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- 2015年12月18日
- 議会(質問・討論)
- 2015年12月議会 中根佐知県議の代表質問(2015.12.15)
【質問項目】
●中根県議
1、知事の政治姿勢/TPP
2、知事の政治姿勢/伊方原発再稼働
3、知事の政治姿勢/社会福祉法改悪
4、知事の政治姿勢/ルネサス閉鎖
5、男女共同参画
6、児童養護施設
7、出産・子育て支援
8、教職員の事務負担軽減
9、環境の保全と開発問題
【知事の政治姿勢/TPP】
●中根県議
自公政権が、TPP交渉の大筋合意を受けた「総合的なTPP関連政策大綱」を決めました。しかし、大筋合意したといっても、協定の全文も確定せず、参加各国の署名や批准の見通しもはっきりしません。そんな中で、「対策」を打ち出したのは、中身が国民に知られないうちに、都合のよい宣伝で協定への署名や批准を進めやすくし、来年の参議院選挙も乗り切ろうという党利党略でしかありません。断じて許せません。
11月5日公開された英文テキストは、協定文書1,000ページ、付属書5,000ページからなり、今、各国は、中身を分析し、その上で議会において批准するかどうかの議論の準備をしている最中です。これが当然の手続きです。しかし日本政府はわずか100ページの「抄訳」しか公表していません。ここにも国民に中身を知らせたくないという政府の姿勢が現れています。これは「国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること」を求めた2013年の国会決議にも反しています。
情報を隠したまま、対策なるものを打ち出す国民不在の進め方は、許してはならないと思いますがいかがでしょうか。
■知事
まず、TPP交渉に関して、情報を隠したまま、対策なるものを打ち出す国民不在の進め方は許してはならないと思うがどうか、とのお尋ねがございました。
お話にありました「総合的なTPP関連政策大綱」は、経済効果分析や影響試算を前提としたものではございませんが、政府等において精力的な議論を行い、また、地方説明会等で出された意見なども踏まえて、取りまとめられたものだと受け止めております。
大綱は、TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策、及びTPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにしており、とりわけ、農林水産業に関し、基本的な考え方として、農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう、さらに、農林水産業全体として、成長産業としての力強い農林水産業をつくりあげるため万全の施策を講ずる必要があるとそのように述べ、また、今後の対応として、農林水産分野の対策の財源については、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保するとするなど、特に、農林水産業に対する懸念・不安の声が多い中、少しでも早く、政府としての強い意思を明確にしたものではないかと考えております。
また、大綱では、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略、さらに、我が国産業の海外展開・事業拡大や生産性向上を一層進めるために必要となる政策については、平成28年秋を目途に具体的な内容を詰めることとされております。
さらに、政府は、TPPについて国民に対する正確かつ丁寧な説明・情報発信に努め、TPPの影響に関する国民の不安・懸念を払拭することに万全を期すとともに、TPPの経済効果分析結果を年内に公表することとしております。
いずれにいたしましても、県としましては、政府におきまして、十分な情報提供と説明を行っていただきたいと考えております。その上で、政府には、農林水産業に従事する方々の不安の声を真摯に受け止め、大綱の方向性に沿った形で十分かつ実効性のある対策を打ち出していただきたいと考えております。我々も、追加的な説明を通じて得られた知見などをもとに、さらに、積極的な政策提言を行ってまいります。
合わせまして、我々といたしまして、産業振興計画の推進を通じて、再生可能な農林水産業つくりにさらに尽力していなければならない、そのように考えておるところでございます。
●中根県議
判明しているだけでもTPPの影響はきわめて広範かつ深刻です。
農産物については、重要5項目の関税の3割が撤廃、それ以外の農産物は原則関税ゼロです。政府は、農林漁業分野でも「TPPの影響は限定的」と述べていますが、長野県農協が、鈴木宣弘・東大大学院教授に依頼した影響額の試算では、県全体の生産額の13.8%にあたる約392億円が減少。豚肉77%、牛肉63%、りんご43%、ブドウ32%が減少することとなり、関係者に衝撃を与えています。しかも原則7年後から関税撤廃・削減の前倒しを含めた再協議に応じる合意がされており、影響は拡大し続けます。
政府の「対策」は、コメについては備蓄対策の改善、牛肉・豚肉については経営安定事業の補てん率を引き上げるなど、当面の対策を打ち出しただけです。こうした対策をとること自体、被害の大きさを示していますが、5項目以外の関税撤廃品目や中山間地域の対策は無視または先送りです。輸出を2014年の6,100億円から1兆円にすると言いますが、農業の直接生産物では1,110億円しか増えず、2012年の農業総産出額の8兆5,250億円の1.3%にしかなりません。
政府の姿勢のひどさを示したのが、安倍首相の「日本茶にかかる20%もの関税がゼロになる。静岡や鹿児島が世界有数の茶所とされる日も近いかもしれません」との発言です。現在、お茶の輸出先の1位アメリカ、3位シンガポール、5位カナダは、すでに関税はゼロです。首相の言う20%の関税をかけているのはメキシコであり、その輸出額はわずか197万円、お茶の輸出総額78億円の0.03%です。こんな国民だましで進もうとしているのが実態です。
政府調達は、日本の開放基準額、さらに地方自治体まで及ぶのかどうか不明です。地方自治体も対象となれば、地産地消、地元発注など産業振興の取り組みにも重大な影響を及ぼします。また、「サービス貿易」や「金融サービス」の市場開放について、政府は、「社会事業サービス」や「公的医療保険」などを除外しているので、懸念は無用と「説明」していますけれども、国際協定のルールは、ネガティブリスト方式、つまりサービスの自由化を避けたい分野をあらかじめ挙げて合意をしておかなければ、「それ以外はすべて自由化」となってしまいます。現時点での何をリストアップされたかは不明です。たとえば公的薬価制度を守るといっても、知的財産保護の分野で、高薬価を担保するための「制度の導入」が合意されています。
さらに、日米並行協議による影響も検証しなくてはなりません。日本がTPP対象から除外している医療機器の規制についてTPPと同程度の水準を維持し、将来の薬価制度、薬価の決定ルールについて協議することを日米間の合意文書で確認をしています。最新の新薬、医療技術は保険外になるか、極めて高額となり、公的医療制度が空洞化させられると、各方面から指摘がされています。ISDの訴訟への防止対策も、従来、この種の協定で示された内容にとどまっています。それでは、まったく防止策になっていないことは、事実であきらかです。
政府が第一に行うことは、日本語訳の協定文書、付属書を全面公開し、その内容を国民各層が徹底して分析・検証できるようにすることだと思いますが、いかがですか、お聞きします。
県としても、全体を精査し、県民への影響を十分検証できるまでは、政府に対し「協定文書に署名するな」「批准するな」の立場をとること。また、重大な影響がある場合は、「協定から撤退を」を強くもとめる、という立場を貫くことが重要だと思うがお聞きをいたします。
■知事
TPPに関して、政府が第一に行うことは、日本語訳の協定文書などを全面公開し、国民各層が徹底して分析、検証できるようにすることではないか、また、県としての立場について、お尋ねがございました。関連しますので併せてお答えをいたします。
TPPの影響を深く知る上で、お話にありましたように、日本語訳の協定文書などを全面公開し、分析・検証を行うことも必要なことだと思います。また、政府においても、国会への提出に向けて作業を行っているところではないかと思っております。
他方、できるだけ早く、わかりやすく、国民の多くの皆様に対して情報を提供することも重要な視点だと考えておりまして、政府においても、こうした点を考慮して、まず、日本語訳の「TPP協定の全章概要」を公表したのではないかと考えております。
先ほども申し上げましたように、政府におきましては、TPPの経済効果分析結果を年内に公表し、わかりやすく説明するとのことであり、しっかりと対応をしていただきたいと考えているところでございます。
【知事の政治姿勢/伊方原発再稼働】
●中根県議
次に伊方原発再稼働についてお伺いいたします。
そもそも、新規制基準は、極めて不十分なものです。再稼働を前提とした基準であり、設計から根本的に見直しをするのではなく、最初から、追加工事で足りるとするものです。
日本の原発は、格納容器はこわれないことを前提に、IAEA基準である被爆量・年100ミリシーベルトが原発敷地内に収まるとして、多数の住民が住む地域に立地を許してきました。福島原発事故は、その前提の虚構を明らかにしましたが、新基準は、敷地境界の被爆量を規制した原子炉立地審査指針を残しておいては、原発が存在できないので、これを放棄しました。さらにIAEA基準の深層防護の第五層、原子力防災の中核である避難計画は、本来は、原発周辺に広大な非居住区域、低人口地域を前提としたものであり、日本のように10数万人、地域によっては100万人もの人が30キロ圏内に住んでいることを想定していません。よって、日本では実効ある避難計画をつくることが不可能なので、規制基準からはずしたわけです。その立地条件は、世界基準をまったくみたしていません。その上、電力会社の申請内容をチェックする審査の在り方が問われている重大事態となっています。
東京電力柏崎刈羽原発で安全設備関連のケーブルが新規制基準に反して分離されていなかった問題が発覚しました。類似のケースは福島第2原発、浜岡原発などでも見つかっていますが、重大なのは、規制委員会の審査や検査は書面だけで、十分な現場確認が行われていないことです。規制庁は「現時点で、加圧水型でもケーブルが混在している可能性がないとは言えないが、今後の対応は決まっていない。まずは東電の報告内容の分析を進める」と発言しています。
