議会報告

【質問項目】

1、知事の政治姿勢/憲法問題

2、知事の政治姿勢/アベノミクス

3、知事の政治姿勢/TPP

4、知事の知事姿勢/原発再稼働・エネルギー問題

5、林業政策

6、若者定住策

7、子どもの貧困対策

8、ビキニ被爆船員の労災申請(要請)

 

 

【知事の政治姿勢/憲法問題】

●吉良県議

まず、知事の政治姿勢です。

大規模災害や有事に対応するために、憲法に緊急事態条項が必要ではないか、という改憲論が浮上してきています。

知事は、昨年の衆議院憲法審査会の地方公聴会において、南海トラフ巨大地震と連動した富士山の噴火という史実を踏まえ、大規模複合災害への万全の対処を望む立場から、衆院議員の任期が4年と規定され、憲法54条で、衆院解散中の対応として参院の集会に規定されている参院の緊急集会で対応が十分にできるのか。また災害時の私権の制限についても災害対策基本法では「人命にかかわる場合」となっており、物資輸送の面で困難が生じる等の懸念事項をあげ、それらは憲法改定をしなくては対応できないのか、という意味を含んでと思いますが、十分に議論をしてほしい、と陳述したとお聞きしています。

災害時に被害を最小限にとどめ、迅速な対応をするために制度を整備することは大変重要な課題です。その際何よりも大事なことは、緊急事態を想定した、過度な権力の集中、人権の制限が、どのような事態を生み出すのか、生み出してきたのかという歴史の教訓に真摯に向き合う姿勢ではないでしょうか。そしてなぜ災害対策のために憲法改正が必要なのかという国民の疑問に答える姿勢が求められます。

ヒトラーは、全権委任法によって独裁政治を確立し、ユダヤ人の虐殺、第二次世界大戦へと突入させていきました。日本でも、関東大震災で政府が戒厳を布告、軍や警察などによる無政府主義者、朝鮮人などへの弾圧につながった苦い歴史を持っています。

現憲法の制定に尽力した金森徳次郎憲法担当相は1946年7月、帝国議会衆院憲法改正案委員会で「緊急勅令及び財政上の緊急処分は、行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間、有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶか、あるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になる」 のべ、緊急事態条項が乱用される危険を直視し、あえて現憲法にそうした規定を入れなかった重要性を語っています。

知事の発言は、こうした歴史をも踏まえた問題提起と思いますが、権力の乱用の危険性について知事の認識をお聞きします。

 

■知事

まず、憲法における緊急事態条項に関して、権力の乱用の危険性についてのお尋ねがございました。

昨年、本県で開催されました衆議院憲法審査会地方公聴会では、東日本大震災をはるかに上回る被害が見込まれ、極めて重大な緊急事態となる南海トラフ地震が発生した場合の災害対応上の課題につきまして、憲法に深く関わる点を憲法審査会で大いに議論していただきたい、との趣旨で意見を申し上げました。

先ほど、桑名議員にお答えしましたとおり、南海トラフ地震のような極めて重大な緊急事態が発生し、かつ、その際に国会が正常に機能しない状況を想定しますと、国民の生命や身体を守るためには、政府に法律制定と同等の効果を有する権限を付与する規定や、また、憲法上の財産権、居住・移転の自由という私権を制限する規定が憲法に必要ではないか、と考えております。

 しかしながら、一方で、そうした緊急事態であることを理由に、政府に過度な権限を付与することや、過剰な私権の制限を認めることがあってはなりません。

まして、大規模災害への対応のために作られる緊急事態条項が、災害以外の目的に使われるといった権力の乱用は、あってはならないことは当然であります。

だからこそ、政府が行使できる権限の範囲やその期間について、また、大規模災害時に及びうる人権制限の範囲を限定するためにも、憲法に限定的に規定しておくべきではないか、とも考えるものであります。

 こうした過度な権限の行使につながらないことを目的とした規定も含めて、大規模災害による緊急時において必要となりうる緊急事態条項につきまして、国会で徹底的に議論をしていただくとともに、国民的な議論につながることを期待したいと考えているところでございます。

 

●吉良県議

災害時の公用収用の問題は、関連法令ですでに解決済みであると考えるものです。憲法の人権規定をもとに、多数の人々の生存権と個人の財産権が衝突する場合には、公共の福祉の観点から多数の生存権を優先するという形で整備がされ続けてきています。

 災害対策基本法は、救援物資の搬送する緊急通行車両の通行を確保するため、車両その他の物件の移動や「他人の土地を一時使用し、又は竹木その他の障害物を処分することができる」よう整備もされています。

岩手、宮城、福島、新潟、兵庫といった大震災を経験した自治体を含む17の弁護士会は、緊急事態条項の新設に反対する声明を出していますが、それは、権力の暴走への懸念と、被災地の活動を通じた経験からです。

災害対策は現場に近い市町村が第一義的に担うことになっていますが、東日本大震災で自治体の助言などで活躍した小口幸人弁護士は、自治体職員が、公用収用の規定を知らなかったことなど、「今の法律を十分に使いこなせなかったこと」が最大の問題と指摘し、「被害を最小限に抑えるのは、法制度やその周知、訓練などを含めた事前の準備である。大震災を改憲のダシにしないでほしい」と語っています。

また、「大災害と法」の著者である津久井進弁護士も、災害救助では都道府県が主体となっており、厚労省の施行令で定められた避難所の開設期間、食糧費、仮設住宅の費用などを実態にあわせて県が厚労省と協議して「特別基準」が設定できるようになっているにもかかわらず、現場の市町村が機械的対応をして、粗末な食事や避難所の閉鎖が大問題になったと、事例を示しながら述べています。同時に、災害対策は市町村が担い、救済は都道府県が担うという制度上のねじれ、また、被災者への現金給付を拒む運用の問題点、自治体をバックアップする専門性を備えた常設の緊急事態管理庁が存在しない問題点など、実践を通じた多岐にわたる改善点を指摘しています。

災害時の法制度の周知、訓練などを含めた事前の準備、これこそが最も大事で、そここそまず徹底してとりくむべきではないか、事前準備の状況と併せて、これは危機管理部長にお聞きします。

 

■危機管理部長

災害対策に関して、法制度の周知、訓練などを含めた事前の準備についてのお尋ねがございました。

災害が発生した場合、人命を守ることを最優先に、応急救助から被災者の生活支援や再建に至るまで、迅速に対応しなければなりません。

中でも、南海トラフ地震のように県内全域で大規模な被害が生じる災害に対しては、様々な被災の状況を想定して準備しておかなければなりません。だからこそ、県や市町村、事業所をはじめとした県民それぞれの立場で実施すべき具体的な取組のトータルプランとして、南海トラフ地震対策行動計画を策定し、発災直後から時間経過に沿ったステージごとに、ハードとソフトを織り交ぜながら、多重的に、県をあげて事前の対策を進めております。

現在、策定作業を進めている第3期行動計画では、「命を守る」対策を地域地域で徹底していく、「命をつなぐ」対策を掘り下げ具体化させていく、さらには、「生活を立ち上

げる」対策についても、速やかな復旧・復興を目指して検討の加速化に取り組んでいくこととしております。

 発災時に起こる様々な事態に対処するには、県や市町村の対応力を向上させる必要があるため、想定される被害に対応した実践的な訓練を繰り返し行わなければなりません。このため」行動計画に基づき、「命を守る」から.「命をつなぐ」ステージを中心に、災害対策本部・支部訓練や医療救護に関する訓練などによる、県や市町村職員、応急救助機関など関係団体の実践力の向上、また住民の皆様と連準した津波からの避難訓練や避難所運営訓練による、個人や地域の防災力の向上に取り組んでおります。

今後、こうした訓練の内容を拡充していくとともに、実践度をさらに向上させるなど、訓練を充実していく必要があると考えております。

また、「命をつなぐ」ステージ以降、特に、応急期後半から復旧期にかけて、被災者支援を多くの法律や制度に基づいて行うこととなりますが、過去の災害においては、自治体職員が十分な対応ができなかったケースもあったと承知しております。

 本年1月に県が開催しました「復興に関する庁内勉強会」では、東日本大震災で被災者支援に携わった弁護士の方に講師を務めていただきましたが、その中で、「被災者は生活再

建の過程で様々な法律を活用することの難しさに直面する」ことや、「被災者を支援する自治体職員自身が生活再建に関する法的なアドバイスを的確にできなかった」といった状況を踏まえて、まずは、自治体職員が法的知識を身につけることで、被災者の生活再建が進んでいくというお話を聞いております。

実際、災害関係の法律は、災害対策基本法や災害救助法の他にも、被災者生活再建支援法、災害の弔慰金や援護資金に関する法律、大規模災害復興法など、法律そのものも多岐にわたっています。また、法律を適用する制度の内容が複雑であることや、県や市町村職員が大規模な災害への対応経験が乏しいことなどが、法制度の理解が進まない理由ではないかと考えております。

 速やかな復興・復旧を目指して検討を加速化していくためにも、県や市町村職員が、災害関係の法制度の知識、理解を深めることが重要となってまいります。今後、法制度に関する研究を進めることと併せ、県や市町村職員の研修を充実させていくことで、被災者の生活再建が着実に進むように取り組んでいきたいと考えております。

 このように訓練の徹底と法制度の周知を通じた事前の準備にしっかり取り組んでまいります。

 

 

【知事の政治姿勢/アベノミクス】

●吉良県議

次にアベノミクスの3年間のもとでの、国民、県民の暮らしの実態への認識をお聞きします。

先ず、雇用の実態ですが、総務省の労働力調査では、2013年1月から2015年11月までに雇用者数は174万人増えています。しかし、その内訳は、正規雇用は36万人減って非正規雇用が187万人も増えているのです。年齢別では、65歳以上の高齢就業者数が135万人も増加しており、年金の切り下げ、医療や介護負担増のもと、高齢者が生活防衛のため働かざるを得なくなっている実態がうかがえるものです。

