議会報告

【質問項目】

1、知事の政治姿勢/平和行政

2、知事の政治姿勢/合区問題

3、知事の政治姿勢/原発

4、介護保険制度

5、地域医療構想

6、教職員の多忙化

7、「オーテピア」の多目的広場

 

 

【知事の政治姿勢/平和行政】

●塚地県議

平和行政について、知事にお伺いいたします。

本年99日、北朝鮮は、核実験を強行いたしました。北朝鮮による核実験の強行は5回目であり、この間繰り返された弾道ミサイル発射とともに、世界の平和と安定にとって重大な脅威であり、北朝鮮の核・ミサイル開発の放棄を求めた累次の国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙であり、日本共産党は、この無法な暴挙を厳しく糾弾するものです。核・ミサイル開発を放棄させるため、北朝鮮を6カ国協議の対話のテーブルにつかせることは、いよいよ急務となっています。そのために、国際社会が一致結束して、政治的・外交的努力を抜本的に強めることを強く求めるものです。

 核の恐怖をなくすために、核兵器全面禁止に、国際社会が具体的行動に踏み出すことが切実にもとめられています。昨年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、条約に加わる約8割以上の国が、核兵器は非人道的として、全面廃絶を訴える共同声明を発表いたしました。この8月には、「核兵器のない世界」を実現するための法的措置を議論してきた国連の作業部会が、核兵器禁止条約などの交渉を来年から始めるよう国連総会に勧告する報告書を採択をいたしました。

国連総会は20年にわたって、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議を、加盟国の7割以上の賛成で採択してきました。しかし、核保有国の反対などで、条約の交渉も議論も始まっていません。同報告は、核軍縮交渉の「停滞」を打破するために、今年2月から100カ国以上が参加して、議論を重ねて、採択されたもので、核兵器禁止にむけた重要な一歩となりうるものです。

 県としては「平和行政の推進は県の職務」と位置づけて、県庁玄関ホールでの原爆パネル展の実施、ビキニ被爆への対策などにも努力をされてきているところです。

今回、国連の作業部会が核兵器禁止条約の交渉開始を勧告したことについてどう評価されるのか。また、核兵器廃絶にむけた知事の認識、決意についてお伺いをいたします。。

 

■知事

今回、国連の作業部会が、核兵器禁止条約の交渉開始を勧告したことについて、どう評価するのか、また、核兵器廃絶にむけた認識、決意について、お尋ねがございました。

核兵器の廃絶は、国家間で取り組むべき重要な課題であり、世界人類共通の願いであると考えております。

 本年8月に開催された核軍縮に関する国連作業部会において、核兵器禁止条約の交渉を2017年から始めるよう勧告する報告書が採択されました。これは、核兵器の廃絶に向けて議論する大きな転換点につながるのではないかと考えております。

 一方、核兵器保有国の米国、ロシア、中国などが作業部会に参加していないことや、採択が多数決となり各国の総意としての全会一致にならなかった点は、残念ですし、あらためて核兵器廃絶に向けた議論の困難さが浮き彫りになったのではないかと思います。

 今後、議論の舞台は国連総会に移りますが、核兵器保有国も加わった形で議論がスタートできるよう、政府には、核兵器保有国と非保有国の橋渡し役を担っていただくことを期待したいと考えております。

 他方、本県では、核兵器の廃絶を強く訴え、全面撤廃を推進するため、県議会において昭和59年に非核平和高知県宣言が、平成9年には高知県の港湾における非核平和利用に関する決議がなされておりますので、今後とも、県議会の決議を尊重しながら、県としての平和行政をしっかりと推進してまいりたいと考えておるところであります。

 

●塚地県議

 きわめて残念なのが、日本政府の姿勢です。作業部会は、満場一致での報告採択をめざしましたが、アメリカの同盟国などが、核兵器禁止条約の交渉開始に異議をとなえ、多数決となりました。賛成68、反対22、棄権13。日本政府も、禁止条約に反対をし、報告の採決では棄権するという態度をとりました。核爆弾攻撃による唯一の被爆国の政府でありながら、核保有国の代弁者ともいうべきその発言と対応は、他国から厳しい批判を浴び、国際的に孤立する姿をさらしてしまいました。

オバマ大統領の広島訪問を「成果」のように言われていますが、オバマ大統領は訪問の直前に、今後30年間で1兆ドルを投じる核兵器の「再生計画」を承認し、使える核兵器への道を進もうとしていますが、そのことをまったく不問にしています。それだけでなく、核兵器を保有し、核不拡散条約未加盟のインドに対し、原発輸出に踏み出すという行為は、日本政府が重視してきたNPT体制すら自ら掘り崩すところまでふみ出してしまっています。

日本政府の姿勢は、核保有国の声を代弁するもので、被爆者や世界の核兵器廃絶の大きな流れと相容れないものと思いますが、お聞きをいたします。

 

■知事

日本政府の姿勢は、核保有国の声を代弁するもので、被爆者や世界の核兵器廃絶の大きな流れと相容れないのではないか、とのお尋ねがありました。

 我が国は、世界で唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の核軍縮・不拡散の取組みを主導する必要があると考えております。

 政府は、1994年以来毎年、国連総会に核廃絶決議案を提出しており、核兵器保有国を含む幅広い立場の国々から圧倒的多数の賛成を得て採択されております。

 また、2013年以降、核拡散防止条約、いわゆるNPTの再検討会議や国連総会で相次ぎ発表してきた核兵器の不使用を求める共同声明にも名を連ねるなど、我が国の核廃絶に向けた取り組みはゆるぎないものと認識しております。

 一方、日本は核兵器保有国と非保有国との橋渡し役としての立場から、核兵器の廃絶には保有国と非保有国の双方の協力が不可欠であり、保有国の協力が得られない中で交渉を開始すれば、双方の分断が生まれるとの判断から、今回の作業部会では棄権という対応を取られたものと思われます。

 政府においては、唯一の被爆国として、今後とも核兵器廃絶を目指して、国際社会における積極的なリーダーシップを発揮していただきたいと考えておるところであります。

 

●塚地県議

平和行政の2点目として、米軍機訓練空域の新設について伺います。

 神奈川県米軍厚木基地の空母艦載機59機が来年をめどに山口県の岩国基地へ移駐するのに伴い、日本政府が20161110日から四国沖と山陰沖に、事前申請に基づく新たな米軍訓練空域を設定することが全国各紙や地元紙でも報道されています。

国交省航空局によると新たな訓練空域は山陰沖と四国沖に位置し、ともに自衛隊が特別な演習などで使用する臨時訓練空域内に設定され、四国沖は、米軍も使用している自衛隊専用の「L空域」を囲むエリアに拡大されることになります。今回設定される「臨時留保空域」は、新たな空域種別で、飛行する場合はそのたびに事前申請と国交省の承認が必要であり、米軍のほか、自衛隊や民間機も使用でき、空域内は民間の航空路と近接するため、使用範囲と高度が細分化をされ、四国沖は16区域、高度は4段階で設定されるとのことで、国交省の航空交通管理センターが管轄することとなっています。

県には、政府からどのような説明がなされたのかお伺いをいたします。

 

■知事

米軍機訓練空域の新設について、県には、政府からどのような説明がなされたのか、お尋ねがありました。

 米軍厚木基地の空母艦載機の岩国基地への移駐については、日米安全保障協議委員会、いわゆる「2プラス2」による2006年のロードマップ及び2013年の共同発表で、必要な施設の完成や訓練空域の調整等が行われたのち、2017年頃までに完了することで合意されております。

 今回、四国沖に新たに設定された訓練空域は、この合意に基づき調整されたもので、1110日から運用が開始されるものと承知しております。

このことについて、事前に政府からの説明はございませんでしたが、新聞報道後に国土交通省航空局に事実関係について確認し、説明を受けたところでございます。

その中で、航空局からは、①今回の訓練空域は、リマ及びL空域を含んだ新しい空域を作ったものであること、②今回の訓練空域については、米軍、自衛隊が使用するエリアを航空局に申請して承認を受けることになること、③これまで、リマ、L空域では、訓練を実施することの通知のみが航空局にされていたが、新しい空域では申請・承認の手続きをとるため使用状況を把握することが可能になること、

といった内容の説明を受けたところでございます。

また、岩国基地と訓練空域間の飛行については、民間舵空の安全確保も考慮し一定の高度以上で飛行することとなる、とのことでございました。

 新たな訓練空域の設定により、本県にどのような影響があるのか、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

 これまでも本県は、米軍機の低空飛行訓練で、県民の命、生活が脅かされ、県としても、県議会決議でもその中止を求めてきたところですが、今回の「臨時留保空域」の設定によって、四国沖で米軍戦闘機の訓練が増え、同時に、低空飛行訓練の増加が懸念をされるところです。

64日の朝日新聞夕刊は、現在厚木基地に配備されている空母艦載機部隊の空母着艦訓練について「大島沖での訓練は着艦資格取得訓練(CQ)と呼ばれ、洋上の空母を使って3ないし4日間実施される。これまでは部隊の岩国移駐後も、CQは大島沖で続けられるとみられていた。CQでは艦載機が深夜、空母と厚木基地との間を頻繁に往復するため、基地周辺住民からは苦情が出ていた」と報じています。

