議会報告

【テーマ】

・女性差別撤廃条約と男女共同参画、ジェンダー、性的マイノリティについて

・男性の育児休業について

・学校給食の安全性について

・保育園の粉ミルクについて

 

【女性差別撤廃条約と男女共同参画、ジェンダー、性的マイノリティについて】

●中根県議 今年は女性差別撤廃条約が国連で採択されて40年になります。日本を含めて、国連加盟国197カ国の中で189カ国が批准するこの条約は、国際文書として初めて、男女の固定化された性的役割分業の見直しを高く掲げて、法律上だけではない事実上の人間の平等を目指すものです。

1985年に世界で72番目の加盟国となった日本の批准国会で、当時の安倍晋太郎外務大臣は、「条約は男女について母性保護以外はすべて平等であるという立場をとっており、これまでにない、きわめて画期的な考え方ではないかと思っている。いわゆる基本的人権というか、人間の尊重、尊厳をはっきりうたった包括的な条約であって、日本もこれに加入することによって条約の趣旨を生かして、今後日本に残っている問題を解決し、条約の趣旨が完全に履行されるよう、努力していかなければならない」と述べています。そして、「条約を締結した以上は、これを誠実に実行しなければならぬ義務が、国際的にも新しく付与されるわけで、まだまだ国内法の体制などについても十分でない点がある。・・略・・この条約が完全にその目標を達成するように、まだ時間はかかると思うが、腰を据えて取り組んでいかなければならない」、そう決意を語っています。

そのすぐあと、1988年の最初の女性差別撤廃委員会審査で日本政府は、1985年につくられた男女雇用機会均等法に「女性に対する育児のための便宜供与」の規定を入れたことを意気揚々と報告しましたら、委員から、「それは女性差別です。」といわれぎゃふんとなりました。女性だけが育児の責任を負うという仕組みはだめだといわれ、1991年に男性もとれる育児休業法ができました。日本の到達が、世界の高い到達にただされるということで、よりよい制度が作り出された一例となっています。

20年後、これでは不十分だとして国連総会で女性差別撤廃条約の実施を促進するために、個人からの通報を認める「個人通報制度」と、締約国の選挙で選ばれた女性差別撤廃委員会の委員が締約国を調査する「調査制度」を入れた女性差別撤廃条約選択議定書が採択をされました。それからまた20年たった現在ですが、112か国が批准していますが、日本政府はいまだに選択議定書批准を棚上げにしている状況です。県からも、国に対して声を上げるべきではありませんか。

国際女性の地位協会会長の山下康子さんは、今年の3月「女性差別撤廃条約選択議定書」の批准をすれば日本はどのように変わるのかに答えて、「批准をするということは・裁判所が女性差別撤廃条約を裁判に適用するようになる。・国会が性別に基づく差別的法制度を見直し、差別をなくすための法整備が進む。・国や地方自治体が差別された個人を救済するための方策をとるようになる。・個人やNGOが、ジェンダーに基づく無意識の偏見や差別をなくすために、条約を活用して世論を喚起できる。・ジェンダー平等と女性の権利の国際基準が日本女性のものとなる」、と述べています。意識と認識を変える大きな力になると思います。国際社会の流れに沿って、高知県でも誰もが安心して生活できる環境を整えていこうではありませんか。

◆男女共同参画本部長として、この12年間取り組んでこられた知事の選択議定書批准への認識や思いをお聞きいたします。

 

○県知事 この男女共同参画社会の実現というのは、大変重要な課題である。これは言うまでもないことであります。県において、高知男女共同参画プランに女子差別撤廃条約の周知をはかることなども位置づけるなど取り組んでいるわけでありますが、そういう中に置きまして、この女子差別撤廃条約選択議定書、この批准に関してはですね、やはりこのポイントとなっていますところの、個人通報制度の受け入れの是非、やはりここについての議論を要するものとそういうふうに考えております。今、各方面から寄せられている意見もふまえつつ、国において真剣に検討を進めているところだと承知をしているところですけれども、条約に関する事柄でもありますので、国の動向を注視すべきものとそのように考えております。

