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- 2016年12月15日
- 議会(質問・討論)
- 2016年12月議会 吉良富彦県議の代表質問(2016.12.13)
【質問項目】
1、政治姿勢/TPP
2、政治姿勢/沖縄・米軍機問題
3、政治姿勢/伊方原発
4、災害救助
5、須崎海洋スポーツパーク構想
6、性的マイノリティの問題
7、特別支援教育の充実
【政治姿勢 TPP】
●吉良県議
アメリカ大統領選で、トランプ氏が当選しました。国際ジャーナリストの堤未果さんは、早くから、トランプ旋風の根底には既存政治への強い憤りと不満があると、指摘していました。トランプ氏は、国内雇用を最も重視し、格差と貧困をもたらした既存の政治を批判。国家に税収をもたらさないグローバル企業と銀行にとっての自由が守られる「自由貿易」推進ではなく、格差を縮小するために、年金・医療・教育など、それらを強化し、国内への投資を最優先すべきだ、それができるのは1%の超富裕層から献金を受け取らない自分だけだ。「強欲な『1%』からアメリカを取り戻す」という、その主張に貧困や失業に苦しむ米国民が期待をかけたと考えられます。
民主党の候補者指名でも、「社会主義」の名のもとに格差是正を強く求めたサンダース上院議員が旋風を起こした事も、ウォール街が支配する1%の政治への強い批判が背景と指摘されています。これらは、まさに、多国籍企業中心のグローバル資本主義を進めてきた、二大政党による既成の政治のゆきづまりと、深い矛盾を示したものといえます。
トランプ氏が来年1月20日の大統領就任当日にTPP離脱を正式発表すると宣言しているもとで、安倍政権は、世論の66%が「慎重審議」を求めているのに、TPP承認案を強行しました。開くべき中央公聴会も開かず、テーマ別の審議も始まったばかり。農業の重要5品目の関税で無傷なものが何もなかったことや、日本だけが7年後の再交渉を約束させられ、全面的な関税撤廃が最終目標だと規定されている事も明らかになった等、日本農業崩壊への懸念は一層深まっています。
TPP協定30章のなかで貿易に関わる章は5つで、残りは投資のルールなど非関税障壁の部分であり、国のあり方、全体にかかわる協定となっています。
自由診療の拡大で国民皆保険制度が空洞化するのではないか。政府調達の範囲が3年後の再協議で拡大することはないのか。地産地消や地元業者優先の取り組みができなくなるのではないか。米韓FTAにより提訴される懸念から、韓国政府は、学校給食での「地産地消」条例の廃止・修正通知をだしています。自主的な共済の保険業務化や、農協、郵政の金融部門の外資開放で、地域社会を支えるネットワークが破壊されるのではないか等々、多くの懸念が解消されていません。
それに加え、2国間協議、いわゆるサイドレターは「法的拘束力はない」という政府の説明がごまかしで「着実に実施していく」と約束までしていた事が暴露されるなど、今回強行採決されたTPP協定の内容が、今後、日米2国間交渉の土台とされることが懸念されています。このように、政府の情報隠蔽体質のもと、問題点が次々と明らかになり審議は全くつくされていません。
ノーベル賞受賞の経済学者、スティグリッツ氏は、TPPは、自由貿易協定ではない、特定集団のために「管理」された貿易協定だと批判し、「協定のそれぞれの条項の背後には、その条項をプッシュしている企業がある。米通商代表部が代弁しているのは、そういう企業の利益であり、決してアメリカ国民の利益を代弁しているわけではない。ましてや日本人の利益の事は全く念頭にありません」と、一部の多国籍企業の利益のために、それぞれの国の国民を犠牲にするという、TPPの本質を指摘しています。
多くの疑問、懸念が存在している中で、採決の強行はゆるされるものではなく、県民のくらしと県経済への懸念が払拭できたとは、とても思えるものではありません。知事にご所見をお伺いします。
■知事
TPP協定について、採決の強行は許されるものではなく、県民の懸念が払拭できたとは思えないがどうか、とのお尋ねがございました。
私は、TPPの発効により、本県のような中山間地域が多く、高齢化が進む地域がデメリットを被ることを懸念し、国に対して、地域の実情に応じた対策をとるよう、再三にわたって主張してきたところです。
今月9日に成立したTPP承認案・関連法案は、国会のルールに則り採決されたものであると考えておりますし、また、TPP発効が不透明となり、世界的に保護主義の広がりが懸念される中、TPPの承認により、自由貿易拡大に向けた日本の姿勢を世界に示すといった点から見て意義あることと思っております。
しかしながら、中山間対策の必要性などについては、TPP発効如何にかかわらず、今後もさらに議論が必要であると考えております。
政府においても、農業者の不安に対し、不安を払拭したとは言い切れないとしたうえで、これから対策を取ることで不安を払拭していくこと、また、TPPの発効にかかわらず農業の体質強化を行っていくことを表明されており、今後も、丁寧な説明と取り組みをしっかりと行っていただきたいと考えているところであります。
【政治姿勢 沖縄・米軍機問題】
●吉良県議
沖縄の辺野古新基地建設には、県民の8割が反対し、知事、名護市長も、沖縄県選出のすべての国会議員も反対しています。辺野古新基地が、普天間基地の「移設」などという生易しいものではなく、1800㍍の滑走路を2本もち、強襲揚陸艦も接岸できる軍港をもち、耐用年数200年の最新鋭の巨大基地となっており、「基地負担軽減」とは正反対の事態となっているからです。まさに、沖縄の海兵隊基地を「戦略的出撃拠点」(米太平洋海兵隊の基地運用計画「戦略展望2025」)―世界への「殴り込み」の一大拠点として抜本的に強化・固定化する計画です。
上で述べた圧倒的民意をふみにじり、「国策だから」「唯一の解決方法」だからと、そういう理由で強行する事が許されるのでしょうか。この論理に立てば、例えば、国策であるエネルギー政策をすすめるために、科学的に検討した結果、核のゴミ捨て場の最適地は高知県であり、唯一の解決策であると政府が決めれば、地方自治体と住民がどんなに反対しても強行できることになってしまいます。
国と地方公共団体との対等・協力関係を規定した1999年の改正地方自治法の精神に反し、憲法に規定された地方自治の本旨、地方自治体の自主性と自立性を否定するものだと考えますが、知事にお考えをお聞きいたします。
■知事
沖縄の辺野古新基地建設について、地方自治の本旨、地方自治体の自主性と自立性を否定するものだとのお尋ねがございました。
一般論として申し上げれば、地方自治の観点からは、地元自治体が反対しているにもかかわらず、国が事業を強行するといったことが望ましくないのは言うまでもありません。
沖縄県には、在日米軍の専用施設の74%が集中するなど、その負担は大変大きなものがあり、沖縄県民の中に普天間飛行場の辺野古周辺への移設に対する不安があることは承知をいたしております。
しかしながら、住宅や学校が集中している市街地に囲まれた普天間基地の固定化は、避けなければならないことは、政府と沖縄県との共通認識であると理解しております。
私はこれまでも、沖縄の皆様の負担を軽減することに関しては、平成24年の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2で決定された海兵隊のグアムなどへの移転と嘉手納基地以南の米軍施設の返還など、一連の再編プロセスの実施が本筋だと申し上げてまいりました。
沖縄県における基地の問題は、外交や防衛に関わる事項であり、国が責任を持って解決すべきことであります。
政府におかれては、日米両国で合意した一連の再編プロセスの実施に向けて、沖縄県民の皆様としっかりと対話を重ね丁寧な上にも丁寧な説明を繰り返していくことが必要ではないかと考えております。
●吉良県議
さらに参議院選挙の直後には、人口150人の東村高江に、オスプレイ着陸帯を建設するために、全国から500名の機動隊員を動員して反対住民らを力ずくで排除し、工事を強行するという異常極まるやり方、そして機動隊は、住民に対して「土人」と侮蔑するなど沖縄への差別体質にも大きな怒りが広がっています。あろうことか政府は、この発言を「差別ではない」とのべた担当大臣を擁護し、「差別ではない」と閣議決定までするなど、まさに異常です。
既にMV22オスプレイの夜間訓練によって睡眠不足に陥った児童が学校を欠席する事例が報告されています。ヘリパッドが完成すれば、訓練激化によって、住環境やノグチゲラなど貴重な動植物に重大な悪影響を与えることは必至です。そもそも、このヘリパッドは、米軍が「使用不可能な約51%の北部訓練場を日本政府に返還する一方、新たに利用可能な訓練場所を開発する」(米海兵隊太平洋基地司令部報告書「戦略展望2025」)とした基地強化が目的であり、それは、米軍の特権を保障した日米地位協定で、必要がなくなった基地の返還を義務付けている事にも違反した内容です。
しかも、米側の資料で明記されているオスプレイの配備を、政府は、2010年まで否定し続け、県民をだましてきた経過もあります。よって、沖縄県知事も、オスプレイが利用するへりパッドは容認できない、と明言しています。
住民に配備計画など隠しウソをつき、反対する住民を力づくで排除するやり方は、行政として決して許される行為ではないと思うがお聞きいたします。
■知事
沖縄県東村高江におけるヘリパッドの建設に関して、住民に事実を隠し、反対する住民を力ずくで排除するやり方は、行政として決して許される行為ではないとのお尋ねがございました。
ヘリパッドの建設が進められている沖縄県の米軍北部訓練場については、沖縄の基地負担軽減を進めながら抑止力を維持するとの観点から、沖縄県内の米軍施設の約2割に相当する約4千ヘクタールを返還するとともに、返還区域内にある ヘリパッドを集約し既存の訓練場内に移設すると、日米で合意したものと承知しております。
この返還については、政府は時期を年内と表明しており、沖縄県知事もこれを歓迎しているものの、移設するヘリパッドの建設については容認できない考えであると報じられております。
繰り返しになりますが、沖縄県における基地の問題は、外交や防衛に関わる事項であり、政府が責任を持って解決すべきことでありますので、政府におかれましては、沖縄県民の ヘリパッド建設に反対する声などにも耳を傾け、丁寧な上にも丁寧な説明を繰り返し、理解を十分に得ながらことを進めていくことが非常に重要だと考えておるところでございます。