岩国基地と空母を往復する飛行の増加とそれに伴う低空飛行訓練の増加、また四国沖での着艦資格取得訓練が展開される懸念も払拭できません。先日の米軍機の沖縄沖合での墜落事故で、県民の中には更なる不安が広がっています。

米軍機の訓練空域の拡大による県民生活への影響をどうとらえておられるのか。低空飛行訓練の中止の対応もなされないままでの、訓練空域拡大には反対の意思を示すべきではないか、お聞きをいたします。

 

■知事

米軍機の訓練空域の拡大による県民生活への影響をどう捉えているのか、また、低空飛行訓練の中止の対応もなされないままでの、訓練空域拡大には反対の意思を示すべきだと考えるがどうか、とのお尋ねがありました。

 私は、四国沖に新しい訓練空域ができること自体については、近年の北朝鮮による核・ミサイル開発の進展など、国際的な安全保障環境に鑑みれば、やむを得ないものだと考えております。

 ただし、仮に、嶺北地域を中心とした、いわゆるオレンジルートなどでの超低空の飛行訓練が増加し、県民生活に重大な影響が及ぶことがあれば、県としてしっかりと米側に是正の要請を行いたいと考えているところでございます。

 

●塚地県議

 低空飛行訓練などの無法が県民の声を無視して強行されるのは、日米地位協定に原因があります。20157月に、米軍基地のある北海道、東京、神奈川、広島、山口、沖縄など14の都道県でつくる「渉外知事会」が、「基地対策に関する要望書」を政府に提出し、地位協定の改定を求めています。要望書は「日米地位協定は、昭和35年に締結されて以来、50年以上もの間、改定されていない」「運用改善で対応できるものは積極的に取組むべきと考えるが、米軍基地に起因する環境問題、事件・事故等を抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考える」とし、「低空飛行訓練」に関するものでは「騒音軽減及び飛行運用に係る条項の新設」を求め、その理由として、米軍飛行場周辺や飛行ルート下の住民は、飛行訓練等により航空機の騒音被害や航空機事故に対する不安等、大きな負担を強いられている。そのため、騒音軽減や飛行運用に関する条項の新設をすること」としています。また、「市街地や夜間、休日等の飛行制限、最低安全高度を定める国内法令の適用等、航空機の騒音軽減措置や飛行運用に関する制限措置を行うこと」を求めています。

 この要求は、米軍基地は存在しけれども、低空飛行訓練に悩まされている高知県などにとってもきわめて重要だと考えます。
 「日米地位協定の改定」をもとめる渉外知事会の要望を、本県も我がこととして連携を強め、取り組むことが必要だと考えますが、どのような対応をとられるのかお伺いをいたします。

 

■知事

日米地位協定の改定を求める渉外知事会の要望を、本県も我が事として連携を強め、取り組むことが必要だと考えるが、どのような対応を取るのか、とのお尋ねがありました。

渉外知事会は、米軍の施設が所在する主要な都道府県で組織されており、政府等に対して、米軍基地があるがゆえに発生する環境問題、事件・事故等を抜本的に解決するための様々な提案・要望を行っています。

 一方、米軍機による低空飛行訓練については全国的にも幅広い課題でもあります。このため、全国知事会として、国の責任で騒音測定器を増やすなど必要な実態調査と事前の情報提供を行った上で、地域住民の不安が払拭されないまま実施されないよう措置することを政府に要望しておりますし、今後も全国知事会の一員として要望を続けてまいりたいと考えております。

 また、本県としても、国民に不安や懸念を抱かせるような超低空飛行訓練など、異常な訓練が繰り返される場合は、これまで県として国に実状を訴えておりますし、四国知事会とも連携して取り組んでまいります。

本県では、オレンジルートにおいて米軍機による訓練が繰り返されている上、過去に2度の墜落事故も発生しており、県民の皆様は不安感を抱え生活されています。

このため、今後とも、米軍機の飛行訓練の動向を注視し、県民生活に大きな支障があるような訓練が繰り返される場合には、あらためて訓練の中止について要請を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 

 

【知事の政治姿勢/合区問題】

●塚地県議

参議院選挙の合区問題等について伺います。。

先の参議院議員選挙で、高知・徳島が合区となり、県民からも多くの怒りの声が上がりました。私たちも、その声を真剣に受け止めています。

 本年729日の知事会は、「多様な地方の意見が国政の中でしっかりと反映される必要がある」として、早急な合区解消と、将来的な解消策として、「(参院を地域代表制の組織と位置付ける)憲法改正についても議論すべきだ」とのとりまとめを行いました。報道によれば、尾﨑知事も積極的に発言したと報じられていいますし、午前中の答弁もございました。

 しかし、この合区解消の方向性には賛同できません。そもそも、法の下の平等は憲法の大原則で、基本的人権に係る基本的命題です。その下で、憲法第43条を改訂し、仮に、参議院を地方代表として一票の格差を是認するとするなら、「全国民の代表」としての衆議院とは異なる権能の制限がされることとなります。さらに、憲法第92条は「地方公共団体の組織および運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」としており憲法は直に都道府県を規定しておらず、新たな規定を行うことは、日本の地方自治、統治機構全体に関わる大きな命題です。合区解消を理由に改憲を持ち出すのは憲法を変える「ためにする」議論だと指摘をしておきます。合区解消に憲法改定は必要ありません。選挙区定数を増加させれば、ただちに解消できる問題です。費用は、国会議員460人分の費用に相当する年間320億円の政党助成金の一部の金額を活用すれば新たな支出にもなりません。

 そもそも日本の国会議員数は、人口10万人あたりOECD34カ国中33番目の低さです。日本の人口の約半分のイギリスは、上下両院合わせて、1,429議席、およそ議席数は日本の国会717人の2倍となっています。また日本より人口が少ないイタリア、フランスなども、イタリアでは951議席、フランスは920議席と議席数は日本より圧倒的に多いのです。国民の多様な意見を反映させるうえでも定数増には、確かな根拠が存在します。

政党助成金に相当する額を活用し、新たな費用増にならない方法で、総定数を増やすことが、合区解消に最も資すると思うが、お伺いをいたします。

 

■知事

参議院議員選挙区の合区解消の方策について、お尋ねがございました。

 本年7月の全国知事会議における「参議院選挙における合区の解消に関する決議」は、地域の意思形成を図る上で都道府県が果たしてきた役割を考えたときに、都道府県ごとに集約された地域の声が参議院を通じて国政に届けられなくなるのは非常に問題であり、投票率の低下などの弊害が顕在化していることからも、合区を早急に解消すること、同時に将来を見据え、最高裁の判例を踏まえ憲法改正についても議論するべきであるということを多くの知事の賛同を得て、とりまとめたものであり、私も積極的に発言をしたところです。

現行の憲法の下で、「一票の価値の平等」を尊重すべきであるということは言うまでもありません。

他方、人口減少・少子高齢化という我が国が抱える極めて構造的な問題に対処するためにも、東京一極集中を是正し、地方の活性化を図らなければならず、国全体のことを考えても、本県のような地域の切実な声が国政に反映されなければなりません。

 このためにも地域の声が反映される選挙制度にすべきであるとともに、このそもそもの背景として、地方の重要性、自治体の重要性が、一票の価値の平等をなすと比較考慮をされるレベルにまでしっかりと高められていく必要があるものと考えます。こうした考えから、「合区」問題の根本的解決に向けては憲法改正の議論をしなければならず、地方自治の重要性を踏まえ、地方自治に関する規定の充実を図るとともに、参議院における地域代表制を明記する必要があるのではないかと考えております。

 一方で、憲法改正は、丁寧な議論が必要となりますので、3年後の次期参議院選挙までの合区解消を見据えた場合、公職選挙法などの法改正により、合区を確実に解消していくことも併せて議論していかなければなりません。

 政党交付金に相当する額を活用するというお話しについては、政治資金規正法との関係もあり様々な議論を待たなければなりませんが、本年3月にとりまとめられた全国知事会の「憲法と地方自治研究会中間報告」では、合区解消に向けた方策として、「憲法改正」のほか、「総定数の増と合わせた選挙区と比例代表の定数配分の見直し」などの公職選挙法の改正による対応や、国会法等の改正による「参議院における地域代表制の法定化」が挙げられております。

 ご指摘の総定数の増については、人口一人当たりの議員数が我が国より少ない先進国もあることや、国民の理解を得る必要があることなどの課題がありますが、合区解消に向けた選択肢の一つであると考えております。

 選挙制度の見直しについては、各党様々なご意見があるものと考えますが、次の参議院選挙まで多くの時間がある訳ではございませんので、今後、国会において、是非、真撃な議論をしていただき、合区の解消につなげていただきたいと考えております。

 

●塚地県議

 多様な意見の反映を理由としていますが、その点では衆院選の小選挙区制、参院選では一人区という、比較多数が絶対多数をとる仕組みこそが、多様性を排除していると、考えます。

 2014年、衆議院の小選挙区で、自民党の得票率(有効投票総数に占める自民党候補全員の総得票)は48%ですが、議席占有率は76%となりました。候補者の得票のうち議席に結びつかなかったいわゆる「死票」の割合が50%以上となった小選挙区が全体の4割強にあたる133選挙区となっています。

