議会報告

【質問項目】

1、障害児支援の充実

2、介護保険

 

 

【障害児支援の充実】

●米田県議

まず障害児支援の充実について、地域福祉部長にお伺いをします。

  先日2月12日にNHK「四国羅針盤」で「眠れない母親たち~どう支える重度の障害児介護」が放映をされました。ご覧になった方もおいでると思いますが、少し紹介をさせていただきます。

  筋力がなく、飲み込むことが出来ず、人工呼吸器を付けた5歳の重度障害児。知的障害はなく、母親とトランプをしたり、電動車いすを使っての室内でのかくれんぼ。その笑顔と表情は非常に明るい。同時に、痰の吸引が必要で、昼夜問わず1日約50回ほど、1回1時間半続くこともあり、24時間目を離すことが出来ない。母親の就寝は午前0時頃、2時頃気になり目が覚めることも。また、体がパッと動いた音や、胸の音、呼吸が変わるなど”呼吸が苦しい”と言う合図で目が覚めます。

吸引はまさに”生命線”で、仕事を辞め介護に当たっているが、休む時間は今まで5年間なかった、と母親は語っています。日中はいつも2人きりで、唯一の代役は訪問看護師さんが来てくれた時。 一時的でも預ける場所をとあちこち相談しても見つからず、母親同伴ならと保育園へ週2回、2時間一緒に見学に行き、保育園楽しかったと聞くと子どもから“OK”と合図がかえってきます。

  いま、泊まりが出来るショートステイを利用させたいと、医療機関と2年間話し合いを続けています。子どもが出す合図で吸引をしてほしいとの要望に病院は専属はいないが対応を検討する、しかしまだ結論は出ていません。家族は不安があるものの預けることを決断、子どもも苦しいだろうが一緒に乗り越える、子どもの成長が楽しみ、と語っています。共に生きるための家族の模索、母と子は共に生きていける場をきりひらく、番組のまとめの言葉でした。

  以上一部ではありますが、重度障害児と家族の置かれている実状をふまえて、地域福祉部長に伺います。

まず、医療的ケアを必要とする方を含めて、就学前と就学後の重度障害児の実態をどう把握しているのか、お聞きします。

 

■地域福祉部長

在宅の重度障害児の実態につきましては、平成25年度に、一定の条件のもと、県下の18歳未満の88名、内訳は、就学前が15名、就学後73名となっておりますが、市町村を通じて医療的ケアの有無と障害福祉サービスの利用状況などについての状況調査を実施しております。

その結果、医療的ケアを必要とします児童につきましては、就学前が8名、就学後が17名と対象児童88名の約3割を占めております。

 また、平成26年度には、個々のニーズに応じたサービス整備を進めていくため、「重症心身障害児等サービス調整会議」や関係機関等のアドバイスを得ながら、お一人おひとりの状況を詳細に把握するためのアセスメントシートを作成しております。

現在、このアセスメントシートを活用しまして、県内の在宅重度障害児につきましての実態調査を詳細に市町村の協力を得て実施しております。

 今後、当該調査結果をもとにしまして、医療、福祉等の関係機関とも連携し、県下の重度障害児の在宅生活を支えていくため、行政としてどのようなサポートができるかといったことを念頭に、支援体制の整備に向け、創意工夫をしてまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

ありがとうございます。本当に一人ひとりの実態に応じた対策をぜひ検討、また対応していただきたいと思います。

知事にお聞きしますが、番組「四国羅針盤」をもしご覧になっていればそのご感想と、また重度障害児と家族の現状についてどう受け止めておられるのかお聞きします。

 

■知事

委員のご指摘を受けましてですね、この「四国羅針盤」について、録画ではありましたけれども見させていただきました。正直申しあげまして、ホントにもう想像を絶するご苦労だなということをですね、まざまざと痛感させていただいたということであります。

 日本一の健康長寿県構想の中におきましても、「障害児を社会全体で見守り育てる地域づくり」という項目を設けて取組みを進めてきておりますけれども、こういうお子様達、そしてそのご家族の皆様方のケアを進めていくためにですね、なお一層実態をよく把握したうえで、よりキメの細かいですね、対策を講じていかなければならないなということを痛感いたしておるところでございます。

 それから、医療機関の皆様とかですね、関係の皆様との連携をもう一段強化をしていって、必要な人材の確保策でありますとかですね、いろんな課題を解決していくための取組みというのをですね、しっかり検討させていただいて、何とか実現につなげていきたいものだなと、そのように考えております。

