議会報告

【質問項目】

①   知事の政治姿勢①-TPP問題

②   知事の政治姿勢②-農協改革

③   知事の政治姿勢③-子育て支援

④   児童虐待問題

⑤   介護保険

⑥   難病相談支援センター

⑦   小中学校統廃合

⑧   米軍機の低空飛行訓練

 

 

【知事の政治姿勢①-TPP問題】

●塚地県議

私は、日本共産党を代表いたしまして質問をいたします。

政府は、地方再生をキーワードに、いかにも地方をよみがえらせるかの言葉を振りまいています。しかし、地方を疲弊させてきた農林水産物の輸入拡大、社会保障の切り捨ての方向はますます強まるばかりです。

知事の政治姿勢に関し、まずTPP問題について伺います。

安倍政権が進めるTPPは、地方の暮らし、済に壊滅的打撃を与えるものとして本議会でも議論され、交渉撤退を求める意見書決議も可決をしてきたところです。

しかし、県民の願いに反して、日米の事務レベル協議がこの2月から再開され、日本政府が聖域と位置づけてきた分野を含め、日本がアメリカに次々譲歩しているという報道が連日のようにされています。米国産豚肉にかかる1キログラム当たり最大482円の関税を50円前後に下げる方向で調整、牛肉の関税現在38.5%を十数年かけて9%まで下げる、米国産米輸入5万トン増検討、アメリカは20万トンを要求などの報道です。しかも、甘利明TPP担当相は、交渉の中身については明らかにしないまま、「譲歩の幅をできるだけ小さい範囲で決着させるのが全て」、米国産主食米輸入について「一粒もふやさないということは不可能だ」と述べ、譲歩の報道を否定していません。

1月には、日本に対して関税撤廃を最も強硬に主張してきた全米豚肉生産者協議会が、豚肉について日本の提案で重大な進展があったことを理由にTPP交渉を支持することを表明いたしました。日本国内では生産者にも消費者にも譲歩の内容は伏せられているのに、アメリカでは交渉経過を関係団体に明らかにし、事前了承を取りつけて進めているのです。

TPP交渉をめぐる局面をどう認識されているか、お聞きをいたします。

アメリカなどが進めるTPPが、アメリカ流のルールを関係国に押しつけ、アメリカの利益だけを求めていることは、TPP協定は米国民の所得をふやすためだというオバマ大統領の言明からも明らかです。米農務省は昨年10月、TPPが妥結した場合、2025年までに参加12カ国の農産物貿易は85億ドルふえるが、輸入増の70%は日本であり、米国産米の輸出は2倍強ふえると発表いたしました。まさに日本のひとり負けであり、自給率が39%にすぎない国民の食料を一層外国任せにし、主食までアメリカに頼ることになります。まさに売国的な内容です。

政府の対応は、農産物重要5品目を交渉対象にしないよう求めた国会決議に反します。昨年12月県議会で知事は、 「重要5品目の関税など守るべき国益がきちんと守られるのかどうか、依然として予断を許さない状況にあると認識しております」と述べ、 「県民の皆様の生活を守るための取り組みを積極的に進めてまいりたい」と答弁をしています。また、本県選出の国会議員のほとんどはTPP反対を掲げて当選をしています。

この重大局面に立って、どう共同を広げ、県民の生活を守る取り組みを進めるおつもりか、お聞きをいたします。

 

■知事

まず、TPP交渉をめぐる局面をどのように認識しているのか、また今後どのように共同を広げ、県民の生活を守る取り組みを進めるつもりなのかとのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。

TPPにつきましては、これまでも申し上げてまいりましたとおり、政府におきましては国民に対する情報開示と説明に努めていただくとともに、米など重要5品目の関税など国益を必ず守っていただきたいと考えております。こうした考え方に立って、これまでも、農林水産物の「重要品目の関税など国益を必ず守るという姿勢で臨み、守ることができないのであれば、脱退も辞さないものとすること」などの要請活動を行ってまいりました。

今月9日から15日までハワイでTPP首席交渉官会合が開催をされ、4月以降に閣僚会合が開かれるのではないかといったことが報道をされております。さらに、アメリカにおきましては、大統領に通商交渉の権限を一任する大統領貿易促進権限、いわゆるTPA法案の議会への提出に向けた動きもあります。こうしたことから、今後TPP交渉が大きく進む可能性があり、重要5品目の関税など守るべき国益がきちんと守られるのかどうか、依然として予断を許さない状況にあると認識しております。

県としましては、今後の動向に十分注視しますとともに、こうした国際交渉では国内からの強い声が交渉する方々を後押しすることになりますことから、今後とも必要に応じて関係団体の皆様方と連携して、県民生活を守るための取り組みを積極的に進めたいと考えているところであります。

 

 

【知事の政治姿勢②-農協改革】

●塚地県議

次に、農協改革について知事に伺います。

安倍政権が戦後以来の大改革と称する農協改革も、TPPと深くかかわっています。政府の農協改革の内容は、1、農協法に基づく中央会制度の廃止、2、現在の全国農業協同組合中央会――JA全中の一般社団法人への移行、3、農協への会計士監査の義務づけとなっており、全中が立案した自主的改革案の主要部分を否定し、首相の強い意向として全中に強引に受け入れさせたもので、農家組合員や理事者、労働者の意思を無視した強権的介入です。

安倍政権は、強い農業をつくるため、農家の所得をふやすために改革が必要と言いますが、どう強い農業をつくり農家の所得増大につながるのかの説明はありません。それどころか、生産者米価の暴落や円安と消費税増税による生産資材、飼料の値上がりなどで生産を続けられるかどうかの瀬戸際に立たされている農業者の深刻な事態に背を向けています。

農協改革も、農業関係者が求めたものではありません。改革案の骨格も、政府の規制改革会議で財界代表が持ち出した内容が最優先されています。

政府の進める農協改革は、農業関係者の要望でもないし、その理由も実態を無視したものと思うが、お聞きをいたします。

 

■知事

次に、農協改革に関連して、政府の進める農協改革が実態を無視したものではないかとのお尋ねがございました。

全国中央会の一般社団法人への移行や、農協に対する公認会計士による監査の義務づけ、県中央会の農協法上の連合会への移行などを内容とする政府の農協改革の法制度の骨格が示されました。

県中央会を中心としたJAグループは、農家に寄り添ったきめ細やかな営農指導はもとより、いわゆるJA出資型法人の設立により、耕作放棄地の適切な管理や新規就農者の研修、若手農業者による新たな事業展開の支援など、地域における農業を支えておられます。あわせて、産業振興計画の推進の面からも、県と目標を共有し、その達成に向けて地域の農業者をリードする重要な役割を担っていただいております。

このように、JAグループは現行においても効果的かつ重要な役割を果たしていただいております。こうした中、今般の改革においては、改革の内容が農家の所得向上や農業再生にどのようにつながるのか、農業関係者の中にさらなる説明を求める声も上がっているのも事実でございます。政府において一層の説明を尽くしていただきたいと考えているところでございます。

また今後、今月中には農協法改正法案が国会に提出され審議が行われると承知しておりますが、地域の実態や関係者の声を踏まえた真摯な議論を行っていただきたいと考えております。

 

●塚地県議

重大なことは、この改革によって、戦後農政の民主的なあり方も大もとから崩されることです。それは、財界が繰り返し要求をしてきた、地域に定着する家族農業とその協同組織が担ってきた農業生産、農地管理、販売、購買、信用、保険などを、営利企業の新たなビジネスチャンスとして提供することになるからです。現に在日米国商工会議所は意見書で、JAグループの金融事業は金融庁の規制を受けないことによって利益を得ていると主張をしています。

農協の営農指導は農家へのサービスですから、もともと赤字で、経済事業もそれだけで黒字が出ることはありません。金融と共済で出た利益を活用することで初めて総合的事業として成り立っています。JAバンクやJA共済が切り離されたら他の事業も成り立たず、農協自体が立ち行かなくなります。

金融事業なくして農協の総合的事業はあり得ないと思いますが、お聞きをいたします。

全農を株式会社化すると言っていますが、全農は全国的な共同販売を担い、独占禁止法の適用除外になっていますが、株式会社化したら適用除外を外されてしまいます。農協は、個々の農家の取引交渉力はイオンなど買い手の大手スーパーに比べたら極めて弱いので、価格を維持するために農家が集まって共同販売をしています。独占禁止法の適用除外を解かれると、農家同士で熾烈な競争をすることとなり、買い手側がさらに買いたたける状況がつくられます。

独占禁止法の適用除外が解かれると、特に中山間地の多い高知県の農業は深刻な影響を受けると思いますが、お聞きをいたします。

 

■知事

次に、金融事業なくして農協の総合事業はあり得ないのではないか、また独占禁止法の適用除外が解かれると本県の農業は深刻な影響を受けるのではないかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。

小規模な農家が多い本県におきまして、農協は、営農指導はもとより、農産物の共同販売や資材の共同購入など、農業や組合員にとって大変重要な役割を担っております。また、中山間地域では、地域住民に欠かせない購買店舗や金融機関などの機能を発揮しております。このように、農協が行う総合的な事業全体が地域農業や地域社会を支える重要な仕組みとなっております。

今回の改革案では、県内の農業者や農協にとって直接的な影響が懸念をされました信用事業の譲渡や全農の株式会社化につきましては、それぞれ農協や全農等の選択に委ねられることとなりました。また、准組合員の利用量規制につきましても、5年間、正組合員及び准組合員の利用実態並びに農協改革の実行状況の調査を行って慎重に決定することとなりました。こうしたことから、平成30年に向けて県域1JA構想の実現を目指している本県におきましては、現時点では影響は比較的小さいのではないかと考えております。しかし、具体的な運用などの詳細が明らかでない点もありますので、国会での審議を含め、今後の動向を注視する必要があると考えております。

 

●塚地県議

今必要なことは、農産物の生産、販売、信用、共済、医療など総合的な事業で地域の農業と住民の暮らしを支えてきた総合農協としての役割を生かすことです。

地域と農業を守るため、一方的な改革の押しつけには断固反対すべきと思いますが、お伺いをいたします。

 