 

●中根県議 女性差別撤廃条約ができて40年、そしてこの選択議定書ができて、20年、いつまでもゆっくり待っていたのでは、人生が終わってしまう。そんな感覚が致します。何の障壁もないのだと、いうことを国会のなかでも、外務大臣などが述べていらっしゃいまして、やはりこれは色んな所から、意見を出していく必要があるのではないかと思っています。選択議定書ができたのと同じ1999年に、日本では男女共同参画社会基本法が成立をし、政府にも担当大臣が置かれましたけれど、この20年、日本のジェンダー平等は大きく進んでいるとは言えません。高知県男女共同参画社会づくり条例のもとで、県の男女共同参画プランがつくられて、5年ごとの改定を行ってきました。

◆この12年で、どのような変化をつくりだしてきたという認識のなかで、課題をお持ちなのか知事に伺います。

 

○県知事 このこうち男女共同参画プランに基づいて、意識を変える、場を広げる、環境を整える、この3つのテーマを掲げて、啓発、研修等のさまざまな取り組みを進めてきたところであります。一定、男女共同参画に関する認識は広がってきているところはありますけれど、まだまだであって、さらに取り組みを強化する必要がある。そういうところだろうと思っています。実際のところ、平成16年度と26年度で比較した男女共同参画社会に関する県民意識調査、これで比較しますと、男女平等と感じる県民の割合は、職場において23.1%から、32.7%まで約10ポイント増加。学校においては、62.5%から71%と、9ポイント増加ということであります。増えてはいますが、しかしまだまだだろうというふうに思っています。

 他方この高知県の女性仕事応援室、これはきめ細やかな就労支援など、行ってきたわけでありますけれども、そういう中で、三カ月以内の就職率が、開設した平成26年度の45.8%から、平成30年度には65.5%へ増加したこととか、ファミリーサポートセンターの設置が、19年度一ヶ所だったのが、現在十カ所になるなど、一定子育てしながら働いていくということについての、サポートの体制も整いつつあります。

 結果、育児をしている女性の有業率が平成24年度から29年度で比較すると、65.2%から80.5%と約15ポイント増加しているところではあります。ただ、一定進展は見られるもののやはりさらなる取り組みが必要な状況と思います。

 さらに言えば、育児休業などとか、制度的に性別に関係なく利用できる制度、これが男性の取得が少ない状況になっていること、こういうことなどもまだ課題として、上げられるのではないかと思っていまして、こういった面の取り組みも、さらに進めていく必要があるだろうとそう考えているところです。

 

●中根県議 ありがとうございました。色んな意識をお持ちのことと思いますけれど、限られた時間の中で、お話をしていただきましたが、正規の雇用などの中で、男性も女性も、子育てに関わる人たちが、しっかりとした子育てに関われるようなそんな環境をやっぱり整えていかなければならない、そんなふうにも思います。

このこうち男女共同参画プランでは、先程おっしゃったように、意識を変えること、場を広げる、意識を変える、そして環境を整えるこういう分類をして、努力をしてきましたけれど、多様性を大切にしながら施策を推進する点でいえば、私は、県庁の庁議の場にもっと多くの女性が登用されればなと思うこともしばしばです。選択的夫婦別姓や事実婚などの婚姻のあり方など、一貫して国連から指摘されている民法の改定も追いついていません。実態に即した法律にしてほしいという願いはいまだに実現しないままでございます。

たくさんの課題のなかでも、多様性に対して開かれた、スピード感を持った、40年20年などといわないような、そんな施策が今求められています。

先進国のなかでも、日本が極端に遅れている課題の一つにLGBTに対応する性的マイノリティ問題があります。社会の意識を変えるために、研修を重ねるとともに、徹底して行政の書類や申請書から必要のない性別欄をなくしている堺市の例を2016年の吉良議員の質問でも取り上げました。性的マイノリティへの差別をなくして、尊厳をもって生きることを求める運動が広がっていることは、日本社会の希望なんですけれど、国会では、昨年12月にも「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」が4つの政党の共同提案で提出をされています。

