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- 2018年10月03日
- 議会(質問・討論)
- 2018年9月議会 中根佐知県議の一問一答質問(2018.10.02)
【質問項目】
・中学校給食について
・種子法について
【中学校給食】
●中根県議 昨年9月に引き続きまして、中学校給食についてまずお伺いをいたします。
先日、高知市の中学校給食センターが新たに立ち上がりまして、高知市の公立中学校の生徒の下に給食が届けられるようになりました。昨年9月の私の質問の時に、県教育委員会の中学校給食について基本方針をお聞きした際、当時の田村教育長は、国が策定している第三次教育推進基本計画に基づいて学校給食の充実に取り組み、公立中学校の実施率を平成32年度までに90%以上とすることを目標にしていること、学校給食を生かした食育推進の観点からも学校の給食実施率の向上を目指しているとお答えになり、平成30年度末には県内小学校は100%、中学校で92.5%となるとこたえられています。
◆給食実施計画は順調に進んでいるのか、まず教育長におうかがいいたします。
■教育長 高知市立の中学校の内、これまで学校給食が実施されていなかった13校において、平成30年9月25日から学校給食が開始されました。これによりまして、本県の公立中学校給食における学校給食の実施率は91.4%となりまして、国が第三次食育基本計画で示した平成32年度までに、90%以上という目標を達成しております。
●中根県議 32年度までの目標は達成をされたということですけれども、今後100%にしていくための実施計画はあるのか、お伺いいたします。
■教育長 県の実施計画としては、策定しておりませんが、現在学校給食を実施していない県内の中学校は、3市1村の5校と県立の4校となっております。このうち南国市の1校と大川村の1校につきましては、統計上は、学校給食の実施校とはされていないものの、集落活動センターなど他の施設から給食が提供されております。また今後の計画としまして、室戸市の1校が、平成31年9月から実施予定でありまして、須崎市の2校も実施に向けて検討がされている段階にございます。さらに県立につきましては、高知国際中学校が平成31年4月から、高知市学校給食センターからの配食を受ける予定となっております。
■中根県議 各市町村の教育委員会は、本当に努力をされているという結果が見えてきました。
給食の実施のために予算を投入して努力を重ねられています。須崎の2中学校のみがまだなのかというふうに私が考えておりましたら、教育長からは、この2校についても、実施する方向であるということが、今答弁をされました。
一方で、県立中学校の実施状況を見ますと、高知国際中学校のみ来春から高知市の給食センターからの配食を受けることとなったということです。中村中学校、高知南中学校、安芸中学校の各県立中学校には給食はありません。県立中学校3校が給食実施となれば100%となるということで、これは、そのままにしておけない課題だと思います。
◆県教育委員会として各市町村には学校給食の実施を促しながら、県教委が設置者である県立中学校給食で実施されていないことを、どのように受け止められているのか、教育長にお伺いいたします。
■教育長 学校給食は、栄養バランスの取れた豊かな食事を児童生徒に提供することにより、児童生徒の健康の保持増進をはかるものであるとともに、児童生徒の食事に対する理解を含めさせ、望ましい食習慣を養うための重要な手段であると、認識しておりますので、県立中学校においても、出来る限り早期に学校給食または少なくともその代替措置を実施したいと考えており、現在、検討を行っております。
●中根県議 ありがとうございました。本当におっしゃったように、食育のための学校給食に背を向けることがあってはならないと思います。成長著しい子どもたちに、十分管理された食事を食べさせ、食の学びを推進することは教育条件の整備の問題として、もっともっと早期から実現をさせるべきでしたし、重要視されるべきだと考えています。学力向上が盛んに言われていますけれども、食育なくして学力向上なしです。
◆県立中学校の給食実施について、いま検討されているというふうにおっしゃいましたが、いったいいつまでのどのような形なのか、今一度教育長にお伺いいたします。
