議会報告

【質問項目】

1、知事の政治姿勢/消費税増税、TPP、自然エネルギー

2、小規模基本法

3、産業振興

4、内水面漁業での資源確保

5、国民健康保険

6、避難施設としての学校の整備

 

 

【知事の政治姿勢】

 

●岡本県議

知事の政治姿勢について3点伺います。一点目は消費税増税についてです。

安倍首相は、消費税10%は「先送り」したものの消費増税法の景気条項を削除して、景気に関係なく問答無用で実施すると述べました。

これは首相自身が「税率を上げても税収が増えないという事になっては元も子もない」として先送りした理由とまったく整合性がありません。

景気や国民の暮らしの状況を無視しても10%増税を実施する真の目的は、財界いいなりに法人税減税を実施する財源を確保する為である事は明瞭です。財界は日本の法人税は高すぎると言っていますが、日本の法人税が高いという主張は、政府自身が否定しています。

今年3月31日の政府税制調査会に、財務省が「企業負担の国際比較の中で、法人税負担の対GDP比」という資料を提出しています。「表面税率」では各国で課税ベースが違うために実態を現さないので、比較するにはGDP比で見るのが国際的な見方です。それによれば、日本は3.2%で、韓国3.5%、シンガポール3.9%より低く、中国3.2%と同じです。しかも、大企業が利益を増やしても、国民に還元されないことは1990年代半ばからの「構造改革」路線で実証済みです。

消費税増税に相前後して法人税減税が実施されてきた事実をみても、消費税が法人税減税のために使われた事実は明白です。

その事が確認できるのは、1990年からの25年間、法人3税が減税と景気悪化により、累計で255兆円減少しています。反対に消費税収は、1989年から26年間で282兆円とほぼ一致する数字となっています。今回もセットでの実施です。

景気に関係なく消費税増税10%を実施し、莫大な利益をあげている大企業にさらに減税するでは道理にかなわないと思うが知事にお伺いします。

 

■知事

景気に関係なく消費税10%増税を実施する一方で、莫大な利益を上げている大企業に法人税減税を実施するのは道理にかなわないのではないか、とのお尋ねがございました。

高知県のような地方では、時々の景気の良し悪しよりも、長期間に亘る人口減少による経済の縮みの方の影響が大きく、この構造的な問題は年を追うごとに悪化していくものでありますことから、抜本的な対策、すなわち、少子化対策、安定的な社会保障制度の確立、地方創生の推進などといった対策を早期に本格的に講ずる必要があります。

例えば、少子化対策として期待されております、子ども・子育て支援新制度には1兆円超かかることなどを踏まえれば、そのための財源確保をしっかりと図る必要があり、構造的な問題に対応するためにも、消費増税は飲まざるを得ない苦い薬だと思っているところであります。

また、法人税減税は、我が国の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることで、国内経済を活性化し、質の高い雇用機会を国内に確保することを目的として議論されており、雇用の創出、ひいては将来にわたって持続可能な社会の構築を目指す点において、消費増税とその方向感を一にするものと考えております。

加えて、来年度の税制改正の議論においては、大企業を対象に導入されている外形標準課税の割合を高める一方、中小企業への課税強化は先送りすることが検討されており、必ずしも、ご指摘のように、財界のいいなりで減税を行うということにはならないのではないかと認識しております。

ただ留意すべき点として、国におきましては、企業の収益が雇用の拡大や所得の上昇につながり、それが消費の増加を通じてさらなる景気回復につながるという経済の好循環の実現に取り組んでいただく必要があり、この点が真になしうるものか、制度設計においてよくよく検証する必要があることに加え、消費税は、逆進性の高い税でもございますので、消費増税に伴う痛みの部分を緩和するため、低所得者対策をもしっかりと行っていく必要があるものと考えているところでございます。

 

●岡本県議

 TPPについてです。安倍政権はあくまでTPPの合意に固執しています。

しかし、国益が守れない事は、日豪EPAで明らかです。EPAでは国会決議に反し牛肉の関税を大幅緩和することが決定されました。その事は畜産農家だけでなく、飼料米の市場も縮小し、稲作農家にとっても未来を閉ざされる内容です。

TPPは秘密裏の交渉のため、メディアの報道は減っていますが、日豪EPAの流れでTPP交渉が締結されたら本県に深刻な影響を与える事は必至です。

アメリカ農務省の報告書では、合意によって最も農産物の輸出を増やすのはアメリカで、参加国全体の輸出増加額の70%は輸出先となる日本に押し付けられ、日本農業はほぼ一人負けになると試算されています。

産業振興計画の土台となる第一次産業を成り立たなくするTPPに対し、改めて高知県の意思を明確にし、県民世論を喚起する必要があるのではないか知事にお聞きします。

 

■知事

TPPについてのお尋ねがございました。

TPPにつきましては、これまでも申し上げてまいりましたとおり、政府におきましては、国民に対する情報開示と説明に努めていただきますとともに、米など重要5品目の関税など国益を必ず守っていただきたいと考えております。

こうしした考え方に立って、これまでも、国に対して提言等を行ってまいりましたが、本年6月にも、四国の他の3県に呼びかけ、四国知事会として「農林水産物の重要品目の関税など国益を必ず守るという姿勢で臨み、守ることができないのであれば、脱退も辞さないものとすること」との緊急提言を取りまとめ、農林水産省に要請活動を行ったところであります。

12月7日から12日まで、ワシントンにおいてTPP首席交渉官会合が開催されておりましたが、報道によりますと、一定の進展はあったものの政治判断を仰ぐ段階までは至っておらず、年明けに実務者協議を開催するとされております。

重要5品目の関税など、守るべき国益がきちんと守られるのかどうか、依然として予断を許さない状況にあると認識しております。

県としましては、今後の動向に十分注視しますとともに、こうした国際交渉では国内からの強い声が交渉する方々を後押しすることになりますことから、今後とも必要に応じて県民の皆様の生活を守るための取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。

 

●岡本県議

 「田舎回帰」として全国町村会の提言も強調する自然エネルギーの推進について伺います。

 9月議会で、自然エネルギーの新規契約の中止、保留について質問し、さらに普及を促進する為の意見書決議も可決されました。

自然エネルギーの実態は、計画を出しただけで、実際の運転はまだ一部であり四国電力では計画だけも春夏のピーク電力にとどいていません。その後「太陽光発電協会」は約3割は権利の「転売」を目的にしたもので、本気でない業者で淘汰される。その結果送電網に支障がでるのは、九州電力で3年後、東北電力と四国電力で6年後とのレポートを出しています。

その間に、送電網を整備し、電力会社間で融通しあう仕組みづくりが可能です。

また、自然エネルギーの蓄電に効果的な揚水発電の利用率は昨年度わずか3%です。四国の揚水発電の要である本川発電所の発電能力は伊方1号機、2号機と同程度の60万キロワットを超えています。さすがに、経財産業省も、揚水発電を最大限活用すれば、自然エネルギーの受け入れ可能量が増えるとして試算の提出を求めました。

