議会報告

【質問項目】

・教員の働き方

・教職員の定数

・ビキニ被災船員の救済

 

●吉良県議 日本共産党の吉良富彦でございます。一問一答の一般質問を始めさせてもらいます。知事におかれましては、記者会見に引き続きでございますけれども、どうかよろしくお願いいたします。

 

【教員の働き方】

●吉良県議 私はまず、今議会に提案されている「公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案」に関して以下教育長にお聞きいたします。

本条例議案は、「一年単位の変形労働時間制」を導入可能とするため、政府与党が「改正教育職員給与特別措置法」を昨年12月に強行成立させたことを受けてからのものです。改正法の目的を萩生田文科相は「労働時間の縮減」を前提とした「一年単位の変形労働時間制」導入を可能にするためと国会で答弁しております。

大臣が「労働時間の縮減」と言わざるを得ない超長時間勤務の本県における実態について、私共は丁度一年前の2月議会、一人一人の教員の勤務時間を丁寧に追跡調査していた高知市の公立中学校に伺い、その勤務実態をこの場でご紹介し改善を求めたところです。教育長は「学校を働きやすく魅力的な職場にすることで、日々の教育活動の成果につながるよう教員の「働き方改革」に向けた取組をより一層推進してまいります」と決意を述べられています。

それから一年経ち、残業上限原則月45時間、年360時間が原則のガイドラインは今回法的裏付けを与えられ指針として条例に位置付けられようとしているわけです。そこでお聞きいたします。

◆2018年県教委調査で残業時間が過労死ライン80時間を超えている教員割合は小学校12%、中学校34%と昨年2月議会で報告をなされています。2019年の調査結果をお聞きいたします。

 

○教育長 昨年度、調査を行いました校務支援員を配置しました20校、小学校12校、中学校8校に対しまして、前回と同様に6月から12月までの期間を対象に、調査をいたしましたところ、時間外在校等時間が80時間を超える教員は、小学校では9.6%、中学校では25.6%となっております。

 

●吉良県議 はい。ありがとうございます。

月45時間の残業とは、週当たりの労働時間に換算いたしますと51時間、一日でいうと10時間12分も学校で勤務していることになります。

◆指針の上限ラインをオーバーする小中学校教員の割合はこの2年間でどう変化していらっしゃるのか、おききいたします。

 

○教育長 先ほど、お答えいたしました同様の調査内容におきまして、時間外在校等時間が45時間を超える教員の割合は、小学校は昨年度が49%で、今年度が46%、中学校では昨年度が70.9%で、今年度が60.9%となっておりまして、小学校、中学校ともに減少傾向にあります。

 

●吉良県議 減少傾向といっても、圧倒的多数、5割、それから7割近くの教員が一日8時間を超して10時間以上も勤務している違法な実態を10時間なら合法ですと追認する役割をこの法改正と、それに準じる条例はもっています。文科省の2016年実態調査で45時間以上は小学校が57.8%以上、中学校では74.2%以上に上ります。

◆更に、年360時間で線を引けば、小学校で81.8%以上、中学校では89.0%以上の教員が上限ガイドラインをオーバーしています。本県で年360時間オーバー、月30時間になりますけれども、オーバーの割合はどうか、お聞きいたします。

 

○教育長 年間を通しての勤務時間の把握がまだできておりませんので、今年度校務支援員を配置しております、先程の30校に対しまして、昨年6月から12月までの期間を対象に行った調査において、時間外在校等時間が年360時間としたときの一カ月の平均である30時間を超える教員の割合につきましては、小学校が65.7%、中学校が78.1%となっております。

 

●吉良県議 ありがとうございました。

これも相当な超勤です。変形労働時間制は過酷な労働条件であるため、過半数労働者の合意、労使協定なしには導入できません。そして、地方公務員への運用は規定されておらず、学校現場には全くふさわしくないものです。また、あらかじめ一人一人の労働日と各労働時間を書面で決める事が定められ、毎月毎年の計画提案と事後処理は膨大な事務量仕事量増加となります。そして、厚労省通知では「恒常的な残業がない事が導入の前提」とされています。

