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- 2019年07月03日
- 議会(質問・討論)
- 2019年6月議会 岡田芳秀県議による「新たな管理型産業廃棄物処分場建設関連予算」への反対討論(2019.06.28)
○岡田議員 私は、日本共産党を代表して、ただいま報告がありました委員長報告、並びに第15号議案「令和元年度高知県一般会計補正予算」案に反対の立場で討論を行います。
反対する最大の理由は、この予算案が県の最終決定した「新たな管理型産業廃棄物最終処分場」建設のための予算だからです。
「新たな管理型産業廃棄物最終処分場」は、本県にとって大変重要な施設であり、必要な施設であることは言うまでもありません。また、県がこれまで行ってきた候補地選定の努力は、認めるものです。しかしまだ現在でも関係する地元住民の多くの方々のあいだに疑問や不安の声が残されており、十分な理解と納得を得ているとは言えないと考えます。
したがって、この予算案を今議会に提出することは時期尚早であり、見切り発車そのものであると言わなければなりません。
県は、住民に対して現施設である日高村にある「エコサイクルセンター」が、早ければ3年10ヵ月後の2023年3月末にも満杯になることが予測され、一方で新施設の建設には最低4年かかることから、残された時間は余りない、と説明します。しかし、その要因は、県の見通しが当初と違ってきたことにあり、あくまで県の置かれた立場からの説明です。そのことによる新施設建設の期日を無理やり住民に押し付けることは、筋違いといわなければなりません。
廃石こうボードのリサイクルや、一部県外搬送などにより、ある程度の時間的余裕をつくることは可能であると考えます。また、県は地質調査の結果、「施設整備が不可能と判断される致命的な事態が明らかとなった場合」には、「施設整備を中止する」としています。中止もありうるというのなら、期限にとらわれない別の手立てで廃棄物を処理することも想定されているということではありませんか。
新しい施設の建設にあたっては、客観的で高度な科学的知見に基づく公平・公正な建設予定地の選定はもとより、なによりも関係する住民の皆さんのご理解ご協力をいただき、住民の皆さんの合意と納得のもとに進めることが大原則でなければなりません。住民の皆さんの声を軽視して、強引に進めるようなことになるとすれば、公共事業の在り方として禍根を残すことになります。
とくにこの5月末から6月にかけての県と佐川町の動きは、住民を置き去りにしたものになっています。知事が最終処分場を佐川町加茂地区に建設することを佐川町の堀見町長と、町議会の永田議長に申し入れたのは5月31日。そして、早6月12日に町議会全員協議会で採決がおこなわれ、賛成多数で受け入れを決定しています。この間、2週間も経っていません。そして、町長が16日に受け入れる方針を表明しました。
しかし、6月2日から9日にかけて佐川町加茂の長竹地区自治会が、県や町に「地元の切なる声を聞いてほしい」との思いで、地元住民にアンケートをおこなっておりますが、それによると、自治会に加入する42世帯の内37世帯から回答があり、内29世帯が反対を表明しています。回答者の8割、自治会加入者の7割ということで、多数が反対です。添えられた意見には「声が届かないから県の説明会に行く気がなえる。会の参加者が減り、一部の人しか発言しなくなったのは『理解』とは違う」「50年ほどしか耐用年数のない遮水シートでいいのか」とあり、対話を求める声も多くあります。
このアンケートを受けての県の対応も問題です。県は、これらの意見や疑問に対する回答文書を14日に長竹地区の各戸に配布していますが、多くの質問項目に対して26ページにも及ぶ文書を配っただけです。それだけで「理解が得られた」ということにするのは大問題です。むしろこの文書をもって丁寧に住民合意に努めることこそ、いま県がしなければならないことではありませんか。それをせずに、ことを急いで、今議会に予算案を追加議案として提案することは、住民の声を行政が力で押し切っていく、あまりにも住民を軽視した対応といわなければなりません。
佐川町長が受け入れる方針を説明するため16日、加茂地区住民を対象に開いた説明会には約70人が集まり、住民のあいだから「住民は理解していない。どんどん進めないでほしい」「なぜ受け入れ決定の前に町独自で住民の声を聞く機会を設けなかったのか」「仁淀川流域にばかり最終処分場がきて不公平だ」と反発が続出しています。
知事は本議会の提案説明で、「一定のご理解が得られつつあるのではないかと受け止めさせていただいております。」と述べましたが、まさに「得られつつある」段階であり、みなさんの「理解が得られた」と判断できる段階ではありません。急がば回れという言葉がありますが、もっと汗をかかなければならないのではないでしょうか。住民の皆さんに寄り添ってご理解を得るための努力をさらに尽くすことを求めます。
5月の説明会も、田植えなど忙しい時期に昼間だけの説明会になっています。県に声が届かないから、ものをいう気がなえる。そうした状況の下で、地域振興の話が出てきたからといって処分場建設が「理解された」とはいえないのではありませんか。
県は、昨年12月に、進入路が津波の被害を受けないことを条件に加えて、3カ所の予定地から佐川町加茂を最終候補地に絞り込みました。このことに対しても「進入路の津波のリスクを考えるなら、あと出しのように検討するのではなくて、なぜ初めから検討しなかったのか」という疑問も残っています。さらに、候補地絞り込みの際に、コンサルタント会社に委託して作成した資料をもって検討するだけではなくて、なぜ選考委員会の専門家が直接現地に行かなかったのか、といった疑問も残ります。
県は、昨年12月、今年2月、5月と3巡にわたり地域での説明会や話し合いの場を設けてきました。こうした県の努力は認めるものですが、なお場所選定に至る経過や、遮水シートの耐性など施設の安全性などについて疑問が残されています。拙速を避けて、もっと多くの住民の皆さん、とりわけ建設予定地近くの住民の皆さんの合意形成を図ったうえで、必要なら臨時議会を開いて議決してもいいではありませんか。
県におかれては、住民合意へのさらなる努力を求めて、反対討論といたします。