 この3年間で物価上昇を差し引いた労働者の実質賃金は5%減少しています。政府は「実質賃金がマイナスなのは、いままで専業主婦だった方などがパートに出るようになった結果、平均値としては下がっているが、世帯の所得は増えている」と説明なさっています。

 しかし内閣府提出資料を基にして賃金動向をみると、パートを除く一般労働者の実質賃金は、2010年を100とすると、安倍政権発足直前の2012年11月から昨年11月までの3年間で、87.1から、84.1と3ポイント低下し、パート労働者の方も102.3から96.2と6.1ポイント低下しています。2月5日、わが党の藤野保史衆議員が衆院予算委員会でこれらの数値と、「国民経済計算」での個人消費が、実質で0.5兆円マイナスとの数値を示し、「首相のいう『経済の好循環』など起きていない」との指摘に、石原経済再生相は統計数字を否定できず、首相は「(今後の統計)結果をよく分析したい」と答えるにとどまりました。

 「国民生活基礎調査」では「生活が苦しい」との回答が過去最高の62.4%になっています。日本経済の6割を占める家計の消費が冷え込んでいては、「好循環」など生まれようがありません。

これら政府の統計が示しているように、この3年間で国民の暮らしはますます厳しくなっていると考えるがどうか。また、この認識をしっかりもって県政運営にあたることが必要と考えるものですが知事にお聞きいたします。

 

■知事

アベノミクスについて、この3年間で国民の暮らしはますます厳しくなっていると考えるがどうか。また、こうした認識をしっかりと持って県政運営にあたることが必要だと考えるがどうか、とのお尋ねがございました。

いわゆる「アベノミクス」は、「大胆な金融政策」によって、中期的に企業経営者や消費者のデフレマインドを払拭し、設備投資や消費を拡大するとともに、「機動的な財政政策」

によって短期的に公的需要を拡大する、そして、「民間投資を喚起する成長戦略」によって、長期的に民間主導の成長を促し、経済の好循環を実現しようとするものであります。このように、アベノミクスは、短期、中期、長期の政策を組み合わせた理にかなった政策ではないかと思っております。

確かに、賃金については、実質賃金が昨年まで4年連続のマイナスとなっておりますが、この間、賃上げ率は2年連続で前年を上回り、名目賃金は2年連続で増加いたしました。

また、雇用者への分配額全体を表します「雇用者報酬」につきましても、対前年同期比で実質が3・四半期連続のプラスとなっております。

さらに、雇用面でも、昨年の正規の職員・従業員は、8年ぶりの増、26万人の増加となっており、加えて、昨年、本県だけでなく他県においても、有効求人倍率が過去最高水準

を記録するなど、経済の好循環が地方にも波及しつつもあると考えております。

 また、本県の経済におきましても、午前中の桑名議員のご質問にお答えしましたように、アベノミクスによる全国的な景気回復の効果もあって、全体としては、より良い方向に向

かっているのではないかと考えております。

例えば、実質賃金については、昨年3月以降、ほぼ前年を上回る値で推移しており、正規雇用者数については、減少傾向にあるものの、その割合は縮小しつつあります。

 ただ、経済の好循環を本格的に生み出していくためには、一定の時間もかかりますし、本県のように厳しい環境に置かれた地方をはじめ、まだまだ、全国津々浦々で景気回復を実感する状況に至っていないのも事実ではないかと思っております。

国におきましては、地方に波及しつつある好循環をより広い範囲で、より確かなものにしていただくよう、引き続き、成長戦略に取り組むとともに、地方創生の取り組みを強力に進めていただきたいと考えております。

県としましては引き続き、アベノミクスをはじめ国の政策をしっかりと県の政策に活かしてまいりますとともに、自らも産業振興計画などを通じて力強い拡大再生産の好循環につなげるための施策を強力に進めてまいりたいと考えているところであります。

 

●吉良県議

 安倍政権が、アベノミクス効果の宣伝として、高知県の有効求人倍率が過去最高、1.0を突破したことをあげ「祝杯」をあげ手放しで喜んでいるというような報道がされていますが、事実はそうではありません。

 まず、有効求人倍率がのびはじめたのは、リーマンショック後からで、県と県民あげての一次産業に軸足をおいた一貫した取り組みの成果であり、むしろ、アベノミクスの円安誘導による資材・燃料費の高騰で苦境をしいられたのが実態です。

県の認識も、「正社員の求人が低い」「大変厳しい状況が続いている」、有効求人倍率のアップにより、「深刻な問題、根本的な課題がみえてきた」とし、高知県の強みの源泉である中山間地域で若者が働き、安心して住み続けられるようにしなければならないとして、これからが本番であることを強調しているわけです。

有効求人倍率がアップした1つの要因に求職者数の減少があります。求職者数は、12年度平均18,092人から年々減少し、14年度平均15,225人です。日銀高知支店が2014年5月に発表した「高知県の雇用・賃金情勢について」では、「リーマンショック以前」では、求人があまり増加せず、有効求人倍率は低い水準のまま推移した。その一方で、今回の局面では、まず2010 年から2011 年にかけて求人数の増加によって、また2013 年以降は求人数の増加に加えて、求職者数の減少もあって、有効求人倍率が上昇している、としています。ここでいわれる求職者数の減少が、人口の減少、若者の県外流出、求職をあきらめた事などによるものであるとすれば、そこにはより大きな課題があることを示しています。

求人の中身を見てみますと、労働局発表の平成27年9月の雇用動向では、新規求人数5,551人のうち44%は非正規雇用です。産業分野別でみると、卸・小売の求人数は1,495人とトップですが、その76%はパート・非正規です。一方、2番目に求人数が多い医療福祉分野は1,238人ですが、なんとその70%が正社員です。本県で正職員、正社員を求める職種の3割近くは医療福祉分野であることも特筆されます。看護師、ヘルパー、保育士など、重い責任があるにも関わらず、それに見合わない低賃金であることも深刻な人手不足を生み出し、有効求人倍率を引き上げていると言えるのではないでしょうか。

有効求人倍率の上昇によって見えてきた課題にどう取り組むか、基本認識を知事にお聞きいたします。

 

■知事

有効求人倍率の上昇によって見えてきた課題に対してどのように取り組むのか、とのお尋ねがありました。

 本県の有効求人倍率は、昨年1.0倍を超え、本年1月には過去最高の1.05倍となっておりますし、正規の有効求人倍率も、0.6倍となり5カ月連続で過去最高を更新しており、本県の雇用情勢は、着実に改善しているものと思っております。

 本県の有効求人倍率の上昇の中身を分析をしてみますと、産業振興計画に取り組む以前の平成18年ごろと甚較して、求人数は約1.6倍、求職者数は0.7倍となっております。これまでの産業振興計画等の取り組みやアベノミクスの後押し、なんといっても企業など多くの皆様のご努力などにより、製造品出荷額等をはじめとする生産側の指標が、生産年齢人口の減少にもかかわらず上昇に転じて求人数が増加し、また、生産年齢人口の減少に加えて失業者の減少が加わって、求職者数が減少した結果、有効求人倍率が上昇してきているものだと認識をしております。

しかしながら、そうした改善の一方、①有効求人倍率は、高知市及びその周辺とそれ以外の地域では格差があること、②過去最高とはいえ、正規の有効求人倍率0.6倍とは全国と比べると、まだまだ低い状況にあること、③希望する職に就けないという雇用のミスマッチがあること、④医療福祉分野などでは人手不足となっていること、などなどの課題がたくさんあります。

 このため、第3期の産業振興計画では、地産外商の取り組みをさらに強化し、拡大再生産の好循環へとつなげ、地域地域に第一次産業から第三次産業まで多様な雇用の場の創出に取り組むこととしております。

 また、人材の育成・確保という観点からは、高校生、大学生の県内就職や移住の促進などに取り組むほか、第3期の日本一の健康長寿県構想においても、人手不足分野の医療・福祉関係の人材育成・確保対策の強化を進めていくこととしております。

 地域に若者がしっかりと定着していただくためにも、多様な「働く場の確保・創出」と産業ニーズに応じた「人材の育成・確保」に、全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 

●吉良県議

 医療福祉分野の介護事業では、昨年、基本報酬が4.48%も削減されました。共産党香美市議団が介護事業所にお願いしたアンケート調査では、回答27事業所のうち、収入減が6割、16事業所。収入が増加したと回答した7事業所にあっても、「収入増は、利用者数、サービス数増によるもので、そのための職員増によって収益は悪化」していると半数の事業所がコメントをつけています。また、日本政策金融公庫の昨年10月の調査でも、事業所の4割強が赤字、特に4人以下の小規模な訪問介護では56%、通所介護は53%が赤字、報酬が減った事業所は約60%です。要支援の通所、訪問介護を介護保険から外し市町村による新総合事業への移行が進められていますが、現在、介護保険外の介護サービスを行っていない事業所への調査では「取り組むつもりはない」との回答が52%にもなっています。

 これらから、人口密度が低く、中山間地域の多い高知県の小規模事業者への影響は極めて大きい事がわかります。

知事は「医療福祉分野は重要な雇用の場」とわが党の質問に答えていますが、このままでは、介護サービスの基盤が崩壊し、雇用先までもなくなるという強い危機感をもって対応すべきだと思うものですが、これへどう対応し取り組んでいるのか、知事にお聞きいたします。

 

■知事

介護報酬の削減への対応について、のお尋ねがありました。

昨年の介護保険制度の見直しでは、給付と負担の在り方について、高所得者の利用者負担の引き上げや低所得者の保険料の軽減措置の拡充が図られる一方で、介護報酬の大幅な見直しが行われました。

中でも、介護報酬の見直しにつきましては、サービスを提供する事業者の経営面からのサービスの安定確保といった点で、影響が生じるのではないかと懸念しておりましたが、現在のところ、県内での介護事業者の増減状況を見る限りでは、報酬改定前と比べまして、大きな変化は生じていないのではないかとみられます。

ただ今後とも引き続き、状況の把握に努めますとともに、第6期介護保険事業支援計画の進捗管理を行っていく中で、今回の介護報酬改定の影響などについても検証を行ってまいりたいと考えております。

