議会報告

【質問項目】

1、   子どもの貧困対策

2、   高大接続改革

 

【子どもの貧困対策】

●吉良県議 まず、子どもの貧困対策について、知事、および地域福祉部長にお聞きします。

子どもの貧困対策推進法に基づき、本県は、26の指標及び成果目標を定めた「高知家の子どもの貧困対策推進計画」を2016年に制定しています。4年間の実施期間のうちの2年目が終わろうとしていますが、この間、国は、具体的な子どもの貧困対策の目標、把握すべき状況をより明確にするため、「ひとり親の世帯の就業率及び所得状況」をとりあげ、新たな指標に位置づけようとしています。

貧困の連鎖を断つ具体的な手立てとしては、国は社会保障審議会で、とりわけ深刻度を増す「ひとり親家庭」への支援について議論を重ね2016年度からは児童扶養手当の第2子第3子の加算額を引き上げるなどの手立てをとっていた事を考えるとなぜ最初から指標項目にしなかったのかと思われます。

ともあれ、本県での、ひとり親の世帯率は全国と比してどうか、地域福祉部長にお伺いいたします。

 

■地域福祉部長 平成27年の国勢調査によりますと、一般世帯に占める、他の世帯員がいる世帯を含みます、父子世帯の割合は全国が0.3%に対し、本県は0.5%と0.2ポイント高く、同様に母子世帯は、全国が2.0%に対し、本県は2.5%と0.5ポイント高くなっています。

 

●吉良県議 また、父子、母子別の就労形態と収入はどうなっているのでしょうか、同じく地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長 就労形態につきましては、平成27年度に県で実施をいたしました、ひとり親家庭実態調査では、就業している人のうち正規の職員・従業員の割合は、父子世帯で67%、母子世帯で53%となっています。

他方全国の状況は、同一の調査内容ではないため参考となりますが、平成28年度全国ひとり親世帯調査によりますと、正規の職員・従業員の割合は、父子世帯で68%、母子世帯で44%となっています。また収入につきましては、同じ調査で本県の場合、父子世帯がひとり親自身の平均年間就労収入は328万、母子世帯は210万となっています。他方全国の状況は、これについても参考となりますが、父子世帯は398万、母子世帯は200万円となっています。

 

●吉良県議 ありがとうございます。やはり総じて、高知県では劣悪な状況、そして、ひとり親でも、母子の方の厳しさが、数値に表れていると思います。政府は生活保護基準を10月から見直して、生活費相当分である生活扶助を3年間で最大5%削減する。ひとり親世帯に支給する「母子加算」は20億円削減、平均で月2万1千円を約1万7千円に減らします。さらに、0から2歳児の「児童養育加算」も1万5千円から1万円に下げられます。

この生活保護基準の引き下げが3年かけて段階的に行われ終了した時点で、例えば、高知市の30代で3歳未満児一人を抱えている、ひとり親世帯の受給額は、現在同じ条件で受給している親と、どう変わるのか影響額をお聞きいたします。

 

■地域福祉部長 3月に入りまして、厚生労働者主催の担当課長会におきまして基準の見直しの説明があり、具体的な見直し後の受給額を算定するための計算式が示されました。この計算式に当てはめますと、高知市の30代で、3歳未満児が一人いるひとり親世帯の受給額は、総額で5070円の増額となります。

 

●吉良県議 ありがとうございます。

この場合の世帯構成では、増えるので、良いわけですけれども、厚労省の試算によると、ひとり親世帯に支給する母子加算など含めた生活扶助額は、67%の世帯が減って、26%は増える、ですから26%の場合になるわけですね。そして、8%は変わらないと推計をされております。

また、子どものいる世帯では57%が増え、これは一人とか二人とか関係なしに子どものいる世帯です、57%が増えて43%が減りますが、それは、児童養護加算が中学生までだったものが高校生にも月1万円支給されることからと言われています。削減幅は、子どもの多い世帯ほど大きくなると予想されていますが、どのような世帯構成で減額が確認されるのか、地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長 子どもの年齢などによって、生活保護基準額が変わってまいりますので、子どもの人数だけで、削減幅が大きくなるかどうかにつきましては、より検証を行うことが必要だと思われますが、例えば、高知市の40代で、中学生と小学生の子どものいるひとり親世帯につきましては、現在の受給額と比較して、総額で6710円の減額となります。