したがって、今回の自然エネルギーの契約中止は、電力会社が原発に固執し、自然エネルギーの普及にあらがう事が明らかであり、条件が違うのに各電力会社が横並びで中止、保留を打ち出したのは、その証です。

この事から自然エネルギーの新規契約を保留している四国電力に抗議するとともに、契約を再開し、送電システムの整備など自然エネルギーの普及に真剣に取り組むよう、強く要請するべきと思うが知事にお聞きします。

 

■知事

電力会社に対し、電力買取の契約手続きを再開し、自然エネルギーの普及に真剣に取り組むよう要請すべきではないか、とのお尋ねがありました。

今回、四国電力を含む4つの電力会社において、再生可能エネルギーの買い取り契約の申し込みに対する回答を一時保留するに至りましたのは、固定価格買取制度の開始以降、急速に太陽光発電の導入が進んだことで、電力需要の少ない5月の休日などにおきまして、電力の需要と供給のバランスが崩れ、安定供給の支障となる恐れがあるため、電力会社管内の接続可能量について早急に検討する必要があったからだと承知をいたしております。

 国におきましては、この事態を受け10月16日に総合資源エネルギー調査会の新エネルギー小委員会の下に専門家によるワーキンググループを設置をし、統一的な計算方法を検討し、これに基づいて電力会社が試算した接続可能量の検証を行うとともに、発電施設の出力抑制ルールの見直しや蓄電池の設置などの接続可能量の拡大方策について集中的な審議が行われており、年内にも対応策が整理されることとなっております。

四国電力においては、現在、接続可能量や導入拡大策について検討を行っており、国のワーキンググループでの検証が終わった段階で検討結果を取りまとめ、回答を保留している、契約申し込みについて、順次対応していくと聞いております。

本県は、これまでも、電力需要の少ない中山間地域を多く抱えていることから、電力会社の送電線が脆弱であり接続可能量に限界があるという課題がありました。

それに加えまして、今回の接続問題は、今後の再生可能エネルギーの最大限の導入に大きな制約となりますことから、引き続き、自然エネルギーの導入拡大に向けた政策が着実に進みますよう、国に対して政策提言を行いますとともに、四国電力に対しては、導入拡大に最大限の努力を払うよう要請してまいりたいと考えております。

 

 

【小規模基本法】

 

●岡本県議

小規模企業振興基本法について伺います。

長引く不況のもと、中小企業は、施設の老朽化や財務状況の危機的水準など深刻な事態が続いています。その中で、地域密着型の小規模企業・自営業の振興に向けた施策として「小規模企業振興基本法」が今年6月に成立しました。

1999年に中小企業基本法が大改悪され、大企業と中小企業の「格差是正」「不利の補正」という理念をやめ、創業、ベンチャー支援に重点が置かれ、それが原因で自営業者が大きく減少してきた訳です。

そこで今回の同法制定について、中小企業白書は、「成長発展」する中小企業だけでなく事業の持続的発展を打ち出した点で、中小企業政策の「大きなパラダイムシフトを意味する」と明記しています。同法では、国が基本計画を策定し国会に報告すること、地方自治体はその区域の条件に応じた施策を策定し実施する責務を負う事を定めています。

本県ではすでに産業振興計画として、小規模企業の振興を具体的に実践している訳ですが、小規模企業振興基本法の意義、課題について知事の認識をお聞きします。

 

■知事

小規模企業振興基本法の意義と課題について、お尋ねがございました。

小規模企業振興基本法は、従業員が5人以下といった零細な事業者の持続的発展を目的として制定された法律であり、特に小規模企業が多くを占める本県にとりましては、地域に根ざした事業活動を行い、需要を支え、雇用を守るといった観点からも重要な法律であると考えています。

基本法における重点施策として、小規模企業の経営課題に対応する需要に応じたビジネスモデルの再構築や、多様で新たな人材の活用による事業の展開・創出、また、地域のブランド化や賑わいの創出、などが盛り込まれていますが、すでに本県では、産業振興計画の取り組の中で、ビジネスプランの作成から販路拡大に至るまでのものづくりに対する支援や、土佐MBAによる産業人材の育成、また、高知家プロモーションの展開や商店街の取り組む賑わいづくりへの支援などなど、基本法の理念を先取りした具体的な施策を実行してきたところであります。今後とも、産業振興計画の施策を着実に進めることで、小規模企業をはじめとする県内企業の振興を図っていきたいと考えています。

また、国におきましては、今後、基本法に基づく具体的な施策が検討、展開されるとお聞きしていますが、そうした施策が地域のニーズを踏まえた実効性のある施策となか否かが課題と考えています。このため、本県としましては、これまでの産業振興計画の取り組みの成果を踏まえ、地方にとって使いやすく、本県などの取り組みの後押しとなる施策となるよう、国への政策提言を行っていくことも検討していきたいと考えております。

 

●岡本県議

 小規模企業の持続的発展を支援するための前提条件として、緊急の経済環境改善の取り組みが重要になっています。

 第一は、税制問題です。政府は、大企業の法人税減税の財源対策として、赤字の中小企業も増税となる外形標準課税の適用拡大を検討しています。

ただでさえ消費税増税分を価格に転嫁できず、原材料費の高騰で苦しむ小規模企業に息の根をとめる増税です。赤字企業であっても労働者の給与を払い、社会保険料を負担し、地域経済を支える大きな役割を発揮しています。

外形標準課税の適用拡大に断固反対するべきと思うが知事にお聞きします。

 

■知事

外形標準課税の適用拡大についてお尋ねがございました。

本年6月に策定された骨太の方針には、法人実効税率を数年間で20%台まで引き下げることが明記をされました。

法人実効税率は、企業に対する所得課税を基礎に算出するため、法人事業税において、外形標準課税の割合を高め、所得割の割合を引き下げることが、法人実効税率を引き下げる有効な選択肢の一つでありますことか、来年度税制改正の議論において、外形標準課税の拡大が検討されているところであります。

この外形標準課税の拡大につきまして、政府税制調査会が本年6月に取りまとめました「法人税の改革について」においては、対象法人の拡大を行うべきとしつつ、その際には、中小法人への配慮などを検討すべきとされているところであります。

本年10月、全国知事会が取りまとめました「平成27年度税財政等に関する提案」におきまして、地方税の応益性の強化及び税収の安定化のために、まずは既に外形標準課税が導入されている資本金が1億円を超える大法人について、外形標準課税を拡大していく方向で検討すべきであり、資本金1億円以下の中小法人への外形標準課税の拡大については、地域経済の実態として中小法人を取り巻く環境は依然厳しいことなどから、慎重に検討する必要があるとしたところでありました。私としてもこれと同様の考えであります。

