-
- 2014年10月06日
- 議会(質問・討論)
- 9月県議会 予算委員会での吉良富彦県議の質問と答弁(2014.10.3)
【質問項目】
1、臨時・非常勤職員の待遇改善
2、ビキニ被爆
3、四万十市立中学校教材変更問題、教育行政のあり方
【臨時・非常勤職員の待遇改善】
●吉良県議
去る7月4日、総務省自治行政局公務員部長名で「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」との通知が各地方公共団体の長や人事委員会委員長あてに出されています。同名の通知を、平成21年4月2日に出した総務省が再度提出した主旨は、一つに、臨時・非常勤職員の当面の待遇確保による「継続活用」を図る事であり、これは「21年通知」の変更によってのものです。もう一つには、平成16年に出された「任期付運用通知」を改正して、「任期付職員」への置換えを促進することだと把握しております。
本通知を受けて、臨時・非常勤職員の任命をどう扱っていくのか、まず総務部長に対応をお聞きします。
■総務部長
臨時的任用職員の再度の任用に関しては、吉良委員から、昨年の9月議会の予算委員会で私に、また本年の2月議会の本会議で山本人事委員長に、任期と任期の間に、いわゆる「空白期間」を置く必要はないのではないか、法律上そういう規定はないはず、とのご質問をいただいたところです。
そのため、7月4日にこの通知がでました、その際、直ちに、たまたまですけれど総務省と地方公共団体の関係者が参加する会議がございました、四国ブロックの地方財政連絡会議というのは7月14日にありましたけれども、この際、私が直接この通知の趣旨について総務省の公務員部に確認をいたしました。
その結果、地方公務員法上「同一の者が長期にわたって同一の職に繰り返し任用され、事実上任期の定めのない常勤職員、いわゆる一般の職員と同様の勤務形態となること」は望ましくない、という原則には変わりがないこと。
その上で、そうした状態を避けるため、1日ないし数日の短期間の空白期間を置いている運用というのが全国的に散見されるが、実際に継続的な雇用となっているかどうかは、実態を見ての判断となるものであり、極めて短期間の空白期間を置くことにより雇用が中断できるものではなく、例えば1日空ければそれでいいと、そういうものではなく、実態判断になる。空白期間を求める規定は関係法令にないが、その趣旨はそういうことで、今回の通知はこのことを確認したものである、とのことでございました。
また、いわゆる空白期間を置くかどうかは、それぞれの任命権者の判断であるとのこともその時に聞いております。
本県の知事部局における臨時的任用職員の職については、できるだけ多くの方の雇用機会を確保するため、また、身分や処遇が固定化することを避けるという観点から、人事委員会の承認を得て、一定の空白期間を置く運用をしているところです。
本年2月議会の本会議においても山本人事委員長から「任用の期間を中断することなく繰り返し任用するということは、法の趣旨に照らしたときに適切ではないのではないか」との答弁もありましたように、私は、現在の運用について、地方公務員法の趣旨に照らした時に適切なものであるという意を、この説明を受けて改めて強くいたしました。
このため、知事部局においては、臨時・非常勤職員の任用について、変更する考えはなく、現行の取扱いを継続してまいりたいと考えております。
●吉良県議
いまの状況について、なお確認をしたというご答弁だったと思うのですけれど、ただ一点、私が気になるのは、県として出来るだけ多くの者にという、職安のような提言をしていますが、それはひとつもそういうことはこの通知にはないですね。基本的なところはね。そこはやはり違うんだということを指摘しておきます。いずれにしても、この通知の主旨は後段の平成16年に出された「任期付運用通知」、これを改めて強調していると私は思っております。