●吉良県議
12月7日、土佐湾に岩国基地所属の米軍機F18ホーネットが墜落したニュースに県民は強い恐怖と不安を感じています。9月に沖縄近海でハリアーが墜落したばかり。本県空域ではそのような米軍機による低空飛行訓練が繰り返されており、1994年早明浦ダム、99年の土佐湾への墜落に続き3回目となります。
墜落したF18ホーネットは、10月26日にもカリフォルニアで墜落、またサンディエゴでは2機が接触事故で1機が墜落と、たて続きの墜落事故を起こしている戦闘機です。墜落機所属の岩国基地は、来年に向けて米海軍厚木基地から空母艦載機59機が移駐され、米国外では初となる最新鋭F35Bステルス戦闘機16機も駐留します。米軍機だけで約130機、米兵軍属9000名を超す極東最大の米空軍基地となります。その訓練用として、土佐湾沖に「臨時留保空域」が新たに設定されるという事で、先の9月議会で私どもの塚地議員が、艦載機移転によって、深夜、土佐湾沖の空母と基地との間を頻繁に往復する着艦資格取得訓練が展開される危険性を指摘し、訓練空域拡大をやめさせ、訓練中止の意思を示すべき、と求めたばかりです。その新たな訓練空域での訓練が11月10日から開始された直後の墜落でした。
墜落した地点は国土交通省航空局への「申請・承認の手続き」が必要で「使用状況を把握することが可能になる」新たな「臨時留保空域」ではなく、従前のL空域での事故とのことですが、訓練空域拡大、訓練増による危険性は、間違いなく増大されたと言えます。
知事は、9日、外務省、防衛省両省に直接出向き要請を行ったという事ですが、県としてどのような要請と対応をしたのか、事故発生後から、救助、その後の原因究明、再発防止への日米両政府の対応含めお聞かせいただきたいと思います。
■知事
米軍の戦闘機が墜落した事故について、県としてどのような要請と対応を行ったのか、また、日米両政府の対応についてお尋ねがございました。
県といたしましては、今回の米軍機墜落事故について、中国四国防衛局から、米軍機が墜落した可能性があるとの第1報を受けた後、直ちに土佐清水市をはじめ、県内漁協などの関係機関に注意喚起を行うとともに、中国四国防衛局や高知海上保安部などと連絡を取り合いながら、情報収集に努めたところであります。
事故発生の翌日には、外務大臣及び防衛大臣に対して米軍機墜落についての要請文書を提出したうえで、さらにその翌日には、私自身が両省を訪問し、稲田防衛大臣らに直接お会いして、 速やかな情報提供、事故原因の究明、再発防止策の徹底、併せて、事故原因の究明や再発院止策が講じられるまでの間、住家もあるオレンジルートでの低空飛行訓練の中止について、米国に申入れていただくよう要請いたしました。
稲田防衛大臣からは、安全、安心ということが重要だと思うので、そこはしっかりと申し入れたいとのお話もいただいております。
一方、国においては、事故直後から自衛隊及び海上保安庁が、県や市町村、漁協へ情報提供を行うとともに、航空機や艦艇によって捜索活動を行い、事故翌日にパイロットを発見し収容いたしております。その活動については、報道資料としてホームページ上で随時発表もされております。
また、米軍においては、メディアリリースとして事故状況を発表してはおりますが、現在、事故原因の究明に取り組んでいるとのことであります。
県としては、引き続き日米両政府の事故後の対応の推移をしっかり見守る必要があると考えております。
●吉良県議
先の議会で、東京、神奈川、広島、山口、沖縄など14の都道県でつくる「渉外知事会」が、「米軍基地に起因する環境問題、事件・事故等を抜本的に解決するために、日米地位協定の改定は避けて通れない」と「市街地や夜間、休日等の飛行制限、最低安全高度を定める国内法令の適用等、航空機の騒音軽減措置や飛行運用に関する制限措置を行う」、そのことを求める条項の新設を求めていることを示し、知事に共同行動を求めました。知事は、「実態調査と事前の情報提供を国に求める」との答弁姿勢にとどまっています。今回の事故で、我々県民は、米軍機がいつ墜落してきてもおかしくない危険性を痛感しています。今こそ、「渉外知事会」同様、地位協定の見直しを国に強く求めるべきだと考えます。
リマ海域を含む土佐沖の訓練空域撤去と、当面、原因が確認される迄オレンジルートと土佐湾沖での訓練の中止、そして、日米地位協定に飛行運用に関する制限措置を求める条項の新設を国に求めるべきだと考えるものですが、お聞きいたします。
■知事
リマ海域を含む土佐湾沖の訓練空域撤去と、当面、原因が確認される迄オレンジルートと土佐湾沖での訓練の中止、そして、日米地位協定に飛行運用に関する制限措置を求める新条項新設を国に求めるべきとのお尋ねがございました。
私は、9月議会でも申し上げましたように、四国沖に新しい訓練空域ができること自体については、近年の北朝鮮による核ミサイル開発の進展など、国際的な安全保障環境が厳しさを増していることや、その中での日米安全保障体制の重要性に鑑みれば、やむを得ないものだと考えております。
ただ、今回の墜落事故の原因がまだ究明されていない、米軍機に欠陥があるかもしれない、という状況で、住家の上でもあるオレンジルートでの低空飛行訓練は速やかに中止してもらいたい旨、外務省と防衛省に要請したところです。
他方で、安全保障環境に及ぼす危険性を考えたうえで、冷静に対応しなければならないとも考えておるところであり、一律にすべての訓練を中止すべきとまでは考えておりません。一方、日米地位協定に関しましては、全国知事会として、基地周辺及び演習に際して米軍機の住宅地域及び工場地帯上空での飛行制限等、徹底した安全対策を講じることを含め、日米地位協定の抜本的な見直しを行うことを政府に要望しておりますので、今後とも全国知事会の一員としても要望を続けてまいりたいと考えているところであります。
【政治姿勢 伊方原発】
●吉良県議
伊方原発3号機の再稼働に対して、その安全性、必要性について県民の中にある疑問、懸念を、四国電力との勉強会を公開し、質してきた県の姿勢は評価するものです。ただ、内容は極めて専門的で、必要なデータの種類、その解析など多くの専門家の知見抜きには検証できません。
6月、9月議会で、複数回の基準地震動の揺れに対しての安全性について質問しましたが、結論は、県としての客観的なデータなど示すことなく、ただ、「四国電力が大丈夫と言っている」ということで、四国電力側の回答に2の矢3の矢を放つ事は少なく、四電の主張を結局はのんでいるという印象をぬぐい切れません。
私どもは、常任委員会での論議でも原発再稼働に対し厳しい意見を持ち積極的に活動している飯田哲也氏などを委員にした恒常的な勉強会を行い、PDCAサイクルを回すべきと提案してきました。高知にも、元四国電力職員の松野元氏、福島第一原発の技術者であった木村俊夫氏、元愛媛大学学長で名誉教授の小松正幸氏、既にご意見をいただいています岡村真高知大教授等の専門家がいらっしゃいます。知事の「福島事故の被害を見たとき、原発の依存度を減らすべき」という姿勢を明確に示すためにも、
再稼働に批判的なご意見を持つと自他ともに認める研究者・専門家を含め、恒常的に四国電力の主張を検証する体制を持つべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
■知事
伊方発電所に関する一連のご質問にお答えをいたします。まず、専門家などによる恒常的に四国電力の主張を検証する体制を持つべきではないか、とのお尋ねがありました。
伊方発電所の安全性の確認については、国の原子力規制委員会において、専門的な見地からしっかりとした検証が行われています。
また、愛媛県が設置している原子力安全専門部会においても、原子炉工学や地震工学、構造地質学など8名の専門家による安全対策などの検討や評価が実施されています。
他方、本県が実施しています四国電力との勉強会は、原発の安全対策や必要性などについて、県民の皆様の不安や疑問に対する説明を徹底して求めているものであり、その過程を通じて安全性の確保等にも資するものと考えています。この中で原子力規制委員会の審査内容など専門的な内容についても、県民の皆様にわかりやすい客観的なデータの提示と、その根拠に関する説明を求めてまいりました。
勉強会で十分確認できなかった点については、勉強会後に四国電力から納得のいく回答が得られるまで、何度も何度も繰り返し説明を求めております。
また、その回答についても、単に四国電力の主張を受け入れるということではなく、中央構造線断層帯による地震動の評価については、地震工学の複数の専門家に確認するなど必要に応じて専門家に意見を伺い、安全性や必要性を確認しております。
本県としましては、独自で専門家による検証体制を整えるのではなく、これまでと同様、必要に応じて、その分野に精通している専門家の意見や助言を求めてまいりたいとそのように考えております。
●吉良県議
熊本・大分群発地震を機に、新たな危険性の存在が指摘されています。
本年、4月6日に放送されたNHKスペシャル「地震列島見えてきた新たなリスク」で、最新の地震研究の内容が紹介されています。京都大学地震予知研究センターの西村卓也准教授が行っているGPSを使った地盤観測データから、鳥取を中心とした山陰地方に地盤の割れ目があり、大きな地震が発生するリスクが上がっていること、さらにそのデータを元に、地盤の割れ目を調べたところ、九州地方にもリスクの高い地盤の割れ目が存在していることが分かった、という内容でした。そして、その放送直後に熊本地震が発生し、10月にはM6.6の鳥取中部地震も発生しています。西村准教授は、ひずみがたまりやすい場所として上記の2カ所をふくめ5ヵ所をあげており、「四国の中央構造線断層帯沿い」がその1つとなっています。
また、小松正幸氏・愛媛大学名誉教授や早坂康隆・広島大学准教授ら、約10人の研究者が議論を重ねた結果、伊方原発の前面海域8キロメートルではなく、すぐ近くの600メートル沖に中央構造線の主断層が走っており、これが活断層である可能性が高く、伊方原発の直下で巨大地震が起きうると警告をしています。〔「週刊金曜日」2016/10/21号。伊方原発をとめる会 定期総会講演 10/21)
