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- 2018年06月29日
- 議会(質問・討論)
- 2018年6月議会 米田稔県議の代表質問(2018.06.27)
【質問項目】
1、知事の政治姿勢・日朝問題
2、知事の政治姿勢・公文書問題
3、知事の政治姿勢・ブルーインパルス
4、農業問題
5、教育行政
6、放課後等デイサービス
7、生活保護行政
8、印刷物著作権
●米田県議 私は、日本共産党を代表して以下質問を行います。
【日朝問題】
●米田県議 知事の政治姿勢について、まず米朝会談についてお伺いを致します。
長年にわたって厳しく敵対してきた米国と北朝鮮が、初の首脳会談を行い、朝鮮半島の非核化と平和体制構築をすすめ、両国関係を敵対から友好へと転換させるために努力することで合意しました。特に今回の合意が、大使級や次官級・局長級の合意だった1994年の「米朝枠組み合意」や2005年の6カ国協議「共同声明」と違い、歴史上初めて首脳間で合意したことに重みがあります。日本共産党は、このことに対して、心からの歓迎を表明するものであります。
今回の米朝首脳会談は、非核化と平和体制構築に向けたプロセスの始まりです。共同声明でトランプ・アメリカ大統領は、北朝鮮への「安全の保証の提供」を約束し、12日の記者会見では、米韓の軍事演習も米朝交渉の間は中止する意向も示しました。「敵視政策と安全保障上の脅威がなければ核保有の必要はない」としてきた北朝鮮に応じた表明です。米朝首脳は、1953年から休戦状態のままの朝鮮戦争を終わらせ、平和協定への転換をめざすとした4月の南北首脳会談「板門店宣言」の支持も表明をしました。こうしたプロセスは、一定の年月がかかるでしょうが、成功すれば、この地域の平和と安全をめぐる情勢を一変させ、世界史的な大転換を起こすことは確実であります。
今後共同声明の合意を速やかに具体化し、誠実に履行するための真剣で持続的な努力が必要です。そのことを米朝両国に強く期待するとともに、非核化と平和体制構築を実現するためには、米朝両国の努力とともに、関係各国、国際社会の協調したとりくみが必要であり、平和を求め、核兵器のない世界を求める諸国民の世論と運動が不可欠だと考えます。
◆米朝首脳の合意について、どう評価しているかお聞きをします。
◆また、核兵器のない世界をもとめる世論と運動がいよいよ大事になっていると思いますがお聞きをいたします。
■県知事 米田議員の御質問にお答えをいたします。
まず、日朝間題に関し、米朝首脳の合意について、どう評価しているか、とのお尋ねがありました。
史上初の米朝首脳会談において、朝鮮半島の完全な非核化や持続的な平和体制を築くため共に努力することなど共同声明の形で首脳同士が明確に意思表示しましたことは、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けたプロセスの歴史的な第一歩として、意義は大きいと評価しております。
一方、これから大事なことは、北朝鮮の取り組みについて、どのような手順で、いつまでに履行させるのかといった、具体的な詰めを行うことだと考えております。
例えば「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が行われなければならないと考えておりますが、今回の米朝首脳会談においては、「完全」と「非核化」だけが確認された状況であります。
今後のプロセスにおいては、段階的に時間をかけてということではなく、共同声明に「迅速に実行する」と書き込まれておりますとおり、できる限り検証可能な形で速やかに履行される必要があると考えております。
引き続き、米朝だけでなく、日本、韓国、中国、ロシアを含む関係国が緊密に連携をとりながら、国際社会による制裁を含む外交的な対応によって問題が解決されることを望むものであります。
■県知事 次に、核兵器のない世界を求める世論と運動が大事になっていると思うがどうか、とのお尋ねがありました。
北朝鮮を含め、あらゆる国の核兵器の廃絶については、国家間で取り組むべき重要な課題であり、世界人類共通の願いであると考えております。
しかし、核軍縮の進め方をめぐっては、国際社会の中でもアプローチの違いが顕在化していることもあり、政府と、核兵器のない世界を求める世論や運動が、それぞれの立場を理解しながら、最終目標である核廃絶を目指して協力しなければならないと思っております。
我が国は世界で唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の核軍縮・不拡散の取り組みを主導する必要があると考えられますことから、政府におきましては、引き続き、核兵器保有国と非保有国の橋渡し役を担っていただきたいと、これまで私は申し上げてきたところであり、 この考えに変わりはございません。
核兵器のない世界の実現に向けて、実効性のある取り組みを積み重ねることが大事だと考えているところであります。
◆偶発的な武力衝突が危惧された状況から、大きな情勢の変化が起こっています。菅官房長官も米朝首脳会談を受けて、日本をめぐる安全保障上の緊迫した状況が緩和されたとの認識をしめしています。現実性、実効性もなく、単に恐怖心を植え付けるだけのミサイル避難訓練はただちに中止すべきと考えますが、お伺いします。
■県知事 次に、ミサイル避難訓練は直ちに中止すべきと考えるがどうか、とのお尋ねがありました。
北朝鮮が頻繁に弾道ミサイルを発射していた昨年は、国民の不安感が今までになく高まっていたことから、政府は、弾道ミサイルが我が国に落下する可能性がある場合における対処について国民の理解を促進するため、地方公共団体に住民避難訓練を実施するよう依頼しておりました。
しかし、米朝首脳会談後、菅内閣官房長官は、住民参加型の訓練の実施を見合わせ、Jアラートによる情報伝達の方法や弾道ミサイル落下時の行動についての周知に重点を置いて取り組んでいく考えを示されました。
こうした考えは、米朝首脳会談を受け、今年8月に予定されていた米韓合同軍事演習が中止されるなどしたことを踏まえたものと推察されます。
確かに、北朝鮮がミサイル発射や核実験による挑発行為を繰り返していた昨年までとは異なり、現在は緊迫した状況が緩和されたと考えられます。
しかしながら、米朝の共同声明では、我が国を射程に収める中・短距離を含む弾道ミサイルの廃棄には踏み込んでおらず、脅威がなくなっているとは言えないため、しっかりとした備えは継続する必要があると考えております。
本県では、初めての住民避難訓練を昨年11月に高知市で実施して以降、県としてミサイル避難訓練の具体的な予定はございませんが、危機管理上の観点から、万が一に備え、Jアラート機器の動作の確認試験やホームページによるミサイル落下時の行動の周知については、継続してまいりたいと考えております。
今後とも、北朝鮮の取り組みの推移を見守りつつ、危機管理上の対応はしっかりと講じておくということが大事だと考えております。
●米田県議 北朝鮮問題を考える時に、そもそも朝鮮半島が南北の分断国家になった根本には、日本による韓国の植民地支配があることをしっかり自覚する必要があります。
韓国併合の過程において、日本は、朝鮮半島を「利益線」と位置付け、その支配を一貫して追求をしてきました。1894年には朝鮮王宮を襲撃し、国王をとらえて、日本軍の侵攻を強要する「支援要請」を出させました。王宮襲撃に抗議し、60万人とも言われる人々が立ち上がった、東学農民革命の第二次蜂起に対し、日本軍司令部は「ことこどくせん滅すべき」との指令を出し、日本から軍隊を送り弾圧しました。最後には珍島に追い詰め、犠牲者は5万人にもなると指摘をされています。その直後には、他国の干渉を排して独立を求める中心人物の朝鮮王妃ミンビを、公使がかかわり殺害しています。1910年の併合の調印も、陸上で騎兵と歩兵の部隊2千数百人、海上で艦隊が示威行動、首都ソウルに戒厳令をしいたもとのものです。隣国の独立を軍事力で奪った歴史的暴挙であり、韓国では併合ではなく「強占」と呼ばれています。09年、明治政府の閣議決定文には、併合は「帝国百年の長計」と明記されています。日本では、戦前よりこの史実は隠蔽され、今もほとんど知らされていません。しかし、被害をうけた側の記憶は鮮明です。
◆高知県は、東学農民革命にたちあがった人々が最後においつめられた地である全羅南道とは友好関係を結んでいます。
東学農民革命は、韓国が80年代に軍事政権と対決し、民主化を勝ち取る中で、韓国内でも、民主化運動の先駆として改めて評価されています。
これからの北東アジアの平和に向けて、日本のとるべき道を考える上でも、また、高知県民と朝鮮半島の人々との友好を推進していくうえでも、これらの史実についてしっかり学ぶ必要があると思いますが、このようなことを踏まえ、国際交流を深めていくうえでの、知事の認識をお聞きします。
■県知事 次に、国際交流を進めていく上での認識についてのお尋ねがございました。
本県では、これまで韓国全羅南道と、「韓国孤児の母」として多くの尊敬を集められた本県出身の田内千鶴子さんの人道愛に基づいた草の根の交流を下に、小中高生の相互派遣等の人的交流や文化・スポーツ交流、さらには観光や林業分野などの産業交流など、様々な分野での交流を進めております。
このように、国際交流を進める上では、それぞれの国の文化や歴史を学び、敬意を持って接することが重要ですし、また、政治、経済、文化、人道といった様々な交流分野において、国や地方、民間や草の根といった多様な交流主体が複層的な関係を構築していくことが重要であると考えております。
今後とも、韓国全羅南道を始めとする、様々な国や地域との交流の推進にあたっては、こうした視点を持ちながら取り組んでまいります。