「任用の実態と制度との乖離」を理由にして、雇止めも懸念される3年ないし5年以内の「任期付職員制度」の推進、これをいま強めようとしているんですね。それは、職員の専門性・継続性の確保や雇用の安定を図る事にはならず、かえって、非正規雇用を増やすシステムに公務現場を導くことにつながると思います。これはやはり問題です。やはり、必要な業務は任期の定めのない正規職員でという公務運営の原則に立つべきだということを申し上げておきます。
その一方で、今、困難な勤務条件が強いられている臨時・非常勤職員の待遇改善を「非正規の固定化」をさせないと、先ほど総務部長がおっしゃいましたけれど、させないことを前提に行うことは私は進めていくべきと思っています。そういう主旨でこの21年通知は出ているわけです。それを補完すると、改めて各地方公共団体に、「いまの現状でいいんですか」と問いかけている、そういう主旨だと私は判断しております。
ですからその立場で、以下、臨時教員の処遇に関してお聞きをいたします。
先の2月議会において、本県の臨時教員の処遇改善を求めました。ただでさえ身分が不安定な臨時教員の労働条件を改善し職務に専念できる環境を保障することは、とりもなおさず子どもたちに行き届いた教育を保障する事にほかなりません。年度末から年度初めにわたる臨時教員の「再度の任用における空白期間」、これを短縮すると、年度替わりの多忙な学校業務に身分を気にせずに専念できて、合わせて社会保険や各種手当の支給が行われるような処遇改善が図れます。
昨年度は、臨時教員の辞令は3月24日に任期が切られ、再任用は早くて4月4日、その間、10日もの長期の空白期間がありました。
その空白期間に含まれる3月31日、及び4月1日の日が任用期間としてあるのとないのでは、臨時教員の処遇、待遇はどう違ってくるのか、教育長にお聞きいたします。
■教育長
お話しにありました臨時教員の任用期間は、本年度から、4月2日から翌年の3月24日までと、昨年度より2日間長くしております。
仮に、臨時教員を3月31日まで任用した場合には、厚生年金は、掛金期間に3月の1ケ月間が算入されますし、健康保険は、保険の適用期間が3月25日から3月31日までの7日間延長されることになります。
一方で、厚生年金保険料と健康保険料につきまして、事業主である県教育委員会と臨時教員本人の1ケ月分の負担が生じるということになります。
それから、4月1日から任用した場合には、扶養手当・住居手当・通勤手当の3つの手当が、4月分から支給の対象になります。
●吉良県議
臨時教員は、厚生年金から国民年金へ、そして協会健保から国保へ、自身で切り替えていかなくちゃならない。そして手当は4月は全然ないという状況だと教育長がおっしゃったと思います。
わずか一日のためにこうした扱いを受けることは不利益であり負担となっています。
この、年金と健康保険、そして手当支給の両基準日が外されて、両方共で不利益を組むっている臨時教員は本県だけとなりました。2月議会で「少しでも早く採用ができるよう努めます」と答えておこなったことは、4月の着任を2日早めて、4月2日からとしました。しかし、残念ながら両方の基準日に関する変更はまったくありませんでした。小学校では23日に卒業式、24日修了式です。ぎりぎりまで本務をやっているんですね。じぁ、臨時教員は指導要領の記入や残務事務、荷物の撤去等々、これは労基法違反のサービス残業でおこなっていると、それを余儀なくされているんです。ですから、全国の8割の都道府県が、4月1日から3月30日までを任期として、空白期間はわずか1日、北海道と東京都は空白期間自体がありません。つまり、本通知が強調してるんですけれど「任用されていない者が事実上業務に従事することのないよう」業務遂行の実態を考慮した任期にしているのです。年度替わりの事務量が集中する時期、8日間も空白期間を取っている本県の異常さは、だれの目にも明らかです。
総務省は今回の通知に、この間国会で論議され、本年1月17日付の厚生労働省通知で周知された「被保険者資格の継続適用」の要件も盛り込みました。教育長はその内容を、どのように把握しているのか、お聞きいたします。
■教育長
