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- 2019年03月08日
- 議会(質問・討論)
- 2019年2月議会 塚地佐智県議の一問一答質問(2019.03.06)
2019年2月議会 塚地県議の一問一答(2019.3.6)
【質問項目】
・障害者の雇用環境改善
・保育無償化と保育士の処遇改善
●塚地県議 今日最後の質問となりまして、お疲れのこととは思いますけれど、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず、障害者雇用について伺います。知事も今議会の提案説明で「障害のある方の活躍の場や機会を拡充するとともに、国が示した厳格な基準の下、来年度早期に法定雇用率を達成するよう取り組みを進めている」「併せて障害のある職員が働きやすい環境作りにも引き続き取り組んでいく」と述べられました。その具体的な取り組みについていくつかうかがいたいとおもいます。「障害者の雇用の促進に関する法律」による地方公共団体における法定雇用率は、今年度から0,2ポイント引き上げられ2,5%となっています。
◇まず、知事部局において、来年度法定雇用率を達成するためには、何名の新たな雇用が必要になるのか総務部長に伺います。
■総務部長 障害者雇用率の算定にあたりましては、重度障害の職員にあっては2倍、短時間勤務職員にあっては0.5倍に障害者の人数の換算を行うこととなっております。これを前提といたしまして、知事部局におきまして、来年度法定雇用率を達成するためには、退職による減を見込みますと、現時点で、フルタイム勤務の重度でない障害者の方といたしまして、あらたに20人分の雇用が必要になると考えているところでございます。
●塚地県議 来年度中の、法定雇用率の達成に向けて、すでに今年度から対策、取り組みも進めてくださっていると思います。
今年度正職員としての追加の特別募集を行った行政職の障害者採用試験には、採用予定人員2名に対し第1志望として26人の方が申し込みをされました。なんと、13倍の倍率となっています。学校事務、県立病院事務を含むと38名の方が応募されており、
◇法定雇用率を達成したからといって、その門戸を閉じてはならないと考えますけれども、知事のご所見をお伺いいたします。
■知事 法定雇用率を超えたからといって、障害者の皆様方の雇用を止めるということではなくて、積極的に雇用していくと方針で臨んでいきたい。そう思っています。
●塚地県議 ぜひ、正職員としての採用を知事部局、また企業局や、教育委員会、公安員会でも積極的に進めていただきたいと、ここは要望をしておきたいと思います。
障害の種別によっても、お一人お一人の状況によっても適性やサポートの仕方が全く違っています。そこをしっかりと確認しながら、仕事内容や職場環境を作っていくことが求められます。これまでそのサポートが十分だったのか、を、今、しっかりと振り返っておくことが大事だと考えます。
◇現在は、障害のある方が働いている所属長が、意見や要望を聞きとり対応を図っておられますが、所属長に対して、どのような研修が行われていますか総務部長に伺います。
■総務部長 所属長も含めまして、職員の各階層別で行っております研修の中で、毎年度障害のある方全体に対する職員の心がけや配慮すべきことを理解してもらうための研修を実施しているところでございます。
●塚地県議 民間事業所では、12時間の講習を受けて取得する障害者職業生活相談員という資格があり、5人以上の障害のある方を雇用する事業所には、厚生労働省が定めるこの資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任をして、職業生活全般における相談・指導を行うように義務づけていますが、地方公共団体にはその義務づけがありません。現在、国において、国や地方公共団体にも配置する方向で、検討がされていますが、まだ見通しは明らかではありません。
障害のある方の所属長には、障害者職業生活相談員の資格を取得するための講習に相当するような研修を受けていただく必要があると思いますが、今の時点で、この講習を受講することができません。
◇県として主体的に研修を行う必要があると思いますが、今後の対応について総務部長にお伺いをいたします。
■総務部長 今後、さらに障害者雇用をすすめていくにあたりましては、現在、行っております研修に加えて、所属長をはじめ周囲の職員の理解が深まるよう障害の特性に応じた指導や接し方など、より具体的で実践的な研修を行うことが必要だと考えております。このため、ただいまお話がありました障害者職業生活相談資格認定の講習の内容も参考に、労働局など外部の専門機関にもご協力をいただきながら、具体的な研修内容を検討していきたいと思っております。
