報 を収集・提供していくとともに、学校等からの個別の相談にもしっかりと対応してまいりたいと考えております。
●中根議員 5月22日、文科省はコロナ感染に対する「学校の新しい生活様式」と題した衛生管理マニュアルを全国の教育委員会に通知をしています。そこでは地域の感染レベルを3段階に分けて、それぞれのレベルに応じた身体的距離の取り方、実施できる教科、部活、給食や休み時間の取り方など示しています。
身体的距離の取り方について文科省初等中等教育局の平山直子・健康教育・食育課長は「第2波、第3波の感染が起きるリスクを考えれば、児童生徒の人数や教室などの施設環境によって、分散登校が可能な学校は、レベル1であっても、分散登校や時差登校で学校を再開した方が安心だ」と述べ、「できるだけ2メートル」空けて、一教室の人数を40人の半分、20人を推奨しています。
5月22日、日本教育学会は20人ほどで授業をするために必要な教員人数増は、一校につき小学校3人、中学校3人、高校2人の教員増で全国合計10万人、ICT支援員、学習指導員を小中学校4人、高校に2人配置で合計13万人、であり、それは政府の二次補正「予備費10兆円」のわずか1割で実現できると提言を行っています。
先の5月臨時県議会の総務常任委員会での委員長報告では、文科省の学校の新しい生活様式実践の具体的手立てとして、保健室や20人学級への対応例を示し教員増の必要性を問うたことに対し、県教育委員会は「教員増員は市町村から要望が上がってくれば、国に確認しながら検討したい」と市町村教委待ちの姿勢を示す答弁がなされています。
文科省通知に積極的に応え感染リスクを避けるべきです。
◆本県での身体的距離をとるための学級人数の分散等の取り組みを、どう進めるおつもりなのか、教育長にお聞きします。
○教育長 次に、身体的距離を図るための学級人数の分散などの取り組みについてお尋ねがございました。
本年5月、児童生徒及び教職員の感染リスクを低減しつつ、また感染状況に応じて、学校の教育活動を行うための行動基準である「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル―『学校の新しい生活様式』へ」が国によって示されております。各学校においては、この基準に従って取り組んでいくことが原則だと考えております。
現在、本県は、感染状況がレベル1の状況にあり、各学校においては国の行動基準を踏まえ、教室では机の間隔を1メートル以上離すなど、身体的距離の確保が行われております。 加えて、検温など事前の体調管理、マスクや消毒の徹底、頻繁な換気などを組み合わせて教育活動に取り組んでおり、このように、総合的に安全性を高めていくことが重要であるというふうに考えております。
なお、今後、本県において感染が拡大した場合、学級の規模に応じて、学級を2つのグループに分けるなど、国の行動基準に従って分散登校や時差登校を適宜組み合わせた教育活動を行うなどの対応が必要になってまいります。
県教育委員会としては、現在、児童生徒の学びの充実のために、今議会で放課後等学習支援員を追加配置できるよう補正予算をお願いしており、また、少人数分割指導のための人 員確保についても、市町村教育委員会と連携して取り組みをすすめているところです。
さらに、分散登校や時差登校時において、学校の授業を補完する家庭学習の充実に向け、 ICT機器の整備に関する国の予算の積極的な活用を、市町村教育委員会に対しても促すとともに、学習支援動画の充実にも取り組んでいるところでございます。
◆また、コロナのあとには子どもたちに「少人数学級をプレゼントしたい」と心から思います。日本教育学会の提言を実現するよう、国に働きかけるべきだと思いますが、教育長にお聞きします。
○教育長 最後に、日本教育学会の提言を実現するよう国に働きかけるべきではないか、とのお尋ねがございました。
本県では、学力や生徒指導上の諸問題の解決を図るため、平成16年度から令和元年度までに県独自の取組として、小学校は第4学年まで、中学校は第1学年において、少人数学級編制を行ってまいりました。
さらに本年度からは、学力向上に加え、喫緊の課題である不登校や教員の長時間勤務等の課題の改善を図るため、小学校5年生にも拡大し、少人数学級編制の効果を調査研究して いるところです。
今後は、本年度拡充した小学校5年生を含め、少人数学級 編制の実施校における成果・効果がしっかりと確認できれば、 小学校6年生や中学校2年3年生への拡充についても検討していきたいと考えております。
このように、県として少人数学級編制の取組を進めてきたところであり、今後においても、国に対し、加配定数の拡充 について、引き続き要望してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症対策として、緊急的な加配措置や学習支援員の配置は必要であると認識しておりますので、あわせて国へ要望していきたいと考えております。
【飼養衛生管理基準】
●中根議員 次に家畜伝染病予防に資する飼養衛生管理基準の問題についてお聞きします。