なお、その際には、事業者の方々のご意見などもお聞きし、全国知事会などとも連携のうえ、次期介護報酬の改定に向け、サービスの安定確保が図られるよう、人材確保の視点なども含めて、国への積極的声政策提言活動などを行ってまいりたいとそのように考えております。

 

●吉良県議

また、市町村による新総合事業への移行に伴い、新事業所の参入が殆ど望めない中、今、県が実施している中山間地域への介護事業者を支えるための独自支援の継続および強化が必要と考えるものですが、地域福祉部長の所見をお聞きいたします。

 

■地域福祉部長

中山間地域での介護サービスの確保につきまして、市町村事業への移行後の事業所への支援の継続と強化の必要性について、のお尋ねがありました。

 県では、平成23年度から採算性などの面で、新たな介護事業所の参入が難しい中山間地域において、遠距離の利用者に在宅介護サービスを提供する事業所を支援してまいりまし

た。その結果、現在、17の市町村において、補助事業を活用したサービスの提供が行われており、サービス提供の対象エリアが拡大しますとともに、その提供量も増加を見せているところです。

 高齢者の誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる県づくりを目指していくためには、介護サービスの安定確保といったことは欠かせない基盤ともなりますことから、介護保険制度の見直しに伴い、新総合事業へ移行します要支援者への訪問介護と通所介護につきましては、市町村事業への移行後も県として支援を継続していくことといたしております。

 併せまして、市町村が独自に実施するサービスにつきましては、適正な報酬単価が設定されますよう市町村の状況把握に努めてまいりますとともに、中山間地域における介護サービスの確保に向けたさらなる支援策の必要性などにつきましても、次期介護報酬の改定に向け加算措置のあり方などを含め、県内の介護事業者の取組み状況なども注視いたしまして、国への政策提言活動などを検討してまいります。

 

 

【知事の政治姿勢/TPP】

●吉良県議

TPPに関して伺います。TPPによる農業への影響も深刻です。

政府は、価格低下による生産額の減少が生じるものの、体質強化対策による生産コストの低減・品質向上や経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるとして、影響額は、約1,300~2,100億円にとどまる、という極めて楽観的な数字を出しています。

東京大学の鈴木宣弘教授は、大筋合意の内容を前回の試算に使った内閣府と同じGTAP モデルで暫定的に試算してみると「控えめに推定しても、農林水産物で1兆円、食品加工で1.5 兆円の生産額の減少が生じる一方、自動車でも、むしろ生産額の減少が生じ、全体で日本のGDPは、わずか0.07%しか増加しない可能性がある」とし、「政府は、前回、関税撤廃された場合の生産減少額として、鶏肉990億円、鶏卵1,100億円、落花生100億円、合板・水産物で3,000億円と示し、これだけでも5,000 億円を超えていた。今回は、同じ品目が全面的関税撤廃という同じ条件なのに、『影響は軽微』という説明は、まったく説明がつかない」と指摘しています。これまで進めてきた輸入自由化によって、農業、林業がどうなったか、という現実を見れば「影響は軽微」というのは、到底信用できるものではありません。

県は政府の試算方法をそのまま当てはめて影響額を出していますが、県民への情報提供としては不適切であると考えるものですが、知事の認識をお聞きいたします。

 

■知事

TPPに関して、県の試算方法は県民への情報提供としては不適切ではないか、とのお尋ねがございました。

 先月4日に公表した「TPP大筋合意による高知県への影響等について」でお示しした影響額は、国内対策が十分な効果をもたらすことなどを前提とした国の試算方法に基づき、機械的に行ったものであり、試算結果は、約5億円から10億円となっております。

一方、米をはじめとする安価な輸入品の流入による価格の低下や、県外で米から野菜へと転作が進んだ場合の価格への影響などは、現段階では定量的には見通せないものの、そのリスクは十分に踏まえておく必要があるものと考えております。

 さらには、こうした将来の経営への不安感が生産意欲を減退させ、結果として生産量の低下といったことにつながることも懸念をされます。このため、これらを含む懸念などについては、定性的な影響として、影響額と合わせて明示をしました。このように、定量的な観点での試算には限界がありますものの、定性的なものも含めできる限り包括的に考えられる影響を先日お示しをさせていただいたところであります。

 また、今回の影響額等の公表にあたっては、今後の対応として、政府の「総合的なTPP関連政策大綱」が、予算措置を含め、実効性のある具体的な施策として、着実にかつ地方の隅々にまで行き渡るものとなっているかを注視するとともに、引き続き、中山間地域が多いといった本県の実情を踏まえ、積極的に政策提言を行うこと。また、県としても、産業振興計画を推進することを通じて、TPPにより懸念される影響や期待される効果に適切に対応していくこと、これらを合わせて公表することで、農林漁業者の方々の不安に対する県の考え方をお示ししたところであります。

 今後、国会において、本格的な議論が行われることから、TPP関連情報につきましては、積極的は収集につとめ、引き続き、県として、適切に対応してまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

次に、「日本の農業が過保護だから衰退した」「競争力をつければ輸出産業になる」というTPP推進の論についてお聞きします。

 まず、日本の農産物関税の9割は平均関税率11.7%で、EUの19.5%の半分程度しかなく、既に相当低く競争に晒されており、「過保護」などという指摘は全く当たりません。

次に、アメリカは、競争力があるから輸出大国になっているのではなく、コストが高くても食料自給は当たり前、それに加えて世界をコントロールするため如何に増産するか、という食料戦略をとっているからだと鈴木教授は解明しています。

アメリカ農務省・経済研究局のデータによると、殆どの年度、作物では、販売額を生産コストが上回っており、あれだけ大規模経営でも赤字なのです。そのためアメリカは、農家が満足に暮らし営農を再生産するために必要な目標価格と、国際市場で競争力を持つための市場価格の差額を、全額政府が所得補填しており、その額は年1兆円にもなります。農家所得に占める政府補助金の割合は、米、綿花の場合、4-5割になる年もあります。

2006年の統計ですが、農業所得に占める直接支払いの割合は、アメリカが26.4%、フランスは90.2%、イギリスはなんと95.2%、一方、日本は15.6%です。このどこをとって「過保護」というのでしょうか。農業をこんなに軽んじている国は他に見当たりません。欧米では、穀物・乳製品の生産が増え、支持価格を下回ると、支持価格で無制限に買い上げて、国内外の援助物資や補助金をつけて輸出するなど、政府が最終的に価格を確保し、価格を支える仕組みがあります。

 さらに、鈴木教授は、生産者の取り分は「不当に」低いという点も指摘しています。

食料関連産業の生産額は80年の48兆円から2005年74兆円と伸びていますが、農家の取り分は逆に12兆円から9兆円と減り、シェアは26%から13%と大きく低下しています。コンビニおにぎり105円のうち、精米の生産者売り上げ分は16円しかなりません。これは、量販店による取引交渉力の強まりが、「買い叩き」となって横行しているからです。

一方、欧米では、量販店の支配力強化に政府介入する仕組みがあることを示しています。例えば、アメリカのミルク・マーケッティング・オーダーという制度は、乳製品市況から逆算した加工原料乳価をメーカーの最低支払い義務乳価として、地域別に毎月設定しています。さらに、飼料高騰等で取引乳価がコストをカバーできない場合は、政府が補填する。余剰乳製品が発生すれば政府が買い上げ、国内外の援助物資などによる最終的販路を確保し、生産を守っています。

市場任せで、市場価格の低下分の何割かを補てんするに留まっている日本とは、根本的に違う仕組みで取り組んでいます。

欧米の農業に対する位置付け、生産者を支える仕組みと、日本のそれとでは雲泥の差があります。こうした根本に手を入れず、関税撤廃に進むことは、まさに、亡国の道と思うものですが、知事にお聞きいたします。

 

■知事

各国の制度の違いやその間題に手を入れずに関税撤廃することについてのお尋ねがございました。

農業者を支える国内の施策の考え方につきましては、それぞれの国によって、その成り立ちに過去の経緯や背景があり、一律には議論できないものであると思います。

 議員のお話にありました外国の国内施策と単純に比較はできませんが、我が国では、例えば、加工用の生乳生産者に対しては、生乳の再生産の確保と酪農経営の安定を図るため、

生産者補給金が交付される制度がありますし、米であれば、水田活用の直接支払交付金の制度があります。このほかにも、様々な価格補填の支援制度があります。

また、昨年法制化された日本型直接支払のように、農業の多面的機能の維持・発展のための地域活動や営農活動に対して交付される交付金もあります。

 TPPの発効に向けて、こうした制度が十分かどうか、については、関係団体や学識経験者などで十分に議論を尽くしていただいた上で、今後、国において、施策を具体化してい

くものと考えております。

 一方、県としましては、産業振興計画を着実に実行していく中で、農業の持続的発展、拡大再生産をぜひとも実現をしていきたいと考えているところであります。このような取り組みを通じて、TPPにより懸念される影響や期待される効果に適切に対応していきたいと考えています。

 

●吉良県議

政府はTPPについて、「ピンチでなくチャンスだ」と、輸出拡大に活路があるかのように主張しています。

例えば、米について政府は、「なかなか難しいと言われた中国へのコメ輸出を初めて行い、あっという間に全量売り切れになった」と説明しますが、その輸出量はわずか、2トン、33俵です。また政府は「アメリカで最近、和牛が人気を集めている。TPPで輸出実績の40倍まで関税ゼロ、将来は全て制限が取り払われる」と述べていますが、2013年の国内生産は、37.1万トン、アメリカからの輸入は18万6千トン、アメリカへの輸出は200トン、国内生産の0.05%しかありません。政府が言うように40倍になっても現在の国内生産量の2%にすぎません。肉食用牛農家 5万4000戸のうち900戸が残るだけというものです。