なお、議員ご指摘の通り、国や地方公共団体に対しましても障害者職業生活相談員の選任を義務付けるよう国において、法律の改正が検討されているものと承知しております。この選任に必要となります障害者の人数要件が部・課や出先機関ごとに判断するのかなど、詳細はまだ不明でありますけれども、検討の状況を注視いたしまして適切に対応してまいりたいと考えております。
●塚地県議 国の動向が前向きな動向になっていまして、ぜひその動向も注視しながらきめ細かくその職業生活相談員が配置できるという方向で検討して頂きたいと思います。
現在、「配置されている上司の方から、困っていることがあればいってほしいと声をかけられるが、みんな忙しくしていてなかなか言いづらい」「障害の特性をわかってもらえず、疎外感がある」、「気にはかけているが、どう接していいか戸惑ってしまう」こうした声は、様々な職場でも聞かれる声です。専門知識のある、日常的に人間関係もできている、職場環境の改善に発言力もある、いわゆる産業医のような役割を果たせる方の配置が必要だと考えます。
◇是非、県として、様々な障害に対する専門知識を持ち、本人や職場からの相談を受け、改善策を提案できる人材を採用し、しかるべき部署に配置すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
■知事 はい。障害のある職員が、働きやすい環境づくりを行っていくためにもまずは、所属長をはじめ、周囲の職員に対する研修を充実させていくこれがまず第一に必要なことだとそのように思っています。
そのうえで障害のある職員および、一緒に働く職員、双方へのサポートこれを継続的に充実させていくことが大事だろうとそのように考えるところでありまして、ご指摘にありましたような、産業医、こういう方への相談の態勢だとか、場合によっては、外部の専門機関の活用とか、さらには場合によっては、専門職員の配置とかそういうことも考えられるかもしれません。どういうやり方がいいかということについて、また他県の事例なども参考にさせていただきながら検討を深めていきたいとそう思います。
●塚地県議 外部の力を借りるということも大事なんですけれども、県がやはり全県的に障害者雇用をすすめていくという役割も県が民間に対するそういう福祉部門の役割もあります。そういうことを考えると、やっぱり県庁が、ある意味モデル的なそうした役割も果たせる職場づくりというのも大事だと思っていまして、今、前向きに検討もいただくというご答弁もありましたが、私は障害者雇用の推進監といいますか、やっぱり県の中で、本当に県内のすみずみの県庁の職場でそういったことが、充実していける人材の配置というのはぜひとも必要だと思いますので、いまそういうことも検討の中に入れていこうと、知事のお話もありましたので、前向きにぜひ検討していただきたいということは要望しておきたいというふうに思います。
教育委員会においても、同様のことが言えます。昨年十月に、各県立学校への障害のある方を非常勤職員として一校1名、10校で採用されています。さらに、来年度、残りの県立学校でも1名の非常勤職員の採用を行うよう取り組んでおられます。この間の取り組みを参考事例として示すなど、教育委員会としての努力は否定する物ではありません。
しかし、これまでは特別支援学校が主で、障害に理解のある職場です。今後、現場での受け入れ体制がないままなら、かえって採用された方にとっても、現場の同僚にとっても大きな負担になってしまうとの危惧の声も出されています。
どのような特性を持った方なのか、どういう配慮が必要なのか、しっかりとしたプランを持って取り組みを進める必要があります。
どのような仕事をしてもらうか、誰を採用するか、サポート体制はどうするのかも各学校任せでは、障害者雇用促進の真の狙いを達成することはできません。
◇県教委としても、しっかりとしたアドバイスや対応ができる体制が必要ではないでしょうか。今後の取り組みについて、教育長にお伺いをいたします。
■教育長 県教育委員会では、障害のある方の雇用をするにあたり、事務局に窓口となる担当者を決めまして、どのように選考すればいいのか、採用後にはどのようなことに配慮すべきなのか、といった疑問や不安の声に対しまして先行して雇用している学校の事例などについて情報提供するとともに、高知労働局からのアドバイスをいただきながら、各学校の支援をしてきたところでございます。
こうしたこれまでの取り組みに加えまして、今後は各学校において、障害のある方の育成担当の役割を担う職員を選任して、日々の指導や相談を受けるなどの支援を行う体制づくりなどについて学校と協議してまいりたいと考えております。