◆本県の過去2年間の教員の労働時間は、恒常的に残業があり、変形労働時間制導入の根拠がないと判断するものですが、教育長の認識をお聞きいたします。

 

○教育長 変形労働時間制導入の条件としましては、これまでの文部科学省の説明では、指針の上限時間等を遵守していることなどとされていますが、まだ文部科学省からその詳細が明らかにされておりません。例えば、制度導入の単位が、学校単位なのか個人単位なのか、それから上限遵守の範囲が学校単位なのか個人単位なのかなど、これらについて、今後3月中には提示される予定の国からの通知を今待っておる状況でございまして、現時点ではその導入の条件が整っているかどうかということについては、判断ができない状況でございます。

 

●吉良県議 いま社会がですね、解決すべきことは、平日一日平均12時間近い教員の異常な長時間労働を解消して、ゆっくり子どもと向き合い学力保障や生活指導ができる時間的ゆとりを学校と教師に保障するということだと思います。その趣旨からいいますと、「変形労働時間制」は、平日の所定労働時間8時間を2時間も長くするかわりに、夏休みに5日間程度の休みをまとめ取りできますよ、という制度です。

萩生田文科相が先の「労働時間縮減」を前提にとの発言の一方で「教師の業務や勤務が縮減するわけではない」と、あけすけに語っている通り、残業と呼ばれる時間数を、線引きを変えることで残業と呼ばせない、そのためのからくりともいえるものです。これは、子どもたちと向き合う時間が増える取り組みではございません。

昨年、変形制導入をめぐる審議が国会で始まった際に、全国で7市町村議会が制度導入のための法改定をしないよう国に求める意見書を出しています。そして、その7つの内の4つは、なんと本県の四万十町、日高村、中土佐町、須崎市の議会です。それに加え、土佐町議で教育研究者の鈴木大ゆう氏は「都道府県で条例が作られてしまう前に市町村からノーの声を上げる意見書をだそう」とネットで呼びかけ、31都道府県600人もが参加し条例制定しないよう働きかける活動も本県から起こっているのです。また、「変形労働時間制」を撤回させようとネットで緊急署名を集る運動も全国的規模で広がっています。

昨年の12月、本県の半数の教職員と児童生徒数を擁する高知市の教育長は、市議会での我が党の浜口かず子市議の質問に「市教委が策定した働き方改革プランに沿って勤務時間の縮減を図ることが第一と考えているので、現時点では変形労働時間制の導入は考えていない」と明言しています。

◆文科省の通知では、本年6月か9月議会に、一年単位の変形労働時間制導入を可能にする県条例を制定、と示されていますが、このスケジュールは見送るのが現時点では妥当と考えるものですが、教育長のお考えをお聞きいたします。

 

○教育長 県教育委員会としまして、変形労働時間制の導入について、導入するのか否か、また仮に導入するのであれば、その導入時期も含めて、今後検討することとしております。今月中には先程申し上げました国からの省令の制定や、指針の告示とともに、条例規則の例が提示される予定でありますことから、国から示される情報を踏まえて、学校への意向確認、それから職員団体等からの意見もお伺いしながら慎重に検討を進めていきたいというふうに考えております。

 

●吉良県議 本人あるいは学校からの申告がないと、これは出来ない制度ですね。現時点でやりたいというような声は何一つあがっておりません。

 これは政府・文科省が、あるいは政府与党が、お金がかからずに、現場の労働時間、残業時間を減らすような恰好ができるということで強行したものでございます。ぜひ、現場の声をしっかりと聴いて、文科省の声だけでなくて、判断をして頂きたいと思います。

 ちなみに福島県の二本松市、あるいは北海道の赤平市、そういうところでは、変形制導入よりも教員定数を増やすなど抜本的改革を行うことがより効果的であると考えているとして、導入については見送る発言を市長の皆さんもしております。