■教育長 まず県立高知国際中学校と、県立高知南中学校については、高知市が学校給食センターからの配送について、様々な課題を解決しいかに給食の実現をはかるかについて、高知市と協議をすすめ、県立国際中学校については平成31年4月から給食の実施が可能となっております。しかし、高知南中学校につきましては、昨年の9月議会でご答弁しましたとおり、限られた時間内に安全な配送が可能かという観点から給食の実施ができないという結果になりました。このため、高知南中学校につきましては、現在、保護者の代表や学校の意見を聞きながら、学校給食の代替措置について平成31年4月の開始を目指して、具体的な検討を進めているところでございます。
また、県立安芸中学校、県立中村中学校につきましては、まず、それぞれ、安芸市、四万十市にある給食センターから配送を受ける方法や自校方式により学校給食の実施ができるのか、その実現可能性の検討を始めるとともに、少しでも現状を改善することを念頭に、実現までに一定の期間を要する場合や、これが、実現が難しい場合には併設の高等学校の食堂を活用した代替措置などを含め、検討を始めております。
●中根県議 具体的な計画が進んでいるようですけども、この南中学校について、高知市の教育委員会と、それから、安芸とそして中村については各教育委員会とのお話し合いの中で、給食センターからのというお話もありました。それぞれのところに、お伺いをしてみるとなかなか給食センターから配送の数を増やすということは、児童数が減ったとしても、学校数が減らない限り、配送のシステムを変えることができないので、難しいという見解をお持ちのようです。ですから、いつまでも、この成長期の子どもたちの給食を後伸ばしにするのではなくて、さきほどおっしゃったような、県立中学校の給食は思い切って、自校方式で行っていくという考え方をしっかりと持たなければならないんじゃないかとこんなふうに思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
■県知事 まず、高知県立高知南中学校についてでありますけれども、こちらについては、新たに給食調理場を建設して自校方式を導入するというのは、なかなか期限もある中において、難しい。そういう中において、学校給食の実施に代わる手段として、県立高知南高等学校の食堂を活用した弁当の提供を検討しているというふうに教育委員会から伺っています。
今度、この県立安芸中学校、県立中村中学校をどうするかということになるわけでありますが、こちらについてはご指摘の自校方式で給食を実施するか、もしくは、各市の給食センターから配送を受けるかとか、いくつかの方策を検討しているというふうに教育委員会から伺っているところです。たしかに育ち盛りの子どもたちに、しっかりと給食を提供できるようにしていくことは大事なことだとそういうふうに思いますので、この点についての検討を急いでいく必要があるものと私としても考えております。
●中根県議 ぜひ、どなたも異議のないお話だと思います。子どもたちの成長にとっていま給食が実施されました高知市内の中学校の校長先生なども、テレビのインタビューに向かって、子どもたちが食育そのものをみんなといっしょに食べることによって、培っていくことが今の時代に大事だと、いうことをおっしゃっています。ぜひとも、県立中学校で、給食を実施して、そして100%になったといえるような努力を、再度要請をして次の問題に移ります。
次に就学援助の適用について、権利の保障についてお伺いをいたします。
義務教育である中学校の給食というのは就学援助制度の対象になって、高知県でも多くの中学生が就学援助制度を利用しています。食育の面だけでなく経済的にも家庭を助けています。この点で見ると、給食のない県立中学校の就学援助制度の対象者は、給食、食費の援助がないということになります。
高知市の新給食センターを利用して、来年度から県立高知国際中学校に給食が配食されることになり喜んでいますけれども、一方で、統合される側の県立高知南中学校にも給食センターからの配食を望んでいました、でもできない縷々の状態になっています。この二つの学校が統合されて新たな学校形態が作られる経過を持つ高知国際中学校と高知南中学校で、就学援助を受ける生徒にとって、大きな差が生まれてしまいます。給食を導入した場合とそうでない場合の格差を解消する方向でこの問題は解決するしかありません。
◆県立高知国際中学校での給食費は、当然、就学援助制度の対象になるとおもいますが、教育長にお伺い足します。
■教育長 はい。就学援助制度の対象になると考えております。
●中根県議 一方で、県立高知南中学校については、この間、配食のある高知国際中学校と格差を解消するための条件整備について、先程教育長からもお話があったように、PTAや学校と話し合いをされていると思いますが、どのような協議になっているのか教育長にお伺いいたします。