いずれにいたしましても、年末にかけての税制改正プロセスを注視していきたいと考えております。

 

●岡本県議

 また、自営業からなる小規模事業者での自家労賃問題、所得税法56条の解決も重要です。家族従業員への労賃が、同条により必要経費として認められておらず、後継者不足に拍車をかけており、高知県議会も、2007年9月県議会で「所得税法第56条の廃止を求める意見書」を全会一致で可決しています。

小規模事業者の存続にとって、所得税法56条の廃止が重要と思うが知事にお聞きします。

 

■知事

所得税法第56条を廃止すべきではないかとのお尋ねがございました。

所得税法第56条は事業主と生計を一にする親族に支払う対価は、原則として必要経費と認めないとの趣旨を定めており、この規定は、事業主がその所得を恣意的に分散して不当に税負担の軽減を図ることを防止するために設けられたものといわれております。

申告納税制度は、創設以来すでに60年余りが経過しており、今日における家族関係の多様化から、納税者の意識も大幅に変化してきておりますが、他方でその変化も踏まえ、家族従業者の給与の取り扱いの妥当性などに関する議論が、長年国会の場などにおいてなされ、結果として現行制度が続いております。こうした長年の議論を経たうえでの結論としての現行の取り扱いを私も妥当なものと受け止めております。

 

●岡本県議

 第二に地域の実態に即した支援策の拡大、普及です。その為にもまずは県内地域の実態を把握することが必要ではないでしょうか。

県内の小規模事業者の実態調査や要望の聞き取りをぜひ実施するべきと考えますが商工労働部長のお考えをお聞きします。

 

■商工労働部長

小規模事業者の実態調査や要望の聞き取りを実施すべきとのお尋ねがありました。

小規模事業者の支援を進めていくためには、事業者の経営実態や支援ニーズを把握することが重要であり、県では商工会や商工会議所などの支援機関と緊密な連携のもと、日常的に情報収集に努めているところでございます。

昨年の12月には、高知県商工会連合会と連携しまして、県下8千の事業者を対象に、アンケート調査を実施いたしました。

その調査結果によりますと、売上の減少や利益率の低下などの経営課題に直面している事業者の姿や、経営革新の計画づくりや設備投資に活用できる助成制度の情報提供を求める意欲的な経営者の声やニーズが明確に示されておりました。

商工会と県では、こうしたニーズに対応するため一体となりまして、県外への販路開拓や新製品の開発を支援するとともに、税理士など専門家と連携した支援体制の整備などに取り組んでいるところでございます。 

小規模企業振興基本法の目的である小規模事業者の持続的発展を具体化していくためには、こうした小規模事業者の情報を十分に活用していくことが重要でありますので、今後とも関係機関と連携しまして、小規模事業者の実態とニーズの把握に努めてまいります。

 

●岡本県議

そこで支援策の中で、全国でも県内でも歓迎されているのが住宅リフォーム助成制度です。 現在実施している住宅の耐震改修はきわめて重要であり、前県政のもとで共産党県議団が繰り返し論戦で要望し導入に結びつけたものです。

しかし、この仕事は、専門技能をもった業者への発注となり、広範な事業者を支援することを目的にしていません。一方住宅リフォーム助成は、広範な事業者に波及する緊急経済対策として意味があり、災害対策を考えても地域に工務店や職人が存在しつづけることを支援するものですし、住環境の改善そのものも重要であり、国も長期優良化住宅リフォームに踏み出しています。

 住宅リフォーム助成は、秋田、山形、静岡、広島、佐賀の5県を含む628自治体で実施されています。京都府与謝野町は、3年間実施した住宅リフォーム助成についてアンケートを実施し、利用者から689通、施工者から71通の回答を得ています。

アンケートのまとめでは、改修された住宅は、築30年から50年のものが多く、「本制度が住環境を向上させる為の改善工事を行うきっかけになった」とのべ、「補助金がでるので実施した」という回答が約35%、「追加工事を実施した」が約17%となっており「経済波及効果が高い」と評価しています。

施工業者のアンケートでは、8.5%の会社が従業員が増えたと回答し、まとめでは「施工業者が本制度を利用して営業活動を行う事によって、新たな仕事を獲得する機会が増えた可能性があり、町内の建設関連業者には非常に大きな影響があった」と分析しています。施工業者の事業規模も1千万円から5千万円が45%、1千万円以下が31%と、小規模事業者の仕事確保につながっています。

また、同町が、経済波及効果の分析を委託した京都大学研究チームの報告は、投入した補助金の23.84倍の効果があった事、一次波及効果の産業別割合の分析から建設業を軸に、金属製品、窯業(ようぎょう)、土石製品、商業、鉄工、運輸、金融、保険、製材・木製品など多様な業種に波及効果があった事を明らかにしています。

耐震改修助成と住宅リフォーム助成では、経済効果が波及する事業者に大きな違いがあります。

改めて住環境の改善、地元経済対策として、住宅リフォーム助成の実施を検討すべきではないか土木部長にお聞きします。

 

■土木部長

住宅リフォームへの助成の検討について、お尋ねがありました。

県では、南海トラフ地震に備えた住宅の耐震化や、高齢者・障害者の居住する住宅のバリアフリー化、県産木材を活用した内装の木質化などに対して助成を行っています。

加えて、本年度から、市町村が県内への移住希望者や子育て世帯向けの公的住宅として空き家を再生・活用するため、耐震改修、断熱改修、トイレの水洗化などの住宅リフォームを実施する場合に、助成することとしました。

このように、単なる水回りの更新や床・壁紙の張り替えなどではなく、南海トラフ地震対策や日本一の健康長寿県づくりなど、県の政策目的に沿った住宅リフォームを、積極的に推進しているところです。

中でも住宅の耐震化は、平成25年度に約700棟の実績があり、1件あたりの耐震改修に係る事業費だけでも平均で210万円ほどであることから、直接投資額は約15億円にのぼります。

このうち、県内で生産されない資材に要する費用などを除く約9億円が、地域の中小事業者に支払われたと考えられ、地元経済対策としても効果的であると考えております。

今後の、住宅所有者への戸別訪問や低コスト工法の普及などの取組の強化によって、耐震改修の件数を加速度的に増加させることとしており、地元経済対策としての効果もさらに高まると考えております。

引き続き、住宅の耐震化をはじめ、県の政策目的に沿った住宅リフォームを積極的に推進し、あわせて地元経済の活性化にも繋げていきたいと考えております。

 