 

●吉良県議 ありがとうございます。

やはり、そういう世帯が出てくるということですね。

厚労省の試算では、都市部にすむ夫婦と子ども一人世帯は年3万6千円、夫婦と子ども二人世帯では年10万8千円も減額されるということになります。

また、保護世帯の子どもの学校外活動に対する支援として、今、小中学生の「教育扶助」、高校生には「高等学校等就学費」のそれぞれに「学習支援費」というものが加算されているわけですけれども、その使途がクラブ活動費のみに限定されてしまいます。いまは学習参考書や一般教養図書などが対象となっていますが、それが対象外になり、しかも、先払いが必要となって、所得の低い世帯は本当に使いにくいものとなってしまいます。

生活保護制度は、貧困・低所得世帯の子どもにとって最後のセーフティーネットであり、実際に27万人の子どもが利用しています。中でも、新たに子どもの貧困指標に加える、この、ひとり親世帯は収入の面だけでなく子育ての精神的・肉体的な負担が全てその肩にかかってくることから、最も社会的に支援を必要としている層といえます。保護を受けていない所得層を10段階に区切って、その一番低い10%の所得層の消費水準と生活保護世帯の消費水準を単純に比較して、低所得層の方が消費が少ないからと引き下げを決め、しかも、先に述べたような、使い途が子どもに限定されている領域に手を突っ込んで取り上げるというやり方は、私は許せないものだと考えますし、子どもの貧困対策を踏みにじるものだと思うものです。地域福祉部長の認識をお伺いいたします。

 

■地域福祉部長 例えば、児童養育加算の見直しは、一般低所得世帯と中位階層の世帯の学校外活動費用の水準を比較したところ1万円の差が、確認されたことから、現行の児童手当と同額とする基準を改め、子ども一人に対して一律、月額1万円を支給するとともに、支給対象を中学生までから高校生までに拡大したものです。

また、母子加算の見直しにつきましては、ひとり親世帯が、ふたり親世帯と同程度の生活水準で暮らすための必要な費用として推計をいたしました生活扶助相当支出額約13万と、実データから産出いたしましたひとり親世帯の生活扶助相当支出額約11万3000円との差額を考慮して、月額平均1万7000円を加算額とする改定を行ったものでございます。このように一定合理性のある基準に基づく見直しとなっていると考えておりますし、また国によりますと18歳以下の者がいる生活保護受給世帯の生活保護基準額の総額は増加をすると見込んでおりますので、子どもの貧困対策に逆行するとは言えないのではないか、と考えております。

 

●吉良県議 そもそもですね、低所得層10%との比較で、単純に比較をして、そっちが低いからそれに合わせるという今回の見直しのやり方そのものが、私は、貧困化にわをさらにかけていく改変の仕方だと考えております。

政府の母子加算の見直しは、一般のふたり親世帯とひとり親世帯の消費実態だけを比較して、その差額から算出する「水準均衡方式」で算定したもので、子どもの健全育成への理論アプローチでは、私はないと考えています。

子どもの貧困対策推進法は、第2条と4条で、貧困の世代間の連鎖の防止を含め、子どもの貧困対策を推進するために、貧困状況にある子どもに対する経済的支援の実施を、国と地方公共団体の責務として明記し求めています。しかし、政府は、生活保護費を2013年から670億円も削減しています。そして、今また国費分で年160億円、3年かかって今と比べて、財政削減になるとして子どもに対する経済的支援に背を向けているといわざるをえません。デンマークの2・7%や韓国7・1%などには遠く及ばない日本の13.9%という日本の子どもの貧困率、7人に一人が所得が少なく生活が苦しい貧困状態です。