 

●米田県議

「眠れない母親たち」の願い、5年間休む時間はなかった、との思いに応えることが強く求められています。具体的に何点かお伺いします。

県の障害福祉計画には、重症の障害児を対象とした通所支援は、子どもの発達を促すだけでなく、保護者にとっても重要なレスバイト、休息支援や就労の機会を得るための支援となる、そのための必要な事業所の確保を図るとして努力の姿勢を強められています。また、就学後の重度障害児者についても、医療的ケアの必要な児童を受け入れることのできる放課後等デイサービスが不足しているため、サービスのいっそうの充実とともに、さらなる整備が求められていると思いますが、今後の取り組みについて部長にお伺いします。

 

■地域福祉部長

重度の障害があるお子様を対象とします通所支援につきましては、就学後の子どもを対象とした放課後等デイサービスを実施する事業所が県下で6か所、そのうち4か所につきましては就学前の子どもに対してもサービスが提供されておる状況です。

 こうした事業所でのサービスの充実、あるいは新規開設につきましては、先程の知事のご答弁にもありましたように、人材、特に専門職の確保が課題となっておりますので、今後、関係機関とも連携し、必要な人材確保につながる支援策についての検討を行ってまいりたいと考えております。

 なお、今国会に提出されております改正児童福祉法の方では、外出が著しく困難な重度の障害児に対しまして、ご自宅を訪問して発達支援を実施するサービスが新たに創設される予定となっておりますので、通所による支援以外の新たな選択肢が増えるものと期待をしているところです。この点、新たなサービスの情報収集に努めてまいりますとともに、本県での提供の可能性についても検討してまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

新たな訪問も検討されるということですが、この間、お話をお聞きしますと、子どもたちがマンツーマンではなくて、やはり仲間の中で、集団の中でかかわっていきたい、そういう親子の願いがありますので、ぜひそういう受け止めをしていただきたいと思っています。

確かにこの間、放課後デイサービスなども一定整備されましたけれども、NPO法人など献身的な努力のもとで整備がされています。しかしなかなか実態は深刻なのです。例えば放課後デイをやられているNPO法人は、もし重度の障害の方を3人預かれば、食事は3通り作らなければならない、しかも介護は2倍の6人いる、しかし時給も安くてなかなか人が集まらない、そういう不安・心配をかかえておられます。また送迎の希望が大変強いです。しかし、そういうNPOでやられている方にとって福祉車両1台を構えることも大変な状況なんですね。

ぜひそういう実態を把握して頂いて、公的な支援も、私は抜本的な強化がどうしても必要だというふうに思うのですが、この点はどうでしょうか。

 

■地域福祉部長

委員のお話にありましたように、放課後等デイサービス等につきましては県下でも順調に高知市を中心にサービス提供機関が増えておりますが、それぞれ置かれた、新たに事業参入された事業主体におきましては、運営面で何かといろいろな面でご苦労されていると思います。

 全国の他県の先進的な事例等を含めましてですね財政的な支援でサービスが一定確保できるような方策については今後創意工夫をしてまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

医療的ケアなどを必要とする在宅重度障害児の短期入所のニーズも高く、空床待ち、空きベッド待ちと聞いています。

これまで県は、高齢者対策で、緊急のショートステイベッドを確保し、ニーズに応える取り組みをされてきていましたが、医療的ケアを必要とする在宅の重度障害児者の短期入所利用促進事業の現状も含めて、今後の実施見通しをお伺いします。

 

■地域福祉部長

県内におけます重度障害児の受け入れが可能な短期入所事業所は現在4か所ありますが、委員のお話にもありますように、利用者の希望どおりには、利用できていない状況があるともお聞きをいたしております。この点、休む間もなく子どものケアを行っているお母さん方の厳しい状況は、十分に認識をいたしているところでございます。

 また、重度の障害がある方につきましては、環境の変化などにより容態が悪化しやすいということもあり、使い慣れた医療施設を利用されている方がほとんどだとお聞きをしており、障害特性を十分に把握されている医療機関などで、短期入所事業として受け入れを行っていただく施設が増えていくことが望ましいものと考えております。

 このため県では、委員のお話にもありますように、医療機関における短期入所サービスの提供を促進するため、平成25年度から通常の障害福祉サービスに上乗せ補助を行う「短期入所利用促進事業」を創設し、現在、高知市内の医療機関において、新たに新年度からの実施に向けた調整を進めさせていただいているところでございます。