■教育長 現在、保護者の代表の方や、学校の意見を聞くなどしながら、検討を進めております。具体的には、併設している県立高知南高等学校の食堂を活用した弁当の提供を検討しております。内容としましては、高知市立の中学校の給食と同じ保護者負担額で提供できるよう、また、栄養面にも配慮して提供してもらうように検討しております。なお、保護者の代表との協議をふまえ、自宅から弁当を持たせる選択肢も残してほしいという意見があったため、弁当を持参することができるように考えております。
●中根県議 PTAの皆さんとの協議なども大変大事なことだと思いますけれど、この間、同じ高知市にありながら、南中学校の就学援助を受ける家庭が就学援助の対象になっている給食費負担を受けられないのであれば、特別な制度を作って負担をなくすべきだと考えるのですけれど、全ての子どもたちに給食費の金額の負担は保証させるとしても、就学援助の子どもたちにとってはどうなるのか、教育長にお伺いいたします。
■教育長 県立高知南中学校における食堂からの弁当の提供については、学校給食の代替措置として検討しているものであり、保護者に負担していただく費用についても、学校給食に相当するものとしてとらえ、就学援助制度に準じた県独自の負担軽減制度の創設を検討しているところでございます。
●中根県議 ぜひ、その方向で、少し変測的な解決にもなりますけれど、ご努力をよろしくお願いいたします。
そして、もう一つ大きな矛盾になっています、残された県立中学校に通う県立安芸中学校、県立中村中学校、これらの学校に通う就学援助制度の対象の生徒には、結局、学校給食が実現するまでの間、給食費の補助は、ないということになります。これらの生徒さんたちにも、給食費の援助を行うべきではないか、こういうことを創設して、それぞれの子どもたちの暮らしを、そして食費をしっかり補填すべきではないかと考えますが、知事にお伺いいたします。
■県知事 給食費に関する就学援助制度に準じた県独自の負担軽減制度の創設を、教育委員会では検討していると伺っています。この制度については、県立南中学校、さらには安芸中学校、中村中学校それぞれに適用できるようにしていくことが望ましいと思います。それぞれの実情に応じて、対応が検討されていくものとそのように考えております。
●中根県議 はい。ありがとうございました。これまで、給食のないところには、就学援助の助成はなかったわけです。それを今回、すべての県立中学校に提供するような方向をつくるということは、大変意義のあることだというふうに思います。ぜひ今後の実施を期待したいと思います。
今や、教育は無償教育の時代を迎えています。
2012年9月には、政府は「国際人権A規約13条、無償教育条項」を閣議決定で留保撤回をいたしました。国連で採択してから46年、政府が批准をしてから33年経過し、締約国の160カ国中159番目に留保を撤回した形になりました。
国連は、それから5年後の2018年、今年の5月31日までに無償教育計画を作成し、実施することなど、多くのことについて政府報告を提出するように日本政府に求めていますが、いまだに未作成というふうになっています。その作成を求められて未定と公言しながら、12月あたりとの推論もある、これが他の先進国から大きく遅れている日本の姿です。
無償教育というのは、学費や学校納付金が無料の上、必要に応じて奨学金や生活費が給付されることをいいます。遅れた議論ではなくて、本当にこれらの流れをしっかり見据えたこうした対応が求められていますし、また、小中学校ともに、給食費が無料という自治体が、今76自治体生まれているところです。ぜひ、積極的な対応を求めて、この項は終わりたいと思います。
【主要農作物の種子生産に関する条例制定について】
●中根県議 次に種子法についてお伺いをいたします。
種子法は、1952年に、主食を増産するために国で制定をされて、都道府県はこれを根拠に農業試験場など公的研究機関での種子の開発や普及に予算をつけ、国内で作られる稲、麦、大豆の大半の種子を供給してきました。
◆これまで、種子法の果たしてきた役割をどう認識しているのか、農業振興部長にお伺いいたします。
■農業振興部長 稲、麦、大豆の優良品種を奨励品種として指定し、その種子の生産と普及を都道府県に位置づけた主要農作物種子法いわゆる種子法につきましては、昭和27年の制定以来、優良品種の開発と安定生産、食糧増産に、きわめて大きな役割を果たしてきたと認識しております。
本県におきましても、種子法に基づき、各地域の条件に適合した品種の開発・普及や、優良種子の安定供給がはかられました結果、昭和40年代に約330kgであった水稲の10aあたりの平均収量は、平成20年代には、約490㎏まで増加するなど、水田農業の振興に大きく寄与してきたと考えられます。
●中根県議 大変おおきな役割を果たしてきた、そのように認識を一つにしたいと思います。