◆そこで高知県での性別欄に対する配慮について、どのようになっているか、文化生活スポーツ部長に伺います。

 

○文化生活スポーツ部長 県では申請書等の性別欄につきましては、事業を行いますそれぞれの団体において、法令に基づいて必要性を判断しているところであります。事業を実施する上で、性別情報を記載する必要がなければ、様式の見直し等をしているところであります。

 また、アンケート等におきましても、性別欄を自由記載とする事例がありますなど、柔軟な対応をはかっているところです。

 なお、県内では、香南市において、性別欄を廃止した公文書があるとお聞きしております。

 

●中根県議 それを県が始めたということは、大変良いことだと思いますけれど、それを全県に広げていきたい。こんなふうに思います。

◆次に性的マイノリティ問題の研修の状況はどうなっているでしょうか。文化生活スポーツ部長に伺います。

 

○文化生活スポーツ部長 こうち男女共同参画センター・ソーレや、人権啓発センターの方におきまして、平成26年度から、性的マイノリティに対する正しい理解と認識を深めるための、一般向けの研修を実施しております。また、人権啓発センターが行っております講師の派遣事業、派遣研修では、LGBTをテーマとした研修をこれも実施しておりまして、平成29年度には、7件でございましたが、30年度には30件と大幅に増加をしているところでございます。

 また、人権問題に関する県庁内の職場研修というものがございますが、平成30年度には、20の所属が性的マイノリティをテーマとして実施をいたしました他、毎年度県職員と市町村職員を対象に、実施しております男女共同参画に関する研修、そちらのほうにおきましては、平成29年度性的マイノリティをテーマとして取り上げて実施をしたところであります。

 

●中根県議 それでは、性的マイノリティに対する電話相談窓口、これがソーレの中にあるというふうにおききをしていますけれども、こうした窓口があるということを認識できるような広報活動なども積極的にすべきではないかと思いますが、文化生活スポーツ部長お願いいたします。

 

○文化生活スポーツ部長 性的マイノリティに関する電話相談ということに関しましては、今、ご指摘がございましたソーレ、それと人権啓発センターの方も窓口として対応させていただいております。ただ、一般になかなか周知されていないという実情もあります。さらに、このことは、広報誌やホームページ等でしっかりと県民のみなさまに周知をはかってまいりたいと考えております。

 

●中根県議 ありがとうございました。ぜひ、よろしくお願いいたします。

◆次に学校の男女混合名簿、いまだに100%になりません。どこに原因があるのか、教育長にお聞きします。

 

○教育長 令和元年度に実施しました、直近の調査では、県立学校と公立幼稚園では男女混合名簿の使用率が100%となっておりますが、公立小学校は85.8%、公立中学校は86.9%と前回よりかなり上昇はしているものの、100%には至っていない状況となっております。この要因としては、男女共同参画社会や混合名簿仕様の意義や必要性についての理解が、まだ教職員間で浸透しきっておらず、保健体育それから身体測定などの教育活動や事務処理を行う上で男女別名簿の使用についての利便性が優先されている状況がまだあるというふうに考えております。

●中根県議 ぜひ、もう86%行っているのなら、あと14%近くができないはずがありません。こういうことはただちに行うべきだというふうに思います。ぜひ、啓発をしてください。そして、トイレについて、学校に多目的トイレが必要だというふうに思うんです。公的機関のなかに広がりつつありますけれども、学校は本当に子どもたちが安心して入れるトイレを、優先して作るべきではないかと考えていますが教育長に伺います。

 

○教育長 高知県ひとにやさしいまちづくり条例にもとづく、障害者等に配慮、また支援の観点から、学校を防災拠点や地域に開かれた施設にする観点から、各学校における多目的トイレの設置が徐々にすすんできております。