少なくとも、審査のあり方を点検しなおし、再審査が完了するまでは、再稼働すべきでないと思うがお聞きをいたします。
■知事
伊方原発再稼働に関する一連のご質問にお答えをいたします。まず、原子力規制委員会の審査の在り方を点検し直し、再審査が完了するまでは再稼働すべきでないのではないかとのお尋ねがありました。
伊方原発3号機については、現在、原子力規制委員会において、設置変更許可後の工事計画の審査が続いているところであります。工事計画が認可された後に、使用前検査が実施され、実際に現地において、認可どおり設備の構造や機能などとなっているか確認することになります。また、伊方原発3号機では、設置変更許可の審査の過程においても、本年3月を含めて3回、現地調査が実施されております。
新規制基準の適合性につきましては、議員ご指摘のように柏崎刈羽原発などにおいて、過去に設備が不適切に設置されていたことも踏まえて、現在の原子力規制委員会では、現地検査を含めた厳正な審査が実施されるものと認識しております。
県としましては、万全の安全対策が講じられますよう、引き続き、国に対しても厳正なる審査を求めてまいりたいと考えております。また、今後も継続して行っていく四国電力と県との勉強会などにおいて、使用前検査などの再稼働までのプロセスの確認を行って、そのようなことも考えているところであります。
●中根県議
今回の電力会社の再稼働については、知事は「現時点でやむなし」と判断した根拠に、老朽火力の故障による停電の危機として、昨年12月の事例をあげて説明しています。
その詳細に入る前に、「現時点」とは言いますが、四電は、老朽化した伊方原発1号機、2号機の廃炉の方向も示していません。火力発電を置き換えるための計画も、原発再稼働を前提としているために小規模なものにとどまっています。これでは「停電の危険」を理由にし、1号機、2号機も再稼働が必要というレールに乗ってしまうことになりかねません。この点は厳しく指摘しておきたいと思います。
また再稼働する3号機は、高濃縮のステップ2燃料とMOX燃料を使う、他に例のない運転です。運用実績も1年しかありません。四国電力も県との勉強会で、プルサーマル運転は、制御棒が効きにくいということを認めています。また燃料自体が高価で、発電効率が悪いこと、使用済み燃料の発熱量が通常の燃料より格段に大きく処理により大きな困難をともないます。県民の不安、批判がより大きい方式を採用することは「やむなし」ではありません。
「プルサーマル運転を止めるべき」と明言すべきではありませんか、お聞きをいたします。
■知事
次に、プルサーマル運転を止めるべきと明言すべきではないかとのお尋ねがありました。
プルサーマル運転で使用されるMOX燃料は、使用済み核燃料から核分裂に使われなかったウランや新たに発生したプルトニウムを抽出し燃料として再利用するもので、ウラン燃料と比べて中性子を吸収しやすく原子炉の制御が難しいとされており、使用済み燃料も使用済みウラン燃料と比べて発熱量が低下しにくい性質があるとされております。
このため、本県としましても、四国電力との勉強会においてプルサーマル運転における安全対策や使用済みMOX燃料の保管方法の安全性について特に取り上げ確認をしてきたところであります。四国電力からは、プルサーマル運転に当たっては、MOX燃料の特性を踏まえ、原子炉内のMOX燃料とウラン燃料を適切に配置したり、一次冷却水のほう酸水濃度を高めるなどの安全対策をとっていること。プルサーマル運転は、国内の複数の原子力発電所や諸外国においても豊富な運転実績があり、十分に確立された技術であること。使用済みMOX燃料の保管についても、その特性を考慮したうえで使用済燃料ピットにおいて安全に冷却できることが国の審査により確認されていることから安全であるとの説明をいただいているところでございます。
いずれにしましても、四国電力に対しては、原子力発電所の再稼働に当たって、万全の安全対策を講じるよう引き続き要請していきたい、また確認を重ねてまいりたいと考えているところであります。
●中根県議
昨年12月の事例ですが、最大電力となった17日、確かに四国電力の供給能力535万kwに対し、余力は32万kwしかありませんでした。しかし、冬場で電力需要が高まることは明らかなのに、他社受電が132万kwしかありません。これは4月、6月に続き3番目に低く、9月の165万kw、前年12月の156万kwから大きく減少しています。他社受電を適切に確保していれば逼迫するという事態は避けられたはずです。
ピーク時と火力発電の故障が重なったらと説明していますが、電力供給は、需要を予測して一定の余裕をもって発電施設を動かしています。故障したからといって、それ以外の動いてない火力発電で急に発電できるわけではありません。原発が動くことになってもこの理屈は同じです。緊急の場合は、本川の揚水発電がバックアップの役割を果たします。61万kwの発電を10時間継続運転できます。地域間連携で対応します。四国電力と関西電力で140万kw、四国電力と中国電力で120万kwの融通できる送電線の容量となっています。当然、当該地域での安定供給を前提にして、可能な範囲でということですが、全体として、火力発電の老朽化が問題となっているなら、余力を多めにとるなど、ネットワークを生かした対応で、再稼働を避けるための最大限の努力をすべきです。電力供給は、地域連携、他社受電など極めて複雑で専門的な分野です。
専門家、研究者の力、全国的な知恵を生かし、再稼働を避ける手立てを徹底検証すべきと思うがお聞きをいたします。
■知事
次に、専門家、研究者の力、全国的な知恵を生かし、再稼働を避ける手立てを徹底検証すべきではないかとのお尋ねがありました。
四国電力の電力供給力に対し、管内の電力需要が大きくなることが見込まれる場合は、他の事業者からの受電や、他の地域の電力会社からの電力融通により対応することが考えられ、こうしたことについても、四国電力の勉強会などを通じて確認を重ねてまいりました。この中で、他の事業者からの受電は事業者の供給能力に左右され、他の地域の電力会社からの電力融通は各々の電力会社の需給状況に左右されることから、四国電力で電力の供給力不足になる恐れがある時に、確実に必要な電力供給を受けられる保証はなく、このため、安定的な電力供給のためには、それぞれの電力会社でしっかりと供給力を確保する必要があるとの主旨の回答を、定量的な説明も含めて得たところであります。四国電力において、県民の生活や経済活動に不可欠な電力の安定供給を図るためには、これまでも申し上げてきましたとおり、現時点では、伊方発電所3号機の再稼働はやむを得ないと考えております。
ただ、併せて、今後、四国電力に対しては、勉強会などを通じて原発の依存度の低減に向けた取り組みを求めてまいりますし、国に対しては、再生可能エネルギーのさらなる導入促進を進めるため、送電網整備などの全国的な課題の解決を求めてまいります。県としても、エネルギーの地産地消の仕組みづくりなどに取り組むなど、原発の依存度低減に向けた具体的努力を重ねてまいる所存であります。
●中根県議
また、節電の努力は不安定だと言いますが、大きな流れは定着してきています。特に、原発再稼働か、節電かの選択が問われれば、住民の大きな協力がえられるはずです。
節電の呼びかけもなしに、「再稼働やむなし」とするのは、県民の再稼働反対の声に応えたものとは言えないと思いますが、どうか、お聞きをいたします。
■知事
次に、節電の呼び掛けも無しに「再稼働やむなし」とするのは、県民の再稼働反対の声に応えたものとは言えないのではないかとのお尋ねがありました。
節電の呼び掛けにつきましては、東日本大震災以降、毎年、夏季・冬季の電力需要が増加する時期に、国や電力会社から国民に対して行われております。本県としましても、国からの呼びかけも受け、全庁挙げて節電に取り組んでおります他、市町村に対して、協力要請や関係機関への周知依頼を行っております。
四国電力の分析によりますと、四国電力管内における節電効果は、伊方発電所がまだ稼働していた平成23年度と全号機が停止した平成24年度以降で比較すると、夏季は、平成23年度に16万kwであったものが、約2.5倍の40万kw程度で推移しており、冬季は、平成23年度に14万kwであったものが約2倍の30万kw程度で推移していることから、既に節電は、全体的に相当程度行われており、これ以上の上積みについては確実性を担保できるものではないと考えます。また、そもそも電力需要のひっ迫が予想される事態に際して、節電を呼び掛けても、直ちに広域に行きわたらせることは困難である上に、どれだけ節電に取り組んでいただけるか不透明であることから、十分な電力需要の低下を担保する方法として、確実なものとは言えません。この点からも、節電によらずとも、あらかじめ電力供給を十分に確保しておく必要があると言えるものと考えております。
こうしたことから、現時点で、さらなる節電によって対応可能であるとは考えておりませんけれども、他方で、原発の依存度の低減のために、節電や蓄電は重要な技術であると考えます。国を挙げて技術開発に取り組んでいくことは必要であり、引き続き本県からも政策提言を重ねていきたいと、そのように考える次第であります。
【知事の政治姿勢/社会福祉法改悪】
●中根県議
次に社会福祉法改悪についてお伺いします。
国会で今、継続審査となっている社会福祉法等改定案の中心点は、社会福祉法人にいわゆる「内部留保」を活用して地域公益活動をおこなうことを義務化することと、社会福祉施設職員など退職手当共済制度の公費助成対象から障害福祉分野を外す内容で、障害者団体などから強い批判の声があがっています。
見直しの出発点は、民間企業の参入推進、社会保障費抑制のために、政府の「規制改革」論議に端を発したものです。一部の社会福祉法人が経営する「特養ホーム」に、いわゆる「内部留保」が多額にのぼっているとキャンペーンを張り、それをすべての社会福祉法人の問題にすり替えたものです。
まず、障害福祉、児童養護など県民の生存権を守る上で果たしている社会福祉法人の役割についてどう認識しているか、お伺いいたします。
そもそも非営利の社会福祉法人が将来の事業などに備える資金と、営利優先の大企業の「内部留保」とは性格が違います。厚生労働省の調査でも、運転資金を考慮すると約7割の法人が運営困難となっています。
本県の社会福祉法人は厳しい環境で運営していると思いますが、どうお考えか、お聞きいたします。