本年1月17日付けの厚生労働省の通知では、厚生年金保険や健康保険の被保険者資格について、雇用の空白期間が1日または数日の場合でも、任用終了時点で次の任用予定が明らかで、事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を継続できるとの適用に関する考え方が示されているというふうに理解しております。
●吉良県議
そのことを問うた時に、中沢前教育長は、「空白の期間というのは、今までの長い間の労働慣行の中で、臨時ということでやってきておりますが、少しづつ、少しづつ、その期間を短くして、なんとか、私の思いとしては、できるだけ採用を早めたいと4月の初めから、学校の経営計画を議論していただきたいと、ただ事務的に難しい面がありますが、おっしゃいましたように他県ではできている、エイヤーとやっている場合もあろうかと思いますが、それも参考にしながら、少しでも改善したいと考えているところでございます」と述べて、改善する意思を表しています。本通知は、その言うところの、長い間の労働慣行にサヨナラをして、「臨時・非常勤職員の当面の待遇確保による「継続活用」を徹底しなさいと求めるものだと言えます。私どもが入手した資料によると、本年度は27都府県が被保険者資格を喪失させることなく継続する措置を早々に取っています。
事務的に難しいとおっしゃっていますが、他県では既にできています。本通知がいうところの「業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定め」なおして、せめて他県並みにするお考えはないか、教育長にお聞きします。
■教育長
全国的に4月1日からの任用ですとか、あるいは3月30日までの任用を行っている県が多いということは承知をしております。
本県では、正規教職員の人事異動発表後に、臨時教員の配置校の決定に係る市町村教育委員会や県立校長との調整など、臨時教員の採用決定までに一定の期間が必要なことですとか、学年末の終業式を一つの区切りとして、従来4月4日、今年からは4月2日としておりますけど、翌年3月24日までを任用期間としてきております。
今年につきましては、臨時教員の採用配置作業をできるだけ前倒しをして、2日間早めたということでございます。
しかしながら、全国状況ですとか、円滑な学校運営の観点からみますと、前教育長もおっしゃっておりましたように、まだまだ改善の余地はあるのではないかと思っております。たとえば、採用配置作業をもっと早くすることができないか、あるいは終業式の終了後も一定の業務が残ることもあるのではないかといったようなことも考慮して今後検討させていただきたいと考えております。
●吉良県議
ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
尚ですね、福井県の空白期間は本県と同じ8日間なんです。しかし、「年金及び健康保険の継続」を実施しているんですね。ですから最悪、24日以降、伸びなくとしても、その臨時教員の年金、および健康保険の継続は現時点でも可能ではないかと私は判断するわけです。ですからぜひとも参考にして善処していただきたいということを強く要望しておきます。
【ビキニ被曝】
●吉良県議
去る9月19日、高知の元高校教師で太平洋核被災支援センター事務局長の山下正寿さんらが厚労省に公開を求めていた文書が公開されました。60年前の1954年3月1日から2か月半、太平洋・ビキニ環礁でアメリカが6回にわたって強行した水爆実験に遭遇した日本の漁船や乗組員に対して行った「放射能汚染検査」の文書でした。第五福竜丸以外にも、多くの漁船が被爆していたにも関わらず、日本政府は第五福竜丸以外被曝しておらず記録は「ない」と国民に言い続けてきた秘密資料です。60年たってその存在がわかり、初めて公開されたものです。
きっかけは、昨年、アメリカ公文書館で公開された極秘文書の中に、これまで存在しないと言われていたビキニ被災船と漁船員たちの検査記録が発見されたことからでした。リストは、日本の外務省を経由して届けられたものであることがわかり、外務省に問合せると、外務省保管分の厚生省作成の被災船の記録資料を開示したのです。やはり記録はあるじゃないかと、厚労省に公開を求めて、そして、今回の公開となったのです。
