議会報告

  • 2017年07月10日
    2017年6月議会 「『加計学園』問題の徹底解明を求める意見書議案」への賛成討論 吉良富彦県議(2017.7.7)

 私は日本共産党を代表して、只今議題となりました議発第6号「『加計学園』問題の徹底解明を求める意見書」議案に賛成する立場から討論を行います。

 獣医学部新設をめぐる真相究明のため、野党四党が臨時国会の召集を要求しました。憲法53条に基づく重い行為であり、安倍首相には要求に応じる責任があります。憲法無視の政治はこれ以上、許されません。

 問題の核心は、公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」を盾に歪められたのではないか、という点にあります。国民の疑念は解消されるどころか、膨らむばかりです。安倍首相も国会閉幕後の記者会見で「何か指摘があればその都度」「説明責任を果たしていく」と述べましたが、閉幕後の19日、萩生田副長官の「加計」疑惑への関与を疑わせる新文書があきらかになったことから、その言葉の真偽がさっそく問われる事となっています。

 文部科学省が620日に明らかにした、昨年10月21日付の「萩生田副長官ご発言概要」なる文書には、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている」などとあります。

 「加計学園」の獣医学部開設をめぐっては、内閣府が「総理のご意向」などと言って文科省に圧力をかけたことや、首相官邸の和泉補佐官や木曽内閣官房参与が働きかけていた事などがこれまで明らかになっています。新文書は、「加計学園」の獣医学部開設が正式決定されるより3カ月近くも前に、萩生田副長官が「加計」を前提に文科省に圧力を加えていた事を示唆する重要な証拠です。

 萩生田副長官に関しては、すでに明らかになった文科省の文書でも、獣医学部開設を「加計」1校に絞るために、「国家戦略特区諮問会議」の決定文書に、「広域的に」獣医学部がない地域に「限り」、開設を認めると書き込ませ、他校の参入を排除したなどの疑惑もあります。首相の側近、萩生田氏の関与は「加計」をめぐる疑惑の核心であり、曖昧に済ますことは許されません。

 萩生田氏はこの新文書を「不正確」などと非難しています。そうであるならば、どこが「不正確」なのか、国民の前で説明する責任があります。

 

 続いて、加計学園の秘書室長が、2013年、2014年に、当時の下村文部科学大臣の政治団体に、11の個人及び企業から預かったとしてパーティ券代200万円を持参したことが明らかになりました。これは20万円以下であれば、購入者の名前を非公表にできるという政治資金規正法を悪用した、大学の設置認可の権限をもっている文部科学大臣への加計学園からの闇献金であったのではないか、という疑惑です。11の企業・個人が、本当に存在しているのか、また「あっせん」であれば「地位利用」や「天引き」などの不法行為で集めたお金ではなかったのか等々を、明らかにする責任があります。

 

 「加計学園」の疑惑が広がる中、安倍首相は、獣医学部を全国に新設し広げる意向を表明しました。加計学園に限って認可したとの批判に対し、大学の認可に「総理の意向が入りようがない」と説明してきたことを、まさに自ら否定し、首相の意向でどうにでもなることを証明した発言です。この発言によって、行政は恣意的に動かされている、私物化されているのではないか、との疑惑がますます広がっています。

 

 そもそも、政府が50年以上も制限してきた獣医学部を特区制度で新設する必要性や緊急性はまったく示されていません。

 政府は、獣医学部新設には、既存の獣医師養成ではない構想の具体化、医師の需要動向など、4条件を満たすよう閣議決定しています。そして、日本獣医師会のほか、所管の農林水産省も、獣医師の需要増加を見込んでいません。「総理の意向」などの文書の存在を証言した前川前文科事務次官も「将来の人材需要が示されず、薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた」と証言しています。

 家畜の疫病対応などで「公務員獣医師が足りない」という点についても、それは処遇が低すぎることが問題であり、学部を新設しなくても解決する問題です。

 新分野の研究を促進する点では、欧米とくらべて圧倒的に貧弱な教員、スタッフの体制を充実させることが課題であり、長期的な計画と大学への予算措置の充実こそが求められています。

 指導教官・教員の見通しもなく、現状の学生定員の2割にもあたる定員=160名を、一気に拡大する今回の計画は、教育レベルの低下をまねくことも危惧されています。そのうえに「2校でも3校でも、意欲のあるところはどんどん認めていく」となれば、閉校があいつぐ法科大学院の失敗を繰り返すだけです。

 認可にあって、4条件を満たす議論がされたのか、しっかり検証される必要があります。

 

 マスコミでも「国が主導」する戦略特区は、官邸のトップダウン方式が取られており、このため省庁は「モノ言えぬ」状態になり「忖度行政」に陥ってしまうのではないか。国会のチェックも行き届きにくい。との指摘がなされています。また、特区では多額の公金補助や税制支援が認められるだけに、規制緩和自体が目的化したり、特定の利益誘導につかわれる危険性を含んでいます。これに関しては、すでに、加計学園とは30年の付き合いだという岡山1区選出の自民党・逢沢一郎議員の親族企業が加計の獣医学部建設を148億円、通常の大学病院建設費の7割も高い高額で受注〈週刊朝日〉との報道がなされています。これらの疑問に関しても、首相はしっかり調査し説明責任を果たさなければなりません。

 

 政治が国民の信頼をとりもどし、特区制度の問題点を徹底的に検証するうえでも、加計疑惑の早期解明は不可欠です。前川前文科事務次官は、国会での証人喚問に応じる意向をしめしています。

 安倍総理は、「歴史的大敗」と報じられた東京都議選の結果をうけて、政権の緩みに対する有権者の厳しい批判があった、としたうえで、深く反省し、初心に立ち返って信頼回復に全力を挙げる、と述べました。

 その発言が真に誠のものであるならば、外遊中で首相不在という中での閉会中審査などではなく、国会を早期開会し、関係者の証人喚問を実施し、国民の疑惑の解明に全力をつくし、しっかりと説明責任を果たすよう、ここに強く訴えるものであります。

 以上議発第6号議案への賛成討論とし、同僚議員のご賛同を心からお願いいたします。