 「日本茶の関税20%がゼロになる。静岡や鹿児島が世界有数の茶所と呼ばれる日も近い」という話も、輸出先の1位アメリカ、3位シンガポール、5位カナダ、などの国への関税は既にもうゼロです。「関税20%」なのはメキシコですが、その輸出額197万円で、お茶の輸出総額78億円の0.03%しかなりません。それどころか、オーストラリア、ベトナムで日本の大手メーカーが現地法人を立ちあげて緑茶生産する動きが始まっています。

 そもそも、政府の掲げる、農林水産物の輸出額を2020年に1兆円にする、という戦略も、1兆円のうち50%以上は、「清涼飲料水」「インスタントラーメン」「みそ・醤油などの加工品」というもので、それらは殆ど国内農産物を使わないものばかりです。農業の直接生産物では1,000億円強との指摘もあり、2012年の農業総産出額8兆5,250億円の1.3%程度のお話です。

輸出の努力は重要ですが、それで高知県や日本全体の農業と農村を支えることは不可能ではないか、知事にお聞きいたします。

 

■知事

輸出により本県や日本全体の農業と農村を支えることは不可能ではないか、とのお尋ねがございました。

 TPPが発効した場合、外国から安価な農産物が国内に入ってくる一方で、安全で高品質な国産の農作物が輸出し易くなる状況が生じてきます。

 そうした中で、TPP時代に対応していくためには、輸入品が入ってくる可能性がある分野に対しては、価格競争力を高めていくための対策を、そして、潜在的な可能性も含めて外国との競争に打って出ていく分野に対しては、国際競争力を高めていく対策を行っていくことになります。

 また、重要品目を中心に、影響が懸念される分野に対しては、確実に再生産が可能となるように経営安定などの充実強化が必要であります。

国の大綱では、こうした視点に立って、産地が創意工夫を活かして競争力の強化を図る対策や、高品質な農産物の一層の輸出拡大のための対策など、いわゆる攻めの対策、そして、牛マルキン及び豚マルキンの法制化などのように、生産者の不安を払拭するための対策を、総合的な対策として示しております。

 県としましては、繰り返しになりますけれども、今後行われていく国内対策が、実行性のある具体的な施策として着実かつ地方の隅々まで行き届くものになっているのか注視しなければならないと考えております。決して輸出だけですべてが解決するわけでないのであります。総合的な攻めと守り、両方の対策を十全に講じていただくことが極めて大事だと考えております。あわせまして、われわれ自身としても、産業振興計画を着実に実行することで、高知県の農業・農村をトータルで支えていきたいと考えているところでございます。

 

 

【知事の政治姿勢/原発再稼働・エネルギー問題】

 ●吉良県議

次に、原発問題、エネルギー問題についてお聞きいたします。

県は、伊方原発再稼働について、2014年12月を例に、「ピーク時に、老朽火力の故障・停止が重なれば停電の懸念がある」という四国電力の説明を是として「やむなし」の判断をしました。

 私たちは、12月議会で、電力会社間の地域連系、他社受電、揚水発電の活用により、対応できるのではないか、県の説明に説得力がないと指摘したところですが、四国電力の言い分の紹介にとどまり、専門家を含めた検証をすべき、との提案にも定かな答弁はありませんでした。

 そうしたことから、私たちは、県のアドバイザーを務めたこともあるエネルギーシフトの第一人者である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏の協力を得て、四国の電力需給状況について精査を行いました。いくつか重要な指摘があります。

第一に、「随時調整契約」、35 万kWの活用です。

この契約は、需給切迫時に供給量を削減する契約で、そのため通常より価格が安くなっています。火力停止時には、ただちに活用が可能です。四国電力の大型火力は、橘湾70万kW、坂出3、阿南3・4の45万kWですから、この契約分だけで橘湾火力停止なら5割、坂出や阿南なら7割対応できる、というものです。この活用について、四国電力は全く説明をしていません。

第二は、デマンドレスポンスの活用です。

これは需給逼迫が予想される場合に需要削減やシフトを契約し、ピーク需要を低下させることができる契約です。2015年1-3月の最大需要485万kWに対し、ピーク需要に近い440万kW以上を記録したのは、わずか22時間、日数で11日です。これをデマンドレスポンスで対応し、石油火力を止めれば、11日分の燃料代、推定26億円が削減でき、一方、節電で失われる売電収入は、0.1億円に過ぎず、ピーク時対応の方法として電力会社にとっては大変メリットが大きいものです。現在、どれだけの契約量があるか明らかにはなっていませんが、この契約を一定量まで拡大することが合理的な選択です。

 第三は、地域間連系、融通の活用です。

電力システム改革により、従来の地域独占と供給責任がセットとなった枠組みが改定され、送電網の広域運用を拡大することになっています。西日本は地域間連系線が充実しており、この前の12月議会でも指摘しましたように、関電と四電の連系運用は140万kW、四電と中国電力は120万kWで、合わせる最大需要の半分以上となります。

また、徳島の電源開発橘湾火力210万kWのうち、180万kWは四国外に送電されることになっており、四国電力でひっ迫の折には一時的に回すことも考えられます。

第四は、自家発電の利用です。

四国には自家発電が、約230万kW、火力だけでも177万kWあります。これらの2014年度の年間設備利用率は火力70%、ガスタービン60%です。また、関西電力管内にも657万kW、中国電力管内にも679万kWの自家発電があり、1月の利用率は火力60-70%、ガスタービン57-59%であり、こうした自家発電の余裕を活用できる可能性があります。

第5に、再生エネルギーと揚水発電の活用です。

四国管内の太陽光発電は、130万kW、風力15万kWで、夏場のピーク時には原発1基分に匹敵する発電で貢献しました。昼間は、火力削減に使うことができますし、ピーク時の備えとして、揚水を蓄えることに利用すれば本川発電所は満水時、60万kWの発電を10時間継続できる能力をもっています。

2015 年度冬季の四国電力の供給予備力は38 万kW、予備率は7.5%となっていますが、随時調整契約の活用と揚水発電をフル稼働させるだけで、電力予備率は20%を超えます。同様に、西日本6社では、川内原発を停止としたうえで25%を超えることになり、広域での対応も十分可能です。

「老朽火力の停止による停電の懸念」は「虚構」であり、「再稼働やむなし」の発言は撤回、再検討すべきだと思うのですが、知事にお聞きいたします。

 

■知事

原発再稼働とエネルギー問題に関する一連のご質問にお答えをいたします。まず、老朽火力の故障や停止による停電の懸念は虚構であり、再稼働やむなしとの県の判断は撤回し、再検討すべきではないかとのお尋ねがありました。

四国電力からは、勉強会を通じて、伊方発電所の全台停止以降、供給力の8割を担う火力発電所の老朽化が進んでいる中で、これまでもお伝えしておりますように、定期検査の繰り延べ等により、電力需要の多い時期の供給力をなんとか確保している状態であると聞いております。

また、老朽化により火力発電所のトラブル等による計画外停止も増加傾向にあり、こうした計画外停止が電力需要の多い時期に発生するなどして厳しい需給状況となった具体的事例についても説明を受けております。

 火力発電所のトラブル停止などにより電力需給がひっ迫する際の対応として、議員ご指摘のように、他の電力事業者や自家発電を行っている事業者からの電力融通がありますが、実際に融通を受けられるかどうかは、その時の相手方の状況に左右され、必要な時に必要な量を確保できる保証がないことから、四国電力が供給するべき電力は、四国電力が責任をもって供給力を確保する必要があるとの説明を受けております。

 次に、太陽光発電や風力発電は、天候に左右されること、湯水発電は、貯水状況に発電量が左右されることから、必要な時に、必要な電力を供給できるとは限らない電源だと認識しています。

 随時調整契約による対応は、電力需要ひっ迫時には、有効な手段ですが、これまでに四国電力では実施したことが無く、いきなり電力をカットすることで、契約相手方が被害を受けることも予想されますことから、運用上は、契約相手方に事前に連絡をしたうえで実施することになるため、瞬時の電力ひっ迫対策としては一定の限界があるとお聞きをしております。

 デマンドレスポンスなどの電力需要のピークを平準化する取り組みは、省エネなどの取り組みと同様に、今後、取り組みが広がっていくことで効果が表れていくものと考えており、現状で直ちに節電効果をもたらすものではないものと認識しております。

 ただ、確かに、随時調整契約やデマンドレスポンスといった取り組みは、有効な対策となりうる可能性がありますことから今後、更に研究してまいります。

いずれにしましても、こうした対策の実現には時間を要しますことから、今後、さらに火力発電所の老朽化が進んでいくことも考えれば、現在の状態は、長期にわたって持続可能な需給状況ではないと思いますので、これまでも申し上げてきましたとおり、現時点において、伊方発電所の3号機の再稼働はやむを得ないと考えているところであります。

 

●吉良県議

電力ひっ迫時に供給可能となるであろうこれらの方法があるにもかかわらず、顧客である県民と大株主である県に情報を公開しなかった四国電力の態度は、許されるものではありません。一方で、そのような態度をとる四国電力の電力需給をしっかり分析し、県民に判断材料、情報を提供できる専門的力量を県が持つことを、原発再稼働賛否にかかわらず私たち県民は求めているのです。ただお聞きする会になってしまっては、一方的な情報で県民に判断を強いるものとなります。

原発の安全性や電力需給問題などの専門家を県が招へいして、徹底して検証ができる体制に改めるべきだと思いますが、知事にお聞きいたします。

 

■知事

原発の安全性や電力需給問題などの専門家を県が招へいして、徹底して検証ができる体制に改めるべきではないかとのお尋ねがありました。

原発の安全対策などの内容につきましては、高度に専門的でありますことから、勉強会では県民の目線で素朴な質問を四国電力に投げかけ、わかりやすい内容で説明を求めており、わからない点があれば繰り返して何度も質問をしていくということが重要だと考えております。

 伊方発電所3号機につきましては、現在、原子力規制委員会において、工事計画や保安規定の認可に向けた審査がされており、その後、使用前検査等もありますことから、まだまだ確認すべきところはあると考えております。

