議会報告

【質問項目】

①   浦戸城跡の保存・活用

②   住宅行政

*県営住宅の家賃減免制度

*若者の定住・移住促進

*住戸改善計画

③   小規模企業の振興

*店舗魅力向上事業費補助金

*小規模企業振興基本法

 

 

【浦戸城跡の保存・活用】

●米田県議

最初に、浦戸城跡の保存、活用についてお伺いをいたします。

浦戸城跡内に県が坂本龍馬記念館新館の建設計画を進めています。これに対して、今、浦戸城跡の保存と国史跡化を求めて、地域住民、歴史愛好家、浦戸城跡保存会の皆さんが署名活動などを行っています。この情報がツイッターなども通じて広がり、全国、また台湾、韓国など国内外の長宗我部ファンからも熱い賛同の声が広がっています。

まず、予定している坂本龍馬記念館新館整備計画の今後のスケジュールについて文化生活部長にお聞きします。

 

■文化生活部長

現在の坂本龍馬記念館は、貴重な資料を収蔵、展示する博物館としての機能が不足しているため、新館は現在の建物にこうした機能を付加するものでございます。

整備スケジュールにつきましては、現在基本設計を行っておりまして、平成27年度には実施設計、28年度には建築工事に着手をして、明治維新150年の節目に当たる平成30年1月のオープンに向けて取り組みを進めているところでございます。

 

●米田県議

1995年に、文化財公開施設の計画に関する指針というのが文化庁文化財保護部長名で出されています。計画の段階から、文化財の公開、活用と維持保存の調和に十分な配慮が必要ということで、その中では、建物内の空気環境を安定させるためにコンクリートの打設後から文化財の公開までの期間は二夏の経過またはこれに相当する環境の実現が望ましいとうたわれています。

この指針に基づいた計画期間だという理解でいいですか。文化生活部長にお聞きします。

 

■文化生活部長

指針のとおり、コンクリートの打設から二夏の枯らし期間を設けるということは、建物内の空気環境を安定させるために有効な手段となっております。

しかし、坂本龍馬記念館は県内屈指の集客施設でもあります。明治維新150年の節目となります平成30年には新館をオープンさせ、観光振興にも寄与すべく、二夏を経過しなくても建物の空気環境を安定させて展示公開が可能な環境を実現できる工法を採用することとしております。

具体的には、現在行っております基本設計の中で検討しておりますけれど、例えば文化財にとって安全な建材を積極的に使用するとともに、現場でのコンクリート打設を極力少なくすることで短期間で有害物質を除去することが可能になると考えております。

 

●米田県議

ぜひ、望ましいとしていますが大事な指針ですので、このことについては十分やっぱり検討していただいて、以前、赤岡の絵金がよその施設へ行って大変な事態になったとい

う体験もあるわけですので、十分精査をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

浦戸城跡は、高知市浦戸字城山にあり、戦国時代、本山氏によって原型がつくられ、長宗我部元親が完成した城郭です。1590年の小田原攻めや文禄・慶長の役での水軍基地、また朝鮮出兵への出撃地にもなり、太平洋側でほとんど唯一海城の実態がわかる貴重な城です。また、山内入国の際には浦戸一揆の舞台にもなり、戦国時代の高知の歴史が詰まった重要な遺跡と言われています。

最近明らかになったことですが、今から400年近くも前、1640年以前の世界地図、日本の部分に四国の中で唯一浦戸がウランドとして記され、紹介をされています。上智大学キリシタン文庫に収録されています。当時、浦戸は、東西交通の要衝であるとともに大航海時代におけるヨーロッパ世界との窓口であったことを歴史は示しているのであります。高知市誕生のルーツと言えます。

事前に、知事さんや教育長さんにお渡ししましたこれがその地図なんですね。1993年の桂浜荘改築工事に伴う立会本調査に際し、当時の最先端技術でつくられた裏込め石を使った石垣が発見され、鯱瓦も出土、また今も遊歩道を西に歩くと敵の侵入を防ぐための堀切や二の段、三の段など、当時の城の痕跡を見ることができます。天守台の存在とともに、中世から近世への過渡期の特徴を持った城跡として国史跡級と高く評価をされています。