今後とも、実施していただける医療機関が増えますよう、関係者の皆様と積極的な協議に努めてまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

県がそれなりに努力されて、県単のそういう制度もつくられているんですけれども、現実的には平成25年度から始まった今の短期入所利用促進事業は一度も活用されていませんよね。

その要因とどこを解決すればこの事業が活かされるのかということを、私は大変ですけれど、行政が本気になって対応すべきだと思うんですが、そのあたりはどのように認識されていますか。

 

■地域福祉部長

 平成25年度より新たな利用促進事業として制度として創設しておりましたけれども、現在のところ新たな医療機関というのが出ていないというそういう実態もございます。

 これに加えまして、どうしてもこういうサービスを提供する場合にはそういう専門的な職員が新たに配置をするというふうな形のものも求められておりますので、そういう面で事業者側がですね、医療機関の方がこういうサービスをですね、提供しやすい基盤整備というか条件整備、そういうものについても留意していくというふうなことが県の方に求められているんじゃないかと、そのように認識しております。

 

●米田県議

大変な事業ですけれど、眠れない母親たち、これは一刻の猶予もなされないし、今県ががんばって取り組む姿勢を示されましたが、ぜひそういう方向で来年度から実施できるような対応をぜひとっていただきたいということを、合わせてお願いをしておきたいと思います。

日本初の障害児専門保育園へレン、保育対応型児童発達支援事業所が東京都杉並区に2014年9月にオープンをしています。医療的ケアの必要な障害児、重症心身障害児など定員15名、スタッフ11名程度で、東京都と杉並区の支援を受けて認定NPO法人が設立、運営をしています。

高知県としても障害の特性に応じた切れ目のないサービス提供体制の整備を目指しています。一人ひとりの障害児の発達保障と、保護者の労働、人権保障の上で、県として障害児専門の保育園を検討すべきと思いますが、お伺いをします。

 

■地域福祉部長

重度の障害のある子どもたちの保育の場を確保する方策としましては、児童発達支援を行う事業所等におきまして、長時間の受け入れが可能となる体制を整えていただく。もう一つの形態といたしましては、身近な地域の保育所において重度の障害のある子どもさんの受け入れを進めていただくと、この2つがあろうかと思います。

議員のお話にもございました障害児の専門保育園は、医療的ケアを必要とする重症児5名と必要としない10名、合計15名の方を受け入れる児童発達支援施設だとお聞きをいたしております。運営体制面などを調べますと、国からの財政支援に加えまして、地方公共団体からの運営面と専門職の加配等に対しまして、独自の上乗せ補助がなされているというふうにお聞きをいたしております。

このため、先ずは、サービス提供面での看護婦をはじめとします専門職の配置や行政からの支援策などを含めた円滑な運営の在り方などを中心に、検討を進めてまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

ありがとうございます。ぜひ、障害児のみなさんやご家族のみなさんのニーズ、思いに応えて、前向きに検討をしていただきたいというふうに思っています。特にここはですね、国の補助と共に、東京都が看護師の人件費を保障したり、そして保育料についても杉並区が思い切った助成をされています。そういういま支援なくしてこの事業は成り立ちませんので、ぜひそういうことも含めて検討いただきたいと思います。

 次に、重い障害をもって生まれた後に、助かった命、しかしその命をつなぐ対策がない。退院しようにも受け入れ先がなくて、5年間病院のNICUなどで療養を続けた子もいます。

財政支援の抜本的な強化で、一人ひとりの特性に対応できる施設の整備、スタッフの研修・養成、相談体制の充実を改めて求めるものですが、地域福祉部長にお聞きします。

 

■地域福祉部長

県ではこれまで、医療機関や在宅医療従事者、入所施設などの関係機関で構成いたします「重症心身障害児等サービス調整会議」を開催いたしまして、関係機関との協議を踏まえ、必要なサービス資源の確保や在宅の重度障害児等の実態把握に向けた取組みを実施してまいりました。

 今後は、これまでの取組みも踏まえまして、関係機関の協力も得ながら、先ずは、最初にお答えいたしましたアセスメントシートを活用した重度障害児に関する詳細な実態調査の結果などをもとに、支援策の充実・強化に必要な情報の一元化と積極活用などに努めてまいります。そのうえで、重度障害児へのサービス提供を担う人材の育成・確保策などを含め、サービスの充実・確保に向けた取組みを進めてまいりたいと考えております。