●岡本県議

さらに、住宅リフォーム助成の発展形として、小規模企業支援に拡げた高崎市の店舗リフォーム支援、「まちなか商店リニューアル助成事業」が注目を浴びています。

同制度は、商業の活性化を目的に、店舗の改装、店舗等でもっぱら使用する備品の購入について、上限100万円として2分の1を補助するものです。

きっかけは、市職員が直接店舗を訪問し、約300件から直接経営課題などをヒヤリングした事です。同制度は浮かび上がった「店舗の老朽化」という課題に対応するためのものです。手続きも簡単で、当初予算1億円で出発しましたが、好評のため補正で追加し4億4千万円に拡大し、経済効果10億2,760万円と試算されています。

738件の申請のうち、改修工事は460件、壁紙や床の張替え、トイレの洋式化、LED照明への切り替えが行われています。

同市の富岡市長は「『まちなか』を面白く、活気あるものにしたい。その為には小さな店が元気になる事」と制度の目的を語っています。まちづくりと一体で効果をあげています。

その後、飛騨市、北海道くんねっぷ町・清里町などに広がってきています。

店舗リフォームについても検討するべきと思いますが商工労働部長にお聞きします。

 

■商工労働部長

店舗リフォームへの支援について、お尋ねがありました。

県では、地域コミュニティの核でもある商店街や個店の活性化を図るため、商工団体と連携しながら、商店街の賑わい創出事業への支援や、チャレンジショップを活用し、新規創業を希望される方の育成などに取り組んでいるところです。

お話にありました、店舗リフォームに対する支援につきましては、平成21年度から空店舗に新たに出店する際に、店舗の改装に係る経費の助成を行っており、商店街の空き店舗の解消にもつながっているところでもございます。

今後更に、それぞれの店舗や商店街の魅力を向上させ、活性化を進めるためには、これまでの新規出店に対する支援を中心とした施策に併せ、既存店舗に対する施策を拡充していく必要があると考えています。

店舗リフォームにつきましても、新規出店に加えて、魅力あるお店を目指す既存店舗に対する支援策も検討してまいります。

 

 

【産業振興】

 

●岡本県議

 産業振興について伺います。耕地面積が小さな中山間地が多い本県の農業振興にとって、高付加価値を生み出す農業と食品加工業の連携強化など県としても力を入れてきている所です。

さて、高齢化が進展するとともに、生活習慣病とその予備軍が増加し、10年以上差のある平均寿命と健康寿命の差を解消する課題など、健康に対するニーズは今後ますます高まり、食品についてもより健康に資する需要が拡大する事が考えられます。食品には、第一次機能として栄養面での働き、第二次機能として食事を楽しむための味覚・感覚面の働き、第三次機能として体調調整機能があり、この第三次機能に関する表示は一般に機能性表示とよばれています。

現在、食品の機能性表示を行う事ができるのは栄養機能食品と特定保健用食品ですが、この間、健康食品をはじめ保健機能を有する成分を持つ食品、農林水産物について、機能性表示を容易にする為の新たな方策が検討されて、7月に報告書が出され、来年4月から「食品の新たな機能表示制度」が実施されようとしています。

新制度は、野菜や魚や肉などの生鮮品のほか、茶やそば等の加工食品、サプリメントなど、原則として全ての食品が対象になります。病気の治療・予防効果の表示は認められないが、健康の維持・増進の範囲に限って「機能性表示」が可能になり、「肝臓の働きを助けます」「目の健康をサポートします」などの表現が期待されます。実際に想定されるものとして温州ミカンが「β-クリプトキサンチンを含み、骨の健康を保つ食品です。更年期以降の女性の方に適しています」、ホウレンソウが「ルテインを補い、目の健康維持に役立ちます」、豆乳が「β-コングリシニンを含んでいるため、遊離脂肪酸を減らす働きにより、正常な中性脂肪の値の維持に役立ちます」というものです。同制度を有効活用することは、高知県産の付加価値の高い農林産品の需要拡大に結び付くことが期待されます。

県はこれまでも、食品産業振興事業での機能性食品の開発。産学官連携産業創出研究推進事業の取り組みでは、県産有用未利用植物の研究として、いくつかの植物から特に有用な機能性が発見され、県内企業がお茶やフローラルウオーターなどの製品化に取り組んでいることが報告されてきた所です。

新たな機能性表示制度は、県の産業振興にとっても新たな可能性を開くものではないか、農業振興部長にお聞きします。

 

■農業振興部長

まず、機能性表示制度は、県の産業振興にとっても新たな可能性を開くものではないか、とのお尋ねがございました。

現在、国において検討されている、新たな機能性表示制度は、サプリメントや加工食品だけでなく、野菜などの生鮮食品につきましても、機能性表示を可能としていることが特徴となっております。

科学的根拠をもとにした機能性を表示することは、健康に関心のある消費者の皆さまに、その食品を手に取っていただくためのきっかけづくりになるものと考えております。

そこで、農業技術センターでは、今年度から、ナスやピーマンなど本県の主要15品目の野菜について、品種や作型、収穫時期などの違いによる、ビタミンCやポリフェノール類などの機能性成分の調査・研究を行っております。

来年、春には、新たな表示制度の施行が予定されておりますので、これらの調査・研究の成果も活用しながら、消費者の皆さまに本県の産園芸品の機能性を含めた魅力を広く知っていただき、本県産を選んで購入していただけるよう販売促進活動を強化していきたいと考えております。

 

●岡本県議

 大学、医療機関との連携もいっそう重要になってきてると思います。また、新制度の導入の理由に、これまでの制度では許可手続きに時間と費用がかかるために中小企業にとってハードルが高いことが挙げられており、中小企業の活躍の場を拡大することに狙いがあると考えられます。 

一方、認可が要らないという事は、企業の自己責任で表示するという事で、企業は販売する前に、科学的根拠を立証した論文や製品情報などを消費者庁に届け出れば良いとなっています。

生産者を含めて、県内の中小企業が取り組みやすくする為の情報提供、経費面や手続き面の支援も重要になるのではないかと思います。

その点についてどう取り組んでいくつもりか、商工労働部長にお伺いします。

 

■商工労働部長

新たな機能性表示制度について、県内の中小企業などへの情報提供や支援についてのお尋ねがありました。

現在、機能性表示ができる特定保健用食品は、国の認可までに数年を要し、また、多額に及ぶ研究費が必要で、資金や研究体制が十分でない中小企業にとってはハードルが高いと言われています。

一方で、新たな機能性表示制度は、国への届出だけで実施できることから、事業者からも期待されており、本県をはじめとする四国の各県も大いに注目しています。

そのような中、四国産業競争力協議会では、本年5月に四国4県の担当者や大学、企業代表などの産学官による「機能性表示検討会」を設置いたしました。

この検討会では、これまで国の情報収集や関係省庁への政策提言などを実施しますとともに、四国で有望な機能性成分の調査や事業者への支援体制の検討などに取り組むこととしています。

こうした動きに加え、本県独自に企業との勉強会を開催してきましたし、今後、本県独自の事業者支援策も検討することとしておりますけれども、機能性性表示に関する具体的なルールを定めるガイドラインが、現時点でまだ定められておられません。