また県教育委員会としても各学校に向けての窓口の設置に加えまして、労働局や障害者就業生活支援センターなどの専門機関との連携を強化し、研修を開催するなど学校の支援体制を充実してまいりたいというふうに考えております。
●塚地県議 学校現場は大変多忙な状況になっています。新たな負担になるということにならないように県の教育委員会としてどうバックアップするかというところが私はとても大事なところで、そこにやっぱりそれなりに責任を持つ、今窓口というふうにおっしゃいましたけれど、先程の障害者職業生活相談員というぐらいの、深いやはり認識を持った方にその相談の対応をしていただけるようなことにぜひ進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
【保育無償化と保育士の処遇改善】
●塚地県議 次に、保育の無償化と保育士の処遇改善についてお伺いをいたします。
今開かれている通常国会に、無償化関連法案として子ども・子育て支援法の改正案が提案されています。
今回の無償化は、保育所、幼稚園を利用する全ての子どもが対象になるわけではありません。無償化の対象になるのは3~5歳児が中心で、子ども・子育て支援新制度の対象となる施設で、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育などが対象となります。
◇0~2歳児については、住民税非課税世帯の子どものみが対象で、ほとんどの世帯は対象になりません。対象にならない世帯の本県での割合は、どのようになっているのか、教育長に伺います。
■教育長 平成30年4月1日現在で、保育所等に入所している0歳から2歳の子どもが一世帯について1人であるとして推計しますと国の基準では、保育の無償化の対象とならない世帯の割合は約80%というふうになっております。
●塚地県議 保育料は低年齢児ほど高くて、子育て世代にとっては、大変負担が大きいもので、この所得制限を外して、無償化の対象にするように求める必要が、私はあると思います。これは要望としておきます。
また、認可外施設においては、それぞれ上限額をきめての括弧付きの無償化で、0~2才児の住民税非課税世帯には、4万2千円までの利用料が無償化をされます。ここで問題になるのは、認可外施設の範囲です。都道府県に、届け出を行い、国が定める認可外保育施設指導監督基準を満たすことが必要であるとしながらも、5年間の猶予期間を設け、基準を満たしていない施設も対象にするとしていることです。
◇子どもたちの安全が保たれるのか、保育の質の確保の点からも問題があると思いますが、教育長はどのように認識をされているかお伺いをいたします。
■教育長 子どもたちの安全を確保することは無償化の対象施設であるかどうかに関わらず、もっとも大切なことだとおもっております。そのため認可外保育施設指導監督基準により、定期的に認可外保育施設の立ち入り調査を行いまして、認可保育所に準じた職員配置や保育所の面積等についての基準を満たすよう改善に向けた必要な指導を行っていくこととしております。
また、毎年9月には、認可外保育施設の保育従業者を対象とした研修を開催しまして、保育の質の向上にも取り組んでいるところでございます。
●塚地県議 今、問題になっていますのは、みなし的に5年間、そうした指導監督基準を満たすことを目指していれば、無償化ができるというところの規定に大変な不安が広がっているわけです。この確認ができていない施設については、無償化の対象にしないという条例をつくろうとしている市町村もあります。ぜひ、そういった事例も、参考にしていただいて、子どもたちに危険が及ばないような適切な対応を要求しておきたいと思います。
次に、給食費の問題について伺います。
さらに、これまでも3才以上の給食の主食材料費は保護者負担でしたが、今回の改定で、これまでいわゆる保育料の中に含まれていたおかず、副食も食材費を実費徴収すること、徴収は各施設が行うことが示されました。
子どもたちの成長にとって、豊かな食育にとって給食は保育の原点とも言えるもので、保護者に新たな負担を求めることは本末転倒、しかも、施設に新たな事務負担、徴収負担を生むことになります。この点については、こども・子育て会議でも保育関係団体から反対意見も多く出されていました。
◇この方針の見直しを、是非、求めていただきたいと考えますが、教育長に伺います。
■教育長 食材料費の取り扱いについては在宅で子育てをする場合においても、生じる費用であって学校などと同様に実費を徴収すべきという考え方によるもので、見直しは難しいものと考えております。