公開されたのは、資料304点、B4で1,900枚分。第五福竜丸、乗組員23人以外に、のべ556隻、実数473隻について、航路図、人体と水揚げした魚の放射線量等が記載されており、被曝の実相を知る上で大変貴重な資料です。被曝したのべ992隻のうち放射線量が高い被爆マグロを廃棄した高知県の船はのべ270隻、実数117隻、実に3分の1近くが私達高知の船と人なのです。その数2,300名を超すであろう本県の漁船員の被曝の実相が、公的文書でもって、やっと明らかにされてくるのです。
この8月6日にNHKが作成し放送した「水爆実験60年目の真実」が放送されました。この間に明らかになったアメリカ側の放射線降下物の広がりの記録と日本側の漁船操業航路などを重ね合わせて、100隻以上の被曝の事実を浮かび上がらせました。室戸のマグロ船第2幸成丸の乗組員は20名、実験から20年の間に40歳前後の若さで次々と癌や心臓病などで死亡し、今は3人だけです。仲間が亡くなっていく中、「被曝を疑うも何もできなかった」と話す久保ひさしさんも出てきています。船は4,000カウント検出され汚染魚も廃棄されたのに人体の被曝量は全く記録されていない。番組は、その背景に、水爆実験が中断されるのを恐れて、日本漁民の不都合な事実をすべて隠したアメリカの操作があったという、当時のアメリカエネルギー省の幹部の証言も報道しています。しかし、ついにこの2月、アメリカの公文書館から人体被曝量も記された第2幸成丸の記録が発見され、がんで亡くなった久保さんの仲間の被曝も公文書で証明されたと伝えています。
広島、長崎に続く人類史上3度目の被曝はまさに高知県の事件であるとして高知県民は果敢にいち早く対応しています。被爆直後から室戸市長を筆頭にした芸東原水爆対策協議会を結成し、「原水爆禁止」を掲げ、「被曝者の生活防衛」を打ち出して運動をおこしました。そして、ついに知事を先頭とした高知県原水爆対策協議会を結成させるという歴史を私たち高知県民はもっているのです。
国が一定情報を開示したこの機に、被爆直後のこれら県民の意志を継いで、県として、厚労省に高知県関係の被災船記録の情報公開を求めていただきたい。そして、高知県関係の船の被害、乗組員の状態、特に、危険区域内にいて高濃度の汚染が心配される船や乗組員の現状把握に努めるなど、県の調査記録として整備すべきだと考えるのですが、知事にお聞きします。
■知事
このビキニ環礁での水爆実験に遭遇されました乗組員の皆様方におかれましては、本当に長年に渡りまして健康に対するご不安を抱えてこられたなど、大変御苦労してこられたことと本当に思います。
この間題については、委員もご存じのとおり、日米の間では、いわゆる外交問題の延長上にあって、国は日米間の交換公文をもってすべて問題は解決済みという立場であります。
しかしながら、先はど来お話がありますように、この度、太平洋核被災支援センター事務局長さんのご請求によってですね、本年9月に厚生労働省で、第五福竜丸以外の日本船や乗組員に関して、新たな資料が開示をされたということな訳であります。
新しい資料に基づいた、新しい対応がとられるべきではないかとそのように考えておるところでございまして、県としまして、まず国に対して新たな資料に基づく科学的な検証、これを行うべきではないかということを強く求めていかなければならないのではないかとそのように考えています。
具体的にどのように行動していくかは、これからよく検討させてもらいたいとそのように思います。
●吉良議員
NHKの「水爆実験60年目の真実~ヒロシマが迫る”埋もれた被ばく”~」を制作した広島局のディレクターが「放送を終えて」という手記で以下のように述べています。
60年間、仲間たちが次々と原因不明の病で倒れていくのを目の当たりにしながら、被爆を証明する術がないため何もできなかった漁船員たち。取材を始めた頃は、「今さら被爆を訴えたところでどうしようもない」と真相解明を諦めていた漁船員たちが、ヒロシマの科学者が立ち上がったことで、自らの体で被爆を証明しようと積極的に科学調査に協力するようになったことが印象的でした。初めて第5福竜丸の漁船員以外の被爆が科学的に証明されたことで、その存在をこれまで否定してきた国はどう動くのか、注視し続けたいと思いますと。