我が党の中根議員への知事答弁がありますので重ねての知事の答弁は求めませんが、子どものいる世帯43%が減額になるというそういう世帯に対し、せめて、減額幅を埋める対策、手立てをとるよう政府に求めるとともに、県としても、私は2年前に県版の児童扶養手当の創設を求めたわけですけれども、そういう何らかの手立てをとることを知事に強く要請しておくものです。

2年前の2月議会、実態調査実施を前にして、「現在策定中の本県の貧困対策計画にあっても、『就学援助率』や『相対的貧困率』と『再分配前の貧困率』、そして、『物質的剥奪率』を測る指標項目を設定すべきだ」との私の質問に対して、知事は「議員のご提案にあります相対的貧困率などについても、調査内容などを工夫してまいります」と、述べていました。物質的剥奪については子ども部屋や携帯電話など所有物の状況を聞く項目を設けて調査されていますが、県独自の子どもの相対的貧困率、再分配前の貧困率などはどう調査したのか、地域福祉部長にお伺いいたします。

 

■地域福祉部長 相対的貧困率、および再分配前貧困率につきまして、当初、市町村から、抽出に必要な税情報などのデータを提供して頂き算出する予定をしておりましたけれども、提供するためには、高額なシステム改修を要するという市町村が多くあったことから、この方法による抽出を断念いたしました。

そのため、まずは相対的貧困率の把握は必要だと考え、子どもの生活実態調査で把握をいたしました世帯の所得状況等から率を算出を致しました。具体的には東京都が、平成28年度に子どもの生活実態調査を実施した際に基準といたしました135万3000円を用いまして、この額未満の世帯数の割合である17.2%を相対的貧困率としています。

 なお算出のための、世帯所得等のデータがアンケートによる自己申告であること税込みの所得を100万円以上、200万円未満と言った幅を持たせた聞き方をしていることから、算出された数値は、精度面では粗いものとなっていますし国が可処分所得から算出をし、公表している相対的貧困率との比較もできない状況でございます。

 

●吉良県議 なかなか、各自治体、そういう面では協力も仰がなければいけないし、数値的には難しいわけですけれども、沖縄県や、東京都の日野市は、自治体独自の貧困率をやっぱり調査して、参考指標として、のせております。

沖縄の場合も、8自治体だけが全部の数値が出たわけですけれども、それでも後の25自治体含めて、推測をしながら、出しているわけです。そういうことを考えると、やはり、そもそも、この子どもの貧困対策法は、イギリスの貧困法をお手本につくっているわけですけれども、イギリスなどは相対的貧困率を低下させることと物質的剥奪を減らすことを目的にしているわけですから、どうしてもこういう、低賃金水準の改善と、公的扶助水準の改善の必要性があって、その相対的貧困率、あるいはその再分配前の貧困率というものが、重要視されていくわけです。

やはり本県でも、沖縄だとか、あるいは東京都の日野市の例を見ながら、真正面から子どもの相対的貧困率を問う姿勢で、計画推進に臨むべきだと私は思います。厳しいが故によけいに、やはりきちんとしたデータをそろえていく、そして、本県の子どもの貧困率を指標項目として設定して、取り組みの進捗具合をはかる要素とするお考えはないか、これは知事にお伺いいたします。

 

■県知事 子どもの貧困対策をしっかり講じることは非常に重要なことだというふうに考えておりまして、このため教育大綱におきましても、大きな3本柱のうちのひとつ、そして日本一の健康長寿県構想においても5本の柱のうちのひとつとして、厳しい環境にある子どもたちへの対策というものを取り上げて、対策をすすめてきているところです。当然、それぞれの施策の進捗状況、PDCAサイクルをしっかりまわすことが大事でありまして、その際しっかりとした、いわゆる定量的管理ということが行われるようにすることも大事だろうとそのように考えています。そのための指標をどうするかということについてですね、この相対的貧困率を正面から使えれば、一番理想だと思いますが、残念ながら先程申しましたように、かなり粗い方法でもって計測した数値ということでございます。どういう指標がいいのかということについて、さらに検討を重ねさせていただければとそのように考えているところです。