【公文書問題】
●米田県議 次に、公文書問題について知事に伺います。
安倍政権のもとで、公文書の改ざん、データのねつ造が連続して起こる異常な事態となっています。行政を私物化した森友・加計問題、南スーダンの日報隠蔽問題、そして「働き方改革」では、労働時間の概念をなくし、過労死を推進するものと、過労死遺族からも批判のある高度プロフェショナル制度の導入について、法案成立前には、労働者からの聞き取りも全くなしで、「労働者にメリットがある」と法案の意義を強弁している問題。森林経営管理法案でも、林業の経営規模を今後も維持したい、という回答を、『経営意欲がない』とねつ造していました。
◆安倍政権になってから続発している、これらの真実を歪め、隠蔽する政治状況は、民主主義、国民主権にとって、極めて由々しき事態であり、決して許されるものではない、と思いますがお聞きします。
■県知事 次に、安倍政権における政治状況は、民主主義、国民主権にとって由々しき事態であり、決して許されるものではないのではないか、とのお尋ねがございました。
民主主義において、政府関係者が主権者たる国民の代表である国会議員の方々に対し、適切な審議を行うことができるよう正確かつ丁寧な説明を行うことは、当然の前提であります。
法案の根拠となるデータや説明に正確性を欠きますと、重要な課題が山積するにもかかわらず国会審議の停滞を招くとともに、政治や行政に対する国民の信頼を損ねることにつながりかねません。
ましてや、決裁を受けた公文書を改ざんし、さらにその文書を国会に提出するということは、総理自身も「不適切で遺憾」と言われているように、あってはならない行為であると考えております。
政府においては、一連の事態が何故起こったのか、しっかりと検証し、再発防止策を徹底していくことが極めて重要であると考えているところであります。
●米田県議 本県でも、公文書館の設置にむけての準備がすすめられていますが、この間の問題の共通点の1つは、業務連絡や問い合わせなどへの応答書などメモや備忘録など、保存期間が「1 年未満」とされる行政文書は、公文書管理法が定める文書管理の重要な義務の例外となっています。廃棄されたことも公文書管理法上は記録が残らず、1 年未満とすべきではない行政文書が1 年未満となっていても、それを確認するすべもないという、ブラックボックス化している問題です。
次に「行政文書」の定義が「当該行政機関の職員が組織的に用いるものであること」とされていることから、
職員個人が業務遂行のために作成した備忘録、メモ、個人用のパソコンに残っているデータは、行政文書でなく「存在しない」というデタラメ、抜け穴を許す結果となったことです。
公文書は、言うまでもなく「国民共有の知的財産」であり、結論だけでなく、その結論をだすこととなった経過、様々な意見の様子など、歴史的な検証をしていくうえで、かけがえのない資料でもあり、あますことなく正確に記すことが必要です。
同時に、立派な仕組みをつくっても、異なった意見やデータなど不都合な情報は、そもそも記録に残さないとか、どうとでも取れる抽象的な内容にするという、運用がなされては意味をもちません。仕組みづくりと同時に、行政が誰のためにあるのかという文化を、しっかり構築していくことが極めて重要です。
◆公文書管理の意義と課題について、お聞きをいたします。
■県知事 次に、公文書管理の意義と課題について、お尋ねがございました。
県政運営にあたりましては、できる限り、県行政を透明にし、その中で、公明正大に議論がなされ、意思決定が行われるとともに、後々、その過程を検証できるような体制を整えておくことが大事であると考えております。
その意味において、公文書管理制度は、公文書の適正な作成、保存、整理を行うことで、意思決定の検証を可能にし、現在、そして将来の県民の皆様への説明責任を適切に果たすために重要な役割を担うものと考えております。
現在、平成32年度の開館を目指して進めている公文書館の整備と併せて、先月設置しました「高知県の公文書管理のあり方に関する検討委員会」において、公文書管理制度に関する統一的なルールや、公文書館で保存する歴史公文書の利用請求権などを規定する新たな条例の制定に向け検討を進めているところです。
また、公文書管理の制度運用にあたっては、公文書の定義に係るいわゆるグレーゾーンを解消することや、公文書の保存管理や廃棄について、懇意的な運用がなされないようにすることが課題であり、検討委員会でのご議論を踏まえ、明確なルールづくりに努めてまいりたいと考えております。
【ブルーインパルス】
●米田県議 次に、よさこい祭り全国大会への航空自衛隊「ブルーインパルス」飛行計画について伺います。
8月9日のよさこい祭り前夜祭、第20回よさこい全国大会にアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が午後5時ごろ高知市街、高知城上空などでの展示飛行が計画されています。
しかし、全国では重大事故がくり返されており、絶対安全とは決して言えるものではありません。2014年1月には、松島基地から南東約45㎞の太平洋上で1番機の機首部分と2番機の左後方が接触し同基地へ緊急着陸しています。ブルーインパルス同士の接触事故は発足以来初めてで大惨事寸前でした。2000年7月には、訓練を終えて帰投する途中、2機が宮城県光山山頂付近に墜落し3名が殉職しています。1982年11月に行われた浜松基地航空祭での展示飛行において「下向き空中開花」という演技を行っていた時、4番機の引き起こしが間に合わず、会場近くの駐車場に墜落する事故が発生をしています。ブルーインパルス史上では初めてとなる展示飛行中の事故であり、パイロットは殉職、地上の民間人にも13名の負傷者が出ています。明らかになっているものだけでこの間展示飛行や訓練中に8回の事故が発生し、墜落6回、墜落機8機、乗務員8名が死亡、民間人13名が負傷しています。
高知県は、早明浦ダム湖への米軍機墜落、米兵2名の死亡、あわやの大惨事、また続く米軍機の墜落を体験し、県民、行政が一体となっていのちと暮らし、郷土を脅かす低空飛行訓練の中止を求める県民運動を続けています。私たちは、県民に危険を及ぼし、いのちと暮らしを脅かすことは決して認めることはできません。
今年1月、航空自衛隊小牧基地周辺住民約390人が、昨年3月の航空祭で「ブルーインパルス」が人口密集地の上空で「曲技飛行」を行ったのは航空法違反だったとして、名古屋地検に前小牧基地司令などを刑事告発、そうした中3年続いた展示飛行は中止になりました。航空法の第91条は、国土交通省の許可なしに、人や家屋の密集している地域の上空で宙返り、横転などの曲技飛行を行ってはならないとし、第81条では低空飛行を禁じています。 昨年3月の航空祭では、基地周辺の2市1町(春日井市、小牧市、豊山町)の首長が展示飛行に反対しています。また周辺住民8479人分の反対署名が県知事に提出をされています。
奈良県でも、今年3月1日航空自衛隊奈良基地で16年11月にあったブルーインパルス展示飛行は、航空法の曲技飛行等禁止及び最低安全高度以下の飛行禁止に違反しているとして告発し、受理されています。
12日、高知県平和委員会が展示飛行の中止を求める要請を、関係機関に行っています。
◆米軍機の低空飛行訓練の中止について全会一致で議会決議を行った高知県では、過酷で危険を伴う飛行であり、重大事故の可能性がある展示飛行を中止すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
■県知事 次に、よさこい祭りにおけるブルーインパルスの展示飛行について、お尋ねがございました。
このたびの展示飛行につきましては、よさこい祭りの主催者であるよさこい祭振興会から、第65回の記念大会に華を添える関連イベントとして実施するため、県と高知市に対し自衛隊への展示飛行実施に向けた要望書提出の要請があり県・市それぞれが自衛隊高知地方協力本部に要望書を提出したところです。
ブルーインパルスは、昭和35年に初の公式展示飛行を実施して以降、咋年度末までに1,122回の展示飛行を行っております。
近年の実績としましては、熊本城をシンボルとして震災復興を願った「熊本復興飛翔祭」や愛媛国体の開会式、瀬戸大橋開通30周年など、災害の復興祈願やスポーツの祭典といった、様々な目的のイベントにおいて展示飛行が行われており、本県における展示飛行はこれまで3回実施されています。
今回の展示飛行では、曲技飛行は行わないこととされており、飛行高度や速度についての航空法や関係法令を遵守し民間航空機の安全運航にも最大限留意するとともに、当日においても気象条件が適さない場合には飛行を中止するなど安全確保に万全を期することを自衛隊高知地方協力本部に確認しています。
展示飛行は、東京オリンピックや国体に代表される全国的な、時に歴史的な機会に披露される大変集客力のあるイベントであります。
展示飛行が高知で披露されることで、よさこいが全国から注目を集め、日本を代表する祭りだと改めて多くの方に印象づけられるのではないかと期待しているところであり、よさこい祭りの記念となる大会で、県民や市民、観光客の皆様にブルーインパルスの展示飛行を楽しんでいただきたいと考えております。
【農業問題】
●米田県議 次に農業問題についてお伺いします。
政府の規制改革会議に端を発した改革の本質が、農業・農協つぶしであれば、それは地域の破壊をもたらすものです。この間、県下の農業・農協関係者と懇談を重ねてきましたが、強い批判と不満の声が寄せられました。