なお、各施設や市町村における事務の取り扱いについては国においてその負担を軽減するための検討がすすめられているとお聞きしており、今後も国の動きを注視していくとともに、市町村などの意見もお聞きしながら対応していきたいというふうに考えております。
●塚地県議 保護者は保育料の中に、食材費は含まれていて、それをこれまでしてきたんだという、当然そういう認識です。保育料の無償化というのは、今まで負担してきたその保育料がなくなるなんだと考えているわけで、新たにこの食材費が負担になるというのは、大変納得がいかないということが一点。もうひとつは、学校給食も有償だから、保育所も有償にする、それは食育の考えかたとしては、私はまるで逆だと思っています。むしろ、この学校給食も無償化にする方向で、意見を上げるそれが本来教育長としてとっていただきたい対応だというふうに私は思いますが、そこは答弁は結構でございます。
各全国でも、給食費の無料化というのは徐々にすすんでいまして、ぜひこうした方向も見据えながら今後の対応を考えていただきたい。また国には、新たな保育所の負担に、徴収がならないように、しっかり声は届けていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
私たちは、幼児教育・保育の無償化は世界の流れからも当然実施すべき施策だと考えています。しかし、財源の問題、現在の保育環境の劣悪さや、保育士不足による待機児の増加という深刻な実態を放置したまま、十分な検討もなく実施に踏み出すことに対する危惧の声があることにしっかり耳を傾ける必要があります。
本県でも、保育士不足と待機児問題は深刻な状況です。
◇まず、ここ3年間の1月1日時点での入所待機児の人数について、教育長に伺います。
■教育長 1月1日時点での待機児童の数につきましては、平成29年が231人、平成30年が353人、平成31年が267人となっております。
●塚地県議 1月1日の時点ということで、4月当初には、入所が決定をして、この数が減るということにはなります。なりますけれども、またその年に、生まれた子どもさんたちが入所できないということで、結局、また待機児童が1月1日段階では、増えてしまうと、いうのが現状で、今の深刻な数字になっていると思います。
私たちのところにも、この時期様々な声が寄せられます。
「二人目の子どもを同じ園に預けようと思ったけれど、定員がいっぱいで職場から反対方向になってしまい困っている」「育休明けで入れてもらおうと思ったが、いっぱいで入れず、育休を延長しなくてはならなくなった」「自分も保育士で、育休明けに預けようと思っていたが、保育士が不足していて予定していた0才児保育ができないといわれ、私も復職できなくなった」という負のスパイラルとなっているお話までお聞きしています。
施設の定員は大丈夫だけれど、とにかく保育士が不足していて、園長さんの仕事は、臨時の保育士さんを探すという事態も広がっています。
◇こうした状況をどのように認識しておられるか教育長にお伺いいたします。
■教育長 保育所等の園長の仕事は、保育所のスムーズな運営と経営ということになっておりまして、子どもの保育を行うための保育士確保もこうした業務の一環ではありますが、そのために園の運営に支障をきたすことは好ましい状態ではないというふうに考えております。
市町村や施設設置者には、園長が本来の役割を果たせるように、必要な対応をお願いしたいと思いますし、県教育委員会としましては、保育士の確保対策として就学資金の貸し付けやいわゆる潜在保育士の復職支援をおこなうとともに子育て支援員の配置による、保育士等の負担軽減、それから退職者の再雇用の取り組みを促してきております。
●塚地県議 園長さんが保育士さんを探すのも、仕事のひとつだというふうにおっしゃいましたが、やはり、行政がそこはしっかりと責任を持っていく、とりわけ公立保育所の場合はですね、役所の果たす役割というのは、大きいと思うんです。で、保育士さんがいないがゆえに、園児を預かることができないといった事態の解消は、ぜひとも円の責任ではなくて、やっぱり行政の責任として、しっかり果たしていくという決意で臨んでいただきたいと思います。
国も県もこの間保育士不足に対する様々な対応を行ってこられました。
県としても保育士等人材確保事業で、求人・求職のマッチングや保育士修学資金等貸付事業の拡充、今ご答弁にもありましたが、返還免除の拡大にも取り組んでいます。しかし、その実績は思うように上がってきていません。
◇30年度の保育士等のマッチング状況はどうなっているのか教育長にお伺いをいたします。