これまでも、必要に応じて専門家の意見を伺ってきておりますが、今後も節目節目で勉強会を開催し、必要に応じて専門家のご意見や助言も求めながら、質すべき疑問点があればしっかりと質してまいりたいと考えているところであります。

 

●吉良県議

この2月7日、東京新聞が、「川内原発の審査で、規制委は免震棟完成までの代替施設として、免震機能のない小規模な施設でも新基準に適合するとの判断をした。これを受け、電力各社はコストを抑え、早く審査をパスする状況をつくりたいと、計画変更に動いた。本紙の取材に、複数の電力会社が川内事例を参考にしたと認めている」と報道しました。川内原発の免震棟撤回問題をめぐっては、規制委自身が同月3日、九州電力に「納得できない」と再検討を求めていますが、対策拠点の免震機能をなくし当初方針より規模も小さくするなどしている事態が広がっています。伊方原発の対策拠点も免震機能をなくし、面積6,670㎡、うち指揮所面積600㎡であったものを、指揮所だけにして面積も225㎡と大幅に縮小しています。事故対策拠点は、新基準の大きな柱の1つであり、「再稼働できる必要最小限のルール」とするものです。規制委の意見をも無視する四国電力含む各電力会社の態度は断じて許されるものではありません。

福島原発事故の教訓をないがしろにするような、免震棟の設計変更は決して許されものではなく、再稼働をする資格はないと考えるものですが、知事にお聞きいたします。

 

■知事

緊急時対策所の整備についてのご質問にお答えをいたします。

福島第一原発事故を教訓として、新規制基準では、緊急時対策所を設置することとなっております。

 四国電力では、当初、緊急時対策所は、既にある免震構造の総合事務所内に設ける計画としておりましたが、原子力規制委員会での審査の中で基準地震動を見直した際に、計画していた免震構造の建物では、一部の基準地震動にみられる長周期地震動に対して耐震性に問題があることが判明をしたため、基準地震動に耐えられるSクラスの耐震性を持つ緊急時対策所を新たに建設することとしたことを勉強会で確認をしております。

この設置変更許可申請の補正内容につきましては、事前に原子力規制委員会での厳正なる審査を受け、必要な機能を有していることが認められたものであり、福島第一原発事故の教訓を踏まえて所定の機能を果たせるように措置したものと認識をいたしているところであります。

 

 

【林業政策】

●吉良県議

次に、林業についてお聞きします。

昨年9月14日の産業振興計画フォローアップ委員会に提出された、第2期産業振興計画の林業分野における3年半の取り組みの総括は、川上から川下にわたり、到達点と見えてきた課題について網羅的に説明がされています。原木生産量の目標達成、製材品出荷量の増加への転換、木質バイオマス利用量の大幅増、おおとよ製材の始動、CLTの取り組み、担い手対策として林業学校の開校、小規模林林業協議会の発足など少なくない成果を上げるとともに、課題として、林業事業体の体質強化、人口と住宅着工数が減少するもとでの新たな需要、販路の開拓、担い手・後継者確保、再造林の課題など、対策とともに示されています。

林業分野における、この3年半の取組の総括、および、今後の展望について林業振興・環境部長にお聞きします。

 

■林業振興・環境部長

第2期産業振興計画の林業分野における3年半の取り組みの総括および今後の展望について、お尋ねがございました。

林業分野では、本県の豊富な森林資源を余すことなくダイナミックに活用するため、施業地の集約化や高性能機械の導入といった原木生産の効率化や、大型製材工場や木質バイオマス発電の整備など、川上から川下まで一体的な取り組みを行ってまいりました。

 この結果、原木生産は、平成22年の約40万立方メートルから、平成26年は61万立方メートルへと大幅に増加し、木材・木製品製造品出荷額等では平成22年に150億円であったものが平成26年には204億円に達するなどの成果が出ています。

一方で、これまで取り組んできた結界、見えてきた主な課題といたしましては、林業の担い手の育成・確保がまだまだ十分でないこと、木材の需要先として大半を占める戸建住宅の着工数が減少傾向にあることから、木材の新たな需要先を確保する必要があること、国産製材品の生産量が増加し、国内の産地間競争が厳しくなっていることから、従来の製材品の販売だけでは取引量のさらなる拡大が困難になっていることなどがあります。

 このため、担い手の育成・確保につきましては、これまでの国の緑の雇用制度の活用や、林業労働力確保支援センターと連携した林業就業者相談会の開催などの取り組みに加え、昨年4月、新たに設立した林業学校の充実を図るほか、市町村と連携して小規模林業への支援を強化してまいります。

 木材需要の拡大につきましては、県が全国に先駆けて取り組んでいるCLTの普及をさらに進めるとともに、木造率が低い店舗や事務所など低層非住宅建築物の木造化を推進してまいります。

また、販売先を拡大するため、外商販売体制を強化して、県外の工務店などのパートナー企業を活用して土佐材を使用した建築物を増やしていくほか、海外への販売や新たな商品の開発にも取り組んでまいります。

こうした取り組みを関係者の皆さまと一体となって進め、その成果をより力強く「拡大再生産」につなげ、林業・木材産業クラスターの実現を目指すことで、中山間地域における雇用の創出と所得の向上など、定住条件の確保が図られるものと考えています。

 

●吉良県議

戦後植林で伐期を迎えた人工林は、伐っては植えるという適切な管理のもとでの循環が必要とし、国も県も皆伐を積極的に取組んでいますが、まとまった面積を伐採しないとコスト抑制と出荷量の十分な確保ができず、事業体の経営も成り立ちません。県は、それら大規模皆伐への流れから森林破壊を防ぐため、2012年に「皆伐と更新に関する指針」を策定。森林の各種条件で、皆伐かどうか、皆伐後に再造林か天然更新か、皆伐しない場合も長伐化か針広混交林化するのかなど6パターンを示しています。そして「天然更新を行う場合、伐採を完了した翌年度から5年以内に更新状況の確認調査を行ってください」とか、「一カ所あたりの皆伐面積は、出来るだけ小面積となるよう計画をしてください」など6点を示していますが、ただ、それは、事業者に「可能な限り本指針の運用に努めていただきますようお願い」するものにとどまっています。

先日、四万十市の林業関係者のお話を伺った際、請負業者は「他人の山」での仕事であり、切り出した材の量で賃金が支払われる成果主義なので、どうしても作業が荒くなり、山が痛む、という指摘をなさっていました。それは、高知県の林業関係者が、指針にそって取り組める環境を、行政としてどう作っていくかを問うものでした。

6つのパターンに適合する民有地をデータ化し、市町村と認識を共有する。また、実際の皆伐にあたっての検討内容と皆伐後の対応を県民に見えるようにしていくことなど、森林荒廃を防ぐ重要な手立てとなると考えるものですが、

「皆伐と更新に関する指針」の実効性を担保するための課題と、今後の取り組みについて、林業振興・環境部長にお聞きいたします。

 

■林業振興・環境部長

皆伐後の森林の荒廃を防止するため、「皆伐と更新に関する指針」の実効性を担保するための課題と今後の取組についてお尋ねがありました。

県では、既に伐期がきている森林が相当あることから、原木の増産と安定供給を図るため、「皆伐と更新に関する指針」を策定して、皆伐の推進に取組んでいます。

 お話にありましたような大規模皆伐や、造林をせずに放置されるといったことに対応する措置として、森林法の中で、市町村森林整備計画制度が設けられております。この制度では、標準的な伐採の方法や伐採後の造林の方法を市町村森林整備計画で定め、その実効性を担保するため、伐採しようとする森林所有者等に対して、事前に「伐採及び伐採後の造林計画」を届出するよう義務付けています。

 ただ、現行の制度では、事前に提出された「伐採後の造林の計画」が計画どおり実行されたか確認する仕組になっていないという課題がございます。この点に関しては、伐採後の再造林の実効性を確保するため、伐採後の造林に係る森林の状況報告を義務付けるよう、現在、森林法の改正が検討されていると聞いています。

 議員ご指摘の「皆伐と更新に関する指針」は、こうした制度を前提として、それぞれの森林の状況に応じて、経済性や適地適木の観点から、伐採や更新の方法を検討する際の参考としていただくために策定したものでございます。指針では、6つのパターンを示していますが、例えば同じ場所であっても作業道の開設によって状況が変化し、選択肢も変わってきますので、6つのパターンの位置が固定化されているわけではございません。

 したがいまして、一律にデータ化することは難しく、現地の状況を確認しながら適切な判断をしていただくことが、指針の活用の仕方と考えています。

 今後は、森林組合の総会や林業事務所の普及活動を通じて、森林所有者の方々に、適切な森林整備を行っていただくための指針の趣旨を広く周知し、ご理解していただくよう努めてまいります。

 

●吉良県議

木の需要拡大では、地元産材での木造建築にふれ、木の文化を築いていく事が肝要であり、多くの県民の目に触れる公共建築の役割は大きいと思います。中土佐町の久礼中学校は、県産材100%、うち町産材75%で、樹齢100年以上の8寸角のヒノキ530本を使用し、寺社仏閣に見られる伝統建築様式も取り入れたもので、子どもへの健康面や環境整備、地域経済にとっての効果がうたわれています。

この建設で1つのネックとなったのが材の確保でした。通常の単年度決算では大量の材の確保は到底不可能であり、そのため町が2年間にわたって材を先行的に確保することで対応したとお聞きしました。

県産材利用推進本部長である知事に、久礼中学校改築事業の取り組みの評価と、県産材の利用推進についての決意を、併せてお聞きいたします。

 

■知事

林業政策に関して、久礼中学校の改築事業の取り組みの評価と、県産材の利用推進に向けた決意について、お尋ねがありました。

久礼中学校の校舎につきまして、私は平成23年8月の落成式に出席させていただきました。

校舎全体が木で包まれており、特に、毎日多くの時間を過ごす教室においては、伝統工法による大きな柱や梁に囲まれ見る者を圧倒しつつも、木の香りや温かみに包まれ、子供の教育環境にとって非常にすばらしい施設に仕上がっていると強く感じました。