 安保法制、原発再稼働など世論調査では反対の声が多数を占めているにもかかわらず、その意思を反映しない政権が生まれるのも、選挙制度による虚構の多数によるものです。高知県関係の国会議員も、県民世論を正しく反映せず、与党と異なる意見が反映されない、多様性を排除した結果となっています。それゆえ、衆議院の選挙制度改革に向けた全党参加の実務者協議は136月、現行制度について「民意とゆがみが出る」ことや「小選挙区による過度な民意の集約」に問題があると認め、「現行並立制の功罪を広く評価・検証し」「抜本的な見直し」を協議することを合意をいたしました。

衆議院の小選挙区制、参議院の1人区により、多様な民意が切り捨てられているのではないか。また、比例代表制中心の制度にすることが、地方の多様な意見を国政にしっかり反映する道だと思いますが、併せてお伺いをいたします。

 

■知事

衆議院、参議院の選挙制度について、お尋ねがございました。

 衆議院小選挙区制や参議院選挙区制などの多数代表制につきましては、選挙区内で多数票を獲得した候補者が議席を獲得する制度であり、安定政権が形成しやすい反面、議員ご指摘のとおり死票が多くなりやすい制度と言われています。

 一方、比例代表制につきましては、死票が少なくなる反面、単独過半数をとる可能性が低くなり、連立政権が常態化するなど、政権基盤が不安定化しやすい制度と言われています。

 このように多数代表制、比例代表制それぞれの特徴がある中で、現行制度は、両制度の長所でそれぞれの短所を補完するよう、衆議院、参議院ともに多数代表制と比例代表制を並立した制度とされており、国会において様々な議論を重ねた結果の選挙制度ではないかと考えています。

 議員ご指摘のとおり地域の多様な意見を国政にしっかりと反映していかなければなりません。そのためにも、各都道府県から地域を代表する国会議員を衆議院、参議院それぞれで選出することができるよう担保する選挙制度とすることが必要であります。

こうした考えから、多数代表制も含めることで、都道府県ごとに国会議員を確保することが重要ではないかと考えております。

ただ、選挙制度については、これまでも時代とともに様々な議論が行われ変遷をしてきており、今後も、参議院の合区の解消を含め、衆議院と参議院のあり方や、多数代表制と比例代表制の定数配分などについて、国民の皆さんの多様な意見を持ち寄って国会において大いに議論をしていただくことが重要であると考えております

 

 

【知事の政治姿勢/原発】

●塚地県議

伊方原発3号機が、四国の住民の多数の反対の声を無視して再稼働をされました。強く抗議をいたします。そのうえで、安全性の徹底、説明責任、そして自然エネルギーの推進を掲げる県政の姿勢にかかわって知事にお伺いをいたします。

 6月議会で、伊方原発で基準地震動クラスの揺れが複数回来た時の安全性についてお伺いをいたしました。「安全性は確保されている」という答弁がありましたが、いっさいの客観的根拠はしめされていませんでした。

 四国電力が国に提出をした資料では、複数回の揺れに対する弾性設計用地震動 Sdは、基準地震動Ssの0.53倍となっており、基準地震動クラスの複数回の揺れには耐えられない設計となっています。にもかかわらず耐えられるとされた根拠は不明です。

弾性設計用地震動 Sdが重要機器などで何ガルに設定をされているのか、明らかにしていただきたいと思います。

 

■知事

伊方発電所3号機再稼働に関する一連のご質問にお答えをいたします。まず、弾性設計用地震動Sdが重要機器などで何ガルに設定されているのか、とのお尋ねがありました。

 弾性設計用地震動とは、地震動の揺れによる力が加わって形状が変化しても、揺れが収まれば元の形状に戻る地震動であり、国の基準では、基準地震動の0.5倍を下回らないように設定することとされています。

原子力規制委員会の審査の中で求められている伊方発電所3号機における複数回の揺れも考慮すべき弾性設計用地震動は、基準地震動の最大値650ガルに係数0.53を乗じた345ガルに設定されておりますが、県としましては、345ガルを超える、最大の揺れが650ガルとなる基準地震動の揺れが繰り返し起こった場合の安全性についても四国電力に確認をしております。

 まず、そもそも、基準地震動は、蓄えられた大きなエネルギーが一度にほとんど放出される場合を想定して策定されておりまして、同等の揺れが複数回起きることは理論上考え難いとされております。それでも万万が一、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合の安全性については、国の審査でも求められていませんが、あえて、その場合の安全性を四国電力に問い質しております

 四国電力からは、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こったとしても、安全上重要な施設や設備のほとんどは、ダメージを受けない弾性の範囲内に留まることを確認していることから機能を喪失することはなく、一部の設備や部位については、歪が残る可能性もあるものの、設備が破壊に至るまでには十分余裕を持った設計を行っていることから、機能を喪失することはないと考えているとの説明も受けております。

 こうしたことから、県としましては、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合でも、安全性は確保されていると考えております

 

●塚地県議

 安全性の徹底でいえば、伊方原発3号機の原子炉容器の上蓋は、応力腐食割れを起こしやすいインコネル600製であり、安全性の観点から全国的に交換が進められ、ほとんどの原発で交換が終わっています。ところが、伊方原発3号機は、交換のないまま再稼働をいたしました。上蓋は制御棒の挿入にも重大な影響を与えるものです。四国電力も2013年に交換すると発表していたにもかかわらず、交換されないまま再稼働をいたしました。安全性をないがしろにした対応といわなくてはなりません。

このことを県はどう捉えられているのか。また、交換の時期を把握されておられるのかお伺いをいたします。

 

■知事

伊方発電所3号機の原子炉容器上蓋が交換されていないまま再稼働したことを県はどう捉えているのか、また、交換の時期を把握しているのか、とのお尋ねがありました。

伊方発電所3号機の上蓋の一部には、インコネル600というニッケルを主成分とする合金が使用されています。四国電力は、平成213月時点で、近年の国内外のプラントにおけるこの材料を使った部品の損傷事例を踏まえて、予防保全の観点から、平成24年度の第14回目の定期検査時に、より耐腐食性に優れた別の材料を使った上蓋に取り換える判断をしております。

その後、平成233月に起こった福島第1原発事故を受け、新規制基準への適合性審査が必要となったことなどから平成234月から始まった第13回目の定期検査が、今年9月まで長引くこととなりました。そのため、平成24年度に予定されていた第14回目の定期検査は、来年度に実施される予定となっています。

 四国電力からは、再稼働にあたって、蓋の表面にホウ酸の付着がないかを確認する「目視検査」や、通常運転時以上の圧力をかけて実施する「漏えい検査」の結果、設備の健全性が確認できたことから、今回の第13回目の定期検査では上蓋の取り換えは行わず、予定どおり第14回目の定期検査の際に行うこととしたと伺っております。

 本県としましては、インコネル600を使用している設備も、新規制基準に適合していると認められていることから、直ちに問題にはならないものと考えておりますが、四国電力に対して、原発の安全性の確保については、最善の対策を実施していただくよう要請してまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

 知事は、再稼働の理由として、ピーク時に老朽化した火力発電所が事故・故障した場合に停電の危険がある、とのべましたが、これは電力供給の仕組みの無理解、もしくはあえてゆがめて説明をなさったのではないでしょうか。

 適正な電力供給予備力は8%とされており、四国電力の電気予報でも、その日に備えた供給力に対し、9割以下なら、「非常に安定」と説明をしています。四国電力の最大需要は530万Kw前後です。伊方原発3号機は89万kWであり、約17%をしめています。それがもし停止すれば影響は老朽火力の停止以上の極めて大きな影響をうけます。原発が何らかの事故により緊急停止する場合も当然想定しなくてはなりません。そうした事態にも対応するため電力を地域間で融通するなど電力ネットワークがつくられています。

「停電」という事態を招かないために作られている、この電力を融通するネットワークの有効性について知事はどのような認識をお持ちかお伺いをいたします。

 

■知事

電力を融通するネットワークの有効性について、どのような認識を持っているのか、とのお尋ねがありました。

老朽化した火力発電所などがトラブルにより停止した場合に、域外から電力を融通するネットワークは、電力の安定供給のためには、重要なものであると考えております。

現在、四国・関西間では140万キロワット、四国・中国間では120万キロワットの「地域間違系線」が整備されており、区域間での電力融通が可能となっております。

また、国の電力システム改革により、平成274月には、国の認可法人である「電力広域的運営推進機関」が設置され、全国レベルでの平常時・緊急時の需給調整機能の強化などが行われています。

 しかしながら、四国電力からは、電力需給がひっ迫した際、ネットワークを活用して実際に融通を受けられるかどうかは、その時の他の電力事業者の需給状況に左右され、必要な時に必要な量を確保できる保証はないと聞いております。

また、このことについて、電力需給分野の専門家に確認しましたところ、四国電力の説明と同様、「電力会社は、自分のエリアの電力が不足するときに他のエリアに融通することはできない」「電力ネットワークにより、いつも確実に融通を受けられるわけではない」といった説明を受けました。