■知事

次に、一方的な改革押しつけには断固反対すべきではないかとのお尋ねがございました。

農業を取り巻く環境が大変厳しい中、農協には今まで以上に農業者の所得向上のための取り組みなどが求められております。農協改革については、農協の自己改革に向けた自主的な動きを尊重するとともに、時代の流れに合わせ、地域の実情に沿った議論が展開されていくことを望んでおるものであります。

 

 

【知事の政治姿勢③-子育て支援】

●塚地県議

次に、子育て支援について知事にお伺いをいたします。

新年度の当初予算の案のタイトルは、 「課題解決先進県を目指した力強い取組により、人口減少による負のスパイラルを克服!」となっているように、少子化対策の推進、子育て支援の充実は高知県の未来にとって決定的な重みを持っていると感じています。

少子化の原因については、昨年7月の知事会の少子化非常事態宣言の発表とあわせて示された「少子化対策の抜本強化に向けたトータルプラン(政策集)」で2つの内容が示されています。

第1が、 「非正規雇用の増加や恒常的な長時間労働は、結婚・出産・子育ての大きな制約要因」 、第2に、 「理想とする子どもの数を養育できない大きな要因として、子育て・教育費の過大な負担が影響」です。この指摘は私たちの認識とも一致する内容です。

高知県で言えば、安定した雇用の場、収入の確保などが課題となっており、産業振興計画などで県民挙げて取り組んでいるところです。私たちも、中小企業支援と一体となった最低賃金の引き上げ、医療・介護・福祉を雇用の場として重視、充実させることを提案してきました。

その中でも、子育て・教育費の負担軽減は極めて重要です。子育て、子供の教育にお金がかからなければ、それなりの収入があれば生活できるわけで、産業振興計画での努力と相まって、若者の定住、移住にとって極めて大きなインパクトを持つことになります。

県としては、公費によるエアコン設置など努力はされていますが、課題解決先進県として思い切った取り組みが必要だと思います。

そのためにも、県政のスローガンに日本一の子育て応援県を掲げ、目標を持って課題解決に取り組むべきではないか、知事にお聞きをいたします。

 

■知事

次に、子育て支援について、目標を持って課題解決に取り組むべきではないかとのお尋ねがありました。

平成25年の出生数が5,266人にとどまるなど子供の数の減少傾向が続く中、昨年実施した県民世論調査の結果では、県民の約9割の皆様が少子化を深刻な問題だと捉えているという状況があります。こうした状況の中で、少子化対策を抜本強化していくためには、結婚から子育てまでのライフステージに応じた各段階における課題事項を整理した上で、目標を持って取り組みを進めることが何よりも重要だと認識をいたしております。

例えば結婚に関しては、生涯未婚率や平均初婚年齢の上昇が顕著であり、嫡出子の割合が高い中では少子化の大きな要因ともなりますことから、独身の方々が希望の時期に結婚できるような支援策が必要であります。また、子育ての面では、共働きが多く仕事と育児の両立が困難な状況にありますため、保育サービスの一層の充実を図ることなどにより、理想と現実の子供の数の乖離をなくしていく必要があります。

来年度から5年間の取り組み方針を定める新たな次世代育成支援行動計画では、こうした少子化の現状やこれまでの取り組みの成果なども踏まえ、 「誰もが希望の時期に次代を担う高知の子どもを生み育てやすい環境づくり」 、これを目標として掲げ、取り組みのなお一層の充実強化を図ることといたしております。あわせて、少子化対策は息の長い取り組みとなりますので、長期的な視点に立って、行動計画に掲げる目標の達成に向けまして、施策の効果や成果などについてしっかりとフォローアップしていくことが必要になってまいります。このため、個々の取り組みに対する目標事業量を設定することに加え、成果指標を定めた上で、PDCAサイクルをしっかりと回しながら取り組みを推進してまいります。

 

●塚地県議

現在の県の予算を見ますと、公共投資額は700億円台から、道路整備、県立大学の充実、南海トラフ巨大地震対策などに関係する積極投資により1,000億円を超えています。これらは県民の願いに応えた事業ですが、こうしたハード整備は、人口が維持され地域社会が維持されてこそ、その役割、目的を十分に果たすことができるわけです。

子育て支援策は、人口減を防ぐインフラ整備、ハード事業への投資を真に生かしていく投資と位置づけて、思い切って充実していくことが求められていると思いますが、お聞きをいたします。

 

■知事

次に、子育て支援施策の思い切った充実についてのお尋ねがございました。

少子化対策の抜本強化につきましては、4月にスタートをいたします子ども・子育て支援新制度に関連する子育て支援施策を中心に、本年度を8億円程度上回る91億円余りの予算を計上いたしますなど、この間、大幅な拡充を図ってきたところであります。この中には、経済的に厳しい状況に置かれた子育て世帯が一時預かり保育などを利用する際の新たな減免措置などに加え、出会い・結婚・子育て応援コーナーの子育て相談機能を抜本強化するなど、きめ細やかな子育て支援につながる取り組みなども数多く盛り込んでいるところであります。

人口減少に伴う負の連鎖を断ち切るためには、その背景にある少子化の問題を克服する必要があり、少子化対策の抜本強化とあわせて、若い世代の人口流出を食いとめる対策として産業振興による雇用の創出や大学教育の充実、さらには安全・安心な暮らしにつながる南海トラフ地震対策の加速化などといった少子化の問題とも密接にかかわる施策などの強化を図ることも大変重要だと認識をいたしております。こうした考え方のもと、今回の予算編成では、5つの基本政策はもちろんのこと、横断的にかかわる政策などを含めまして、限られた財源の中で最大限の効果が発揮できるよう知恵を絞り、工夫の徹底を図ってまいりました。

今後とも、少子化対策そのものの抜本強化を図るのはもちろんのこと、5つの基本政策などに集中して取り組んでいくことによりまして、その相乗効果を互いに発揮させながら、若い世代が地域にとどまり、結婚や子育てを希望の時期にかなえられる環境づくりを推進してまいりたいと考えているものであります。

 

●塚地県議

昨年度、地方消費税の増収分は全額社会保障費に充てるという方針の実行という観点からも、私たちは中学校卒業までの医療費の無料化を提案いたしました。

2014年4月現在で、小学校卒業まで無料化は通院で5府県、入院で8道府県、中学校卒業までは通院5都県、入院12都県、福島県では18歳の年度末まで無料としています。本県は就学前までです。子供の貧困の克服、健康増進にとっても、その充実が強く求められています。

中学校卒業までの無料化を県の制度とすべきだと思いますが、お伺いをいたします。

 

■知事

次に、子供の医療費助成制度の拡充についてお尋ねがありました。

子供の医療費につきましては、子供が生まれ育った環境にかかわらず全国どこでも治療費を心配することなく安心して医療を受けられるよう、社会全体で支えていく必要があると考えており、これまでも、次世代を担う人づくりに向けた少子化対策の抜本強化に取り組んでいく中で、国において新たな子供の医療費助成制度の創設につきましても提言しているところであります。

県内の多くの市町村が既に医療費助成制度の拡充に取り組んできておりまして、中学校卒業まで医療費の無料化を実施している市町村は所得制限等も含めますと現在30カ所、ことし4月からは32カ所に拡充されるとお聞きいたしております。これまでもお答えしてまいりましたように、ほとんどの市町村で既に中学校卒業まで医療費の無料化が実施されています。県による拡充が市町村での財源の振りかえになるだけでは本当の意味での子育て支援策の充実につながらないのではないかと考えているものであります。

 

●塚地県議

県は、先行実施している市町村のさらなる子育て支援策につながる方法を研究したいと答弁をされました。医療費助成制度に加え、県内の自治体では保育料の無料化、給食費補助、教材費支援、給付型の奨学金制度に取り組んでいる自治体が存在をしており、子育て支援策を充実させる余地はまだまだあります。

中学校卒業までの医療費助成制度に加え、市町村にとって使い勝手のよい、子育て支援策に活用できる県の交付金制度を創設すべきと思いますが、お伺いをいたします。

 

■知事

次に、市町村が子育て支援策に活用できる県の交付金制度の創設についてのお尋ねがありました。

これまでの間、国に対しまして少子化対策の抜本強化、この必要性を私もプロジェクトチームのリーダーとして訴えを重ねてまいりました。この結果もあるのではないかと思いますが、今回の国の補正予算におきまして一連の手厚い子育て支援策のための予算措置がなされたところであります。地方が独自に取り組む先駆的な少子化対策を後押しする地域少子化対策強化交付金が昨年に引き続き確保されますとともに、幅広い少子化対策に活用のできる地方創生の交付金が新たに創設されますなど、少子化対策にかかわる一連の予算が手厚く措置されております。

これらはいずれも、県と同様、市町村にも交付され、市町村が取り組む少子化対策を直接後押しするものとなっているところであります。私自身、繰り返しになりますが、全国知事会などを通じまして、地域の実情に応じた少子化対策を抜本強化する必要性を重ねて訴えてきたところでありまして、こうした交付金を有効活用することで、それぞれの市町村が地域地域の実情に応じた新たな子育て支援の取り組みの展開が可能になるものと認識をいたし、また評価もしているところであります。

県としましても、こうした交付金を積極的に有効活用し、母子保健の専門知識を持つ相談員によるきめ細やかな子育て相談機能の充実強化や総合的な結婚支援策の抜本強化を図るなどといった、市町村のバックアップも含めた新たな取り組みを推進することとしております。それぞれの市町村におきましても、地域の創意工夫を生かしながらこうした交付金を有効活用し、住民ニーズを踏まえた効果的な少子化対策の新たな展開を図ることにより地方創生へとつなげていくことも可能になるものと考えているところであります。

 

 