まさにこの立場に立って、知事としても対応を強めていただきたいと思います。知事はこの放送をご覧になったんでしょうか。
もう一つですね、愛媛県の南海放送が8年にもわたる取材をもとにして、テレビと映画化したものがございます。これは今も全国各地で活発に上映されていまして、「放射線を浴びたX年後」という作品です。これもNHK同様ビキニ水爆の真実に迫る優れた作品です。
悔しさや無念さなどがあっても、海で生きていくため、誰にも言わずじっと耐えていた被災船の乗組員の方々が、今、やっと、声を上げ始めています。被曝したのは私たちの仲間、県民です。歴史的事件に遭遇した県民の姿を県や国の動向と共に後世の県民、国民にきちんと伝えるべく、ぜひとも、厚労省への要請など含めて対応を強めていただきたいということを要望しておきます。
当時の乗組員や遺族は既に70~80歳になっています。山下氏などの調査では平均値の200倍の癌発生率だと言われ調査が急がれます。太平洋核被災支援センターにはこの25年間で蓄積した、室戸や幡多郡下での被災船乗組員の情報もあると聞いています。被曝者と認められた第5福竜丸の乗組員は、船員保険の被保険者として治療費など対応されているとお聞きします。
県として、「太平洋核被災支援センター」や「日本かつお・まぐろ漁協」などに、広く情報の提供を求め、当該地域の保健婦等で早期に訪問し、「放射線被害を受けている被災者」を前提としての調査の下、治療や救済・支援方法の検討、そして、船員保険の適用にむけた取組など、あきらめかけている被災船員を支える手だての検討を始めていただけないか、健康政策部長にお聞きいたします。
■健康政策部長
水爆実験に遭遇された乗組員の方の中で、新たな資料が見つかったという記事を見て、不安を抱かれている方もおいでるのではないかなぁと思います。そうした方に、福祉保健所で健康相談ができることを十分にまず周知をさせていただいて、健康相談を受けていただき、必要に応じて健康診断や医療につなげていきたいというふうに思っております。
船員保険の適用についてですけれども、第五福竜丸の事例では、被爆による急性放射能障害の治療のために行った輸血によるC型慢性肝炎が発症したということで、「職務上」の疾病と認定されたと、そこの因果関係がはっきりしていたということであります。
認定のためには、個人ごとに被爆量を立証し、加えて、具体的な健康影響について被爆との因果関係を立証することが必要となりますので、水爆実験から60年を経ている中で、個々人について、その晩発性の障害などを科学的に立証していくことは、非常に難しいのではないかというふうに思っています。ただ、先ほど知事からも答弁させていただきましたように、今回明らかになった資料をですね国において科学的に検証することで、被爆の事実が明確になることがあれば、認定基準の類型化など次のステップに進むことも期待できるのではないかというふうに思っております。
●吉良県議
今後のあり方をぜひ注視しながら、がんばっていただきたいと思うんですけれど、実は部長がおっしゃった個々人の被爆量と病気の関係ですね、これを先ほど私が言いました8月6日に放送されたNHKの番組ですね、広島の科学者たちがそれに着手し始めたという、ご覧になった思うんですが、いうことなんですね。そして、この夏、ビキニでの水爆実験による被ばくを証明する、初めての検査報告がついになされています。
一つは被災者の歯による、歯を取って被曝線量の証明をむしたんです。ビキニ実験場から約1,000キロを航行していた漁船の元乗組員の歯から当時の被爆線量を推定したところ、広島原爆の爆心地から約1.6キロ地点の線量に相当する319ミリシーベルトだったことが確認されました。規定の100ミリシーベルトを完全に超えているんですね。