そして、北面山麓は、現在、埋蔵文化財包蔵地に指定をされていますが、町割り、追手道など当時の痕跡、歴史的景観が残り、浦戸城下町遺跡が広がっているのであります。

教育長にお聞きしますが、浦戸城跡の歴史的遺産をどう評価、認識されているのか、お聞きします。

 

■教育長

お話にもありましたように、浦戸城跡は長宗我部氏の居城であるとともに、水軍基地や朝鮮出兵の基地になるなど、中世から近世にかけての歴史的価値を有するものと考えております。

ただ、浦戸城跡は、かつて水泳プールのある娯楽施設の建設、撤去などもございまして、昭和57年に高知市が行った中世城跡分布調査で南の本城台跡、今の龍馬記念館が建っている敷地などは完全に掘削されているというふうに報告をされております。

 

●米田県議

後で聞こうとしたことを答えていただいたんですが、浦戸城跡は中世から近世の城郭の変遷をたどることができて、戦国時代の高知の歴史が詰まった重要な遺跡です。

まず、この本物の歴史的遺産を保存することが地域史の確立、個性豊かな地域再生への原動力になるのではないでしょうか。また、高まる歴史ブームの中、歴史とロマンがあふれる城山公園など個性ある貴重な観光資源としても活用できるのではないでしょうか。

保存と活用について高知市と協議してはどうかと思いますが、教育長にお聞きします。

 

■教育長

高知市とは、当該地域の保存、活用について、これまでも平成3年度の浦戸城跡西側尾根部分の確認調査、平成5年度の桂浜荘の改築工事に伴う発掘調査の実施の際にも連携して対応してきております。

また、今回の坂本龍馬記念館リニューアル基本構想検討委員会におきましても、高知市教育委員会と商工観光部の担当者に御参加いただいて連携協議をして取り組みを進めてきております。さらに、高知市桂浜公園整備検討委員会にも県職員が参加をして連携を図らせていただいているというところでございます。

お話の内容につきましては、改めて高知市にお伝えをするとともに、これからも連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。

 

●米田県議

ぜひ協議をして、大事な遺産ですので十分な保存、活用をお願いしたいというふうに思います。

ただ、今答弁もされましたけれど、歴史的価値にふさわしく立会調査ではなく発掘本調査を実施すべきと思います。1964年、昭和39年に営業が始まった桂浜荘ですが、既に遺構はないということで、1993年の改築の際も立会調査から始めました。しかし、貴重な遺跡が出土、発見をされました。

ぜひ発掘調査を行うべきというふうに考えるんですが、教育長にお聞きをいたします。

 

■教育長

龍馬記念館が新たに建設される予定の土地につきましては、先ほども申しましたけれども、かつて水泳プールがある娯楽施設が建設され、また撤去されていると。それから、駐車場の造成工事も行われているということで、遺構等が残っている可能性は極めて少ないというふうに判断しております。

そのため、発掘調査の必要性はないというふうに判断しておりますけれども、念のため立会調査を行うこととし、アスファルトを剝ぐ際ですとかボーリング調査の際には、丁寧に状況を確認していきたいというふうに考えております。

 

●米田県議

最初の答弁でも、多分、高知市の城跡という報告書ですよね、根拠にされているのは。しかし、これを見ますと、南の本城台跡は完全に掘削され国民宿舎等が建ち、ここより東の各郭についての遺構は残存しないというふうに確かに書いていますが、私はこれは今回新館建設の予定地で発掘本調査をしないという根拠にはならないというふうに思います。

1つは建設予定地。今の駐車場は完全に掘削されているとする国民宿舎や龍馬記念館、それ以前にあった桂浜ヘルスセンターとは明らかに別の位置、場所なんですね。

また2つ目は、予定地を含めて本城台跡地を発掘調査したという公的記録はありません。浦戸城跡で明確に発掘調査をしたのは1993年の国民宿舎改築時の611平米のみであります。そして、今教育長が言われた高知市の城跡のこの文言からしても、国民宿舎から東は遺構は残存しないと指摘していましたが、実際1993年の改築に当たっての発掘調査で国民宿舎敷地から遺構が出てきたわけですね。