まず准組合員の利用制限の問題です。利用制限はいったん先送りされ、今後、行政の調査などが行われる予定だと聞いていますが、ある農協では「月に1回、全職員で、高齢者の定期訪問、社協とも連携して見守りをしている。地域の末端までいくのはJAか郵便局、命に別状はなかったが、家の中で高齢者が倒れていて救急車を呼んだ事例もある。」、また別のところでも「Aコープ以外に、地域に店舗がないという状況もある。員外の人も利用しないと生活できない、逆に大いに利用してもらい、地域を守る役割を背負っていると考えている」との声がだされています。また、信用事業と一体でないとやっていけない、との声も一様に出されました。
以前の議会質問、答弁でも、総合農協の役割の重要性については、県と同じ認識であったと思いますが、
◆准組合員の利用制限や信用事業の分離などには、県として、また各市町村とも連携し、断固反対の意思を示し、県民共通の認識にすべきだと思いますが、知事にお聞きします。
■県知事 次に、JAの准組合員の利用制限や信用事業の分離についての、お尋ねがありました。
現在、国においては、平成33年3月までに、准組合員の利用規制のあり方について、調査を行い、結論を得るものとしております。
また、信用事業の分離につきましては現時点では強制ではなく、あくまで個々のJAの選択に委ねられております。
こうした状況の中、全国のJAグループでは、「農業者の所得増大・農業生産の拡大」、「地域の活性化」を重点実施分野として「自己改革」に取り組んでおられます。
県内のほとんどのJAは、信用事業を含めた総合農協として事業を継続されるとお伺いしておりますが、もし仮に、准組合員の利用規制や信用事業の分離が実施され、収益性の低下を招いた場合には、営農指導など様々な農業振興の取り組みや、購買店舗やガソリンスタンドなど、中山間地域の生活基盤の維持・確保に支障が生じるのではないかと、危惧されるところでございます。
国においては、JAグループの「自己改革」の状況、また、中山間地域を中心に、これまでJAが果たしてこられた重要な役割や地域のJAなど関係者の声を十分考慮したうえで、地域の実情に沿って対応していただきたいと強く望みますとともに、今後の国の動向にも注視し、必要に応じて国に働きかけてまいりたいと考えております。
●米田県議 懇談では、いくつかの共通した要望も出されました。集出荷場の人手不足の問題です。
この間の努力でハウス園芸の出荷量も増え、3年間で14名の新規就業者がうまれているが、「集荷場での作業員がいない」、また「作業員が高齢化している。収入が安定せず若い人の確保がむつかしい。新規就農者ができても出荷できない」の声もありました。
集出荷場の人手不足解消、そして若者の雇用の場となるように求める声が多数だされています。「作業は出来合い、量が多い少ないで、収入が変わり地域性が色濃く出る。対応する施策を。」とか「出荷場を一つにまとめることで、雇用の継続性が出せればよい」との要望がだされました。また、コストを低減し、所得を向上させ農家の手取りを増やす品目ごとに支所の範囲を超えて、出荷を集約している努力をしている所では「ひとつになることで、農作物の販売を強化したい」「どんどんやっていかないと」との声も寄せられました。
◆集出荷場の人手不足を解消し、そして若者の安定した雇用の場となるよう、連携、集約なども含めた対策の強化が重要だと思いますが、農業振興部長にお聞きをします。
■農業振興部長 まず、集出荷場の人手不足対策について、お尋ねがございました。
現在、JAの集出荷場では、ナスやシシトウなどの収穫量が増加する3月から6月を中心に、作業員が十分に確保できず、生産者やJA職員が交代で選果選別作業を行う事例がみられております。
この要因としまして、集出荷場では依然として機械化されていない作業が多いこと、小規模な集出荷場が地域に点在していること、収穫量が増加する特定の時期に作業が集中し終年の雇用が困難なこと、などが挙げられます。
このため、県では農業団体と連携しながら、国の強い農業づくり交付金などを積極的に活用しまして、集出荷場への自動選果ラインの導入や、小規模な集出荷場の集約・再編などに取り組んでまいりました。
また、近年の新たな動きとしまして、調整作業の省力化を図るニラのそぐりセンターの設置や、JA土佐市においてJAコスモスとJA四万十のキュウリを選果する地域の枠を越えた連携など、先進的な取り組みも見られ始めております。
さらに、本年度からは、主に製造工程の生産効率アップを目的に実施されてきました「トヨタのカイゼン方式」を集出荷場に導入し、専門家による助言をもとに、一つ一つの作業工程や作業者の動線を見直し、作業効率を高めていく取り組みもスタートさせております。
今後は、生産者や農業団体の要望をお聞きしながら、ナスの袋詰め作業などの新たな省力化機械の開発や、夏秋産地と冬春産地の連携による年間を通した集出荷作業の平準化を図ってまいります。
また、来年1月のJA高知県の発足をも契機として、さらにこのような取り組みを県内全域に広げ、集出荷場での労働力不足の解消と集出荷場が若者にとっても魅力ある就労の場となっていくよう取り組んでまいります。
●米田県議 知事は中山間地を本県の強みを支える重要な場と位置づけ、さまざま努力をされていますが、懇談では、「国の補助金が、大規模・法人化農業に偏っている、中規模に対しても同じように恩恵が受けられる施策を」とか「地域の家族農業を、支援する施策を。米価を上積みしてもらえば、小さな農家もたちゆくようになる。」などの声が寄せられています。
世界的には、小規模家族農業に対する注目が集まっています。国連は、2014年に続いて、2019年から2028年までの10年間を国際家族農業年とすることを決めました。昨年12月の国連総会で、日本も賛成して、全会一致で採択されました。
国際社会は、これまで、農地を大規模に集積して企業経営化し、そして、機械、農薬、化学肥料などの科学技術を投入して国際的な競争を促せば、飢餓と貧困は解決できるとしてまいりました。しかし、市場原理主義や自由貿易の行き詰まりのもとで格差と貧困は広がり、飢餓は減るどころか拡大傾向にあります。環境汚染、化石燃料への依存と気候変動、食の安全性への危機などの弊害が次から次へと生まれてきた。その反省にたったものです。
そのうえで、小規模家族農業の重要性を農業政策にいかに反映させていくのかということで、世界食料安全保障委員会の勧告があります。価格と小規模経営の所得を安定させるためには、政府による介入が重要であると指摘しています。
◆小規模経営の多い高知県として、国連家族農業10年について、どう取り組むつもりか、また政府へ政策提言していくつもりか、知事にお聞きします。
■県知事 次に、家族農業10年について、どう取り組むつもりかとのお尋ねがございました。
2014年の「国際家族農業年」に続き、2019年から2028年までの10年間を「家族農業の10年」とすることが、昨年12月、国連において決定されました。
その目的は、家族農業に象徴される小規模農業が、食料安全保障や自然環境、農業の持続性などの面で大きな役割を果たしていることに着目し、国際規模で小規模農業が直面する課題などについて、議論を交わし、飢餓の根絶などに対応していこうとするものであると認識しております。
本県農業においては、家族経営体の割合が約98パーセントを占めていることに加えて、生産条件が厳しく、規模拡大が困難な中山間地域が多いことから、単なる効率化という視点だけではなく、小規模な家族経営体が、しっかりと存続していけるための取り組みが重要であります。
このため、産業振興計画のもと、大規模な次世代型ハウスの普及拡大などに取り組む一方で、小規模農家の生産性の向上を図る環境制御技術の導入支援や、産地提案型の担い手確保対策のほか、高齢化などにより農地の維持が困難になった地域では、集落営農を進めるとともに、中山間農業複合経営拠点の整備などにも取り組んでいるところでございます。
国連の「家族農業の10年」でいわれる小規模農業の有する価値や、農業の持続性という点を考えますと、本県の目指す農業政策と根本的に相通ずるものがあると思っております。
今後におきましても、規模の大小や経営の形態を問わず、多様な担い手が地域で安心して農業を続けていけるよう、取り組んでまいりますとともに、国に対しましても、必要に応じて政策提言を行ってまいりたいと考えております。
●米田県議 その対策の一つとして中山間地域等直接支払制度のいっそうの充実が求められていると思います。
昨年2月県議会で、中山間地域等直接支払制度の協定面積の減少を取り上げましたが、県として実態調査に基づき、すでに改善に向けて努力していることが報告されました。
中山間地域の位置づけについて、3月27日の産振計画フォローアップ委員会においても、知事が「特に、出生率が高い傾向にある中山間地域の若者の増加の取り組みを徹底していくことで、出生率がそもそも高い中山間地域に若者が戻ってくることにより出生率の平均値を上げるであろうと。また、中山間地域こそ新しい付加価値の源泉となっている」として「中山間対策をしっかりやっていこう」と強調をされています。
◆中山間地域等直接支払制度について、もう一段の充実が必要ではないか、国への政策提言も含め、農業振興部長に伺います。
■農業振興部長 次に、中山間地域等直接支払制度について、もう一段の充実が必要ではないか、とのお尋ねがございました。
本制度は、本県の大半を占める中山間地域の農業を守るうえで、大変有効な制度でありますことから、これまでも国に対して、本県の厳しい実態を伝えるとともに、地域の実情に沿った要件の緩和や支援策の充実を提言してまいりました。