今後、ガイドラインが公表されましたら、すみやかに県内事業者にその情報を提供しますとともに、その内容を精査したうえで、事業者の取組を支援するためのアドバイザーの配置や情報提供の仕組みなどといった適切な支援策について検討してまいります。

 

●岡本県議

 他産業からの新規就農者には、経営リスクを負う事から、5年間年150万円の青年就農給付金が支給される制度があります。

親元就農の場合も一定の条件のもとに適用となりますが今年制度が一部変更され、新たな作目の導入、経営の多角化など新規参入者と同等の経営リスクを負うと市町村長に認められる事の経営リスク判断が条件にくわわり、親元就農の場合の同制度利用者が大きく減少している事例があります。

土佐市では、2012年度、12件うち親元就農10件、2013年度、16件うち親元就農15件、2014年度は12月段階で2件、親元就農なしとなっています。

親元就農であっても、実際に経験を積み、技術・知識を継承するには苦労も多く、農業を取り巻く環境は価格低迷、資材・燃料の高騰など厳しいものがあり、5年程度は経営が不安定なのが実情です。

親元就農について、青年就農給付金の要件見直しの影響、新たな品目導入の指導・支援などの対策の必要性など、どう認識しているのか農業振興部長にお聞きします。

 

■農業振興部長

青年就農給付金・経営開始型の親元就農の要件見直しの影響と、新たな品目導入の指導・支援についてのお尋ねがございました。

青年就農給付金の経営開始型は、経営リスクを負って新たに営農を開始する新規就農者に対して、経営が軌道に乗るまでの間の支援を行うことを目的として、平成24年度に始まった国の事業でございます。

本年2月から、親元で就農する場合の給付要件の見直しが行われ、「土地や資金を独白に調達する新規参入者と同等の経営リスクを負って経営を開始すると認められること」が必要となりました。

一方、利用する農地については、「親族からの貸借が主でも給付期間中に所有権を移転する確約があれば給付対象とする」という要件緩和も同時に行われています。

また、この見直しと併せて、研修中の就農希望者を支援する青年就農給付金の準備型につきましては、従来対象外とされておりました親元就農を予定している方を条件付きで対象にする要件緩和が行われているところでございます。

現在のところ、平成26年度の給付金の申請が全て出揃っておりませんが、今後、各市町村のご意見もお聞ききしながら、これらの見直しによる影響を調査し、必要に応じて、事業の有効活用に向け政策提言など対策・対応を取ってまいりたいと考えております。

なお、親元就農の方が親と異なる新たな品目の導入に取り組まれる場合も含め、新規就農者が栽培技術を早期に習得できるよう、県といたしましては、「学び教えあう場」の活用や農業振興センターの普及指導員による技術指導など積極的な支援を行ってまいります。

 

●岡本県議

 次に移住促進についてです。

新規就農支援は、移住促進にとっても大きな役割をはたしていますが、兼業農家が少なくない現状を考えれば、兼業就農を支援する制度を考えてみる必要があるのではないかと思います。

 島根県では、酒造、看護、介護、保育など地域で必要とされ、兼業が可能な仕事・事業所を具体的に紹介し「農業のある暮らし」「農村の豊かさ」を実感しながら、農閑期なども兼業で必要な現金収入を確保する事で移住促進に取り組んでいます。

それまでも、島根県は、移住者に滞在費として月額12万円を最長1年間助成していましたが「半農半エックス」として地元の酒蔵といった働き口を紹介し、営農に必要な研修中の支援、定住して営農した場合の支援として、いずれも12カ月以内で月12万円の助成を実施し、就農のための施設等の整備についても事業費上限300万円で、3分の1を補助する制度も整備しています。

 昨年7月25日付の日本農業新聞には、「農閑期の働き口がある事で生活が安定する」「就農への見通しが立てやすくなった」との声も紹介されています。

兼業就農による移住促進については高知県でも研究し、実施を検討する価値がある取り組みと思うが農業振興部長にお聞きします。

 

■農業振興部長

兼業就農による移住促進の取り組みについてのお尋ねがございました。

本県の、特に中山間地域では平場と比べ営農条件が悪いことから、農業だけで十分な所得を確保することが難しく、兼業農家によって地域農業が守られている状況にあります。

しかしながら、高齢化・担い手不足により、10年後には約40%の生産者が減少する見込みの地域もあるなど、本県農業を発展させていくためには、平場の担い手確保と併せて、中山間地域などでの多様な担い手確保対策も強化していく必要があると考えております。

議員からご指摘ございました、島根県の「半農半Ⅹ」への支援は、農業の維持や移住促進に有効な手法の一つであると考えております。

県といたしましては、本県の営農実態を踏まえたうえで、兼業という形態で地域の農業を将来にわたって守っていただく方への支援ができないか、検討を進めているところでございます。

 

 

【内水面漁業での資源保護】

 

●岡本県議

内水面漁業での資源保護について質問します。

今年も12月1日から県内の主な河川で落ちアユ漁が解禁されました。「11月末の雨の影響などから、全体でみると低調。一方、資源保護のための禁漁は野根、伊尾木、安芸、物部、新庄の5河川に拡大され、鏡川では禁漁区の範囲が大幅に広がる等、共生を思いながらのシーズンとなった」と新聞紙上で落ちアユ漁の報道があったように、アユ漁についても資源確保が課題となっています。

内水面漁業では、乱獲による資源保護の議論が最近顕著に起こっています。絶滅危惧種になったウナギを始め、川エビやツガニ、そしてアユ等であります。アユについては、稚魚の放流などでかろうじて資源を確保していますが、年を追って魚影が減っているのが実情で、内水面漁業における資源確保の環境は年々厳しくなっています。

高知県でもアユ漁は地域によって特産品として産業振興につながっている事から産業振興の観点からも資源の確保は喫緊の課題です。

そんな中、今年6月内水面漁業の振興に関する法律が通常国会で成立しました。

目的において内水面漁業の振興に関し国と地方公共団体の責務などを明らかにする事や漁業生産力を発展させる事などがうたわれています。

本県における内水面漁業の振興に関する法律の意義及び課題について、知事の認識をお聞かせ下さい。

 

■知事

本県における内水面漁業振興法の意義と課題についてのお尋ねがございました。

本県は、四万十川や仁淀川をはじめ、全国に誇る清流を数多く抱え、古くから、この豊かな川からもたらされるアユなどの恵みを享受してまいりました。

しかし、近年、山林の荒廃による濁水の長期化、外来魚やカワウによる食害などにより、本県の内水面漁業は厳しい状況に置かれています。

こうした中、今年制定された内水面漁業振興法は、内水面漁業の振興に係る施策を総合的に推進し、内水面漁業の生産力を発展させ、国民生活の安定向上と自然環境の保全に寄与することを目的としており、本県が産業振興計画に位置づけた「資源豊かで販わいのある河川づくり」を進めるうえで、大きな後押しとなるものと捉えております。