ですから、これに基づいて根拠というふうには私は言えないと思いますし、この間の経過、また具体的に発掘調査をやって遺構が出てきたという事実からしても、やっぱり本調査をきちっとやるべきではないかと、そこから始めるべきではないかということを強く思うんですが、もう一度教育長にお聞きします。

 

■教育長

1993年の桂浜荘の発掘調査につきましては、その可能性がある、実際に石塁ですとか石垣が出てきているわけですけれども、そういった可能性があるということで発掘調査を行ったというふうに承知をしております。

ただ、今回につきましては、そのもとあった桂浜ヘルスセンターの建っていたところと相当重なっておりますし、それと今駐車場になっている部分ですね、という両方で掘削をされているという部分に建つということでございますので、極めて可能性は低いということで考えているということでございます。

 

●米田県議

押し問答してもいかんのですが、現在の龍馬記念館の建っているところはもとは桂浜ヘルスセンターが建っていたところとほとんどダブっているんですよ。ですから、今教育長が駐車場と言われましたが、それははるかに北側、北西なんですよね、場所からいっても。そういうことからしたときに、国民宿舎改築時の経過を見たときに、あれも最初は立会調査から始めたんですよ。今と同じなんです、今度やろうというね。だから、最初から発掘調査に入ったわけではないんです。

だから今回は、そういう経験も踏まえて、重要な歴史遺産ですから、きちっとやっぱり発掘調査から入るということが僕は必要だというふうに思うんですけれど、ごめんなさい、再度お聞きします。場所も違うということもあります。

 

■教育長

ちょっと何回も同じことで申しわけないですけれど、今回計画している場所ですけれども、その場所の南部についてはかなりの部分が桂浜ヘルスセンターが建っていた部分と重なるということでございまして、北の方の一部については今駐車場になっている部分ということでございまして、そういうことからも、極めてそういう埋蔵の史跡が出てくる可能性は低いということで考えているということでございます。

 

●米田県議

納得しがたいんですが、古図を見たときに龍馬記念館とヘルスセンター、こうダブって並んで――だから駐車場も北側の駐車場に新館を予定されているわけですよね。ですから、そこは全く桂浜ヘルスセンターの位置していた場所とは全く別個のエリアなんですよ。そういうこともやっぱりきちっと踏まえていただいて、なお本当に歴史的な遺産に真摯にやっぱり取り組んでいくということを検討もしていただいて、なおそういう発掘調査に前向きに取り組んでいただきたいということを要請しておきたいというふうに思います。

この2月12日の現地調査、行政との懇談も踏まえて、日本考古学協会埋蔵文化財対策委員会が2月23日に矢島國雄委員長名で、文化庁長官、県知事、県教育長、高知市長、高知市教育長など宛てに、高知市浦戸城跡の保存と活用に関する要望書を提出されています。

要望項目は、1つが、「浦戸城跡の歴史的価値と景観を損ねる、坂本龍馬記念館新館の城跡内への建設を中止すること」、2、「浦戸城跡の歴史学的・考古学的内容を正確に把握し、その保護・整備・活用を図り、浦戸城跡の国史跡化に向けて取り組むこと」としてあります。

知事のところへも届いているというふうに思うんですが、極めて重みのある専門家による提言だと受けとめています。知事の受けとめ、御所見についてお伺いします。

 

■知事

この坂本龍馬記念館の新館でありますけれども、現在の館では不足しております博物館機能、これを付加しようということで新たに建設するものでありまして、現行の記念館の隣、隣接した地域に建設する必要があるものであります。

位置としては、現在の記念館の西側に設置をするということで、今基本構想も立てていただいております。多くの専門家の皆さんにも入っていただき、またパブリックコメントも経て策定をさせていただいたこの基本構想に基づいた建設を行っていこうとしているところです。