■知事
次に、社会福祉法人が果たしている役割と、県内法人の運営面での厳しい環境についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。
先ず、社会福祉法人が果たしている役割につきましては、社会福祉法に基づく特別養護老人ホームや障害者支援施設、児童養護施設等の設置・運営などの社会福祉事業の実施を目的に設立された法人として、地域における福祉サービス提供の中心的な役割を担う存在であり、地域住民の皆様からは、大きな社会的信頼を得ているものと理解をいたしております。また、多くの社会福祉法人には、要保護児童を施設入所させるケースや、介護保険制度や障害者総合支援制度などの利用が困難な方々を支援する際に、行政が措置委託する施設となっていただくなど、社会的・経済的弱者とされる方々の生活を見守り、支えていくための重要な役割も担っていただいております。
こうしたことから、福祉サービスを提供する際のノウハウや経験、さらには、専門人材や施設・設備などを数多く有した地域における社会福祉事業の主たる担い手として、本県の地域福祉活動を支えていくためには、なくてはならない存在だと認識をいたしております。
次に、県内の社会福祉法人を取り巻く経営環境につきましては、現在県内において、約200もの社会福祉法人が活動を展開されておりますが、その多くの法人において、今回の介護報酬の改定による経営面への影響や、中山間地域などで福祉サービスを提供していくための人材確保への対応などといった面で、厳しい環境の下に置かれながらも、それぞれが独自の経営努力を重ねられることにより、本県の社会福祉事業の維持・継続が図られているものと承知をいたしております。
●中根県議
見直し案は、すべての社会福祉法人に、すでに行っている社会福祉事業に加え、新たな「無料・低額の福祉サービス提供」「地域公益活動」を行う「積極的努力義務」を求め、その財源に、法人の「余裕財産」をあてることなどを義務づけています。2014年7月、政府の検討会がまとめた「社会福祉法人制度の在り方について」が、その狙いを語っています。 その中では、「介護保険制度、障害者総合支援制度が、利用者の多様な生活上の困難の全てについて対応しているわけではない」「制度上、様々な経営主体の参入が可能になっているものの、過疎地等には事業者の参入がなく、制度に基づくサービスについても、提供が困難となっている場合がある」として、現在の契約制度や市場化の問題点を認めながら、それを改善するのではなくて、「政府や市場の失敗を補完する機能が非営利組織にある」として、採算のとれない事業を社会福祉法人に押し付けようとしているのです。
これは、高知県のような地方、中山間地は、切り捨てるという発想ではありませんか。また、「国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的支援を求めないこと」と、社会保障の公的責任を定めた社会福祉法第61条の第1項第1号に違反する考えだと思いますが知事の認識をお聞きいたします。
ところが見直しの前提となる社会福祉法人の「内部留保」の確定した定義も、「余裕財産」の算定方式も定まっていません。まさに先に結論ありきの改悪です。その結果、算定式をいじるだけで、経営実態を無視して「余裕がある」と判定され、新たな無償サービス実施を一律に押し付けられ、労働強化や経営難に追い込まれる懸念があります。
さらに、ガバナンスの強化として、評議員会の設置、計算書類、財産目録の公開、社会福祉実践残額の算出を義務化し、事務負担、支出増を強いる内容となっています。社会福祉法人の6割は、30人未満の小規模事業所であり、事務負担とそのための支出増の影響は小さくありませんが、恒常的な助成策は検討もされていません。
本県の社会福祉法人へ重大な影響を与える内容が含まれていると思うが、認識をお聞きいたします。
■知事
次に、今回の社会福祉法等の改正案は、本県のような地方を切り捨てるものであり、社会保障の公的責任を定めた社会福祉法の規定に違反するものではないかとのお尋ねと、本県の社会福祉法人に与える影響についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。
今回の法改正の趣旨は、高い公益性と非営利性を備えた社会福祉法人が、運営の透明性を確保するとともに、その能力を最大限に生かし、地域ニーズを踏まえた計画的な福祉サービスを提供することにより、地域社会への貢献をこれまで以上に促していくものであり、決して地方や中山間地域などの切り捨てといったことや行政の役割を転嫁することを狙ったものではないものと理解をいたしております。
県といたしましては、社会福祉法人の皆様には、今回の法改正の趣旨を最大限に活かす方向で、それぞれの地域において福祉活動の充実を図っていただくことを期待いたしております。加えて、本県の地域福祉活動の中心的な役割を担います、あったかふれあいセンターの機能強化などに向けて、その運営を担う社会福祉法人となります社会福祉協議会などとの連携強化を図ることにより、住み慣れた地域地域で安心して暮らし続けることのできる高知型福祉の実現を目指してまいりたいと考えております。
他方で、本県における福祉サービス提供の中核を担います社会福祉法人が、今回の法改正の趣旨に反するような形で影響を受け、今後のサービス提供に支障が生じるようなことは、あってはならないことだと考えております。
現時点で、新たな仕組みの実際の運用に当たりましての詳細については、未だ明らかにはなってはいない部分もあり、今後の国会における審議の状況などを注視いたしますとともに、関係者の方々のご意見などもお聞きをいたしながら、必要に応じて、全国知事会などとも連携を図り、適切な対応に努めてまいりたいと考えているところであります。
●中根県議
福祉分野の担い手不足が大きな社会問題となっており、2014年には「介護・障害福祉従事者の処遇改善のための法律」が全会一致で成立をしているんです。退職手当共済制度の障害分野における改悪は、処遇の低下によるさらなる人材不足を招くもので、福祉人材確保に逆行するものです。
退職共済制度は、公共性の高い福祉労働を担う民間福祉労働者の賃金水準や労働条件が、公務労働者と比べてあまりにも低いことを国としても認めて、その改善に資するために1961年に導入されました。この制度では、民間福祉労働者の退職金の水準確保のために、掛け金を国・都道府県・事業者が3分の1ずつを負担するものですが、2005年、民間企業との条件の同一化を「理由」に、改悪され、まず介護保険分野が助成からはずされました。そして今回は、障害福祉分野が遡上にのぼり、今後、保育分野も廃止が検討されています。福祉現場の労働環境の劣悪化、担い手不足に拍車をかけるものです。
福祉の人材・人不足解消、処遇改善に逆行すると思いますがお聞きをいたします。
■知事
次に、障害分野における社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについてのお尋ねがありました。
今回の社会福祉施設職員等退職手当共済制度の改正案につきましては、近年、障害福祉サービスの提供主体が、NPO法人や株式会社などの新規参入により多様化が進んだことなども踏まえ、介護保険施設等と同様に、他の経営主体との条件の同一化を図る観点から、社会福祉法人に対する公費助成の廃止が盛り込まれているものであります。
他方で、福祉人材の安定確保に向けまして、退職手当金の支給乗率を長期加入者に配慮したものへと改めますとともに、出産・育児・介護などの事由により退職した職員が、再加入した際の加入期間を合算できる復帰までの期限について、2年から3年へと延長するといった内容も含まれているところであります。
こうした中、制度に加入している法人の皆様からは、今回の法改正により、障害分野における法人の負担が増すこととなるため、経営に及ぼす影響などについての懸念の声もお聞きをいたしているところです。県としましても、職員の賃金の引下げや法人の運営に深刻な影響を及ぼすことのないよう、今後の障害福祉サービス等の報酬改定の際には、適切な見直しが行われる必要があるものと考えており、今後の国の動向には、十分留意するとともに、必要がある場合には、全国知事会や他県などとも連携を図りながら、国への必要な改善を要望していきたいと考えているところであります。
●中根県議
本来、公的な社会保障制度の拡充で対応すべき内容を、社会福祉法人の「慈善事業」に肩代わりさせることは、国の責任放棄にほかなりません。担い手不足をさらに深刻化させます。社会福祉法人が疲弊することで被害を受けるのは利用者であり県民です。県が進める「住み続けられる地域づくり」にも困難を持ち込む改悪です。
社会福祉法等の改悪は、重大な懸念があり、反対すべきと思いますが、お聞きをいたします。
■知事
次に、今回の社会福祉法等の改正には重大な懸念があり、反対すべきではないか,とのお尋ねがありました。
先ほども、申し上げましたように、今回の法改正の趣旨は、高い公益性と非営利性を備えた社会福祉法人が、その能力を最大限に生かし、計画的な福祉サービスを提供することにより、地域社会への貢献をこれまで以上に促していくものだと理解をいたしております。
また併せて、今回の改正案には、深刻な介護人材の安定確保を図る必要から、離職した介護福祉士の福祉人材センターへの届出制の創設などといった、その成立が急がれる改正内容などがセットで提出され審議されております。いずれにしても、今回の改正案につきましては、衆議院で成立後、参議院での継続審議となっておりますことから、今後の動向を十分に注視いたしますとともに、議員の御指摘にもありますような行政が対応すべき内容の福祉サービスの確保につきましては、公的責任の後退を招くことのないよう、県としても、しっかりとその責務を果たしてまいりたいと考えておりますし、必要に応じ、全国知事会とも連携をし、政策提言等行っていかなければならん、そのように考えているところです。
【知事の政治姿勢/ルネサス閉鎖】
●中根県議
次にルネサスの閉鎖の問題についてお聞きいたします。
12月1日に、ルネサスエレクトロニクス子会社の高知工場が2、3年をめどに閉鎖、撤退することが発表されました。県も対策本部を立ち上げ、関連企業を含めた360名の労働者の雇用確保に全力をあげることを発表しました。
雇用確保の点では、そもそも、ルネサスエレクトロニクスは、三菱電機、日立製作所、NECという大企業から分社化された会社です。14年3月決算で、それぞれ5,405億円、2兆9,713億円、6,430億円という巨額の内部留保もっており、雇用確保のために、大企業としての社会的責任を果たすのは当然ではないでしょうか。