 こういう他都市の動きもかんがみながら、ぜひ、慎重な検討をしていただきたいと思います。

 

【教職員の定数】

●吉良県議 次に、教職員の定数について、お聞きいたします。

学校現場の深刻な状況、基本的矛盾は、授業に比して2割も少ない教員定数で、以前よりも膨大な業務をこなしている事につきます。「一升徳利に2升は入らぬ」そのことは自明の理です。まずは先生を増やすこと、持ち時間数を減らすこと、そして国や県教委が現場におろしている施策、業務の徹底した削減を行うことではないでしょうか。

教職員定数や教職員給与費負担は学級編成数で決められます。私共は、この15年近く、見直しをせず全国でも遅れたものになってしまった本県高学年の学級編成基準は改善すべしと、毎年のように求めてきました。そして、やっと来年度より、小学校5年生の35人学級、これがはじまることになりました。これは評価をするものです。他県に追いつくよう、小学校6年生へとさらに広げる事を引き続き求めておきたいと思います。

標準定数を依然見直さない国に代わってじゃあ県で何ができるかと、いうことをさぐっていきたい。それは、まず、算定基礎定数=国庫負担定数を一人もこぼすことなく、現場に配置しつくすことではないでしょうか。

しかし、本県は「教職員実数が算定基礎定数よりも少ない」配置となっている数少ない県です。昨年指摘したとおり、2016年の小中学校の定数充当率は98.4%、そして2018年は98.9%で、人数でいいますと87人配置不足となっています。全国67都道府県・政令市の中で、100%以上を配置している都市・県は60都道府県・政令市で、本県は全国最下位の配置率の県です。2019年調査でも最下位のままです。

◆なぜ、このような不都合な事態が改善されないまま繰り返されるのか、教育長におききいたします。

 

○教育長 教員の配置が算定基礎定数に達してない状況の大きな要因は、近年大幅に増加しております退職者数に見合った数の教員の採用ができていないということにあります。これまでも可能な限り、新規採用者を拡大しておりますが、ここ数年は採用試験において、毎年、県教育委員会が求めます一定の選考ラインをクリアして採用できる数が、再任用なども合わせて、退職者数の補充に見合うだけの人数を確保することができていない状況が続いています。また正教員で補えない分は、臨時教員を配置しておりますが、近年新規採用数を増やしてきたことで、これまで臨時教員を希望して下さっていた方々が正教員として採用になり、既卒の臨時教員志望者数が大きく減少している状況もございます。

 

●吉良県議 はい。退職者数の多さと、まあ、需要と供給のバランスが、悪くなったということだろうと思います。それはそれで事実として認めたいと思います。

職種別で見ますと2013年までは特別支援学校、そして養護教諭、事務職員、栄養職員が定数に達していなくても、教壇教員、教員については60人前後ずっと定員より多く県教委は配置をしていました。しかし、2014年に12人へといきなり減って、2015年から一転して50人前後の不足へと転落し、都合2年間で100名もの教壇教員の数が減っております。同時に定数充当率も2015年からずっと100%を切って今に至っています。学力保障や不登校、そして、新学習指導要領による小学校英語、あるいはプログラミング教育等々業務量が増えるなか、子どもと直接向き合う教壇教員の確保は極めて重要です。

◆まずは教壇教員から充足率を満たす必要性があり、そしてそれを急ぐべきだと考えますが、教育長のお考えをお聞きいたします。

 

○教育長 教員の確保にはですね、最優先で取り組むべきという認識でおります。これまで、教員定数の充足率を満たしていくために全国で一番早い採用審査や、県外会場での採用審査を実施するなど可能な限り、まず受審者数を確保をしてまいりました。

 また、再任用につきましても、退職される教員に粘り強くお願いをしたり、短時間勤務を可能とする勤務条件の緩和をするなどして、可能な限り多くの方々の採用をしてまいりました。

 さらに任用期間を付した正規の教員配置が可能となる制度を創設しまして、来年度からは育児休業代替職員として、任用期間を付して配置するなどを行っていくこととしています。また、県外の正教員に本県の教員特別選考への受審を積極的に呼びかけております。こうしたことを通してより多くの教員を確保する取り組みをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