【児童虐待問題】

●塚地県議

次に、児童虐待問題について伺います。

昨年12月25日、香南市で3歳の女の子が27歳の母親とその義理の妹に虐待を受け死亡するという胸塞ぐ痛ましい事件がまたも起こってしまいました。心より御冥福をお祈りし、県民の皆さんとともに、誰にもみずから助けを求めることのできない子供の命を守り抜けなかった、この事実を真摯に受けとめ、決して繰り返させないという決意で今後の対応を図っていかねばならないと考えます。事件の全容は、警察による捜査と裁判、さらには県と高知市が取り組んでいる検証委員会の調査を待たなければなりませんが、高知県中央児童相談所、高知市子ども家庭支援センターによる行政支援のあり方が問い直され、県としての責任ある今後の方向を打ち出さなければなりません。

県はこの間、平成20年に起きた虐待死事件を受け、検証委員会の提言に基づく施策の強化に取り組んでこられました。そのスピードがもう少し早く機能していれば今回の事件は防げたかもしれないとのじくじたる思いは共通しているのではないでしょうか。その反省を胸に、必要な手だてをまさにスピード感を持って推進していく必要があると思います。

私たちはこれまでも、児童虐待の対応で、第一義的には市町村が担い、重篤な案件への対応と市町村支援を県が担うとした児童福祉法の改正について、市町村にその任務を担う人員の上でも質の上でもその力が備わっていないことを指摘してまいりました。今回の事件はまさにその懸念が現実のものとなったことを大変悔しく思います。

今回の事件は、居住していた高知市ではなく、一時的に身を置いていた香南市で起きています。複雑な状況であったかもしれません。しかし、現実に虐待による死亡事件が起きた事実に立ち、いかなる状況にも対応できる体制を築かなければなりません。

今議会の知事説明でもお述べになりましたが、改めて知事の今回の事件の受けとめと今後の決意を伺っておきます。

 

■知事

次に、児童虐待問題について、今回の事件の受けとめと今後に向けた決意についてのお尋ねがありました。

このたびの死亡事件の発生につきましては、まさしく痛恨のきわみであり、お亡くなりになった幼い児童の命をなぜ救えなかったのかと大変悔しい思いをいたしております。

本県においては、平成20年の南国市における死亡事例検証委員会からの提言に基づき、児童相談所の体制強化を図るとともに、市町村の取り組みへの支援や連携の強化などに努めてまいりました。しかしながら、今回の事件の発生を踏まえますと、前回の事件以降、県としてこれまで取り組んでまいりました内容に加え、もう一段のさらなる取り組みの充実強化が必要だと考えております。

このため、早急に対応すべきものについては直ちに着手することとし、中央児童相談所の体制強化などに必要となる経費を平成27年度予算案に盛り込ませていただいているところであります。さらには、県と高知市が合同で設置をいたしました検証委員会において、関係機関の対応の妥当性などについて専門家の視点からの検証作業を行っていただき、そこから出てきた課題などを踏まえた再発防止策について御提言をいただくこととしております。

県としましても、子供の命と安全を守るために、今後改善が必要となる対応や市町村との連携のあり方などについて実践的な御提言をいただけるものと考えております。その内容を真摯に受けとめ、二度とこのような事件が起こることのないようしっかりと取り組む決意でございます。

 

●塚地県議

以下、地域福祉部長に伺います。

この事件を受け、児童相談所と要保護児童対策地域協議会においてリスク管理されている全ケースについて緊急に安全確認を実施されましたが、その中で課題が明らかにされてきたことは何か、伺います。

 

■地域福祉部長

まず、児童相談所などにおいてリスク管理されているケースの緊急の安全確認において明らかとなった課題についてのお尋ねがありました。

今回の事件を受けた緊急の安全確認につきましては、県下でリスク管理されている全ての虐待ケース780件について、児童相談所においては職員みずからが、また市町村においては職員や関係機関による目視を行いました結果、全ての児童の安全を確認することができました。

短期間の目視による安全確認の実施により明らかになりました課題といたしましては、学校などが休みの期間中に重なったこともあり、職員みずからが直接訪問をせざるを得ず、児童相談所に匹敵するケースを管理している高知市では、職員の配置体制のことなどもあり、結果として安全確認に多くの日数を要することとなり、この点、日ごろから地域での見守り体制をしっかりと構築し、いざというときに備えるための連絡体制を整備しておくことの重要性、必要性について改めて強く認識をいたしたところです。

子供たちの命と安全を守り、虐待を未然に防ぐためには、要保護児童対策地域協議会においてこれまで以上のリスク管理に留意するのはもちろんのこと、日ごろから地域の関係機関などとの子供の見守り体制のネットワークを構築、強化しておくことが必要であり、県といたしましても市町村への指導の徹底を図りますとともに、こうした取り組みをしっかりと支援してまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

今議会に示された予算案では、市町村との連携、市町村の体制と機能強化、市町村の要保護児童対策地域協議会の有機的活動の推進などのため、中央児童相談所への専門員を1名配置すること、夜間、休日の相談にも対応する非常勤職員の配置が示されています。

この専門員の具体的任務はどのようなものなのか、市町村の体制強化をどのように進めていくおつもりか、伺います。

 

■地域福祉部長

次に、中央児童相談所に配置する専門職員と今後の市町村への支援体制の強化についてのお尋ねがありました。

来年度から中央児童相談所に配置を予定しております専門職員につきましては、今回の香南市における死亡事件の経緯などからも、児童相談所による市町村への支援体制の強化を図る必要があり、その専門性を生かし、市町村などへの指導、助言を行う役割を担っていただくことといたしております。具体的には、市町村の要保護児童対策地域協議会の活動内容の充実に向けまして、個々のケースにおける支援内容や進行管理のあり方などについてのアドバイスを行うのはもちろんのこと、児童相談所などとも連携を図りながら、市町村内の関係機関などが情報を共有し、虐待の予防や早期対応が可能となる連携体制の整備などについても支援をしていくことを考えております。

また来年度からは、新たに、市町村への支援体制の強化に向けまして、出張児童相談所の取り組みをスタートさせることといたしております。取り組みの内容といたしましては、職員がチームを編成し、地域に直接出向いての伴走型の支援に取り組みますとともに、その際の評価を市町村にフィードバックすることによる改善効果などを通じまして、児童虐待問題への市町村の対応力のレベルアップを図ってまいります。

さらには、さきに設置をいたしました児童虐待死亡事例検証委員会から、県として必要となる今後の市町村との連携のあり方などについて御提言をいただけるものと考えておりますので、その内容なども踏まえまして、虐待問題への対応ケースが多くなっている高知市とも認識を共有しながら、課題解決に向けてスピード感を持ってしっかりとした対応を図ってまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

高知県の中央・幡多児童相談所の児童福祉司の配置はこの間大きく前進し、都道府県レベルでは全国1位となっています。しかし、新採の方もおられ、さまざまなケースに対応できるためには、不安に感じることをすぐに相談できる体制、どこまで家庭に踏み込んでいいのかなど、法律に関する課題に即応できる状態を充実する必要があるのではないでしょうか。

既に児童相談所では弁護士に委託し、非常勤として相談を受けるなど活躍いただいていますが、高知弁護士会には子どもの権利委員会もありますから、地域連携を強め、機敏に対応できる体制強化を求めるものですが、お伺いをいたします。

 

■地域福祉部長

次に、児童相談所における法的対応の体制強化についてのお尋ねがありました。

現在、本県の児童相談所においては、弁護士1名を非常勤職員として委嘱し、虐待を受けた児童を施設に入所させることについて保護者の同意が得られないケースなどで、家庭裁判所への審判請求を行う際の法律相談や書類の作成支援などを受けられる体制を整えております。

今後まずは、児童相談所が緊急に家庭への介入を行う際の法的な解釈などについての助言や、児童虐待の相談対応の窓口となっている市町村からの法律相談に応じていただくといった地域連携の視点を含めた仕組みづくりなどについて、5月を目途に示される児童虐待死亡事例検証委員会からの御提言なども踏まえまして検討を進めてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

児童虐待に至る前に、保護者が社会的支援を受け入れやすくする環境づくりが求められます。

これまでも新生児の訪問活動もされていますが、そこでリスクを感じた家庭に具体的な手を差し伸べることが大切です。

児童家庭支援センターの体制を充実させ、サポートする体制、各保育所などで行っている地域子育て支援センターを待ちの姿勢でなく地域の訪問活動も行える体制の強化も検討すべきと思いますが、伺います。

 

■地域福祉部長

次に、児童家庭支援センターの体制の充実と地域子育て支援センターの訪問活動の強化などについてのお尋ねがありました。

乳児等のいる家庭への訪問活動は、保護者にとっては育児に関する悩みを相談できる絶好の機会となりますし、またこうした活動などを通じまして支援の必要な家庭を早期に適切な支援につなげることにより、虐待などの重大な事態に至る前の段階で防ぐことも可能になるものと考えております。

現在、市町村においては、乳児家庭全戸訪問事業や母子訪問指導などの取り組みを通じまして、リスクのある家庭を把握した際には、地域子育て支援センターにおける子育て相談や児童家庭支援センターによる育児支援などにつなげるとともに、特に支援が必要な家庭については、児童福祉施設などでのショートステイの利用を勧めるといった対応もなされているところです。

県としましても、こうした市町村における母子保健と児童福祉が連携した子育て支援の取り組みなどを強化するため、市町村とともに児童家庭支援センターを積極的に活用することなどを通じまして体制の充実などを図っていく必要があるものと考えております。また、地域子育て支援センターにつきましては、来年度から、センターが取り組む乳幼児家庭への訪問活動などに新たに財政支援を行いますとともに、高知家の出会い・結婚・子育て応援コーナーに新たに配置する母子保健の専門知識を持つ保健師などが地域に直接出向いて、センターの活動を積極的に支援することといたしております。

 

●塚地県議

そうした支援を受けることに抵抗感をなくす、そのために、新生児が生まれた家庭に積極的にかかわれることが大切です。あるお母さんは、一日中、生まれたての小さな命と緊張しながら向き合い、大人とのコミュニケーションが絶たれているとき、週に3回でもお弁当を届けてもらい、少しでも語らいの時間が持てたら気持ちが楽になる、ぜひ実現してほしいと語っています。このように、問題が生じる前から社会的支援を受けることに抵抗感をなくしていく取り組みも要望をしておきます。

 

 