農林水産省は、2018年9月に国内で26年ぶりに発生が確認された豚熱の感染拡大や、一昨年以降、アジア地域において発生が拡大したアフリカ豚熱の国内への侵入防止のため、今年4月に家畜伝染病予防法が一部改正されたことを受けて、今年7月までに豚・イノシシだけでなく、牛・ヤギなどの他畜種まで含めて「飼養衛生管理基準」の見直しを目指すとしています。この見直し案には、「放牧の停止又は制限があった場合に備え、家畜を飼養できる畜舎の確保又は出荷もしくは移動のための準備措置を講じること」「大臣指定地域においては、放牧場、パドック等における舎外飼育を中止すること」などと明記されていました。
農家にとっては、今回の話は、「寝耳に水」の事態です。豚や牛などの放牧制限につながることから、放牧飼育をしている農家から「放牧を危険視する科学的な根拠を示してほしい」「国は放牧を推進してきたのに矛盾をする」「負担が増え経営がなりたたなくなる」といった疑問と不安の声が上がりました。
農水省は今月12日、パブリックコメントを踏まえて、飼養衛生管理基準の最終案を示しました。それによると防疫対策を強化する大臣指定地域の「舎外飼養の中止」の文言が削除をされて、放牧の停止や制限があった場合の「畜舎の確保」の文言は「避難用の設備の確保」に変更され、「放牧する農家全てが畜舎を建てる必要はない」としています。
大臣指定地域には、豚熱に感染した野生イノシシがいる都府県および豚熱ワクチンを打っている地域が指定される見込みです。また、同地域は、野生動物が豚熱やアフリカ豚熱、口蹄疫(こうていえき)に感染した場合にも設定をされます。
豚は新たに、大臣指定地域の放牧場の取り組みとして「給餌(じ)場所における防鳥ネットの設置及び家畜を収容できる避難用の設備の確保」が盛り込まれました。必要設備の補助は検討中とされています。
また、「放牧制限の準備」で、都道府県知事による放牧停止や制限があった場合の備えとして、豚、牛ともに、家畜の体調を管理しやすいように放牧の範囲を狭めて目が行き届くようにする移動や、避難用の簡易設備の確保、出荷などの準備を農家が自分の経営に合う形で選び、対応するよう明記されました。
放牧している農家は、「畜舎の確保」という表現がなくなったことにひとまず安どしていますが、今回の政策策定の動きは、改正案の内容の周知も、生産者からの意見聴取も、放牧農家への影響調査もまったく不十分です。
◆こうした法案策定のあり方をどのように受け止めているのか農業振興部長に伺います。
○農業振興部長 まず、飼養衛生管理基準の策定のあり方に対する受け止めについてのお尋ねがございました。
今回、国が行った飼養衛生管理基準の策定にあたりましては、豚熟の国内発生やアフリカ豚熟の侵入脅威を踏まえ、我が国の養豚業全体を守るために、家畜疾病の専門家だけでは なく、養豚農家や現場の地方公共団体の職員などの関係者から様々な意見を聴取したと聞いております。
しかしながら、最終案の取りまとめに向けて実施されたパブリックコメントでは、酪農家など、放牧を行っている様々な畜種の農家や関係者の方々から、放牧の中止に対して多く の反対意見があったことを踏まえますと、事前にさらに幅広く意見を聴取する機会を設けても良かったのではないかというふうに受け止めております。
●中根議員 放牧は近年、多面的機能や持続可能な循環型農業の実践として、またアニマルウェルフェア(AW、動物福祉)や良質の畜産ブランドとしても大きく注目をされています。食の安全は最も重要ですが、放牧のこうした重要な役割を希薄な根拠で否定するのではなく、家畜伝染病に脆弱な近代の畜産の在り方を多面的に検証することこそ、家畜伝染病予防に資する飼養衛生管理につながるものと考えます。
◆今回の飼養衛生管理基準の見直しについての県の見解と、今後の対応について、農業振興部長のお考えをお聞きして第一問といたします。
○農業振興部長 次に、今回の飼養衛生管理基準の見直しに対する県の見解と今後の対応についてのお尋ねがございました。
今回の見直しの最終案では、お話にあったような放牧の多面的な機能を踏まえ、大臣指定地域、家畜伝染病発生リスクの高い地域でございますが、この地域においても、給餌場所における防鳥ネットの設置や避難用の簡易な設備を確保することにより、家畜を病原体から守りながら、今までどおり放牧を継続できる対策が盛り込まれたと認識しております。
今後は、見直された内容について、農家に対して丁寧に説明するとともに、飼養衛生管理基準の遵守について、理解や協力を得ながら、引き続き豚熱や口蹄疫など家畜伝染病の予 防対策を進めてまいりたいと考えております。
なお、本県では温暖な気候の下で乳牛を放牧する山地酪農や土佐あかうしの放牧など、地域地域で特色ある放牧が実施をされております。放牧は省力化や低コスト化に資するだけではなく、 動物福祉の向上や耕作放棄地の解消などの機能も有しますことから、今後も推進してまいりたいと考えております。
【第二問】
●中根議員 それぞれに、ご答弁ありがとうございました。3点、最後再質問をさせていただきます。
ひとつは、コロナウイルス対策、本当に、いまたくさん出ていないときこそ、第二波、第三波についてしっかりとした対応をしていかないといかなければならないと思いますが、本当に県民の不安も含めて全国民ですけれども、とにかく検査をしっかりと受ける体制をつくる、そして検査をすることによって、全域について検査をすることによって、そこで感染者を隔離することができて、収束に導いていける、そういう体制を今やはり作る必要があるというふうに思っています。