 

●吉良県議 そういう取り組みの成果が合って、少しですね、良くなってきているということは認めたいと思います。

 その他に、県教委として、何ができるのかということを考えていきたいと思います。

その新学習指導要領の実施によって、小学校3年生から6年生は授業時数が35時間もふえます。そして4年生から以上は、4、5、6は、1015時間と、中学校と同じ時数になるんです。4月からの子どもも教師も今以上に追い立てられ余裕のない学校生活が目に見えてきます。

もともと、教員定数は、一日8時間のうち4時間は授業で使い、あとの4時間を、授業の準備や整理、生活指導、校務一般とし教科外指導と位置づけ、4時間×6日、週24時間の4時間×6日、週24時間の授業をする事を基準にして、1958年、それに対応する教員の定数を算出し決めたものです。ところが、学校週5日制になって、日数が1日減っても時数を減らさず、教員は増やさずという文科省の政策で教員の授業時数が増え、子どもたちも毎日6時間、7時間と授業に追い立てられる授業数となっており、今また、英語、プログラミング等々で時数が増えてまいります。授業という教員しかできない業務のところで長時間労働の根本が作られて、学校と子どもたちからゆとりを奪いストレスを生んでいます。

それを解決する道は、時数に見合う教員を配置する以外にはありません。特に、高学年は専科教員を配置しないとまさにオーバーワークで教員がつぶれます。そのためにも学級数に乗ずる数でうみだされている教員数を充て指導主事などに流用せずに、当該校・現場にきちんと配置すべきです。本県は先に触れましたように充当率が全国一低いにもかかわらず、教壇に立たない充て指導主事の割合が逆に全国一高いという奇妙な配置政策をとっています。2018年調査によると、定数に占める充て指導主事の配置率は全国一高く、2.5%超、人数でいうとなんと118人もの教員を現場からはがして事務局などに配置しています。ちなみに、高知県に次いで高い率という秋田は、これは高知県の4分の1のわずか0.7%で、71人です。全国平均は0.4%ほどですから、本県の異常さが際立っています。

◆新学習指導要領実施に対応し、充て指導主事の配置を見直し、教壇教員として本来あるべき学校現場へ返すべきです。教育長にお考えをお聞きいたします。

 

○教育長 本県の小中学校全教員の内、県および市町村教育委員会事務局の指導主事の占める割合は、全国でも高い状況にございます。この要因のひとつは、本県は東西に長いという地理的条件を持ち、また中山間地域に小規模学校が多く点在するといった事情がありますことから、学習指導要領の徹底や学校支援のために各エリアに教育事務所や市町村教育委員会、一定数の指導主事を配置しなければならないという事情がございます。

 また、本県の小中学校は、学力課題や不登校等の問題を抱えておりまして、この解決をはかるために県の教育振興基本計画を推進し、市町村教育委員会や各学校の取り組みを支援する必要から指導主事を増員してきたということでございます。

 高知県の現在の状況からいたしますと、指導主事の配置数を当面維持する必要があるというふうに考えております。

 

●吉良県議 そうはいっても、この充て指導主事の比率の高さというのは異常です。

 例えば、東京都、これは、高知県の20倍の人口をもっております。そこでは200人ですよ。あの多い中で、それくらいの人数の指導主事で足りるんです。今、問題は、現場で、学力上含めて、先程申し上げましたように、子どもたちと接する教員数が足りないんでしょう。教育長にあらためてもう一度お聞きいたします。昨年2018年、本県でいわゆる一カ月以上代替未配置の数、小学校、中学校、それぞれ何件あるか、今わかりますか。

 

○教育長 ちょっと古いデータになりますが、令和元年12月1日の未配置の状況が手元にありますので、それでお答えをいたします。

 小学校では、11校11件、中学校では、7校7件、計18校18件の未配置が、昨年の12月1日現在で発生をしております。

 