その際には、子どもさんの健康状態に関わる医療ケアの充実はもちろんのことでございますが、介護に従事する保護者の皆様の御苦労にも配慮の行き届いたご家族に寄り添う支援体制の在り方といったようなことに留意してまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

 昨日ちょうどスマイルサポートの会の例会「キッズ集まろうよ」の会がありまして、私も初めて参加させていただきました。安芸市や遠くからもお母さんたちがご苦労の中参加をされていました。障害を持つ子の命と未来への母親たちのあふれる思いとパワーを感じました。行政がいま真摯にこうした実態に向き合って、スピード感を持って取り組むことが求められていると強く感じたところです。

改めて知事に今の論戦も含めて、決意についてお伺いしたいと思います。

 

■知事

ホントにですね、こういうことこそしっかり対応しないといけない話だと、そのように思います。

よく実態を把握させていただいて、専門人材の確保とかですね、なかなか難しい課題もあると思います。だからこそ、よく実態把握させていただいたうえで、そのうえで実効ある策をとることができるようにですね、していきたいとそのように思います。よく検討して、しかしスピード感を持ってしっかり換討していきたいと、そして実行につなげていきたいとそのように思います。

 

 

【介護保険】

●米田県議

次に、介護保険について地域福祉部長にお伺いをいたします。

介護をめぐる事件が連日のようにニュースになっています。

川崎市の高齢者連続転落死事件は、衝撃を広げています。仕事のストレス云々などが報じられていますが、尊い人命を奪った行為は絶対に正当化できるものではありません。警察の初動や、国や自治体の監査・指導体制を含め、厳しい点検と検証が求められています。同時に、介護施設職員による高齢者虐待件数が14年度過去最多の300件を上っていること、慢性的な人手不足や多忙化、やりがいと意欲を減退させる低賃金などの厳しい労働環境などの背景の解明が不可欠です。まさに介護労働者の処遇改善は待ったなしです。

  また、家族が介護疲れから殺人に至る事件は、統計を取り始めた07年から14年の間に未遂も含め373件起きています。年平均46件、8日に1回の割合です。介護を苦にした自殺・無理心中は同じ8年間で2,272人にも上ります。介護のため家族が仕事を辞める「介護離職」は年約10万人で推移しており、企業活動の妨げにもなっています。介護保険の認定者約615万人の内、半分以上が在宅介護サービス利用者です。「介護の社会化」をうたって始まった制度ですが実際は、家族介護を前提に設計をされています。そのうえ介護サービスの削減と負担増を国民に押しつけていると考えています。

  いま社会保障費の削減路線ではなく、介護現場のひずみをただし、高齢者の安全と尊厳を保障する介護の土台を築くことが急がれていると考えます。以下、地域福祉部長にお伺いをします。

 要支援者に対する介護予防給付の訪問、通所介護が保険から外されたことにより、全国展開の事業者が公然と介護予防事業を中止したり、事実上サービスを拒否する事業所 など「介護予防難民」が生まれています。また人手不足や介護報酬減による経営難などを理由に、訪問介護事業から撤退する事業所が出ています。また入所定員を充足できない施設があるとも言われています。

実状と認識、対策について地域福祉部長に伺います。

 

■地域福祉部長

介護予防サービスの提供事業者につきましては、平成27年4月から12月までの間の廃止事業者数が57事業者、前年同時期の78事業者に比べますと21事業者の減少となっております。訪問介護の方につきましては、期間中に廃止した事業者は8事業者であり、前年と同数となっております。また、介護職員の不足から県内で入所定員を充足できなかった施設につきましては、1施設を把握しているところです。

増減状況を見る限りでは、現在のところ、県内では、報酬改定前と比べまして大きな状況変化は生じていないのではないかと認識をいたしております。

 また、今回の介護報酬改定に伴う見直しの中で、県内のサービス提供事業者の皆様は、新たに創設されました加算の仕組みを創意工夫で活用するなど、様々な努力をなされまして、サービスの継続に努められていることは承知をいたしているところです。

 今後とも引き続き、県内事業者の状況の把握に努め、今回の介護報酬の改定の影響などにつきましても検証を行い、次期の介護報酬改定に向けての政策提言などに役立ててまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

次に、介護労働者の処遇改善についてですが、約2万人から寄せられた公益財団法人介護労働安定センターの平成26年度介護労働実態調査によると、働く上での悩み・不安・不満等について、①人手が足りない48%、②仕事内容の割に賃金が安い42%,③有給休暇が取りにくい34%、④身体的負担が大きい30%、などとなっています。