しかしながら、相対的貧困率をうかがわさすことのできる、間接的にうかがわさせることのできる手法というのはたくさんございますから、そういうものをうまく組み合わせていきながら、指標として用いることが出来ればなとそのように考えています。

 

●吉良県議 沖縄は出したんですけれど、参考指標という形で、県民に明らかにしているわけです。ですからさっきの数値も含めて、ぜひ、参考指標という形でもいいですので、きちっと県民に示すということが必要だと思います。

内閣府は子どもの貧困大綱を2019年に見直して、現状を検証する指標に、先のひとり親の就業状況など8項目を追加して、現在の25項目から33項目に増やす方針を示しています。県の指標も、先ほど申し上げましたけれども、これに準じて改定するおつもりなのか、これは地域福祉部長にお伺いいたします。

 

■地域福祉部長 今回、国において新たに加えることが検討されています指標は、教育の機会均等等の確保に関する指標が2項目、健やかな生育環境の確保に関する指標が6項目あります。これらの指標は、子どもの貧困対策をすすめる上で重要な指標だと考えておりますので、国の大綱の見直しの状況などを見ながら、県の指標の見直しについても、検討してまいりたいと考えています。

 

●吉良県議 よろしくお願いいたします。

現在の本県の26指標のうち、「生活保護世帯の子どもの高校卒業後の進学率と就職率の合算値」という大綱や他県の指標項目には見られない一指標があります。あえて、進学率と就職率を合算しそれぞれの率がわからないようにした意図は何か、これはどういうことでしょうか、地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長 進学率と就職率については、計画の中で参考指標としてそれぞれの率をお示ししておりますが、策定時点では、高校卒業時点において、まずは将来の道が決まっているか、いないかということが子どもにとって重要であると考え、就職率、進学率を合算して、高校卒業後の行き先の決まっていない子どもの割合等を指標としたところでございます。

 

●吉良県議 より現実に、それぞれの独自施策を検証していくためには、やはり私は指標項目の中に、しっかりと示すべきだと。これは全国的な比較をする場合も、参考指標では他県と比較できませんから、ぜひそういうふうにしていただくように、県として、していただきたいんですけれども、それについてはどうですか?

 

■地域福祉部長 国におきまして、本年度から給付型奨学金制度が創設されるなど経済的理由により、進学が極めて困難な生徒に対します、大学進学の支援の取り組みも充実してきております。こうしたことも踏まえ、県としても計画の見直しの際には、合算したものに加え、進学率と就職率を分けて指標とし検証していくことを考えていきたいと考えております。

 

●吉良県議 ありがとうございます。

やはり、指標を設定するところから県民の色んな世論を喚起していくということを必要があって、やはり検討会ですとか、県民に見えるところで私は行っていく必要があると思うんです。ですから、学識経験者や研究者、そして現場サイドを交えた指標見直しの検討会などを立ち上げるお考えはないか、これは知事にお伺いいたします。

 

■県知事 指標について、様々に学識経験者の皆様方のご意見をお伺いすることは大事なことだろうと思います。現在、県の児童福祉審議会で、様々なこの観点においてもご議論をいただいているわけでありまして、まずはこちらにご相談もしてみたいとそのように考えています。

ちなみにその指標についてでありますけれども、子どもの貧困対策推進計画における指標ということも大事かと思いますが、合わせまして、例えば、長寿県構想の厳しい環境にある子どもたち対策、もしくは、教育大綱における厳しい環境にある子どもたち対策、それぞれPDCAサイクルを定量的データにもとづいておこなってきているところでありまして、そういうところでの取り組み、それらの施策をすすめていく上での取り組みこれらもしっかりと吟味しながら、この計画においてもどうしていくかということを、より整合的になるように、検討していければとそういうふうにおもっています。

 