●吉良県議 その数があれば、その数だったら、学校で教えることができるんですよ、行政の職員じゃありません、当然、配置改革を行うべきではないですか。どれだけ現場が困っていますか、今私がもっているのは2018年ですけれど、これは小学校が53件、53人足りないんですよ。これで四苦八苦している。みんなが探し求めている。子どもの授業ができない。指導主事が行って、現場で一緒になって教えたらいいでしょうが、行政職の実務的なことは、行政職の方に移行していくという方針をやはり今つくるべきです。中学校だって、16件、16人、一カ月以上全然配置できないわけですから、ぜひ、そこのあたりの、これもうずいぶん長いと思います。さっき私がいった秋田だってものすごく広いですよ、それでもわずか70人で回しているんですよ。そういう事例をしっかりと研究して、やはり、緊急に現場に本来、学級数に関わる乗数で係数が出てそれを学校に張るべき人数を利用しているわけですから、子どもたちの下へ戻すということが必要だと思います。

◆そのことを検討して頂きたいと思いますけれど、再度、教育長、お考えをお聞きします。

 

○教育長 高知県の現状、そういったものをふまえながら、そういった指導主事、それから現場の教員の数なんかですけれども、検討はしていくということを行っていきたいと思います。

 

〇吉良県議 現場の困難さについて認識が良くない。学力向上いいますけれど、実際に教える教師がいないと学力向上なんてできないんですよ。実務をやっている教員がいるでしょう、教員免許を持っている。当然、それを現場に変えるということを今すぐにでもやるべきだということを強く求めていきたいと思います。

 次へ移ります。

中教審は、働き方改革に関する答申で、教育課程の編成・実施に係わる標準授業時数の在り方について「指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施することは教師の負担増加に直結するものであることから、このような教育課程の編成・実施は行うべきではない」と指摘して、「児童の負担過重にならない限度」「標準授業時数から105時間」と示しています。本県でそれを超えているのは小学校・中学校全体の約20%と昨年教育長は示されています。大変多い授業時数を行っております。教育課程の編成権は学校にあり、委員会としてそれを侵害することはできませんが、この答申の趣旨を現場に生かすべきです。

◆105時間を超える学校への対応について教育長におききします。

 

○教育長 県内の多くの学校では、台風による災害等不測の事態が生じても標準授業時数を下回ることのないよう余剰時間を加えて教育課程を編成しております。また、特色ある教育活動を実施したり、教育課題の解決をはかるために、授業時数を多く設定し、結果として、標準授業時数を105時間以上上回る学校も見られています。この新学習指導要領の実施にあたっては、効果的なカリキュラムマネジメントを行い、適切に授業時数を確保することが、重要であるため、管理職を対象とした研修も行っております。また、標準授業時数大幅に上回るような学校に対しては、より良い教育課程の編成等実施に向けまして、学校業務の精選や適切な授業時数管理のあり方について当該する市町村教育委員会とも相談しながら、対応していきたいというふうに考えております。

 

●吉良県議 その20%は、今、現時点で再調査を2年にいっぺんということで、ないかと思いますけれど、昨年どのような指導を行ってきたんですか。具体的にちょっとお教えください。各市町村教委も含めて。

 

○教育長 基本的に20%を超えるものについては、超えないようにというお話がございましたので、そういったことにつきまして、105時間ということを意識した取り組みをしていただきたいというようなことを市町村教育委員会の方とお話をさせていただいております。

 

【ビキニ被災船員の救済】

●吉良県議 はい。次にうつります。ビキニ被災船員の救済について。

県が今まで取り組んでいる健康相談会とシンポジウムについてお聞きいたします。

県の「ビキニ環礁水爆実験健康被害支援に関する事業」の目的は「ビキニ環礁水爆実験に遭遇した元乗組員の被曝による健康被害に対する支援に向けた取り組みを行う。」(予算見積書より)としています。であるならば、まずは対象となる1954年当時に県内に船籍を置くマグロ船とその乗組員を把握することが絶対条件です。そうやって初めて、目的に明記された支援に向けた取り組みができます。2015年から16年にかけて3か所で県が実施した健康相談会は、市町村の協力で市民に周知され、放射線医学専門家が来られる期待から多くの参加を得ることができました。