こうしたことから、近年、強化が図られているとはいえ、現時点では、電力を融通するネットワークにより、トラブル停止等による電力不足に確実に対応できるわけではないと考えております。

 

●塚地県議

FIT法の運用改悪も問題です。FIT法では、再生エネルギー発電事業者から電線への接続申請があれば、全国の10電力会社は応諾する義務を定めています。ただし「技術的に支障があればこの限りではない」となっており、149月以降、各電力会社が、この規定を利用して接続を「保留」する事態があいつぎました。理由は、管内の太陽光発電の認定設備出力合計が管内の送電容量を超過したため、これ以上の接続は「電力過剰で大停電をおこしかねない」というものでしたが、この点では、以前の議会でも指摘したように、再生可能エネルギーの「接続可能量」は、動いていない原発のフル稼働を前提にした著しく小さく演出した虚構の数字です。また、増大する発電分は揚水発電で吸収し、夜間等の火力発電の抑制に活用すれば対応できた問題です。

ところがこの事態を逆手にとって、これまでは再生エネルギー事業者に出力抑制を課すルールについて「30日以上は経済的補償を行う」としていたものを、電力会社の状況によっては、太陽光など経済産業大臣が指定した再生可能エネルギー発電について、無制限・無補償の出力抑制に応じることを前提に接続を認めるような形に運用を改悪をいたしました。これでは再生可能エネルギーの事業計画の見通しをたてることが困難となり、再生可能エネルギー発電に「急ブレーキ」となったと指摘をされています。日弁連は昨年213日に行った院内集会で、“FIT法の接続義務の原則と例外が逆転させられ、法の趣旨を「骨拭き」にする運用だ”と厳しく批判をしています。再生可能エネルギーを推進することは、住み続けられる地域づくりを築くためにも極めて重要なとりくみです。

こうしたFIT法の運用改悪は、再生エネルギー推進、地域振興に逆行するもので抜本改善を提案すべきと思いますが、この点は、林業振興環境部長に、ご所見をお伺いをいたします。

 

■林業振興・環境部長

FTI法の運用改悪は、再生エネルギー推進、地域振興に逆行するもので、抜本改善を提案すべきではないか、とのお尋ねがありました。

平成247月のいわゆるFTI法にもとづく再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始により、太陽光発電等の導入が促進されたことに伴い、太陽光発電や風力発電が天候に左右される不安定な電源であり、電力の安定供給に支障をきたす恐れがあることなどから、電力事業者が接続申込みへの回答を保留するという事態が発生しております。

このため、国は、再生可能エネルギー施策に関する審議を行う委員会等での対応策の検討結果を踏まえ、平成271月にFIT法施行規則の改正を行い、接続可能量の拡大を図るとともに、それを超過した場合でも、無制限かつ無補償の出力制御を発電事業者が受け入れることを前提として、接続を認めることとしました。

 この改正は、接続申込みの回答を保留するという問題が、今後の再生可能エネルギーの導入に大きな制約となる恐れがあることから行われたものであり、電力の安定供給と再生可能エネルギーの導入の拡大の両立を図ろうとするものであると認識しています。

 この改正により、四国電力管内における太陽光発電の接続可能量は、219万キロワットから257万キロワットへと拡大されています。

 しかしながら、これは現状の限られた送電容量の下でのものであり、本年3月に新エネルギービジョンを策定し、平成37年度に新エネルギーによる電力自給率30パーセントを目指し、地域振興にもつなげようとしている本県としては、送電網の増強などによる、さらなる新エネルギーの導入促進に向けた取り組みが必要であると考えています。

 このため、これまでも全国知事会等と連携して、国に対して地域の送電網を増強することや接続可能量をさらに拡大することなどを求めてきており、今後も引き続き、粘り強く取り組んでいきたいと考えております。

 

●塚地県議

福島原発では、廃炉費用が10兆、20兆円に膨れ上がるとも言われていますが、政府と電力会社は、電力小売りの自由化のもとで、競争力を維持するために、廃炉費用、福島事故の賠償費用など8.3兆円を送電利用料に含ませ、原発由来の電力を選択しない国民にも負担をさせようとしていることが経産省の内部資料であきらかになりました(朝日新聞9/21)。これは従前より「事業環境整備」の名のもと検討されてきたことの1つですが、まさに、原発は極めて高コストであることを如実に示したものであるといえます。金融機関、原発メーカー、株主の責任も問わないまま、全国民に負担を転嫁させることは、倫理上も到底許されるものではありません。

廃炉費用、福島事故の賠償費用を、送電利用料に転嫁することは反対すべきだと思いますがお伺いをいたします。

 

■知事

廃炉費用、福島事故の賠償費用を送電利用料に転嫁することに反対すべきではないか、とのお尋ねがありました。

原発における廃炉や事故の賠償に対する費用について、現行制度では、原発の廃炉費用は、その原発を持つ大手電力会社が自社の電力料金収入から賄うこととなっています。

他方、福島第一原発事故の賠償については、被害者への迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置を行うために平成239月に設立された国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が支援しており、その費用については原発を持つすべての大手電力会社が負担をしています。

 しかしながら、福島第一原発における廃炉費用及び事故の賠償費用の増加が見込まれることや、電力自由化の影響によって、原発を持つ大手電力会社の顧客が減少することにより廃炉費用の捻出が厳しくなる可能性があることから、国において、福島第一原発事故の廃炉費用の支援のあり方や電力システムの改革などについて検討する「東京電力改革・l F(福島第一原発)問題委員会」と「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が新たに設置されることとなっています。

これらの委員会では、全国の原発の廃炉費用や福島第一原発事故の賠償などの新たな負担のあり方について、引き続き原発を持つ大手電力会社が負担するのか、新電力へも負担を求めるのかなど様々な観点から議論されることと思います。

 県としましては、原発における廃炉や事故の賠償に対する費用について、現行制度のとおり原発を持つ大手電力会社が自社の経営において責任を持つことが原則だとは思いますが、今後、国における議論がどのような方向で進められていくのか注視していくとともに検討にあたっては国民の声も十分に反映していただきたいと、そのように考えているところでございます。

 

●塚地県議

201311月、世界銀行と国連は、最貧国に電力網を整備するため、数10億ドル規模の資金援助が必要だと訴えるとともに、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明をいたしました。昨年、世界銀行総裁が来日された際も「原発はリスクが未知数なため、世界銀行は投資の対象にしない。炭素税導入で、火力発電によるCO2排出量を抑えると同時に、地熱、水力などのクリーンエネルギーへの投資を拡大するべきと考えている」と述べられました。もはや原発は時代おくれだ、というのが国際機関の認識です。

政府の原発再稼働、国外輸出の促進、再生可能エネルギー抑制の姿勢は、再生可能エネルギーの積極的な普及で、できるだけ早く原発ゼロを実現しようとする国際的な動き、本県の取り組みにも逆行しており、転換を求めるべきと思いますが、知事にお伺いをいたします。

 

■知事

原発再稼働などに関する政府の姿勢に対して、転換を求めるべきではないか、とのお尋ねがありました。

政府は、エネルギー基本計画の中で、原子力について、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源として位置付けています。

また、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会により規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めるとしています。

 他方、原発依存度については 省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させるとし、また、再生可能エネルギーについては、平成25年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくとしています。

 こうした政府の姿勢は、原発に依存しない社会の実現を目指して再生可能エネルギーの導入などにより原発依存度を低減していくべきという本県の姿勢と方向性としては同じであると考えています。

 今後、引き続き、全国知事会などと連携を図りながら、電源構成における再生可能エネルギーの比率の引き上げや、課題解決に向けた送電線増強など実効性のある形で、政府に対して原発依存度の低減を進める取り組みを求めてまいりたいと考えているところでございます。

 

 

【介護保険制度】

●塚地県議

介護保険制度について伺います。

若者が住み続けられる地域をつくるために、県民生活の安心の構築と雇用確保の点で、介護など社会保障制度の確立は極めて重要です。しかし、政府において、2015骨太の方針で、「軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行う」こととされ、社会保障審議会の介護保険部会において議論がされています。

その議論は、介護保険の保険料負担の拡大、介護サービスの制限という方向で進められており、本県にとって極めて深刻な影響を与えるものであり、全力で対峙する必要があると考えます。きわめて重大なのは、要支援者に続き、要介護2までの方の訪問介護などを保険給付から外し市町村事業にする。さらに、「原則自己負担」」にする問題です。現在でも、介護認定者の割合は、全国平均で20%程度であり、保険料を負担する人と、実際に給付を受ける人のバランスは医療保険と違い大きく崩れています。

更なる軽度者外しでは保険という制度の崩壊とも言えます。今回議論をされている内容について、どのような認識をお持ちか、知事に伺います。

 

■知事

介護保険制度につきまして、国の社会保障審議会の介護保険部会における議論に対する認識について、お尋ねがございました。

介護保険制度の見直しにつきましては、現在、国において、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、介護が必要となっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう地域包括ケアシステムの構築を推進していくこと、また、高齢化の進行に伴い、保険料水準の上昇が見込まれる中で、世代間・世代内の公正性を確保しつつ、介護保険制度の持続可能性を高めることを大きな柱としで議論が進められております。