 また、施設の整備に当たっては、中土佐町内で育ったヒノキを大量に使用しており、伐採から加工に至るまで、地元の森林組合や製材業者が2年をかけ、工夫を凝らしながら地産地消に取り組まれたと伺っているところであります。

こうした取り組みが、木材利用推進中央協議会の主催による平成23年度木造施設普及コンクールにおいて、林野庁長官賞に輝くなど、全国的な評価も受けています。

 県では、地域の木材利用を拡大し、林業の振興を図ることが、中山間における雇用の創出や地域経済の活性化を進めていく上で、重要な取り組みであると考えています。

 そのため、「県産材利用推進本部」を立ち上げ、私が本部長として「高知県産材利用推進方針」を策定し、県有施設の木造化と木質化の推進に取り組んでいるところです。引き続き、こうした取り組みを積極的に進めますとともに、市町村にも施設の木造化等の要請を行ってまいります。

 久礼中学校の校舎には、高齢級の素晴らしい木材が活用されていますが、県内に豊富にある一般材を、リーズナブルに建築物に使っていくことも、併せて重要であると考えております。

その一つとして、CLTは一般材が大量に使用されることが期待されますので、県ではその普及に積極的に取り組んでいくこととし、現在、森林組合連合会事務所や県立農業担い手育成センターの寄宿舎など、様々なタイプのCLT建築物の整備を支援しているところです。

今後、こうした事例を全国に情報発信してまいりますとともに、志を同じくする首長と連携し、国への政策提言を行い、公共施設から民間施設まで、全国的な木材需要の創出につなげ、県産材のさらなる活用に向けて、私自ら先頭に立って推進してまいりたいと考えているところでございます。

 

●吉良県議

幡多ヒノキは、その特徴である赤みを残すために自然乾燥が不可欠であり、公共施設に使用するなど大きなロット数に応じるためには、大規模な自然乾燥場がなければ、そのよさを生かせないという課題があります。

大きなロット数に応じるための大規模な自然乾燥場の必要性について、部長にお聞きいたします。

 

■林業振興・環境部長

大規模な自然乾燥場の必要性について、お尋ねがございました。

 自然乾燥は、乾燥に長時間を要し、資金回収が困難であること、表面割れやカビの発生を抑制するため、非常に手間がかかるといった課題があります。

また、木造住宅の9割がプレカットされた製材品を利用していますが、この製材品には高いレベルでの寸法精度が求められるため、含水率にばらづきがあり、加工後の寸法安定性が十分でない自然乾燥した製材品は、プレカット加工のニーズに応えられないという現実もあります。

近年の人工乾燥は、乾燥機の性能向上や乾燥技術が進歩し、県内の製材工場で導入している最近の人工乾燥機は、自然乾燥と同様に、幡多ヒノキ特有の赤みという風合いを残したまま、寸法の安定した乾燥ができるようになったと聞いています。

 今後、木造施設を普及していくことを考えましたときに、仕様書で示された含水率を満たして、安定的に乾燥材を供給することが必要でありますので、一般的な製材品については、人工乾燥を行う方が良いのではないかと考えています。

 しかし、お話にありましたように、自然乾燥は、その木材独特の風合いを出す特徴があり、木材を熟知した伝統家屋を建てておられる大工さんたちに、根強い需要もありますことから、製材業者に対して自然乾燥に必要な運転資金や建屋の整備などを制度資金で支援することとしています。

 

●吉良県議

また、自伐型林業に取り組む方も徐々に増えつつあり、先だっても補助金の在り方含め作業道の整備への要望をお聞きいたしました。

自伐型林業に取り組むうえで必要となる、作業道整備への支援をどう実施しているのか、部長にお聞きいたします。

 

■林業振興・環境部長

自伐型林業の取り組みに必要となる作業道整備の支援状況について、お尋ねがございました。

木材の搬出を効率的に行っていくためには、作業道の整備は大変重要ですので、県では国庫補助の造林事業や県単独事業など、様々な形で支援を行っています。

その中で、自伐型林業のように小規模な事業形態で林業に携わっている方々は、森林の集約化・団地化などが難しく、国庫補助の造林事業の対象とならない場合が多くありますので、県独自で搬出間伐や作業道の整備をはじめ、林業機械のレンタルなど、様々な支援を講じています。

平成27年度における作業道への補助については、約2万1千メートル余りの見込みとなっております。28年度においても、要望量に見合う必要な予算を確保しているところでございます。

今後も、自伐型林業の方々が積極的に林業に取り組めるよう、ご意見をお伺いしながら必要な支援を行い、林業の担い手の裾野を広げる取り組みを行ってまいります。

 

 

【若者定住策】

●吉良県議

次に、若者定住についてお聞きいたします。

若い方がUターン、Iターンで林業に携わる例が生まれています。その際、中山間地で安心して子育てができる環境を構築することが極めて重要なことは論をまちません。

政府においても中山間地域への認識が変化しています。知事が積極的に提案したという答弁でしたが、昨年1月に文科省が発表した「小中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」で、地域のコミュニティの核として学校の役割を位置づけ、「小規模校を存続させる場合の教育の充実」「休校した場合の再開」など、統廃合でない選択肢について記載があり、「小規模校のメリットの最大化策」が詳しく挙られています。

ところが県西部の複数の自治体で保育所を1箇所に統合するという動きが出ています。それぞれの地域、自治体のことですが、わが党の地方議員が行政とやり取りする中で、非常に気になることがありました。

 1つは、地域のコミュニティの核としての役割を重視する、という考え方が、就学前教育の場でもある保育行政では共有されていないということです。わが党議員は、その点を指摘し、園児への負担増や厚労省が紹介している「宅幼老所の取り組み」も参考に、若者が定住できる地域づくりの視点から再検討を求めたところです。

2つめは、公立保育所の建設について国の支援がなくなったので、建設は1箇所に絞りたいというもので、制度への誤解が存在していることです。昨年3月24日、参議院総務委員会でわが党の質問に対し、総務大臣は、「国庫補助金の補助率が2分の1であったことに鑑み、事業費のうち50%を一般財源化に係る地方債の対象とし、その元利償還金について・・・100%を地方交付税で措置する。残りの50%のうち80%を社会福祉施設整備事業債の対象」と答弁しています。過疎自治体であれば、残り50%分を過疎債で対応すれば、きわめて少ない負担で建設が可能です。

若者が定住できる地域づくりに学校、保育所を位置づける。この点で市町村とも認識を共有すること、制度への誤解を解消することが必要と思いますが、教育長にお聞きいたします。

 

■教育長

若者が定住できる地域づくりに学校や保育所を位置づけるという点について、市町村と認識を共有することや制度への誤解を解消することが必要と考えるがどうか、とのお尋ねがございました。

小中学校は児童生徒の教育のための施設であるだけでなく、各地域のコミュニティの核としての性格を有しており、防災や地域の交流の場としての機能も併せ持っております。

 保育所につきましても、地域の様々な人や関係機関などと連携を図りながら、地域に開かれた保育所として、地域の子育て力の向上に貢献していくことが、役割として求められております。

最近では、人口の減少や少子化により保育所を利用する人数の減少や南海トラフ地震の津波対策も考慮し、統合も含めた保育所の見直しを行おうとしている市町村もございます。 その際には、先ほど申しました保育所の役割も踏まえつつ地域の実情や財政状況等を勘案して判断されることになるものと思います。

 公立保育所の整備・運営費用に対しては、お話にありましたような財政支援措置があるほか、子ども・子育て支援新制度では、子どもが減少した地域でも保育の場の維持が可能となるよう小規模保育事業等の制度も創設されております。

 県教育委員会としましては、地域の実情に応じた保育の実施について適切に判断することができるよう、市町村からの相談に対応するとともに、子ども・子育て支援新制度が、保育所に対する財政支援についてしっかりと情報提供を行ってまいります。

 

●吉良県議

いま、インターネットなど情報通信技術を使った共同学習により、小規模校でも多様な考えに触れ切磋琢磨できる取り組みが始まっています。具体的には、標準規模の学校と小規模校が共同し、児童にはタブレット端末を配布し、電子黒板やビデオカメラの画像を共有して同時に授業を行う、画面には他校の児童の意見や解答が映し出され、集団学習の楽しさを知ってもらう、というものです。 

ICTを使った共同学習の取り組みについて、高知県でも検討、研究する価値があると思うのですが、教育長にお聞きいたします。

 

■教育長

ICTを使った共同学習の取組について、本県でも検討、研究する価値があると考えるがどうか、とのお尋ねがございました。

本県の小中学校においては、平成15年度から「小規模校交流推進事業」を開始し、テレビ会議システムを活用して学校間の交流授業を実施しております。その中で、子どもたちは違う地域の友達と積極的に意見交換を行うことにより、多様な考え方に出会う機会をもつことができています。

 また、高等学校では、本年度から3年間の国の指定を受けて複数の学校をICTで結び共同学習ができる遠隔教育の研究を進めております。本年度から高知追手前高校と吾北分校で研究を始めており、また28年度からは小規模校同士である窪川高校と四万十高校で、29年度からは、大規模校と小規模校である岡豊高校と嶺北高校において、研究を行います。

この研究のねらいは、小規模校においても専門教科の選択の幅を広げたり、習熟度別の授業を生徒の学力の定着状況に応じて、より細かく設定できるようにすることで、住む地域にかかわらず、教育の質の維持、向上を目指すものです。

また、遠隔教育により、異なる環境にいる生徒が、多人数でお互いの意見を交換するなど、多様な考え方と出会い、主体的に学ぶことで、生徒の思考力や判断力、表現力の伸長につながるという効果も期待できます。

さらに、大量退職により学校内での0JTの役割がより高まる中で、画面を通して若年教員がベテラン教員の学習指導のノウハウを学ぶことができるようになるなど、教員の教科

指導力の向上にもつなげることができると考えております。

 こうした小中学校や高等学校における研究の成果を、県内の市町村や学校に情報提供を行い、普及につなげてまいります。

 

 

