議会報告

  • 2018年12月21日
    2018年12月議会 「米軍機事故の再発防止に向けた実効ある措置を求める意見書(案)」賛成討論 米田稔議員(2018.12.21)

 日本共産党の米田稔です。ただいま議題となりました議発第4号「米軍機事故の再発防止に向けた実効ある措置を求める意見書」議案に賛成の立場から討論を行います。

 12月6日未明2時ごろ、高知県沖で起こった今回の米軍機事故は、FA18戦闘攻撃機と空中給油機KC130が墜落、米海兵隊員7人がまきこまれ、その内6人が死亡するという米軍の基準においても「クラスA」に当たる最も深刻なレベルの事故となりました。また11日の米海兵隊の発表によれば、当初、空中給油の訓練中の接触と報道されていた事故原因について、「事故当時、給油を行っていたのかは確認がとれておらず調査中である」とのコメントが出され、事故原因は不明のままとなっています。
 そもそも、空中給油は、高度な飛行技術を要する危険な作業です。大きさや最高速度・巡航速度が異なる航空機が同じ速度で飛行しながら、空中でパイプを接続し燃料を補給するものです。しかも、夜間の空中給油となれば、暗視ゴーグルを使用し、視界の限られた中で、このパイプの接続を行わなければならず、危険は格段に増してしまいます。今回は「通常訓練」中の事故であり、訓練の中止は求めない、としています。しかし、その通常訓練中に事故は起きたのであり、「通常」であれ、「正規」であれ、極めて危険な訓練であることは明らかです。「通常訓練」だから認めるということになれば、今後も、同様に危険な夜間・深夜帯の空中給油訓練が繰り返され、同じような事故が今後もおこりうることは否定できません。
さらには、事故原因が不明のままでは、事故の危険性がいっそう高まることは必至です。少なくとも、事故原因が明らかになるまでは、訓練飛行の中止を求めることは、県民、漁業者の命と安全を守る立場からすれば、あまりにも当然のことではありませんか。
しかも、今回の事故の時刻からは、日米が合意した滑走路の運用時間である午前6時半~午後11時以外の深夜に訓練を実施していた疑いは濃厚であり、日米合意違反を容認することはできません。

 その危険を証明するように、空中給油中の事故はFA18に限っても何度も起こっています。1999年1月に、本県沖で起こったFA18の墜落事故も、空中給油訓練によるものでした。2015年7月には、FA18Cがイギリスで空中給油に失敗し墜落、操縦士が亡くなっています。米海軍は2004年から2009会計年度に発生した航空機の一部や物体、破片が外部から衝突し機体が損傷した小型機の事故70件を分析し、そのうちFA18の事故が32件、さらにそのうち8件が空中給油中でした。

また、高知県とその周辺海域では、今回の事故を合わせて、これまで4回もの米軍機墜落事故が発生をしています。1994年の早明浦ダム湖への墜落、先程述べた99年の夜須町沖わずか17kmへの墜落、2016年には今回と同型機がやはり土佐湾沖へ墜落、そして今回2018年の土佐湾沖での墜落事故と、重大な事故が繰り返されてきました。高知県としても知事を先頭に、事故のたびに、再発防止を強く求めてきましたが、結果として、事故が続く現状に、高知県民、漁業者の不安は非常に大きくなっています。このまま実効ある対策がとられず、訓練飛行が繰り返され、事故が続くならば、高知県民、漁業者が巻き添えになる事態も想定されるのであります。
 
 今回、事故を起こした機体が所属する米軍岩国基地は、この間、アジア最大の戦闘攻撃機の拠点として増強されています。岩国基地には、米本土から展開する飛行隊のFA18、10~12機に加え、常駐飛行隊としてFA18、13機を擁し、昨年からは、最新鋭のステルス戦闘機F35B、16機を常駐配備、今年4月には、FA18を含む米海軍の空母艦載機60機を厚木基地から受け入れるなどして、その所属機数120機を超える巨大基地となっています。
 この基地の強化に伴って、四国沖には、「岩国臨時留保空域」が2016年11月から設定され、国土交通省によれば「この2年間で平均して4日に3日のペースで使用申請を許可している」状態にあることが明らかになっています。私たち日本共産党県議団も、この間の議会質問を通じ、この岩国基地強化により、深夜、土佐湾沖の空母と基地との間を頻繁に往復する着艦資格取得訓練が展開される危険性も指摘をしてきました。このような訓練の激化を背景にして、今回の事故が引き起こされたことは疑いようがありません。
 近年、日本の周辺では、在日米軍の航空機の事故が相次いでいます。2018年11月には、岩国基地所属のFA18がエンジントラブルで、沖縄県沖に墜落。6月にも嘉手納基地所属のF15が那覇市沖合に墜落をしています。また、一昨年12月には、普天間基地所属の輸送機オスプレイが空中給油機のホースと接触し、名護市沖の浅瀬に墜落をしています。多発する事故も念頭に、全国知事会は「米軍基地負担に関する提言」を今年7月に全会一致で採択し、在日米軍の訓練について、ルートや時期の事前情報提供を求め、また、日米地位協定を見直して、日本国内の航空法や環境法令などを米軍にも適用させることなどを求めています。全国で展開されている米軍の訓練においては、地域住民が危険にさらされないことが大前提であり、事故の多発を看過することはできません。
 本意見書議案は、実効ある事故再発防止と情報提供、また原因究明がなされるまでの訓練中止の要請をアメリカ政府・米軍へ行うよう日本政府に求めるものであり、高知県民・漁業者の命と安全を守る立場から、日米安保条約への認識の違いを超えて、歩み寄れるものであると確信をするものです。いま、県民の命と安全が脅かされているとき、県民の負託を受けた県議会が、知事とも力を合わせて、その使命・役割を果たそうではありませんか。心からよびかけるものです。
同僚議員の賛同をお願いして、賛成の討論といたします。