■教育長 潜在保育士等の求職者と雇用者のマッチングにつきましては、高知県社会福祉協議会の福祉人材センターに委託して実施しておりますが、昨年4月から2月20日現在までで、潜在保育士等の求職者数が73人に対しまして、求人数は月平均で約100人となっております。その中で実際に就職に至ったのは、18人となっております。
●塚地県議 ◇今、月単位のご答弁をいただきましたが、年間になるとどのくらいになるかの数字は、ありますでしょうか。
■教育長 求職者数につきましては、73人というのは一年間の2月20日までの数字でございます。求人数につきましては、トータルといいますか、毎月月平均すると100人くらいの求人が毎月あるという格好で、年間トータルでどれだけの求人数か、なかなかカウントができませんでしたので、月平均で100人くらいの求人があるというふうなお答えをさせていただきました。
●塚地県議 いずれにしまして、100人の求職につきまして、18人という数字なので、大変マッチングが難しい状況の具体的な数字なんだと思います。
◇その要因について、どういうふうに分析されているのか教育長に伺います。
■教育長 それぞれ求職者個々の理由もあると思いますけれど、総じて求職登録があっても勤務実態、それから給与面の勤務条件、労働条件が求職者の希望におりあわないことから、就職に至らない、また、条件の合う他の、例えば、児童福祉施設等に就職して、保育園の就職につながっていないという状況があるというふうに考えております。
勤務条件とか労働条件も含めて、保育士として働きたいと思えるような環境・現場をつくっていくことが、大切だろうというふうに考えております。
●塚地県議 本当に大事なご答弁だと思います。今、保育士さんの処遇の改善ということなくして、今の保育士不足ということを解決することはできませんので、それに対して、やっぱり国や地方自治体がどういう役割を処遇改善で果たしていけるのかということは、思い切って、私は、足を踏み出す必要があるといふうに思います。
この保育士不足について、私は、責任の重さ、労働密度の厳しさ、業務負担の増加、さらにそれに見合う処遇になっていない、まさに今教育長が御答弁なさったとおり、そのことが最大の要因だと考えます。
保育の現場は、まさに命をまるごと預かる場所です。自分の子ども一人でもなかなか大変な状況なのに、国の職員配置の最低基準は1・2才児で6人に1人の保育士、3才児では20人に1人の保育士、4・5才児では30人に1人の保育士。しかも家庭との連絡や、保護者との関係は学校よりも日々顔を合わせながらの助言や指導が必要になっています。現在開園時間は朝の7時から、夕刻の7時まで、大変な労働時間にもなってきています。
まず、この労働密度の改善、業務負担の軽減は急務です。「保育士の働き方改革」、私は今そういう旗を掲げるべき時だと思います。
◇その中身としても、職員配置の最低基準を改善することで推進するように、国に求めるべきと考えますけれども、この点は知事にお伺いいたします。
■知事 平成27年度に子ども子育て支援新制度がスタートした時に国において、3歳児について、職員配置に関しては、最低基準が20対1のところを、15対1の配置ができる財源措置が講じられたわけであります。しかしながら、1歳児と4-5歳児につきましては、こういった財源措置は見送られることとなりました。そういうことでありますので、全国知事会といたしまして、この1歳児と4-5歳児につきまして、職員配置を充実するための財源措置について国に要望をしてまいりました。
具体的には、1歳児については最低基準6対1のところを、5対1、そして4-5歳児につきましては、最低基準30対1のところを25対1、これを可能とするような財源措置をという要望をしてきたわけであります。引き続きこの要望を行ってまいりたいとそのように思っています。
●塚地県議 ぜひ、やっぱり、基盤となる最低の職員の配置の基準というのを、さきほどおっしゃった水準では、まだまだ大変な状況は現場には残ると思いますけれども、ぜひご奮闘いただきたいとお願いをしておきたいと思います。
今、保育士の皆さんは大変厳しい職場、また、他職種の平均よりも賃金が低いこの現状の改善も急がれます。根本においては、公定価格を引き上げることが重要だと考えますが、当面、国において、この間、処遇改善等加算制度が実施されてきました。
民間保育所と民間幼稚園に対し、処遇改善等加算Ⅰは、職員一人あたりの平均経験日数によって加算率を設定するもの、処遇改善等加算Ⅱは、経験年数おおむね7年以上で4分野以上の研修を終了することを条件に月4万円の加算、また3年以上で一定の研修を受け月5千円の加算というメニューがあります。