【子どもの貧困対策】

●吉良県議

次に、子どもの貧困対策についてお聞きします。

子どもの貧困対策法の成立、そして子どもの貧困対策大綱が決められて1年半。当面の重点施策として、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の4つが挙げられています。

日本は社会保障制度が脆弱であることから、OECD諸国で唯一、所得再分配前に比して再分配後の子どもの貧困率が上昇するという異常な国です。にもかかわらず、対策法成立2か月後の8月に生活保護の扶助費引き下げを行い、4か月後の10月には老齢・障害・遺族年金を1%引き下げ3年間で2.5%の減額。母子世帯などに支給される児童扶養手当や障害のある子どもへの手当なども3年間で1.7%の減額です。生活保護基準の引き下げ額は子どものいる世帯で約10%と最も大きく、さらに問題なのは、引き下げに連動して就学援助が打ち切られる子どもが出てくることです。これでは、貧困をさらに推し進めるものとなります。

厳しい環境にある子どもたちへの支援を強め子どもの貧困率を改善するためには、税の制度や社会保障、福祉施策によって所得再分配機能の正常化を図ることは必須であると思いますが、知事はどう認識なさっているのかかお聞きいたします。

 

■知事

子どもの貧困率の改善に向け、所得の再配分機能の正常化を図ることの必要性の認識について、のお尋ねがありました。

 子どもの貧困の問題は、世代間の連鎖を通じて、子どもたちの将来への夢や希望を奪うことにもつながりかねず、県では、厳しい環境にある子どもたちへの支援策を県政の重要な政策課題と位置づけ、今年度から教育や福祉の分野などを中心に取組みを強化しているところであり、来年度からは、子どもたちと保護者等の双方への支援策の抜本強化を図ることといたしております。

 議員のお話にもありますように、国によって制度設計されます税制や社会保障制度などが、所得格差の是正を通じて子どもたちの貧困率の改善に及ぼす再分配機能の重要性については、十分に認識をいたしております。他方で、再分配前における子どもたちが身につけるべき学力を確実に習得できる教育環境の整備に向けた取組みや、保護者等の所得の向上につながる就労支援策などといった教育振興策や雇用対策などの充実・強化といったことも、大変重要だと考えています。

 県では、現在策定中の「子どもの貧困対策計画」により、厳しい環境にある子どもたちへの支援策を保護者等への支援策と併せて抜本強化を図ってまいりますとともに、今後とも、国と地方がしっかりとした役割分担のもとで連携を図ることにより、子どもたちの置かれている実情に即した効果的な施策が進められますよう、全国知事会などとも連携を図りながら、国への政策提言活動などに努めてまいります。

 

●吉良県議

本県が昨年実施した調査によりますと、母子家庭の親の92%は就業しているにもかかわらず就業形態は正社員・正職員が56.7%と半数程度で収入は200万円以下が56.8%、平均210万円となっています。

働いて相応の収入を得ようとするとダブルワーク、トリプルワークで疲弊してしまい、子どもから、家庭も子ども時代も奪う貧弱な労働構造は、もはや当事者の個人的努力・自己責任論の段階ではなく、労働市場の改善が必要であることを物語っています。OECDはすでに2010年に、就業すると貧困率が50.4から50.9%へとかえって高くなる国は他にはなく異常だと指摘していますが、政府は就業による自立を促し、予算も資格取得や就労支援対策を中心に組んでいます。

しかし、正規であれ非正規であれ、就業率をいくら上げても、賃金水準の改善なくしては貧困率の低減は図れないと考えるものですが、母子家庭の安定した就業と県民の賃金の改善について、知事の認識をお聞きいたします。

 

■知事

母子家庭の安定した就業と県民の賃金の改善について、お尋ねがありました。

 母子家庭の安定した就業のためには、女性が、その希望に応じて安心して働き続けられる就労支援に、地域や職場などを含めた社会全体で取り組む必要があるものと考えております。

このため、県としては、まず、高知家の女性しごと応接室において、就職を希望する女性への支援策のさらなる充実を図ることとし、一人ひとりの適性や経歴に応じたキャリア・コンサルティングや、職業訓練などのスキルアップの機会への誘導、さらには、幅広い求人情報を通じて職業紹介を行うなど、母子家庭の女性の生活環境や子育て事情に配慮しながら、安定した就労に向け、きめ細かな支援を行ってまいります。

 また、母子家庭の子育ての負担軽減にもつながるよう、地域の子育て力を活かした、支え合いの仕組みでありますフアミリー・サポート・センターの取り組みを大幅に拡充し、平成31年度未までに、高知市周辺及び県東酉の市部を中心に、県内全域でセンターが開設されるよう取り組んでまいります。

更には、こうした母子家庭の保護者には、生活の安定に向けた就業支援策として、看護師、保育士などの経済的自立に効果的な資格を取得する際の生活費の負担などを軽減する高等職業訓練促進給付金を支給してまいりました。来年度からは、支給期間の2年から3年への延長や対象となる資格の拡大、更には、入学や就職する際の有利な貸付制度を創設するなど支援策を強化することとしています。

以上にように、県では、母子家庭に寄り添うきめ細かな取組みを進めてまいりますが、加えて何と申しましても、県経済そのものの活力をつけることが大事であります。第3期の産業振興計画の取り組みに全力をあげ、それぞれの企業が収益力を高め、成果を上げてきた企業が先導役として、賃金水準をアップさせ、その効果を他の企業に波及させ、それがまた、母子家庭の親などを含めた県内企業で働く人の所得の向上につながっていく、そのように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 

●吉良県議

子どもの貧困対策推進法は、第2条と4条で、貧困の世代間の連鎖の防止を含め、子どもの貧困対策を推進するために、貧困状況にある子どもに対する経済的支援の実施を、国と地方公共団体の責務として明記し求めています。先の県の調査結果が示すような状況では預金はできず、失業や子どもや親の病気に直面するとたちまち追いつめられてしまいます。そういう状況下で子育てを支える児童扶養手当はとても重要な制度です。しかし、それに付与されている所得制限は、親子2人で年間所得57万円というわずかな額を超えれば徐々に手当が減額され、必死に働いて所得が230万円を超えれば手当はゼロになってしまうという、余りにも低い制限です。

児童扶養手当の低すぎる所得制限の引き上げを国に対し求めるとともに、子どもの貧困問題を直視し、貧困の連鎖を断ち切ろうという県の決意を示す県版の児童扶養手当制度を独自に創設することが重要かと思いますが、知事の認識をお聞きします

 

■知事

児童扶養手当の所得制限の引き上げについての国への要望活動と、県版児童扶養手当制度の創設について、のお尋ねがありました。

 昨年の11月には、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして「子どもの貧困対策の抜本強化に向けた緊急提言」を取りまとめ、特に厳しい環境にある子どもたちへの支援策として、児童扶養手当の拡充や生活支援策の充実、さらには、ひとり親家庭の親の資格取得支援や非正規雇用から正規雇用に転換する際の事業所への助成金の拡充などの政策提言活動を行ってまいりました。

その結果、国において、児童扶養手当の拡充策として、第2子の加算金を5千円から1万円へ、第3子以降の加算金を3千円から6千円へとそれぞれ倍増することや、低所得のひとり親家庭に係る保育料負担等の軽減措置の拡充などが、平成28年度予算案に盛り込まれたところであります。

県では、現在策定中の子どもの貧困対策計画において、子どもたちの発達や成長段階に応じて、幼少期においては生活や就労面などでの保護者への手厚い支援策を中心に、学齢を重ねるに従って学びの場などの子どもたち自身を見守り育てるための支援策を中心にしていく形で、厳しい環境にある子どもたちへの支援策の抜本強化を図ることといたしております。

 議員のご提案にありました児童扶養手当の所得制限の引き上げや県版児童扶養手当制度の創設といった経済的支援策につきましては、国の責任において検討していただく必要のあるものだと考えており、平成29年度に向けての子どもの貧困対策に必要な政策提言などを行う際には、こうした経済的支援の抜本強化策についても、具体的な検討を重ねてまいりたいと考えております。

 

●吉良県議

子どもの貧困対策法策定で参照にしたといわれるイギリスの貧困法の目的は、相対的貧困率を低下させることと物質的剥奪を減らすこととされ、その達成のために賃金水準の改善と公的扶助水準の改善の必要性、学校行事やクラブの無償化などを挙げています。

日本の対策法は、その目的として「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備する」として、貧困そのものの直接的な削減・根絶に触れておらず、また、「貧困の世代間連鎖の解消と積極的な人材育成を目指す」という人材育成に傾斜するものとなっています。

その違いは、先に述べた就学援助に関する指標を例にとれば、「就学援助率」ではなく「就学援助制度に関する周知状況」となっていることに表れています。

そもそも、貧困解消というのであるならば、どういった現状・生活実態であるのか基準となる指標をしっかり設定し把握することが土台となります。制度を知らせるための周知徹底の度合いを測る項目も必要ですが、就学援助率そのものを指標として設定し、事業の実効性を検証することが求められます。

沖縄県は知事と副知事・関係部局長で構成する子どもの貧困対策推進計画検討体制の推進会議を設定し、まず実態調査を阿部彩、湯浅直美、山野良一氏などそうそうたる学識者5人の調査特別研究チームに委託、この1月末に発表しています。それは、大阪市が行った大阪こども調査を比較対象とできる事も念頭に置き、就学援助率や物質的剥奪率を図るものとして食料を買えなかった経験や物品所有状況、地域におけるネットワーク参加率、そして、相対的貧困率、そして、それとの比較ができる再分配前の子どもの貧困率も指標として示しています。

現在策定中の本県の貧困対策計画にあっても、「就学援助率」や「相対的貧困率」と「再分配前の貧困率」、そして、「物質的剥奪率」を測る指標項目を設定すべきだと考えるものですが、それらへの認識と今後の推進体制について知事にお聞きいたします。

 

■知事

子どもの貧困対策計画の指標項目についての認識と今後の推進体制について、のお尋ねがありました。

 県では、厳しい環境にある子どもたちへの支援策を喫緊の課題と捉え、子どもたちの環境の改善につながる施策については、直ちに実行に移す必要があるとの思いから、計画の策定前ではあるものの、施策の効果の早期発現を最優先に、今年度から本格的な取組みをスタートしたところであります。