小松名誉教授は、別府湾での多くの機関による綿密な調査、例えば海上保安庁の水路部や四国電力の規制委員会への提出資料などを活用して、伊予灘で地震を起こすポテンシャルをもっているのは、沖合8キロメートルの中央構造線活断層帯ではなく、沿岸すれすれ600メートルに佐田岬半島から九州にかけて存在する、中央構造線本体であること、この中央構造線が活動を繰り返していること、さらに、今度の熊本地震の考察から、四国から九州一帯の中央構造線および関連する大分から熊本構造線は新たな活動期に入っていると指摘しています。そして、中央構造線のうち、伊方原発の東方で下灘-長浜沿岸活断層へと連続している部分は高角度であることがわかっており、熊本地震を起こした布田川断層が約80度の高角右横ずれ断層であったことを例に挙げ、伊方原発の直近にある活断層が鉛直型である場合、伊方原発の直下で地震が発生すればさらに短時間で地震動が原発を襲い緊急停止させる時間的余裕がないと指摘しています。
そして彼は、したがって、佐田岬半島沿岸周辺の詳細な探査を行い、高角断層の有無を確認することは必須であり、これなくして再稼働はあり得ない、と強調しました。
県として、この新たな知見に基づく指摘をどう受け止めるのか。四国電力との勉強会で提起すべく、しかるべき対応を行うべきであると考えるものですが、お聞きいたします。
■知事
県として新たな知見に基づく指摘をどのように受け止めるのか、また、四国電力との勉強会で提起すべく、しかるべき対応を行うべき、とのお尋ねがありました。
伊方発電所周辺の地質構造については、四国電力から、佐田岬半島の沿岸部はもとより、陸地も含めたボーリング等による詳細な地質調査の結果、発電所周辺5キロメートル以内に活断層がないことを確認していると聞いており、そのことについては、原子力規制委員会による審査でも確認されているところです。
また、政府の地震調査委員会においても、中央構造線断層帯は、伊方発電所の敷地の沖合約6キロメートルから8キロメートルのところを通過していると評価されています。
ご指摘の研究結果につきましては、原子力規制委員会でも取り上げられておらず、地震調査委員会でも、この研究結果に基づいた中央構造線断層帯の位置の見直しも行われていないことから、現時点においては、新たな知見とまでは言えないのではないかと考えております。
そのため、直ちに勉強会を開催することは考えておりませんが、今後、学会などで論議が尽くされる中で、新たな知見と言えるものが出てまいりましたら、勉強会などを通じて四国電力に対応を求めてまいります。
●吉良県議
先の9月議会で、知事は、伊方2号機の再稼働が提起されれば、3号機の時と同じように勉強会で検証していくと答弁されました。
伊方2号機は、1号機と同世代の設計で、いまから安全対策の巨費を投して再稼働するとなれば、原則40年で廃炉ということは建前で60年運転を想定しての投資であることは明瞭です。
脆性劣化、格納容器の耐圧能力の低さなど多くの問題を抱えていることをこの間も指摘してきました。また、私どもは根拠がないと思っている「老朽火力の故障による停電の危機」も、すでに3号機の再稼働で今や回避された事になりました。
ゆえに、老朽化した2号機に巨額の経費を投じ稼働させる必要性は全くなく、その巨費を、送電線の強化、地域分散型の電力網=スマートグリッドの構築に投資すべきです。
伊方2号機の再稼働を中止し、その経費を送電網の強化に使うことを主張すべきと思うが、どうお考えなのかお聞かせください。
■知事
伊方発電所2号機の再稼働を中止し、その経費を送電網の強化に使うことを主張すべきとのお尋ねがありました。
伊方発電所2号機につきましては、四国電力から、活用の検討はしているものの、再稼働させることを決定しているわけではないと聞いており、本県としては、意見を述べる段階ではないと考えております。
仮に、今後、四国電力2号機についても再稼働の申請をすることになれば 3号機の時と同様、勉強会を開催し、安全性や必要性などについて確認をしたうえで、本県としての意見を述べていきたいと考えております。
また、ご指摘の送電網の強化などにつきましては、本県としましても、再生可能エネルギーの導入弦大に向けた重要なインフラ整備であると考えておりますし、全国的な課題でもありますことから、今後とも、国に対してしっかりと政策提言を行ってまいります。
【災害救助】
●吉良県議
東日本大震災の被災地では、仮設にも災害復興住宅にも入れず、半壊等した住宅を直す金もなく、壊れた住宅で生活し、支援の手からも漏れている、いわゆる「在宅被災者」の存在が大きな問題となっています。
石巻市で、そうした被災者を支援する「チーム王冠」が、2014年10月~11月に1100世帯以上の家屋修繕状況を訪問調査した結果によると、有効回答538件の半数が修理未完成の状態であり、その半数が金銭的理由からで、また圧倒的多数が高齢者世帯と回答していまか。今でも、数1000世帯が壊れた住宅での生活を余儀なくされているというものです。
その原因は、罹災証明によって支援の内容が大きく違ってくる被災者生活再建支援法です。
罹災証明は、住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で判定します。損害割合が、50%以上が全壊、40%以上50%未満は大規模半壊で、この「全壊」と「大規模半壊」と判定されると仮設住宅、災害復興住宅へと入居できます。20%以上から40%未満は「半壊」で、災害復興住宅へは入れませんが、熊本地震では、被災した住宅の解体・撤去を条件に、「半壊」も入居対象としましたが、わずかです。20%未満は一部損壊とみなされ、義捐金すら、対象外となります。
次に、被災者生活再建支援制度での最大300万円の住宅再建補助ですが、「全壊」と「大規模半壊」が対象で、わずか1%違いなのに、「半壊」となると、解体・撤去費用の補助だけとなり、大規模半壊とは極端な差が生じます。これが「在宅被災者」を生む大きな原因なのです。
熊本地震をめぐって新聞紙上で「半壊と認定されて支給対象から外れ、被災者に修理費用が重くのしかかるケースがあり、不公平だと訴える声が上がっている」「8割の被災自治体が改善を求める被災者生活再建支援法」と報道されています〔毎日〕。
このような「在宅被災者」について、どのような課題意識をもっているのか、危機管理部長にお聞きいたします。
■危機管理部長
「在宅被災者」について、どのような課題意識を持っているのかとのお尋ねがございました。
被災したにもかかわらず何らかの事情で避難所に行かず、また仮設住宅などに入居していないいわゆる「在宅被災者」につきましては、在宅であるがため様々な公的支援が行き届かない実態もあると思われます。
また、生活環境や生活実態など、在宅の被災者お一人お一人の事情が違う中で、全ての被災者へのすき間のない支援は、現行の制度では限界があるのも事実だと考えております。
南海トラフ地震により甚大な被害の発生が想定される本県においても、このような在宅被災者は数多く発生すると思われますが、在宅被災者の方々に具体的にどの様なニーズが発生するのか現時点では十分に想定ができていない状態です。
このため、まずは、今もなお、現在進行形の課題として取り組まれている東日本大震災や熊本地震の被災自治体から、在宅被災者に関する現状や課題、具体的な支援の事例をお聞きするなど、実態把握に努めていきたいと考えております。
●吉良県議
被災者生活再建支援制度については、支援額と支援範囲を拡充することが重要だと考えます。
鳥取県はこのたびの地震で、一部損壊に30万円の支援を全国で初めて決定しました。本県でも独自の拡充を検討するお考えはないか、危機管理部長にお聞きいたします。
■危機管理部長
被災者生活再建支援制度について、県独自での拡充を検討すべきではないかとのお尋ねがございました。
お話しにございました鳥取県の制度につきましては、鳥取県の中部地震で、全壊や半壊被害に比べ一部損壊被害を受けた住宅が非常に多いといった被害状況を勘案し、一部損壊住宅への補修費用の支援を決定し、その財源については 2000年に発生した鳥取県西部地震を受けて創設した県と市町村による基金からその大半を充当することとしたということを鳥取県からお伺いしています。
本県においては、平成13年の西南部豪雨や平成26年の台風災害などで、同じ全壊被害でありながら被災者再建支援制度の適用外となった世帯に対し、公平性の観点から市町村と県が連携し、支援制度と同等の支援を実施しております。
一方、南海トラフ地震が発生した場合、本県では、全壊で約15万3千棟、半壊で13万4千棟の家屋被害が想定されておりますが、仮に、半壊となった世帯に100万円の支援を実施するとした場合、1340億円の財源が必要となり、これに一部損壊家屋も加えますと更に多くの財源が必要となります。
被災された方々の早期の住宅の再建は、生活を立ち上げるという点では非常に大事なことであると認識しておりますが、県独自での支援の拡大は、財源の確保という大きな課題があるものと考えております。
●吉良県議
熊本地震では、罹災証明の発行に手間取ったことが問題点として浮き彫りになりました。地震、津波、長期浸水などで、それぞれ損害の判定の基準にもとづき、研修や実地訓練での職員育成が不可欠です。県内22自治体で、体制が未整備との報道が先日ありました。ただし、整備されているのは風水害に対するもので、地震、津波には殆ど未整備ではないだろうかと、ある市の担当者からお聞きいたしました。
罹災証明の発行体制の整備状況と、県自らの課題として推進するお考えはないか、危機管理部長にお聞きいたします。
■危機管理部長
罹災証明の発行体制の整備状況と、県が自らの課題として推進すべきではないか、とのお尋ねがございました。
南海トラフ地震により甚大な被害が想定されている本県において被災者を支援する際の判断の基礎となる罹災証明書を発行する体制をあらかじめ整えておくことは、被災した方々の生活の再建のためには、大変重要であると認識しています。
本年9月に各市町村における罹災証明書を発行する体制について調査しましたところ、33市町村が証明書を発行する担当部署を定めている一方、発行の手順やその時の人員配置などを明記したマニュアルを整備している市町村は5市町村に留まっており、まだまだ十分な状況ではありません。
県では罹災証明書の発行の元となる住家被害認定の知識を市町村職員が習得できるよう、平成26年度に 「高知県住家被害認定士制度」を創設し、毎年研修会を開催しており、これまで27市町村の合計168名が認定士の認証を取得しています。
さらに、市町村を支援するため、県の職員にもこの研修を受講させており合計35名が認証を取得しているところです。
また、本年4月に発生した熊本地震では罹災証明書を交付する事務や被害認定の調査事務を支援するために県職員を派遣するとともに、被災地で経験したノウハウを県職員で共有する研修会を既に実施しております。さらに、市町村が実施しています研修会に参加し被災地での活動についてお伝えしているところです。