 また、今年3月に、高知県人権施策基本方針が改訂されまして、性的指向、性自認が県民に身近な人権課題にあると位置づけられ、県教育委員会としても、性的マイノリティへの理解や配慮がすすむよう研修等を通じてとりくんでいるところです。

 こうしたことから、人権尊重の観点からも多目的トイレの整備を促進する必要があるというふうに考えております。

 特に教育面では、幼少期から多様性を受容する意識や、人権感覚を育む必要性があることや、すべての子どもが安心、安全に過ごせる環境をつくるために、学校に多目的トイレを設置することは、重要というふうに考えておりまして、その意義とか必要性につきまして、今後さらに市町村教育委員会や学校に周知していきたいというふうに考えております。

 

●中根県議 予算も伴うことではありますけれども、ぜひ周知をお願いいたします。

 男女の性差にとらわれずに、人間としてより豊かに生きることができるように、ジェンダー問題というのはもっとスピードをあげて取り組まなければならないと思います。今すぐにできることを、率先する高知県の取り組みを求めたいと思います。

◆また、県内のすべての市町村に性的マイノリティ問題の取り組みを広げる手立てについて、知事の考えを伺います

 

○県知事 今年3月に改訂しました高知県人権施策基本方針において、新たに、性的指向、性自認を県民に身近な人権課題に位置付け、啓発研修等に現在取り組んでいるところです。この基本方針では、県は市町村が実施する事業に、高知県人権啓発センターの研修講師の派遣を行うなど、市町村と積極的に連携を図ることとしております。

 また、来年度に改訂予定のこうち男女共同参画プランにおいても性的マイノリティを位置付けますとともに、各市町村でも、同様の視点で男女共同参画プランの策定や、改訂が進められるよう取りくんでいく必要があると考えております。この性的マイノリティに対応した施策、まだまだ不十分であると認識をしているところでありまして、今後も県民の理解を深めるための啓発の実施や相談対応の充実、市町村との連携、こういうことに力を入れていく必要があるとそのように考えております。

 

●中根県議 是非積極的に取り組みをお願いしたいと思います。本当に多様性をどう認めるか、これが人間をどう認めていくかという人権の問題、そして、よりよい社会をつくることにもつながっていくと思っています。

 

【男性の育児休業】

●中根県議 次に育児休業についてお聞きいたします。

都道府県の男性職員による育児休業取得率が2017年度は平均で3.1%と大変低く、政府の掲げる2020年に13%取得という目標にほど遠いことが発表されました。高知県は教員や警察を含めると7.3%だけれど、知事部局では17.1%というふうになっているとお聞きしています。しかし、これは決して素晴らしい数値では、日本全体もそうですけれども、ないと思うんです。

◆対象となる職員の何人に対して何人が取得した形になっているのか、知事部局の範囲で、総務部長にお聞きいたします。

 

○総務部長 知事部局におきます平成29年度の取得率17.1%のもととなる人数ですが、対象となる職員70名に対しまして取得者12名となっております。なお、この17.1%というのは全国上位と認識しておりますし、また、議員からご紹介のありました教育委員会、警察本部等を含めた高知県全体では、全国2位という状況となっております。しかし、率先して推進する立場である公務職場としては、さらなる取得率の引き上げに務める必要があると考えております。

 

●中根県議 全国の成功例では、3年連続100%の茨城県龍ケ崎市の市長が率先して取り組んでいるそういう事例が報告されています。撮りやすい雰囲気を市長が率先してつくって、育休経験者を子育て部門に異動させるなど、まちづくりに生かしている経験とか、イクメン休業の制度を導入して、最初の1ヶ月を有給にして取得期限を迎えた男性社員253人の全員が1ヶ月以上の育休を取得した大手企業など、組織をあげて取り組む報道もされています。