もう一つは血液による被曝線量の証明。ビキニ実験場1,300キロ付近で操業していたマグロ漁船員の血液から、染色体異常が一般の人より多く見つかるなど、実験が原因と考えられる被爆の痕跡が確認されて、今後、政府への補償を求める場合の論拠になりそうと報道もされています。
科学的調査を進めているのは星正治・広島大学名誉教授、田中公夫博士など広島大学らのグループで、調査には高知県内の男性9人を含む元船員19人が協力をしています。
被ばくの可能性を科学的な調査で初めて裏付けた星正治広島大学名誉教授をはじめとする研究グループを招き、この間の本県被災船の乗組員を含む調査にかんする報告、学習会や研修会、あるいは交流会など、県として開催できないか、健康政策部長にお聞きいたします。
■健康政策部長
いまおっしゃられたことに対してですけれど、新聞報道の内容しか承知しておりませんので、まずは、太平洋核被災支援センターの事務局長の山下さんにお会いをしまして、調査結果とかご意見をお聞きしたいと思っております。
●吉良県議
ありがとうございます。その山下氏は以下のようにおっしゃっています。「ビキニ事件は、戦後の日本で一番大きな秘密情報でしょう。放射線量が高い魚を廃棄した漁船は、全国で延べ約1,000隻。1万人近い関係者がいるにもかかわらず、『第五福竜丸』1隻の問題に矮小化されました。当時、核実験は大きな国際問題だったのに、日米の政治的決着で強引な幕引きが図られました。日本は米国との関係を強化したかったし、米国は核技術を向上させるために実験を続けたかった。外交上の利益が一致し、双方が秘密にしたい場合、国民が知るべき情報は隠す。そういうことが実際に起こったのです。乗組員の健康は二の次でした」とのべられています。
政治的意図から被災者の声が抑えられ埋もれさせられて60年たちました。国家の思惑の陰で無き者とされた漁船員たちの無念の声なき声にこたえるように、今、まちがいなくビキニ水爆実験被爆者である、ということが証明され始めました。
広島や長崎の被爆者同様、被爆者援護法的な救済支援の適用を求めるため、県として出来得る支援をすべきだと考えますがこの項は知事にお考えをお聞きしたいと思います。
■知事
先ほどテレビを見たかというお話がありました。私はですね、すみません、見ていないのですが、NHKスペシャルについては、、昨日このご質問が出るとのことで、どういう内容であったかということを、いまは色々調べられますので大体見ました。当時、昭和20年代後半から30年代後半にかけての複雑な国際関係の中で、この間題が起こってなかなか難しいことがあったのだなぁということを勉強させていただいたところであります。
いずれにして、このビキニ被爆の問題について、その実相がどうであったかったかということ、これが検証できるかもしれない資料が見付かった訳でありますから、国は当時の時代背景は時代背景としながら、今現代において、その当時はどうであったかということについて、この資料に基づいてしっかりとした調査をし、客観的な判断を下していくべきということではないかなとそのように思います。
その先に、例えばどういう形で支援をしていくかとか、そういう議論というのが出てくるのではないかなとそのように考えておるところでございまして、先ほど申し上げたことと同じでございますが、国に対して訴えていかないといけないと思います。どう具体的にやっていくか、もう少し勉強させてもらいたいとそのように思います。
●吉良県議
ありがとうございます。水爆で死の灰を浴びても国もアメリカも真実を伝えず、何か月も汚染された海でマグロを追ってるんですね、あの当時。危険が分かっているのに誰も伝えていない。2ヶ月くらいずっとあそこで操業しているという、本当に悲惨なものですよ。そして、帰ってきて、船主からさえも口止めされる、それを言うとですねおまえ仕事がなくなるぞと、室戸の地域は全滅するぞというようなことも言われて、そして死の苦しみを味わっても、誰にも被曝を言えず死んでいった漁船員の姿に自らを重ね合わせた時、これを歴史に刻まないことは、まさに加害と同じだと私は考えます。先ほど知事がおっしゃいましたように、県としてこれからその県民に対して何ができるのか、是非、私も一緒になって問い続けたいと思いますので、対応をよろしくお願いしたいと思います。
