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- 2016年12月22日
- 意見書・請願
- 2016年12月議会 「高齢者の医療・介護の負担増に反対する意見書議案」への賛成討論 塚地佐智県議(2016.12.22)
私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました「議発第8号 高齢者の医療・介護の負担増に反対する意見書議案」に賛成の立場から討論を行います。
地域を訪問すると、今でも高齢者の方からは「年金は下がる、天引きされる保険料は上がる。お風呂を沸かすのは週に二回にしてやりくりしゆう。年金の通帳を見るたびにため息が出る。長生きをするなということやね」など、生きる希望さえ失おうとしている声がたくさん寄せられています。同僚議員の皆さんも同じではないでしょうか。
こうした高齢者の方々にまさに冷や水を浴びせかける新たな医療・介護の負担増の計画が来年度予算に盛りこまれ、本日、閣議決定がされようとしています。19日に塩崎恭久厚生労働省と麻生太郎財務省が合意した内容は、高齢化などによる社会保障費の自然増を1400億円削減し5000億円に圧縮するというもの。医療分野で950億円、 介護分野で450億円を削減する大負担増・給付削減計画です。高齢者を直撃するのは、まず「高額療養費制度」の見直しです。医療機関の窓口で払う医療費が膨らんだ場合、所得や 年齢に応じて支払いの上限額を定めています。今回、これを見直し70歳以上の上限を段階的に引き上げるとしました。負担増の対象者は1400万人以上に上ります。例えば、年収約370万円未満の課税世帯では、現在の月12000円の外来上限額を18年の8月には18000円にします。また、75歳以上の後期高齢者医療では、低所得者の保険料を5割軽減する特例を来年4月から2割減に縮小、扶養家族だった人の保険料を9割軽減する特例も7割に縮減、さらに、療養病床に入院する65歳以上の光熱水費の引き上げでは、これまで負担がなかった医療の必要性の高い人まで月1万円以上の負担増を強いるという容赦のない内容となっています。
介護保険でも、自己負担の上限額を引き上げることとしており、すでに利用者負担割合が2割に引き上げられたことから、介護施設の退所を余儀なくされた人も出ています。ある全国紙の調査で2013年から本年10月迄、全国での介護殺人、介護自殺の件数は約180件にのぼり、週1件の割合で起きているとの結果が報道されている深刻な事態です。そうした上へのさらなるこの改悪は、家計と暮らしを壊すと同時に、必要な医療や介護を受けることを妨げ、一時は費用削減がされても、必要な医療と介護を受けることを妨げ、重度化、重症化することにより一層、医療・介護費用を膨らませることが懸念をされています。
安倍政権が2015年に閣議決をした「経済財政運営と改革の基本方針」は社会保障給付の増加を抑制することは、経済成長に寄与するという認識まで示していました。国民の暮らしを支える土台である社会保障を、邪魔者扱いにする、あまりに冷たい考えです。高齢者が増加すれば医療・介護費用が増大することは当然のことです。一人一人の高齢者の皆さんがその中で、豊かな生活を送ることができるようにするのがまさに、政治のつとめではありませんか。
そこで出されてくるのが、制度の持続性、財源問題です。安倍政権は、社会保障が財政赤字の原因であるかのようにいっています。しかし、日本の社会保障支出は、ヨーロッパ諸国などと比べて低い水準にあることはOECDのデータベース一人あたり公的社会支出の国際比較で日本が15位という低位に位置している点でも明らかなとおり、社会保障費により財政悪化が進んでいるとは言えません。財源確保の名目で進められた消費税8%への増税で国民の実質可処分所得は低下を続け、史上初めてGDPの個人消費が2年連続マイナスとなり、経済は低迷をつづけています。消費税増税分は「社会保障に全額回す」と言いながら、「社会保障充実に利用されるのはわずか1%分相当の2.8兆円だけで、その多くが大企業減税の赤字の穴埋めに使われ、国民には社会保障の負担増・給付減が押し付けられています。円安・株高政策により、大企業と大株主に莫大な利益をもたらし、大企業の内部留保は300兆円を超え、株価の上昇で、200人あまりの大株主が、資産を3年間で100億円以上も増やしました。国民には「税と社会保障」の名で消費税増税、社会保障の切捨てを強行し、国民の生活も、日本社会と経済の持続性すら根底から破壊するものとなっており、この路線を直ちにストップをすること、消費税10%は延期でなく断念をすべきです。
今、必要なこことは、雇用効果が高く、県民の生活を支える医療・福祉・介護など社会保障を充実させること、財源は、富裕層と大企業への優遇税制をやめ、応分の負担をさせること、タックスヘイブンを利用した「税逃れ」を規制するなどで税収を増やし、リニア新幹線への財技資金の殺人や「経済対策」の名で多額が投入をされている大型公共事業など歳出の見直しを行うことで確保ができます。無いのは財源ではなく、社会保障を充実させるという政府の姿勢そのものだと指摘をしておきます。いま、低所得の高齢者が多くを占め、まさに命を削る日々の暮らしの声に応えて、本意見書へのご賛同を心よりお願いし、私の賛成討論といたします。