また、ルネサス エレクトロニクスは、官民ファンドの「産業革新機構」の支援を受けて経営再建を図っている最中でした。現在、同機構の持ち株比率は69.16%となっています。産業革新機構は、官民ファンドといいますけれど、3,000億円の出資金のうち、政府が2,860億円を占めており、実質的には、国有企業のような状況にあったわけで、政府も雇用問題の解決で力をつくす責任があります。また、労働者の多くは30代、40代の子育て真っ最中の世代であり、生活上の不安など精神面も含めてきめ細かい対応が必要です。
ルネサスエレクトロニクスの身勝手な撤退を許さず、雇用問題の解決に政府、親企業に責任を果たしてもらう必要があるのではないか、解決のための決意をお聞きいたします。
■知事
次に、ルネサス社の高知工場の撤退についての一連のご質問にお答えをいたします。
まず、雇用問題の解決に政府、親企業に責任を果たしてもらう必要性や解決のための決意についてのお尋ねがありました。
高知工場の従業員の皆様の雇用継続については、まずは雇用主であるルネサスセミコンダグタマニュファクチュアリング株式会社及び同社の親会社であるルネサスエレクトロニクス株式会社において、最大限の努力を行っていただく必要があります。このため、両者との間で今後の雇用継続に向けた取組みを確認しているところで、今後も親会社を含めてルネサス社に責任ある対応を求めてまいります。
また、県としては、協力企業を含む高知工場の従業員の皆様の雇用の継続を図ることが最優先であると考えており、今月2日には、商工労働部長を本部長とする対策本部を設置しました。さらに、雇用継続のためルネサス社との取組み内容について、最終的に合意するため、和解議案を提出させていただいております。
議案について、ご承認いただければ、県としてもルネサス社と協力して従業員の皆様の雇用継続に向け、高知工場の譲渡先の確保や第二棟用地への企業立地による雇用の創出に全力で取り組んでまいります。
なお、お話にありました産業革新機構は、ルネサスエレクトロニクス株式会社の筆頭株主ですが、官民の出資により設立された投資会社であり、支援企業の従業員の雇用についての当事者ではありません。あくまで高知工場の従業員の皆様の雇用の継続は、ルネサス社が当事者であり、同機構や同機構の株主である政府に対しての働きかけなどは行っておりません。また、統合前の三菱電機株式会社など3社については、一株主の存在で、今回の高知工場の集約の見直しなどを申入れる対象ではないと考えているところであります。
以上の判断からルネサス社に対し、我々として交渉を行ってまいったということでございます。
●中根県議
さて、今回の問題を、今後の企業誘致においてどう教訓化するかが、問われていると思います。知事は、今年の2月議会で「ビッグプロジェクトの誘致を」という質問に対し「竹に木をつぐような取り組みでは成功しない」として、「大型の工場を誘致し撤退し大変困っている地域がたくさんある。やはり地域に根付いていることが大事」と、一次産業由来の産業育成の重要性を強調する答弁をしています。きわめて大事な視点だと思います。
あらためて、企業誘致に対する基本的視点について、どう教訓化するか伺います。
県は、工場拡張計画を前提に、2001年度までに約22億円を投じて、「香南工業用水」を整備しました。しかし、県は三菱側と当時、用水整備の負担に関しても契約も結んでいなかったため、今回、 その負担について信義則しか適用できず、第二棟計画用地、6億円の無償譲渡で、和解するしかなかったわけです。
わが党は、以前に、企業誘致にあたり、安易な撤退を防ぐために、補助金を出す条件として、雇用の維持や自治体が投資した財政負担への責任などを明確にした協定を結ぶことを提案したことがあります。
今回の事例から何を教訓とするのか、また、あらためて協定の必要性についてお伺いいたます。
■知事
次に、企業誘致に対する基本的視点について、どう教訓化するか、今回の事例を踏まえた協定の必要性についてお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えをいたします。
企業誘致は、雇用の確保や地域経済の活性化等のための重要な取組であり、社会経済情勢の変化やこれまでの取組の成果に伴い、企業誘致に対する視点もバージョンアップしていく必要があると考えております。
このため、提案説明でも申し上げましたとおり、これまでの誘致の取組に加えまして、本県の強みであり、地域に根ざした産業である第一次産業を核とした関連産業群の集積や、本県の若者の就職希望が多く特性にもマッチした、コンテンツ産業や事務系職場の誘致など、新しい視点での企業誘致にも積極的に取組むこととしているところであります。午前中の西内議員のご質問にお答えしましたように今回のルネサス社の事例は、特定の企業の立地のために、工業用水道といった大規模なインフラを整備するといった特殊な事例であります。
今後、こうした事例について、第一に、企業との協議の進展に応じ、本県への立地に対するコミットメントを節目節目で確認すること、例えば、誘致が具体化した初期の段階で相互の協力内容を具体的に明記する協定を締結するといったことなどに、努めてまいりたいと考えておりますし、第二に、今回のようなケースでは、今年、新たに立ち上げました企業立地推進会議等におきまして、庁内関係部局を集め、企業誘致の視点だけでなく、多角的な視点からの検討を行っていきたいと考え、また第三に、こうした事例の取組では、何より、県民の皆様への説明責任、これを果たすことが重要と考えますので、企業機密事項にも留意しつつ、企業誘致の進捗状況に応じて、そのメリット、リスク含め、速やかに県議会に報告し、議員の皆様のご意見もお伺いしながら、適切に取組むなどの取り組みをすすめさせていただきたいとそのように考えるところでございます。
【男女共同参画】
●中根県議
次に、男女共同参画について、お伺いいたします。
国連の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を日本が批准して、今年でいよいよ30年になりました。そして、高知県では男女共同参画プランの見直し作業が進められ、いま、来年度以降5年間の方向がつくられようとしています。
男女共同参画の推進のために、意識を変える、場を広げる、環境を整えるといった3つのテーマで具体化をすすめてきました。男女共同参画計画がまだ策定されていない町村の数、今後の対応、県の審議会などの委員の構成や管理職の女性の登用比率、仕事と家庭の両立のための環境を整える問題など、取り組みは多岐に渡ります。
その進捗をどのように総括されているのか、また、次期プランに生かす課題をどのように考えているのか文化生活部長に伺います。
■文化生活部長
こうち男女共同参画プランの総括と、次期プランに生かす課題についてお尋ねがございました。
こうち男女共同参画プランの取り組みにつきましては、「次世代育成支援企業」の認証数など着実に進んでいるものがある一方で、市町村の男女共同参画計画の策定や県の審議会委員の男女構成比など目標値に届いていないものもあり、全体として取り組みは進んでいるもののまだ十分とはいえない状況でございます。また、昨年度の県民意識調査の結果をみますと、6割を超える方が、社会全体についても男性が優遇されていると回答されているほか、男性も家事・育児を分担することや、女性がライフステージの変化に応じて柔軟に働き方を選択できることを望む声、また、職場での仕事と家庭生活の両立への理解を求める声を多くいただいております。
こうした背景には、家庭生活をはじめ、社会の様々な分野において、いまだ男女共同参画の意識が十分には浸透していないことや、女性の活躍を支える仕組みが整っていないことがあると考えております。とりわけ、出産や育児・介護に直面する女性にとって、希望に沿った多様な生き方が選択できる環境の整備が課題であります。
このため、次期プランでは、引続き「意識を変える」「場を広げる」「環境を整える」をテーマに幅広く取り組みを進める中で、特に、希望する女性への就労支援をはじめ、企業に向けたワーク・ライフ・バランスや女性の登用への働きかけ、さらには、子育て支援サービスの充実などの取り組みを強化してまいります。
●中根県議
県が今年1月にとった県民アンケートを見ると、「社会全体」について男性が優遇されているという回答が前回の64.9%を上回る66%で、家庭生活の分野では妻が主に家事・育児を支えながら、夫と共同で家計を支えている結果が出ています。いまだに、ともに支え合う男女平等を感じることのできない社会を変えるには、強いリーダーシップが必要です。いきいきと暮らしていく社会を目指すために、まずは県の職場からと、この間も、何度か男女共同参画プランの中でも、育児休業の取得を始め、ワーク・ライフ・バランスの具体化を求めてきました。いつまでも電気の消えない県庁や学校の職員室、妻が出産し産休をとっていても、制度はあるのに育児休業をとる男性職員はごく少数です。チーム県庁、チーム学校の中で、ともに働き子育てをし、社会参加をしていく土台がいつまでも男性の側に広がらない現実を、変化させて社会全体に広げていくことが今求められています。
魅力ある人間の命の成長に向き合える貴重な時期に、短い期間でもしっかり向き合うことは、仕事にもいい結果を作り出せることにつながるし、バランスのある意識改革に通じると考えます。
具体的に、男性職員が育児休業を取る条件をしっかり作り、思い切って推進するために力を尽くすべきだと考えますが、いかがでしょうか。総務部長、教育長にそれぞれ伺います。
■総務部長
男性職員の育児休業について、お尋ねがございました。
知事部局において、平成26年度に新たに育児休業の取得が可能となった男性職員のうち、実際に育児休業を取得した者の割合は6.2%でございます。この数値は、国家公務員の5.5%や、平成25年度の地方公共団体の平均1.5%を上回ってはおりますが、まだまだ低い状況でございます。
昨年度に実施しました職員アンケートにおきまして、育児休業を取得しなかった職員にその理由を尋ねましたところ、主な理由としましては、「上司や同僚に迷惑をかけると思ったから」などが挙げられておりまして、この「上司や同僚に迷惑をかけると思ったから」という理由を解消してですね、男性職員による育児休業の取得を促進するためには、育児休業の取得を希望する職員がそのことを負担に感じないようにすることが重要ではないかと考えております。