 制度の持続可能性の確保といった面では、要介護12などの軽度者に対します生活支援サービスのあり方や、平成278月から一定以上所得者について導入した2割負担の施行状況などを踏まえた利用者の負担割合のあり方などが、論点となっているところです。

 こうした議論を進めるにあたりましては、給付の面においては、何よりも介護サービスを必要としている方に確実にサービスが提供される見直しとなることが求められますし、負担の面においては、低所得の高齢者が多いといった本県の実情などを踏まえますと、その能力に応じた負担の軽減といったことも検討がなされる必要があるものと考えております。

 現在、国において検討が進められておりますことから、審議の動向をよくよく注視しながら、必要であれば全国知事会などと連携を図り、国への提言活動などに努めてまいります。

 

●塚地県議

すでに改悪された制度の下で、県民生活にも大きな問題が生じています。

認知症の人と家族の会が、昨年4月からの介護保険制度の改悪、補足給付の制限、利用料2割負担の導入など影響について利用者、家族への影響調査アンケートを実施し、その結果をこの6月に発表をいたしました。「今回の費用負担の増加はあまりにも苛酷だ」とその中では指摘をしています。なかでも施設の食費・部屋代補助の制限は被害が甚大です。要介護5の妻が特養ホームに入所する60代の男性は月7万3千円の負担増になりました。「年金収入だけでは月1万5千円足らなくなる。仕方なく今年中に施設を退所させて在宅介護に切りかえるつもり」だと、退所を余儀なくされる深刻さです。

昨年4月からの改悪の影響をどう捉えておられるのか。また認知症の人と家族の会のアンケートを読まれたと思いますが、どのように受け止められたか地域福祉部長にお伺いをいたします。

 

■地域福祉部長

昨年4月からの介護保険制度改正の影響をどう捉えているか。また、認知症の人と家族の会のアンケートをどのように受け止めたかとのお尋ねがございました。

昨年の介護保険制度の改正によりまして、負担能力に応じて一定以上の所得のある方については利用者負担が2割に引き上げられるとともに、施設入所にかかる食費と居住費の低所得の方の負担軽減につきましては、利用者ご本人のその年の市町村民税の課税状況だけではなく、配偶者の課税状況や例えば単身の利用者の場合、預貯金などが1千万円以内であることなどが要件となるなど資産も勘案する見直しが行われました。

 今回の見直しは高齢化が進む中、今後の介護保険制度の持続可能性を高めるために、世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点からのものでございます。

 負担能力に応じました見直しとはいえ、お話のありましたアンケートにもございますように、大幅に負担が増加した方にとりましては、生活が厳しくなったと感じたり、将来への不安を持たれたこともあるのではないかと考えておりますし、県内の市町村にもそういった声が届いていることは承知しております。

このため、県といたしましては、各保険者において、今回の見直しに関するご相談には、丁寧に制度のご説明をしていただくとともに、家計に対する介護費の月々の自己負担が過重なものとならないよう、自己負担に一定の上限を設ける仕組みでございます高額介護サービス制度の申請勧奨の取り組みも着実に実施していただくようお願いするなど、この制度のさらなる周知に努めてまいります。

 

●塚地県議

 現在、要支援の訪問、通所介護が市町村事業に移行させられていますが、専門家でなくても出来るという「理由」で、報酬が介護保険と比べ7割前後に削減をされている、という問題については、これまでもこの議会で指摘をしてきまいりました。政府は、さらに、先に述べたとおり要介護2までの軽度者は市町村事業に移すとともに、生活援助については原則全額自己負担を検討しています。

 しかし、生活援助の重要性については、厚生省が三菱UFJリサーチ&コンサルディングに委託した介護事業所管理者に行ったアンケート調査〔介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業報告書〕の中でも、生活援助を通じて行われる高齢者の状態把握について専門職でないとできないとの回答が6割にのぼり、状態把握にもとづく「より良いケアの提案」「介護計画の作成」や「家族への報告・相談」は、8割が専門職でないとできないと回答をしています。

専門的で適切なサービスを軽度の段階から利用できることの重要性などをどう認識しておられるか、人材確保のために報酬の引き上げを行うなどの対応が必要だと考えますが、地域福祉部長伺います。 

 

■地域福祉部長

専門的で適切なサービスを軽度の段階から利用できることの重要性と人材確保のために報酬の引き上げなどの対応の必要性についてお尋ねがございました。

昨年の介護保険制度の見直しにより、要支援者への訪問介護、通所介護が市町村の実施する事業に移行することとなりましたが、県としましては利用者の心身の状況に応じて、軽度の段階から、適切なサービスを利用することば重度化の防止やご本人の自立を支援するという観点から、大変重要だと考えております。

 このため、市町村事業に移行後も、必要とされる方には既存の事業所による専門的なサービスの提供が想定されており、その報酬につきましても、専門的なサービスの提供が可能となるよう、従来の予防給付の単価を上限として設定できることを保険者に説明してまいりました。その結果、県内で今月1日までに市町村事業に移行した25の保険者の中に、従来の予防給付の単価を下回るところはないという状況でございます。

 他方、専門職でなくても提供できるとされている掃除や洗濯などの生活支援サービスにつきましても、その担い手として考えられている方々に対して、高知県シルバー人材センター連合会や高知県老人クラブ連合会と連携して、適切なサービスを提供するための基本的な考え方や高齢者の特性などの一定の知識を持つ人材の育成のための研修を実施しているところです。

こうした取り組みや市町村が設置をしますサービスの創出などを担う生活支援コーディネーターの養成研修を通じまして、市町村における生活支援サービスが充実しますよう努めてまいります。

 

●塚地県議

福祉用具のレンタル、バリアフリー住宅改修の全額自己負担も検討をされていますが、日本福祉用具供給協会の今年3月の調査結果では、「用具利用以前は半数以上が転倒を経験」し、用具が使えなくなると訪問介護を利用するなどで、「低くとも年間1,370億円のコスト増となり、介護人材も新たに10万人以上必要」〔現在の給付額は95億円〕となると試算を示し、まとめでは「福祉用具貸与サービスは、軽度の要介護者にとってローコストながら居宅での生活や地域社会とのかかわりなど高いQOL を維持できる、効果の高いサービスであることが確認された」と示されています。

 6月の高知市議会で、高知市長は「全額自己負担ということは非常に大きな課題がある」と答弁をされ「福祉用具・住宅改修の見直しにおいては、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐといった介護保険の理念に沿って、継続を含めた検討を行うことを強く求める意見書決議も上がっています。利用が制限をされた結果、重症化が進み、財政的にも負担が増加すると、様々な団体からも反対、批判の声があがっています。

こうした声を、県としてどうとらえておられるのか。福祉用具のレンタル、バリアフリー改修の全額自己負担に強く反対すべきではないかと思いますが、地域福祉部長にお聞きをいたします。

 

■地域福祉部長

福祉用具の-レンタル、バリアフリー改修の自己負担化についてのお尋ねがございました。

福祉用具貸与や住宅改修における利用者負担につきましては現在、他の介護サービスと同様に一定以上の所得者を除き1割負担となっておりますが、国におきましては福祉用具の極端な価格差や住宅改修の施工水準のばらつきの抑制などの議論とともに、この利用者負担のあり方についても検討がされているところです。

 その検討の際には、お話にもありました、福祉用具貸与や住宅改修は、利用者の自立支援、状態の悪化の防止等の役割を果たしていることも考慮していく必要があると考えております。

現在、国におきましては、そういう観点からの議論もなされているところでございますので、その議論の動向を注視してまいりますとともに、必要があれば全国知事会等の関係機関との連携を図りながら、国への提言等も検討していきたいと考えています。

 

 

【地域医療構想】

●塚地県議

地域医療構想について、健康政策部長にお伺いをいたします。

「地域医療構想」については、政府の社会保障切捨ての一環として、ベッドの大幅削減により医療費抑制を目的にしたものですが、国民、医療関係者の批判、反対の声を反映し、政府も「あくまで自主的な取り組みが基本」であり、「需要に応じた適切な医療供給体制」となることと、通知を出さなくてはならない事態に追い込まれてきました。

私たち県議団も、県民の命と健康を守る立場から、高知県の特徴である「高齢化が進んだ中山間地域を抱え、独居高齢者が多く、家庭の介護力が脆弱であることから、長期療養の入院ニーズが高い」という実情に見合った構想となるよう求めてきたところです。6月議会での中根議員の質問に、健康政策部長は、「患者さんや利用者にふさわしいサービスが提供できる受け皿を確保する」「行き場のない入院患者を出さない」ことを前提として、「住み慣れた地域で療養が可能な体制を構築するよう、今後の地域医療構想の策定に反映していきたいと考えています」と答弁があったところです。

さて、地域医療構想案については、現在パブリックコメントが行われていますが、その中で、医療機関が報告した機能別の病床数と「必要病床数」の比較が出ています。

高度急性期は、報告895床に対し必要数 840床、急性期は5,482床に対し 2,860床、回復期は1,642床に対し 3,286床、慢性期は 6,882床に対し 4,266床となっています。必要病床数に対し、急性期、慢性期は2千数百床多く、回復期は千数百床も少ない、そして県全体では現状の15,133床に対し、必要数は11,252床と、3,881床が多すぎであり、減少することとなっています。