ただ、先ほどありましたそういう御提言書をいただきますなど、そういう御意見もあるわけでありまして、結局その背景にはこの土地が非常に歴史的意義のある土地だということがあるわけであります。そういう点を踏まえまして、我々としては文化財保護法に基づきます所定の手続によって隣境の確認を行うなどの対応をしますとともに、こちらを管理しておられます高知市の皆様とも御意向を伺いながら対応していくということが大事かなと、そのように考えておるところです。

 

●米田県議

ありがとうございます。文化財保護法には、文化財が貴重な国民的財産である、将来の文化の向上発展の基礎をなすものなどとしています。一度失った歴史的遺産は取り返しがつかないと思います。後世に必ず禍根を残すと言わざるを得ません。

少なくとも、龍馬記念館新館の新たな開発工事は一旦中止をして、発掘調査を行って、県民的、国民的な議論を、私は保障すべきではないかというふうに考えていますが、知事にお伺いいたします。

 

■知事

新館建設の意義というのは極めて大きなものだと思っておりますし、これまでも多くの議論を経てこの新館建設ということに至ったわけであります。

ただ、先ほどもお話にありましたように、ここの歴史的な意義というのも踏まえないといけないだろうと思います。過去の建設工事などなどを通じまして遺構等が残っておる可能性というのは極めて低いというふうに考えられますけれども、そうではありますが、立会調査で遺構の状況を慎重にあえて確認をするということとしたいというふうに、先ほど教育長の答弁にもありましたがそのように考えているところでございます。

また、やはりこの土地が非常に歴史的意義がある土地なのだということを後々まで後世に伝えていくということも大事な仕事だと思っております。今度、坂本龍馬記念館が全体として新館建設に合わせてリニューアル工事をしていくことになるわけでありまして、それにあわせまして、その館の中でも長宗我部一統の一群の歴史を御紹介するでありますとか、ここが浦戸城としてこういう形で使われていたということをしっかり御紹介するコーナーを設けるでありますとか、さらにその他の検証の仕方はないか、後世に伝えていく仕方はないか、そういうこともあわせて検討していくということとさせていただきたいと考えております。

 

●米田県議

確かに、知事の言われるように後世に伝える歴史的な土地だということは非常に大事なんで、ぜひその方向でお願いしたいんですが、ただ歴史遺産を本当にそういう姿で残すかどうかというのが、片や問われているというように思います。以前も高知城の北曲輪跡への民間マンション建設計画に多くの県民が立ち上がって、知事の英断、決断によって土地を購入し、国史跡化を実現されたという経過もあります。そういうことからしたら、今後、知事のこうした姿勢をぜひ堅持されて、慎重に対応していただくように重ねて要望しておきたいというふうに思います。

 

 

【住宅行政】

●米田県議

次に、住宅行政についてお伺いをします。

まず、県営住宅の家賃減免制度についてお聞きします。

昨年9月、千葉県銚子市の県営住宅に住む母子世帯の母親43歳が無理心中を図って中学生の長女13歳を殺害するという痛ましい事件がありました。家賃滞納を理由に県が強制退去を執行する日の出来事でしたが、救える道はなかったのか、重大な社会問題になっていることは記憶にあることと思います。

母親はパートで働き月収約7万円、このほか児童扶養手当の約5万円、年収100万円程度でした。家賃も滞納がち、国保料も滞納するなど、生活困窮していたことが明らかなのにもかかわらず、家賃の減免措置がとられず、入居許可の取り消しと明け渡しを請求、強制執行と。そして、減免措置が適用されていれば月1万2,800円の家賃が2,560円に引き下げられていたことになります。銚子市も、国保と生活保護の課へ行くも、その手続には至っていません。

自由法曹団などが調査に入りましたが、その一人は、滞納など困窮の情報を集約できていれば今回の事件は防げたのではないか、自治体が家賃減免や生活保護で申請がないと動かない待ちの姿勢をとっていることが課題だというふうに指摘もされています。

今回の事件をどのように受けとめておられるのか、土木部長にお聞きいたします。

 

■土木部長

大変痛ましい事件であり、大変残念であると受けとめております。お亡くなりになった方の御冥福をお祈りいたします。

また、強制執行は入居者にとって大きな金銭的、精神的負担となることを改めて認識いたしましたし、このような事案は、住宅部局と民生部局、県と市町村が連携した上で対応しなければ防げないとしても、県営住宅の入居者の個々の事情に応じた丁寧な対応が必要であると痛感いたしました。