この法律の目的を達成するためには、資源の増強対策や河川環境の保全などの取組を着実に実行していくことが課題であると考えておりますので、アユ種苗の生産や放流、産卵場の造成など、産業振興計画に掲げました取組を県民の皆様とともに、着実に実行していきたいと考えているところであります。

 

●岡本県議

県内の内水面漁協では、資源確保の取り組みの一つとして、外来魚いわゆるブラックバスやブルーギルそして川鵜の駆除についても積極的に行っています。県内漁協の中でも四万十川漁連では駆除に対する年間100万円の予算がすぐなくなるくらい駆除が活発です。

参考までに平成26年度ではブルーギル一匹100円の報奨金で4,804匹、ブラックバス200円で2,650匹、100万とは別に川鵜一羽3,000円で300羽の数字が出されています。

四万十川漁連の話をお聞きすると「20代の若者が仕事がない、少しでも生活の足しにと冷凍庫に保管してまとめて持ってくる」「外来魚については6月から買い取りを始めるが2日間で予算がなくなる」「県も外来魚のリリースを止めらせる啓発活動に積極的に取り組んでほしい」「高知県としても県内水面漁連を窓口に駆除の報奨金に対して補助金を拠出してくれているが、単位漁協の負担軽減になる様な補助内容にして欲しい」等、切実な要望が出されました。

県としても漁協のこのような声にこたえ、外来魚のリリースをやめさせるための啓発活動を積極的に行う事、又、駆除の報奨金は総額の2分の1を漁協が負担していますが、県の予算を増額して漁協の負担の軽減や通年の駆除に取り組ませることができないか水産振興部長の考えをお聞きしします。

■水産振興部長

外来魚のリリースを防ぐための啓発活動と駆除対策の充実についてお尋ねがございました。         

ブラックバスなどの外来魚やカワウは、近年、生息域の拡大や生息数の増大が確認されており、アユなどの内水面資源に大きな影響を与えております。

このため、県では、内水面漁協が行うカワウや外来魚の駆除を支援しておりますが、外来魚については、アユなどの在来種の減少要因であることを県民の方々に広く知っていただき、リリースしない機運を高めていくことが重要であると考えておりますので、広報誌への掲載など、あらゆる機会を捉えて、積極的な啓発に努めてまいります。

また、カワウにつきましては、広域的に移動することから、本年度より中四国の9県が連携して「カワウ管理指針」の策定に着手しておりますので、この指針に沿ってより効果的な駆除を行いたいと考えております。

県としましては、これまでの駆除に対する財政的な支援に加えまして、このような新たな取組を行いますことで、より大きな効果や生み出してまいりたいと考えております。

 

 

【国民健康保険】

 

●岡本県議 

次に国民健康保険制度、国保について伺います。

全国知事会の決議も「負担が限界にきている」と指摘していますが、特に高齢化が進み、県民所得の低い本県においては、高すぎる国保税・料は、極めて深刻な問題となっています。

 その原因は、国保加入者が大きく変化しているにもかかわらず、1984年以来、公費助成が医療給付費の2分の1という枠組みを変えないでいるからです。

国保が発足して間もない1965年の加入者の内訳は、一次産業が42.1%、自営業が25.4%、被用者19.5%、無職6.6%でしたが、2011年は、一次産業2.8%、自営業14.5%、被用者35.8%、無職42.6%と大きく変化しました。

その結果、世帯の平均所得は、1984年179万円、1991年は277万円でしたが、2011年は142万円と大きく低下しています。高齢者が増え医療費が大きくなっているにもかかわらず、加入者の所得は低下しているため、負担は高まる一方で、一人当たりの保険料は1984年の3万9千円から、2011年には9万円近くに激増しています。

まず、加入者の負担は、限界を超えていると思うが知事の認識をお聞きします。また、その対応として広域化では解決にならず、解決には、国費投入の抜本的な強化が必要と思うが重ねて知事に決意をお聞きします。

 

■知事

国保の加入者の負担が限界を超えていることへの認識と、解決のためには国費投入の抜本的な強化が必要ではないかとのお尋ねがありました。

国保は、議員のお話しにありましたとおり、制度創設時と比べ、被保険者の職業構成が大きく変化し、無職の方やいわゆる非正規労働者の方が増加してきたこともあり、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、低所得の方が多く、また病気になりがちな高齢の被保険者の方が多いことなどから、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えております。

特に、高知県の市町村国保は、平成24年度で世帯主のうち、無職の方が49.6%とほぼ半数となっていることなどから、一人当たりの平均所得は55万4千円で全国の市町村国保の平均所得83万円と比べても低くなっており、一方で医療費水準が高いため、一人当たりの所得に占める介護保険分を除く保険料の負担割合は、13.5%と全国平均の9.9%と比べても非常に重くなっております。

このような状況の中、医療費は今後も増大すると見込まれることから、国民の方々が安心して医療を受けられるよう、国民皆保険制度の重要な支え手である国保制度を、将来にわたって安定的に維持していくためには、今まで以上に国費の投入による財政基盤の強化が必要であり、この点をこれまでも全国知事会を通じて要望をしてきております。

現在、国保財政をはじめとした都道府県化の協議が国と地方の代表とで行われているところですが、その協議においても都道府県化だけでなく国保財政基盤の抜本的な強化について強く国に求めているところであり、引き続き国保の構造問題が解決され持続可能な制度となるよう、国による財政支援の拡充を求めてまいります。

 

●岡本県議

 高すぎる保険税により、保険証を取り上げられたり、3割の窓口負担が影響で、必要な医療にかかれない実態が拡大しています。本議会でも、無料低額診療の実態をとりあげて質問もいたしました。

 医療も、介護もそうですが、早期に発見し、早期に手当てすることは、命と生活を守るうえで極めて重要であり、重篤化を防ぐ事で保険財政にも寄与することになります。

ところが、政府は、自公政権の時も民主党政権の時も、自治体が実施する医療の窓口負担の軽減に対し、国庫負担金を削減する理不尽な対応をしています。その額は、本県では、4億円もの巨額にたっしています。

国保負担金の削減は理不尽であり、知事会と各都道府県選出の国会議員が連携して、改善をさせるべきと思うが知事にお聞きします。

 

■知事

国保の国庫負担金の削減について、改善させるべきではないかとのお尋ねがありました。

医療保険においては、被保険者が保険医療機関を受診した際に、費用の1割から3割の自己負担が必要上なっていますが、少子化対策や重度の障害者が必要な医療を受けやすくすることなどを目的として、それぞれの自治体の判断により、医療費の窓口負担の軽減を行っています。