これが、本県の特徴、先の健康政策部長の答弁を反映した数字なのでしょうか。大きな疑問があります。

必要なベッド数をはじき出す方法ですが、医療需要の推計については,現行の二次医療圏である安芸、中央、高幡、幡多の4医療圏を、構想区域に設定し、構想区域ごとに厚生労働省から示される基礎データを基に推計をしています。

高度急性期、急性期、回復期機能のベッド数の判断には、患者に対して行われた診療行為を診療報酬の出来高点数で換算した値(医療資源投入量)が使われています。全国共通のモノサシで出した数字です。

また、慢性期機能及び在宅医療についても、厚労省の示した推計方法にもとづき、療養病床の入院患者数のうち,「医療区分1の患者の70%を在宅医療等で対応する患者数」という全国平均の数字が使われ、「その他の入院患者数については,入院受療率の地域差を縮小していく」観点で、全国平均との差の解消を基に推計しています。

現場で介護にあたっている方からは、医療区分が低いことだけをもって、医者、看護師の関わりを減らしてよいのかという疑問の声があがっています。医療区分とともに、患者さんが日常の生活動作をどれだけできるか、というADL区分があります。たとえ医療区分が1であっても重介護であり、病状的には不安定で医療区分が23でADLが軽い人よりも医療的管理を多く必要とする人が多数存在するという指摘です。

医療区分170%を在宅可能とする一律的な基準、地域差を縮小するという方向性では、県民の実態に即した地域医療構想になるはずがあまりせん。

構想案で示した数字は、結局、全国平均のものであり、本県の実情を軽視したものになっているのではないかと思いますが、所見を伺います。

 

今議会の知事説明でも、この数値については、「医療関係者や介護関係者、市町村や住民の方々による議論と調整を行っていただくための目安」「算式に基づく必要病床数は、現状からの削減目標とするものではないとの考え方が示されている」と述べられていますが、高知県の特徴を反映していない構想では、現場で医療・介護を担っている関係者と、目標を共有することは不可能です。

必要ベッド数の推計方法を、関係者の声も反映し、本県の特徴に見合った方法に改めるべきではないか、お聞きをいたします。

 

■健康政策部長

地域医療構想についての質問にお答えします。

構想案で示した必要病床数は本県の実情を軽視したものになっているのではないか、また、必要病床数の推計方法を、関係者の声も反映し、本県の特徴に見合った方法に改めるべきではないか、とのお尋ねがありました。開通しますので、併せてお答えいたします。

 必要病床数は2025年における医療需要の推計値を病床数で表すものであり、その推計方法は厚生労働省令で定められています。

 このうち、高度急性期、急性期、回復期の推計方法については、本県の2013年におけるレセプトデータを用いて、本県の患者に対して実際に行われた診療に対する診療報酬の点数により割り出した高度急性期などそれぞれの患者数を基に、2025年における本県の年齢階級別推計人口を使って推計するものであり、本県における医療提供の実情を反映できているものと考えています。

 一方、慢性期については、個別に診療報酬の点数が把握できないことから、その推計方法は異なっています。療養病床の入院患者数のうち、医療区分1の患者の70%を在宅医療等で対応する患者とみなし、その他の入院患者数を人口当たりで全国並みに近づけるなど、地域格差の縮小という政策目的に沿った推計方法で、病院の病床が介護の機能を代替しているといった、本県の実情を反映しにくいものとなっています。

 そのため、地域医療構想策定ワーキンググループなどにおける関係者の意見を踏まえ、算定された慢性期の推計値を在宅移行が最も進んだ場合の最小値として取り扱うこととし、本県では慢性期の必要病床数は「4,266床以上」と幅をもたせることとしました。

 必要病床数は、医療法に基づく計算方法により機械的に本県の人口推計等を代入して計算した推計値であり、あくまでも、将来のあるべき医療提供体制を検討するための方向性を示すものであって、現状からの病床の削減目標ではありません

 今後は、地域ごとの需要に応じた適切な医療供給体制の検討に当たって、構想区域ごとに設置する地域医療構想調整会議において、住み慣れた地域で安心して療養ができるよう、医療関係者や介護関係者、住民の方々の意見を十分に踏まえつつ、丁寧に調整を行ってまいります。

 

●塚地県議

 とりわけ、来年度末で、介護療養病床の廃止予定がされて、新類型の施設への移行が示されていますが、その詳細は明らかになっていません。関係者は、その新施設を介護保険にするのか医療保険にするのかによって、自己負担のありようにも大きな問題が生じ、施設基準によっては病院経営上移行が不可能となり、慢性期の方々の行き場が失われることを懸念されています。

ワーキンググループの中でも議論となっていますが、県としてもどのような課題認識をお持ちか。医療・介護難民を作らないためには、施設整備や自己負担の増加への対応など、県としても支援措置を講じる必要もあると考えますが、国への提言を始め、どのように対応されるおつもりか、この点は知事にお伺いをいたします。

 

■知事

地域医療構想に関連して、来年度未で介護療養病床の廃止が予定されて新類型の施設への移行が示されているが、その詳細が明らかにされていないことへの課題認識と対応について、お尋ねがありました。

 地域医療構想の推進に当たっては、単に病床を削減したり新たに介護施設を整備するのではなく、病床の機能分化や介護との連携を進めながら、患者さんや利用者のQOLの向上にふさわしい長期療養の受けを確保し、住み慣れた地域で安心して癒養ができるようにしていくことが何より重要であると考えております。

 介護療養病床は来年度末で制度が廃止となりますので、その転換先として、現在、国の社会保障審議会の下に設置された療養病床の在り方等に関する特別部会において新たなサービス提供類型が検討されており、医療機能を内包した施設系サービスと、医療を外から提供する、居住スペースと医療機関を併設するという二つの形態が想定をされています。新たなサービス提供類型や介護老人保健施設などの介護保険施設への転換に際しては、施設や設備の整備が必要となりますので、県といたしましても、地域匪療介護総合確保基金等を活用してしっかりと支援を行ってまいります。

 しかし、新たなサービス提供類型については、現時点では人員配置基準や構造設備基準、また、医療保険、介護保険いずれの給付対象とするかなど、具体的な制度設計が定まっておらず、各医療機関も介護療養病床の廃止が平成303月に迫っている中、いまだに具体的な検討に入れない状況にあります。したがって、各医療機関が円滑に転換を進めていくためには、 十分な移行期間の中で現在の施設・設備を活用しながら転換整備ができるよう、一定の経過措置が必要です。

 また、現行の公的医療保険、介護保険制度では、低所得者 に対して所得に応じた保険料や自己負担額の減免の制度が設けられており、新たなサービス提供類型においてもこれらの低所得者対策が必要であると考えております。

今後とも、療養病床の在り方等に関する特別部会での検討の推移を見守りながら、基金財源の十分な総額の確保も含めて、必要に応じ国に対して提言してまいりたいと考えております。

 

 

【教職員の多忙化】

●塚地県議

教職員の多忙化問題について、教育長にお伺いをいたします。

文部科学省は昨年7月に「学校現場における業務改善のためのガイドライン=子どもと向き合う時間の確保を目指して=」を発表し、本年4月に「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」を省内に設け検討を行い、この6月に報告のとりまとめがされ、各都道府県、指定都市の教育委員会教育長に通知をいたしました。

この報告書の目的は、教員の長時間労働の実態が文科省の調査でも明らかとなり、その状況を改善し、教員が子どもと向き合う時間を確保するための改善方策を提案したものです

大きく4つの柱が提案をされています。第1に教員の担うべき業務に専念できる環境を確保する、第2に部活動の負担を大胆に軽減する、第3に長時間労働という働き方を改善する、第4に国・教育委員会の支援体制を強化するというものです。

まず、この報告書をどのように受け止められているのか教育長に伺います。

 

■教育長

教職員の多忙化問題について、文部科学省が取りまとめた、「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」による報告書をどのように受け止めているか、とのお尋ねがございました。

 学校が抱える課題が複雑化・困難化する中、全国的に教員の長時間勤務が課題となっており、本県においても、同様の現状があると認識をしております。

 また、お話にもありました、報告書で示された4つの観点、すなわち、「教員が業務に専念できる環境の確保」、「部活動の負担軽減」、「長時間労働の改善」、「国、教育委員会の支援体制の強化」は、教員の長時間労働の状況を改善し、教員が子どもと向き合う時間を確保するためのポイントを的確に示しているものと受け止めております。

報告書に示された内容については、昨年度策定した高知県教育大綱や第2期高知県教育振興基本計画において、「チーム学校の構築」として取り組む中の外部人材の活用や学校地域支援本部との連携などのように、既に取り組んでいるものも多く含まれていますが、学校現場における多忙化を解消するための業務の適正化という観点からの総合的な方針をしめした報告書という意味で、しっかりと向き合う必要があるものと考えております。

 

●塚地県議

この問題については、昨年の九月県議会予算委員会で我が党の吉良県議が質問をし、業務改善の中でも、とりわけ教員の負担となっていると明らかになった「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」についての具体的対策を求めました。