 

●米田県議

ありがとうございます。

事件を受けて、国は、昨年11月5日付で、公営住宅の滞納家賃の徴収における留意事項等についてとの通知連絡を全国に出しています。その内容、ポイントとそれを受けて県の改善事項があれば、また市町村への周知徹底状況について、土木部長にお聞きします。

 

■土木部長

通知のポイントは、家賃の滞納に対しては法令等の規定に基づき厳正に対応することを前提とすること、入居者の収入等の状況に応じて個別、具体的に対応し、やむを得ない事情を把握した場合は家賃減免等の負担軽減措置を図ること、またこの場合、民生部局との連携を十分とることであると理解しております。

県では、家賃の滞納者に対して督促を通知するほか、県及び住宅供給公社の職員が個別に訪問し、納付指導を行っております。その際に、入居者の収入や生活の状況を聞き取った上で生活に困窮していると判断すれば、家賃減免制度の利用や福祉事務所への相談を勧めております。

また、今後、市町村の対応状況を確認し、必要であれば市町村の民生部局から県営住宅入居者に対しても家賃減免制度の説明を行っていただくよう、改めて申し入れます。

市町村に対しましては、昨年11月26日付で、国の通知及び事件に関する情報を送付し、その際、通知の趣旨を踏まえた市町村営住宅の適切な対応を要請いたしました。

 

●米田県議

次に、県の減免制度ですが、市町村民税の非課税世帯、住民税の課税計算の基礎となる各種所得の収入金額がないとき、生活保護基準額相当の額以下、知事が家賃の支払いが困難で減免が必要であると認めたときなどが対象になるとしています。

県営住宅入居世帯総数と現在減免を受けている世帯数について、また毎年提出の収入申告書による試算で先ほど紹介した減免対象になる人の場合、家賃減免の対象となる世帯数についてお聞きをいたします。

 

■土木部長

本年3月6日現在、県営住宅入居世帯総数は3,964世帯で、その約20%の803世帯が家賃の減免を受けております。

また、収入申告書の内容から試算いたしますと、減免要件の一つであります市町村民税非課税世帯に該当する世帯は、平成26年度申告分、これで約1,700世帯あります。

 

●米田県議

今部長が言われたように1,700ですね、1,700世帯が本来家賃の減免の対象になる。しかし、申請がされていない、本人が理解してなくて申請はされてないですから、本来こういう人たちがきちんと減免をできるようにするのが、私は重要な行政の役割だというふうに思います。

ただ、これは1,700世帯というのは約半数になりますよね。千葉県では、減免取扱基準は極めて明確です。県住入居者約1万7,000人のうち、減免対象者が1万1,000世帯、申告に基づく収入月額6万7,000円以下の人など6割を超える人が減免の対象になります。しかし、本人の申請によらなければ実際減免を受けることはできずに、問題になった千葉県の県営住宅でも1万7,000人の入居者がいながら、減免されているのはわずか1,900世帯となっています。申請すれば減免になる人のわずか2割、同じような状況ですね。減免基準は、各県違いがあると思いますが、高知県も同じような実態にあって、1,700世帯よりもはるかに、私はもう少し多いのが実際ではないかというふうに思います。

そこで、例えば千葉県は、税法上また各種控除を行った後、収入月額6万7,000円以下の方には減免、減額率が2割、4割、6割、8割ということで、きちっとやっぱり数字を見たらわかる形に、減免制度になっています。

私は、千葉県の県民の所得から見ても、高知県はなお一層生活実態は大変だというように思いますが、千葉県のようにわかりやすい減免基準に改善することを検討していただきたいというように思うんですが、その点どうでしょうか、土木部長に伺います。

 

■土木部長

高知県におきましても、減免基準は定めておりまして、全部で10項目ございますけれども、それぞれ例えば入居世帯が地方税法に規定する市町村民税の非課税世帯に該当すると、こういった場合、該当いたしますと、認定家賃の額の4分の1に相当する額、これを減免できると。さらに、この市町村民税の課税計算になる前年度の収入が全くない場合、ゼロの場合ですね、この場合、家賃認定の額の2分の1が減免されるといった規定を設けてございます。