長期休業者に対応するための要員確保について考慮する必要が、私はあると思っています。臨時職員に正職員と同等の業務を担わせるのが困難な状況も生じたりもします。「職場のみなさんに迷惑がかかる。」「とても忙しい、人が足りない中でやすめない」などの声は以前から聞こえてきています。高知市では、2015年に行き過ぎた定数削減を改めて、増大する業務量に対して職員不足になっていることを認めて、人材確保の必要性を示していました。そして、その中で育児休業、長期病休に対しても「臨時を原則とする対応」に加えて、総務部門に「予備定数」を配置し、業務量の増減を含めて、正職員で対応できるようにした、と報告されています。このような体制的な保証を作ることは欠かすことができないことではないでしょうか。

◆知事は育ボス宣言もされて頑張ってこられたと、いう呼びかけをしてきたということをお聞きしていますが、なぜ100%の取得ができないのか、該当者の声を分析して、対応に当たる必要があるのではないかと思いますが総務部長にお聞きいたします。

 

○総務部長 平成28年度に行いました職員アンケートでは、男性職員が育児休業を取得しなかった理由といたしまして、一番多かったのは、「他に育児をする人がいた」が23.2%、次に「上司や同僚に迷惑をかけると思った」21.4%、3番目に「収入が減って家計が苦しくなる」19.0%、となっております。この結果からは、まず育児休業の取得を躊躇する職員が取得できるようにすることが、所得率向上につながるものと認識しております。そのためには、管理職員を含めました周囲の職員の理解や特に育児休業中の職場体制づくりが重要だと考えております。本県におきましては、管理職員におきまして、子どもがうまれる職員と面談を行い、職員の状況等を踏まえて、育児休業中の業務をカバーする体制を整えるよう要請しているところでありますが、今後この面談の時期を早めるなど取り組みを徹底してまいりたいと考えております。

 

●中根県議 続いて、総務省が、業務調整や代替え要員の確保、取得者の体験談の周知などで、職員の不安や抵抗感を軽減するよう求める通知を出しているそうです。

◆総務部長はどのようにうけとめられているか重ねてお伺いします。

 

○総務部長 総務省の通知におきましては、主に次の三点、一点目は、職員が育児休業取得しやすい環境整備に努めること、二点目はトップからの積極的なメッセージ発信や面談の実施を推進すること、三点目として、国では管理職の人事評価に関して、部下職員の育児休業取得にかかる取り組む状況を用いていることを参考にすること、こういったことが示されております。これらのことは、大変重要な取り組みと受け止めております。

 本県においても、これまで、一点目の関係では、育児休業取得しやすい環境整備に向けて、子育て支援の制度等分かりやすくしたハンドブックの作成や育児休業所得職員の体験談の紹介、それからトップに関することとしては、知事の育ボス宣言や育ボスに関するリーフレットの配布、管理職員の人事考課につきましては、次世代育成支援の取り組み状況を評価項目のひとつとしていることなど、この通知に示された項目に取り組んでいるところでございます。

 加えて、議員からお話がありました代替職員の配置、これにつきましては、臨時的任用職員の配置を原則とするのではなく、期間に応じまして、正職員または、臨時的任用職員を配置ということとしております。来年度に向けまして、次期高知県職員子育てサポートプランを策定する中で、総務省通知で紹介されている取り組みや、現在実施中の職員アンケートの結果もふまえまして、現状の取り組みの改善や、新たな取組等について、検討してまいりたいと思います。

 

●中根県議 先ほど、お話がありましたように、だんだんに努力が積み重ねられているように思いますけれども、17%少しの取得率はけして世界水準で高いものではありません。本当に、1980年代の国連で指摘をされたような、そんなところにまいもどるような意識、他に育児をする人がいたから、とそういう意識では、男女共同参画の点では、なかなかOKは出ない、ということを肝に銘じてぜひとも旗を大きく振っていただきたいというふうに思います。