【介護保険】

●塚地県議

次に、介護保険について地域福祉部長に伺います。

12月県議会で、高齢化が進む地方にとって医療・介護の充実は雇用の場、経済対策など本県の地方創生の重要なテーマではないかと質問をし、知事から、県内の医療・介護分野の雇用者は全産業種別の中で最も多く、うち約8割が女性労働者であり、雇用の場、女性活躍の場として大きなウエートを占めており、高齢社会において医療・介護分野は地域で安心して働ける仕事をつくり出す重要な産業であるとの答弁がなされました。地方の暮らし、雇用を支える上で、医療・介護など社会保障の充実は極めて重要だ、これは共通の思いだと思います。

ところが、介護報酬の大幅な減額が断行されようとしており、介護現場からは、利用者にも従業者にも事業者にも大きな損失をもたらす、介護崩壊が起こると厳しい批判の声が上がっています。今回の改定は、報酬全体で2.27%引き下げ、2回連続の実質マイナス改定です。しかも、改定には介護労働者の処遇改善などの特別な加算を含んでいるため、その上乗せ分を除けば本体部分は4.48%と、文字どおり過去最大規模の引き下げとなっています。

特別養護老人ホームの基本報酬は、個室でマイナス6%弱、相部屋はさらに大幅カットをされています。特別養護老人ホームの3割が赤字という実態が全国老人福祉施設協議会の調査結果で判明をしていますが、今回のマイナス改定によって特養がさらに苦境に追い込まれることは明らかです。

全国的には、介護報酬削減によって、進出を予定していた事業者の撤退という事態も発生をしています。2月3日、NHKの「介護報酬引き下げ 現場で何が」という番組で、東京都北区の特別養護老人ホーム建設計画の中止を取り上げ、こうしたケースは全国に広がっていると指摘をいたしました。

現在の県内の入所待機者はどのくらいになっているのか、また第5期介護保険事業支援計画の達成状況と第6期介護保険事業支援計画への影響についてお聞きをいたします。

 

■地域福祉部長

次に、県内の特別養護老人ホームの入所待機者数や第5期介護保険事業支援計画の達成状況などについてのお尋ねがありました。

まず、特別養護老人ホームの入所待機者数ですが、県内の要介護度が3以上の特別養護老人ホームの入所待機者数は昨年の10月末現在で2,872名となっており、そのうち621名の方が在宅で待機をされている状況となっております。

次に、第5期介護保険事業支援計画期間中における特別養護老人ホームの整備状況につきましては、687床の計画に対しまして、計画期間内に整備が完了するものが467床となっており、残る220床のうち事業者の応募がなかったことなどから整備を取りやめた91床を除く129床が次期の第6期の計画期間中に完成する見込みとなっております。また、現在策定中の第6期計画においては、特別養護老人ホーム164床の整備に加えまして、老人保健施設、認知症高齢者グループホームなどの整備が196床見込まれております。

最後に、第6期介護保険事業支援計画への影響ですが、今回の介護報酬のマイナス改定が及ぼす今後の施設整備に係る資金計画への影響などにつきましては、現在のところ県では事業者の皆様からそうした声をお聞きしてはおりません。

 

●塚地県議

今回の改定は、特に小規模事業所ほど影響が大きい改定となっていると指摘をされています。通所介護の小規模型通所介護費の場合は10%の減、2014年の介護事業経営実態調査によると、小規模型通所介護の平均利益率は約7%でした。新報酬10%減の影響でこの利益が一気に吹き飛び、赤字に転落する小規模型通所介護がふえることも予想されます。

市町村事業へ移行することとなっている要支援は、訪問で約5%、通所は約20%の大幅削減です。今後、要支援の利用者は敬遠される、週2回の利用が週1回に、週1回の利用が隔週ないし利用終了に追い込まれることになりかねません。また、認知症対策を重視すると言いながら、グループホームも6%近く減少です。

今回の改定により、事業所の撤退、縮小、それに伴う雇用の場の縮小が危惧をされます。介護報酬削減の影響をどう判断しているか、緊急に調査をし、問題点を国に提言すべきと思いますが、お聞きをいたします。

介護の現場には看護師や給食、送迎のスタッフなどさまざまな職種の人が働いていますが、加算の対象にはなりません。

介護保険料にはね返らない処遇改善交付金の復活、充実こそが求められていると思いますが、お聞きをいたします。

 

■地域福祉部長

次に、介護報酬削減の影響と介護職員処遇改善交付金の復活、充実についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをいたします。

今回の介護報酬の改定では、介護職員の確保を図るための処遇改善を実現する中で、介護サービスの利用者負担と保険料の軽減が図られることとなっております。しかしながら一方で、介護サービス提供事業者の経営面から見ますと、今回の介護報酬の大幅な見直しにより、その安定的なサービスの提供が影響を受けるといったことも懸念されます。このため、現在策定している第6期介護保険事業支援計画の進捗管理を行う中で、今回の介護報酬改定の影響などについても検証を行ってまいりたいと考えております。

次に、介護職員の処遇改善に関しましては、これまでにも国に対し、処遇改善加算の継続と対象職種の拡大、さらには賃金アップにつながる職員のキャリアパスの確立などについての提言を行ってきたところです。こうした中、今回の介護報酬の改定では、これまでの職員1人当たり月額1万5,000円相当の加算に1万2,000円相当の上乗せを可能とする拡充が行われることとなりました。

しかしながら、こうした処遇改善加算は平成29年度末までの特例的な措置となっており、非正規雇用なども含めました職員の賃金向上に確実に結びつけるためには、介護報酬の基本部分に組み込んだ上で恒久的な制度として確立していただくことが必要だと考えております。このため、先ほどの介護報酬改定の影響なども含めまして、今後とも事業者の皆様の御意見などもお聞きしながら、国に対して必要な提言活動を行ってまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

介護保険料についてお聞きをいたします。

介護保険は、サービスの利用がふえたり介護職の労働条件を改善すれば直ちに保険料、利用料の負担増にはね返るという根本矛盾を抱えています。開始直後2,911円だった介護保険料は、第5期では4,972円と1.7倍になり、今後さらなる保険料の高騰が危惧されます。国保とともに、重過ぎる介護保険料の負担が深刻な問題となっています。

第6期計画の保険料は幾らになると計画をされているのか、その負担は年金が減額されるもとで極めて重いのではないか、お聞きをいたします。

重過ぎる介護保険料の軽減に自治体が真剣に取り組む必要があります。その中でも市町村の介護給付費準備基金は、議会で答弁をいただいたように、想定した保険料が黒字となって基金として残ったわけですので、基本的には保険者に還元するという意味では全額保険料の軽減に充てられるべきものだと思います。

県下の介護給付費準備基金の2014年度末残高と取り崩し予定額はどうなっているのか。

 

■地域福祉部長

次に、第6期計画の介護保険料と県下の介護給付費準備基金の今年度末の残高などについてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをいたします。

まず、第6期計画の介護保険料につきましては、各市町村の介護保険事業計画策定委員会での議論を経て条例で定めることとなっており、市町村議会の議決により決定されることとなります。このため、各市町村の保険料については現時点では確定をしていない状況にあり、県において市町村からいただいた資料で試算をいたしました暫定値ではございますが、高齢化の進行に伴います介護給付費の増加などもあり、第1号被保険者の保険料につきましては準備基金の取り崩しなどを加味した県下の平均で約5,400円となり、第5期計画の平均額と比べますと400円程度の上昇となっております。

なお、先ほどの知事からの御答弁にもありましたように、特に所得の低い層の方に対しましては、新たな保険料の軽減強化策が講じられることにより負担の軽減が図られることとなっております。

次に、県内市町村の平成26年度末における介護給付費準備基金の残高につきましては約40億円の見込みとなる一方、第6期計画期間中の取り崩し予定額につきましては約20億円となっております。市町村の準備基金につきましては、これまでの第6期計画の策定に向けた市町村とのヒアリングの際に、県としましても保険料が過度に上昇することのないよう適正な取り崩しの助言に努めてきたところです。

 

●塚地県議

保険料、利用料の高騰を抑えながら、制度の充実や介護の提供基盤の拡大を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅にふやすしかありません。

公費投入を抜本的に拡大することが必要だと思いますが、お聞きをいたします。

 

■知事

次に、介護保険制度について、持続可能な制度とするためには公費の投入を拡大することが必要ではないかとのお尋ねがありました。

今後とも高齢化が進む中で、介護保険制度を将来にわたり安定して運営していくためには、給付の面において、サービスを必要とされる方に確実にサービスが提供されるのはもちろんのこと、負担の面においては、その能力に応じて痛みを最小限にとどめるための緩和策などを講じる必要があるものと考えております。このため、低所得の高齢者が多いといった本県の実情などを踏まえた保険料や自己負担額の軽減措置、さらには採算性の問題などからサービスの確保が難しい中山間地域における介護報酬の加算措置などについて公費負担により拡充を図ることをこれまでにも提言してまいりました。

こうした中、今回の介護保険制度の見直しでは、消費税率の引き上げによる増収分などから財源を捻出し、65歳以上の特に所得の低い層を対象とする公費投入による保険料の軽減強化策が実施されることとなりました。

今後とも、全国知事会などといった関係機関との連携も図りながら、介護保険制度がしっかりとした財源に裏打ちされた持続可能な制度となるよう、保険料や公費負担のあり方などを含めまして必要な改善が図られるよう、国への提言活動などに努めてまいりたいと考えているところであります。

 

 

【難病相談支援センター】

●塚地県議

次に、難病相談支援センターについて健康政策部長に伺います。

本年1月から、難病の患者に対する医療等に関する法律が施行されました。それに伴い、かねてから患者団体の皆さんから要望されていた、気軽に相談でき集うことのできる高知県難病相談支援センターの予算が今議会に提案をされており、本当にうれしく思います。

高知駅北口の近くに、駐車場もある一戸建ての建物を借り上げ、NPO法人高知県難病団体連絡協議会が委託を受けて運営することになっています。今回の法律の施行に伴い、医療費助成の対象者もこの夏から約300疾患に拡大をされ、対象者数は約1万1,000名に上ると推計をされていますから、相談対象者も増加し、専門性を持ったスタッフの配置が何よりも重要となります。