全自動PCR装置なんていうものがあって、日本で開発されて外国で使用されているけれども日本では俎上にのぼっていない、1時間半で結果が出てくる、こういう話も聞こえてきていまして、医療・介護・飲食など今発生をしているそれぞれのとこで責任を持っている人たちが、例えばですが、月に1回はPCR検査を受けて、そして、社会全体として、安心をつくっていく、こういう思い切った体制を経済活動のためにも今こそしなければならないんじゃないか、そんなふうに思っているところです。
◆そう思いますと、知事が先ほど言われた、その複数の民間機関にも今対応を接触しているというお話でしたが、いったいどんなところに接触できているのか、それをお聞かせください。
それから、新生児の給付金についてです。高知県はよくネウボラというふうに言いますが、北欧などのネウボラは赤ちゃんがうまれる胎児の段階から、生まれたときにはお金も含め、本当に子どもとして、人間としてしっかり育っていけるような体制を、予算をつくってつくります。
◆そういった意味では、今、こうした時期にしっかりと、予算措置もすべきではないか、ということを考えていますが、あわせて、お答えいただきたい。
最後に、危機管理です。
◆国の責任で、米軍機などの飛行の状態をというふうにおっしゃいましたが、国待ちにならずに、本当に落ちたら最後ですから、こうした点では国待ちにならずに、動画撮影などできる形を考えていただきたい、このことをもう一度お答えいただいて、2問にいたします。
○県知事 まず、一点目、コロナウイルスの検査体制についてであります。今、私自身は、民間検査機関の固有名詞まで報告を受けておりませんけれども、イメージとして申しますと、例えば、病院で日常的に行います。血液を採決して、その検体を民間の検査機関の方が回収をして、それを検査所へもっていって、検査結果が出てくると、そんなところに関与されている民間の会社は、多数、複数あるものとおもっております。そういったところの全国的な会社の高知の営業所の方とか、ですね、そういった方と接触をしてですね、そうした通常の血液検査なんかの検体と、もちろん感染防止対策はしっかりしなければなりませんけれども、同じ様なルートで民間の検査機関の方が、お医者さん、診療所、クリニックなどを訪ねて、採取されたものを回収して、その会社の検査所に搬送してもらうと、そして検査結果を出してくると。
こういったような、通常の民間におけます検体検査のルートに同じ様な形で検査に乗せていくことはできないかという相談をさせていただいているということでございます。検査の手法自身も、かなり日進月歩という感じがございまして、例えば抗原検査などにつきましても、厚生労働省の見解も、最初は、なかなか確定的な陰性の検査も難しいというお話でございましたけども、比較的発症から9日以内であれば、ある程度ウイルスが出ているということが考えられるので、そういった検査にも適するというように見解が、最近違った形で示されているというようなこともございます。
こういったことでいえば、日進月歩の検査の技術ということにもしっかり対応いたしまして、今お話がございましたように、検査が必要な方に関して、特に公費で負担をするということを考えますとやはり医師の判断ということを介していく必要があると思いますけれど、いずれにしましても必要な方に検査がしっかりできるという体制を民間の力も借りながらつくっていきたいということを考えている次第でございます。
2点目の、特に新たに生まれてきた新生児に対する特別給付金についてのご提言でございます。ただいまも申し上げましたように、少子化対策を考えました時に、経済的な負担の軽減ということを考えました時に、ひとつの手法ではあるということは、そういう認識はございます。ただ、ただいまお話ししましたように、県内で仮に一年間に、生まれてくるお子さんに、10万円ということで支給した場合、4億円という財源が必要になるということでございます。これはほぼ、今お子さんの乳幼児の医療費の助成に関して県が支出しているのとほぼ匹敵するような大きな予算の規模が必要になるということでございまして、その意味で、私どもといたしましては、給付によって経済的負担を軽減するというよりは、限られた財源の中では、安心して妊娠、出産、子育て、こういったものができていく環境づくりの方をより優先をして、させていただきたいという考え方を持っているということでございます。
○危機管理部長 繰り返しになりますけれど、低空飛行の実態把握にあたっては、動画の収集も有効な選択肢でありますが、提供された動画の真贋の見極めですとか、大容量のデータを送るための手段など様々な課題も確かに現実としてございます。
全国知事会においては、国の責任で実態調査を行うということを提言していますし、高知県としてもまずは国において、実態調査をしてくれと要望してございます。それを受けまして防衛省では、現在現地における状況を詳細に把握するための方策を、検討をしてくれておるという状況でございます。
改めまして、今回も検討状況をお聞きしましたが、現時点では詳細にまだいうことはできないということでございました。我々も大きな期待をしてございますので、定期的にまた、区切りごとに検討状況について、防衛省の方にお聞きをしていきたいというふうに思ってございます。
●中根議員 どうもありがとうございました。新しい様式の下で、さらなる様々な施策が求められています。
ぜひ取り残される人がないように、業種がないように、ご奮闘お願いしたいと思います。私たちもいっしょに、いろんな策を練りたいと思います。ありがとうございました。