その結果、現在の第4期対策では、例えば「5年間農地を保全管理できなかった場合」の交付金については、参加者の病気の場合などに加え、高齢化や家族の介護による場合も返還を求めないとされるなど、高齢化に配慮した参加しやすい制度に改善されましたし、また、本県にとって有効な超急傾斜の農地への加算措置が創設されるなど、支援策の充実も図られてきたところです。
一方、昨年度に実施しました第4期対策の中間年評価では、高齢化の進行や協定活動を取りまとめるリーダーの不在など、集落の厳しい実態が深刻化しており、集落の代表者の方々からは、対策期間の短縮や事務手続の簡素化などを求める声が挙がってきております。
県といたしましては、これから検討が始まる次期対策の制度設計に、こうした地域からの声が反映されますよう、まずは、国の担当者や、制度の点検及び効果の評価等を行う国の第三者委員会メンバーに本県の実態を直に見てもらうとともに、集落の代表者や市町村などの関係者も交えた意見交換を実施してまいりたいと考えております。
今後とも、こうした場で出されたご意見なども踏まえ、より多くの農業者の方々が安心してこの制度に参加できるよう、機会あるごとに国に対して、制度のさらなる充実に向けた提言活動を行ってまいります。
【教育行政】
●米田県議 次に教職員の配置と採用に関して教育長にお聞きします。
この4月、本来、少人数学級として編制すべき小学校一年生、二年生のクラス編制をあえて行わずに、新学期をスタートさせた小学校が高知市内で3校も発生しています。1年生の3学期末に、2年生になる来年度も県の少人数学級編制30人のままですと学校から知らされていました。にも拘らず、新学期になって、保護者あての断り文書で初めて知ることになった学校の保護者からは批判の声が上がり、また、当然30人学級と思って入学させた新一年生の保護者が入学式の日に30人学級ではない事を口頭で知らされ、納得できないという声が上がってきていました。
保護者の皆さんや教職員団体が学校や教育委員会へおしかけ問い合せる中で、その原因が、本来配置されるべき教員が3月末になっても未配置であった事に由来するという事実が次第に明らかになってきています。
少人数学級編制は、国民の声に押されて2001年から都道府県での実施が、そして2011年度からは国も標準法を改訂し小1からの実施に踏み切ったもので、県は、小1プロブレム、学力保障に有効だとして2014年度から県独自の標準法以上の少人数編制を国に先んじて実施、推進してきたものです。これら教職員定数配置にかかわる配分権限は県教委にあります。であるならば、本年度当初における未配置の事態を招いた責任は県教育長にあるといえます。
◆教育長は、課題解決先進県として国に先んじて実施してきた少人数学級編制施策が未実施となった責任をどう認識されているのか、まず、お聞きをします。
■教育長 まず、少人数学級編制施策が未実施となった責任をどのように認識しているのかについて、お尋ねがございました。
このたび県教育委員会が設定した少人数学級編制の基準を満たしながらも、それが活用されずに本年度のスタートを切った小学校があることについては、国の基準に上乗せして制度を整備してきた県教育委員会としましても大変残念に思っております。
少人数学級編制は、小学校低学年で身に付けさせる必要がある基本的生活習慣の定着や小学校中学年から現れる学力の定着状況の二極化への対応、また、中学校入学後に現れる学力低下の問題や不登校生徒の増加といった教育課題を克服するなどの効果が考えられます。
本県では、平成16年度に、国から加配された教員数と県単独に加配する教員数を用いて小学校1年生で30人学級を実現し、その後、段階的に対象学年を拡大し、現在では、小学校1・2年生では30人学級、小学校3・4年生では35人学級、中学校1年生では30人学級が編制できるようになっています。
お話のありました3校におきましても、本県の少人数学級編制の基準を満たしておりましたので、県教育委員会として、4月当初から30人学級が編制できる教員数の配置を行っておりました。
しかし、この3校については、高知市教育委員会から4月中旬になって、「次年度以降の学級編制を見通し、児童の学習環境の変化を最小限とするために、少人数学級編制を実施せず、他の加配目的のために配置した。」との報告がありました。
本来、少人数学級編制を含む加配教員については、配置目的が決められているものであり、学校や市町村教育委員会の判断のみで配置目的を変更できるものではありません。今回の事案では、県教育委員会へ事前の報告や相談がなく、国との調整をしないまま、少人数学級編制として加配した教員を、指導方法を工夫するための加配教員として活用した学校体制で、新年度をスタートしたものであります。
今後、県教育委員会としましては、加配教員の適切な連用について、市町村教育委員会や学校に対し改めて周知するとともに、各学校において、より効果的な教育がなされるよう、教員の配置の充実に取り組んでまいります。
●米田県議 教職員の配置は義務標準法に基づく定数に見合う財政措置が国によってなされ、その実際の配置は各都道府県教委に委ねられています。
昨年9月議会でわが党の吉良議員が「本県は標準定数より実際の配置が91人下回り、小中学校では23名の不足」していることへの対応を求めた際に、教育長は、「本県が実施しております少人数学級編制は、平成29年度は、義務標準法による学級編制と比べて98の学級が増加しております。そして、この学級増に伴い、108の加配定数が必要となりますが、年度当初には、これに対する教員を確実に配置しているところでございます」と答えました。
◆今年はどうだったのか、県内小学校における少人数学級編制に係る、昨年度末に予想されていた加配定数及び、本年4月当初に実際に配置した加配教員の数についてお答えください。
■教育長 次に、昨年度末に予想していた少人数学級編制に係る加配定数及び、本年4月当初に実際に配置した加配教員の数について、お尋ねがございました。
平成29年度末に県教育委員会に対して少人数学級編制に係る研究指定校の申請を行っていた県内小学校は、合計49校であり、それに係る加配教員の配置数は83人でありました。
4月当初時点では、児童の転出入により指定対象校に増減が生じており、実際に配置された少人数学級編制に係る研究指定校は、今回、少人数学級編制未実施校となった3校を含めて、合計47校であり、それに係る加配教員の配置数は75人でありました。
●米田県議 義務教育諸学校における定数は学級数等に対応する基礎定数と今回の少人数学級など政策目的に応じる加配定数で構成されています。教育長も、先の答弁時にそれら加配配分について、「基礎定数については県独自の配置基準を設け、年度当初には、この配置基準に基づき、小学校では学級担任の定数分を、中学校では主に教科指導に係る定数分を配分した上で、さらに各種教育課題に対応するための定数を追加配分して」いる旨述べている事から判断をして、本年度はこの追加配分が年度当初になされず、学校現場は苦渋の選択を余儀なくされ、少人数学級ではなく他の職務加配への配置をおこなったと考えるものです。
◆つまり、県教委の教員配置のミスによって、学校現場は少人数学級編制中止を余儀なくされ、児童の学力向上などを図る教育環境が奪われたと考えるものですが、教育長の認識をお聞きします。
◆また、本件の3校と同様に、四月当初までに本来当該校に配置されるべき加配定数の追加配分がなされなかった人数と校数は小中学校それぞれ県下でどれだけあったのか、また、現時点で、配分された定数はすべて学校現場に配置されたのか、併せてお聞きをします。
■教育長 次に、少人数学級編制の中止により、児童の学力向上などを図る教育環境が奪われたのではないか、ということについてお尋ねがございました。
少人数学級編制の未実施校である3校については、少人数学級編制の他にも、指導方法を工夫するための加配など、複数の種類の加配を希望しておりました。しかし、県教育委員会として、この3校を含めた15校の小学校において、4月当初にその全ての加配数を配置することができておりませんでしたので、この15校については、少人数学級編制の加配を最優先として、まず配置する対応を行いました。
このように、少人数学級編制を最優先する対応をとってきましたが、結果的に、小学校3校において少人数学級編制が行われなかったことは大変残念に思います。また、県教育委員会としましても、年度当初の段階で、本来配置すべき学校に全ての加配教員を配置できなかったことについては反省すべき点であり、今後改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
■教育長 次に、4月当初までに加配定数の配置がなされなかった人数と校数について、また、現時点での加配定数の配置について、お尋ねがございました。
本年度の始業式が行われた4月9日の時点で、少人数学級編制の加配を除いて加配教員が未配置であうた小学校は、先ほどの15校を含め、17校で、17人の未配置がありました。中学校では、全ての加配教員を配置したうえでスタートすることができております。また小学校においても昨日(6月26日)の時点で、4月9日から引き続いて配置のできていない加配教員はおらず、現在では全ての小・中学校において配置ができております。
●米田県議 そもそも、今回のような本来配置されるべき定員数が毎年、年度当初までに速やかに配置されない事態が繰り返される原因は、総額裁量制によって、本来正規に任用されるべき教員が非正規教員に据え置かれて利用されている事にあると考えるものです。
◆本年度、本県の臨時教員に占める定数内配置の臨時教員数は537名もいます。臨時教員数が537名に届かなければ、義務標準法に基づく定数すら満たす事が出来ず、学校運営は窮地に陥ります。臨時教員希望者数が、平成29年度は前年より51名減るなど減少傾向にあることと、4月当初における定数に満たない未配置校の出現とは関連がないとは言いきれないと考えるものです。未配置校が生まれた原因をどうお考えか伺います。