県が予算説明に当たって示された資料では、電話や面談、メールによる各種相談・支援、ハローワークなどと連携した就労相談・支援、出張相談会、全国のセンターと連携をした情報提供、ピアカウンセリングとカウンセラーの養成、患者の交流会の開催と、多岐にわたる事業を展開することとなっています。診断直後の不安に応え、治療や介護の問題など、一人一人に寄り添い、丁寧な対応が求められます。

委託に当たってどのような人員配置を想定しておられるのか、専門性を持ったスタッフの人件費はどのように見込まれているのか、お伺いをいたします。

まさに人材がこのセンターの存在価値を決定すると言っても過言ではありません。専門職の方に継続して働いていただけるだけの労働条件が不可欠です。

人材の発掘への支援、必要な予算措置を望むものですが、お伺いをいたします。

 

■健康政策部長

難病相談支援センターについての一連の御質問にお答えをします。まず、人員配置などについてお尋ねがありました。

難病相談支援センターについては、診断書記の不安な時期から気軽に相談していただく場として、また患者さん同士が交流できる場として、本年4月中の開所を目指して準備を進めているところです。

難病は、治療法が未確立で、長期にわたり療養が必要となるため、患者さん方は多岐にわたる心配事や問題を抱えています。質の高い相談対応を行うためには、資格を有している相談員を確保した上で、研修による資質の向上を図る必要があると考えています。こうしたことから、保健師などの専門資格を有する相談支援員3人分の人件費770万円余りを、県の保健師臨時職員単価などに基づき、委託料に見込んで予算計上しているところです。

また、相談支援員は委託先が採用することになりますが、県としても関係者から専門資格を有する方の情報をいただくなど、人材の確保に向けてともに取り組んでまいります。

 

●塚地県議

患者や家族を励まし、生きる力を培っていただくために、仲間をつくり情報交換のできる交流サロンは、センター機能の重要な取り組みです。病気によってその悩みも異なることから、ピアカウンセラーもそれぞれに必要で、多くのボランティアの皆さんの協力が必要となります。

ピアカウンセラーとしての役割を担ってくださる方は基本的に難病患者御本人かその御家族の方ですから、交通費や駐車場代などの負担が重荷になってしまいます。

そうした方々への一定の手当ても必要ではないかと考えますが、委託費の中ではどのようになっているのか、積算の中に組み込まれていないとすれば当然増額すべきと思いますが、伺います。

 

■健康政策部長

次に、ピアカウンセラーの負担軽減のための予算措置についてお尋ねがありました。

患者さんや御家族と同じ立場で相談を受けていただくピアカウンセラーの方に、月2回程度、相談会を開いていただくことを予定しています。

ピアカウンセラーについては、養成研修を平成24年度から高知県難病団体連絡協議会に委託して実施してきていますので、その研修修了者に活動していただくことを考えています。

相談会をお願いするピアカウンセラーについては有償ボランティアとし、必要な経費を委託料に含めています。また、患者交流会やサロン活動において患者団体の方にサポーターとして活動していただくことも予定しており、同様に必要な経費を委託料に含めています。

 

●塚地県議

交流サロンは高知市在住の方も多く、高知市に一定の負担をお願いすることも一つの案ではないかと思いますが、対応を伺います。

 

■健康政策部長

次に、交流サロンについて高知市に一定の負担をお願いしてはどうかとのお尋ねがありました。

難病相談支援センターについては、都道府県事業として、難病の患者に対する医療等に関する法律に規定をされています。高知市は中核市として、保健所において難病相談活動を実施していますので、センターを運営するに当たっては高知市と十分な連携を図ってまいります。将来的に高知市が難病相談業務の一部をセンター受託団体に委託することを検討されるようであれば、共同実施の方向も探っていきたいと思います。

 

●塚地県議

このセンターは高知市に設置をされます。郡部への出張相談会も開催されますが、日常的な活動はやはり距離が壁になります。

センター開設後も、各福祉保健所における支援体制も残すべきと考えますが、郡部での対応はどのように考えておられるか、伺います。

 

■健康政策部長

次に、センター開設後の福祉保健所の支援体制についてお尋ねがありました。

難病相談支援センターは高知市内に設置することを予定していますが、月1回程度、県内各地への出張相談を行い、療養生活上の不安や心配事への相談をお受けすることにしています。

しかし、そうした活動だけでは適時の相談にはなりませんので、これまでと同様、患者さんがお住まいの地域での身近な相談場所として、福祉保健所において引き続き相談をお受けします。

こうした地域での相談活動に加え、福祉保健所では、医療機関や介護サービス事業所、障害福祉関係機関などと連携し、地域における難病患者さんへの適切な支援が充実できるよう、支援機関のネットワークの構築にも取り組んでまいります。

 

●塚地県議

昨年の2月県議会の予算委員会で、本年4月の開設を明言していただき、着実に実現にこぎつけていただいたことに感謝するものですが、本来なら県が直営ででも設置すべきもので、委託先や患者団体の負担に寄りかかるものであってはなりません。

患者さんや家族にとって本当に喜ばれるセンターとしてスタートできることを目指す部長の決意をお聞かせください。

 

■健康政策部長

最後に、センター設立への決意についてお尋ねがありました。

難病の患者さんや御家族の多くの方に、まずは気軽に相談していただけるセンターとなることが重要と考えています。そのため、相談されたお一人お一人に対して、少しでも不安の軽減や心配事の解消につながるようきめ細かに対応していくことが基本となります。また、患者さん同士が集まり、悩みなどを共有することで、地域で少しでも充実した生活を送っていただけるよう、皆さんに足を運んでいただけるセンターを目指します。

先月、本県において全国の難病相談支援センターが集まる研究大会が開催され、ネットワークが一定築けましたし、活動報告もお聞きしましたので、できることから取り入れながら、皆様の期待に応えられるよう、開所に向けた準備を精いっぱい進めてまいります。委託先は、当事者でもある患者団体を予定していますので、利用者の立場に立った相談や事業を展開していただけるものと期待していますが、県としても他県の先進的な活動に学びながら、喜ばれるセンターとなるよう、ともに取り組んでまいります。

 

 

【小中学校統廃合】

●塚地県議

次に、教育行政について伺います。

1月27日に文部科学省は、 「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引の策定について」を各都道府県教育長、知事などに通知しました。

1956年にも、12から18学級を標準とし、それに満たない学校を機械的に統合させてきましたが、国民の反対の声に押され、1973年、文部省は、無理な学校統合をしないこと、小規模校でもそのまま充実させることが望ましい場合もあるとした新たな通知を出しました。仮に統合する場合でも、通学距離など子供たちに与える影響を考慮し、地域住民の合意を得ることなどを強調し、それまでの統合姿勢を修正し今に至っています。

今回の文科省手引は、これら従前の通知を破棄し、6学級以下の小学校や3学級以下の中学校での速やかな学校統廃合を検討するよう市町村に促すものとなっています。また、これまでは、徒歩や自転車通学を念頭に、小学校で4キロメートル以内、中学校で6キロメートル以内としてきた通学距離についても、スクールバスなど交通機関の利用を含め通学時間はおおむね1時間とし、一層の遠距離通学を推し進めるものとなっています。

この11年間で、高知県内の市町村では急速に統廃合が進みました。小学校が1校だけしかない町村は既に10町村にも達しています。これ以上の統合は、地域から、自治体から学校がなくなり、地域崩壊を決定づけるものとなります。

ゆえに今、全小学校196校のうち4割近くの76校が標準に達していない学級数であっても、県内の各自治体は統合をすることなく複式学級として残し、地域の暮らしを支える役割を担わせています。

県内市町村が小中学校それぞれを手引どおりに統合すると本県の学校数はどうなるのか、学校が消える自治体が出現するのか、そしてそのような統合シミュレーションを前に県として今回の手引にどう向き合うのか、各市町村に対し責任ある姿勢を明確に示すべきだと考えるものですが、教育長にお伺いをいたします。

 

■教育長

小中学校の統廃合に関し、まず、国が作成した公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引について、示された基準に沿って統合を進めた場合に本県の学校数などはどうなるのか、またこの手引にどのように向き合うのかとのお尋ねがございました。

法令上の小中学校の標準的規模はどちらも12学級以上18学級以下と定められており、本県においてこの標準に合致している学校は、平成26年度、小学校で196校中32校、中学校で108校中10校しかありません。なお、小学校では、標準を超える大規模校がこれ以外に10校ございます。

一方、今回示された手引は、この標準を下回る場合に市町村が学校規模のあり方などを検討する際の大まかな目安を学級数を中心に整理したものであり、国として一律の基準等を設けて統合を進める趣旨のものではありません。したがって、地域の実情によっては、小規模校であっても学校を存続させていくことを想定しております。

また、統合によって学校規模の適正化を図っていくのか、あるいはさまざまな工夫を凝らして学校を維持していくのかについては、市町村において主体的に判断するべきものであり、また統合するにしてもさまざまなバリエーションが考えられますので、この手引に沿って統合すればどうなるかについて一律に申し上げることは困難でございます。

ただ、子供たちが発達段階に応じ、充実した教育内容のもと、友人と切磋琢磨しながら学び社会性を身につけることのできる適正な学級規模の維持は重要であり、一方で、地域の事情で困難な場合には、小規模校のデメリットを最小化しメリットを最大化する方策を計画的に講ずることが求められます。こうしたことから県教育委員会といたしましては、各市町村において、今回の手引をもとに改めて地域の実情を踏まえた適正な学校規模や配置のあり方を検討するとともに、小規模校として存続させる学校についての教育環境の改善についてもあわせて検討いただくよう働きかけてまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

文部科学省は昨年5月に、全国の都道府県・市区町村教育委員会を対象に、学校統廃合を進めることを前提とした調査を実施しています。

学校配置の適正化に関して国に望む支援で、市区町村が最も多く望んでいる回答は、 「教職員定数の加配措置による支援」が77%で一番多く、次いで68%が「施設整備への補助」です。都道府県が国に望む支援も、 「教職員定数の加配措置による支援」を47全ての都道府県が望んでいます。次いで、 「施設整備への補助」が81%、それとほぼ同じ率で、 「統合が困難な小規模校等への支援の充実」が並んでいます。 「学校規模適正化の適否を検討する際に参考となる資料の提供」は要望の5番目と、低いものになっています。