罹災証明書の発行につきましては、今後とも、市町村と課題の共有を図りながら、市町村の体制の確立に向け積極的に支援してまいります。
●吉良県議
「東日本大震災の復興の検証」という著作の中で津久井進弁護士は、「災害救助法の抜本改正が必要」と述べています。
同法は、避難所設置と運営、食事、寝具、日用品の提供、家屋の応急修理、仮設住宅の提供など、被災者の避難生活全体をフォローアップする重要なものですが、1947年に制定された古い法律で、大規模災害が想定されていません。東日本大震災の教訓も反映させて抜本改正されるべきですがされておらず、その後の鬼怒川決壊水害でも、避難所では40日以上もおにぎり、菓子パンの配給、住宅避難者への食事供与の打ち切り、避難所の劣悪な環境を放置したままの整理・統合が繰り返されるという、先進国ではありえない状況が繰り返されているし、また原発被害は「災害救助法」の対象となっていませんと津久井氏は指摘しています。
避難所等での行政の消極的な姿勢の原因の一つは、自治体の被災者救助に対して国費が補助される制度であり、費用負担に慎重な自治体によって支援が消極的になる制度設計となっていることです。
もう一つには、災害救助法の機械的な運用の問題です。
旧厚生省の運用内部マニュアルの5原則「平等の原則」「必要即応の原則」「現物支給の原則」「現在地救助の原則」「職権救助の原則」があります。「平等の原則」では、避難所に100人居て、食料支援が50人分しかなければ配らないとなり、「必要即応の原則」では、必要性が減じれば、避難所は直ちに閉鎖し救助の取り止めにつながる、「現物支給の原則」では、食料・住宅確保に現物支給にこだわり過度な金銭供与を避ける姿勢となり、これら運用原則が災害救助法の悪弊の根拠だと指摘しています。日本弁護士連合会は、それら5原則に対し、「人命最優先の原則」「柔軟性の原則」「生活再建継承の原則」「救助費国庫負担の原則」「自治体基本責務の原則」「被災者中心の原則」の6原則を提起し改正を求めています。
東日本大震災など踏まえるとともに、自治体が積極的に災害救助に踏み出せるよう財政負担のあり方や運用原則もふくめ、災害救助法の抜本改正が必要ではないかと考えるものですが、地域福祉部長の見解をお聞きいたします。
また、日弁連の提起する6原則への見解と、県として、県下自治体に、災害救助法の運用に関してどういう姿勢で対応するよう指導助言をされているのか、これも地域福祉部長にお聞きいたします。
■地域福祉部長
災害救助法の抜本改正の必要性について、また、日本弁護士連合会が提起します6原則への見解や災害救助法の運用に関する県内自治体への指導助言について、お尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをさせていただきます。
災害救助法におきましては、救助の実施主体は、都道府県とされていますが、実務上は、ほとんどの事務を市町村に委任して行うこととなります。市町村が救助に要した費用は、一旦は県で全て負担することとされておりますので、現行制度上、実際に避難所等を運営する市町村が財政負担をおそれて救助事務に消極的になるこはないものと考えておりますし、県におきましても財政負担を理由に市町村の救助事務の縮小を求めるようなことも考えてはいないところでございます。
また、事務の内容につきましても、過去の災害の例でも、幅広く救助の範囲が認められております。これらのことを毎年、県が市町村の担当職員を対象に開催をしております災害救助事務に関する研修会において周知をするとともに、実際に救助事務を実施する場合にあたっては、過度に原則にとらわれることなく、積極的かつ柔軟に対応していただくようお願いもしているところでございます。
こうしたことから、本県におきましては、現行の法制度が原因で災害救助活動が十分に行えない、といったことはないのではないかと考えておりますが、国に対しては全国知事会を通じまして、さらなる国の負担率の引き上げなど、より良い制度となるよう提言も行っているところでございます。
また、お話にありました日本弁護士連合会が提起されています6原則におきましても、人命最優先や柔軟性の原則など、重要な視点も含まれておりますので、こうしたご指摘があることも視野に入れつつ、今後とも、適切な災害救助事務の実施に向けて、周知徹底などを図ってまいります。
【須崎海洋スポーツパーク構想】
●吉良県議
豊かな自然を生かしたスポーツの推進として今議会に補正予算が提出されている「須崎海洋スポーツパーク構想」について伺います。スポーツの振興は意義あることですが、須崎市スポーツセンターを活用し、カヌーやオープンウォータースイミングを核として須崎市浦の内地域の活性化を図るという今回の構想は、県政運営の在り方について極めて重大な問題を含んでいます。
県の説明では、地元須崎市で検討が重ねられ、基本構想が練り上げられ、合意されているかのように錯覚してしまいますが、須崎市議会では、この12月議会で、執行部が「唐突な計画なので丁寧な説明をしなければならない」と今、現在、再三議員への説明をしている最中です。須崎市の議会に提案されているのは「辺地債計画変更の議案」です。今回、県が触れていない、平成33年以降の施設整備2億3千万円分も提案されており、まだ何も議論もされていないし、何も決まっていません。
地元でも「唐突な計画」で、議論もこれからという時に、海洋スポーツパーク構想の一環として、海岸の改良実施予算を提案するのは、あまりにも乱暴で拙速です。県の前のめりの姿勢から感じるのは、須崎市というより、むしろ県が音頭をとって、須崎市に構想を押しつけたのが真相ではないかと思わざるを得ません。
「須崎海洋スポーツパーク構想」は、どのようにしてできたのか。今回提案された計画はどこでどのようにしてつくられたのか、経過をお聞きいたします。
■教育長
「須崎海洋スポーツパーク構想」は、どのようにしてできたのか。そして、今回提案のあった計画はどこでどのようにしてつくられたのか、とのお尋ねがございました。
「須崎海洋スポーツパーク構想」は、須崎市が平成27年3月に策定した「すさきがすきさ産業振興計画」、平成27年10月に策定した「須崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略」にそれぞれ位置づけられた、須崎市立スポーツセンターを活用した海洋スポーツの振興や須崎市及び浦ノ内地域の活性化を目的とする構想であります。
昨年10月の知事と市長会との意見交換会の中で、須崎市長から構想の提案と県に対する支援の要請があり、県と須崎市で事務レベルの協議を始めております。
そうした中で、県では、本年3月に策定した第3期高知県産業振興計画地域アクションプランに「須崎市立スポーツセンターを活用した体験型観光等の推進による地域の活性化」を新たに位置付け、これまでその実現に向けた具体的な計画について、須崎市と協議をしてまいりました。
その際には、県の産業振興推進高幡地域本部が須崎市と密な連携を図りながら、県庁内関係課と市で定期的な協議の場を持つとともに、須崎市においては、中央及び県の各競技団体や地元関係者への聞き取り、またニーズ調査などを行ってまいりました。こうした経過を経て、このたび整備計画をまとめることができましたので、県、須崎市それぞれで議会への御説明をさせていただく運びになったものでございます。
●吉良県議
政府はスポーツツーリズムを推奨していますが、かつてのリゾート推進の大失敗を繰り返さないよう、地方自治体は、リアルな現状分析にもとづいた堅実な計画を、主体的に判断して取り組むことが求められています。9月議会でも、春野運動公園の芝改修工事で、その安易な拙速さが問題になったところです。そこで「須崎海洋スポーツパーク構想」を推進する県の現状認識を伺います。
スイミングエリアとしての大島地区の整備は、オープンウォータースイミングを従来の坂内地区から移動するためのものです。須崎の大会は、日本水泳連盟が認定する全国8大会の1つですが、はたして同地がふさわしいのか。日本水泳連盟は、2010年3月に「オープンウォータースイミング競技に関する安全対策ガイドライン」を発表しています。そこには「主たる競技者が中高年齢者を中心とした水泳愛好者であるという現実問題を認識」して取り組むこと。そして「主催者は、競技者同様、OWS 競技は常に危険性が伴う競技であることを理解しておかなければならない。そのため競技会の開催に際して、以下のガイドラインを策定する」と書かれています。
会場の条件については「透明度は高いか。常に透明度が低く濁っているような水域は、安全対策上、OWS 競技には適さない」「水質については近くの川から生活排水や工場排水が注いでいないか」「砂浜の広さは十分か。競技運営に必要な本部機能エリアが設営可能か。招集エリア、スタート・ゴールエリアが設営可能か。参加者および同行者の待機エリアが設営可能か」などをあげています。
これまでの大会を開催していた坂内地区は、水が濁り、海に入った人の白いシャツが黄ばむなど、大きな問題があり、大会継続が不可能になったのではないか、それで拙速な提起になったのではないかと推測されます。また、新たな大島地区は、透明度など一定の改善はされますが、「砂浜の広さ」と言われてみれば極めてこれは限定されています。
ガイドラインに照らし、これまでの場所も、移設先も、日本水連は、どのように評価なさっているのか、お聞きいたします。
■教育長
安全対策ガイドラインに照らし、日本水泳連盟は、オープンウオータースイミングのこれまでの場所や移設先についてどのように評価しているのか、とのお尋ねがございました。
日本水泳連盟の認定大会は、競技運営として、日本水泳連盟が定めた「オープンウオータースイミング競技規則」や「オ-プンウオータースイミシグ競技に関する安全対策ガイドライン」の遵守を原則とした大会であり、大会の開催にあたっては日本水泳連盟スタッフによる水質も含めた全体の確認のもとで開催をされております。
日本水泳連盟からは、浦ノ内湾の自然豊かな景観や、大会運営、地域イベントの同時開催など高い評価をいただいているとお聞きをしております。
また、本大会は桟橋からの飛込みスタート、タッチパネル板によるゴール形式で開催されている日本水泳連盟認定の唯一の大会であり、今年は日本最高峰の大会である日本選手権の予選会を兼ねた大会として実施をされております。