◆昨年度も今年度も臨時教員として着任している6割、実数で言うと500名から600名は定数内の配置です。臨時教員数の増減で標準配置が危うくなる事態を避け学校の安定的な運営を保障するため、官製ワーキングプワーの臨時教員をこれ以上放置してはなりません。定数内教員は正規教員で配置するよう、定数内臨時教員比率の漸進的低減策を取るべきだと考えるものですが、教育長にお聞きをします。
■教育長 次に、臨時教員希望者数が減少傾向にあることと、4月当初における未配置校の出現との関連や、未配置校が生まれた原因について、お尋ねがございました。
本県の小中学校における平成29年度末退職者の状況は、10年前と比べて約2.5倍の370名を超えており、さらに、これから5年間は350名程度の退職者数が続くことになります。県教育委員会としましては、正教員を確保するため、小中学校において平成30年度の新規採用者数も、10年前と比べて約2.5倍の180名程度に大きく伸ばしてきたところです。しかしながら、退職者数を新規採用者数だけで確保することはなかなか難しい状況にあり、本年も約140名の再任用を行い、対応しているところです。
また、本県の教員採用審査の出願者は、県内出身者や県内大学生が多くしめる状況にあって、ここ10年間をみてもほぼ600名と一定しておりますが、近年、新規採用者数を大きく伸ばしてきたことで、県内在住の臨時教員の多くが本県の正教員に採用となり、年々、本県の臨時教員を志願していただく方が減少してまいりました。
こうしたことから、臨時教員の確保が難しくなっており、未配置校が生まれた原因となっております。
■教育長 最後に、定数内教員を正規教員で配置するための、定数内臨時教員比率の改善策について、お尋ねがございました。
本県の未来を担う子どもたちの教育を充実させていくためには、必要な人材を安定的に確保し、正規教員の割合を増やしていくことが大変重要だと考えております。そのため、優秀な人材の確保に向け、一昨年度から教諭においては、受審可能な年齢を49歳に引き上げるなどの年齢制限の緩和を行うことや、大阪での採用審査を実施してまいりました。また、昨年度からは、全国で一番早い採用審査を実施し、本県の学校で働くことを志望する方を増やす取組を行ってまいりました。
その結果、平成29年度採用の受審者は1,174名であったところ、平成30年度は1,752名と大幅に増えてきており、受審者の確保において成果が出てきているところであります。
新規採用者数が増加すれば、その分、初任者指導教員の配置が必要となるなどの課題も見込まれますが、受審査数も増えてきましたので、今後、県教育委員会としましては、こうした課題への対応策を講じながら可能な限り採用者数を増やし、お話にありましたように、定数内における正規教員数を出来る限り増やしてまいりたいと考えております。
【放課後等デイサービス】
●米田県議 次に、障害児通所施設、「放課後等デイサービス」について地域福祉部長に伺います。
障害児の放課後等支援施策として2012年から始まった放課後等デイサービス。全国に事業所約1万1千カ所、約17万人が利用をしています。
ところがこの4月からの報酬改定で減収が予想され、多くの事業所の存続が危ぶまれる事態になっています。約400の施設でつくる「障害のある子どもの放課後保障全国連絡会」(全国放課後連)が4~5月に実施をしたアンケートでは(211施設が回答)、80%超の施設が低い報酬区分に分類され、大半が減収を見込んでいます。そして今後考えられる影響として19,5%が「施設の廃止」と回答しており、利用する子どもが影響を受ける恐れが生まれています。他に「人件費削減」49%、「人員削減」36,2%、「活動内容の変更」32,9%などとなっています。
今回の報酬改定の背景に、利潤を追求し支援の質が低い事業所が増え問題化したことがありますが、利益追求主義とは無縁の事業所まで報酬が抑制される事態になっています。
12日には国会内で「子どもと実践を守ろう」と全国放課後連主催の集会が開かれています。「放課後等デイサービスは、子どもの大事な居場所です。居場所がなくならないよう力を合わせたい」等のあいさつがあり、「学校では学べないことが放課後活動の中にたくさん詰まっている」「職員の給与をカットしないと運営が成り立たない。子どもたちの豊かな発達を願う活動ができるよう改善を」など、保護者や事業所から切実な声が寄せられています。子どもの成長・発達への支援、家族等の労働と休養、心身のリフレッシュを支援する上でも、放課後等デイサービスのいっそうの充実が求められています。
4月から導入される報酬区分の判定に当たって、制度の周知、準備不足等により新しい「新指標(16項目)」に基づいた判定が十分なされたとは言えません。現場、事業所は判定のやり直しをした上で4月にさかのぼっての適用を求めています。
◆高知県下では、約60カ所の放課後等デイサービスが整備され、約700人の障害児が利用していますが、今回の報酬改定による影響をどう把握しているのか、地域福祉部長に伺います。また市町村の体制を充実できるよう国に提言するとともに、早急な判定のやり直しを行えるように支援すべきと考えますが、併せてお聞きします。
◆3月に平成30年度から32年度までの、3年間の第1期高知県障害児福祉計画が策定されましたが、どこに住んでいても必要とする人にサービスを提供していく基本的な考え方、今後の利用者数と施設の整備など第1期計画における放課後等デイサービスの促進について、地域福祉部長にお聞きをします。
■地域福祉部長 まず、放課後等デイサービスについて、報酬改定の影響をどう把握しているのか、また、市町村の体制充実などについてお尋ねがございました。
今年4月の報酬改定では、放課後等デイサービスの適切な評価を行うため、障害児の状態像を勘案した16項目の指標を設け、各事業所の利用者のうち基準に該当する児童が占める割合に応じた報酬区分を設定する仕組みが新たに導入をされました。
その結果、県内の事業所の4月1日時点での報酬区分は、「主に重症心身障害児以外を対象とする」49事業所のほとんどが低い報酬区分が適用される状況となっております。
県が6月に事業所に行ったアンケート結果では、回答のあった35事業所のうち、74%が減収を見込んでおり、今後考えられる影響としては複数回答ではありますが、「人件費削減」が34%、「人員削減」が31%、「活動内容の変更」が29%、「事業廃止の危機」が14%となっており、本県においても、利用する子どもへの影響も考えられます。
事業所において障害の特性に応じた適切な支援を行うためには、障害児の状態を市町村がしっかり把握したうえで、支援内容を決定する必要がありますが、今回の改正においては、国の通知から市町村が判定するまでの期間が短かく、新しい指標によって判定を行ったのは8市町村にとどまっています。
これまでも、法改正や報酬改定に際しては、市町村の体制なども考慮し、十分な準備期問を確保するよう国にも要請もしてまいりましたが、結果として今回も十分な期間が確保されなかったため、今後も引き続き国に要請してまいります。
こうした中、今回の報酬改定の影響については、国においても5月に調査を実施していますことから、それへの対応を注視しつつ、利用する子どもへの影響がでないことを第一に、必要に応じて政策提言も行ってまいりたいと考えています。
■地域福祉部長 次に、障害児福祉計画の基本的な考え方と、今後の利用者数、施設整備など、放課後等デイサービスの促進について、お尋ねがございました。
本年3月に策定をいたしました、第1期障害児福祉計画では、障害のある子どもが、その持てる力を伸ばしていくために、できるだけ早い時期から身近な地域で療育支援が受けられるよう、必要なサービスの確保を図るとともに、子どもの成長段階に応じて効果的で一貫した支援を行うための切れ目のない支援体制を構築していくことなどを基本的な視点として、サービスの提供基盤の整備を計画的に進めていくこととしております。
計画策定におきましては、県及び市町村が特別支援学校の在校生や障害福祉サービスの利用者、その保護者などへアンケート調査を実施するなど可能な限りニーズの把握に努めたうえで、障害福祉サービスの今後の見込量を定めています。
その中で、放課後等デイサービスの利用者は、昨年7月には742人でしたが、計画の最終年度である平成32年度末には1,5倍の1,157人を見込んでおります。
また、事業所数は昨年7月には51事業所となっていますが、平成32年度末までに新たに21か所の整備が必要と見込んでおり、現在までに高知市を中心に6つの事業所が新たに開設をされたところです。
サービス提供基盤の確保に向けましては、専門的な支援に携わる人材の支援力の向上や、確保を図るための研修を引き続き実施をするとともに、事業所の参入が進みにくい中山間地域におきましては、地域の介護保険施設、事業所に対しまして、今年度から新たに創設をされました共生型サービスを含めた放課後等デイサービスの参入を促すなど、市町村と共に新たな事業展開を働きかけていくこととしております。こうした取り組みを通じて、障害児福祉計画の推進を図ってまいります。
【生活保護行政】
●米田県議 次に、生活保護行政について伺います。
この10月から3年かけて、約7割の生活保護利用者に最大5%、総額210億円もの生活保護費の削減を進めようとしています。現状の保護基準でも「食事は一日2回」「入浴は週一回」「電気代節約のため早く寝る」「エアコンもできるだけつけない」などの生活を強いられています。第2次安倍政権になって、13年、15年、そして今回と連続して生活扶助、住宅扶助、冬期加算引き下げと、削減総額年1480億円にものぼります。