厚労省は、これまでもあった、男性の育児休業取得を促進させるため積極的に取り組む企業への助成制度、こういうのを、来年度はさらに拡充する方向だと報道されています。

◆高知県は中小企業が多くて、こうした助成制度を事業者に広く知らせる必要があると思いますけれど、県としてどのような手立てをとっているのか、商工労働部長に伺います。

 

○商工労働部長 平成30年度の国の全国調査によりますと、女性の育児休業取得者の割合は、82.2%、一方男性の割合は、6.16%と、女性に比べて、大幅に低い状況にございます。こうしたことから、国では男性の育児休業の取得を促進するため、来年度助成制度を拡充する方針を決めています。こういった各種助成制度の周知にあたりましては、国ではわかりやすいパンフレットを作成するとともに、企業訪問や団体広報誌を活用したPRをおこなっており、県でも関係団体への説明会などを行っているところです。

 また、昨年度設置をいたしました高知県働き方改革推進センターにおいて、職場環境の改善など課題解決にむけて、相談をうけるとともに、様々な助成金の活用を企業に促しているところです。その結果男性職員が、育児休業を新たに取得する企業も、出始めるなど、徐々に関心が高まっていると、感じています。

 さらに今後は、今年度創設いたしました、働き方改革実践支援アドバイザー派遣制度により、助成金の活用も含めたより実践的な企業の取り組みを支援し、育児休業の取得を促進してまいります。

 

●中根県議 ぜひとも、社会のあり方そのものを変えていく事業ですから、大変ですけれど、一気に100%になれることが自然であるようなそんな取り組みに、ちからを尽くすようにこうしたことが急がれているというふうに思っています。

 

【所得税法56条】

●中根県議 次に、所得税法56条「個人事業主と生計をともにする配偶者や家族が事業から受け取る報酬を事業の必要経費と認めない」規定についてお伺いいたします。

これは、女性の地位向上と経済的自立を阻む差別を象徴するものとして、2016年3月に国連の女性差別撤廃委員会の勧告が出されて、2017年の11月には日本弁護士連合会が所得税法56条および57条を見直す意見書を公表しました。業者婦人など、家族従業者の「働き分」を必要経費として認めないで、申告の仕方で不当に差別するものです。実は、高知県では、2007年10月に、県議会が決議をして以来12年かけて、この所得税法56条の廃止を求める決議が、全市町村で上がっています。今年7月に最後室戸市が決議をいたしました。県を含め全35自治体で、国への意見書が決議をされた。

 そして、県の基幹産業が、農家や中小業者の多い高知県にとって、地域経済、ひいては地域の活性化につながる内容を、この所得税法56条廃止問題は持っています。

◆全自治体からの56条廃止意見書の重みを受け止め、国に向かって意見書の趣旨をしっかり要望をすべきだと考えますが知事にお伺いいたします。

 

○県知事 この所得税法第56条、こちらにつきましては、ご指摘のように廃止を求める意見書が、県内の自治体の議会において、議決されるなど本当に多くの意見があるということを、承知をさせていただいております。これまで、家族関係の多様化などによる納税者の意識の変化をふまえて家族従業者の給与の取り扱いの妥当性、これに関する議論が長年、国会の場などでなされているわけであります。

 国においては、本規定に見直しについて、事業所得等の適正な申告に向けた取り組みを進める中で、引き続き丁寧に検討を行うとしておりまして、この検討を注視したいとそのように考えるところです。

 

●中根県議 採択に関わって初めてこの56条問題を知った郡部の議員さんなどは、「今の時代にそぐわない制度に憤りを感じている。最低賃金が決められている先進国の日本でそんなことがあるなんて、やっぱりおかしい」「全国どこの議会でも通る中身だと思いますよ。」と話されています。被雇用者だろうと、自営業者だろうとその家族だろうと、まじめに働くものに文化的で最低限度の生活が保障されるように、人的控除を中心に生活費に課税しない課税最低限の拡充が必要です。

人間として、多様な生活を認め合う男女共同参画社会推進が促進されるよう、率先した県としての取り組みを、これからも求めていきたいと思っています。

 