最後に、先ほど健康政策部長もおっしゃっておりましたけれども、知事、この山下氏はですね、高校教師の時に、高校生たちとビキニの真実に迫ってですね、「ビキニの海は忘れない」という書籍だとか、そして映画を作成しております。吉永小百合んがナレーターになって非常に高校生たちの平和活動として全国的に有名になったんですけれども、そして退職の後に太平洋核被災支援センターを立ち上げて、事務局長であると思います。
ぜひ知事もですね、一度お会いになっていただけたらと思うのですけれど、そのことについてはいかがでしょうか。
■知事
また色々、スケジュールの調整をどをさせていただければと思います。
●吉良県議
ありがとうございます。ぜひスケジュールを空けていただきたいと思います。
【四万十市立中学校教材変更問題、教育行政のあり方】
●吉良県議
9月12日付の高知新聞で、「四万十市教育長『琉球新報は政治色強い』と指摘、教材が変更」との見出で報道されたことに関し、質問します。
記事内容は「四万十市の中学校が、新聞を授業で活用するNIE、教育に新聞を活動の一環で、沖縄県の地方紙「琉球新報」を利用していたところ、四万十市の藤倉利一教育長が「政治色が強い」などと校長に指摘し、学校が2学期から別の新聞に切り替えていた。校長によると7月初めごろ、教育長から電話があり授業内容を説明した際、「琉球新報は政治色が強いのではないか」とNIEへの利用に懸念を示したという。校長は、2学期から北海道新聞と鹿児島県の南日本新聞に教材を変更した。校長は教材変更の理由について「教育長から強制された認識はない」とし、「高知より北と南の地方紙ならどこでも良かった。いろんな地域を知るという意味で切り替えた」と話しているというものです。
四万十市議会は9月22日、教育民生常任委員会を開催し、藤倉教育長に対する質疑を行っています。「新聞記事の内容は間違いないか」との議員からの問いに、「間違いない」と答えて、記事の内容が事実であることを教育長自らが認めています。
そこで、問題になるのは、これは教育行政による教育活動の自主性、教育内容への不当な介入にあたるのではないかという事です。当日の常任委員会でも複数の議員から、教育内容への介入ではないか、あるいは教育長発言によって校長の自己規制が働いた、あるいは人事権を持つ教育長の圧力だ等々の発言がなされています。
教育公務員特例法にあるように校長及び教員の任命権は教育長にあります。また、人事評価制度では、面接その他で校長を評価するのも、これまた教育長であるという現実から、校長が記事の中で「教育長から強制された認識はない」と述べられている事を、そのまま受け取る県民はあまり多くはないのではないかと私は考えるものです。
教育内容への介入の典型的な事例は、東京で起こった七生養護学校での性教育実践への介入です。過激な実践で問題だ、と議会で質問した議員と一緒になって、東京都教育委員会が学校現場に出掛けて行き、校長の了承も十分取らないまま授業で使う教材を持ち帰り、教師への処分まで行われました。
しかし、これに対する裁判では地裁、高裁、最高裁で次々と「教育行政の介入だ」との判決が出され、2010年に確定しています。
教育行政当局である教育委員会による学校現場の教育活動への対応は、現場での取り組みを尊重した対応をすべきだと考えるものですが、教育長の考えをお聞きします。
■教育長
一般に、学校現場の自主性や創意工夫というのは、大いに尊重する必要があるというふうに思います。
一方で、四万十市では地方教育行政法に基づく規則で、計画的・継続的に使用する補助教材については、校長から教育長に届け出なければならないというふうに定めておりまして、新聞を計画的に補助教材として使用する場合、教育長が助言・指導することは一般にあり得るものだというふうに考えます。
今回の四万十市教育長の発言は、学校長に学校経営計画の進捗状況のヒアリングを行った際、市教委の指定事業であるNIE活動についても状況把握や方向性を確認した中でのものでありまして、新聞の活用においては、政治的中立性に配慮し、幅広い物事の見方や考え方、また、表現の仕方を学んでもらいたいという趣旨での発言というふうに聞いておりまして、特に問題はないと考えています。