しかし、現場からは、研修に出せる人的余裕がなくせっかくの制度も使い切れない、研修を受けた全員に4万円を支給できる制度になっておらず不公平感がある等の声が出ています。北海道などでは、出前研修を実施し少しでも負担を軽くする取り組みなどがなされています。また、ネットやDVDなどによる研修に改善できないかとの声もあります。
◇県として改善するお考えはないか、教育長にお伺いいたします。
■教育長 保育士等の処遇改善加算制度に関する研修においては、既存の人材育成研修と重ねて受講できる、それから、複数会場から選択できるといった講座を設け、また出前研修の形で所属園において学ぶ実践研修の時間を設けるなどによりまして、受講者の負担を軽減してきております。
今後も、保育者が必要な資質、指導力を研修を通して身に着けられるよう研修内容の充実に努めて参りますが、受講方法や受講場所などについて、受講者や受講園の負担を軽減する方向で検討をすすめてまいりたいというふうに考えます。負担を軽減するために、ネット研修については、有効な手段のひとつであると考えられますので、その導入について他県の実施例なども参考にしながら、研究してまいりたいと考えております。
●塚地県議 ありがとうございました。高知市の民間保育所協議会の皆さんからも、ぜひそうした研修の改善をしてほしい、さらには、研修に出したときに、4人研修を出しても、代替は1人分しか予算措置がないといった問題もあって、この問題は今回取り上げていませんけれど、ぜひ、実態をよく聞いて頂いて、具体的改善を進めていただき、処遇改善がスムーズに進むようにお願いをしておきたいと思います。
今後の保育士さんの確保について、公立保育所においては、この改善加算が当然ある訳ではありません。が、今問題になっているのは、公立の保育士において臨時の保育士さんの雇用が、今後、会計年度任用職員制度に移行する際に、今までの処遇よりも引き下げとなり賃金がさらに低くなって、一層、保育士不足が深刻になるとの危惧の声が出されています。
◇現在、公立保育所での臨時職員の割合はどのような状況か、教育長に伺います。
■教育長 平成30年4月1日現在、本県の公立保育所における常勤の保育士の数は正規職が846人、臨時職員が618人であり、臨時職員は42.2%というふうになっております。
●塚地県議 まず、今、保育の現場では、臨時保育士さんがクラス担任をしなくてはならないという状態も大変広く広がっています。こうした方々は当然、正式採用、正職員にしていくという流れは、私はつくらなくては保育士不足の根本解決はできないというふうにおもっております。ぜひそういう方向を作り出していただきたいと、いうことはひとつです。
同時にいまおっしゃられた618人という大変大量な臨時の職員のみなさんが、どういう処遇になっていくのかこれは、今後の保育士不足にとっても、大変大きな問題になってまいります。確かに市町村の問題ではありますけれども、この深刻な臨時の保育士さんの処遇をどうしていくのか、けして、現在から下がることのないような努力が必要だと思います。
これが、会計年度任用職員制度の導入に向けた事務処理のマニュアルです。この中には、専門職である保育士さんや看護師さんについて、今回の制度の移行でも現状からさがらないような、工夫をしてもいいんだと、ある意味しなくてはならないと私は思いますが、そういうものもきちんと出されているわけで、ぜひそういう情報提供も市町村にもしていただいて、けして今の処遇から引き下がることのないような助言をぜひ市町村にしていただきたいということをお願いして、おきたいと思います。
◇市町村任せにせず、保育士不足に県として責任ある対応が求められていますが、どのように対応されるか、教育長にお伺いいたします。
■教育長 現在子どもの数が減少傾向にありまして、県全体の保育所への入所数もこの10年間で、1300人減少しているにも関わらず、多くの保育士の配置を必要とします0-2歳の入所児童数は、約600人増加しております。加えまして、加配が必要となります特別な支援が必要な子どもや家庭も増加しておりまして、結果保育士の数は、平成20年度の2716人から、平成30年には、3015人と約300人増加をしております。
このように急激に保育士の数が増加する中で、各市町村においては、全体的な少子化を見越して、臨時職員も含めた、職員採用を行っており、保育士の正職員化を一気に進めることは、難しい状況にあると考えております。ただ、正規か臨時かいずれの職を配置するかは、市町村の裁量に任されてはいるものの、この保育士の確保に向けた処遇改善面や家庭支援、就学前教育を継続的に行うための人材育成面からも、職員は正規職員の配置が望ましいと、考えており正規職員の配置割合の高い市町村もありますので、こうした市町村の状況もお聞かせ願いながらどうすれば正規職員の配置が進むのか研究をすすめていきたいと思います。