一方で、大会前の大雨によるごみや水質の悪化等で大会開催が危ぶまれる状況があったことから、須崎市からは、より水質の良い大嶋海岸に移転することでその間題を解消したいとお聞きをしております。
また来年は、国内トップ選手や海外のオリンピック有力選手を招聘して、大島地区で開催する予定とお聞きしております。
そのため、その大会の実現に向けて、桟橋の整備や歩道の拡幅工事など、開催に間に合うよう行う必要があるものと考えております。
●吉良県議
海上スポーツは、安全対策が極めて重要であり、コストもかかります。
ガイドラインにはライフセーバーは競技者20 名に対して1 名以上および、医師1 名以上を含む複数名からなる人員や水上オートバイ2 台以上、レスキューボート水上のライフセーバーの人数分のレスキューボート、安全救護用船舶1艇ほか、多岐にわたり対策を求めています。須崎の大会は参加者は年1日300名です。参加者が全員県外人としても参加料150万、県の説明資料から計算すると経済効果は430万円程度です。
これまで開催した須崎の大会の実績。県外参加者の数、大会にかかった費用、安全ガイドラインの実効状況について、お聞きいたします。
■教育長
これまで開催した須崎の大会における、県外参加者の数や大会に掛かった費用、安全対策ガイドラインの実行状況について、お尋ねがございました。
すさきオープンウオータースイミングは、平成26年から開催され、今年で3回目を数えていますが、第1回と第3回大会ではリオデジャネイロオリンピック8位入賞と活躍された平井康成選手を招待選手としてお迎えしております。
県外からの参加者については、第1回大会が168人中79人、第2回大会が258人中159人、第3回大会では291人中173人の参加者があり、年々増加をしております。
それぞれの大会経費につきましては、第1回大会が474万円、第2回大会が517万円、第3回大会となった今年は、決算前の概算で521万円となっております。このうち須崎市の負担は毎回200万円となっており、その他は参加費等でまかなわれております。
競技運営については、日本水泳連盟が策定した「オープンウオータースイミング競技に関する安全対策ガイドライン」の遵守を原則とした認定大会であり、適切な医事救護員や安全担当員を配置し、特に安全面に十分配慮した体制で実施をしているとお聞きしております。
●吉良県議
こうした資料を議案説明時に提示もなく、「構想」をすすめることがそもそも問題であるとかんがえられます。
この公式大会の運営費は主催者負担となっていますが、今後市が中心になって様々なイベントを主催したときに、同様な安全対策並びに費用負担が求められ、経済効果は県の予想より減るものと考えます。一体、この他に、どのような増員イベントや要素を予想されて、6000名増としたのか、お聞きいたします。
■教育長
公式大会の運営費は主催者負担となっているが、今後須崎市が中心になって様々なイベントを主催したときに、同様の安全対策および費用負担が求められ、経済効果は県の予想よりも減るのではないか、また何を根拠に県外客を6000人増と見込んだのか、とのお尋ねがございました。
浦ノ内湾の海洋スポーツの拠点整備における経済波及効果は、県外の観光客が本県に訪れることによって生じる宿泊費や飲食費をはじめとする一人当たりの県内消費額を参考として算出したものでございます。
議員からお話のありました、今後、須崎市が中心となって開催する様々なイベントに係る安全対策等の費用につきましては、参加費や協賛金で賄うことを想定していることから、経済効果に直接は影響は及ぼさないものと考えております。
次に、県外客の増加を見込む根拠についてでございますが、まずオープンウオータースイミング大会やジュニアカヌー大会などのスポーツ大会における規模拡大と、新たな大会の開催による効果や、こうした大会と連携して行う各種イベントによる相乗効果から増加が見込まれるものと考えております。
また、修学旅行や企業研修などにおける新たな体験プログラムの実施による効果に加え、スポーツ合宿において、関係施設や設備の機能強化による効果からの増加を見込んでおります。具体的な数字の積み上げに当たっては、これまでの大会やイベントにおける実際の増加数や、大学並びに高校からの聞き取り、修学旅行や企業研修誘致に関する新たな体験プログラムや須崎市の体制強化などをふまえて想定したものなどを基に合計で6000人の増と見込んでいるところでございます。
●吉良県議
次にカヌー競技についてお聞きします。
最初に混乱をさけるために、ドラゴンカヌーと言っているものは、国際標準では「ドラゴンボート」と規定され、カヌーとはまったく別物です。
構想されているカヌーのスプリント競技は、静かな水面、波や風の影響のない場所が敵地とされていますが、海上のコースであるうえ、200メートルと500メートのコースは坂内、1000メートルコースは、大島と分断されてしまいます。
他の場所に比して、誘致に適切と考えた理由をお聞きいたします。また、これまでのカヌー大会や合宿の実績はどうだったのか、これもお聞きいたします。
■教育長
カヌー競技について、坂内地区と大島地区が他の場所に比して、誘致に適切と考えた理由について、また、これまでのカヌー大会や合宿の実績はどうだったのか、とのお尋ねがございました。
須崎市浦ノ内湾は、高知国体でカヌー競技場として使用されましたが、これまでは、県内の高校生や小学生が参加するカヌー大会や四国ブロック大会の会場としての利用や、県のカヌー協会、県内高校カヌー部の合宿などでの利用に留まっております。
しかし、浦ノ内湾は内海であり、静穏度が高く、日本カヌー協会の役員によれば、カヌー競技には非常に適した地形であると聞いておりますし、気候が温暖で本県の新鮮な食材を 生かした料理を提供できるなど、合宿を行う上で多くの魅力的な条件を備えております。
また、大島地区に桟橋が整備されることで、合宿を行う際はコースの近くですぐに乗降ができるカヌー艇の発着場所として利用できますので、さらに魅力も増すことになります。
加えまして、大島地区に1000mのカヌーコースを整備することで、海上に1000mのカヌーコースが設置されている国内初のカヌー場となりますことから、本番を想定して実践的な練習に取り組める合宿地として、全国のカヌー競技団体や大学・高校・中学のカヌー部にアピールしていくこともできます。
またカヌー施設の専門家からは、こうした一連の施設整備が進めば、同じく海上コースで行われる東京オリンピック・パラリンピック大会の事前合宿地としても最適であるとの高い評価をいただいております。
●吉良県議
当然、全国のカヌー競技を実施している企業、大学、高校などのニーズ調査をし、開催地での取り組み実績などを調査し、需要が見込めるから構想をしたものと思いますが、
浦の内のコースに対する、これらカヌー関係者の調査結果、並びに、先進地の調査結果と比較検討などでの分析、結果はどうだったのかお聞きいたします。
■教育長
浦ノ内のコースに対するカヌー関係者の調査結果および先進地の調査結果と比較検討などの結果はどうだったのか、とのお尋ねがございました。
須崎市が中国・近畿地方のカヌー強豪高校や大学などに実施したニーズ調査では、移動距離の課題などがあげられたものの、施設整備が進めば、気候もいいので合宿を検討したいとの回答が半数近くありました。また、回答の中では、合宿実現のために期待する条件として、艇の貸し出しや長距離を漕げるコースなどの施設整備が重点項目として挙げられており、今回の整備計画に反映をしております。
また、須崎市が行った先進地の調査では、香川県府中湖力ヌー場、京都府久美浜カヌー場、来年国体のカヌー競技場である愛媛県鹿野川湖特設カヌー競技場を訪問し、カヌーコースの整備状況や設備の維持管理等について聞き取りを行い、整備に当たっての留意点や、維持管理の経費等について参考になるお話が開けております。
さらに、日本カヌー連盟、県カヌー連盟からの聞き取り超査では、1000mのカヌーコースが整備されれば、他の先進地と遜色がないと聞いております。
東京オリンピック・パラリンピックでは、新たに整備される海の森水上競技場が会場に決定しております。この海の森水上競技場は、今後、我が国のカヌー競技のメイン会場になることが想定されますので、海上での1000mという同じ条件を備えた浦ノ内湾のカヌー場は、合宿の誘致を行う上で優位性があるとのお話しも聞いております。
●吉良県議
県の説明では、県外からの年6000名の訪問増加が見込まれるとしていますが、説得ある根拠はまったく存在しません。
地元須崎市でも議論が開始されたばかりであり、須崎市には、イニシャルコストだけでなく、今後の海岸、施設の維持経費、安全対策の費用など多大な負担をももたらす構想であり、丁寧な議論が必要なことは論をまちません。
県が、海岸整備の実施設計予算を計上し、結果的に、須崎市に拙速な結論を急がせるような状況を作ってしまうことは避けるべきです。市議会や市民の審議と結論を待って予算提案をすべきと思うがお聞きいたします。
■土木部長
「須崎海洋スポーツパーク構想」について、県が海岸整備の実施設計予算を計上し、結果的に、須崎市に拙速な結論を急がせるような状況をつくってしまうことは避けるべきであり、市議会や市民の審議と結論を待って予算提案すべきではないかとのお尋ねがございました。
教育長が申しましたとおり、須崎市は、来年10月に開催される「すさきオープンウオータースイミング」の大会で、国内のトップ選手や海外のオリンピック有力選手を招へいして、大島地区で開催する予定です。
大島地区での開催にあたって、海岸でのアクセス道や遊歩道の拡幅、テントを設置するためのスペースなどが必要との要望を須崎市から、受けております。
来年の大会の開催までに、海岸の整備を終えるためには、来年1月から測量・設計を行う必要がございます。 そのため、今回提出している補正予算において、大嶋海岸の整備に必要な、測量や設計の費用を計上しているものでございます。
●吉良県議
さらに、須崎市では、整備のための辺地債、過疎債を活用した場合の交付税措置を除いた実質負担分の半分を県が負担する、という説明がされています。
県議会にもはからず、そうした約束を県がしているのか、お聞きいたします。
■教育長
須崎市では整備のための辺地債などを活用した場合の交付税措置を除いた実質負担分の半分を県が負担するという説明がされているが、県議会にも諮らずそのような約束をしているのか、とのお尋ねがございました。
「須崎海洋スポーツパーク構想」については、先ほど申し上げましたとおり、昨年より、須崎市と協議を重ねてまいりました。