その際教育長は、ガイドラインを作成しているとした上で、「アンケートや調査を最小限に絞るということが必要」「そういった方向も考えていく」と答弁をされましたが、その後一年が経過をし、具体的にどのような対策が講じられ、何件の改善がされたのかお伺いをいたします。

 

■教育長

学校現場に対する調査やアンケートに関する負担軽減対策の取組状況について、お尋ねがございました。

 学校現場に対する調査やアンケートの実施については、そのことが教員の業務負担につながっているとの指摘があるところであり、教員が子どもに向き合う時間を確保するためには、その改善に取り組むことが重要であると認識をしております。

県教育委員会では平成16年に「調査・照会に関するガイドライン」を策定し、取組を進めているところです。

具体的には、①調査そのものの必要性を十分に検討するとともに、調査が必要なものであっても、調査項目の精選、その他の調査方法の見直しに取り組むこと、②外部からの調査依頼については、原則として県教育委員会が既に把握している情報で対応し、随時、学校や市町村教育委員会に照会を行うことはしないこと、③学校等へ依頼する予定の調査を一覧表としてとりまとめ、調査実施の前年度末までに学校等に送付し、計画的な業務の遂行に役立ててもらうこと、などの取組を行っております。

議員よりご指摘のあった調査の見直しについては、昨年度は県教育委員会事務局内で協議を重ね、今年度実施する調査のうち6件について調査を廃止、17件について調査項目の精選、調査頻度の削減、回答期限の延長などの調査方法の見直しを行うこととしております。

今後とも、県教育委員会が学校等を対象として実施する調査やアンケートについては、不断の改善に努めてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

さて、今回の報告では、先に挙げた四本の柱に基づき具体的な改善対策が多数列挙をされていますが、今回は報告でも強調されたいくつかの点について伺います。

まず、部活動の改善についてです。報告は、部活動の意義を示しつつ、適正、適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は、教員、生徒ともに、様々な無理や弊害を生むとして、教員の負担軽減のみならず、生徒の多様な体験を充実させ、健全な成長を促す観点からも、休養日の設定の徹底を始め、部活動の大胆な見直しを行い、適正化を推進すると明記がされています。

連日の早朝練習や日・祝日を問わない練習など、これまでも問題視されてきた課題ですが、本県の部活動の課題について、教育長はどのような認識を持たれているか、お伺いをいたします。

 

部活動の休養日の設定はすでに、平成9年度、文部省が「運動部活動のあり方に関する調査報告書」でも中学校では学期中に週あたり2日以上、高校では1日以上の休養日を設定するよう示されています。本県教育委員会が平成263月に作成をした「運動部活動全体計画ハンドブック」にもその項目が明記をされていますが、現状の分析と改善目標などは具体化をされておらず、問題点が明らかになっていません。

今後、重点改善項目とされている、部活動の休養日の徹底について、現状把握と改善のためどのような取り組みをされるおつもりかお伺いをいたします。

 

■教育長

本県の部活動の課題について、どのような認識を持っているか、また、部活動の休養日の徹底について、現状把握と改善のためにどのような取組をしていくのか、とのお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをいたします。

 部活動に関しましては、国の報告書において、朝練等の実施による生徒の睡眠不足に伴う授業への影響や、長時間の練習等による生徒のスポーツ障害への懸念といった「生徒の健康的でバランスのとれた生活への影響」と、日本の中学校教員の課外活動の指導時問が国際的にも特に長いことや、土日に開催される大会等への引率や大会運営業務への関わりといった「教員の負担感」に関する課題が指摘をされております。

 本県においても同様の課題を抱えていることから、これまでも望ましい運動部活動の実現に向けて、日常生活とのバランスやスポーツ障害の予防を考慮した休養日の設定をはじめ、その運営に配慮すべき内容を示した「運動部活動全体計画ハンドブック」を配布し、学校現場にその活用・実践を周知をしてまいりました。

 しかしながら、適切な休養の必要性についての理解が浸透していないことや、部活動への保護者の期待の大きさなどもあって、多くの学校では、必ずしも適切な休養日の確保ができていない状況があります。

 部活動は、本来、生徒同士や教員と生徒等の人間関係の構築や、生徒自身の自己肯定感の向上等、その教育的意義は高いものでありますが、そうした教育効果は、教育活動全体のバランスの中で達成されることが重要であるとともに、家庭や地域での過ごし方にも考慮し、子供の成長を支える視点が必要であると考えます。

 あわせて、部活動の指導において教員に過度な負担がかかる状況もありますので、その点については、適切な休養日の設定などとともに、今年度も行っている運動部活動支援員の派遣を広げることなどにより、負担の軽減を図る必要があると考えます。

 現在、運動部活動の実態を把握するための学校現場からのヒアリングや、中学校体育連盟との協議を行いながら、運動部活動の在り方について検討しているところですが、今後は、市町村教育委員会や校長会、PTAなどから幅広くご意見を伺いながら検討を深め、適切な運動時間や休養日の設定など望ましい部活動を推進のための県の方向性を改めて示したいと思います。

 

●塚地県議

次に、重点として示されたのは、勤務時間管理の適正化の必要性です。教員の勤務時間の把握をどのように進めるかは、現場との十分な協議が必要です。県立学校ではすでに平成20年度から教職員業務記録票による勤務時間の提出を求めていますが、長時間になった場合の職務内容の報告などが求められ、その煩雑さや、報告をあげても人員配置などの具体的改善が図られないため、通常の勤務時間で報告するということが常態化しているとの現場の声もあります。

県立学校での実情を現場から聞き取り、有効な勤務時間の把握の仕方を改めて検討し、改善する必要があると思いますが、どのように対応されるのか。また、県教育委員会として、市町村教育委員会に、具体的な勤務時間の把握方法を示す必要があると思いますがお伺いをいたします。

 

■教育長

有効な勤務時間の把握の仕方を検討し改善する必要があるのではないか、また、県教育委員会として市町村教育委員会へ具体的な勤務時間の把握方法を示す必要があるのではないか、とのお尋ねがございました。

 学校現場において教員の多忙化が指摘されるなか、勤務実態を適切に把握することは、長時間労働の是正や、勤務環境の改善を図り、教員の働き方を見直すうえで大変重要であると認識しております。

 県立学校においては、平成20年度から健康管理を目的とする長時間勤務者の面接指導を行うため、教員の時間外勤務時間を業務記録票により把握しているところですが、記載することが煩わしい、手間がかかるなどの理由により、時間外勤務の報告が必ずしも適切にされているとは言えない状況がございます。

 このため、まずは、業務記録票を使用した現在の時間外勤務の把握の方法につきまして、再度周知徹底をしたいと思いますが、併せて、学校現場において負担のかからない、より有効な勤務時間の把握の方法について、現場の意見を聞き取りつつ、実情を踏まえて検討していきたいと考えております。

 また、市町村教育委員会においても、所管する学校における勤務時間の把握が適切に行われるよう、適宜必要な情報提供を行ってまいります。

 

●塚地県議

教員の多忙化解消に向け、各都道府県教育委員会内に学校現場における勤務環境の改善を促進するための連携体制、たとえば多忙化解消プロジェクトチームを構築し、市町村教委や学校現場への継続的支援をすることとなっています。

連携体制の構築はどのようにされるのか、実効性の上がるものとするために、現場教員の声が直接反映されることは基本です。教職員組合の代表を含んだ体制の整備を行うべきと考えますがどう対応されるかお伺いをいたします。

  

■教育長

教員の多忙化解消に向け県教委として連携体制の構築をどのようにするのか。また、実効性の上がるものとするためには、教職員組合の代表を含んだ体制の整備を行うべきではないか、とのお尋ねがございました。

先ほどもお答えしましたように、高知県教育大綱や第2期高知県教育振興基本計画の中にも、教員の多忙化解消につながる施策は、数多く盛り込まれているところですが、報告書で示された多忙化解消という観点からの総合的なものとはなっておりません。

 そのため、この問題に特化して取り組むプロジェクトチームなどの組織を設けることも考えられますが、県教育委員会事務局内には、既に様々な組織があり、屋上屋となるのではないかと思っております。

 第2期高知県教育振興基本計画については、PDCAを通した進捗管理を行うため、教育振興基本計画推進会議を設けているところであり、県教育委員会として多忙化解消の観点から総合的な取組については、この場を活用してPDCAを回していくことが、現実的かつ効果的ではないかと考えます。

 また、教職員団体の皆様からは、これまでも様々なご要望やご意見をお聞きしているところであり、これからも、多忙化解消のためのご意見については、真撃にお聞きしてまいりたいと考えております。

 

 

【「オーテピア」の多目的広場】

●塚地県議

「オーテピア」の多目的広場についてお伺いをいたします。

2018年の夏頃を目途に、いよいよ新図書館等複合施設「オーテピア」が開館予定となっています。この施設には、高知県立図書館、高知市民図書館本館、高知声と点字の図書館、高知みらい科学館が配置をされています。複合施設として整備することにより、様々な人々の交流が深まり、県内の生涯学習や文化の発展に寄与するとともに、県民・市民のくらしと仕事の中で起こるさまざまな課題解決を支援する知的・文化的な基盤とします、と基本理念も掲げられています。ソフト面の課題についても懸念はありますが、今回は、文化施設にふさわしい緑地・広場の設置について伺いたいと思います。