◆まずは、3年前に参加し、さらに個人的な健康相談に応じた船員と遺族の皆さんには、その後の様子もうかがいながら丁寧に声をかけ健康相談を受けて頂くように取組まれるべきだと思いますが、健康政策部長におききします。

 

○健康政策部長 はい。今年度の健康相談は、11月から開始をしまして、県のHPの掲載ですとか、市町村、あるいは福祉保健所に案内のチラシなどを、配布をして周知をしまして2名の方から申し込みを受けて、この方々については相談を、実施をしております。

 その後、今、議員からお話がありましたように、前回の健康相談会にこられました、のべ30名の方の内、県の方で住所氏名が把握できている14名の方に、これは直接お声を聴くということはできておりませんけれども、個別に文書でご案内を差し上げたところでございます。その結果、宛先不明で帰ってきた件数などもございますけれども、新たに4名4件の申し込みをいただいております。で、結果的にはコロナウイルスの関係で今年度は実施をできておりませんけれども、来年度またできるようにしたいというふうに考えております。

 

●吉良県議 今回の相談会開催にあたっては、太平洋核被災支援センターが5月ころから県に働きかけてきたわけです。しかし、その後夏を過ぎても秋になってもいっこうに動きが分からず、さっき11月とおっしゃいました、やっと11月になって、それも末になってチラシができて配布となっています。案内チラシが役場どまりになっているということで周知が徹底されておらず、その内容も、地域の医師に相談をと非常に漠然としたもので疑問と不安であったということが、その2件と4件ということにあらわれていますね。

ある被災船員の娘さんからセンターに対して、「父は足が弱くなり相談にはようでむかんといっています。どうしたらいいかわからなかったので、かかっている県民病院で言おうと思っていましたが、それも、その先生からどういわれるか分らないので、言えなかった。」と電話があったそうです。それでセンターの方から、「これこれこういう先生は被災船員の事をわかっているので安心して相談を」とお話したら、やっと申し込む気になって、そういう申し込みにいたるようなこともあったということです。元マグロ船員や遺族の方々はチラシを見ただけでは相談に行ってみようとはなりません。先程4名の方は、それにかけて、きちんと私信を出してということだったと思うんですけれども、最初の2名も実はセンターの方がお声をかけて申し込みをするに至ったわけです。やっぱし、フェイストゥフェイスで、しっかり寄り添っていくということが、必要だと思います。

その健康相談会の在り方、3年前に非常に県と市町村の協力がうまくいって、同会場で生活相談会も、支援センターの方もいっしょになってやろうということもあって、専門家の3人の先生が来て、そのお話を聞いて、そして安心して、その後の健康相談会にも参加したと、個人的にね。船員だとか遺族の方が。そういうことで非常に励ます会となって大成功だったと思いますよ。

◆その3年前のあり方を今回も同じようにして、行うべきだと思います。来年もやるかと思いますけれど、その取り組みについて、再度、健康政策部長にお聞きいたします。

 

○健康政策部長 はい。前回の県庫相談会は、おっしゃられましたように講演会などとあわせまして、室戸、土佐清水、高知の三カ所で開催をいたしましたけれども、この間、元乗組員の方から高齢になって少し会場に出向くことがむずかしいとか、あるいは、かかりつけ医に自分の思いを理解してもらった上で診療してもらいたいといったようなお声も伺っておりましたので、今回は地域のかかりつけ医の方々にご自宅に出向いて行うことも想定をした個別相談の形式とさせていただいたところでございます。