このたび、具体的な整備計画について協議が整いましたので、須崎市においては、12月議会定例会で整備計画の説明を行うとともに、県においても産業振興土木委員会では、関連予算について、務委員会では、整備計画や須崎市が行う事業に対する今後の支擾の在り方についてもご報告することとしております。
須崎市においては、整備にあたって国の交付金や辺地債、過疎債を活用する計画であるとお聞きしておりますが、須崎市の実質負担に対する具体的な県の財政支援についても協議を進めているところでございます。
このことについては、今議会の総務委員会において、一定のご説明をさせていただきたいと考えておりますし、最終的には今後、県として関連予算を計上する中で、議会のご判断をいただくことになるものと考えております。
【性的マイノリティの問題】
●吉良県議
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、国際オリンピック委員会が、2014年12月の総会で、「オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込む」ことの決議後、最初の大会であり、性的マイノリティの人たちの人権と多様性の尊重に対する日本社会の取り組みが問われることになります。これは、憲法13条の「個人の尊重」、一般的な「人」ではなく、一人ひとり名前のある違いのある存在、「個人」として尊重されることの実践でもあります。
どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティ、少数者の人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、あるいは差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とはいえません。 とくに性的マイノリティをめぐっては、問題が、ふだんほとんど公然と語られることのない性意識・性行動にかかわる事柄であり、また、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しないために、〝最後のマイノリティ〟といわれていました。
ここにきてやっと日本でも、渋谷区パートナーシップ条例や大阪市淀川区の「支援宣言」などの先駆的な取り組みが見られるようになり、2015年3月には、超党派の国会議員による「LGBTに関する課題を考える議員連盟」が結成され、今年5月には野党4党による「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」の衆議院提出に続き、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」が「LGBT基本法案」を策定するなど、ここ2年間で、非常に大きな変化がうまれています。
まず性的マイノリティの問題についての認識を知事、教育長に伺います。
■知事
性的マイノリティの問題についての認識について、お尋ねがございました。
性的マイノリティの方々については 現在のところ、正確な調査が困難な面があり、数字にバラつきがあるものの、各種調査によりますと、国民に占める割合は、3%から8%などとも言われている状況にあります。
性的マイノリティの方々は、学校や職場、社会生活などにおいて、いじめや差別などの対象とされやすい現実にあるなど、社会の理解は必ずしも進んでいない状況にあるのではないかと思います。
今後は、国をはじめ社会全体で性的マイノリティに関する広く正しい理解の増進に向けて取り組んでいく必要があるものと考えております。
■教育長
性的マイノリティの問題についての認識について、お尋ねがございました。
社会の中には、いわゆるLGBTに該当する性的マイノリティの方々が一定数おられます。こういった方々に対する差別的な取扱いについては、現在では、不当なことであるという認識が広がってはいますが、いまだ偏見や差別が起きているのか現状だと思います。
そのような状況のなか、学校教育の場においても、偏見や差別により、性的マイノリティの児童生徒がいじめを受けたり、悩んだ末に自殺を考えてしまうような心配があることから、学校の中でこういった児童生徒へのきめ細かな配慮や対応が必要であると考えております。
そのために、県教育委員会といたしましては、生徒指導や人権教育を推進することを通して、いかなる理由でもいじめや差別を許さない、児童生徒一人一人の人権が尊重された学校・学級づくりを進めるとともに、悩みや不安を抱えた児童生徒が相談できる環境づくりに取り組んでまいりました。その中で、性的マイノリティの問題に関しては、教職員に対して適切な理解を促進するための研修を実施するとともに、性同一性障害に係る児童生徒への対応について、必要な助言等を行ってまいりました。今後、さらにそれらの取組を進め、性的マイノリティの児童生徒が安心・安全に過ごせる学校づくりに努めてまいりまいります。
次に、性的マイノリティの問題について、「高知県人権教育推進プラン」に位置付けることが必要と思うがどうか、とのお尋ねがございました。
「高知県人権教育推進プラン」では、性的マイノリティに関する具体的な位置付けはしておりませんが、そういった児童生徒を含め、一人一人の人権が尊重された学校経営や学級経営、生徒指導や学習指導の充実を図ることを明記しております。
また、平成24年3月に作成し、すべての教員に配付した人権教育指導資料(学校教育編)「Let’s feelじんけん」のなかで、性同一性障害を取り上げ、現状と課題、取組の方向性を示しております。この資料については、教員が人権教育を基盤とした日々の学級経営や授業づくりに活用するとともに、教員の年次研修や人権教育主任を対象とした研修、学校での教職員研修等で活用されております。
現在、この「Let’s feelじんけん」の改訂に着手をしており、内容を見直すなかで、性同一性障害だけでなく、性的マイノリティ全般に関する内容についても盛り込んだうえで、来年度にはすべての教員に配付をしたいと考えております。
●吉良県議
性的マイノリティの方は20人に1人ともいわれ、決して少数ではありません。岩手県高等学校教育研究会学校保健部会の「高校生の性と性に関する調査」〔2013年〕では、6.1%の生徒が、身体の性と心の性の“不一致”“違和”を感じていると報告されています。
「まわりにいない」と感じるのは、当事者が安心して声に出せない環境にある証左と受け止める必要があります。2015年8月、一ツ橋大学法科大学院で男子学生の飛び降り自殺事件がありました。自殺した学生が男子同級生に恋愛感情を告白し、告白された同級生がラインで一方的に事実を公表したことに衝撃をうけ、傷ついた学生は大学の相談室に行き相談するも、まともに対応してもらえず自殺に至った事件でした。無理解・無知からくる悲劇としかいいようがありません。
日高庸晴(やすはる)宝塚大学看護学部准教授は、男性の同性愛者の自殺未遂率が異性愛者の6倍〔「都会の若者の自殺未遂経験割合とその関連要因」08年、「ゲイ・バイセクシャル男性のインターネット調査」05年 自殺を考えた65%、自殺未遂14%〕に達することを明らかにしました。
この研究は政府が策定する「自殺総合対策大綱」にも大きな影響を与え、2012年に、「自殺を予防するための当面の重点施策」と明記され、「教職員に対する普及啓発の実施」として「自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の1つと捉えて、教職員の理解を促進する」がかがけられました。
それを受けて、文科省は2015年4月30日、「性同一性障害に係わる児童生徒に対するきめ細かな対応の実施について」との通知を出しています。
高知県教委が高校入試において、性自認にもとづく対応を行ったことは評価されます。しかし、関連すると思われる計画を調べてみましたが、2016年3月策定の「こうち男女共同参画プラン」「高知県教育大綱」、2014年3月「自殺対策行動計画」には、性的マイノリティに関する記述は全くありません。
今年3月改定された「人権教育推進プラン」も、巻末資料の「県民に身近な人権課題についての推進方針」の中で、「その他の人権課題」として「アイヌの人々、刑を終えて出所した人、北朝鮮当局による拉致問題等、性的指向、ホームレス、性同一性障害、人身取引、他の人権課題、(様々なハラスメント問題や自死遺族に対する人権侵害、プライバシー保護など)」として記載があるだけです。昨年度の取り組みはラジオCMを、1週間流したことが示されているだけです。
人権意識の高まりと時代の要請をしっかり受け止め、それぞれのプランや大綱、行動計画に位置づけることが必要と思いますが、知事、教育長に伺います。
■知事
人権意識の高まりと時代の要請をしっかり受け止め、 「こうち男女共同参画プラン」や「高知県教育大綱」などに位置付けることが必要と思うがどうか、とのお尋ねがございました。
「こうち男女共同参画プラン」につきましては、「男女の個人としての尊厳が重んじられること」、また「性別による差別的な取り扱いを受けないこと」を基本理念として掲げており、 当該理念には性的マイノリティの方も含まれることから、正しい理解と認識を深めるための啓発を行っております。
また、この理念のもと、本年度改定作業に取り組んでおります「第3次高知県DV被害者支援計画上につきましては、性的マイノリティの方への対応を新たに明記することとしております。
「高知県教育大綱」につきましても、性的マイノリティの児童生徒も含めた、一人一人の人権が尊重される学校・学級づくりを推進することとしております。
さらには、本年度改定作業に取り組んでおります「第2期高知県自殺対策行動計画」につきましても、性的マイノリティの方に対する対策を明記する方向で検討を進めているところであります。
●吉良県議
職員、教員への研修や住民の啓発などを進め、理解者を育成するとともに、具体的にすぐ改善に着手できるものもあります。
行政の書類、申請書に、不必要な性別欄をなくすことです。堺市では148件の申請書等から性別欄をなくしています。図書館利用をスムーズにするために、通称での図書館利用カード作成です。仙台市では、通常の宛名が記された郵便、領収書の提示により作成、カードを策定することです。トイレの改善です。多目的トイレの設置推進と、障害者用、「車イス」マークなどから「どなたでも利用できます」と記述を変えること。相談窓口の充実、民間企業における配慮の取組みを紹介なども求められるところです。