実態調査の結果を受けて、県としての介護職員の勤務環境を改善していくための取り組みについて地域福祉部長に伺います。

 

■地域福祉部長

福祉・介護人材の安定確保に向け、介護職員の勤務環境の改善を図ることは重要な事だと考えております。

県では、日本一の健康長寿県構想におきまして、人材確保に向け、離職防止と定着促進に向けた取組みを来年度から強化することとしております。

 先ず、職員の処遇面での改善に向けましては、福祉研修センターの研修体制の充実を図ることによりまして、職員のキャリアアップを支援いたしますとともに、離職原因や働く上での不安要因となっております身体的な負担の問題につきまして、職場環境の改善に向け、福祉機器や介護ロボット等の導入支援を通じまして、職員の身体的負担の軽減を図ることとしております。

 また併せまして、管理者向けの職員定着支援セミナーの開催とか、育児短時間勤務制度の普及に向けた代替職員の派遣事業など、各事業所におけます勤務環境の改善に向けた取組みを支援してまいりたいと考えております。

 

●米田県議

処遇改善にかかわって、介護現場では、時給が700円前後、その上例えば施設と在宅介護などの移動時間を労働時間とせず不払い賃金があったり、パートに有給休暇を保障しない、あるいは雇用契約書がないなど、違法な働かせ方も発生をしています。

関係機関と連携するとともに、自治体の指導監査に当たって、労働法制の遵守を徹底、指導すべきだと考えますがお伺いします。

 

■地域福祉部長

 介護サービス事業者への指導監査につきましては、介護保険法に基づきまして県が実地指導並びに監査を実施しているところでございます。なお、地域密着型サービスにつきましては、市町村での指導監督となっております。

 議員のお話にありました、労働法制関係の指導監督権限につきましては、労働基準監督署にあるため、介護サービス事業所の従業員等からの関連いたします苦情や相談などにつきましては、労働基準監督署への相談などを助言をいたしているところです。なお、介護職員処遇改善加算につきましては、県の方で実地指導により給与の改善状況並びに職場の改善状況について確認をいたしております。

 また、県では、研修会方式の集団指導におきまして、労働基準監督署に依頼のうえ、労働基準関係法令の遵守に係る講義を行っていただいており、介護サービス事業所での適正な雇用関係が維持されますよう、県としても努力してまいりたいと考えております。

 

●米田県議

 問題は、介護職員の処遇改善、とりわけ賃金引き上げが待ったなしだと私たちは認識しています。

8,300余の回答が寄せられている事業所における実態調査でも、59%が従業員が不足と答えて、その理由は72%が採用困難であると回答をしています。そして採用が困難な主な理由に、賃金が安い61%、身体的・精神的に仕事がきつい49%、となっています。

働く人にとっても、事業所にとっても、また利用者にとっても処遇改善、とりわけ賃金引き上げは待ったなしだと思います。改めてその認識について部長にお伺いします。

 

■地域福祉部長

介護人材の安定確保に向けまして、新たな人材の参入促進と人材の定着促進・離職防止対策といった両面からの取り組みを来年度から強化することとしておりますが、サービスを持続的に安定確保するためには、介護職員の処遇改善、特に賃金引き上げの問題は重要な課題だと認識をいたしております。

 昨年4月実施の介護報酬改定におきまして、これまでの職員1人当たり月額1万5千円相当の加算に、1万2千円相当分を上乗せする処遇改善加算の拡充措置が行われましたが、昨年10月現在で、新たな上乗せ加算を活用している事業所数につきましては、半数程度にとどまっておりまして、本制度の積極的な活用について周知に努めているところでございます。

 併せまして、県では、来年度から、介護職場では資格取得の方が賃金の向上につながるというふうな実態がございますので、進路選択を考えております高校生や人手不足感がより強くなっております中山間地域の住民の皆様を対象といたしました、介護職員初任者研修の開催を大幅に拡充いたしまして、資格取得を促す取組みを支援することといたしております。

 さらに、介護福祉士の資格取得方法の見直しといたしまして、介護福祉士等修学資金貸付事業を拡充することとしておりまして、国家試験受験対策に係る費用の加算とか、実務者研修受講者を貸付対象に新たに含めるなどの拡充措置を実施してまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