●吉良県議
ここでその事実を確認するすべはありませんので、一般的なことを私は申し上げておきます。
問題は「教育」と「教育行政」を峻別する事です。
教育とは、あくまで子どもと教育者、子どもたちと教師の間の信頼関係や、人間的・人格的な交流・接触を持って初めて成立するものです。授業やその指導案、教材選択とその使用方法・教育方法、そして評価などが主な内容になります。つまり「教育の内的事項」と言われる領域です。
他方、教育行政とは、そのような教育活動・教育実践を保障する、支援するための条件や環境を整える活動で、「教育の外的事項」と言われる領域なんです。
東京都の例も、あるいは昨今問題になった「はだしのゲン」を学校図書館から排除する問題も、「教育の内的事項」に携わる専門職である教員の領域に「外的事項」に携わる教育行政当局である教育委員会が直接介入したことで起きた事例です。教育に直接あたるのは崇高な使命を持つと、教育基本法9条で規定されております教員であって、そこを飛び越えて成り立つものでないことをぜひ教育行政に携わる者は肝に銘じてほしいと思います。
これは日本だけではなくて、国際的なルール、ILOとユネスコの教員の地位に関する勧告でも明らかにされています。そこでは「教員は生徒に最も適した教材、及び方法を判断するための格別な資格を認められたものである」「教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の採用などについて、不可欠な役割を与えられるべきである」とのべられています。
現行の地方教育行政法がこの6月、国会で改正され来年4月より施行されます。教育委員会廃止の方向で走っていた法案は、世論や学校現場、地方の教育委員会、そして文科省サイドからの強い反対意見続出を受け、当初の考えと異なり、合議制執行機関である教育委員会制度が残りました。警察の公安委員会や選挙管理委員会などと同様、この行政委員会制度は戦前の教育への反省から生まれたものだと言われています。
そこで、長く教育行政に関わってきた教育委員長に、教育委員会制度で大事にしてきたこと、今後も大事にすべきことは何かをお聞きしたいと思います。
■教育委員長
私は、公立学校の教員を長く勤めまして、その後平成20年度から教育委員をしています。22年度からは教育委員長をさせてもらってますが、この間大事にしてきたことが3点ございます。
一つは、これはごく当たり前のことかもしれませんが、教育委員会制度の根幹をなします教育の政治的中立性とか安定性・継続性の確保に意を用いてまいりました。
このために、教育委員会の会議におきましては、教育に深い関心と熱意を有する他の教育委員と共に、その知識や経験に基づき、教育方針等を決定いたしますが、積極的な議論を展開してきたところであります。
それから、本県においては様々な教育課題がございます。そのより教育課題に対する理解を深めるために、できるだけ学校現場に足を運び、そしてまた他県の状況も伺ってきました。
こういった活動を通じまして、二つ目になりますけれども、事務局の議案を単に追認するということだけでなくて、自主的な判断をしていくことにも意を用いてきました。
それから第3点目は、教育委員会と学校との関係というのは、樹木に例えますと、根元に当たるのが教育委員会だと、幹とか葉に当たるのは学校で、そしてその木に実を付ける、この実に当たるのが子どもだと、こういう風に考えますが、そういう時に状況を見ますと、やはり教育委員会というのは、学校を積極的に支援する、教育に安んじて対応できる、こういう条件をつくる、私の教育の指針でございますので、意を用いてまいりました。
今後、制度的に多少変わりますけれども、これまでも、知事との意見調整とか、かなり積極的にやってきましたし、これからはさらに、より緊密な連携を保ちながら、本県の課題に向けて積極的に取り組むということが必要だと考えております。