議会報告

  • 2014年10月15日
    9月県議会 2015年10月の消費税率10%への再引き上げ中止を求める意見書への賛成討論 岡本和也県議(2014.10.14)

私は日本共産党を代表して議発第14号「2015年10月の消費税率10%への再引き上げ中止を求める意見書案」に賛成の立場で討論を行います。

4月に消費税が3%増税され、個人消費や住宅建設が大幅に落ち込んだあと、7月になっても景気の低迷が続いています。勤労世帯の実収入のマイナスは連続11ヶ月、実質賃金のマイナスは連続14ヶ月と経済の6割を支える家計が冷え込んでいるからです。そうした実態を反映し、先日発表された全国世論調査会の調査では、再増税に反対する声は72%に上っています。

県民のくらしの実態は深刻です。稲作農家では、天候不順の影響で収量は例年の3割減になった、円高や消費税増税による肥料、農薬などの資材や燃料の高騰で収益は大幅に減少した、さらに米価の暴落により新しくした農機具のローンが払えない、今度農機具が故障したら修理や買い替える資金が無いので稲作をやめる、園芸農家も消費税増税、円高による影響は同様です。高知県の経済を今まで支えてきた基幹産業の現場でもたいへんな事態になっています。県経済にとって深刻なのは倒産件数もそうですが、休業、廃業がその5ないし6倍の規模に広がっていることです。先月四万十市の老舗のスーパーが倒産し3店舗が営業をやめました。そこで働いていた労働者の今からの暮らしの事を考えると、本当に心が痛みます。

消費税は、「社会保障」のためと言いながら、本年度社会保障の充実につかわれた予算は5千億円しかなく、社会保障の相次ぐ負担増が県民を苦しめています。「介護保険料も増加したのに十分なサービスが受けられない」「年金の支給が減った」「国保税の負担が大変きびしい」などの悲痛の声が上がっています。今後も病床数の削減、介護サービスの切捨てのメニューが目白おしです。「財政再建のため」といいながら巨額の黒字をためこむ大企業には、復興増税の前倒し廃止など今年度1.5兆円、来年度はさらに3兆円もの減税を実施しようとしています。暮らしと経済に大打撃を与え、増税の根拠も総崩れとなっている消費税10%への増税は、きっぱりと中止すべきものです。

日本共産党は、消費税の増税なしに社会保障を立て直す道を提案しています。

 第一は、税金は「応能負担」の原則に立った税制改革をおこない、社会保障の財源を確保することです。富裕層と大企業への優遇税制をあらためて、応分の負担を求めることです。

「日本の法人税率は高い」というのは本当でしょうか。表面税率では課税ベースが違うために、真の税負担は評価できません。財務省が作成した「企業負担の国際比較」によると、日本の法人税負担の対GDP比は3.2%です。韓国3.5%やシンガポール3.9%よりも低く中国3.2%と同じ水準です。しかも、「法人税の引き下げ競争」は、国民負担の増大を招くとOECDなどでも弊害が議論になっています。現在、韓国では法人税減税を撤回し、野党からさらなる増税案が出されて論議が続いています。中国やシンガポールも企業の社会保障負担を増やす方向になっています。日本はアジアのリーダーとして、「引き下げ競争をやめよう」という提案をすることが必要です。また所得税の負担率が所得が1億円を超えると逆に低下する逆立ち税制を是正するべきです。「極端な格差拡大は成長を妨げる」、IMF、OECD、アメリカ格付け会社スタンダード&プアーズが次々と警告するレポートを発表しています。税のゆがみを正して、社会保障の充実とあわせ、所得再配分機能を強化することは、経済の6割を占める内需をあたため、経済の再生、税収増に結びつき、さらに将来の経済成長をささえる、世界の流れとも沿った最も確かな道です。

 第二は、大企業に眠っている内部留保285兆円の一部を活用して、大幅賃上げと安定した雇用を実現し、景気を回復させて、税収を増やす道です。

日本の現状は、1998年から2010年の間に、大企業の内部留保は、117兆円増加していますが、非正規雇用の拡大などで民間給与は29兆円減少、経済の成長も止まりGDPも減少し、結果として税収も9.1兆円減少する「悪循環」に陥りました。この「悪循環」を、賃上げと安定した雇用で「好循環」に変えようと言う提案です。昨年のG20首脳宣言も、強固で持続的で均衡ある発展にとって「質の高い雇用を通じた成長」や「非正規雇用を減少させる」ことをうたっています。その方向と一致する提案です。

また、この9月、ILOとOECD、世界銀行がまとめたG20の雇用に関する報告書は、G20の多くの国々で、労働生産性の伸びに賃金の上昇が追いつかず、それぞれの国内で賃金や所得の不平等が拡大していると指摘しています。日本の場合、1992年を100として2009年の時点で、労働生産性は15ポイント以上増加の一方で賃金は10ポイントも低下しています。この点でも道理ある提案となっています。

その中でも、政府の決断で実施できるのは最低賃金の大幅な引き上げです。アメリカは、最低賃金引き上げを経済対策として取り組んでいます。中小企業支援8,800億円とセットで取り組み、2006年比で41%も引き上げました。これにより540万人が賃上げとなり、消費も拡大し、当初は心配したアメリカ経済界、中小企業団体も経済効果があるとわかって次の段階で、2006年比で96.1%に進もうとしています。日本は同年比で15.9%の引き上げにとどまり、支援策も30億円にとどまっています。抜本的な対策にすすむことは、特に中小企業の多い地方経済の再生にきわめて有効です。

知事会が「少子化非常事態宣言」を出す事や、「子どもの貧困率」は過去最悪を記録するなど、今、日本の社会のあり方がとわれています。こうした問題にも正面から答える内容となっており、大いに国民的な議論を進めたていきたいと考えます。

 以上の事も併せ、政策的な立場は違ったとしても、県民の暮らしと営業の実態を直視すれば、消費税増税の環境にはないことは明らかではないでしょうか。付則第18条に基づき、再増税の中止を求める意見書を可決することは、県民の声を政府に届けるという県議会の責務を果たすことだと確信するものです。

以上申し上げ、議員各位の賛同も求めて「2015年10月消費増税率10%への再引き上げ中止を求める意見書案」への賛成討論に代えさせていだきます。