また、災害時の避難所運営の配慮についても重要です。災害時に直面する問題や対応策をまとめた「にじいろ防災ガイド」が、高知県内でLGBTを支援するNPO法人「高知ヘルプデスク」と盛岡市の「岩手レインボー・ネットワーク」の協力で作成されています。当事者の声が反映されており、県として、こうした声をしっかり生かす取り組みが重要となってきます。
マイノリティといわれる人たちが暮らしやすいほど、その社会のすべての構成員にとっても暮らしやすい社会となります。それは、県が掲げる移住・定住促進、観光振興にとっても重要です。
例示した中で、本県としてできることはないのかお聞きします。また、今後、行動計画を立て、できる所から着手し、また、市町村とも共同して、総合的に推進すべきだと考えますが、お聞きいたします。
■知事
トイレの改善など本県としてできることはないのか。また、今後、行動計画を立て、できるところから着手し、市町村とも共同して、総合的に推進すべきではないか、とのお尋ねがございました。
トイレの改善につきましては、「ひとにやさしいまちづくり条例」により、一定の要件を満たす建築物には多目的トイレの設置を義務付けるとともに、「誰でも使用できること」と表示することとしております。
また、相談体制の充実につきましても、「第3次高知県DV被害者支援計画」に位置付けることとし、性的マイノリティの方からの相談にも対応できるよう人材育成に取り組むこととしております。
災害時の避難所での配慮につきましては現在、地域地域で進めている避難所運営マニュアル作成の取組の参考として、「にじいろ防災ガイド」を紹介し、性的マイノリティの方への災害時の対応について理解を進めていただくこととしております。
性的マイノリティの問題につきましては、県民の方々に広く正しい理解が進み、多様なあり方をお互いに受け止め合う社会づくりが大切だと考えております。
また、国におきましては本年、政府要望や法案提出などの大きな動きがありましたことから、今後におきましては、こうした国の動向を注視しつつ先ずは、県民の理解を深めるための啓発に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
■教育長
性的マイノリティの問題について、本県としてできる具体的なことはないのか、また、今後、行動計画を立て、総合的に推進すべきではないか、とのお尋ねがございました。
性的マイノリティの問題への対応として、お話しにありましたことのうち、トイレについては、「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」に基づき、教育関係施設を新築や増改築する場合には、多目的トイレを設置するよう取り組んでおります。
また、相談窓口の充実については、心の教育センターの機能を強化していく中で、性的マイノリティに関する相談に対しても充実した対応ができるよう努めてまいります。
このほかにも、できることがないか、なお検討してまいりたいと思います。
行動計画等につきましては、国会において、与野党それぞれから性的マイノリティの問題に関する立法化への動きがありますことから、その動向を見ながら、知事部局と連携して対処してまいりたいと考えております。
【特別支援教育の充実】
●吉良県議
この間発達障害の子どもたちの増加などにより、高知県でも全国でも特別支援学校の大規模・過密化が重大な問題となってきており、その解消が緊急に求められています。
例えば県立山田養護学校の児童生徒数は、田野分校を除いて、本校だけで165人となっています。平成元年と比べ1.3倍、41人の増であり、児童生徒が最も少なかった平成8年88人と比べ1.47倍、53人増となっています。
こうした学校の大規模・過密化によって普通教室が不足し、作業学習などのための特別教室を普通教室に変更したり、クールダウンに必要なスペースを十分確保できないなど深刻な現状が広がっています。そして先生も、教室も足りなくて1クラス6人の基準を超えて、7人、8人のクラスが増えるなど、子どもたちと先生に大変な負担と犠牲を押しつけています。
2015年10月の文科省の調査では、全国の特別支援学校で3622の教室が不足している、としています。
高知県の大規模・過密化の実態についての認識、また教室不足の状況について、教育長にお伺いいたします。
■教育長
特別支援教育に関し、まず、本県の特別支援学校の大規模・過密化の実態についての認識と教室不足の状況について、お尋ねがございました。
本県においても、全国的な傾向と同様に、平成15年頃から知的障害特別支援学校の児童生徒数が増加し狭隘化の状況がありました。そのため、平成23年度に、東部地域に山田養護学校田野分校を、高知市内には日高養護学校高知みかづき分校を開校し、狭隘化の解消を図るとともに、それぞれ特色ある学校づくりを推進をしております。
その後、知的障害特別支援学校本校の児童生徒数は減少傾向に転じておりましたが、本年度、山田養護学校については、小中学部への入学者が例年に比べて多かったことから、児童生徒数が増加をしております。今後は、少子化が進んでいることや、共生社会の実現を目指したインクルーシブ教育も推進されるため、児童生徒数の動向については慎重に見極めていく必要があると考えております。
次に、県立特別支援学校の教室の確保については各学校に対する平成28年10月の調査において、普通教室が1校で 1教室、特別教室が2校で1教室ずつが整備を希望する教室として報告されておりますが、そのような報告のあった学校においても、児童生徒の状況等に応じてより教育効果があがるよう工夫するなど、教育環境の整備を行い、教育活動に支障が生じないよう対応しております。
また、教員については、国の学級編制基準に基づいた学級数や、児童生徒の実態などに基づき必要な人数を配置し、対応しております。
なお、多人数で学習を行うこともありますが、それは教員や教室が不足をしているという理由ではなく、集団の確保や学習効果など、教育的な配慮から、学年や学級を合わせた集団で学習を行っているものでございます。その場合も、チームティーチングの形をとって、適切な人数の教員を配置をしております。
●吉良県議
文科省の公立学校施設実態調査報告にもとづいて、特別支援学校における国庫補助基準の校舎必要面積と保有面積が示されています。
障害区分ごとに、在籍する生徒数、学級数に応じてその面積が算出されます。特別支援学校には施設基準はありませんが、この国庫補助をする際に国が、児童生徒の数に応じて、あるべき広さとして考えている面積といえます。必要面積と保有面積の差を「資格面積」といいますが、国による一部補助の予算措置ができる面積であります。高知県の必要面積と保有面積の割合は、小中学部は、47994㎡分の27146㎡、充足率57%です。高等部は、31715㎡分の218344㎡、充足率は69%となっています。
こうした制度を活用して、特別支援学校の大規模・過密化の解消に急いで踏み出すべきと考えますが、教育長の見解をお聞きいたします。
■教育長
国の補助制度を活用した大規模、過密化解消について、お尋ねがございました。
先ほど申し上げましたとおり、共生社会の実現に向け、障害のある子どもと障害のない子どもが共に同じ場で学ぶことを指向するインクルーシブ教育が、今後一層推進されることから、知的障害特別支援学校の児童生徒数の推移については、慎重に見極めなければならないと考えております。
その一方で、障害のある子どもの教育のために、児童生徒数や障害の実態などに応じて、より望ましい教育環境を整備し、適切に対応することは、県の責任でございますので、今後、施設整備が必要な状況になれば国の補助制度についても積極的に活用してまいります。
●吉良県議
あわせて、特別支援学校の施設基準の制定と、大規模・過密化解消のための補助制度の充実を国に働きかけることが必要だと考えるものですが、教育長にお聞きいたします。
■教育長
特別支援学校の施設基準の制定と、大規模・過密化解消のための補助制度の充実を国に働きかけることについて、お尋ねがございました。
現在、特別支援学校の整備に当たっては、国が示している 「特別支援学校施設整備指針」や「特別支援学校の在籍児童生徒の増加に伴う大規模化・狭隘化への対応について」の通知等に留意しつつ、児童生徒の実態や地域の実情に沿って、教育環境の充実を図っております。このことによって、これまでのところ特段の支障はございませんので、直ちに「特別支援学校設置基準」を作るよう国に求めなければならない状況にはないものと考えております。
施設・設備の充実のための補助制度につきましては、現在の補助率や補助基準は一定のレベルにあると考えておりますが、なお今後の状況によっては要望することも検討してまいります。
●吉良県議
次に、特別支援学級の学級編制基準の引き下げ、改善についてお聞きいたします。
知的障害、肢体不自由、自閉症・情緒障害など障害の種別によって、特別支援学級が編制されています。5月現在で571学級1469人の子どもたちが、小、中学校で学んでいます。しかし、1学級8人編制では、学年が違い、同じ障害でも一人ひとりの個性、発達段階に違いがあり、行き届いた教育が大変困難となっています。
お隣の愛媛県では、自閉症・情緒障害児学級だけではありますが、県独自に国の1学級8人から5人編制へと改善しています。全国にもいくつか先進事例があるとお聞しております。
国に対して、学級編制基準の引き下げ、改善を強く求めると共に、他県に学び当面県独自に改善を急ぐべきだと考えますが、教育長に決意も含めてお伺いいたします。
■教育長
最後に、国に対して、特別支援学級に係る学級編制基準の引き下げや改善を求めること、また、県独自の改善について、お尋ねがございました。
本県における特別支援学級の編制基準は、国と同様に児童生徒8名を上限として1学級を編制することとしております。
一方、近年、児童生徒の障害の状況も多様化傾向にあり、加えて、特別な支援を必要とする子どもが増加傾向にあります。そういったことから、県教育委員会では、教員の特別支援教育についての専門性の向上に努めるとともに、児童生徒支援加配等の教員定数を確保し、それぞれの学校の実情に合わせて定数措置を行っているところです。
また、市町村教育委員会においても、特別支援教育支援員を雇用するなど適切な指導及び支援のための体制の充実に努めていただいているところでございます。
本県においては、特別支援教育の充実に加えて、学力問題や生徒指導上の問題など教育課題の解決のために、国の加配定数の活用に加え、県単独でも一定数の加配措置を行ってきておりますが、県単独でこれ以上の定数措置を拡大していくことは厳しいものがございます。