●吉良県議 非常に大事な観点を知事はおっしゃったと思います。よろしくお願いいたします。

貧困の連鎖を断っていくうえでも、生活保護世帯の子の大学進学、これは非常に大切なことです。生活保護世帯の子がそれまで居住してきた世帯にありながら、大学や専修学校に進学就学する事は可能なのか、地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長 生活保護法には、生活保護受給世帯の子どもが大学等に進学することを禁止する規定はないものとされております。

 

●吉良県議 それは、禁止はしていないですけれど、生活保護は、就労が原則なんです。子どもが大学や専門学校へ進学することは認めていません。それを前提としてないんです。

進学する場合は子どもだけ保護から抜ける「世帯分離」をしなければならず、大きな障壁となっていることは福祉部長もご存知のことだと思います。しかも、子どもが抜けた分の保護費は世帯から減額されます。そして、就学進学が世帯の困窮につながるものとなっています。就学した子どもの生活費はどう工面するのか、地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長 生活保護受給世帯に特化したデータはございませんが、アルバイト、奨学金等により、厳しい環境の中で就学されているのではないかと考えています。こうしたこともありまして、生活保護に限らず、経済的な理由で大学への進学を断念することがないよう給付型奨学金の創設拡充を、これまで全国知事会を通じて提言もしてきたところでございます。

 

●吉良県議 資料がないといいますけれど、抜けられた世帯の減額分はだいたいどれぐらいになるのか、数値をお持ちですか、地域福祉部長。

 

■地域福祉部長 減額分につきましては、例えば、40代夫婦、高校卒業者と中学生の4人世帯の生活扶助費とした場合は、高知市で約3万円、高知市以外では約2万2000円の減額となります。

 

●吉良県議 はい。私が調査した文書によりますと、これは堺市で進学した168人を調査した桜井啓太・名古屋市大学専任講師の調査ですけれど、世帯分離で保護世帯は3万円以上、やはり3万円を超えますね、減額されます、そして進学した本人は国保に入る必要が生じてきます、国保料を払わないといけなくなる、そして奨学金借入額は年127万円で学生全体の借入額平均37万円の3倍以上、学業とバイトのし過ぎで体調を壊す例も確認をされています。

4年制大学生の約74%が400万円以上の借金を背負い社会へ出ることになり返済と自立への不安を抱えていると、不安定で困窮した状態を示して、世帯分離をせずに世帯内就学の必要性を訴えています。厚労省は、昨年末、進学支援としてパソコン代や教材費に充てる一時金の給付を自宅生10万、下宿生30万と決めましたが、世帯分離が必要という制度自体は変えていません。

大学進学率の改善を図るために貧困指標に掲げている以上、進学を断念させる世帯分離を止め、世帯内就学への転換をこそ図るべきだと考えるものですが、知事はどうお考えでしょうか。

 

■県知事 今回の見直し案の中で、国の社会保障審議会の部会の報告書において、やはりこの大学等に進学する際、特にこの住宅扶助が一人分減額されることが子どもの進学意欲をそいでいるのではないかと。さらには、進学直後に必要となる様々な費用を進学前にあらかじめ構えることがなかなか大変なのではないかとそういう点が指摘をされたそういうことを踏まえて、大学等就学中の住宅扶助費を減額しない措置とか、さらには、進学準備給付金制度の創設ということが、盛り込まれているところであります。大学進学率の、生活保護受給世帯の子どもたちの大学進学率の向上に向けて、まずは第一歩が、踏み出された段階ということなのかなとは思いますが、今回の見直し後の措置を受けまして、さらにその結果を踏まえ、必要と在れば、さらに政策提言をしていかなければならないとそのように思っています。

全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチーム長を私は務めさせていただいていますが、こちらは子どもの貧困対策も所管をしているところでありまして、この対策の推進ということを国に、強く訴えて、この子どもの貧困対策にかかる交付金がこのたび新たに、当初予算化されるとか、そういう前進もみられているところであります。全国からも色々データも集めたりしながら、それぞれについて対応も講ずるべく政策提言してきているところですが、この点についても着目していかなければならないとそのように思っています。

 