生活保護法第3条には「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」と明記をしています。しかし今、生活保護法、そして憲法25条が大きく脅かされていると言わなければなりません。
国連人権専門家からも、10月からの生活保護費引き下げについて「貧困層、特に障害者、一人親世帯、また高齢者の最低限の社会保障を脅かすもの」だとして、見直しを要請、警告されているのであります。
◆生活保護費引き下げの撤回・中止を国に求めるべきではありませんか、知事に伺います。
■県知事 次に、生活保護費の引下げの撤回と中止を国に求めるべきではないか、とのお尋ねがございました。
今回の「生活保護基準の見直し」については、国の社会保障審議会生活保護基準部会において「平成26年全国消費実態調査」のデータ等を用いて、専門的・科学的見地から検証を行うとともに、生活保護基準と比較する一般世帯としてはどのような所得階層が適当であるかなどについても丁寧な検証が実施されたと承知しております。
その上で、多人数世帯や単身高齢者世帯等への減額の影響が大きくならないよう、個々の世帯での生活扶助費と母子加算等の合計の減額幅を、現行基準から5%以内の減少にとどめるとともに、本年10月から3年間かけて段階的に見直しを実施することとされております。
このように、今回の生活保護基準の見直しは、客観的な経済指標に基づくものであるとともに、一定、生活保護を受けている方への減額の影響も考慮したものであると受け止めております。
こうした中、県といたしましては本年10月からの基準の見直しにより、どのような影響があるのか状況をしっかりと把握していく必要があると考えています。
さらに、本年5月の生活保護法改正に関する参議院厚生労働委員会の附帯決議では、「生活保護基準の次期改定に向けて関係者の意見も踏まえつつ、最低限度の生活保護水準を下回ることがないよう十分に留意するとともに、新たな検証方法の開発に早急に取り組むこと。」とされていることから、今後、国の動きを注視するとともに、必要があれば国に対し全国知事会を通じて提言してまいりたいと考えています。
●米田県議 ◆5月31日、参議院厚生労働委員会が全会一致で17項目の附帯決議を可決しています。その第14項目には、「生活保護基準は社会保障、教育、税など様々な施策の適用基準と連動していることから、平成三十年度の基準の見直しにより生活水準の低下を招かないよう、地方自治体への周知徹底を含め万全の措置を講ずること。また、生活保護基準の見直しにより、保護が受けられなくなった世帯の数や対応状況等の把握に努めること」とあります。どう取り組んでいくのか、地域福祉部長にお聞きをします。
■地域福祉部長 次に、生活保護基準の見直しに関しての国会の附帯決議にどう取り組んでいくのか、お尋ねがございました。
まず、お話のあった附帯決議のうち、他の施策の適用基準との連動につきましては、今年1月の閣僚懇談会におきまして生活保護機銃の見直しが出来る限り他の制度に影響を及ぼさないように対応すること、地方自治体にも国の取り組みの趣旨を理解したうえで判断するよう依頼を行うことが対応方針として確認をされており、これを受けて本県では2月に、この国の対応方針について県の各部局及び市町村に対し周知を図ったところです。
今回の附帯決議を受けて、国から改めて通知がございましたので、再度、政府の対応方針及び附帯決議の趣旨を理解いただき、適切に対応いただくよう要請をしているところでございます。
前回の生活保護基準の見直しがあった平成25年においても同様の要請を行い、県の事業におきましては、例えば県営住宅の家賃の減免や高等学校奨学金の対象者の決定にあたって、見直し前の基準を用いることで、見直しによる影響は生じていないところであり、前回同様、今回の見直しが他の制度に影響を及ぼさないよう配慮されるものと考えておりますが、今後、具体的な対応状況について情報収集してまいりたいと考えています。
■地域福祉部長 次に、今回の生活保護基準の見直しの影響につきましては、先ほど知事からお答えしましたように、どのような影響があるか状況を把握する必要があると考えており、10月以降に、福祉事務所に対し調査を行い、附帯決議にある生活保護が受けられなくなった世帯の数なども含めてその状況をしっかりと把握をしてまいります。
●米田県議 次に、生活保護の利用率、いわゆる捕捉率に関して伺います。
生活保護基準以下の所得(収入から税、社会保険料などを差し引いた所得)で暮らす世帯が2016年は705万世帯あり、そのうち実際に生活保護を利用していた世帯は22,9%、161万世帯しかないことが厚生労働省の推計でわかりました。同推計の公表は10年以来で安倍政権では初めてです。厚労省は立憲民主党・石橋通宏議員の要求に応じて資料を作成し、5月29日の参院厚生労働委員会に提出をしています。
現行の生活保護は、所得が保護基準(最低生活費)以下でも、預貯金が最低生活費の1ヶ月未満とほとんどない場合でないと利用できません。この預貯金額を考慮した推計でも、預貯金がほとんどない保護基準以下の所得世帯のうち実際の保護利用世帯は43,7%にとどまっています。
推計は、16年の国民生活基礎調査のデータをもとに行われたもので、07年の同調査を利用した前回との比較では、利用率は上昇していますが、低水準であることに変わりはありません。
格差と貧困が広がるもと、国民の暮らしを守る最後のセーフティーネット(安全網)の周知徹底と、利用しやすくするための制度改善が大きな課題であることを改めて裏付けているのではないでしょうか。
保護が必要な人が利用できないようなことがあってはならない、と知事は表明されてきましたが、いま紹介したように資格がありながら77%の人が利用できていない、預貯金を考慮しても56%の人が利用できていません。いまこれらの人々に権利としての保護利用を保障することが強く求められています。またそれがスティグマ(生活保護を受けることが恥という意識)を克服することになるのではないでしょうか。
◆いわゆる捕捉率を実態に合うよう抜本的に引き上げる決意と、積極的な対応を求めるものですが、知事のご所見を伺います。
■県知事 最後に、生活保護の捕捉率の引き上げと対応について、お尋ねがございました。
いわゆる「捕捉率」について、国は、個々の低所得の方が生活保護の対象となるかどうかは単に所得だけではなく、保有する資産や親族の状況など、様々な状況を把握しなければならないことなどから、正確な推計は困難であるとしております。
この「捕捉率」については先ほど申し上げた参議院厚生労働委員会の附帯決議において「より正確に生活保護の捕捉状況を把握する方法について検討を行うこと。」とされましたことから、今後、国の動向を注視してまいります。
いずれにいたしましても、生活保護は、国民生活の最後のセーフティネットであり、「真に保護を必要とする方が、保護を受けられない」ということは、あってはならないと考えており、県といたしましては、制度の概要、相談窓口や連絡先などを、ホームページに掲載しているところであり、市町村や市町村社会福祉協議会におきましても、広報紙などを通じて、その制度の周知に努めていただいているところです。
また、平成27年度から施行している生活困窮者自立支援制度における市町村の相談窓口から、生活保護制度につなげる事例などもあるなかで、このたびの生活困窮者自立支援法の改正により、市町村職員等に対する研修や事業実施体制の支援など、県の役割が明確化されました。
このため、県といたしましても、その役割を十分に発揮し、生活困窮者の相談窓口を充実させることなどにより、生活困窮者自立支援制度との連携をさらに強化するなど、真に保護を必要としている方が、適切な保護を受けられるよう、引き続き、生活保護制度の適正な運用に取り組んでまいります。
●米田県議 次に、具体的な点について伺います。
高知県庁ホームページ「くろしおくんご意見バンク」に、受付日2008年4月10日の生活保護制度に関する県民の声と高知県からの回答、が掲載をされています。
高知県は生活保護の割合が非常に多い。医療関係者からの目には、不正な生活保護者が中にいる、市民から不正を告発できるような体制を作ってほしい、との県民の声を紹介しています。県からは、全国的に高い水準。目が行きとどかない点もあるかと思うので事例があれば情報を提供してください、と回答しています。
◆このやりとりは結局、利用率がなぜ高いのかを説明しないまま、高いことは悪いこと、不正は当然存在している、住民同士の監視と告発を容認し情報提供を求めるという県の考え方、立場だと受け止めざるを得ません。そして”生活保護は恥”との意識を県民全体に広げる役割を、県が果たしている重大な事態だと言わなければなりません。直ちに見直すべきと思いますが、地域福祉部長に経過と見解を伺います。
■地域福祉部長 最後に、くろしおくんご意見バンクへの回答に対する経過と見解について、お尋ねがございました。
くろしおくんご意見バンクにつきましては、平成16年度から運用を行っており、県民の方からいただきましたご意見に対しまして、お答えをしているもので、ご意見をいただいたご本人に公開の意思を確認したうえで、ホームページに掲載しております。
議員からお話のありました県からの回答において、「保護率が高い水準にある」ということにつきましては事実関係を述べたものであり、保護率が高いことについて「悪い」という評価をしたものではありません。
また、県民の皆様に監視と告発を促したものでもなく、いただきましたご意見を踏まえまして、生活保護の適正な運用を図っていくとの思いから回答したものです。
