議会報告

  • 2016年03月18日
    2016年2月議会 「消費税増税中止を求める意見書」への賛成、「軽減税率の円滑な導入に向け事業者支援の強化などを求める意見書」への反対討論 中根佐知議員(2016.03.18)

 私は日本共産党を代表し、議発第6号「消費税増税中止を求める意見書議案」に賛成、議発第7号「軽減税率の円滑な導入に向け事業者支援の強化などを求める意見書議案」に反対の立場で討論を行います。 

 安倍政権は第2次政権発足後、14年4月に消費税の税率をそれまでの5%から8%に引き上げました。増税による負担増は7兆円を超し、国民の暮らしを一気に冷え込ませ、経済を低迷させました。勤労者の実質収入や消費の低迷は長期にわたって続き、経済全体の規模を示すGDPも増税直後にマイナスに落ち込んだだけでなく、1年以上たった昨年4~6月期や直近の10~12月期もマイナス成長になるありさまです。

 安倍首相も消費税増税の影響について「予想以上に落ち込み、予想以上に長引いている」とし、これまでの「一時的な影響」としてきた見通しの誤りを認めています。

 1997年の増税のときも、家計消費が落ち込み、その後の不況の原因となりました。そして、その後17年間、消費税は増税しませんでした。ところが今回は、その97年よりも消費が落ち込んでいるもとで、来年、これを10%に再増税しようとしています。来年の増税は2%ですが、実質的には連続増税であり、家計にとってみれば3年間、5から10%に引き上がることになります。政府の国会での答弁によれば、1世帯当たり18万4000円、1人当たり8万1000円程度というすさまじい負担増になります。このまま増税に突き進めば、国民の暮らしも日本経済も大変なことになるのは明らかです。

 安倍政権の消費税増税の影響が長引き、経済が低迷を続けているのは、「アベノミクス」で大企業のもうけを増やしても、大企業はため込みを増やすだけで賃金や雇用の改善に回さず、国民の消費は伸び悩んでいます。

 

 消費税増税に警戒と批判が高まっており、安倍首相の経済ブレーンといわれる内閣官房参与の本田悦朗氏までが「消費税率10%への引き上げは必ず凍結すべき」「客観情勢として、消費増税ができる経済環境に全くなっていない」、同じく内閣官房参与の浜田宏一・米イエール大名誉教授は、ロイターとのインタビューで、「消費増税を強行するのは、かなりのリスクがある。経済のパイが縮小してしまう」と発言をしています。政府は、5月のサミットを見据えて「国際金融経済分析会合」を開きましたが、講師のスティグリッツ米コロンビア大教授は、「消費税は総需要を増加させるものではなく、今のタイミングで引き上げるのは適切ではない」と主張をしています。消費税の増税中止は、政治の重大な焦点課題です。

 消費税の増収分は、社会保障に使われるといいますが、ほとんどは財源の付け替えです。昨年6月の骨太方針では、社会保障費の自然増1兆円といわれるものを、その半分の5千億円に削減することが決められ、部分的な改善はありますが、全体としては年金、医療、介護など改悪のオンパレードとなっています。医療崩壊、介護崩壊をもたらした小泉改革の2200億円削減に倍する削減がおしすすめられようとしています。

 県民所得が低く、中小企業が多い、医療・福祉分野が最も大きな雇用分野となっている本県は、もっとも大きな被害をうける県であると言えます。また、東日本大震災からの復興にも逆行するものだと考えます。

 安倍政権は昨年10月に消費税を8%から10%に引き上げる予定でしたが、17年4月に延期、増税の打撃をごまかすために「軽減税率」導入などを持ち出しました。「軽減税率」といいますが、一部の品目を据え置くだけでそれ以外の税率は引き上げられるため、国民にとっては1人当たり2万7000円、1世帯当たりでは6万2000円もの負担増になります。税率が複数になる混乱や中小売業者への負担増も予想され、一時的な補助ですむ問題ではありません。

 

 消費税は低所得者に重いという逆進性をもっていますが、軽減税率制度を導入しても税率を10%にすれば今よりも逆進性は強まることは財務大臣も認めています。社会保障にもっともふさわしくないのが消費税です。

 しかも軽減税率は、将来のさらなる大増税への布石です。公明党の斉藤鉄夫税調会長が「将来、消費税率は13~15%…欧州並みの20%に、そのときでも食べ物は8%に据え置かれる」「そのときに初めて軽減税率の意味が出てくる」と述べ、財務省大臣官房審議官も「軽減税率導入によって税率を上げる決断をする政権はやりやすくなるだろう」と表明しています。さらなる大増税を前提とした「軽減税率」や、導入に向けた事業者への支援強化ではなく、10%増税をきっぱり中止すべきです。

 以上、議発第6号「消費税増税中止を求める意見書議案」に賛成、議発第7号「軽減税率の円滑な導入に向け事業者支援の強化などを求める意見書議案」に反対し、討論といたします。

 同僚各位の賛同を、どうぞよろしくお願いいたします。