そのためには、所属長が次世代育成支援の意識を持って職場をマネジメントしていくことが重要であり、本年3月に策定いたしました「高知県職員子育てサポートプラン」に沿って取り組んでおります。具体的には、子供が生まれた、または生まれる予定の職員に対し、所属長等が子育てに関する休業制度などについて説明をし、育児休業の申し出があった場合には、業務分担の見直しなど業務をカバーする体制を整える配慮を行うという取り組みを行っております。加えて、新たに本年度からは、育児休業を取得する前や、復帰する前の時点においても、職員の意向を聞き取り、必要な措置を講ずることによりまして、職員が安心して育児休業を取得することができるよう、ていねいな対応を行っているところであります。
今後も、こうした取り組みを徹底し、「希望する職員全員が育児休業を取得できる」といった、子育てサポートプランの目標達成に向けまして、育児休業を取得しやすい職場環境づくりに努めますとともに、職員に対し、育児休業の取得の促進に向けた働きかけを行っていきたいと考えております。
■教育長
男性職員の育児休業の取得に関するお尋ねがございました。
公立学校における男性教職員の育児休業の取得状況は、小中学校、県立学校ともに例年1名から数名程度となっており、平成26年度は、県立学校では4名とやや増えておりますが、小中学校では1名と依然として少ない状況にございます。しかしながら、男性教職員が育児休業の取得などにより、積極的に育児に関わることは、男女共同参画や次世代育成支援の観点からも、ますます強く求められているものと考えます。
このような状況を改善するため、教育委員会におきましても、知事部局と同様、本年3月に「教職員子育てサポートプラン」を策定し、県立学校の教職員を対象として取組を進めているところです。具体的には、男性教職員に対して子育てに関する制度の周知や、職場全体で子育て中の教職員を支援していくための啓発、人事上や業務上の希望に対するできる限りの配慮などを行っているところです。
今後もこのような取組を充実させながら、男女にかかわらず、「希望する教職員全員による育児休業の取得」といった、「教職員子育てサボートプラン」の目標達成に向けて、教職員が、育児休業等を取得しやすい職場環境づくりに努めていきたいと考えております。また、小中学校の教職員の服務管理を所管する市町村教育委員会にも、次世代育成支援対策推進法の趣旨を踏まえ、県の取組を参考に取り組んでいただくよう、お願いしていきたいと考えております。
【児童養護施設】
●中根県議
次に、児童養護施設の課題について、以下、地域福祉部長に伺います。
本年3月に、高知県家庭的養護推進計画が策定されました。これは、平成24年11月に厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知により、平成27年度を始期とする各都道府県の推進計画の策定が要請されたことによる平成41年までの将来像と、今後5年間の取り組みを定めたものです。国は計画として、現在、「施設が9割、里親が1割」である現状を10数年後に、本体施設、グループホーム、里親などの割合をそれぞれ、3分の1ずつにしていくという目標をあげています。
本県は、これまでも里親の「委託率」が低く、また、施設が多いことから、その目標達成には様々な課題があると思いますが、どのように家庭的養護を進めていくお考えなのか伺いをいたします。
■地域福祉部長
本県における家庭的養護の進め方についてのお尋ねがありました。
本県における社会的養護の現状につきましては、施設養育が中心となっており、里親への委託率は、近年高まってきてはおりますものの、全国に比べますと低位の状況にあります。しかしながら、児童養護施設等で生活する子どもたちが、原則18歳までで退所を余儀なくされ一人立ちを求められますことを考えますと子どもたちが可能な限り家庭的な養育環境のもとで、愛情を受けて育つことは、子どもたちがその後の自立した社会生活を送るうえで、大変貴重な経験ともなります。このため県としましても、里親やファミリーホームによる家庭的養護を推進していく必要があるものと考えております。
まず里親制度については、その正しい理解を深め、新たに里親登録をしていただける方を増やすため、今年度は、県内の8箇所において、里親制度の説明・相談会を開催いたしますとともに、児童相談所をはじめとする関係する支援機関が里親養育をサポートするための支援体制の整備等にも取り組んでいるところです。
次に、児童養護施設等につきまして、これまでの集団的な養育から、できるだけ家庭的な養育環境へと近づけるため、小規模グループホームによる養育へと移行するよう積極的な働きかけを行っているところです。今後とも、こうした取組みなどを通じまして、社会的養護のもとで育つ子どもたちの健やかな成長・発達に向け、養育環境の整備に努めてまいります。
●中根県議
この推進計画の中でも、社会的養護の課題が、何点か挙げられています。
その一つは、専門的ケアの充実です。この間、虐待を受けた子どもや、発達障害や知的障害など何らかの障害を持った子どもの入所が増えています。平成24年度の調査によれば、虐待経験者が約45%、障害を持っている子どもが28%という状況です。こうした子どもたちの心と体のケアと発達の専門的対応が必要です。平成24年からは、すべての施設に心理療法担当職員の配置が行われました。こうした専門職は経験を生かしながら、継続性による専門性の蓄積、実践交流による力量アップが図られなくてはなりません。
施設任せにすることなく、県としても支援策を講じるべきだと考えますが、お伺いいたします。
■地域福祉部長
児童養護施設等に配置された心理療法担当職員に対する支援策についてのお尋ねがありました。
児童養護施設等に配置されている心理療法担当職員は、児童虐待などによって心理的に傷ついた子どもたちへのカウンセリングを通じて、心理面での専門的なケアを行い、安心・安全感の再形成や人とのつながりの修復を図ることなどが求められており、その専門性を維持・向上していく必要があります。
このため、県では、施設の心理療法担当職員と児童相談所の児童心理司との学習会の継続的な実施により、相互の心理療法の技能向上に努めておりますほか、外部の専門家等を招へいしての個別ケースへの対応に生かされる実践的な研修などにも取り組んでいるところです。今後とも、こうした取組みなどを含めまして、児童養護施設等の心理療法担当職員の専門性の向上につながる積極的な支援に努めてまいります。
●中根県議
2点目の課題は、自立支援です。自立のために最低限必要と言える高校卒業資格を、どう保証するかが鍵となります。通塾のための国の予算措置はされていますが、コミュニケーション力が不十分である子どもたちにとっては、通塾も苦痛なものになります。この間、朝倉ゼミナールの先生方が施設に出向いてくださり、「必ず、高校に行けるようになるよ」と励ますことで子どもたちの目が輝き、熱心な取り組みにより、自立に大きく踏み出した経験も作られています。きわめて貴重な取り組みです。今年から国の制度で、集団学習になじむことが困難な子どもに家庭教師などによって個別指導を行うための措置費も月2万5千円という額ですが実現をしました。
各施設で積極的に活用するよう働きかけるべきだと考えますが、お伺いします。
■地域福祉部長
集団学習に馴染めない中学生への個別指導を行う際の国の助成制度の積極的な活用についてのお尋ねがありました。
児童養護施設等で生活している中学生の中には、学校での授業に遅れを生じている子どもや特別な学習支援を必要とする子どもたちも一緒に生活をいたしております。このため、各施設では、こうした中学生へのボランティアによる学習支援をはじめとする学びの場の確保などに取り組んでいただいているところです。
国の支援策では、従前より中学生の学習塾と集団学習指導に係る費用については対象といたしておりましたが、今年度からは、議員のお話にもありますように、特別な配慮を必要とする子どもたちへの家庭教師等によるマンツーマン指導についても支援の対象とされております。
県としましても、子どもたちが施設を退所し、自立した社会生活を送るためには、必要な教養を身につけさせておくことが欠かせないものと考えており、こうした個別指導を必要とする子どもたちが、学習支援を受けられる折角の機会を逸することのないよう、ニーズの把握を含めまして、制度の積極的な活用を施設に働きかけてまいります。
●中根県議
また自立のためには、就職できること、住居を構えることが重要です。どんな職業に就きたいか、そのためにはどうすればいいか、心にきめ細かく寄り添う相談、指導が欠かせません。適切な住居を選択し、契約するといった一人一人への具体的な対応も必要です。しかし、現在の職員配置基準では、専門的にその援助、指導を行える体制にはなっていません。人口の多い自治体では、そうした事業を委託できるNPO団体がありますが、本県には、存在していませんし、事業化するためには財政的基盤の点で困難な状況となっています。
県として、自立支援のために人的配置のできる支援が求められていると思いますが伺いいたします。
埼玉県では、退所後のアフターケアのあり方、自立支援に何が必要かを政策化するため、退所後の生活実態や自由記載欄をもうけた退所者のアンケート調査を行っています。
本県でも課題を明らかにするためにも、是非調査を行うべきと考えますが、お伺いいたします。
■地域福祉部長
自立支援につながる専門人材の施設配置と、退所後の自立支援に効果的な施策を立案するための実態調査の必要性についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので併せてお答えをいたします。
児童養護施設等に入所している子どもたちには、過去の生育歴や家庭環境などから、ややもすれば、自己肯定感も低くなってしまいがちな傾向が見られ、その進路を選択する際に、自らが断念してしまうケースが少なくないともお聞きをいたしております。他方で、施設の職員は、複数の子どもを交代で養育していることから、進路の問題や施設退所後の生活に関する相談などについては、子どもたち一人一人へのきめ細かな支援といった面で、どうしても手が行き届きにくいといった状況にもあります。
こうした子どもたちが、施設の退所後に自立した社会人としてスムーズな社会生活のスタートとその後の安定した日常生活を送るためには、子どもたちの進学や就職、さらには退所後の相談支援などを専門に担当する職員を配置することが必要ではないかと考え、現在、施設への具体的な支援の在り方などについての検討を進めているところです。