文科省の調査から明らかなことは、自治体は統合させないで存続させるための国の支援を求めているということです。

本県はこの調査にどう回答されたのか、また調査結果をどう評価、分析されているのか、教育長にお聞きをいたします。

 

■教育長

次に、国の、学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査に本県はどのように回答したのか、また調査結果をどう評価し分析しているのかとのお尋ねがございました。

今回の調査は、少子化、人口減少が進む中で、学校規模の適正化や小規模校における教育の活性化に向けた施策を検討するために実施されたものと受けとめております。こうした認識のもとに、本県としては、学校規模の適正化等について国からどのような支援を望むのかという問いに対して、市町村の御意見も参考に、学校統合の適否を検討する際に参考となる資料の提供、統合を進める場合の教職員定数の加配措置による支援、施設整備やスクールバス等購入費用への補助、統合が困難な小規模校等への支援の充実など7項目を回答しております。

今回の調査結果では、回答した1,753市区町村のうち、おおむね適正と回答した自治体は17%にとどまっております。そして、53%の自治体が、全体として必ずしも適正規模になっていない、あるいは一部地域に過小規模の学校があると回答しており、学校規模の適正化について多くの自治体が課題を認識しているということが明らかになっております。一方で、小規模だが統合困難と回答した市町村も20%に上っております。

そして、都道府県に望む支援としては、激変緩和のための人事面での措置とともに、指針や手引等参考となる考え方の提示といった意見も多く寄せられております。こうしたことから、統合あるいは小規模校での存続、いずれの選択を行う場合にも、県教育委員会といたしましては、学校設置者である市町村の主体的な判断を尊重しつつ、それぞれの地域で子供たちを健やかに育んでいくための、より望ましい教育環境が実現できるようできる限りの助言や支援を行ってまいりたいと考えております。

 

●塚地県議

手引は、調査結果を気にしてか、 「教育の機会均等を確保する観点からまず検討しなければならないのは、小規模であることのメリットを最大限に生かし、児童生徒への教育を充実させる方策」だと、入り口では小規模校を尊重するような記述をしておきながら、出口では、クラスがえができない、多様な意見に触れられないと、集団活動の制約を殊さら強調し、小学校で12学級以上、中学校で9学級以上が望ましいと、統廃合を求めています。

一方で、手引では、過大、過密の学校については、大規模校であることの課題を示しつつも、是正についてはほとんど触れられていません。その背景には、教育再生実行会議の第5次提言での、統廃合によって生じた財源の活用等によって教育環境の充実に充てよと述べていることがあると考えられます。

また、学校統廃合は財務省が強く求めてきたことでもあります。全ての学校が12学級以上になれば、全国で5,462校が削減でき、小学校だけで1万8,000人の教職員を減らせると試算、300億円以上の予算削減につながるとしています。

今回の手引は、この第5次提言の趣旨と財務省の要望に沿うように、学校規模の適正化の名のもと統廃合を進め、教職員削減と教育予算削減を図る側面、狙いがあることを見逃すわけにはいきません。

小規模校は、子供たちに目が行き届き、きめ細かな指導ができることや、保護者や地域と連携をした教育活動がしやすいなど、十分な教育活動が行われているメリットがあり、それに引かれ、小規模校を希望し通学させる保護者もあらわれています。また、学校は教育施設というだけでなく、文化・スポーツ、防災の拠点など、地域にとって多様な側面があります。学級数や通学時間などの基準に照らし統廃合を機械的に進めることは、地域から多面的な学校の役割が消え、地域の文化やコミュニティーの拠点を奪うことになり、地域の衰退にもつながります。

知事は本議会知事説明で、中山間地域対策について、地方創生のモデルとなった集落活動センターの運営に触れ、人々が地域で自立して生活していける本当の意味での地方創生となるよう全力で支援すると強調されています。

であるなら、知事は今回の手引をどう捉えておられるか、本県にとって本当の意味での地方創生となる学校のあり方をどうお考えか、お聞きをいたします。

 

■知事

次に、学校統合に関して、今回の手引をどう捉えているのか、また本県にとって本当の意味での地方創生となる学校のあり方をどう考えているのかとのお尋ねがございました。

次代を担う子供たちが健やかに成長しこれからの社会を生き抜くためには、よりよい教育環境のもとに知・徳・体の調和のとれた生きる力を確実に育んでいくことが大切であります。そのためにも、子供たちが発達段階に応じた充実した教育内容のもと、友人と切磋琢磨しながら学び社会性を身につけることのできる適正な学校規模を維持していくことは重要なことだと考えます。

一方で、人口減少が進む中山間地域においては、地域で学ぶ機会を維持・確保していく観点から、学校が存在することもまた極めて重要であります。また、小中学校をなくすことはその地域の文化拠点を閉じることであり、また若い世代が地域に住んで子育てをする拠点を失うことでもあり、人口流出をさらに加速させ、結果、地方創生のきっかけそのものが失われてしまうことにつながります。

そのため、学校の統廃合を考える際には、学校規模の適正化とともに、地域の活性化、存続とのバランスをも考えることが大事であります。そういったことを踏まえて、地域の実情に応じた学校のあり方について、それぞれの市町村でも十分に議論を重ねていただくことが必要だと思います。こうした考え方について、私自身、教育再生実行会議の場で総理に対して発言もさせていただいたところであります。

今回の手引につきましては、学校規模の適正化を考える際の視点等とともに、小規模校を存続させる場合の支援についてもきめ細やかな対応策が示された内容となっておりまして、少子化が進む地域においてこれからの学校はどうあるべきか、これを考える上で参考となるものと考えております。

 

 

【米軍機の低空飛行訓練】

●塚地県議

最後に、米軍機の低空飛行訓練について伺います。

昨年末からこの2月にかけ、米軍機による低空飛行訓練が嶺北、香美市物部町上空で頻繁に繰り返されています。県の危機管理部に寄せられた情報だけでも、昨年12月に22回、1月には13回21機、2月にも17日までに13回25機が飛来、2月11日の祝日にも本山町市街地上空を超低空で飛行、本山町役場屋上に設置された騒音測定器には、電車が通過するガード下の音量に例えられる98.5デシベルを観測、さらに1月13日には、これまで目撃情報のなかった越知町横畠小学校上空でも超低空で機体が飛行、高知市葛島や朝倉、また、いの町川内保育所、小学校上空でも目撃をされており、訓練域が大きく広がっています。

昨年12月15日、香美市物部町大西地区に移住をされてきた西熊さんがスマートフォンで捉えた映像がネット上に公開され、12万回を超えるアクセスで、この実態が全国に発信され、大きな反響を呼んでいます。狭い谷合いを超低空で暴力的な爆音で飛び去り、その状況におびえて泣き叫ぶ西熊さんの3歳になる子供さんの姿も映し出されています。

知事もこの映像をごらんになったと思いますが、まずこの映像をごらんになった感想をお伺いいたします。

 

■知事

次に、米軍機の低空飛行訓練に関して、香美市の住民の方が撮影した映像を見た感想についてお尋ねがございました。

私はこれまでに、実際にも他の映像でも米軍機の低空飛行訓練を見たことがありますが、今回の映像を見て、スピードといい音といい大変な迫力で飛んでくるものだと思いました。映像の終盤でお子さんが泣いているのを非常にかわいそうに思いましたし、改めて本県の負っている負担の大きさを感じたところであります。

 

●塚地県議

この映像を1秒間に30こまの写真に落とし、新聞紙上でも報道されました。地元紙にも大きく報道されましたので、ごらんになった方も多いと思います。

私たちは、この映像をもとに、どのような高度でどのような飛行ルートをたどったのかを明らかにするため、低空飛行解析センターに現地調査を依頼し、解析を行っていただきました。

その結果、米軍機は機影からEA―18Gグラウラーと見られ、距離は画面の大きさから算出、機体の位置、仰角と方位角は画像中の樹頂部分、木のてっぺんなどの現地での測量数値との比較で割り出し、飛行コース図を描いています。報告書を引用します。 「撮影場所は、米軍の低空飛行訓練ルート「オレンジ」の7ポイントのひとつ、 「綱附森」から南南西へ約5.5㎞。1,000m級の山にはさまれた谷は直線で約10㎞になる。米軍機の動画は約7.7秒間で、画像230枚が得られた。カメラとの最短距離は約240m、水平距離は約200mだった。機体を右へ約50°傾けて、北東から南西へ向けて大きく右旋回した。映像記録の区間は約2,000mであり、秒速約260m(マッハ0.8)の亜音速だったとみられる。米軍機は標高500m前後、対地高度で200mあまりを飛行し、上韮生川にそうように、五王堂発電所の送水管の約200m上空を通過したとみられる。近くには緊急用のヘリポート「五王堂」もある」とされています。

1999年の日米合同委員会では、航空法を守ることとあわせて、 「在日米軍は、低空飛行訓練が日本の地元住民に与える影響を最小限にする」などとしていますが、予告もなく低空で飛行して住民に恐怖を与えています。大人でも身の危険を感じるもので、子供にとっては恐怖以外の何物でもありません。高知県の山間地で繰り返されている危険きわまりない米軍機による低空飛行訓練を中止させる取り組みの抜本的強化が求められています。

この映像を撮ることができたのは偶然ではなく、この間、どのような飛行ルートで飛来しているかが監視団体により明らかにされてきました。厚木基地を飛び立った米軍機が和歌山県串本町上空を通過、その後、徳島県牟岐町上空を通過します。その後、物部上空に達するまでの時間が5分から10分後。それぞれの地点で目撃した情報が今回撮影をした西熊さんのところに寄せられ、撮影機を準備して捉えたものです。こうした情報を駆使すれば、飛行訓練の実態把握が可能となります。

私たちはたびたび、被害自治体の連携を強め実態把握を行うよう求めてきましたが、県としてのこれまでの取り組みと、今後さらなる連携をどのように図っていかれるのか、危機管理部長に伺います。