その地域の医師に対しまして、ビキニ環礁水爆実験の事実なども含めて、少し事前にご説明をしてご理解いただくような時間もございましたので、11月からの開始というふうになったものでございます。相談をすでに受けられた2名の方からは相談を受けてよかったと、受けられてよかったというようなお声もきいております。今後の健康相談につきましては、今年度のように地域のかかりつけ医などが個別に相談対応するやり方が元乗組員の方にとってよいのか、あるいは前回のように少し集まっていただくような形の方がいいのかなどについて、さらに乗組員の方などにもご意見をいただきながら、検討をしたいというふうに考えております。

 

●吉良県議 次にシンポジウムですけれども。

 「ビキニ環礁水爆実験の被災者の支援」としての本企画シンポジウムは、県内の被災者の支援に向けてとても大事なものだと、私たちも注目をしておりました。県としてもそのことを踏まえて、270万円余で予算化し、プロポーザル方式で、研究者などによる選考委員会を組織して、内容を含めて決定すると昨年5月15日、私も出席したセンターとの説明会で課長がご説明してくださいました。その後、プロポーザルの実施をと何度も提案・要請したわけですけれど、一向に示されずに年が明け、いくら何でもと開いてもらった1月23日の説明の場で課長は「プロポーザル方式の理解を間違って説明した」と年度末残り二ヶ月しかない時期に突然言い出し、予算見積書にあるプロポーザル、これは何らそれまで積み上げてきたその説明、あるいは懇談会を行ったセンターにも通知せずに、3月17日平日決行の事務処理を行ったことは、私は断じて許せるものではないと思います。

予算見積書と異なる変更、あるいはそれに沿った当該団体との交渉で疑問に思った事、これをしっかりと踏まえて、行うべきです。

◆どのような会議で決裁されたのか。健康政策部長にお伺いいたします。

 

○健康政策部長 シンポジウムにつきましては、予算見積もりの段階でシンポジウム開催委託料として、委託先未定、契約方法は随意契約(プロポーザル方式)というような恰好で計上をさせていただいておりました。このシンポジウムの内容そのもの全て一切プロポーザルで、受注業者にお任せするのではなく、企画内容は県が決めまして、会場の設営ですとか、あるいは集まって頂く方に対する広報とかそういったものを、お願いをするということでプロポーザル方式をとろうということにしていたものでございます。結果的にプロポーザルを実施をいたしまして、委託業者が決まってその手続きとしましては、12月9日に、県の競争入札参加資格に登録をされている営業種目に、広告代理とかあるいはイベントの運営といったものを掲げられておりました業者23社にそれぞれご案内をさせていただいて、12月23日の段階で、説明会に4社が参加をしてくださいまして、最終1月9日の審査委員会で委託をしたところでございます。この内容に関しましては、太平洋核被災支援センターの方々ともその間協議もさせていただきながら、全てのご要望にはお答えすることができていなかったんですけれども講師の中に広島大学の名誉教授の先生をお呼びするといったようなことなんかも、そうした協議の中で決定していったというような状況でございます。

 

●吉良県議 それは、後付けですね。この277万4千円のこの事業中身というのは、ただたんにシンポジウムをやるということでは書いてないですよ。1年を通して、こういうふうに書いている、シンポジウムの開催の隣に、「関係者の自発的な調査研究を促進」あるいは「被災に関する文献、資料の収集保存」、そして資料収集については「関係者や機関に、被災者証言や記録の収集、アーカイブ化を働きかける」。

◆これ1年を通してやるというんですけれども、ここに書いてあること、どういうことを具体的になさったんですか。予算書というものはそういうものですか、予算見積書。ちょっとお答えください。

 

○健康政策部長 予算を見積もった時の意図としましては、シンポジウムを開催し、お集まりいただいた方々、それは少なからずそうしたものに興味がある方ですとか、ひょっとしたらこれまでの調査の中で探れてない方がご参加いただけるケースも少なからずないわけではないということから、そうしたもし資料があればそうしたものを、ぜひ、ご提供いただきたいとか、あるいは貴重なものは保存をよろしくお願いいしたいといったようなことも含めてお願いをする場にしたいというのが、シンポジウムの開催の目的であったわけでございます。

 