 

●米田県議

時間がなくなっていますので、ちょっと飛ばして、通告とちょっと省いていかさせていただきたいと思いますが、先ほどの通知との関係もありますが、明らかに平成元年の通知も含めて、減免等の措置を講じて入居者の支払い能力に応じて負担の軽減を図るようにすることということで、今部長も言われましたが、少なくとも家賃滞納者や生活困窮者には個別に申請の勧めや制度の説明を丁寧にぜひ行うべきだというふうに思うんですが、実態はどんなふうになっていますか。

 

■土木部長

家賃減免制度の周知につきましては、県営住宅の住まいのしおりに記載いたしまして、入居者説明会で入居者個々に配付して説明しております。またそれとともに、毎年度行う収入申告書の提出依頼あるいは家賃決定の際に制度をわかりやすく説明いたしましたチラシを同封しております。

加えまして、家賃滞納者への戸別訪問の際、病気や収入の減によりまして家賃を支払えなくなった入居者に対しましては、家賃減免制度を説明しまして利用を勧めております。こうしたことで周知に努めているところでございます。

 

●米田県議

ありがとうございます。ぜひ丁寧な対応をお願いいたします。

次に、若者の定住、移住促進にかかわってお伺いします。

2013年3月議会で、塚地議員が、低所得でも入居できる若者の好みにも合った住宅の整備、また民間への家賃補助を提言しました。部長は、民間賃貸住宅への支援について、その2月に設立した高知県居住支援協議会で検討していきたいという旨の答弁をされていますが、その後の検討状況、また施策の実施状況について伺います。

 

■土木部長

高知県居住支援協議会では、年2回の総会や必要に応じて開催する勉強会等におきまして民間賃貸住宅への支援策などを検討した結果、空き家の活用を中心に若者の定住や移住促進につながる取り組みを実施していくこととしております。

現在、11市町村で187件の移住希望者向け空き家などの情報をホームページで発信しております。そのうち96件が入居済みでございます。また、この不動産関係団体のホームページへのリンクも行っております。空き家情報につきましては、今後も充実を図っていく予定と聞いてございます。

高知県居住支援協議会の設立によりまして、国の民間住宅活用型住宅セーフティーネット整備推進事業、こういったものの活用が可能となっております。その結果、本年2月現在、高齢者や低額所得者、子育て世帯の若者を含みます住宅確保要配慮者向けに改善されました民間賃貸住宅が72戸整備されております。

 

●米田県議

ありがとうございます。少し飛びますが、今月2日に全国首長アンケートの結果が公表されています。人口増へ力を入れたい施策、3つまでの選択となっていますが、雇用と子育て環境と移住というふうに並んでいまして、次いで家賃補助など居住支援が4番目で26.8%となっていました。5番目のインフラ整備18.1%より大分多くなっています。

人口問題の上でも、また住まいは人権を保障する上でも、具体的に踏み出す家賃補助や若者の単身向け、また子育て世帯向け公営住宅の整備を検討することを強く求めるわけですが、土木部長にお伺いをいたします。

 

■土木部長

県といたしましては、空き家の増加が社会問題化しているという状況がございますし、公営住宅が住宅困窮者のための住宅であるという法の趣旨、こういったことから、公営住宅自体の整備は、これは困難であると考えておりますが、子育て支援あるいは移住支援など幅広い住宅需要に対応するためには、空き家を活用いたしまして良質な公的住宅を供給していきます市町村を支援してございます。

県としましては、こういった空き家を再生いたしまして、良質な公的住宅を賃貸住宅として低廉な家賃で提供するということで、低所得の若者あるいは移住希望者も含めました住宅確保要配慮者への支援ができていると考えてございます。