 

■危機管理部長

米軍機の低空飛行訓練に関して、まず他の自治体と連携した実態把握に係る県のこれまでの取り組みと今後の連携についてのお尋ねがございました。

県民の皆様からいただいた情報については、事実関係と住民生活への影響の実態をあわせて中国四国防衛局を通じて米軍に伝えていますが、米軍に住民生活への影響を客観的で確定した数値として示すためには、映像による飛行の状況を伝えるというよりも、オレンジルート上の各市町村と連携して現在も取り組んでいる騒音の測定と記録が有効だと考えています。

仮にお話のように映像による記録を行うとなると、目撃されてから情報を順次伝達し撮影するまでを短時間で行うことが可能なのかという点や、そのために相当の人員やコストがかかるという点で、実現は難しいのではないかと思っております。他方、近隣県との連携ということであれば、先ほど知事から申し上げましたように、四国知事会などで連携して、住民の方々に不安を抱かせるような低空飛行訓練の中止を求める要請を行っておりますし、今後も続けてまいります。

 

●塚地県議

県としてもこの間、飛行実態把握に努力され、低空飛行の爆音調査のため騒音測定器の設置箇所をふやし、5カ所に設置をしています。その結果、大豊町や大川村、本山町では100デシベルを超える爆音がたびたび記録をされています。

しかし、今回撮影された物部町大西地区では測定器がないため、調査することができていません。大西地区では、西熊さんが目撃しただけでも、ことしに入り十数回に上っています。飛行ルートを縦横無尽に切りかえ、訓練が繰り返されています。

頻繁に目撃されるようになった人家で測定ができる移動式の測定器も導入する必要があると思いますが、危機管理部長に伺います。

 

■危機管理部長

次に、移動式測定器を導入する必要性についてのお尋ねがございました。

先ほど申し上げましたように、県では、低空飛行訓練が住民生活に与える影響を客観的、確定的な数字として把握し記録しているほうが米軍に対して訴える説得力を増し、有効性が高いと考え、オレンジルート上で目撃情報が多い嶺北地域の4町村と香美市、合計5台の測定器を設置し測定を行っています。騒音測定器の設置場所については、低空飛行訓練が頻繁に目撃されること、県への報告がすぐに可能なこと、責任を持って機器が管理できることといった条件を満たす必要があり、市町村役場または支所としています。

お話のあった香美市物部町大西での飛行は、騒音は測定されていないものの、騒音測定器を設置している本山町、土佐町、大川村の飛行情報と一連のものであると判断できるため、この中の最大騒音である103.8デシベルというデータを付して中国四国防衛局に情報提供しています。

測定には市町村の協力が不可欠ですので、当面、現在の体制で測定を行っていきたいと考えております。

 

●塚地県議

県は今回の映像を入手した直後、映像を防衛省に送り抗議の意思を示されたことは大いに評価するものです。

その後、政府から抗議に対する回答は寄せられたのか、寄せられていればどのようなものか、伺います。

 

■危機管理部長

次に、香美市物部町で撮影された映像に関する国からの回答についてのお尋ねがございました。

12月22日に提供いただいた映像は、その日のうちに中国四国防衛局に送付し、事実関係とあわせて住民生活への影響の実態を訴えております。これに対して、12月24日、中国四国防衛局を通じて米軍から、映像に映っている機体は米軍機であるとの回答がございました。

 

●塚地県議

本県では既に2度にわたる米軍機の墜落事故が発生をしています。決して繰り返させてはなりません。今回の解析でも、飛行ルートのわずか350メートルのところには緊急用のヘリポートが設置されています。オレンジルート下にもヘリポートがあります。いつどこから飛来するかの通告もなく行われる低空飛行訓練は、こうしたヘリとの衝突事故がいつ起きてもおかしくない状況が続いています。

その危険性について危機管理部長はどのような認識か、お伺いをいたします。

 

■危機管理部長

次に、低空飛行訓練の危険性についてお尋ねがございました。

低空飛行訓練が行われている嶺北地域と香美市物部町で消防防災ヘリやドクターヘリがヘリポートを使用した回数は、今年度は1月までの10カ月間で42回でした。飛行ルートや時間の告知もなく行われる高速の低空飛行は、この地域で活動する消防防災ヘリなどの航行上、危険があるのではないかと考えています。実際に平成23年11月には、消防防災ヘリの訓練と同時間帯に3機の米軍機が飛来する姿が目撃された事例があります。

現在、南海トラフ地震対策でヘリポートの整備を促進していますので、米軍にこれらのヘリポートの位置情報を提供していくことで危険を回避する努力をしていきたいと考えていますし、あわせて訓練実施前の飛行に関する情報の提供も求めてまいります。

 

●塚地県議

今、県を挙げて中山間地域の振興に力を注ぎ、移住促進の努力の中で移り住んでくださった方々が、地域おこしに懸命に取り組んでおられます。今回撮影をされた西熊さんも、また本山町に東京から移住され被害に遭っている方も、これでは平穏な暮らしができないと怒りの声を上げていますが、一向におさまらない低空飛行訓練の状況に悲嘆し、県政への不信にもつながっています。

移住をされてきた方を初め被害を受けている県民を励ます県としてのアプローチも必要だと考えますが、どのように対応をされるか、知事にお伺いをいたします。

 

■知事

次に、低空飛行訓練の被害に遭っている住民の方々への対応についてお尋ねがございました。

県民の皆様から市町村に提供された米軍機の低空飛行訓練に関する情報につきましては、これまで県が情報を集約し、中国四国防衛局を通じて米軍当局に伝え、事実関係の確認を行っております。また、窓ガラスが振動した、子供が泣き叫んだといった住民生活への影響の実態も把握し、あわせて訴えてきたところであります。

今回の香美市の件につきましては、香美市の職員の方が情報提供をしていただいた住民の方の不安の声をお聞きするとともに、このように情報を伝えたプロセスや、防衛省、外務省を通じて米側に要請を行っている点等につきまして丁寧に説明を行っていただいたと伺っております。

県民の皆様に低空飛行訓練の実態やこれに対する県の取り組みをしっかりとお伝えすることは重要だと思います。今後、低空飛行に関する状況やこれまでの国への中止要請の内容等を県のホームページに掲載していきたいと考えております。

 

●塚地県議

さて、2月22日付高知新聞に、米海軍の戦闘機FA18Eスーパーホーネットの操縦席から撮影したと見られる画像が2月16日、インターネット上にアップされていることが報道されました。画像には、オレンジルート上での撮影との説明がついており、写真の眼下に見える地形は土佐郡大川村下小南川の吉野川にかかる小金滝橋付近と酷似していると指摘しています。

また、その記事の中では、米軍監視団体リムピースの頼和太郎編集長の、FA18Eスーパーホーネットは単座、1人乗りで、操縦しながら自分で撮影していると思われるとのコメントも紹介、訓練中に危険な行為を行っていたのではないかとの不安が県民の中に広がっています。撮影日時などは記されていませんが、看過できるものではありません。

県として米軍への調査依頼と抗議を行うべきだと考えますが、危機管理部長に対応を伺います。

 

■危機管理部長

次に、米軍機の操縦席から撮影したと見られる映像について、県として米軍への調査依頼と抗議を行うべきではないかとのお尋ねがございました。

県ではこの画像について、米軍機から撮影されたものなのか、どのようにして撮影しているのか、飛行中に写真を撮る行為は危険ではないのかといった点について防衛省と外務省に確認を行いました。その結果、防衛省からは、 「米軍の運用にかかわることなので回答できない」 、外務省からは、 「日米地位協定の範疇になく、米軍内部の操縦ルールの問題である」との回答でした。そのため、複数の自衛隊関係者に御意見をお聞きしましたところ、必ずしも危険な行為とは言えないということでございました。

こうしたことから、この件についてはこれ以上の対応は考えておりませんが、いずれにしましても低空飛行訓練が続いている状況でありますので、県民生活に大きな影響のある訓練の抑制に、今まで申し上げた取り組みをしっかりと継続してまいります。

 

●塚地県議

県はこれまでも知事を先頭に、低空飛行訓練の中止を国に求めてこられましたが、今日の事態を受け、地元出身の防衛大臣にも直訴する取り組みも必要だと考えますが、低空飛行訓練中止を求める知事の決意も含めどのように対応されるか、お伺いをいたしまして、私の第1問といたします。

 

■知事

最後に、訓練中止を求める私の決意と国への対応についてお尋ねがございました。

嶺北地域での米軍機の低空飛行訓練は、昨年は例年に比べてかなり頻度が少なく推移しておりましたが、お話にありましたように、昨年12月に入って以降、頻繁に確認されるようになっております。こうした訓練に対しては、先ほど申し上げたように中国四国防衛局を通じて実態を訴えておりますし、四国知事会としても、国民に不安や懸念を抱かせるような低空飛行訓練の中止を求めてまいりました。

今後とも米軍機の飛行訓練の動向を注視し、県民生活に大きな支障があるような訓練が繰り返される場合には、改めて訓練の中止について要請していきたいと考えているところであります。

 

 

【第二問】

●塚地県議

まず、知事の政治姿勢のTPPの問題について伺います。

知事はこの間も、県民生活を守るという立場で、TPPに関しては注視もしていく、必要な段階では声も上げていくということをおっしゃってこられました。きょうの先ほどの御答弁の中でも、国内からの強い声が交渉には後押しになるというふうにおっしゃられたわけです。交渉は既に大詰めの段階を迎えていまして、まさに今そうした声を上げるべきときを迎えているというふうに私は認識をしております。

米国のほうでは随分と交渉の情報も出されているような状況で、日本国民にはその情報もほとんど明らかにされていないというような状況になっております。そのことを踏まえて、やっぱり政府にしっかりとした情報公開をすることを直ちに求める、しかもその中で今必要な行動を知事が積極的に行うということの段階に私は来ていると思いますので、ぜひその点についての御答弁をお願いしたいと思います。

 