●吉良県議 それを3月まで、なにもやってないでしょうがね。予算見積書とはそういうものですか、やるからということで予算を計上したんじゃないですか。そんないい加減なものじゃ困りますよ。それから、やはり、この間ずっとさっきもありましたが、センターとひざを突き合わせて話をしてきたわけですね。プロポーザルをやるならば、こういうことでやりますよとだって企画書もだしているわけですから、部長もいってましたよね。4社だけじゃなくって、やりますからとぜひ参加してくださいというのも筋じゃないですか。なぜ、伝えなかったんですか。そして、なぜこの1年間をかけてやるということを全然やらずに、いきなり3月17日やるってことになったんですか。

 

○健康政策部長 取り組みそのものは、確かに、おっしゃられるように、もう少し早くでき

たら良かったという反省はございます。シンポジウムを通じて、シンポジウムの場で呼びかけることが、事業の目的であったということが、まず1点でございます。繰り返しになりますけれども、そのプロポーザルで決定をしたのはあくまでも、会場の設営ですとか県民の方々への公報とか、そうしたものを少し手助けをしてもらうための業者を選ぶとそういうことで、企画そのものは県自らが決定をするという方針の上で実施をしてきたものでございます。

 

●吉良県議 普通、プロポーザルというのは内容が専門的だから、それをもってもっと良いものにしてもらうということをやるのがプロポーザルと私は理解しております。ただ単に実務的に運営なんかを、これ随契じゃないですかこんなのは。その考え方自体が私はおかしいと指摘をさせていただきます。

いずれにしても、66年間を経てやっと2014年に資料が出てきて、そして高知の地裁も高松の高裁も被災というものを認めて、被ばくしているということを認めて、この66年間のこの思いをもった被災船の方々、これはやっと自分の人生の中の、あの触れられなかったことが今言えるんだということで、勇気を振り絞って、この間の県の助力もありますよ、やってきた、それに対してもう少しその被災の方々の心に寄り添う取り組みをしてほしいと思います。

 宿毛市から今度申し込みをした2人のうちのおひとり残念ながら、直前にお亡くなりになりました。肝臓の方が悪くて。それから増本和馬さん(ビキニ原告団代表)、増本和馬さんも亡くなりました。今度新たに3月30日をめどに、船員保険適用を求めて、船員の方4名、そして遺族の方が5名、それと後プラス3人ぐらいになりますけれどもね、自分たちのその思いを込めて、今度は協会けんぽに対して裁判をかけようと、最後の人生をかけて、高知家の皆さんが頑張っているんですよ。その思いに応えるためには、一年間もっとはやく健康相談会も8月とか9月くらいにやるべきです。次々と、亡くなっていきますよ。3月なんてやっているから、結局コロナの関係でできなくなったでしょう。はい、そういうことで、指摘をして。

◆今度仕切り直しをして出直していただきたいというふうに思うんですけれども、今までの取り組みについてもう一度次回にむけて健康政策部長にお聞きします。

 

○健康政策部長 今年度実施を予定しておりましたシンポジウムにつきましては、残念ながら新型コロナウイルスの関係で、中止をせざるをえない状況になりました。現時点で、今後の感染者の先行きに不透明なところはありますけれども、来年度に改めて仕切り直すということで、私としましては、議員からいただいたご意見なども十分にふまえて、開催に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

 

●吉良県議 はい、ありがとうございました。

2018年9月議会で、尾﨑前知事は3点にわたっておっしゃっております。特に、太平洋核被災支援センターが提起しました(被災者救済の)法的な枠組みについては、これはやっぱりチームをつくってやっていただきたいということ、これも県の方も取り組んでやっておりますけれども、まだ1回だけということですね。ぜひ、それを継続していくためにも、担当窓口を、健康政策部がやっぱり専門的な方ですけれど、法的な方の窓口である総務部法務課をチーム長とするプロジェクトと位置づけていただきたいと思うんですけれども、そのことを最後にお聞きをいたしまして、私の質問といたします。(時間超過のため、答弁なし)