また、児童福祉法では、施設に入所できるのは必要に応じて延長が認められるものの、原則18歳までとなっており、退所後の経済的な負担の問題などから、そのつまずくリスクが高いことが言われております。このため、施設退所後の支接の充実が喫緊の課題となっており、その実態を把握することも必要になってまいります。その際には、先程申し上げましたような職員が退所後のアフターケア活動などを通じまして、必要とされる支援策の具体的な検討をおこなうことも可能になってくるのではないかと考えております。
【出産・子育て支援】
●中根県議
次に、出産・子育て支援について伺います。
少子化対策、なかでも出産・子育て支援について、知事と健康政策部長に伺います。
近年、少子化に歯止めをかけることは国の重要課題です。人口自然減の高知県でも喫緊の課題だとの共通認識のもと、教育や婚活、お母さんと赤ちゃんの命を守る医療体制づくりなど、努力を重ねてきましたが、いまだ、十分だと言える状況ではありません。
全国でも自治体の出産支援制度として様々な施策が実施されています。妊娠20週を過ぎれば誕生準備手当4万5千円が支給される千代田区や、一人出産につき8万円支給の渋谷区、港区では出産費助成が行われ、出産費用、上限60万円から出産育児一時金の42万円を差し引いた全額を助成する制度も大変喜ばれています。出産は一人ひとり条件が違いますから、病院を退院する時にお金の心配をしなくてよい制度は、産後ケアの大きな支えとなります。
また、世田谷区では「妊娠期からの切れ目ない支援」を掲げ、フィンランドで「アドバイスの場」を意味するネウボラと呼ばれる子育て支援制度を参考にしています。「ネウボラおばさん」と呼ばれる1人の保健師さんが、カップルが妊娠したときから学校に入るまでの間、かかりつけ保健師として相談に乗り、出産・育児に関するあらゆる手続きも「ネウボラおばさん」を通して行うものです。また、世田谷区では武蔵野大学付属産後ケアセンターと連携して、出産後4ヶ月未満のお母さんが体調管理をしながら赤ちゃんとの生活ペース作りをする子育ての自立の場をつくっています。宿泊プランや日帰りプランがあり、最長利用期間は7日間までですが、子ども家庭支援センターが窓口となり、定員が上回った場合には抽選となっています。
県は昨年、産後ケア検討会を行い、今年は福祉保健所単位で市町村と一緒に取り組みを強めようとしています。
具体的に、どう取り組みを進めているのか健康政策部長に伺います。
こうした他の自治体の取り組みにも学びつつ、高知県でも若い夫婦を励まし、少子化にはどめをかける施策が必要です。核家族化の広がる中、産後ケア事業の一つとして、せめて赤ちゃんの首の据わる時期まで、配食サービスを利用できないかとの声があがっています。母乳で育てる間に食を大切にしたいと思っても買い物に行くのもままならないのが産後の状況です。
市町村任せでなく、県が主導で子育てを応援する姿勢の一つとして配食サービスの制度を作ってはと思いますが伺います。
■健康政策部長
産前・産後ケアの取り組みと配食サービスについてお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えいたします。
子どもを安心して生み育てられる環境整備には、妊娠から出産、子育て期までの切れ目のない支援が必要であり、産前・産後ケアは、出産後の休息、育児への支援や母親の孤立化を防ぐために、非常に重要であると考えています。このため、県では、昨年度、専門家や市町村関係者、育児中のお母さんなどに参加していただき、産後ケア検討会を開催するとともに、市町村の専門職の人材育成をはかるなど、産前・産後ケアの取組みを進めてきました。
今年度は、母子保健事業の実施主体である市町村がニーズ調査を行ったうえで、限られた資源を活用して、地域の実情とお母さんのニーズに応じたサービスの具体化が実践できるよう、県がアドバイザーを招へいし、福祉保健所圏域ごとに1か所ずつ、産前・産後ケアの体制づくりの取組を市町村と協働で進めています。
調査結果によりますと、お母さんのニーズとしては、「親同士の仲間づくりの場」や「育児や乳房ケアを教わる場」、「産後のデイケア」などのニーズが高くならており、ニーズの高い優先するサービスから、取組みを進めていく予定ですが、議員から後手案のあった配食サービスについても、市町村が、お母さんのニーズに応じて検討していくことになると思います。
産前・産後ケア事業には、妊産婦の状況を継続的に把握し、支援プランを作成するなど、総合的な支援を実施していく母子保健コーディネーターの役割が重要ですので、国の交付金や補助金を活用するには、コーディネーターの配置が必須となっています。しかしながら、本県においては人材の確保や育成がすぐには困難で、配置できない市町村が大部分ですので、来年度は、県独自に、助産師等による相談や訪問、ママサポーターなどの人材育成等に要する経費の助成を行い、市町村が産前・産後ケアサービスの充実を図ることができるよう支援を行っていきたいと考えています。
●中根県議
また、子育ての中では、最大の悩みは高い教育費です。一連の中で、大学の給付型奨学金制度の導入を、以前にも提案させていただきました。
実現を望む声が強まる中、国の動きも具体化しつつありますが県としてどのように取り組んでいくのか、これは知事に伺います。
■知事
次に、大学の給付型奨学金制度の導入についてのお尋ねがございました。
家庭の経済状況にかかわらず、意欲あるすべての子どもや若者たちが安心して教育を受けることのできる環境を整えることは非常に重要であり、我が国の将来の社会、経済、文化の発展を支える人材育成という観点からも、こうした学びを社会全体で支えることが必要であると考えています。
本県においては、現在、高等教育段階での経済的支援として、高知県立大学や高知工科大学の授業料減免に対する支援の拡充や、無利子奨学金の貸与を行う土佐育英協会への補助など、大学生等の教育費負担の軽減を行っております。他方、国においても、地方創生に向けた取組の中で、地域に就職・定着し、かつ地域の中核企業等を担うリーダー的人材を確保するため、日本学生支援機構の無利子奨学金の返還を支援する仕組みが、国の特別交付税事業として新たに創設されています。
県としても、この事業の活用に向けて、現在、対象者の要件や支援の内容等が本県の実情に合った制度となるよう国と協議を進めているところでございます。
●中根県議
安心安全な出産を経験し、第三子以上の出産を決心できる環境を作り出すことは容易ではありません。世界でも出産率を上げていくためには、思い切った政策をとる国々があります。なかでも、少子高齢化が深刻化して日本と同じ状況にあったロシアでは、1999年に1.17だった合計特殊出生率が2013年には1.7に向上し、2014年の出生率は過去最高となり、人口が自然増に転じたとの報道がされています。その秘策の一つが、2007年から始めた「母親資本」、マテリンスキー・カピタルという制度です。要は、子どもを二人産んだ親に対して国が「母親資金」という一時金の支給をするというもので、金額はロシア人の年収の約1.5倍に相当します。ただし、支給されるお金の「用途」は決まっていて、「住宅の購入や修繕」か、「子どもの教育費」となっています。大変思い切った施策ですが、家が買えるほどの大金を支給してでも解決しようとする国の姿が、転換点を作り出しました。
子どもを産み育てる不安に、経済問題は大きなウエイトを占めています。ここを社会全体で支える考え方と施策が強く求められていることを示した一つの実例がロシアです。
第3次安倍内閣は、「一億総活躍社会」というスローガンを掲げ、新三本の矢の一つに希望出生率1.8をかかげました。加えて、「女性の時代」をかかげて、女性の社会進出を打ち出しましたが、従来型の施策にとどまっています。
県としても努力をするのはもちろんですが、国に対しても、少子化克服に思い切った財源投入を要望すべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事にお聞きします。
■知事
国に対して少子化の克服に向けた思い切った財源の投入を要望すべきではないかとのお尋ねがございました。
少子化の問題の克服に向けまして、県民の皆様の希望を叶える水準まで出生率を回復させていくためには、ご結婚された夫婦が理想とする子どもの数の実現を目指していくといった観点からの取組みも重要になってまいりますし、またより早くより多くの方が結婚の希望を叶えることができる、そういう環境づくりも大事であります。
出生動向基本調査では、理想の子どもの数2.42人に対して、予定している子どもの数は2.07人となるなど両者の間でギャップが生じており、その理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」といった経済的な理由が第一位にあげられています。また、この調査結果では、子どもの数が多くなるほど、子育てや教育にかかる経済的な負担が重荷となって、子どもを持つことをためらう方の割合が大幅に増えるということも分かっております。
こうした子育てに伴う経済的な負担の問題は、国家的な課題でもあり、国が責任をもって課題の解決に向けた対策を講じていく必要があるものと考えています。このため、本年7月の全国知事会において、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、夫婦が理想とする子どもの数の実現に向け、幼児教育・保育の無償化の実現や、子どもの医療費助成制度の創設、さらには教育費の負担軽減策などについての提言を取りまとめ、政策提言活動を行なったところであります。また、昨年には、結婚・出産・子育てなどに係る費用への贈与税の非課税制度の創設についての提言活動を行い、実現を見たところであります。
県としましても、子育てに伴う経済的負担の軽減に向けまして、引き続き、国に対して強く働きかけてまいりますとともに、国の施策などとも連動した経済的負担の軽減策などについての検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
【教職員の事務負担軽減】
●中根県議
次に、教職員の事務負担軽減について伺います。
教職員の長時間過密労働の解消に向けた取り組みについて、教育長にお聞きします。