しかしながら、議員ご指摘のような受け止めがあるとすれば県としては本意ではございませんので、今後、誤解を与えることのないような表現とするなど、丁寧な説明に努めて参りたいと考えております。
●米田県議 次に、7年前の2011年(平成23年)9月議会に提起をした問題についてです。
Aさんは当時61歳でしたが、病気が悪化し平成19年6月から生活保護の利用で、わずかな年金を含めた生活保護基準額での生活でした。保護利用前の自動車税の滞納があり毎月2千円を分納。3月頃から滞納になり、 県税事務所は生活保護利用者と認識しながら、8月の年金6万5350円全額と口座の残金43円全てを差押えたのであります。ここまで追い詰めるのか、と訴えておりました。年金も含めた保護基準の支給であり、実質保護金品であることは明らかであります。生活保護法と、その公課禁止、差押え禁止の条項からも、また国税徴収法と、滞納処分の停止要件に該当する「生活の窮迫」にあることも明らかでありました。
その後、生活保護受給証明書と残りの延滞金を含めた滞納分約5万7千円の支払い猶予の申請を行いました。しかしいくら言ってもその対応には全く取り合わず、みんな払っている、済ます気があれば千円でもなんぼでもと押し切られた。以来6年間月2千円、あるいは年金支給月に2千円を払い続けてきた、と話していました。また兄弟の孫が、自分の娘が大病した時、見舞いにも行けず情けなかった、つらかった。普通のつきあいも、普通の生活も出来ない等、胸の内を語っていました。
◆今回のような生活保護利用者の県税滞納については、生活の窮迫の実態に良く耳を傾け、強権的でなく、支払い猶予の申請などに誠実に対応すべきだと思いますが、総務部長の見解を伺います。
■総務部長 生活保護利用者の県税滞納について、生活の窮迫の実態によく耳を傾け、誠実に対応すべきではないか、とのお尋ねがございました。
県税事務所では、自主財源である税収の確保に向けて、公正で公平な賦課徴収に取り組んでおり、担税力がありながら納税に応じていただけない滞納者に対しては、財産の差し押さえなどの厳正な滞納処分を行っております。
一方、生活が困窮している納税者については、生活の再建をしながら納税していただくという配慮が必要ですので、生活実態に即した分割納付等の相談もお受けしているところであります。
議員から御指摘のあったケースのような場合、生活保護を受給していることをもって、ただちに現に滞納している税の納税義務は免除されるものではございませんが、本人との面談や、家計の収支の状況が分かる書類の提出等により生活実態等の把握に努め、本人の状況に応じて分割納付や執行停止を行うこととしています。もとより、生存権まで脅かすような税の徴収というのはあってはならないことでありますことから、納税者が生活困窮等の状況にあると想定される場合には、個別の事情にできるだけ配慮しながら、適切に対応してまいります。
【印刷物著作権】
●米田県議 次に、本県の印刷業界における課題解決に関して伺います。
今年、10月5、6日の二日間「土佐で語ろう 印刷の未来」をテーマに「全日本印刷文化展高知大会」が開催されます。全国の中小印刷業が一堂に会し、業者の協調と団結のほか、地域振興や印刷需要喚起などの面でも成果を上げてきた文化展。その成功をさらに実のあるものとする上でも、本県で全国に先駆け、中小印刷業者が抱える課題を解決する取り組みを求めて伺います。
まず、国や自治体が発注する印刷物の著作権についてであります。
各地の地方公共団体で提示される契約書には「著作権は全て発注者に無償譲渡すること」「著作権は発注者に帰属するものとする」などと受注者の知的財産権を軽視した記述がなされています。本県でも同様で、例えば県観光振興部地域観光課発注、田舎まるごとガイド「Rural高知」の仕様書には「成果品に係る著作権等の知的財産権は、すべて県に帰属するものとする。」と記され、教育委員会小中学校課発注の「家庭で取り組む 高知の道徳」ハンドブックの仕様書にも「制作物の著作権等の知的財産権は、全て高知県教育委員会に帰属すること」と明記されています。
つまり、イラストや写真などを官公需の印刷物に使用したときには、その著作権も発注者に移転するというものであります。
「平成29年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」では、印刷物を念頭に、印刷データやイラストなどに含まれる著作権等の知的財産権に財産としての価値を認め「十分に留意した契約内容とするように努めるものとする」との文言が追記されました。
◆この改定内容をどのように受け止められ、どのような対応がなされてきたのか商工労働部長に伺います。
■商工労働部長 印刷物の著作権に関しまして、「平成29年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の改定内容の受け止めと対応状況について、お尋ねがございました。
この基本方針につきましては、国等の契約に関し、中小企業の受注機会の増大を図ることを目的とします「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づき、年度毎に閣議決定がされております。また、同法第8条において、「地方公共団体は、国の施策に準じて、中小企業者の受注の機会を確保するために、必要な施策を講ずるように努めなければならない。」旨定められているところでございます。
官公需の印刷発注においては、契約書等において著作権を発注者へ無償譲渡することが定められているケースや、契約書等において記載が無いにもかかわらず、納入時に納入物の電子化データの譲渡を求められ、そのデータを利用し無断で増刷が行われたケースなど、著作権等の財産的価値に関わるトラブルが散見をされております。
こうした事を踏まえ、平成29年度の基本方針では、受注した中小企業者の著作権を適切に保護するために、財産的価値を評価し、十分に留意した契約内容にするよう努めることとされたものであり、県としましても、しっかりと対応していく必要があるものと認識をしております。
このため、基本方針の改定内容につきましては、昨年9月に商工労働部から通知を発出し、県の全所属で共有を図りますとともに、各所属に対して、発注案件毎に基本方針に準じた取組みを依頼したところでございます。
今後とも、会計管理局と連携して、著作権の財産的価値に留意した適正な契約を推進していくことを通じて、県内中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めてまいります。
●米田県議 ◆各地で行われた官公需確保対策地方推進協議会では、基本方針の説明の中で、「官公需における印刷発注では著作権の権利範囲を明確化して財産的価値に留意しましょう」とのタイトルで問題点を指摘し改善を求めています。県としても実態把握と具体的改善に取り組むべきと考えますが、どのように対応されるか会計管理者に伺います。
■会計管理者 まず、県として、印刷物の著作権について、実態把握と具体的改善に、どのように対応するかとのお尋ねがございました。
平成29年度の「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の考え方においては、これまでの国や地方自治体等における印刷発注の問題点として、一律に著作権が発注者に譲渡されていること、著作権の権利範囲が不明確であること及びその権利が無償で譲渡、利用されていること等があげられております。
現在、県で定めております業務委託契約書の標準書式においては、著作権が県に属する場合、県と契約の相手方の共有に属する場合、契約の相手方に属する場合の取扱いを明記しておりますが、中小企業者の受注機会の増大を図る観点から、国の基本方針をより明確に反映させる必要もあるのではないかと考えております。
このため、県の印刷物発注における著作権の帰属先等について、現状を確認するとともに、中小企業者の支援を所管する商工労働部と連携しながら、契約書式の一部修正などの対応につきましても検討してまいります。
●米田県議 もう一点は、県内印刷業の官公需による経営悪化の問題であります。
高知県内の印刷業務はリーマンショック前の120億円市場が、今や半減の60億円とさえ試算されています。ペーパーレスやOA機器の進化によるマーケットの縮小とともに過当競争が激化し、低価格競争に対応できない業者が存続を断念し廃業する事態も相次いでいるのであります。中小印刷業者の多くは行政からの発注業務が営業に大きく影響している現状である中、どのような発注が行われるかが決定的になっているのであります。
2017年7月から、電子調達における最低制限価格が導入されたものの、高知県が設定する予定価格が低い水準に設定されているため、県内業者の落札価格は従前とほとんど変わらない、利益のない水準となっています。◆県は最低制限価格で印刷業者が適正な利潤を確保できていると考えているのか、会計管理者に伺います。
◆また、印刷物の契約にかかる仕様書では、再委託(下請け)の承認申請を行い、事前に承認を受ければ、高知県外での印刷が可能とされています。そのため、実態は大量印刷物、短期間の納期の印刷物は県外で印刷されている状況となっています。その典型的事例として、高知県広報紙「さんSUN高知」について、ここ3年の入札状況と印刷場所をお示しください。
◆仕様書の再委託に関する規定は、高知県民、本県印刷労働者にもたらされる利益が県外に流出することに歯止めをかけるために設けられたものであります。その趣旨が生かされる対応をすべきと考えますが、今後の対応について会計管理者に伺いまして第一問と致します。