 ただ、全体として、施策間の整合性をとる必要にも鑑み、平成27年度中にはより悉皆的な形で、平成28年度から実施する新たな施策も含めて、子どもの貧困対策計画としての取りまとめを行う予定としております。その際には、計画に基づく関連施策の効果等を検証・評価するための指標などについても、国の指標などを参考に、盛り込むことを考えております。

併せて、策定した計画の内容につきましては、その指標も含めて、今後さらにより詳しい状況把握や分析を加えることにより、より進化をさせていく必要があるものと考えております。

具体的には、来年度、国の地域子供の未来応援交付金を活用して、子どもたちやその家庭の生活実態調査を実施することとしておりまして、議員のご提案にあります相対的貧困率などについても、調査内容などを工夫してまいります。その上で新たな指標として盛り込むことなどを含め検討を深めてまいりたいと考えております。

また、今後の推進体制につきましては、取組み全体の進捗管理を、私が議長であります日本一の健康長寿県構想推進会議において行うこととし、子どもの貧困に関する実態調査の結果や社会・経済情勢の変化などへの対応を含め、PDCAサイクルによる検証作業などを通じまして、関連施策のバージョンアップを図ってまいります。

併せて、実態調査の結果の分析や評価などを行う際には、外部の専門家の活用などについても、検討してまいりたいと考えているところでございます。

 

 

【ビキニ被爆船員の労災申請】(要請)

●吉良県議

最後に、ビキニ被爆船員の問題について、要請になりますが、申し述べさせていただきます。

今日は、アメリカによるマーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で第5福竜丸が被爆して、62年目の3月1日です。3月から5月までの6回の核実験の被災船は約500隻。そのほぼ3分の1、117隻、2,300名が高知の船員と推測されています。日米両政府の政治的圧力の下、第5福竜丸以外で船員保険適用を受けた事例はありませんが、2014年、厚労省にのべ550隻の被爆実態の文書開示させた事を契機に、ついにこの2月26日、船員保険の労災適用を求め、ガン発症した高知の元船員6名と遺族4人が、全国健康保険協会高知支部に集団申請しました。31年にわたって350名もの高知の被爆船員を調査してきた太平洋核被災支援センターの山下正寿事務局長は、「主だった関係者は8割がた亡くなっている。県の助言で書類を揃えることができた。何とか早めに認定につなげたい」と、記者会見で述べています。健康相談会はじめこの間の県の適切な対応に感謝するとともに、今後も関係機関との連絡調整や健康相談会開催、船員名簿整理などでの指導助言を願うものです。

ビキニデーを控えた28日、静岡市に集まった山下氏や医師、弁護士など30人は被爆船員の救済を岩手や宮城、神奈川、静岡、三重など全国に広げるため「全国ビキニ被災船員救済検討チーム」を結成。また、別の動きとして、国家賠償請求についての検討も言われていると新聞報道されています。

そういった意味からも、本県の働きかけで厚労省内に設置された研究チームによる被爆の実相の分析結果が待たれます。開示文書だけの分析でよしとするのではなく、アメリカが持つ太平洋地域一帯の被爆調査資料、東京都立第5福竜丸展示館の持つ豊富な資料なども分析利用するなど、総合的に被爆の実相に迫る調査分析結果となるよう、県として厚労省に申し入れるよう要望いたしまして、私の第一問といたします。

 

 

【第2問】

●吉良県議

 知事にまず一点お聞きしたいんですけれども、先ほどの緊急事態条項のご答弁を聞いて、知事のスタンスをもう少し明確に述べていただきたいと思います。

 スタンスとしては、緊急事態条項が必要だと、憲法を改正して事項を入れるのが必要だという立場なのか、それとも論議をして、必要なのか必要でないのか、今の法制度で間に合うかどうなのかも、その後判断するというのか、どちらなのかということを明確にしていただきたいと思います。

 

■知事

 私は自分自身のですね、この南海トラフ地震対策についての県における様々な検討、さらには国におきます内閣府において、総合防災会議におきます、その一分科会において私も委員として、色々南海トラフ地震対策について研究させていただいた経験などなど踏まえて、いまの憲法では対応できないことが出てくるんではないかということを強く懸念をいたしておるものの一人であります。

 ただことは憲法にかわわることでありますから、私は必要ではないかなという仮説を今持っておりますけれども、その緊急事態条項についてですね、必要ではないかなと言う仮説はもっておりますけれども、ただことは憲法にかわわることですから、これは徹底した議論を当然する必要がある、360度見渡したそういう議論をする必要があるだろういうことであります。

 ぜひ、これは議論をしていただきたいと思いますし、私自身も研究を重ねたいというスタンスでございます。

 

●吉良県議

 原発の問題については、私の認識がなかったのかもしれませんけども、例えば随時調整契約制度だとか、デマンドレスポンスも含めてですね、こちら側から勉強会で、こういうものがあるのではないかと言ったのか、それとも四電の方からこういうものがありますよ、でもこうですよというのがあったのか、そこらへんがちょっとわかりかねます。

 基本的には先ほど知事もおっしゃいましたけれども、常時ですね、専門家によって次どういうような対応をするのかということを含めて論議をしていったらいいと思うのですけれども、四電との勉強会での対応をお聞きします。

 

■知事

 原発について、先ほどありました随時調整契約については、ちょっと私も詳細を存じ上げていませんが、勉強会の資料の中になかったということはですね、今まで聞いてなくて今度新しくお話を伺わせていただいたということなのだろうと思います。

 それで正直な所、こういうことは色々起こってくるんだろうと、故に私どもは勉強会の資料についてすべてオープンにさせていただいて、公儀公論に伏そうとしているところです。このような形で勉強会の資料をオープンにしましたから、あれだけ詳しく、かつオープンにしましたから、色々な専門の方々からも色々コメントが出てくる訳ですね、そのコメントを大いに生かさせていただいて、次の勉強会においてそのコメントをぶつけさせていただきたいとそのように思っております。

 ちなみに私どもとしても、我々が素人として理解できるようなぐらいの回答を求めるということが、いわゆる常識としての納得が出来るレベルまでの回答を求めるように繰り返し聞いていくということが大事だというふうに思うとともに、合わせて専門的知見と言うのも極めて大事だとそのように考えておりまして、今回の勉強会の取りまとめにあたりましてもですね、かなり複数の先生方に、我々として専門家としてのご意見をお伺いをさせていただいたところでありまして、5人くらいでいかね、わざわざお伺いしにいって、そこでの得た知見をもとに、さらに厳しい質問をしたりとかですね、そういうことを繰り返してきたところです。これからもそういうことは行っていくということが大事ではないか。

先ほど言われた随時調整契約制度とか、デマンドレスポンスとかってのは、ある意味、エネルギーシフトとかということを考えていく中においての新しい知見なのだろうと、それをいかに瞬時においても適用できるようにすることはまだ研究課題なのだろうと思っております。いわばこれ節電のための施策の一種なのだろうと思いますけれども、こういう新しい知見もこれから出てくるでしょうから、そいうものを随時勉強し、そしてまた四国電力との勉強会でも生かしていくものにしていきたいものだとそのように思います。

 

●吉良県議

 子どもの貧困問題ですけれども、沖縄が一番低いわけですけれど、これは先ほど紹介しましたように、例えば給付制の奨学制度とか、あるいは就学援助制度の効率のいい適用だとか、非常に具体的に制度を充実させていく方向にも出ていますし、その背景にはやはり知事忙しいわけですから、それぞれの検討委員会だとか、調査するチームだとか、やっています。これをお聞きすると県はお二人だけで、実際実務をやっているのは、もうひとり、今三人になったと言ってたんですけれども、その取り組みの体制をもう少し体制を十分にとっておこなうべきではないかと思います。

 それと同時に、児童扶養手当は結局、今もちろん加算はありましたけれども、必要としている方の6割が第一子だけなんですね。その第一子が残っちゃうんですよ、まったく恩恵を受けないということになるんで、これについてしっかりと恩恵を受けるものにもしていただきたいと思います。

 

■知事

 ちょっとわからなかったのですが、その二人か三人と言うのは子どもの貧困対策の担当が二人が三人と言う意味ですか、それはそうではなくて、実際には子どもの貧困対策と言うのは地域福祉部、健康政策部、それから教育委員会、そして県警本部さんも非行対策と言う点では一緒にやらせていただいておりますけれども、複数の部局に渡って携わるものでありまして、特に幼少期においては母子保健から要保護児童対策協議会などをはじめとする児童福祉の取り組み、さらには長ずるにしたがってですね、放課後の学習支援の取り組みをおこなっていったり、さらにいけば非行対策、いじめ対策、そういう問題をおこなったりということであります。

 正直申し上げて日本一の健康長寿県構想の推進体制そのものをもって、子どもの貧困対策、これをすすめていこうと、そういうつもりでございますので、私自身先頭に立って、全庁、関係部局あげての取り組みをしていこう、そういうことだと考えております。

 いわゆる取りまとめのための事務をするための担当者の数をいまおっしゃったのかもしれませんけれども、実際に施策に携わる人数は何十人、たぶん100人を超えているのではないかと考えております。

 第一子について、その程度の問題についてはですね、今回、第二子、第三子は、政策提言によってある意味、かなったことだと思っていますけれども、第一子という形なのか、その他の手当という形なのかはわかりませんけれども、経済的負担の軽減についてということを取り組むことは私共知事会としてのひとつの方向性でありますから、さらなる政策提言の進化をさせていただければとそのように思ってます。

 

 

【第3問】

●吉良県議

 原発については、知事も徐々に減らしていくという立場ですので、私たちと同じ態度です。ですからぜひ今の四電の態度も含めて、きちっとさせると同時に、県民の意見も聞いて、判断を、資料を提供するということで頑張っていただきたいと思います。

以上で私の質問を全部終わります。