このため、今後も特別支援教育の一層の充実に向けて、国の加配定数の確保に努めると同時に、引き続き、国に対して特別支援学級の編制基準の見直しを、全国都道府県教育長協議会や教育委員協議会等とともに要望してまいりたいと考えております。
【第二問】
●吉良県議
知事にお聞きした、いわゆるリマ海域を含む土佐湾沖の訓練の空域設定の問題ですけれども、この空域の設定そのものが、安保法制強化から1年経って、そして基地再編強化のガイドラインが4月に結ばれて、その一環での空域の設定だったんですね。
知事が言うように、そのことによって安全保障環境が向上したのかということが問われると思うんです。知事は安全保障環境に鑑みればやむを得ないというふうにおっしゃっているんです。
事実をみますと、北朝鮮は今年になって1月、9月、2回も核実験をやっているんです。1年に2回の核実験を行ったのはこれは初めてです。弾道ミサイルの発射実験は今年に入ってすでに20発を超えて、安倍首相が言うような北朝鮮問題で日米の連携が深まって効果があったというようなことはないんですね。それから中国も同様に、この6月9日に軍事艦船フリーゲート艦が初めて尖閣諸島の接続水域に侵入して、8月には大量の漁船と警備艇が領海侵犯を繰り返しています。しかも、南シナ海でも埋め立てがすすめられ、施設建設もすすめられて、軍事演習まで行うという。
これで日米の連携で、そして空域を設定して、安全保障環境が向上したかというと、この事実で見る限り、何の役にも立っていないと私は思います。ですから、知事が言う安全保障環境に鑑みればということはあたらないのではないかと思うわけですね。
9月19日に朝日も、安保法の最大の狙いである抑止力強化による効果ははっきりと見えていないのが実情だと、そして多くの国民も安保法制でむしろ海外の紛争に巻き込まれる危険が高まったが59.9%と考えており、危険が高まったとは思わないというのが27.1%、これ時事通信8月12日に発表しています。
安倍政権の安保法制路線が役に立っていないと、そのための空域の拡大ということがあれば、県漁連ももうリマ海域は撤去と言っている訳ですから、この事実をどう知事はお考えなのかと、そしてもしこれが効果がないということになれば、別の方法をとって安全保障環境を向上させるということも考えるべきだと思いますけれども、ご所見をお伺いします。
■知事
リマ空域における訓練の問題についてでありますが、先程、吉良委員が言われたこともまたひとつのご見識化とも思いますけれども、私はやや考えが違うところがありまして、一言でいえば安保法制がなくなれば、もっと言えばこういう形での訓練をしなければ、北朝鮮があのような行動をしないのか、中国が海洋進出行動をしないのか、そんなことは決してないだろうと、そのように思います。
どうであれ、一定の動機を持って、内発的動機を持って、北朝鮮はあのような行動をしているのであって、中国も海洋進出を進めているのであって、その中においてわが国の安全保障をどのように守っていくのかということを考えなければならないということだろうと、そのように思っています。
そういう点において、わが国がわが国の安全保障を確実に守るということについて毅然とした意志を示す必要があります。そして、米軍と共に日米安全保障条約に基づいて、これを果たしていくということを毅然として意志として示していくことが大事であり、また具体の行動があって、そして日々の訓練をしていくことが大事なのだと私は思っておりまして、このリマ空域の問題につきましては、先程私が答弁した通りであります。
●吉良県議
今回の墜落事件ですけれど、亡くなったジェイク・フェデリック大尉は、星条旗新聞がいまもユーチューブで見られるんですけれども、5分ほどのPR動画を出しているんですよ。その主役として出ている方です。相当優れたパイロットだったというふうに思います。
先に述べたように、このホーネットが随分アメリカ国内でも事故を起こしている訳なんですね。そのことを考えると、パイロットの腕も良かったと考えると、どうもこの機種自体の欠陥があるということも考えなければいけないと思います。だからこのまま原因究明なしに危険な低空飛行を始めとする訓練をホーネットで行うということは、何よりも事故死した米兵の命を顧みない、優秀な方だと思いますけれど、ないがしろにする非人道的な措置であると思います。そして、そのパイロット、その下で暮らす我々国民の命をも危険にさらすことにもつながるということで、ここは知事、オレンジルートでの訓練は原因究明するまでは中止してほしいとおっしゃっておりますけれども、一歩踏み込んで、この機種も原因究明されるまでは訓練飛行を中止するよう日米両政府に求めたらどうかと思いますがいかがでしょうか。
■知事
ホーネットの事故についてということであります。機種自体に欠陥があるので、この機種全体を飛行停止にすべきではないかというご意見でありますけれども、このFA18ホーネットについては、ご案内のように随分古い機種といいますか、長年使われてきた機材でありまして、そういう意味においては一定安全性を確保して飛んできた機体ということだろうと思います。しかしながら今回、事故が起きました。おそらく訓練中において、何らかの負荷がかかった中において事故を起こしたということではないのかということであります。
やはり、そのような状況を考えました時に、特に危険性の高い、住家のうえでの低空での飛行などという訓練を欠陥があるかも知れない飛行機でやることはやめてほしいというそういう話を申し上げているということであります。
すべて一律にするかどうか、ある意味、これはバランス感覚を持って判断しなければならないことだと思いますが、すべて一律を停止することは、私はこれはある意味、そのような訓練をしなくなること自体が安全保障環境に鑑みれば危険だと私は思っています。そちらの危険と合わせて鑑みないといけないとそういうことかなと思っていまして、私はこの低空飛行訓練の停止をということを求めるというこが一番最適な判断ではないかと考えたところでございます。
●吉良県議
次は原発ですけれど、知事のおっしゃることをお聞きすると、なんか原子力規制委員会待ちだと、独自で調べることはしないということなんで、これはなかなか原発ゼロということは難しいと思います。
なぜかといいますと、この間、福井県の美浜3号機、国会での質問を見ますと、規制委員会と関電はこの蒸気発生器伝熱管の耐震計画について、ほんのこないだですよ、古い規格、1984年版に基づいて審査を申請したと、しかし新しい規格では不合格となる、そのことが分かっていながらわざと古い規格に基づいて耐震評価を行って規制委員会は判定のやり方を黙認して古い規格に基づき合格させたのではないかということが、わが党の藤野保史議員の追求で明らかになった。これはしどろもどろで、答弁不能になっているんですよ。だから、原子力規制委員会がこの新しい知見として認めるとそれを取り上げて四国電力にということなんですが、それでは遅いですよ。やはり、学会でも報告しているんです、10人の先生方もこれについて同意見だと言っているわけです。ですからやはり独自に呼んで、もう一度きちんとその話も伺って対策を取っていくということが、安全対策上、非常に重要ではないかと思いますので、これについてもさらにご意見をいただきたいと思います。
■知事
確かに、原子力規制員会が取り上げないからという故にもってして、私どもも勉強会で取り上げないということではそれは決してございません。しかしながら、先程の断層帯の位置の議論については、地震調査委員会においてもまだ取り上げられる知見とはなってはいないところでありまして、やはりこの地震の専門家みなさま方のご意見の中において、これがやはりひとつ仮説として成り立つのではないかという形になってくれば、それは当然それについての対策も考えてみたらどうですかという疑問をぶつけていくということになっていくんだろうと思っています。
ですから、そこは一定、何委員会がどうだからどうということではなくて、やはりそこは議論の確からしさ、その程度を見て判断をさせていただきたいとそのように考えております。
●吉良県議
須崎のことですけれども、担当の方に聞いたんですけれど、1ヶ月半前にきて大慌てだと、現地、須崎市の方も唐突でなんてことを言っているわけですね。熟度低いです。もっと精査して対応するべきではないかと思います。
地元の方々も、そういう内容については全然聞いてないと、海岸の整備ということでは、砂を入れてくれということはあったけれど、こういうことは初めてだということもおっしゃっておりますので、これはやはり市議会の決定があっても遅くはないと思いますが、再度これについて知事のご所見を伺いたいと思います。
■知事
私は、これは一石二鳥、三鳥に至る、極めていい計画だと。最初、市長さんからお話をお伺いした時からそのように思っています。
唐突だと言われますが、これは「すさきがすきさ産業振興計画」の段階からそういう構想があって、今年の3月にも産業振興計画の地域アクションプランに計上してという形で議論を積み重ねてきたものでありまして、私は決してそのような唐突感のある提案ということではないのではないかと思います。
ただ、位置が変更にされたりなどということが確かにあったことは確かだろうとそのように思います。ですからその点について、色々とまだ議論も重ねなければならない点もあるだろうということでスピード感を持った議論を重ねてまいったつもりです。
来年の秋において、仮に世界的な有名選手を招いた大会が出来るということとなれば、後々においてこの須崎の浦ノ内の名を世界に知らしめることが出来て、この地域においての振興、交流人口の拡大という形での振興、さらには若い人を残すことが出来るという意味においての振興、さらには教育効果、色々なよい効果をもたらすんだとそのように考えております。ぜひ、そのような機会もあることですから、スピード感を持って検討を重ねて対応していくということが大事だと考え、今回、議案を提出させていただいているということです。
●吉良県議
最後に、質問ではありませんけれど、TPPについて、自由貿易か保護貿易かというようなことをおっしゃっていますけれども、私が言っているのはそういうことではないんです。
誰のための自由なのかと、食料主権まで奪っていくような自由、あるいは国民を守るための規制までとっぱらっていく自由、その自由貿易はダメだということを申し上げたということを最後に付け加えまして、すべての質問を終わります。