●吉良県議 どうぞ、よろしくお願いいたします。

さて、本県が2016年12月から2017年2月にかけて行った「高知県子どもの生活実態調査」は、政府が示した25の指標だけでなく、より具体的な実態調査を行う事によって、厳しい環境にある子どもたちの実態に即した計画策定を行い、貧困対策の速やかな施策化を図る事を目的に行われたものと理解しています。全国に先駆けて独自の貧困率を算出し、合わせて子どもの実態調査を行った沖縄では、支援を必要とする人をかえって追い詰めるようなマイナスの認識になるのではなく、また、その現状を単に自己責任ととらえるのではない報道展開を行い、県民一人一人が支え合えるプラスの認識へと転じていくことが出来、県民が一体となった官民連携の様々な取組が拡がる事となったと、「沖縄子どもの貧困白書」で述べられています。

集計され1年が経ちます。アンケートに回答を寄せてくれたのべ14539世帯を含む県民と子どもたちの実態を共有し、貧困を克服する合意が図られるよう、実態調査報告会やシンポジウム、研究者を招いての講演会などを順次開催しては如何でしょうか、知事にお伺いいたします。

 

■県知事  まずは、本当にアンケートに回答を寄せていただいた皆様に感謝を申し上げたいとそのように思います。その結果について、これまでも、メディアを通じての広報など努めてきたところでありますが、ご指摘のように、報告会とかシンポジウムとかそういうことも大変有意義であろうかと考えられますので、その開催について検討していきたいとそのように思います。

 

●吉良県議 知事のその姿勢が、やはり、教育長や、各幹部の皆さんに伝わっていると思います。実は、2月21日に、教育長が、子ども食堂「水曜校時カフェ」に山本・保健体育課長、掛水・児童家庭課補佐らとともに訪れたとお聞きしました。官民連携で地域も一体となって子どものために支え合う意識を醸成して行くうえでも大変私は、意義あることだったと思うものです。当日は、ご要望も受けたとお聞きしていますが、子ども食堂初訪問のご感想を、田村教育長にお伺いいたします。

 

■教育長 おっしゃるように、2月21日に子ども食堂こうちに訪問させていただいて、子どもたちといっしょに食事もとらせていただきました。そこでは、小さい子どもから、保護者、地域のお年寄りまで、大変多くの皆さんが、100人近くですね、集まっておられたということにまず驚きました。そして、代表者の方、秦泉寺さんとおっしゃいましたけれども、この方が大変、熱意をもって地域の子どもたちのために何とかしてあげたいということで取り組んでおられるということに、感銘を受けましたし、それ以外にも、多くの大人の方、高校生、大学生などのボランティアが活躍されておりましたし、企業からも食材の提供などといった形で大変幅広い、取り組みになっているということに、感銘を受けました。そして、関係する皆さんに、感謝と敬意を申し上げたいと思います。

それから、その子ども食堂の雰囲気に大変明るい和やかなムードでございまして、子ども食堂といいながら、子どもだけでなく、保護者や地域の皆さんの安心できる居場所づくりともなっているというふうに感じました。特に幼い子どもを抱えたお母さんにとっては、子育て支援の場にもなっているというふうに感じたところでございます。

こうした取り組みは大変意義あるものでもっと広がってもらいたいな、というふうに思いました。食事の後、学校での朝食の提供ですとか、長期休業中の学校での子ども食堂の実施、あるいは商店街などでの、実施場所の無償提供についてご要望がございました。教育委員会として、対応できることについては、検討させていただきたいというふうに思います。

 

●吉良県議 ありがとうございました。ぜひ、ご検討のほどをよろしくお願いします。

 

【高大接続改革】

●吉良県議 次に高大接続改革について、お伺いします。

昨年7月、文部科学省は「高大接続改革」について、及び「大学入学共通テスト」の実施方針を策定し、また、「平成33年度大学入学者選抜実施要綱の見直しに係る予告」を決定し、一括発表しています。以下教育長にお聞きします。