【学校給食の安全性】

●中根県議 次に、安全な食材を学校給食に提供する体制づくりについて教育長に伺います。

農林水産省によると、2018年度の食料自給率が17年度より1ポイント低下して、37%になりました。また、TPP協定は遺伝子組み換え食品の「貿易促進」をうたって、食の安全より貿易拡大を優先する内容になっています。

◆学校給食法では、「学校給食を活用して、食に関する指導を行う際には、地場産物を活用するなどの創意工夫、地域への理解を深めること」がうたわれています。高知県の学校給食で、地場産食材の使用割合はどうなっているのか、教育長お願いします。

 

○教育長 文部科学省の学校給食栄養報告によりますと、本県の学校給食における磁場産物の使用割合は食品数ベースで平成28年度が33.9%、平成29年度は37.0%となっておりまして、全国平均と比べて、平成28年度は8.1ポイント、平成29年度は10.6ポイント上回っている状況でございます。

 

●中根県議 農業が大変盛んな高知県でも、そのような状況です。私たちの周りには、いまや輸入食品があふれています。

輸入食品に頼り続ける国の在り方に日本の国の食の安全を危惧して活動してきた団体や個人が集まって、昨年12月に東京で学習会を開きました。講師はアメリカで遺伝子組み換え食品や農薬から子どもたちを守るための活動を成功させている全米母親団体「マムズ・アクロス・アメリカ」のゼン・ハニーカットさん。この講演を聞いた多くの参加者からゼンさんたちの活動のベースになった農薬・グリホサート、これは除草剤のラウンドアップの成分なんですが、この検査を日本の子どもたちにもぜひ実施したいという声がよせられ、「デトックス・プロジェクト・ジャパン」という、調査し結果を公表するプロジェクトが立ち上がりました。

WHO(世界保健機関)の下部組織であるIARC(国際がん研究機関)が毒性や発がん性の懸念があると発表しているグリホサートは、発がん性だけでなく、皮膚炎や肺炎の急性毒性、神経系への障害、腸内細菌への障害、精神的な失調なども報告されており、すでにオーストリア下院では、7月に使用を禁止する法案が可決しました。ドイツ、イタリア、オランダでも個人使用が禁止されたり、アメリカやアルゼンチン、オーストラリアでは自治体で部分的に禁止されたりするなど、世界各国で規制の動きが広がっています。

 今、こうした農薬が高知県でも、駐車場や道ばたの除草、コバエやゴキブリの駆除、ペットのノミ取りなどに無造作に使われ、使用量が増えてきています。代表的なのがこのグリホサートの除草剤とネオニコチノイド系の殺虫剤です

色んな国でこうした危険性が言われている中で、今こうした状況なんですけれど、さまざまな国で健康や環境へのリスクが懸念される農薬について「科学的」な立証がなくても「予防原則」にもとづいて使用禁止や規制強化がされているところです。ところが日本では2017年12月に規制緩和がされ、小麦の残留基準値が6倍に、トウモロコシは5倍にも緩和されています。アメリカの農薬使用状況をそのまま認めた対応です。給食などで子どもたちが日常的に口にするパンや麺類の原料である小麦粉も例外ではありません。

先程紹介した「デトックス・プロジェクト・ジャパン」が国会議員23人を含む28人の毛髪をフランスの検査機関に送って検査した結果と、学校給食のパンを調べまして、8月8日に東京の議員会館で緊急記者会見を行いました。

 その結果、グリホサートを含む13成分が19人から検出され、小麦粉を使った加工食品の残留農薬を調べたところ、アメリカ・カナダ産の輸入小麦を使ったパンからグリホサートを検出、国産小麦のみのパンからは検出をされていません。

◆県として学校給食の安全チェック体制はどのようになっているか、教育長にお聞きします。

 