異例の短時間の審議で種子法は国会で廃案になりました。
稲、麦、大豆を対象に、優良な種子の生産、さきほどいわれたような安定供給を保障して、食料主権を守る重要な役割を果たしてきた種子法が、あまりにも短時間の審議で、農業者の意見を十分聞く時間もつくらずに廃止されたことは大問題で、今年6月議会で明神議員も取り上げられまして、心配を表明しました。国の運用方針は、種子法廃止で公共種子事業をやめ、同時に作られた農業競争力強化支援法で国と県がつくったコメの種の情報を企業に譲渡させ、種苗法改定で自家採取は禁止するという三点セットです。規制緩和の名で、目的は民間の参入を促すといえば聞こえはいいのですけれど、どこまでも一握りのグローバル種子企業に市場を開放するという意図が浮かんできます。
大変皆さんが心配していまして、種子法の廃止に伴って、大阪、奈良、和歌山の3府県が、2018年度今年から水稲の種子生産に関する審査や証明業務を実施主体として行わずに、代替え措置として種子生産の民間関連団体に業務を移行する方向を打ち出しています。
業務が移れば、団体の費用負担が膨らみ、負担は種もみ代金に転嫁される恐れがあり、どこまで品質を保証するかも不透明。価格の上昇は避けられないとの不安の声が上がっているし、種子法を廃止しても問題はないとしてきた政府答弁が、すでに成り立たなくなっています。参議院でつけられた「都道府県による取り組みを後退させない」との付帯決議も全く生かされていません。これまで県の取り組んできた経済性の低い、地域に適した各地域独自の品種研究と維持が後退し、多様な品種が危機に瀕する事態、このように私は思っています。
◆国の種子法廃止について、知事の見解をお伺いします。
■県知事 子の種子法はですね。戦後の食糧増産に大変大きな役割を果たしてきたわけでありますけれども、規制改革の一環として、廃止をされたものとそのように受け止めています。そういう中で懸念される諸点がある。すなわち種子の供給体制の後退はないか、種子価格の上昇はないのか、民間事業者による種子の独占はないか、種子の国外流出はないか。こういう諸点については、廃止法案の中で、附帯決議が付されて、一定その防止のための取り組みが行われていくことになるものと考えています。
本県としては、以前の通り、主要農作物の優良品種の開発や種子の安定供給や生産者の経営安置を図る上でも極めて重要であると認識をしているところであります。そういうことから、種子法を廃止後もこれまでも、同様に、県が主体となって種子の安定生産供給体制を堅持していくということが必要であるとそのように考えております。
●中根県議 ありがとうございました。本当に、安定供給、これまでの営々として積み重ねてきた中身をこれからも引き継いでいくことは大事だと思うんですけれど、種子法が廃止された中で高知県としてどのような対応をしてきたのか、農業振興部長にお伺いいたします。
■農業振興部長 県では種子法の廃止と同時に、本年4月1日に高知県主要農作物種子生産要綱を制定いたしました。この要綱には種子法において県が担っておりました本県の特性に応じた品種の開発、普及すべき奨励品種の制定、原種・原原種の生産、種子生産ほ場での審査や発芽率の調査などを引き続き県が行っていくことを明記し、種子法施行時と同様の品種開発や種子の安定生産、供給体制を堅持するということとしております。
●中根県議 そのまま引き継いで、要綱にしたというお話でした。それ以降、農家の不安や農業団体の声をどう受けとめているのか、お伺いをいたします。
■農業振興部長 昨年4月に、種子法廃止法案が成立した当初、県内の生産者、農業団体の皆様方から、多く不安の声をお聞きし、6月には農業団体から県が引き続き、種子の生産普及において、中心的な役割を担っていくよう要請文をいただいたところでございます。こうしたことから、県では種子法廃止後も、本県での種子の生産供給体制のあり方等について、生産者や農業団体の皆様から要望をお伺いし、その要望を踏まえたうえで、本年4月に、高知県主要農作物種子生産要綱を制定したところです。
また、種子生産組織や稲作農家の会合に積極的に参加し、種子法廃止後の本県の種子生産、供給体制について説明するなど、不安の解消にもつとめております。今後も種子法施行時と変わらぬ優良な種子を生産供給することにより、生産者の皆様が、安心してお米を栽培できるよう取り組んでまいります。