現在の県立図書館は、高知城公園の一角ともなっている大きな木々に囲まれた緑豊かな中に設置をされ、その木陰で本を読む人々の姿も見受けられます。心も、体も緑によって癒やされる豊かな空間の中に位置しています。合築問題が持ち上がったとき、議論の一つに「文化施設にふさわしい緑豊かな空間のある図書館を」の声も大きく、建設場所の検討に加えるべきだとも主張してまいりました。また、高知みらい科学館は、県内の児童生徒が遠足などにも利用し、科学館で作成したものを実際に飛ばしたり、使ってみるような空間、お弁当を食べる広場の必要性も指摘をされてきました。

そうした声もうけ、当初は、建物西側に約1,000平方メートルの多目的広場が予定をされていましたが、建設の具体化の中、地下駐車場が設置をされることとなり、実質的には多目的広場の面積はわずか500平方メートルに縮小されています。議事堂隣の高知市丸ノ内緑地公園は7,500平方メートルですから、その15分の1にしかすぎない狭さ、しかも場所は、「オーテピア」の正面玄関の前ですから、来館者の通行の妨げにもなり、多目的広場として活用するにはきわめて不十分な状況となっています。

このオーテピアの多目的広場の西側に隣接している2,500平方メートルの追手前小学校跡地があります。その活用については、2012年に国の認定を受けた高知市中心市街地活性化計画では、買い物途中で休憩ができる芝生広場、イベント空間などに活用する「にぎわい広場」として整備するとされています。

ところが高知市は突如、今後50年間に渡って、民間に貸し出し高度利用する、いわゆるビル建設などをすることを基本方向とすることに変更し、有識者による活用検討会が開かれています。しかし、県党委員会の議論の中でも、個人的には広場としての活用を望むとの意見が多数を占め、さらに、地元商店街でも広場として活用してほしいとの声が広がっています。

先に述べたとおり、本県の文化と知の拠点としての「オーテピア」の機能充実のためには、十分な広さを持つ広場が必要不可欠だと考えます。

「オーテピア」の機能の充実のためにも多目的広場と一体となった西敷地の整備が必要であり、西敷地の活用について、高知市との協議を行うべきと考えますが、教育長のご所見を伺い、私の第一問とします。

                            

■教育長

「オーテピア」に隣接している西敷地に関する高知市との協議について、お尋ねがございました。

 「オーテピア」西敷地の利活用につきましては、土地の所有者である高知市が、西敷地にふさわしい機能などを決めるため、民間の有識者を中心とする「新図書館西敷地利活用検討委員会」を設置し、来年2月の結論のとりまとめに向けて、現在、検討を行っているものと承知しております。

 その議論の中では、ひろめ市場や高知城歴史博物館等と並ぶ周辺施設の一つとして「オーテピア」も考慮していただいているものと受け止めており、今後の検討委員会での検討状況、を注視していきたいと考えております。

 

 

【第二問】

●塚地県議

まず1点目、知事なんですけれど、地域医療構想の問題でお答えがありました。来年度末での介護療養病床の廃止というのは、大変切迫した状況になっていますし、その中でお答えで、一定の経過措置の必要性は考えているというふうにお答えになられましたが、それは極めて重要な問題でして、これから重要課題を審議し現場に移していくという過程で時間がやはり不足しているという問題はすごく大きいわけです。ですので、先程おっしゃいました一定の経過措置をもうけるということについては、ただちに強くですね、具体的に要望を上げていただきたいというふうに思っていますので、それにどのように対応されるのかということをお答えいただきたいと思います。

 

■知事

 この地域医療構想の問題についてはですね、本当に地域地域の実情というのをよくふまえていただきたいものだなと、そのように思います。

例えば、病床ベット数、県民一人当たりのベット数、高知県というのは全国1位なわけでありますけれども、しかしながらいわゆる福祉施設も合わせてですね、ベット数を計算していただければ、高齢化が全国のトップクラスであるにもかかわらず全国平均のちょっと上ぐらいでしかないと、すなわちこれは介護の役割を医療が担っているという歴史的経緯があって、いまのようなベット数になっているということであります。やはりそのような実情をよくよくふまえていただいた上で対応していただく必要があるということが第1点。

 そして、大改革になるにもかかわらずですね、確かにご指摘のように時間が無いという状況になってしまっているといこともあります。そして引き続き、やはり医療、介護の問題ということであれば、出来る限り県民のQOLを上げるような方向でいかなければならない。そしてまた、低所得者への対応もしなければならない。やっぱり様々な要因を考慮してですね、対応していくということが大事になってくるということなんだろうと思います。

 そういう観点から、これまでも色々な政策提言もしてきたところでありますし、私自身もですね、色々関係者にお話しもさせていただいてきたところでありますが、引き続き、そういう基本姿勢でもって、地域の実情を訴えるという姿勢でもってですね、対応をしていたきたいとそのように考えてます。

経過措置については、今後、議論が本格化してまいります。そういう中において本県の実情をしっかりと訴えて、政策提言もしていきたいと、そのように考える次第です。

 

●塚地県議

それと地域福祉部長なんですけれども、福祉用具のレンタルとか、バリアフリー化の改修問題ですね、現段階でも、もうすでに各団体、そして利用者のみなさんから不安とか怒りとかいう声があがっているわけです。ご答弁では、検討をみながら、必要があればというお答えでしたけれども、もうそういう段階ではなくて、一定、厚労省の施策も具体化をし始めている段階、それを受けて各県民からもそういう声がでている段階なんです、必要とあればって、いつまでお待ちになるつもりかと、国に対する要望をですね、ぜひ、ちょっとそこは明らかにしていただきたいと思います。

 

■地域福祉部長

 福祉用具の問題に関しましては、国の審議会でも、例えば高松市長などからは、やはり必要なサービスが適切に提供されることが、大前提での検討をというようなお声も上がておりますので、いまはまだ審議の状況を見ていかなくてはならないと思っております。

 

●塚地県議

教育長に伺います。先程、西敷地の最後の問題で、高知市で検討委員会が開かれているから、高知市の所有地だからというご答弁でしたけれども、確かにそういう側面も当然あります。でも、県内の中心「オーテピア」という文化施設にとって、多目的広場というのは、きわめて重要な機能だというふうに思っています。それが十分でないという状況なら、高知市の方にぜひともですね、そういうことも検討に加えてほしいという提案はすべきじゃないかというふうに思いますので、ぜひその点は再度ご検討いただきたいと、「オーテピア」にとっての多目的広場の重要性の教育長の認識も合わせて、その点はお聞きをしたいと思います。

 

■教育長

 多目的広場につきましては、「オーテピア」と一体的に整備をするということで、中心市街地活性化の計画の中でも位置付けられております。そういったことから「オーテピア」についてもですね、多目的広場との一体的な活用、中心市街地活性化に寄与できるような活用の仕方も考えていきたいというふうに考えているところでございます。

 そういったことは当然、検討の中でも考えていただいているのではないかというふうに考えています。

 

 

【第三問】

●塚地県議

 ありがとうございました。

 「オーテピア」多目的広場の役割、機能と合わせて西敷地の問題も検討していただけるのではないかという教育長のご答弁でしたので、それを高知市にぜひとも伝えて検討に加えていただきたいと、要請をしていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 それと、最後に原発の問題なんですけれども、知事の方から、ご答弁がございました。縷々あったご答弁のひとつひとつ聞いておりますと、四国電力がおっしゃっていることをご説明していただいているという、私は改めてちょっと認識になってしまいました。四国電力はすでにですね、伊方原発が動き出して、四国外への売電を始め、ついに伊方の2号機まで再稼働させるということまで言い始めて、これでは原発をなくしていくという方向性ではまったく違う、県との方向性と違っているというふうに思いますので、その点については知事はいまどのようにお考えなのかという点を最後にお伺いをします。

 

■知事

 四国電力の説明をそのまま鵜呑みにして、ここでお話ししているわけでは決してありませんね。色んな意味において違います。

 まず第一に四国電力に対しては、我々の方から、ある意味、国の規制委員会では問題視されていないことでもあえて質問するなどという厳しい姿勢で臨んでいるつもりであります。

 最大の揺れが650ガルになる基準地震動が複数回起こった場合などいうことについてはですね、我々が発議して質問したところでありまして、かなり厳しい対応をしているんではないかと思いますし、さらにもう一つ言わしていただければ、専門家のみなさま方にも色々ご意見を聞いて、その裏付けをとって、私どもとして答弁もさしていただいております。先程の答弁でもそうでございました。そういうことです。

 ご質問のありました2号機の問題についてですね、確かに報道で2号機の再稼働について検討をという社長のお話があったというふうに報道で伺いましたけれども、私どもといたしましては3号機の時において、徹底してその必要性と安全性について勉強会で確認をさしていただいてきたわけでありますが、この2号機についても、もし再稼働にむけて申請をされるということであれば、同じプロセスをしっかりとさしていただくということだと、そのように考えてます。