本県は既に5年前より「学力定着把握検査」を民間業者ベネッセに委託し実施していますが、今回の文科省案との違いと関連について、趣旨、目的、対象、予算額、実施スケジュール、結果の取り扱い等の観点からお聞かせください。

 

■教育長 本県で実施をしております、学力定着把握検査と高校生のための学びの基礎診断につきましては、高等学校教育の資質の確保向上を目指すことを目的として、社会で自立するために必要な基礎学力の確実な習得と、それによる学習意欲の喚起を図るために指導の工夫や充実、PDCAサイクルを構築するということを狙いとしている点において、主旨、目的や、それに関連する結果の取り扱いについては、ほぼ同じものであるというふうに考えております。

 そして、「高校生のための学びの基礎診断」においては、対象となる生徒や予算、費用、何年生で受けるかというようなスケジュールについて、まだ、流動的な部分もございますけれども、これらについても、学力定着把握検査と大きな違いはないというふうに考えています。

 こうしたことから、「高校生のための学びの基礎診断」がスタートする段階で、現在の学力定着把握検査からは、移行していきたいというふうに考えています。

 

●吉良県議 私は、本県が行っているいわゆる把握検査は、テストじゃないと思っているんですね。それは教育長も同じだと思うんですけれども、子ども一人一人の到達度を、基礎学力を、教科の先生が把握しているんです。それで、子どもたちの実力をしっかり把握して、そして授業に役立てていくということで、私はテストではないと思っていたんですね。ところが、この文科省の方はそうではないんですよ。

平成30年度から実施予定のこの「高校生のための学びの基礎診断」というものは、診断結果を生徒の成績評価への『活用』を可とすることをはじめ、全県一斉の実施や民間検定との組み合わせを可とすることなど、「基礎診断」が“診断”ではなく“テスト”であること、これが明確に出ています。

高校では、進路希望に応じて進学模試や資格・検定試験を受ける事はありますが、それはそれぞれ必要とする生徒が対象で、いわゆるテストを全校生徒に一律に実施して、生徒の成績評価に使う、しかも、それを教師の指導方法、これはびっくりしたんですけれど、これを研修や教職員定数配分や重点校指定などの判断材料とする。つまり、このテストで、県教委の行っていることを全部決めちゃうというシステムになっているんですよ。

高校教育の根幹部分までをも民間事業者が作成したテストに委ねるというような方針が今回出されてきています。これは、さっきいいましたように、各学校が築き上げてきた教育の営みを尊重して、教育課程の編成権は各学校にあるわけですから、校長がもっているわけですから、それを否定しているということです。それはもはや、公教育の放棄、私は、敗北と言わざるを得ないと思いますけれど、教育長、簡単にさっきそのまま接続させていくとおっしゃっていましたけど、引き継いでやるとおっしゃっていましたけど、それはちょっとおかしいのではないですか、もう一度、認識をお聞きします。

 

■教育長 私の理解によりますとですけれども、「高校生のための学びの基礎診断」につきましては、先程申しましたように、社会で自立するために必要な基礎学力の確実な習得のための、学力をしっかりと把握をしたうえで、その改善といったことについて、PDCAサイクルをまわして、取り組んでいくというために、行うものだというふうに理解をしております。

 その実施をするということが目的ではなくて、実施をした後、それを活かして、指導改善、授業改善といったことにいかすということが、主眼だというふうに思っていますので、そういう意味で言うとそのことで、公教育をしっかりと取り組めるものだというふうに考えております。

 

●吉良県議 その認識はあたりませんよ。それはもう一度きちんと、担当課と確認をしてください。そのうえで、判断をしていただきたいということを私は厳しく指摘をしておきたいと思います。

あとは、県立学校校務支援システム、これを今つかって、教員に2台のパソコンを持たすようになっていますけれど、それについて、大学入学者選抜実施の見直しに係る予告に関わっての、導入とそのシステムとの整合性について、質問をしたいと思いましたけれども、時間が来ましたので、また常任会の方へ移していきたいと思います。ありがとうございました。