●中根県議 こうした努力は認めるところですけれど、国の認識と高知県のような各県の認識は一つになっていないんじゃないかという見方があります。農林水産省は、種子法廃止について、2017年昨年の11月に、都道府県に通知を出しています。「これまで実施してきた業務を直ちに取りやめることを求めていない」とその通知の中でしつつも、一方で、種子生産について「民間の参入が進むまでの間、行政の知見を維持し、民間への知見提供を促進すること」として、民間参入を促す取り組みを求めています。こうした国からの昨年の11月の通知を農業振興部長は、どのようにとらえていらっしゃるお伺いをいたします。
■農業振興部長 国からの通知では、種子法の下で、都道府県が実施してきた業務のすべてをただちに取りやめることを求めているわけではございません。また、都道府県の役割として、品種の開発や、種子の生産にかかる知見を維持すること、種子の生産供給状況を的確に把握すること、また都道府県の種子生産実態等を踏まえた必要な措置を講じていくこと等が明記されております。
このように種子法廃止後の品種の開発や種子の生産につきましては、都道府県が担うべき役割が依然として大きいととらえておりまして、県では種子生産に関わる皆様の要望もお聞きしながら、高知県主要農作物種子生産要綱を制定したところでございます。
●中根県議 今年6月28日付で農業協同組合新聞が、6月23日に開催されたシンポジウム「種子法廃止後のたねのゆくえ」で発表された47都道府県へのアンケート結果を紹介しています。2017年度と2018年度の対応の違いを比較したものですが、種子法が定めていた都道府県の担う役割の中で、奨励品種決定のための試験は45自治体が今年も実施。原原種・原種の生産も同じく45自治体が実施します。ただし、種子生産圃場の指定は、昨年度は46自治体が実施したが、今年は25自治体だけが実施する予定と回答しています。根拠法がなくなったために「実施しない」とした自治体が9、その他の対応が13だったとしています。
根拠法がなくなることがいかに危ういか、こういうことを垣間見る思いがいたします。
◆全国の都道府県ではさまざまな動きがはじまっています。種子を守る動きをどうとらえていらっしゃるか、農業振興部長にお伺いいたします。
■農業振興部長 全国の多くの都道府県では、本県と同様に、新たに要綱や要領を制定して、種子法において都道府県が担っていた種子の開発、種子の生産などをひきつづき行っていると聞いております。このことから、他の都道府県におきましても、稲など主要農作物の品種の開発や種子の安定供給は、生産者の経営安定や、農業振興を図る上で、極めて重要であると認識しているものと捉えております。
●中根県議 そういう捉え方が、少し甘いのではないかと先程の事例をご紹介いたしました。種子を守るべき、採るべき生産ほ場が、もうすでに県が手放しているという例がいっぱい出てきています。
新潟県、埼玉県、兵庫県では、すでに簡単に変えられる内規ではなく、県条例が制定されました。そして、その後も、今、富山県や北海道、山形県、そして長野県が制定に向けて動いています。埼玉県の条例は、危機を捉えた、自民党県議団が提案し、全会一致で採択をしています。
2018年度の種子法に代わる高知県の要綱は、内規的なものです。
簡単に変えられる内規ではなく条例を作り、県としての責任を明確化すべきだと考えますが、知事にお伺いいたします。
■県知事 種子法の施行時と変わらずに、県が主体となって、種子の安定生産供給体制を堅持していく、それが高知県の方針だと考えております。そのために先ほど来、お話のあります要綱を定め、これに基づいて取り組みをすすめていこうとしているわけであります。
新たな条例によらずとも、この要綱の下で、種子生産に関わる皆様と協力しながら、優良な種子を生産供給していくことが、できるものとそのように考えています。
●中根県議 ぜひ、そうした方向で行きたいのですけれども、内規ですぐに変えられるのではなくて、議会での議決も得られるような、条例制定を望んで今回の質問にしているところです。
国会では、「主要農作物種子法復活法案」が提出され、継続審議となっています。種子法の復活と農業競争力強化支援法第8条4号を削除することを、この法案は求めています。
国の食料と国民の命を守る観点で、高知県の農業を守り育て発展させるためにも、県行政からも改革の声を上げるべきと思いますが、国に向かって種子法を復活させるよう声を上げていく点について、知事に最後にお伺いします。
■県知事 とにかく本県としては、県主体となっての、供給体制をしっかり堅持していきたいというふうに考えています。要綱を定めて対応しております。これで私どもはしっかり対応できるというふうに考えています。
●中根県議 ぜひ、食料、国連では、来年から家族農業を見直す10年などもこれから提起をされるんですけれど、高知県で営々とがんばってこられた農家の方たちが、悲哀を見ることがないように、行政の立場をしっかり貫いてもらいたいと思います。以上です。