私たちは、先の9月議会予算委員会でも、文部科学省の「学校現場における業務改善のためのガイドライン=子供と向き合う時間の確保を目指して=」の報告で、最も現場の負担感を増していると指摘されている「国や教育委員会からの調査・アンケート」を例に、県教委の取り組みを実効性あるものにするよう求めました。
教育長は「調査・アンケートに対するその教育委員会としてのガイドラインも作成」している。「本県で既に取り組んでいるものも多く含まれている」とお答えになっていますが、問題は、その取り組みが現場の負担軽減に対し実効性をもっているかどうかです。そこで、お聞きします。PDCAサイクルを回すとよくおっしゃっていますが、効果を評価するためには現場サイドの実態を把握せねばなりません。
すでに作成しているガイドライン及びすでに取り組んでいるといわれている施策効果をどのような手法、どのような機会を設けて把握なさっているのか。効果と合わせてお聞きいたします。
■教育長
教職員の負担軽減に向けた取組の効果とその把握方法について、お尋ねがございました。
県教育委員会が定めている「調査・照会に関するガイドライン」では、事務負担を軽減するために、原則として県教育委員会事務局で対応したり、調査項目を少なくするなど、絶えず見直しを行っており、この成果としては、平成25年度から平成27年度までの間において、調査を廃止したものが16件、見直しをしたものが34件となっています。また、この他にも、学校経営計画による組織力の向上、小中学校における学校事務の共同実施、県立学校における総務事務集中化や校務支援のシステムの導入による事務の効率化、学校地域支援本部事業等の学校を応援する体制づくりの強化など、負担軽減につながる様々な取組を進めているところでございます。こうした取組の個別の効果として、例えばスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置により、学校現場が随分助けられているというような声をお聞きしております。
取組全体の効果については、まとまった形での調査を行ってはいませんが、校長会や市町村教育委員会の皆さん、一般の教職員の皆さまから話をお聞きしたりする中で、OECDや文部科学省による調査結果で指摘されている学校における多忙感、負担感の解消までには至っていないものと考えております。
このため、総合教育会議における「大綱」の議論の中でも、その重要性が指摘をされている、「チーム学校」への取組を推進していくことで、教員の負担を軽減し、できるだけ子どもと向き合う時間が確保できるよう、学校経営マネージメントの改善、外部専門人材の活用、地域による学校支援などに取り組んでいきたいと考えております。
●中根県議
岐阜県では「教職員の多忙化解消アクションプラン-教職員が元気に児童生徒と向き合う時間を確保するために-」を2012年に作成、①各学校が自校の現状を把握し、改善点を明確にして全教職員で取り組む、②その取り組みを各市町村で交流し自校実践に生かす、③メンタルヘルス対策を管理職が先頭に立って推進する、など現場での取り組みを励ましトップダウンではなくボトムアップしていく取り組みを行っています。各学校に配置された「多忙化解消に向けた学校セルフチェックシート」の4項目目の「校内研究、研修の進め方~みんなで協力して~」では、「研究発表会では研究紀要は一枚ものとし、指導案もA4一枚に簡略化する、立派な冊子はつくらない」とか、「部活動の見直し~先生も子供も休める日を~」など、良い授業や優れた教育活動を際限なく求めてしまう学校現場、教員心理に自制を促すチェック点などを示して、改善を迫っています。また、総括労働安全衛生委員会に教組の代表も加えるなど、現場と一体になった具体的な取り組みを進めています。
本県でも岐阜県の実践を参考にするなど、現場からの取り組みを促す具体的なプランを、そして、岐阜県の総括労働安全衛生委員会のように、労働安全衛生法で定められたものではありませんが、学校現場の意見を反映する機関を設置するといった、さらなる取り組みを行うべきだと考えるものですが、教育長のお考えをお聞きします。
■教育長
岐阜県の実践を参考にするなど、現場からの取組を促す具体的なプランや、学校現場の意見を反映する機関の設置といったさらなる取組を行うことについて、お尋ねがございました。
先ほども申しましたとおり、本県においても、教職員の負担軽減につながる様々な取組を行ってまいりました。
その取組の一つとして、平成25年度に、校務分掌や行事の見直し、会議の改善、部活動指導の工夫といったポイントを示すとともに、教職員が心身ともに健康で生き生きと働くことができるよう、健康管理に向けた留意点や関係する制度等を紹介したパンフレット「活力ある学校」を作成して、公立学校全ての教職員に配付するとともに、校長会等でこのパンフレットを活用した効率的な業務の遂行を働きかけてきたところです。このパンフレットは、来年度、内容を見直すこととしておりますことから、岐阜県の取組も参考にしながら、より実効性を担保するとともに、現場からの取組を促す内容としていきたいと考えております。
また」本県においては、毎年、県立学校の衛生管理者と衛生推進者を対象とした研修会を実施しているほか、各県立学校へ事務局職員が出向き現場の課題や意見を聞き助言等を行うことで、全県立学校の安全衛生管理が適切に行われるよう努めております。
このため、岐阜県の総括労働安全衛生委員会のような全県立学校の課題等について全体で議論する機関を設置する考えは現時点ではもっておりませんが、なお、他県の状況もお伺いしていきたいと考えております。
【環境の保全と開発問題】
●中根県議
次に、森林、環境の保全と開発について林業振興・環境部長に伺います。
先日地元新聞に「市有山林カット住民反発、南国市緑ヶ丘事前説明なし市長陳謝」との報道がされました。現場は、南国市の十市パークタウンの裏山で、高知市との境界付近の海抜40~50メートルほどの山林。隣接する北側の大半の土地を所有する土木建設会社が、市有山林約1万7千平方メートルを対象に、10数メートルカットするなどの計画のもと、すでに尾根部分を百数十メートルにわたって、高さ1~5メートルほど削られてしまっています。
市からも業者からも地元説明会はなく、工事に気づいた住民が猛反発をし、工事中止と原状の回復を求めているものです。パークタウンの裏山は、北風を防ぐなど団地の環境保全にとって貴重な緑地であり、急斜面での樹木の伐採は土砂災害を誘発しかねず、住民の反発と環境保全への願いは当然のことです。
山林の伐採、形状変更に関する許可申請にどういう対応をしたのか、また住民合意はなく、住民生活にも重大な影響を与えることは必至であり、環境と森林の保全の立場から県としての指導が求められていると考えますが、合わせてお聞きします。
■林業振興・環境部長
南国市の山林の形状変更等について、どのような対応をしたか、また、県としての指導についてお尋ねがございました。
南国市十市の市有林や防災道路の整備を目的に民間事業者が行った今回の開発につきましては、森林法に係る林地開発の許可が必要でない森林であるため、事業者が地権者である南国市の同意を得て開発していたものでございます。
この行為に対して、地球住民からお問い合わせがあり、現地を確認したところ、隣接する高知市の既に許可している林地開発現場において、許可条件として示した森林として残すべき部分が一部掘削されておりました。
このため、現在、事業者に対して適切に原状回復等の対策を行うよう指導をしているところです。原状回復に当たっては、現場が南国市の開発行為と一体となっていますので、南国市に対しても県の意見を伝え、適切に原状回復がなされるよう指導しているところです。
●中根県議
次に、高知市がすすめている官民連携基盤整備調査事業、いわゆる「道の駅・防災道路」構想に関してお伺いします。
約30ヘクタールの構想で、調査エリアは、一人の地権者が約9割を所有するとともに、大正時代と言われていますが、古くから指定された森林法に基づく風致保安林が約8ヘクタール存在しています。浦戸湾の緑豊かな景観を醸し出すとともに、浦戸、長浜地域の自然を豊かにしています。また、浦戸湾、土佐湾の環境維持や風水害を軽減する役割をも果たしています。そして今日、浦戸城跡の保存・活用が注目されている中で、当時の城下町をしのばせる町並みの重要な要素ともなっています。
今回の「道の駅・防災道路」構想は、こうした、かけがいのない役割を果たしている法に基づく風致保安林を壊すことになりかねません。しかし、保安林の解除、そして伐採の要件はもともと厳しいもので、「指定理由の消滅」または「公益上の理由」以外は解除できないとされています。
代々守り続けてきた環境、自然を後世に残すことは行政の重要な使命であり、森林法と行政の使命に基づく対応を強く求めるものですが、御所見をお伺います。
■林業振興・環境部長
風致保安林の解除についてお尋ねがありました。
「道の駅・防災道路」構想に係る保安林の解除につきましては、高知市から解除申請等の具体的な話をいただいておりませんので、一般的な保安林解除について説明をさせていただきます。
保安林を解除できる要件としましては、ご指摘のとおり、指定の理由が消滅したとき、または公益上の理由により必要が生じたときと、森林法で定められております。
指定理由の消滅とは、自然災害などにより保安林が破壊され復旧が困難な場合等を想定したものでございます。公益上の理由とは、例えば公共の道路の開設などですが、その場合であっても、その土地以外に適地を求めることができない場合であって、必要最小限の面積に限り、保安林解除ができることとなっております。
こうした保安林の解除の取り扱いにつきましては、国からの技術的助言として保安林の転用に係る解除の取り扱い要領として示されておりますので、それに則して適切に対応すべきものと認識しております。
【第二問】
●中根県議
国が様々な法律の改定とかやっている中で、大変気になることが沢山あって、知事に質問させていただきました。その中で、TPPなんですけれども、私たちはこの高知県こぞって、県もそれから農協も漁協も、様々なみなさんとTPPは本当に困るんじゃないかと、大変なことになるんじゃないかと反対の声を上げてきた経過があります。
これがまだ決定ではない段階で、先ほど商工労働部長もおっしゃっていましたけれども、アンケートをした時にも、これから先どうなるかよくわからないと、見通しを立てられないという風な状況で事が進もうとしている。このことに対しては、知事も含めまして、やっぱり政府のあり方をきちんと注視をして、求めるべき所はきちんと求めるべきだという風に考えています。ぜひそうした姿勢を知事にもしっかりとっていただきということを2問させていただきます。