このため、市町村が民間の空き家を借り上げるなどいたしまして再生、活用する場合に、その工事費の一部を補助します空き家活用促進事業、これを本年度創設いたしました。

本年2月末現在で、15市町村から合計56件の申請がありました。うち6市町村11件で空き家のリフォーム工事が完了いたしまして、活用開始してございます。こうした成果の周知などによりまして、事業の活用、これを市町村のほうに積極的に促しまして、県内全域で空き家の再生、活用を促進してまいりたいと考えております。

 

●米田県議

住宅行政の最後に、住戸の改善、全面的改善事業について伺います。

エレベーターの整備ですが、船岡団地方式が経済的にもメリットがあるんじゃないかというふうも思いますし、整備状況と今後の計画について、また浴槽へのシャワー、給湯などの設置方針と実施状況についてお聞きいたします。

 

■土木部長

エレベーターがある県営住宅は、現在、50棟でございます。エレベーターの増設は、現在、宇治団地の8棟において船岡団地方式と同様な全面的改善事業を進めております。平成29年度を目途に行うこととしてございます。

浴槽へのシャワー設置につきましては、浴室、台所、洗面所に給湯を行います3点給湯設備への改善、これと同時に実施する方針でございまして、現在1,924戸で設置してございます。3点給湯設備への改善工事は入居者が居住した状態では困難でありますので、エレベーターの増設と同様、全面的改善事業として行う方針でございます。

 

 

【小規模企業の振興】

●米田県議

次に、小規模企業の振興について商工労働部長にお伺いします。

昨年12月議会で岡本和也議員が、住宅とともに店舗のリフォーム支援を提言いたしました。

県レベルでは全国初だと思いますが、本議会に店舗魅力向上事業費補助金として提案をされており、高く評価するものであります。同時に、使い勝手がよく、地域と商店街の活性化につながり、経済対策の効果も発揮し、そして個々の小規模企業の事業の持続的発展を支援するものであることが求められていると思います。

まず、今回の制度の内容、対象業種、また対象要件について、商工労働部長に伺います。

 

■商工労働部長

お話のありました店舗魅力向上事業費補助金でございますが、商店街や商業集積地域などの活性化を目的としまして、現在事業を営まれている方の経営革新への取り組みを支援するものとなっております。具体的には、小売業や飲食業、サービス業などを経営されている方を対象に、経営経過に基づく店舗リフォームに係る経費などを対象に、100万円を上限としまして経費の2分の1を補助するものとなっております。

なお、この補助金は、事業の効果をより確かなものとするために、店舗経営者みずからの経営計画を作成するといったことを要件としております。

 

●米田県議

その場合に、例えば商店街団体への加入問題とか、地域的な制限はどうなっているのか。そういうことが私はあってはならないというように思うんですが、その点はどんなふうに対象になっていますか。

 

■商工労働部長

商店街や商業集積地域などでしっかりとした経営企画を持って経営革新に取り組まれている方が対象ということでございますけれども、商店街振興組合とか商工会といった商工団体の加入事業者以外の方も対象というふうに考えております。

補助金の決定に当たりましては、店舗の経営計画の内容などといったことを十分検討しまして、地元の商工関係者などの御意見をお聞きして決定してまいりたいというふうに思います。

 

●米田県議

地域的な制限などもぜひ検討していただきたいんですが、商店街の活性化、魅力ある商店街づくりも大事、買い物弱者の支援も大事、景気対策としても大事、だから地域的な制限もなくて、そして小規模企業の事業の持続的発展も応援する、そういう施策をぜひ今後検討していただきたいなというふうに思います。

それで、今回1,500万円の補正予算というふうになっていますが、私は予算額が少ないなというように思っていますが、今後の利用状況を含めて、補正や継続的な拡充と、また先ほど言ったようなことも含めて制限もないような引き続き改善拡充を検討していただきたいというふうに思うんですが、その点今後をどんなふうに考えておられますか。

 

■商工労働部長

この補助金、来年度年間執行件数を15件ということに一応見込んで計上しているところでございます。全く新しい取り組みということもございますので、まずその効果をしっかり検証するということが必要ではないかというふうに思っておりまして、来年度の事業の執行状況、商店街関係者などの御意見もお聞きし、それらを参考にしながら、それ以降の事業内容の見直しといったことや予算額についても検討していきたいというふうに思っています。