■知事

まず、TPPについてであります。

今、交渉の最終局面に来ているかもしれません。そこのところはまだわかりませんが、いずれにせよ予断を許さない状況であると、そのように思っています。

こういうときに、最近はもう余り国会決議を守るべきだとかという声がなくなったんで安易に妥協もしてもいいかなというような誤ったメッセージが政府関係者の中に蔓延してしまってはいけません。ですから、引き続きみんなこの点について懸念を持っていますよということをびしっと伝えることが大事だと、そのように思っております。ただちょっと今どういう枠組みでやることとするかについてはまだ検討中でありますけれども、この議場におられる多くの議員の方々からも心配するお声もお聞きしておるところでございますから、そういうお声も踏まえながら、我々としてしっかり、こういう点は懸念をしている、こういうところはしっかり交渉してもらいたいという地方の声を東京に、中央に上げていきたいなと、そのように思っておるところであります。

 

●塚地県議

子育て支援の問題です。

先ほど知事は、私どもが求め続けてきた中学校までの医療費の無料化について、どこもやり始めたんで、もうそれでは財源の振りかえになっちゃうんでという御答弁でございました。かつて私たちが中学校までの医療費の無料化ということを求めてきたときには、それはなかなか市町村にも負担になっちゃうんで、県としてそういう年齢の引き上げは難しいよというようなお話がありました。どこもの市町村が始めると、今度は市町村がやっているので県はやらなくてもいいんだよというお話になっていて、これは結局県としては中学校卒業までの医療費の無料化の看板は掲げずに済むのかなあという、ちょっと不安な思いを持っております。

知事も先ほどお話しになりました、知事会のほうで出しました緊急の政策提言の中でも、子育て支援で何が必要か、少子化対策で何が必要かというときに、やっぱり子育てと教育にかかわる費用負担が問題なんだという問題点を2番目に上げられておりますね。ここが私は子育て支援、子育て一番の高知県というふうに表明できる大事なポイントなんじゃないかというふうに思っているんです。その立場からするとやっぱり、もう既に各県が始めている中学校卒業までという看板を高知県も掲げて、やっぱり子育てを応援しているんだよということをしっかり示していく姿というのが、私は大事じゃないかと思うんです。そういう立場で再度御検討をいただけないかということ。

そして先ほど、財源の振りかえになってしまうんでという御答弁でしたけれども、それでも私はいいと思うんです。先ほど幾つかるる述べましたけれど、各市町村では既に給付型の奨学金を始めているところがある、教育費や給食費の軽減のために独自の補助をしているところがある、そういう状況のところに中学校給食を県が補助することによって、また今回つくられました総合の補助金で活用ができていて、さらに市町村の子育て支援が豊かになればいいわけなんで。そこは財源の振りかえになることは何らやぶさかでなく、高知県がそういう看板を掲げたんだよというアピール力が私はいいと思うんで、ぜひその点をお答えいただきたいと思います。

 

■知事

2点目についてでありますけれども、医療費の無料化の問題でございますが、現実問題として、全てじゃありませんけれど、32の市町村で中学校までの医療費の無料化の取り組みが行われるわけですね。これに対して県がこれから新たに取り組みをするといいましても、財源の振りかえになるにすぎないことは確かなのであります。結果として、施策自体が拡大をするということにはならないわけであります。その分のお金でもって我々県として子育て支援のための施策が拡充するような新しい取り組みを行っていきたいと、そのように思っておるところです。

平成27年度の予算においても、新しい子育て支援のための取り組みなどを盛り込まさせていただいているところでありまして、その中でも最たるものとして、このたびいわゆる貧困対策ですね、こちらについての取り組みを大幅に拡充することといたしております。

経済状況にかかわらずしっかりと教育を受けることができて、貧困の世代間連鎖というものを断ち切ることができるように、小学校、中学校、そしてまた高校においても放課後しっかりと学習ができるようにするための対策、そのための指導者を確保するための予算、例えばそういうものを新たに確保することとしたりとか、新たにの部分もあれば大幅に拡充したという部分もあります。そういうことを行うこととしたりとか、我々として子育て支援のためにやっていくべきことというのは非常にたくさんのことがあると思っていまして、でき得れば我々といたしましては今ある限られた財源の中でその財源のやりくりをうまく、県と市町村との役割分担も踏まえ、もっと言えば国との役割分担もしっかり踏まえていきながら、施策として子育て支援がしやすくなる環境となるよう、新たな取り組みが追加されていくように、そういう方向で行きたいと、そういう考えで御答弁申し上げたものであります。

ちなみに1つだけ、子育て支援ナンバーワン宣言をするということについてなんですが、私は少子化の問題というのは日本国全体の問題だと思っておりまして、子育て支援ナンバーワンぐらいの気持ちでやりたいのは確かですが、全国各県がそれぞれみんな子育て支援のための取り組みを今よりもっともっと充実させていって、子育てがしやすい国日本になることが大事だと思っておりまして、高知県はほかの県よりもすぐれていますというよりも、みんなでぜひ子育て支援の体制を充実しましょうという方向で行かせていただきたいものだなと思っています。

私、全国知事会のプロジェクトチームリーダーでもありますから、取りまとめをする役目でもありますので、他の県と張り合うというより、みんなで一緒に子育て支援を充実していきましょうと、そういう方向で行かせていただきたいと、そのように思っています。ナンバーワンを宣言したらどうかという御質問に対してはっきりお答えしませんでしたが、大変失礼いたしましたけれども、私の気持ちというのはそういうものであります。

 

●塚地県議

危機管理部長に、済いません、お伺いをさせていただきます。

先ほど御答弁の中で出されました香美市物部町大西での映像を送られた後の米軍の反応が、それは米軍機だというもんだったというのが、先ほど私の聞き間違いかと思うような御答弁だったと思うんですけれど、そのことに対して県として何かアプローチはされたのかということを再度伺っておきたいと思います。

そして、私はやっぱり都道府県レベルの飛行ルートを確定するということがすごく大事だと思うんで、この間の連携をさらに強めていただいて、各都道府県で持っているデータを寄せ集めていただく、高知県だけでなくてですね。それで、全国でどういう飛来状況なのかということをぜひともデータを突き合わせてつくっていただいて、それを力にやっぱりさらに押し戻していただいて中止の方向に追い込んでいただきたいと、そういう対応をぜひとっていただきたいと思いますが、以上、2問とさせていただきます。

 

■危機管理部長

まず、物部町での送った映像につきまして米軍からの回答ということでございますが、やはり防衛省、米軍に対しまして住民の被害の実態ということをとにかくいろんなケース、いろんな場合で言い続けていくことが私は大事だと思っております。たまたま確かに今回は、米軍機であったという回答しか返ってきておりませんが、こういうことを映像であれ音であれとにかく言い続けていくことだと思っております。それが重要だと思っております。

それから、飛行ルートのデータを各県で連携して取り組めということでございます。これにつきましては、オレンジルート上の他県におきましても本県と同様に市町村を通じて目撃情報を収集されております。しかし、騒音データというところに限って見てみますと、騒音を測定してデータを収集しておるのは本県と徳島県だけということになってございます。それから、目撃情報の数にもかなり差がありますことも事実でございます。そういったことから、各県によりましてちょっと取り組みに温度差もあるようなイメージも持っております。ですから、まず各県の考え方をお聞きし、話し合いはしてみたいというふうに思っております。

 

 

【第三問】

●塚地県議

それぞれ御答弁ありがとうございました。

TPPは、ぴしっとぜひお願いしたいというふうに思います。

やっぱり中学校の医療費の無料化は、残り2つが高知県の子供たちの割と多くを占めているパーセントになっているわけです。ここがやるかどうかというのは、一つの高知県全体の中学校のお医者代の無料化に、子供たちが本当にその施策を受けるかどうかということになるわけです。その点から考えて、やっぱり県が持つイニシアチブというのは、私は大きいというふうに思っていますので、さらにこれは引き続き御検討をぜひいただきたいというふうに思います。

最後に、低空飛行訓練の問題ですけれども、まず私は、高知は本当に積極的に測定器も5台にふやし、交渉も行い、要望も行いということで積極的役割を果たしているというふうにも思っていますが、それでもまだとまらないという現実があるわけです。先ほど映像の感想もいただいたような実態が高知県の中山間地で起きているわけです。何をしてどのようにしたらこれを中止させることができるのかということの、

やっぱり真剣な取り組みが求められていると。知事も、これまでの延長線ではこれはとまらないんだなということはもう実感されていると思うんで、そこは改めて私は地元の防衛大臣にも直接伺ってはどうかということも述べましたので、そのことも含めて最後に知事の御答弁を伺って、私の一切の質問といたします。ありがとうございました。

 

■知事

地元の選出の防衛大臣に訴えるかどうか、それも一つの手かもしれませんが、やはり今、中国四国防衛局も私どもの印象では非常に誠意を持って御対応いただいておりますので、やはり組織として、組織と組織との間で信頼関係を持って取り組んでいくことが先々に向けても一番効果的な対応ではないかと思っています。やはり先ほど危機管理部長からも御答弁いたしましたように、しっかりと訴え続けていくことが大事だと思っています。そしてその際には、どういう実態なのかということをしっかりわかりやすい形でお伝えしていく、そういうことが大事だと、そのように思っています。

ここにデータがありますけれども、平成25年5月に、余りにも低空飛行訓練が大変で地元の負担になっているじゃないですかということを中国四国防衛局を通じまして米軍側に訴えました。するとどうなったか。1月から5月までの間、低空飛行訓練は68回行われておりましたけれども、それから6月以降、いわゆる申し入れを行って以降というのは18回という形で激減をしています。このとき、特に夜間の飛行についてお訴えをしました。1月から5月まで、要望前は夜間14回でしたけれども、要望してからは夜間2回だけになっています。もっと言うと、平成26年36回の飛行、86回だったものから36回まで回数が減り、夜間の訓練はゼロ回という形になっています。やはり、その実情をしっかり訴えていくことでもって一定我々の思いというのは通じるものだなと思っています。

ただし、まだまだ足りないところがあります。お子さんが泣くようなことはやめてほしいということを従前から訴えています。そのことをわかりやすく今後もお伝えしていくことで配慮を求めていきたいと、そのように考えているところです。