■会計管理者 次に、最低制限価格で印刷業者が適正な利潤を確保できていると考えているのかとのお尋ねがございました。
議員からお話がありましたように、県では、平成29年7月から、公正な競争を阻害する低価格での受注を防止し、成果品の品質を確保することを目的に、電子調達にお目する最低制限価格を導入しております。
また、導入にあたりましては、適正な予定価格の設定につきましても、改めて庁内全所属に対して周知徹底を行っております。
この導入により、印刷物の平均落札率は、平成28年度の62,6パーセントに対し、導入後の平成29年度は77,7パーセントとなっており、大幅に上昇しております。落札率の上昇は、印刷業者の売上高の増加にもつながりますことから、最低制限価格の導入による一定の効果はあらわれているのではないかと考えております。
■会計管理者 次に、「さんSUN高知」の3年間の入札状況及び印刷場所についてのお尋ねがございました。
まず、入札状況といたしましては、平成27年度から平成29年度までに、毎年度上半期と下半期に分けて、計6回の一般競争入札を行っております。
いずれの入札も県内業者が落札しておりまして、予定価格に対する平均落札率は約85パーセントとなっております。
また、印刷場所はすべて香川県内でございます。
■会計管理者 最後に、仕様書の再委託に関する規定の趣旨が生かされた対応をすべきではないかとのお尋ねがございました。
県では、印刷物の請負に関しましては、県内業者への優先的な発注を大前提としております。しかしながら、競争入札において、「さんSUN高知」のように納期等の問題により県外へ再委託せざるを得ない場合などは、受注業者から申請書を提出していただき、再委託を承認しております。
また、最低制限価格の導入に併せ、電子調達における印刷物につきましても、競争入札と同様に申請を求めることといたしまして、印刷にかかる利益が、安易に県外に流出することのないように、取り組んでおります。
再委託につきましては、今後も、内容を厳密に確認するとともに、承認にあたりましては、大量印刷や納期が短いケースなど、真に止むを得ない場合に限ることとし、全ての印刷物の発注において、県外発注に繋がるような一括下請負は認めないことを、徹底してまいります。
【第2問】
●米田県議 それぞれ答弁ありがとうございました。再質問を行います。
一つは知事にですが、ブルーインパルスについて、ひとつは事務的な確認をしたいんですが、曲技飛行をやらないと、高知市では平面飛行だというふうにお聞きしているんですが、航空自衛隊のホームページでもアクロバット飛行・展示飛行というコーナー、広報がありまして、その中には、背面、180度回転、などのショーが示されているんですが、そういうものを含めてやらないという理解でいいのか、なお分かれば、ご回答願いたいと思います。
そして、私が主な趣旨で言ったのは、集客力があるとかそういうレベルの話ではなくて、この間1100回を超えるイベント、展示飛行、また訓練の中で現に8回も事故が起き、乗組員パイロットの方が命をなくし、民間人が被害を受けているわけですよね。けして、原発ではありませんが、安全神話に守られたものではない、いつ重大な事故・危険があるかわからない。そういうものを本当に楽しんでよさこいに来ている家族や県民、多くの人々に、危険と隣り合わせで、そういうイベントをやっていくということ自体が私は問題だと思うので、本質的な点でどうなのかということを知事に再考願いたいと思いますが、ご意見を伺います。
それから、教育行政については、何項目目かの質問に、教育長は最後に、3校も含めて、求められた人員を確定できずに申し訳ないと、私は今聞いてびっくりしたんですよ。まず、それを教育長が先に言わなければ、いかんじゃないですか。私たちも30人学級、少人数学級を求めて県が頑張ってやってくれていることは、評価もしているんですよ。でも現場、現場それぞれ色んな困難があって、苦渋の選択をしたと思うんですね。だから、もし4月初めに、要望していた加配の人がみんなそろっていたら、30人学級をやったでしょう。だから、それをそろえて、現場の苦労に応える人事権を握った県教委の最低限の努力をしていなかったから、そういう選択なり、苦渋の事態が起こったわけですよ。私はそのことをちゃんと理解した上でまず、子どもたちの未来を守る最高の責任者の教育長が、まず、全部必要な人員をそろえられなかったというところに、一番心をよせてするのが、私は、教育長の責務だと思うんですよ。その点を言っておきたいのと、厳しく指摘しておきたいと思います。
それで、先程も言われましたけど、17校17名が、当初未配置。その原因はなんだったのかということと、これから再発防止を今後どうしていくのかということについて、お聞きをしたいというふうに思います。
次に、生活保護の問題で、年金差押えの件です。過去の問題という意味ではなくて、その後、続いている問題ということでやりましたけれど、結局その方は、保護金品だったわけで、生活、たちまちできなくなって、改めて市の福祉事務所に再度生活保護費の支給をしてもらっているんですよね。結局、県税事務所は、国の負担金を、国の税金をとってきたという形になっているんですよ。形としてはね。私は、この方は高知市の方でしたから、町村の福祉事務所の場合、地域福祉部長に聞きますが、こういう場合、再度、保護費を支給するでしょう。どうされますか。こういうケースの場合ですよ。これを聞いておきたいと思います。
それで、総務部長なんですけれど、色々ありますけれど、この間国会で、国税庁次長が答えています。滞納処分の停止の要件の中に、生活の窮迫というのがありますよね。それで、国税徴収法153条と地方税法第15条の7でそれがあるわけで、結局、その生活の窮迫が何を指すかということが、問題になっているわけですね。国会で、国税庁次長がこの前、答弁していますが、生活を著しく窮迫させる恐れとは、徴税法基本通達で書いているということを引用していますが、「生活保護の適用を受けなければ、生活を維持できない程度」、生活保護を受けなければ生活を維持できない程度、その状態になる恐れがある場合を、生活の窮迫というふうに、規定しています、といっているんですよ。わかりますよね。ということは、生活保護になった方は、ぎりぎりの生活だということなんですよ。その人からまだ、徴収の猶予をせずに、免除とはいっていませんよ、この前打合せの時は免除という話も出たけれど、免除ではなくて、支払い猶予、分納制度ではなくて、徴収の猶予、滞納処分の猶予、これを本来すべきではなかったですか。私は、そのことをいっているわけで、だから高知市の福祉事務所も、仮に生活保護で滞納された方がいれば、徴収を猶予して、分納であっても、そういう働きかけもせずに、分納もしてないと、いうことになっています。そういう点で是非、お答えいただいて、人権尊重の行政をぜひ進めていただきたいと申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いします。
■県知事 ブルーインパルスについてでありますが、私ども承知をしている限り、曲技飛行は行わないと、いうことであります。そして、2点目でありますけれども、ご指摘のように、危険と隣り合わせでやるべきではないというご指摘でありますが、ゆえにもって危険と隣り合わせにならないような形でやっていただきたいとそのように思っています。
本質的な問題として、ブルーインパルスがもたらす感動ということもあること、これを忘れてはならないと思います。東京オリンピック開催された時、あのブルーインパルスの演技にどれだけの人が感動したか、数々の地域において、多くの人を感動させる演技をブルーインパルスはしてくれているわけであります。これをよさこいでやるということは、私は、大変意義深いことだとそのように思っています。
■教育長 先ほどもご答弁いたしましたけれど、受審者数が、県内の受審者数が変わらない中で、採用者をどんどん増やしてきたということがあって、臨時職を希望される方の数がどんどん減ってきたということで臨時教員を探すことが大変難しい状況になっております。対応としましても、一つは先ほどお話しましたように、県外、例えば大阪での試験会場をつくって、それから全国で一番早い試験を行うというようなことで、受審者を増やすと、そういう中で、ひとつは、定数内で、正教員を増やしていくという方策がひとつあると、そこは先ほどご答弁させてもらった通りでございます。
それからもう一点、臨時教員を探していくことが必要になってきますので、そこの部分につきましては、非常勤というような、雇用形態の柔軟性というところも考えないといけないかなということもありますし、免許を保有されている方の掘り起こし、そういうPRであったり、それから県内外の大学でも説明会を行うと、そういった中で、臨時教員となって頂く方の掘り起こしなど、こういったことについて努力をしていかないといけないというふうに考えております。
■地域福祉部長 高知市のケースを、私、詳細を存じておりませんので、しかとしたお答えはできませんけれども、同じ基準で保護行政はおこなっておりますので、高知市で出来たものが、町村でできないということはないものだと考えております。
■総務部長 徴収猶予と執行停止の件でございます。まず、徴収猶予につきましては、災害等に要件が絞られておりますけれど、徴収猶予の場合ですけれども、1年、最長でも2年と定めた後は、その期間内で分納するというのが原則となっております。また、この滞納処分の執行停止についてでありますけれど、この執行停止の判断につきましては、生活保護の受給中事実のみをもってのみ行うのではなく、生活状況等も踏まえたうえで、適正に判断するものとなっておりまして、いずれにせよ、丁寧に実態を把握してまいるということだと考えております。以上です。