議会報告

  • 2014年12月24日
    小学校1年生の35人学級の維持、拡充を求める意見書への賛成討論 塚地佐智県議(2014.12.24)

 私は日本共産党を代表し、ただいま議題となっています、議発第7号小学校1年生の35人学級の維持、拡充を求める意見書議案に、賛成の立場から討論を行います。

 財務省が、現在行われている公立小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すよう文部科学省に求める方針を財政制度等審議会に示しました。これに対し、各方面から強い批判の声が上がっています。

 財務省の動きを受けて、下村博文文部科学大臣は、11月4日の記者会見で「これは到底容認するわけにはいきません」「財政上の問題だけで教育論をするということは、将来を誤る政策になってくる」と厳しく指摘し、その理由として、学校環境を取り巻く状況が「かつてに比べると非常に世の中が高度化・複雑化してきて、一方で、社会・家庭における教育力が低下をしてきている中で、学校教育の果たす役割が大変大きくなってきている」こと、「学校現場においても、発達障害の問題等、多様な教育をいろいろと導入しなければならない問題」があること、「日本の教員は世界で最も忙しい」中で「一人一人の子供と向き合う時間ということを考えれば、より少人数の方が教育的な成果・効果が上がるというのは、これまでも実証されている」と述べ、さらに、「教育力そのものが国力につながってくる」と説明しています。

 また、今議会の本会議において、尾崎知事は「教育は息の長い取り組みであり、たかだか1~2年の、しかも限られたデータのみをもって、効果をうんぬんするのは、いささか乱暴ではないか」「これからの社会を見た時に思考力や判断力、そして表現力を育成することが重視されなければなりません。そのような力を育成する教育を進めようとした場合に、よりきめの細かい、一人一人の進度に応じた教育を展開していくことこそ重要であると考えます。これからの教育をどうあるべきか考えれば、1学級当たりの人数は減らす方向にベクトルを向けるべきであると考えておりまして、私自身、文部科学大臣との意見交換会においても、こうした考え方を強く訴えてきたところであります。また、全国知事会におきましても、少人数学級の充実について国に対して求めているところでありまして、今後も、国の動向を注視しながら、あらゆる機会を通じて少人数学級の継続や充実を訴えてまいります」と答弁をされています。

 少人数学級の効果と必要性については、本県の取り組みによっても証明をされています。田村教育長は本議会で、「きめ細かな指導が可能になり、学力の向上や心の安定が図られる」との声や、「子ども個々の状況にも対応でき、小1プロブレムの解消にも有効との声も寄せられております」と述べられるとともに、「これからの時代に求められる、自ら課題を見つけ、自ら学び、考え、主体的に判断し、問題をよりよく解決していく資質や能力を育むためには、教員が一方的に教え込むだけではなく、子どもたち自身に考えさせる場面や、他者と協働するグループ学習などを授業の中に適切に設ける必要があり、教員には、これまで以上に一人一人の児童生徒の状況を把握し、個に応じたきめ細かな教育を実施することが求められております」と答弁もされています。

 教員定数の改善、少人数学級の推進の必要性は、各種の調査からも明らかです。

 全日本教職員組合が、昨年10月に発表した「勤務実態調査2012」は、全国39都道府県、6,879人から寄せられた調査結果をまとめたものですが、1ヵ月の平均時間外勤務時間は72時間56分、持ち帰り仕事時間は22時間36分で、実に回答者の54%が過労死ライン、31%が過労死警戒ラインで働いていることを明らかにしています。まさに文科大臣が言う「日本の教員は世界で最も忙しい」状況です。一番やりたい授業準備や子どもとむきあう時間がとれないのが全国的な現場の実態です。

 同調査は、その中でも、小学校の時間外勤務時間は、学級規模とともに増大していること、「25人以下学級」においては、時間外勤務時間が大きく減る傾向にあることが示されており、少人数学級の推進は、教育条件の改善にとってきわめて重要な課題であることを示しています。

では日本の教育予算は、他国並みに努力をしているのでしょうか。

 OECDの「図表でみる教育2010、日本に関するサマリー」では、「日本の平均学級規模はOECD 諸国と比べて大きい。」ことを明らかにしています。 日本における平均学級規模は、初等教育段階で 1 クラス28.1 人と、OECD 平均である21.6 人を上回り、OECD 加盟国の中ではチリ、韓国に次ぐ水準です。2008 年において比較可能なデータのある31 カ国のうち、15 カ国で平均学級規模が20 人以下です。この点での遅れは大きなものがあります。日本の教員の法定勤務時間数は、初等教育段階で1,899 時間であり、OECD 平均1,659 時間を大きく上回っています。

 こうした深刻な事態に対し、多くの地方自治体が少人数学級を先行実施してきました。国が遅ればせながら2011年度から踏み出した少人数学級は、小学1年生だけで、2年生は、未実施自治体への加配という極めて貧弱なもので、 改善に力をつくすことこそが求められています。文科省の調査の結果でも保護者の8割、教職員の9割が30人以下学級を望んでいるという結果を見ても明らかです。

 2011年に施行された改正義務教育標準法は、政府は小2から中3までの35人学級を順次改定すること、そのための安定した財源の確保に努めることを付則に明記しています。

 日本の公財政教育支出は、GDP比でOECD諸国の中で5年連続最下位のままです。しかもOECD平均値との差はひらく一方で、2007年から2011年に、OECD平均値は4.8%から5.6%に、日本では3.3%から3.8%に留まっています。教育への財政支出を確保し、教育条件を改善することは世界の趨勢です。日本も計画的な教育予算増により、OECD平均値並の公財政教育支出を実現をすべきです。

 今議会には、先ほど不採択とされましたが、教育予算を増やし、30人学級を求める57000人を超える請願署名も提出をされています。子どもたちの成長と日本社会の未来を考えるなら、教育への予算の拡充と少人数学級へと進むべきです。

 本意見書は、教育関係者や保護者の願い、知事会や「1学級当たりの人数は減らす方向」で努力している尾崎県政の立場をも後押しするものであり、議員各位のご賛同を心よりお願いを申し上げて、私の賛成討論といたします。