○教育長 文部科学省が定めております学校給食衛生管理基準では、学校給食で使用する食材の選定は、実施主体である各市町村において選定委員会を設置するなどして、品質や鮮度などを決めて選定することやそれに基づいて納品された食材は、受け入れ時に品質、鮮度、包装の汚れなど外観上の検査や賞味期限、それから冷蔵品であればその納品時の温度などの点検をしっかりと行うこととするとされております。

 また、定期的に納入後の食材の微生物検査、それから理化学検査を行うこととされておりまして、県教育委員会としても各市町村にたいして、これらの検査を確実にするよう毎年度文書で通知するとともに、検査結果について提出してもらうなど安全チェックを徹底しているところでございます。

 

●中根県議 ありがとうございました。

◆30%台といわず、地産地消を基本におく学校給食にすべきだと思いますが、教育長にお聞きいたします。

 

○教育長 先ほど申し上げました通り、本県における地場産物の使用状況は、ここ数年全国に比べて高い割合になっております。県教育委員会では、栄養教諭や学校栄養職員に依頼しまして、学校給食において地場産品を積極的に使用する高知の食べものいっぱいはいっちゅう日を毎月一回実施するほか、カレーの日やだしで味わう和食の日なども実施しております。今後もこうした取り組みを継続するとともに、各市町村教育委員会とも連携しまして、地場産物のさらなる使用率向上に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 

●中根県議 ◆より安全な食材をより多く使用してほしい、こういう思いですが、学校給食にどのような課題があるのか、教育長に再度お伺いいたします。

 

○教育長 学校給食で、地場産物をより多く活用していく上では、食材の生産や調達エリアが限定されていくことになりますので、課題としましては、天候や季節によって種類や量の確保が難しくなる場合があること、それから調理面では食材の大きさや形が一定の範囲に収まっていることがのぞましいため、このような条件を満たす食材を一定量そろえることが難しくなる場合があること、それからそれぞれの地域の天候などの要因によって価格などが変動するため、地場産物の使用を優先して調達しようとすると、給食予算内でおさまらなくなる場合があることなどがございます。

 

●中根県議 わかりました。ぜひ、それらをクリアするようにぜひ頑張っていただきたいというふうに願っています。

 

【保育園の粉ミルクについて】

 つづいて、乳児の保育園の粉ミルクの購入ルートがどのようになっているか。食に関連してお伺いをいたします。

 

○教育長 日本国内での乳児用の粉ミルクを販売するためには、食品衛生法の基準により原料として使用をする食品の残留農薬が基準値を上回っていないことに加えまして、健康増進法にもとづく30項目の成分組成の基準により乳児用として安全性について審査を受けたうえで消費者庁の許可を受ける必要があり、そういった安全面に問題がないとされたものが、一般に流通されております。

 高知市におきましては、備蓄用の粉ミルクについては、市の保育担当課で、健康増進法による許可基準を満たしたものといった条件をつけて、指名競争入札により購入しておりまして、各園で使用する分につきましては、各園において個々に地元商店などに発注して購入しているというふうにお聞きしております。

 また、高知市以外の公立保育所において、乳児を受け入れている9市に確認したところ通常各園において提供する粉ミルクは園ごとに購入しておるということで、その場合にはご自宅で飲んでいる粉ミルクを確認して購入しているということでございます。

 

●中根県議 ありがとうございました。というのも、この粉ミルクに随分とたくさんの遺伝子組み換えの食品が含まれていることがわかっています。初めて生を受けて、そして、成長期まっただ中、ものすごく成長する子どもたちにより良いものを与えたい、こんなふうに思っていますが、食の安全に対する啓発・学習などもしっかりとやっていただきたい、とこのように思っています。

 先ほど少し、ふれましたけれど、今「科学的」に立証されなくても、健康被害を引き起こす前に問題があると思われる部分を意識的に制限している予防原則の考え方が大変大事になっています。

 生命の、種の保存を含めて、本当にこの食の問題は大切ですので、ぜひとも県としても世界の先進例に学んで、行政主導で安全なものを子どもたちに提供するよう努力されるように要請して終わります。