 ありがとうございます。

2日、野党5党が共同で「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を国会に提出をしています。介護、福祉の従事者約122万人の賃金を直接改善するために、平均して1月当たり1人1万円、事業者等に助成金を支給しようとするものです。

この法案の受け止めについて、また処遇改善に向けた全国的な取り組みの強化が求められていると考えますが、地域福祉部長のご所見を伺います。

 

■地域福祉部長

 議員のお話にありました「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」につきましては、介護報酬とは別に助成金を支給することで、人材の確保並びにサービスの質の向上を図る趣旨のものだと理解しております。

内容につきましては、詳細が政令に委任されておりまして、不透明な状況にもありますので、今後の国会での議論の動向を注視してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、先ほどもご答弁いたしましたように、まずは、現行の介護職員処遇改善加算を十分に活用していただくよう、事業者の皆さんに周知をいたしますとともに、こうした給与の改善措置が、正規暮非正規を問わず、何らかの形で恒久化されますことが、人材の安定確保の面で重要なポイントとなるものと考えておりますので、今後の国の動向も見据えながら、全国知事会などとも連携した政策提言活動を検討してまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

 ありがとうございます。いま賃金が低くて人材も不足し、夜勤をですね、ヘルパーさんじゃなくて、介護職員でもなくて、相談員が入ったり、職員の有給休暇が保障されなかったり、管理職が連日残業をするなど、大変な悪循環が続いています。ぜひ、それを打開するためにも、賃金引上げに向けての県としての対応、また全国的な共同の取り組みを強化していただきたいと思います。

 次に、国は、要支援者、高知県では介護認定者の25%、約1万2千人になりますが、要支援者の訪問、通所介護の保険給付外しに続いて、さらに要介護1と2、認定者の36%、約1万7千人に高知県ではなります。全国で約229万人のサービスを保険から外す、あるいは原則利用者負担にするという改悪に着手をして、来年の通常国会に法案を提出しようと計画をしています。いわゆる軽度者が専門的なケアを受けられなくなると、利用者の重症化が進み、介護保険財政を圧迫することにしかなりません。また政府が掲げる「介護離職ゼロ」の施策にも逆行する事は明らかです。中重度以上を対象に始めたドイツや韓国の介護保険は、いま軽度者にも対象を拡大するなど改善をしてきており世界の流れとも逆行すると考えます。

高齢者と家族の生活、尊厳を守り保障するために、今回の国の計画を中止するよう求めるべきだと思いますが、知事のご所見をお聞きします。

 

■知事

 確かに、先月開催されました社会保障審議会の介護保険部会におきましてですね、2018年度の介護保険制度の見直しに向けまして、「軽度者への支援のあり方」、これが検討項目に上っておるわけであります。

一つには、介護保険をいかに持続可能なものにしていくのかという観点からの議論ということであろうかと思いますけども、他方でですね、やはり要介護状態の方がしっかりとしたケアを受けられるようにしていく、そういう体制をしっかりと整えるいうことも大事な論点なんだと思います。

 平成27年度の介護保険制度の見直しによりまして、要支援者の皆様方に対する対策、これが市町村の総合事業へ移管するということで、ほとんどの市町村において、県内の市町村も、29年4月までの移行に向けて、取組みが進められているわけであります。

それに加えての今度、要介護1、2を対象とした新たなサービスの見直しということになってくるわけであります。

この中で、必要な方が必要なサービスを受けられないとにならない、そういうことにならないようにすることは、非常に大事なととだと考えておりますので、議論の動向をよくよく注視していきながら、全国知事会などとも相通じまして、必要であれば政策提言などへもつなげてまいりたいと、そのように考えております。

 

●米田県議

 要介護1と2の方々は、生活援助をすることによって、いまの水準を維持し、また自立の大きなお役にたっているわけですね。専門的な職員によるケアですから、これは必要なサービスがこれを取られたら受けられなくなります。そういう点では本当に政府の言う「介護離職ゼロ」とも、流れとも逆行するものですので、ぜひ注視もしながら意見を国に対してしっかり上げていただきたいと思います。

 以上、障害児の支援の充実や介護の問題を取り上げさせていただきましたが、自治体の重要な役割は、住民の福祉の増進です。その最前線にある高知県、また市町村が

その立場でぜひ住民のみなさんのニーズをしっかりと踏まえて、思い切った対応を今後とも強めていただきますように、重ねてお願いもいたしまして私のすべての質問を終わらさしていただきます。ありがとうございました。