 

●米田県議

ぜひそういう方向でお願いします。全国1番目に始めた群馬県の高崎市は、当初1億円の予算でした。しかし、2回の追加補正で合計4億4,000万円、利用した店舗が738件ということで、1つの市がこれほど予算を投じて経済効果10億2,000万円ということで、業者と地域が元気に明るさを取り戻しているという話もありますので、ぜひ今述べられたような方向で来年度の事業を見ながら、ぜひ改善、検討、拡充をしていただきたいというふうに思います。

最後に、小規模企業振興基本法にかかわって幾つかお伺いをします。

昨年10月、閣議決定した基本計画に、地域で雇用を維持して頑張る小規模企業を正面から支援したい、成長発展のみならず、事業の持続的発展を小規模企業の振興の基本原則と位置づけたとしています。また、小規模企業の振興と地域経済の活性化は表裏一体であるとしています。

今日、改めて、とりわけ地方政治が小規模企業に光を当て、高知県産業振興計画を充実、実践することが求められていると考えます。そこで、県内の事業所数と従業者数、そして

小規模の企業それぞれについて順次お伺いいたします。

 

■商工労働部長

平成24年の経済センサス、これは24年2月1日現在でございますが、それによりますと、県全体で事業所数は3万6,775、従業者数は28万1,911人となっています。ちょっと細かいことになりますが、この中で従業者数の少ない零細な小規模企業としましては、従業者が19人以下の事業所数は3万3,883で全体の92.1%、従業者数で14万2,000人、全体の50.3%となっています。さらに、従業者4人以下の事業所数は2万3,561で全体の64%、従業者数で4万8,588人、全体の17.2%を占めております。

 

●米田県議

ありがとうございます。新たな法の制定も受けて、小規模の企業への政治を光を当てるということでぜひ頑張っていただきたいと思うんですが、その基本法では、地方公共団体は「施策を策定し、及び実施する責務を有する」としています。また、閣議決定をした基本計画では、「地域の特性に応じた施策を策定し、効果的・重点的実施を図る」としています。

全国的には先進的な取り組みだと私は思っています。しかし、基本法と基本計画の立場で、高知県の産業振興計画を点検、充実を図って、法でうたう、計画でうたう施策を策定する必要があるというふうに考えますが、商工労働部長にお聞きいたします。

 

■商工労働部長

小規模企業の振興基本計画の重点施策というのがございますけれども、その中では展示会の開催とかアンテナショップの整備といった国内外の需要の開拓を進めるといったことや経営者、事業者の研修を実施すること、その他幾つか重点施策があるわけですけれども、そういった施策、まさに現在本県が産業振興計画で取り組んでおりますそのものであると考えております。

基本法、基本計画と本県の産業振興計画の方向性は同じでございますので、今後とも産業振興計画の着実な実行によりまして、小規模企業を含む商工者へのさまざまな支援を行いますとともに、各施策につきましてPDCAサイクルを常に回すことでさらに小規模企業支援の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

 

●米田県議

ありがとうございます。12月議会でも提案をしましたが、確かに産業振興計画、全国に先んじて高知県の実態に見合うそういう計画を立てられたんですが、この小規模企業振興基本法というのが制定され、閣議決定もされています。そういう点では、本当に高知県の企業の主役にふさわしい対応が改めて求められているというふうに思いますし、私は、小規模企業の実態調査、悉皆調査をやっぱりきちっとやって、産振計画が今100%ではないんですよ。やっぱりそういうところにも光を当ててこそ、もっとそれが生きる計画に私はなっていくというふうに思うんですね。

この間、8,000件、アンケートを出しましたとかというて、それから毎年、何百軒回っていますとかというて、それなりに努力されていますけれど、私は努力は十分認めますとともに、さらに高知県の小規模企業を含めて本当に振興と事業の持続的発展のためには、やっぱり信頼関係を結びながら対応をしていくということが必要だと思いますので、ぜひ小規模企業の実態調査や悉皆調査についても、改めて検討していただきたいということを最後にお願いしまして、全ての質問を終わります。ありがとうございました。