■知事
TPPの問題についてはですね、ひとつ、その協定が結果どういうこととなっているのかということと、合わせてこの大綱でありますけれども、政府として総合的なTPP関連政策大綱を打ち出してきたわけでありますが、TPPについてプラスの面もあればマイナスの面もある、そのマイナスの面をどう補っていくかということ、そういう大綱の各施策、この両方を勘案をして、最終的な評価をしていくということにならなければならないのだろうとそのように思います。でありますので、まず第一に先ほども申し上げましたが、その協定の内容についてですね、わかりやすく影響分析も含めて政府においてしっかり世の中に示していくということが第一に大事だと、そのように思います。もうひとつは、大綱に示された方向性にそって、しっかりとした対応策がとられるということも極めて大事だとそのように考えているところです。
正直なところ、この大綱の内容についてはですね、思いの外、大胆に中山間も含めて農家を守っていこうという方向でですね、方向性としては打ち出されているのではないかとみているところではありますが、ただ現実問題として予算がどうなるのかとか、本当に予算措置に基づいて具体的な策としてすみずみまで行き渡るようにやるようになるのかどうかとか、今後まだまだしっかり我々としても政策提言も含め、ご意見をいわなければなないところも多いのかなと思っています。
正直ほっとしましたのは、当初想定したのに比べてですね、随分包括的な内容になって、かつ色々と配慮されている方向に来ているのかなということは安心をしているんですけれど、しかしながらまだまだしっかりとその対策が講じられるように我々として注視していかなければならない点は多いのかなと、そのように思っています。ぜひ、これから協定の内容について、しっかりと説明を求めていくとともに、この対策について予算措置も含めて、これ非常に大事な点ですけれど、この点も含めてしっかりとした対策が講じられていくよう引き続き政府に対してしっかりと政策提言も含め、働きかけもしていきたいと思います。
そしてもう一つ県としての対応も極めて大事だと思っておりまして、産業振興計画、色んなですね、外的厳しい条件の中にあっても持続可能、若い人が継いでいける農業などをめざすということで、取り組んでいますけれども、この取り組みもしっかり進めたいと、そのように考えているところです。
●中根県議
原発の問題は、いつも私たち取り上げさせていただいていますけれども、やっぱり四国電力の中に原発を廃炉にしていくという計画がいまだにないということは大変大きな問題だと考えています。まるで福島がなかったかのように、色んな電力の供給状況が語り合う、こういう状況というのは異常事態です。
私たちは廃炉にするために、原発に頼らないために、自然エネルギーの推進を含めて頑張っていくという高知県をつくっていきたいと思いますし、そのためには四国電力の側にも、いたしかたないという選択ではなくて、これまでも色んな意見をおっしゃってきましたけれども、そこに原発に頼らないという部分をしっかり入れていくという作業、そういう役割を高知県にもとっていただきたいという風に思っていますが、毎度のことで申し訳ないですが、知事に粘り強い交渉の中身への決意をお聞かせいただきたいと思います。
■知事
四国電力に対しては、我々として原発の依存度低減に向けた具体的な努力をということを求めてきております。この点について、四国電力さんからは勉強会においてそういう趣旨の回答はいただいていないところでありまして、この点は見解が食い違う形になっています。でありますので、我々は勉強会等を通じて、引き続きその点について粘り強く求めていきたいと、そのように考えておるところであります。
●中根県議
今日は、男女共同参画や子育て支援、出産や産後のケアの問題なども取り上げさせていただきました。
それぞれ本当に真面目に取り組めば取り組むほど、核家族化も進んで、そして要望したい中身と言うのは沢山あるという風に思いますが、やっぱり現場主義、県民の状態がどうであるかをしっかり見ていきたい、そのために意識を変えることがやっぱり大事になっていると、今日の答弁の中でも、例えば男性の育児休暇の取り方、これやっぱり意識の問題です。真面目であればあるほど、みんなに迷惑をかけてはならないということは以前からずっとあった話です。しかし、そこを超えてやっぱり男女共同参画、男女平等、一緒に子育てを、そして社会に還元していくと言う、この方向がいつまでたっても、その真面目さで、県の職員さんが6.2%、国家公務員が5.5%、もうひとつ1.何%というのがありましたけれど、これはあまりにも低い数値だなと思わざるを得ません。
ぜひ、これは総務部長に、超えた施策をするために力をつくす決意を伺いたいと思いますし、教育長にもその点で、ぜひ子育て支援、もう一歩進めるよという思いを、どのように学校現場の中で、男性の先生方に認知していただくのかというあたりの工夫をどのようにしたいという風に考えていらっしゃるのか、そのあたりをお聞かせください。
■総務部長
男性職員の育児休業に関連いたしまして、1.5%といいますのは地方公共団体全体の平均でございます。議員ご指摘がありましたように、意識というのは大変重要だと思っております。
今、職場全体の意識がどうかといいますとですね、先ほどアンケートのことを申し上げましたが、男性職員の育児休業のことですね、周りがどう見ているかということを実はアンケートで取っております。「男性職員が育児休業を取ることについてあなたの考えに近いのはどれですか」、一番がですね、「仕事で迷惑をかけるのはお互い様だから協力する」、二番が「仕事のことは気にせず育児に励んでほしい」というような結果になっています。
何が課題だろうと言うと、やはり上司の意識いうのが大事ではないかと思っておりまして、先ほど申し上げましたように上司のヒヤリング調査という、聞き取りをこまめに丁寧にやるというような取り組みをさしていただいていますし、また夏に「育ボス宣言」ということで、育児を大事にする上司の事を「育ボス」といいます。夏に知事に「育ボス宣言」をしていただいて、庁議の場で、全部局長に指示をしていただいていますし、また部局長が各所属長に「育ボスになろうよ」ということで周知をしております。こういった意識改革の取り組みも十分進めることも通じまして、男性の育児休業が取りやすい組織の風土というものをつくっていきたいと考えております。
■教育長
男性職員の育児休業に関することでございますけれども、正直、申しまして、先ほど申しましたように、教職員の子育てサポートプランも作っておりまして、基本的に知事部局と同じ取り組みをということにしておりますけれども、ただ、書いていることが本当に現場できちっとできているかということについての詰めまでは出来ていないというのが今の状況かなぁと思っております。
今後はこのサポートプランに書いてある、例えば、知事部局ではすでにやられていることですけれども、県立学校でいいますと校長がそういう取得対象になる職員に対してきちんと制度も説明し、あるいは支援の仕方についても説明を事前にし、また取得後についてもきちんと状況について本人から話も聞き、またその後の説明もしていくだとか、いうようなことをきちんとやっていくということが実際の取得向上につながるのかなと思っておりますので、まずはこのサポートプランを書いてあることがきちっと実行できるようにということを今後徹底してまいりたいと思っております。
●中根県議
教職員の多忙化の問題ですけれど、これもやっぱり意識の問題です。真面目であればあるほど、「よりより教育をしたい」「よりよい冊子をつくりたい」ということになっていくわけですから、この点で意識を変えるためには、中心になっている方たちだけを集めてもだめで、それが労働安全基準をしっかりつくっていく運動になっていかなければいけないというふうに思うんです。
そうした点では各職場でこうした対応ができるようなそういう場をつくる必要がある、知事部局でいまそういう場をつくられていて机の置き方、椅子の配置の仕方、そういうことも環境をどうやって整えようかということで変化をつくっているという報告を委員会でいただいたことがありました。ぜひそういう点を頭においてですね、決意をお聞かせいただきたいと思います。
■教育長
教職員の多忙化に関連して、各職場で職場環境の改善についての話し合いをということですけれど、制度的に言いますと50人以上の県立学校においては衛生委員会を設置をして、そういった健康面であったり、あるいは職場環境の問題であったりという風なことを議論するということになっております。
そういったことを中ですね、いま一番テーマとして挙がっているは、メンタルヘルス含めた健康問題ということですけれども、加えてお話のあったような職場の安全性だとかいったようなことも議論されているということでございます。こういったことについて、50人以上はそういう会がございますけれども、50人以下の学校についてはそういった会ございません。衛生推進員が設置をされている状況でございますけれども、いずれにいたしましても、学校全体で考えていく問題だと思っておりますので、学校経営計画、これをつくっていくということになりますし、それをきちんと実行していくというようなこともございますので、そういった法定の会以外でですね、本来学校として経営計画をつくり、それをきちんとやっていくというようなことを、話していく中で、職場の環境問題についてもですね、話もしていくように、校長会等を通じて、話をしていきたいと考えております。
●中根県議
最後に知事に。全体として貧困の連鎖を断ち切っていくという様々な施策が進んでいますけれど、これに対して知事がどのように考えていらっしゃるかお願いします。
■知事
これは本当に本県にとってきわめて大事な政策だと考えていますので、引き続きその充実に向けて、さらに知恵を練っていきたいと考えておるところでありますけれども、これ軸が2つあると思ってまして、子どものライフステージに応じてということがひとつ、そしてまた保護者と子どもと両面見ていくことが大事だと考えています。特に幼年期においては保護者に対する対策にどちらかと言えばウエイトが置かれていくこととなりますでしょうし、年齢を重ねていけばどちらかといえば子ども本人に対する対策、これを重く講じていくということになるのではないかと考えていますが、現在、関係部局ともにですね、この政策を練り上げているところでございまして、何とか28年度から本格的実施に至るようにですね、対策をさらに我々としての検討を重ねていきたいとそのように考えています。