しかしながら、国では、このように地方が独自に医療費の窓口負担を軽減した場合、軽減しない場合と比べて医療費が増加することから、医療費に対する国の負担も増加することになるため、限られた財源の中で公平に国費を配分するという理由により、国庫負担金の減額を行っているところであります。

これに対して、全国知事会では、乳幼児医療費助成事業など地方独自の医療費助成に対する国保の国庫負担金の減額措置は、地方の独自施策の実施を制限するとともに、本来であれば、国が全国統一的に行うべき子育て・少子化対策などの地方の努力に反し、地方にのみ責任を負わせるものであることから、廃止するよう国に求めてきているところであります。

今後におきましても、地方独自の事業の実施に制限を加えるのではなく、また、国保財政の安定化を図るためにも、全国知事会を通じ、国会議員の方々の協力も得ながら、減額措置の廃止に向け要望してまいりたいと考えております。

 

●岡本県議

 全国で国民健康保険税を滞納した世帯に対する差し押さえが急増し、10年間で4から5倍になっています。高知県でも差し押さえ件数は、2005年の581件から、後期高齢者医療制度の導入により加入世帯が減少したにもかわらず、2011年度1,230件となっています。

そもそも滞納になるのは所得が低下する中、国保税がどんどん引き上がっている事が最も大きな要因であり、そのもとで、加入世帯の生活実態を無視した差し押さえが大きな問題となっています。

 昨年、地方税滞納を理由とし、鳥取県が口座にふりこまれた児童手当を差し押さえた事が「違法」と広島高裁で認定、確定判決となりました。

この件については県議会の場でも取り上げましたが、11月6日の参議院厚労委員会で、この内容は、国保税の滞納にもあてはまるのではないかと、わが党の小池晃参議院議員が取り上げました。厚労省保険局長は、厚労省も税当局も同じであり「一般論としては、公的な手当て等の受給権、差押さえが禁止されている受給権は、これはもちろんできない」「振り込まれた預金は、受給者の一般財源となり、原則として差押さえ禁止債権としての属性は禁止されない」が、「事実関係に照らして、この判決ではこうした原則の例外となり得るケースがある事を示した」と、差押さえ禁止の「ケースがある」と認めました。

 さらに、差押さえの比率に自治体で大きな差があり、「生活実態を調べて差押さえをやっている所と、機械的にやっている所があるのが実態なのではないか」との追求に対し、「生活が窮迫する場合は滞納処分を停止する仕組みがある」と答弁し「実情をよく把握して対応していただきたい」と述べています。厚生労動大臣も「しゃくし定規な事をやる」のではなく「「ぬくもりを持った行政をやるべく徹底していく」と答弁しています。

県内でも、機械的な対応がされている懸念があります。

県内の市部で比較すると、加入世帯に対する差し押さえの比率は、2011年度を見ると、200倍を超える差が生じています。

また、滞納世帯への資格証明書への発行率でも大きな格差があります。2014年度の資料では、須崎市9.87%、高知市9.9%の一方、土佐市、四万十市、香美市が30%後半と、4倍近い差が生じています。

実情を把握し、適切な対応をとるよう県としても働きかけるべきではないか、健康政策部長にお聞きします。

 

■健康政策部長

国保の保険料を滞納した世帯に対する差し押さえの実情を把握し、適切な対応をとるよう県としても働き掛けるべきではないかとのお尋ねがありました。

国保は、被保険者の保険料と公費により、病気やけがなどの治療に対する費用をまかなう仕組みとなっていることから、被保険者には医療を受ける受益や負担能力に応じた保険料の負担をお願いしています。

このため、病気やけが、事業の休廃止などといった保険料を納付することができない特別な事情がないにもかかわらず保険料を滞納している方については、保険料をきちんと納付していただいている方との公平性を確保する観点からも、やむを得ず差し押さえや資格証明書の発行を行っているところです。

しかしながら、こういった滞納者に対する差し押さえや資格証明書の発行にあたっては、機械的な運用を行うことなく、電話による督促や戸別訪問などにより滞納者と接触を図り、保険料の支払いが困難な「特別の事情」の有無を確認し、生活実態等を十分に把握したうえで実施するよう、これまでも市町村には助言を行ってきています。

また、概ね2年ごとに行っています各市町村との個別の事務打ち合わせにおいても、実施方法について確認を行っているところであり、現在は、機械的な運用をしている市町村はないものと承知しています。

今後とも、市町村に対して、保険料の滞納者対策については、被保険者の生活実態の把握などを行ったうえで、適切な運用を行うよう、引き続き助言を行ってまいります。

 

 

【避難施設としての学校の整備】

 

●岡本県議

 最後に避難施設としての学校の整備についてです。

学校の耐震化、水・食料の備蓄など、子どもの命を守るうえで重要なことは論を待ちません。同時に多くの学校は地域の避難施設に指定されており、その点からの整備も必要です。

2012年12月議会で吉良議員が備蓄品や飲料水、生活水を確保する浄水装置など、備えるべき資材についての検討状況、現状と課題について質問してきた所ですが、10月3日に国立教育政策研究所が、避難所となっている「学校施設の防災機能に関する実態調査」を発表しています。

その中には備蓄倉庫、トイレ、通信装置、自家発電、浄水装置などの数字も出でいます。南海地震対策に力を入れている高知県ですが、その実施率は、全国平均より若干低くなっています。高校など県立校は8ないし10割と極めて高い実施率ですが、市町村の財政力が弱い事、小規模校が多い事が影響していると思われます。小中の実施率が低い事が特徴です。

いくつか数字を紹介しますと、「備蓄倉庫等が敷地内に設置されている学校」は全国平均 47%、高知県の小中学校は36.3%、「停電に備えた自家発電設備等が設置されている学校」は全国 40%、県内の小中学校32.6%、「貯水槽,プールの浄水装置等が設置されている学校」は全国 36%、県内の小中学校は24.2%、「要配慮者に配慮したスペースを検討している学校数・割合」は全国47.1%、県内の小中学校は43.2%、「体育館・校舎等にスロープを設置している学校数・割合」は全国66.0%、県内の小中学校は55.0%などとなっています。

 また全国集計ですが「避難所に必要と考えられる機能を検討済み又は検討中 60%」「学校施設を避難所とする際の施設利用計画等を策定済み 44%」となっています。

同調査の結果についての認識、学校を避難施設として使う場合の課題と今後、学校の避難所機能を充実させていく為の対策について教育長に伺います。

 

■教育長

国立教育政策研究所が行った「学校施設の防災機能に関する実態調査」における、本県の市町村立学校の結果についての認識、学校を避難施設として使う場合の諌題と、今後、学校の避難所機能を充実させていくための対策について、お尋ねがありました。

本県の市町村立学校については、お話の中で実態調査結果のご紹介がありました通り、備蓄倉庫や停電時に備えた自家発電設備等、避難所として必要な施設・設備の整備は、まだ、これからという状況でございます。

これは、市町村では、地震の揺れや津波から児童生徒の命を守ることを最優先に、校舎等の耐震化や避難路の整備などから着手してきたことや、お話にもありましたように市町村の財政状況が厳しく人員も限られる中で、避難所のための施設等の整備にまで至っていないという事情もあるものと考えております。

しかしながら、南海トラフ地震はいつ何時発生するかもしれないことを考えますと、避難所における備えを強化することは急務であり、休校中の学校も含めまして331校と多くが避難所として指定されている小中学校についても例外ではございません。

今後、小中学校に避難所としての機能を整備するにあたっては、まずは、各市町村において、どのような避難者をどれだけの人数受け入れるかを定めたうえで、避難所として必要な機能を決定していただく必要があると考えております。

こうした検討を踏まえ、小中学校において避難所機能を整備する際には、国や県の財政的支援制度もありますので、それらについて危機管理部や教育委員会が適切な情報提供を行うことで、できるだけ早期の整備を促してまいります。

なお、学校の避難所機能を検討するにあたっては、一定期間が過ぎれば、授業を再開する必要があるため、避難所としての利用に制限か生ずる可能性を考慮与入れていただくことも必要だと考えております。

 

 

【第二問】

 

●岡本県議

 消費税増の知事の政治姿勢につてお聞きします。

 知事の言われることも非常に理解できまして、今から高齢化社会が始まって社会保障の財源、少子化に対する財源など本当に必要だというふうに思います。財源確保は本当に必要だと思いますけれども、ただ消費税が実施されて今年で26年、法人税が減税されて25年経ったということは先ほどの質問で紹介したところです。

 この数字ですよね。法人税の減税で225兆円が減収されたと、それと282兆円がこの26年間で消費税が集められたと、この数字を見た時に、本当に消費税が社会保障のために使われたのか、疑義を感じます。消費税が実施された時に、物品税などのぜいたく品の税制も改正されました。ですから消費税が本当に使われているのかということは疑義です。このあたりはきっちりと見定めるべきではないかと思います。その数字を表す点で、大企業がこの間、かなり内部留保をしてきましたけれども、この前調べましたら323兆円集めています。この2年間で50兆円も増えているんですよね。

この実態を見た時に、どうなんだと、これでまた法人税の減税ですよね。この辺りを見たうえで本当に消費税が社会保障のために使われてきたかということは知事としても認識をしていただきたいですし、いろんなところで話す中で、富の再配分が必要だと、あまりにも大企業の中に溜まりすぎていると、大企業が栄えて日本が栄えるということは大事ですけれども、あまりにも溜まりすぎていると、金融の世界ではだぶついているということが言われていますので、この辺りは判断していただいて、本当に苦い薬を飲むのかどなのかということを判断していただきたいと思いますので、その点について知事の考えを、再答弁を求めます。

 

■知事

 まず税についてでありますが、この間、消費税が導入されて以降、社会保障に対するいわゆる税金による国費負担というのが、どんどんどんどん拡充してきたということは確かであります。そのための財源をどう確保していくかということで様々な税制改正がおなわれてき、消費税増税というのもその一環であったかと思います。

肝は、所得を稼いでいる人だけじゃなくて、かつて稼いでいた人も含め、あまねく広く負担をおこなっていきましょうと、いうことであったのではなかろうかと、いうふうに考えておるところでありまして、そういう意味において、消費増税、さらなる社会保障負担が必要となる中において、より幅広く多くの人で負担を分かち合おうというこの消費税の制度、一定導入の意義はあると考えているところです。

ただですね、ご指摘のように単に消費税だけで、ある意味ことを終わらせてしまってはいけないのでありまして、あまねく広くという点でいけば、私は従前より申し上げておりますように、資産税改革などによって、高齢世帯と若年世帯の著しい資産格差を是正するような対策もぜひとるべきではないか、高齢者から若者に資産を移していくという対策をとるべきではないか、そういうことも考えていますし、提言もしておるところでありますし、もうひとつ法人税の件についても、減税によって雇用を増やして、それによって経済をあっためるという効果をぜひもたらしたい、雇用をもたらしてもらいたいという効果もあると同時に、併せまして負担をあまねく広く取るという観点から、現在、大企業についてでありますが、外形標準課税の見直しなどの議論もおこなわれているわけであります。これはいわゆる所得を儲けているところたげでない、みなさんに負担をしてもらおうという、これもまたあまねく広くという考えかと思います。いろんな形でこの社会保障負担の増大に対して、あまねく広く負担をしていってもらおう、そういう形での税制改正がおこなわれておるということ、そういう方向の中での議論ではないかと、私はそういう中のひとつとして消費増税は飲まざるを得ない苦い薬ではないかと申し上げてきたということであります。

 

●岡本県議

住宅リフォームについてです。小規模事業者の基本法が出来ましたので、住宅リフォームはこの間ずっと経済波及効果が大きいということは、訴えてまいりました。これをきっかけに、高知県のようなところでは、ぜひ拡大してほしいと。既存の店舗への店舗リフォームも拡充されるということですので、そのことも含めて知事に住宅リフォームについてやるべきではないかと、答弁を求めたいと思います。

 

■知事

住宅リフォームにつきましては、ぜひ、色んな政策目的も勘案しながら、今後どうしていくべきかについて、部長答弁など申し上げました方向感も踏まえて、しっかり対応していきたいとそのように思います。

 

●岡本県議

 外来魚のことについてです。外来魚については、広報活動をしていただきたいということと、数字をみますと、県の予算が100万円でなんと7,454匹の外来魚を駆除しているんですね。もっと増やせば、毎年2日間で予算が無くなるからできないそうです。ですからぜひ予算の拡充を、水産振興部長に答弁を求めます。

 

■水産振興部長

 外来魚につきましては、駆除予算額は200万円だったとは思いますが、それでもやはり少ないというご認識だと思います。

 これにつきましては、大変大きな問題でございますので、先ほど申しましたように、新たな効果的な対策等々とも連携しながら進んでまいりたいと思いますが、ひとつ、一般の鳥獣対策と違います所は、ご質問にもありましたが、内水面漁業振興法の中でも、内水面漁業者の責務として、資源の回復また漁場環境の保全等に自ら取り組むということが位置付けられておりますし、それと入漁権の免許を受ける際の条件としまして、増殖行為が義務付けられておりますけれども、そこでその財源として遊漁料等を充てるということになっております。そういう条件の違いがございます。

いずれにしても、漁業者の方々だけがやるのではなくて、この問題は当然、国、県、市町村も絡んでやるべきものと思っておりますので、そこらへんも踏まえまして、漁師の方とも色々連携をさせていただいて、効果的な取り組みを展開していきたいと思っております。